新宮高校創立120周年記念式典
今年創立120周年を迎えた新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で6日、記念式典が開催された。在校生541人、教職員、同窓生、歴代校長、来賓らが出席する中、輝かしい歴史と伝統を誇る同校のさらなる前進を祈念した。
地元の熱烈な要望を受け、同校の前身となる和歌山県立第二中学新宮分校の開校が決定した1900(明治33)年12月、新宮の人々は喜びに沸いた。翌年に県内4番目の中学校として創立し、2年後には独立して県立新宮中学校に。もう一つの前身である新宮高等女学校は1906(明治39)年に県内2番目の高等女学校として産声を上げた。
1948(昭和23)年の学制改革で新宮中学校、新宮高等女学校、新宮工業学校の3校が統合し、県立新宮高校として再スタート。明治、大正、昭和、平成、そして令和にわたる激動の時代を乗り越え、卒業生は3万6000人超。文学、医学、政治、スポーツなど各界に著名人を輩出してきた。
創立120周年に当たり同窓会、新中会、振学会、学校で「新宮高校創立120周年記念事業実行委員会」(委員長=西哉素史・同窓会長)を組織。同窓会室・郷土資料室改修や、生徒主体での生徒ホール(食堂)のリニューアルなどの学校環境整備に取り組んできた。
式典では新型コロナウイルス感染症対策を取り、1年生はオンラインで参加。開会に当たり東校長が「人口減少やグローバル化の進展、人工知能(AI)の急激な発展による新たな社会の到来の中、諸先輩方から連綿と受け継がれてきた有形無形の財産が在校生の皆さんを支えている。本校の教育方針の一つが『良き伝統の継承と新しい伝統の創造』。皆さんには、新たな歴史を自分らが創るという気概を持ってほしい」とあいさつ。
西委員長は「120年の間にはスペイン風邪の大流行や戦争、2度の大地震、そして大水害があった。諸先輩方がいかに苦労されてバトンをつないでくれたことかと、改めてお礼を申し上げたい」と感謝を伝えた。
和歌山県の宮﨑泉教育長が祝辞を述べた他、全国の同窓会からもたくさんの祝電が寄せられていた。
(2021年11月7日付紙面より)
細密鉛筆画家・篠田教夫展 (那智勝浦RC )
那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC、後誠介会長)は、今年3月に創立60周年を迎えたことを記念し、5日から那智勝浦町築地の「cafe雨間(あまあい)」で「細密鉛筆画家 篠田教夫展―神仏宿る細密画の世界 那智瀧図にはじまる―」を開催している。繊細な無数の線が折り重なり紡がれた作品の数々は、写真では表現できない芸術として来場者の目を楽しませている。入場無料。午前11時30分~午後5時。10日(水)休館。16日(火)まで。
熊野文化の発信を目的に開かれた同展は「紀の国わかやま文化祭2021(第36回国民文化祭・わかやま2021、第21回全国障害者芸術・文化祭わかやま大会)」応援事業でもある。
篠田さんは神奈川県出身。鉛筆による細密描写、迫真表現で自然の造形の社寺などをテーマに作品を発表している。「高野山・熊野を愛する百人の会」メンバー。
篠田さんと那智勝浦RCは17年、熊野那智大社(男成洋三宮司)の創建1700年を記念して、「那智瀧図」のアーカイバル(R)(デジタル)版画を奉納している。
有名な「那智瀧図」をはじめ、熊野速玉大社や東大寺などを描いた26点の作品が並ぶ。来場者にはポストカードのプレゼントもある。
勝浦RCのメンバーは「これまでは大門坂の石碑設置や御朱印帳などもさせていただきました。今後も地域の流れを見ながら、観光振興に貢献できるように、熊野をテーマにした催しなどを節々でやっていきたい」。
後会長は「写真では写すことができない世界がある。岩や木、建物などの素材がはっきりと分かる。サザエの殻の表面などの作品も意外性があって面白いです。直接見て、感じ取っていただければ」と語った。
期間中の11日(木)午後2時からは、篠田さんによるギャラリートークも実施される。事前申込制で、定員(20人)に達し次第締め切る(空きがある場合は当日受け付ける)。また、作品を購入したい場合の相談も受け付けている。
申し込みは那智勝浦RC(電話0735・52・1085、火~金曜日の午前9時30分~午後2時)まで。
(2021年11月7日付紙面より)
「ふるさと新聞アワード」 (文化通信社 )
メディア業界の専門紙「文化通信」を発行する株式会社文化通信社(山口健・代表取締役社長)=東京都文京区=が実施する「ふるさと新聞アワード」で、本紙の記事2本が最優秀賞に、1本が優秀賞に選ばれた。
地域紙の優秀な記事を表彰する同アワードは、コロナ禍の中においても地元の社会、経済、文化の発展、活字文化を守るために日々の新聞発行を続けている地域紙を応援することを目的に今年創設された。参加メディアを地域紙に限定し、第三者である外部審査員が記事を選ぶ表彰制度はこれまでにない試み。
全国の市町村単位を発行エリアとする地域紙から記事のエントリーを募り、地域にゆかりのある著名人が外部審査員を務め受賞作品を決定。第1回となる今回は全国20紙から約200本の記事が集まった。グランプリには、苫小牧民報の「アイヌの丸木舟 55年ぶり発見 弁天の海岸に2隻」が選ばれ、本紙からは「記憶から記録へ 住民らが天満の地図作り」(担当=前地翔)が「もの」部門で最優秀賞、「特別カバー号『ガンバレ、ニッポン。負けるな、熊野』など」(担当=西久保勢津子)が「こと」部門で最優秀賞、「川舟製作技術を後世に 協力隊の北原さんが記録に残す」(担当=大峪克斗)が「ひと」部門で優秀賞に選ばれた。
受賞を受け、熊野新聞社の寺本一生代表取締役社長は「栄誉ある賞をいくつも頂き大変うれしく思います。日々の新聞作りの励みになります。取材させていただいた方々にこの場を借りてお礼申し上げます。これからも実のある記事を読者の皆さまにお届けできるよう、社員一同より一層の精進を重ねていく所存であります」とコメントしている。
表彰式は今月26日(金)、東京都千代田区のプレスセンターホールで行われる。
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■グランプリ
▽苫小牧民報「アイヌの丸木舟 55年ぶり発見 弁天の海岸に2隻」
■「もの」部門
【最優秀賞】
▽熊野新聞「記憶から記録へ 住民らが天満の地図作り」
【優秀賞】
▽胆江日日新聞「避難時便利なタンス 江刺の工房が発案」
▽夕刊三重「ホームベースを手作り 全国出場の野球部を応援」
▽南信州新聞「伝統の柚餅子継承へ」
■「こと」部門
【最優秀賞】
▽熊野新聞「特別カバー号『ガンバレ、ニッポン。負けるな、熊野』など」
【優秀賞】
▽あやべ市民新聞「地域連携で被災地支援を 地域紙のあるまちネットワーク」
▽丹波新聞「手作りプールで県優勝 近所の企業に製造依頼」
▽島根日日新聞「連載企画『出雲の祭り』」
■「ひと」部門
【最優秀賞】
▽夕刊いわき民報「シリーズ震災10年―未来へのメッセージ」
【優秀賞】
▽丹波新聞「ノエルさん医師国試合格 南ア出身 丹波医療センター診療助手」
▽熊野新聞「川舟製作技術を後世に 協力隊の北原さんが記録に残す」
▽須坂新聞「ふるさとの被災と向き合い続けた1年」
(2021年11月7日付紙面より)
「丹鶴ホール」青色にライトアップ (新宮LC )
11月14日の「世界糖尿病デー」を前に、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」が5日夜、青色にライトアップされた=写真。新宮ライオンズクラブ(新宮LC、金嶋正人会長)が糖尿病について認識を高めようと実施。糖尿病抑制に向け機運を高めた。
「世界糖尿病デー」は、1921年に糖尿病治療に必要なインスリンを発見したフレデリック・バンティング博士(カナダ、1891~1941年)の誕生日にちなんで制定。今年はインスリン発見から100年の年に当たる。2006年12月20日、国連総会において糖尿病の脅威に関する決議が採択され、世界糖尿病デーは公式な国連デーとなった。
キャンペーンには国連や空を表す「ブルー」と団結を表す「輪」がデザインされた「ブルーサークル」が用いられており、このたびのライトアップはそれにちなむもの。世界糖尿病デーキャンペーン期間中は、「糖尿病との闘いのため団結せよ」とのキャッチフレーズとともに、世界中で糖尿病抑制や運動の周知に向けたさまざまな取り組みが展開されている。
世界糖尿病デー実行委員会によると、世界で6秒に1人の命を奪う糖尿病。19年には世界の成人(20~79歳)糖尿病人口は4億6300万人を数え、45年には約7億人に増加すると予測されている。うち50・1%は診断されていない状況で、診断の遅れは合併症発症リスクを高める危険性がある。
世界の20歳以下の1型糖尿病患者数は110万人で、世界の糖尿病人口の4分の3(3億5200万人)は20~64歳の就労世代が占める。65歳以上の高齢世代では、5人に1人が糖尿病に罹患(りかん)しているという。
また、世界の糖尿病治療と合併症管理にかかる医療費は世界の総医療費の10%を占める約83兆円(19年)で、世界経済を圧迫する要因になるとされている。
同施設におけるライトアップは14日(日)までで、午後6時から9時(最終日は8時)の間に点灯される。ライトアップ開始に当たり、伊藤算志奉仕委員長は「これを機に、周りの人たちに生活習慣の見直しなどを啓発していただけたら」と会員らに呼び掛けた。
(2021年11月7日付紙面より)
グラウンドゴルフ「秋季大会」 (ニュータウン友愛クラブ )
第15回新翔高校体育祭 (新宮市 )
雲一つ無い爽やかな秋晴れが広がった2日、新宮市の県立新翔高校(藤田勝範校長、生徒312人)で第15回体育祭(硲一静実行委員長)が開催された。今年のテーマは「とびだせ!新翔の森」。生徒たちは各種目で学年を超えて声援を送り合い、生き生きと青春の一ページを楽しんだ。
新型コロナウイルス感染拡大による夏休みの延長や分散登校の影響を受け、例年よりも1カ月遅れての開催となった。
開会式に当たり、硲実行委員長は「練習時間は限られていたが、今までの成果を発揮し、ルールを守れば、とてもいい体育祭になると思う。全力で楽しんでいきましょう」とあいさつ。藤田校長は「久しぶりの全校行事。新型コロナ対策、水分補給、けがに気を付け、頑張って」と激励した。
聖火入場に続き、青、赤、黄、緑の4ブロックを代表して大野百虹(もこ)さん、大石翔稀君、中本嵐君、坂本拓斗君が「僕たち私たち選手一同は、体育祭という日のため、一生懸命努力し、頑張ってきました。諦めず、助け合い、体育祭を開催してくれたことに感謝し、最後までやり遂げることを誓います」と宣誓した。
競技はクラス対抗リレー予選でスタートし、教師陣も加わって白熱したレースを繰り広げた。大縄跳びや応援コンクール、楽しすぎるリレー、フォークダンスなどもあり、学校全体で盛り上がりを見せていた。
(2021年11月3日付紙面より)
羽黒と熊野の共通点とは (東大人文・熊野フォーラム )
東京大学大学院人文社会系研究科は10月30日、オンラインで東大人文・熊野フォーラムin羽黒「羽黒と熊野 聖地比較のこころみ」を開催した。同大学大学院人文社会系研究科長の秋山聰さんや金沢美術工芸大学・東京家政学院大学客員教授の松﨑照明さん、国際熊野学会代表委員の山本殖生さん、東北大学名誉教授の佐藤弘夫さんがそれぞれ講演。さまざまな視点を通して、羽黒と熊野の比較を試みた。
新宮市教育委員会、出羽三山神社共催。新宮市は今年3月、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部と連携協定を締結。東京大学と共に人文学を応用しての地域振興や交流促進、地域連携活動などを図っており、同フォーラムはその一環として開催。フォーラムの様子は山形県鶴岡市羽黒町のいでは文化記念館から配信された。
秋山さんは、自身と熊野地方との出会いや関わりなどを説明。秋山さんおよび同科がこれまで熊野地方で展開してきたフォーラムやシンポジウムなどを振り返り、同フォーラムの趣旨について「熊野に限定せず、いろいろな地域でやってみようという試み」と話した。
松﨑さんは「熊野・大峰と羽黒の建築」と題して講話。能・狂言に登場する山伏から出羽と熊野・大峰の関わりを話し、羽黒山境内と大峰山寺境内の類似性について言及。「共通性が高く、大峰山で修験していた人たちの影響があったのでは」と述べた。
出羽三山神社の特殊神事「松例祭」における「国分神事」は「東三十三カ国を羽黒権現の土地に、西二十四カ国を熊野権現領に、九州九カ国は英彦山権現領」とする内容であると紹介。吹越籠堂(羽黒山中)と新宮礼殿の類似点や、神仏混淆(こんこう)の時代には虚空蔵山、熊野長峰を含めた三山を熊野三所権現とした修験道場であった金峯山と羽黒山の関係についても話した。
山本さんは「聖地熊野三山の成立と伝播―出羽三山との比較を視野に―」を演題に講話した。熊野の祭神と三山の成立について話し「牟須美(結)・速玉神は新宮で勢力を誇った豪族夫婦の祖霊神では」と述べ、熊野速玉大社の「家津御子大神坐像」は「熊野速玉大神坐像」「夫須美大神坐像」に比べて制作時期も新しく、「一遍聖絵」(1299年)では牟須美(結)・速玉神が回廊に囲まれて特別扱いされているとし「本宮が新宮の豪族の影響を受け、夫婦神を祭らざるを得なかったのでは」と持論を語った。
出羽三山と熊野三山の類似点について「どちらも他界信仰の聖地であり温泉信仰の霊場であり、出羽三山は火山性、熊野三山は熊野カルデラに基づく自然崇拝の聖地」。
羽黒山を開山した能除上人を八尺の霊烏が導いたといった故事と熊野の八咫烏(やたがらす)についても言及。「聖地成立の要因の究明や霊場形成の展開の解明、信仰伝播の実相探求は課題。これからも山岳霊場の調査を通して交流を推進していければ」と締めくくった。
佐藤さんは「熊野信仰と羽黒山―聖地誕生のメカニズム―」と題し、「中世では、この世にいるのは不幸な死者であると考えられ、別世界のイメージは膨脹した。人々を浄土に導く垂迹(すいじゃく=他界の仏の化現)や、垂迹の所在地としての霊場などを求めた」と解説。垂迹のいる場所(霊場)は山などの景勝地に造られたなどと話した。
講演後には、出羽三山神社の阿部良一権宮司、東京大学大学院人文社会系研究科教授の唐沢かおりさんも加わり、総合討議が行われた。
(2021年11月3日付紙面より)
「丹鶴ホール」で手話狂言 (新宮市・北山村手話狂言実行委 )
新宮市・北山村手話狂言実行委員会(森常夫会長)は10月31日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「聞こえる人も聞こえない人も一緒に楽しめる手話狂言」を開催した。来場者らは狂言やワークショップを通し、手話や演劇について理解を深めた。
30日に開幕した「紀の国わかやま文化祭2021」障害者交流事業の一つ。日本の伝統芸能である狂言を手話と音声双方で表現し、聞こえる人も聞こえない人も共に楽しむことができる演劇を通じ、手話や演劇について理解を深め普及を図ることを目的としている。
開催に当たり、森会長は「障害者差別解消法が施行されたが、当地域の手話通訳者は不足していることは緊急の課題となっている。手話言語条例も圏域市町村で次々と制定されている。地域の中で手話が広がりを見せている今、手話狂言は時期を得たと思い計画した。障害のある人もない人も共に楽しんでほしい」とあいさつ。
田岡実千年新宮市長は「障害への理解を深めるとともに、障害あるなしに関わらず地域の方の文化活動が一層広がり、活躍の場が増えることを期待している」。山口賢二北山村長は「北山村においても9月本議会で手話言語条例を制定した。今日はこの貴重な機会にぜひお楽しみいただきたい」とそれぞれあいさつした。
演目は日本ろう者劇団による「附子(ぶす)」。和泉流狂言師三宅右近師が指導した。同劇団は1980年に「東京ろう演劇サークル」として発足。社会福祉法人トット基金理事長の黒柳徹子さんと出会い、同基金の付帯劇団となり劇団名を改称。手話狂言や創作劇など独自のレパートリーを持って全国各地で公演している。
「附子」は、主人が太郎冠者と次郎冠者に、おけに入った附子(毒薬の名)に気を付けるよう言い聞かして外出するが、怖い物見たさに附子に近づいた2人はおけの中身が砂糖であることに気付き、食べてしまったことに対する主人への言い訳を考えるといった内容。
太郎冠者と次郎冠者のしぐさや対話、息の合った演技に、客席からは拍手と笑いが巻き起こった。
演目後には狂言方和泉流の三宅近成さんと、和歌山県出身で太郎冠者を演じた數見陽子(かずみ・あきこ)さんによるワークショップもあった。
三宅さんは、会話としての手話と手話狂言で用いる手話との違いなどについて解説し「254ある狂言のうち70番が手話狂言として制作されている。両手に物を持つものや謡(うた)が主なものもあることから、手話狂言に作られていない演目もあるがどうにかしてレパートリーを増やしている」と説明。
来場者らは三宅さんと數見さんから狂言の「カマエ」や手話狂言による「名乗り」などを学び、伝統文化と手話に親しむ機会とした。
(2021年11月3日付紙面より)
メランカオリさんが展示 (紀の国トレイナート )
JRきのくに線の各所を舞台にJR西日本や地域の有志、アーティストが共に立ち上げたアートプロジェクト「紀の国トレイナート」が10月31日から11月21日(日)まで開催されている。これまで本紙エリア内の作品と作成したアーティストを紹介してきた。今回はJR那智駅の駅舎内に力作「紀伊半島を巡る掃除道具とコンフェッティ・タロット」を展示しているメランカオリさんを取材した。
学生時代から、熊野地方に興味があり度々、足を運んでいたというメランカオリさん。東京芸術大学大学院先端芸術表現専攻修了後、古文講師や地球儀加工員を務める傍ら、「土星プロレス」と称した独自の占いによる作品を展開している。
2017年に初めてトレイナートに参加。ラストランを迎える今回は、学生当時から制作し続けている掃除道具に焦点を絞る。作品は熊野古道で拾った枝と竹ぼうき、那智の浜に打ち捨てられた端切れと雑巾などの素材を用いて作成。
床掃除で使用する水切り用具の先端部分を加工した那智黒石で演出し、クジラのヒゲを使ったブラシなどさまざまな道具が集まり、一つの作品を形成している。
メランカオリさんは「人や物の交流が長年続くトレイナートはすごい。節目の年に参加できて良かった。作品は最初から掃除道具の形にすると決めていた。地域にあった物や土産物などが掃除道具に生まれ変わった様や、近寄って直視した際に類似性の発見、胸を打つ瞬間を感じ取っていただけたらうれしいです」と語った。
なお、臨時アート列車「紀の国トレイナート号」走行日は11月6日(土)。御坊―新宮間を巡る。期間中は各地で関連イベントや沿線のまちへのローカルダイブも行われる。問い合わせは同実行委員会事務局(電話080・5786・2652、0739・22・5064)まで。
(2021年11月3日付紙面より)