慈恵会医科大から2人 (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センターにこのたび、東京慈恵会医科大学医学部医学科産婦人科学講座から、部長職常勤医師1人、非常勤医師1人の派遣が決定した。市が21日に発表した。派遣時期は4月からを予定。市立医療センターは「当センターでの分娩(ぶんべん)再開に向け、着実に準備を進めていく」とコメントを寄せている。
常勤医師1人の退職決定に伴い、3月1日(火)以降の分娩予約休止を発表している同医療センター。新宮・東牟婁エリアの中核病院として、年間約300件の分娩を行ってきた。
分娩休止を受け、市当局や市議会は医師招聘(しょうへい)に向けて各関係機関に要望活動を展開。今月18日には学校法人近畿大学(世耕弘成理事長)と産婦人科医師派遣などを盛り込んだ包括連携協定を締結していた。
慈恵会医科大からの医師派遣の決定に当たり、田岡実千年市長は「誠にありがたく思っている。このことにより、他の大学からの医師派遣も含め、安心・安全な分娩再開に向け、着実に前進している」と関係者に感謝。
「ただし、緊急手術や緊急分娩など、24時間対応できるよう、派遣される常勤医師および非常勤医師の方々の勤務体制を構築することが必要となる。ご迷惑をお掛けしている妊婦の皆さんをはじめ、市民の皆さまには確実に分娩が再開できる体制が整えば、市および医療センターからお知らせいたします」と理解を求めている。
市立医療センターの中井三量院長は、産婦人科部長医師退職により3月中旬以降の産婦人科診療、出産分娩はいったん中止となる見込みとしながらも「4月時点ではまだ当院での出産分娩はできないが、以降のさらなる常勤医師獲得に向け活動しており、体制が整い次第可能な限り早急に出産分娩ができるよう努力し準備を進めていく」とコメントを出している。
(2022年2月22日付紙面より)
チーム御所の地が作業に汗 (那智勝浦町 )
「今年はメモリアルイヤー。コスモスを植え始めて10年になる。必ずきれいに咲かせたい」。そう話すのは那智勝浦町狗子ノ川のチーム御所(ごしょ)の地(じ)代表の建石修さんだ。チーム御所の地は毎年、同町狗子ノ川の通称「御所の地」の4・5反ある休耕田にきれいなコスモスを咲かせ、人々の目を楽しませている。
その昔、那智聖(なちひじり)の行場であったという同所。元々は田んぼとして利用されていたが、2011年に発生した紀伊半島大水害によって、水路が破損。水が使えないことから休耕田となった。
由緒ある土地を放置してはいけないと当時、狗子ノ川区長を務めていた建石さんの下、同区で協議を重ねた。区で花の部会を立ち上げ、地域おこしを兼ねてチューリップや菜の花、コスモスを植えてきた。
その後、花の部会を前身にチーム御所の地を設立し、コスモスを植え続けて今年で10年目を迎えた。同所は毎年、一面に咲くコスモスを一目見ようと町内外から多くの人々が訪れる人気のスポットとなった。
会員によると、数年間は和歌山県や町からの補助もあったが、今はないという。しかし、同所に咲くコスモスを喜び、チーム御所の地の活動を応援する人からの援助もあり、感謝しているとした。
この日は建石さんと建石頼男さん、松尾悦子さんら役員と会員2人が参加。事前に町消防本部に届け出し、トラクターによる耕耘(こううん)を妨げる雑草の焼却に取り組んだ。会員は延焼防止のため、ホースで周辺に水をまきながら、雑草を燃やすなどの作業に汗を流した。
気候によって時期の変更はあるが、9月ごろにコスモスの種まきを行い、10月後半から11月にかけて開花する見込み。
コスモスの見せ方などを研究するために各地を視察しているという建石さんは「昨年は種をまく時期が悪く、あまり良くなかった。今年は10年の年なので、きれいに咲かせたい。皆さんに喜んでもらえるように頑張ります」と笑顔で語った。
(2022年2月22日付紙面より)
古座神社で愛宕権現例祭 (串本町 )
串本町古座にある古座神社(石田保宮司)で19、20日の2日間にわたって愛宕(あたご)権現の例祭があり、古座区の南藤房男区長らが火伏せやコロナ禍の終息を願って礼を尽くした。
愛宕権現は古く軍神として武家、また京の都では火盗守護の利益を求めて庶民の信仰を集めた経緯がある。本地仏は勝軍地蔵。古式捕鯨で発展した古座は家屋が密に並ぶまちなみを宿すため、愛宕権現を安置して今も欠かさず信仰を注ぎつつ日々取り扱う火への細心を保っている。
近年まで後背の山腹に祠(ほこら)を据えてまつっていたが参道が急峻(きゅうしゅん)で奉仕する代表者の高齢化もあり、今は同神社境内にある九龍島(くろしま)神社へうつして火伏せの加護を求める信仰をつなぐところとなっている。
今年は新型コロナウイルスの情勢で河内会による御舟謡(みふねうた)の奉納を休止としたが、神事は例年通り実施。19日夜半の宵宮祭を経て20日は同祠前で大前の儀をし、同区と勇進会、河内会、串本町消防団古座分団の各代表者と責任役員が石田宮司に続いて玉ぐしをささげるなどして礼を尽くした。
この例祭で奉納した「だんご」は神事後、愛宕権現の利益とともに火の取り扱いへの細心を振り返るきっかけとして参列者や集まった住民に授与した。南藤区長は「愛宕権現は火の神様なので区民には火災に十分気を付けてほしい。あと、早くコロナも終息してほしい」と願うところを語り、「今年は何としても河内祭(こうちまつり)をしたいし、コロナの行動制限がもっと緩まればできると思う。学校関係(=櫂伝馬(かいでんま)の奉仕)はさすがに抜きにしてもできる限り何とかしたい」と話した。
(2022年2月22日付紙面より)
天神社で春の例大祭 (那智勝浦町 )
学問の神様・菅原道真を主神として古くから厚い信仰を集める那智勝浦町天満の天神社(髙橋正樹宮司)の春の例大祭が19日宵宮、20日に本宮の日程で営まれた。今年は昨年と同様、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から神事のみの斎行となったが、天満交友会による獅子神楽の奉納があった。
順番に始まる那智谷筋の祭りの最後を飾る同例大祭。例年は古式弓法で大的を射抜いて鬼の邪気を払うお弓神事や祭典委員会(楠本實委員長)が先導する行列が区内を練り歩く。
最後は餅まきが盛大に実施され多くの住民でにぎわっているが、今年は関係者ら約30人が参列して静かに祭りが進められた。
髙橋宮司が祝詞を奏上し、関係者が玉串をささげた。続いて、天満交友会が2演目の獅子神楽を奉納した。
天満交友会の山東平(さんどう・たいら)会長は「例年なら1カ月は練習する。規模縮小のため、少人数で1週間のみ練習して今日に臨んだ。来年こそは例年通りの例大祭や各家庭を回る地下(じげ)回しができることを願っています」。
楠本委員長は「最近はコロナの流行が懸念されるため、宮司たちと協議して今回の形にして良かったと思う。3年も休むと伝統が廃れてしまう可能性もあるため、来年こそは斎行できるように祈願しました」と話した。
同社責任役員の越水政憲さんは「町の発展などを祈願する伝統的なお祭りを次につないでいきたい。そのためにもコロナの終息を祈っています」。
髙橋宮司は「無事にお祭りが斎行できて良かった。良い年であることを祈願しました。来年こそは弓行事をしっかりやりたいと思います」と語った。
(2022年2月22日付紙面より)
近畿大学と包括連携協定締結 (新宮市 )
新宮市はこのたび、人的・知的資源の交流と活用推進を目的に、学校法人近畿大学(大阪府東大阪市)と包括連携協定を結んだ。16日、新型コロナウイルス感染状況を鑑みオンラインを通して行われた締結式には同大学の世耕弘成理事長と田岡実千年市長が出席した。取り組みの第1段として、医師不足となっている市立医療センターに同大学病院からの産婦人科医師派遣を予定しているという。
同市は大学創設者・世耕弘一氏(1893~1965年、市名誉市民)の生誕地。同大学附属新宮高等学校・中学校や水産研究所新宮実験場が所在するなど、ゆかり深いつながりがある。そういった関係性から両者はこれまでも地域活動や人材育成など、産官学の連携によってさまざまな取り組みを行ってきた。
両者の連携をさらに拡大・深化させるこのたびの協定締結。今後、①医療・健康・福祉・スポーツ・育児②防災・減災③教育および人材育成④まちづくり⑤生涯学習⑥学術研究⑦国際交流⑧施設の利用―に関することや⑨その他前条の目的に沿い、両者が必要と認める事項を展開し地域振興に取り組んでいく。同大学はまずは先行して①~④の4分野において市の支援を行っていくという。
締結に当たり、田岡市長は「市が抱える地域課題についてあらゆる分野から解決に向けたご支援とご協力を頂けることを大変喜ばしく、また心強く感じている」と世耕理事長と同大学の尽力に感謝。「今後、さらに連携を深める中で地域の皆さまが安心安全で心豊かで元気に暮らせるまちづくりにまい進していく」と誓い、さらなる協力を求めた。
世耕理事長は、産婦人科医の退職に伴い、分娩(ぶんべん)継続が困難となっている市立医療センターの実情について述べ「市長や市議会、また地域住民らから分娩の再開・継続を望む悲痛な要望を受けて検討を重ね、協力を決断した。医師派遣により分娩再開が可能となり、当面安定的に継続もできると考えている。医療だけではなく、縁の深い新宮市ともっと関係を深めるべきだと思った」と締結に至った経緯を説明。
同大学病院では県と連携し地域医療枠を設けていることや、医学生に対し地域医療のやりがいや地域の魅力を伝える取り組みも実践していること、他分野における取り組みに対する展望などを語り「新宮市と近畿大学には大きなポテンシャルがあると思っている。これを機に関係性を深化させていきたい」とあいさつした。
同大学病院は非常勤医師を定期的に派遣する他、現在同大学病院に勤務している産婦人科医師1人が退職し、市立医療センターの常勤医として勤務する予定。
(2022年2月18日付紙面より)
3回目ワクチン接種で (那智勝浦町 )
新型コロナウイルスのワクチン集団接種が進む那智勝浦町の体育文化会館で16日、堀順一郎町長が3回目の接種を行ったた。ワクチンはモデルナ製で、種類問わず安心して接種が受けられることをPRした。
先月24日から65歳以上の一般高齢者の3回目接種が始まり、この日で9日目。町によると、接種率は14日現在、18・5%で接種は順調に進んでいるとし、目立った副反応などの報告もないとしている。また、町民からは少量だが、ファイザー製のワクチンを望む声もあったという。
昨年7月に1回目、8月に2回目の接種を行い、どちらもファイザー製のワクチンを接種している堀町長。
3回目接種を終えて「モデルナ製に不安のある方も多いので、皆さまに安心いただくためにも、今回モデルナ製での接種を行った。ファイザー製を2回接種後にモデルナ製を接種すると抗体が上がるとも聞いている。空きもあるため、接種できる方は申し込んで打っていただけたら」と述べた。
町では供給量の関係で日時によってワクチンの種類が異なるため、スマートフォンやパソコンなどでそれらが選択できるウェブ予約も勧めている。
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榎本直子福祉課長によると、前倒しの接種を行っていくことから、2回目接種が遅れた対象者などを除けば、全体的には4月半ばに3回目の接種を終えることになるという。
また、12歳以下の子どもの1回目接種については「現段階では検討中だが、3月下旬の接種を予定している」と話していた。
(2022年2月18日付紙面より)
熊野地方でも積雪
今シーズン最も強い寒気が流れ込んだ17日、全国各地で積雪があり、温暖で知られる熊野地方でも未明から雪が降った。
那智勝浦町の熊野那智大社では境内が白銀の世界に様変わりした。
紀宝町の山間部でも朝には雪が積もり、朝日を浴びる雪だるまもお目見えした。
和歌山地方気象台によると、17日朝の最低気温は古座川町西川で氷点下2・8度、串本町潮岬で0・7度、新宮市で1度などだった。
(2022年2月18日付紙面より)
農林水産省の「つなぐ棚田遺産」 (那智勝浦町 )
農林水産省はこのほど、優良な棚田を認定する「つなぐ棚田遺産~ふるさとの誇りを未来へ~」を実施し、全国から271地区の棚田が選ばれた。和歌山県内で8地区が選定され、那智勝浦町の「色川の棚田群」もその中に名を連ねた。
「つなぐ棚田遺産」は、棚田地域の振興に関する取り組みを積極的に評価するとともに、国民に棚田地域の活性化や棚田の多面的な機能への理解と協力を呼び掛けることが目的。過去には日本の棚田百選も実施された。
選定基準は▽積極的な維持・保前の取り組みがなされ、今後も継続される見込みがある▽原則として、勾配が20分の1以上の一団の棚田が1㌶以上ある▽棚田を含む地域の振興に係る取り組みに、多様な主体・多世代が参加している―ことが必須要件。さらに「農産物の供給の促進」「国土の保全、水源の涵養(かんよう)」「自然環境の保全」「良好な景観形成」「伝統文化の継承」「棚田を核とした地域の振興」のいずれかに関する取り組みが優れた棚田。
14日に開催した外部有識者から構成する「つなぐ棚田遺産選定委員会」において、選定された。
県内では「色川の棚田群」以外に、紀美野町中田の「中田の棚田」、橋本市柱本の「芋谷の棚田」、有田川町清水の「上湯・あらぎ島」、同町沼の「沼の棚田・段々畑」、同町久野原の「久野原の棚田」、同町沼谷の「沼谷『天空の棚田』」、同町杉野原の「杉野原の棚田」が選ばれた。
認定証授与式は各市町でオンラインにより開催される。また、東京都にある和歌山県のアンテナショップ「わかやま紀州館」では3月末まで「つなぐ棚田遺産」を紹介する特設コーナーが設置され、色川の棚田米など棚田地域の特産品を販売している。
なお、令和5年秋ごろには那智勝浦町で全国棚田(千枚田)サミットが開催される。
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■「色川の棚田群」
「色川の棚田群」は色川棚田地域振興協議会が保全を行っており、同地域では40年以上前から移住に力を注いでいる。多様な人材を受け入れ、地域が一体となって棚田の復田や維持管理に努めてきたという。
棚田地域振興法を活用して同協議会を組織し、色川地域内6カ所の棚田が連携・協力して、保全・活用に取り組んでいる。さらには若い人材が地域で活躍し、棚田オーナー制、農業体験などの都市農村交流、ウェブの活用や農泊なども実施している。
(2022年2月18日付紙面より)
広角でこんにゃく作り (新宮市 )
新宮市新宮(広角)で「蒟竹笑(こんちくしょう)」を営む田中倫通さん宅で昔ながらの製法にこだわったこんにゃく作りが行われている。手作りのこんにゃくは同所玄関横の無人市場に並んだ途端に売り切れるほどの盛況ぶりだ。
倫通さんが体調を壊し仕事を辞め、家の倉庫を改修し「蒟竹笑」を開設したのは約10年前のこと。無人市場で手作りのこんにゃくや山や畑で採れたタケノコや野菜、自家製の梅干しなどを販売しつつ、近隣住民の寄り合いの場としても同所を提供している。
こんにゃくは、こんにゃく作りで有名な熊野川町篠尾(ささび)地区から山一つ隔てた場所に位置する九重地区出身の妻・みちよさんの父・栗須武一さんから製法を受け継いだ。熊野川町の家庭ではかつて、正月に向けて年末にこんにゃくを製作。篠尾地区でも各家庭でイモを栽培しこんにゃくを生産していたが、過疎化・高齢化の影響で作る家庭は減少している。
「年末、妻の実家に行ったらこんにゃく作りを手伝わされた。(栗須さんから)わしら、もうようせんからお前らが覚えーよ、と言われた」と倫通さん。
取材に訪れた14日は午前9時ごろからこんにゃく作りを開始。コンニャクイモをゆでてミキサーで細かくし、あくを入れてこねて成型し釜で長時間ゆがく。3時間以上かけて40個が完成した。成型用の型も倫通さんの手作りだ。
倫通さんは「少しの水加減、あくの入れ方で出来上がりが変わってくる」と継承の難しさを話しながらも「手間暇かけた分おいしい」と笑顔を見せる。みちよさん手作りのゆずみそをたっぷりのせていただくと、大地の恵みが口いっぱいに広がる。
こんにゃくは基本的に注文販売だが、倫通さんの気まぐれで作った日は販売を知らせる旗とともに無人市場に並ぶとのこと。
(2022年2月16日付紙面より)
地域活性化起業人が活躍 (那智勝浦町 )
昨年4月から那智勝浦町へ赴任した「地域活性化起業人」の島田匡平さんが現在、町内の6小学校の体育指導や社会人向けのスポーツプログラムを通じ、町の健康づくりや健康課題改善に向けて奮闘している。
地域活性化起業人とは、三大都市圏にある民間企業の人材を地方公共団体が一定期間受け入れ、そのノウハウや知見を生かして業務に従事してもらうことで地域活性化を図る取り組み。総務省が推進し、県内の受け入れは那智勝浦町が初となる。
島田さんは、全国でフィットネススタジオや介護リハビリ施設などを展開する株式会社ルネサンスのトレーナー。本年度の上半期は未就学児とその親を対象とした「すくすくワークショップ」や保育所、中学校、下半期は小学校の放課後スポーツ教室や社会人向けの「ルネサンスプログラム教室」で活動している。高齢者向けのウオーキング教室にも協力し、全年齢の町民と関わりながら健康増進に努めている。
10日には町立太田小学校で月1回の全校体育があり、1~6年生20人を相手にバスケットボールを指導。児童は「片足立ちでバランスを取る」「両手を挙げて前にジャンプで進む」などのウオーミングアップの後、ボールさばきやシュートの練習で汗を流した。
大下泰河君(6年)は「シュートの練習が楽しくて、上達していると思う」。同校の体育主任の塚貴記教諭は「1年生でも参加できる難易度にしつつ、6年生も飽きさせない授業づくりは学ぶことが多い。10月の『速くなる走り方』では、実際に子どもたちの走るフォームが変わり、タイムも速くなった。運動会前などに実施すれば、子どもたちに目標ができ、さらに楽しめるのでは」と期待を寄せる。
島田さんは「小学生向けの教室はバランス感覚を伸ばすことを重視しつつ、スポーツを好きになってもらいたいという思いでやっている。社会人向けには、肩こり解消などの機能改善プログラムが人気です」と本年度の取り組み振り返る。今後について「スポーツに苦手意識を持っている層にもアプローチしていきたい。新型コロナウイルス感染拡大で難しいこともあるが、地域のサロンや運動教室にも、依頼があればぜひ協力したい」と意欲を見せていた。
(2022年2月16日付紙面より)
水門神社で例大祭「水門祭」 (串本町 )
串本町大島にある水門(みなと)神社で12日、例大祭「水門祭」があった。新型コロナウイルスの情勢により今年も大前の儀のみで奉仕。大島区の稲田賢区長ら神社関係要職16人が代表参列して主祭神・誉田別命(ほんだわけのみこと=応神天皇)への礼を尽くした。
この例大祭は近年、祭員確保の事情で2月11日に近い土曜日を本祭日として執り行っている。当日は大前の儀で始まりお的の儀や大座の儀、祭神の渡御、櫂伝馬競漕(かいでんまきょうそう)や還暦者などの餅まき、お山倒しやお鏡取り、獅子舞の奉納などさまざまな行事を営み、その見どころは東牟婁地方でも屈指の多彩さを誇る。
今年は「獅子舞だけでも」と青年団体の大同会が発起したものの、にわかな感染拡大の勢いにより断念を余儀なくされ、水門神社祭典保存会(木下正己会長)は昨年同様大前の儀のみとすることを決した。
この日の大前の儀は町長や航空自衛隊串本分屯基地司令など来賓を迎えず、区内の神社関係要職のみで奉仕。本殿を開扉して神饌(しんせん)をささげ、祝詞奏上に続いて一同で玉串をささげるなどして礼を尽くした。神事後は直会(なおらい)も営み、神酒と生米を口にして神徳にあやかった。
2年続きの神事のみという状況を受けて稲田区長は「若い人が獅子舞やお的で頑張ろうとしたのにオミクロン株で中止となってしまったことが残念だが、この状況もじきにワクチンや飲み薬が広まって落ち着くと思う。若い人には来年も頑張ってほしいし、(担い手の)高齢化で祭りを続けるのは大変だが自衛隊の協力もいただいて次こそ元の形でできれば」と先々に願うところを語った。
この日は先だって祈年祭の神事、例大祭後は初午(はつうま)の神事(厄払いなど)も執り行った。
(2022年2月16日付紙面より)