1万3300体並ぶ (那智勝浦町 )
落差133㍍の那智の滝にちなみ1万3300体のひな人形を飾る「南紀勝浦ひなめぐり」が25日、那智勝浦町の体育文化会館で始まった。客席を利用した幅35㍍、15段のひな壇に人形が華やかに飾られている。午前9時から午後5時まで見学できる。3月5日(日)まで。
2011年の紀伊半島大水害による被害からの復興を願い、NPO法人ACT勝動(加藤康高理事長)のメンバーを中心につくる実行委員会(瀧川久哉委員長)が始めたイベント。初日は開会神事があり、串本町田原の子安の宮・木葉神社の井谷正守宮司が祝詞をささげ、勝浦認定こども園の園児たちが鼓笛演奏を披露し、「うれしいひなまつり」を歌って開幕を祝った。
人形は名前に縁があり、ともにひな祭りのイベントを開いている千葉県勝浦市と徳島県勝浦町からも譲り受けた。和歌山市の淡島神社からの譲渡や借り受けで享保雛(きょうほびな)や御殿雛(ごてんびな)など江戸時代の人形も見られる。
太地町出身でニューヨーク在住の書画家、田中太山さんも会場に駆け付けた。26日は午後1時から作品を描く。最終日の5日は午前11時から地元のダンスグループによる踊りなどがある。
瀧川委員長は「飾り付けには南紀くろしお商工会女性部の大林幸子部長の呼び掛けで団体の枠を越えて女性たちがエプロン姿で協力していただきました。例年より早く準備ができました」と感謝。「並べ方を変えるなど工夫も凝らしました。ぜひ大勢の方に見学してほしい」と呼び掛けていた。
(2017年2月26日付紙面より)
佐藤健作さんが奉納演奏 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で22日、大太鼓の奉納演奏が行われた。演奏者の佐藤健作さんは個人所有では世界最大級の大太鼓「不二(ふじ)」を打ち鳴らし、那智山に迫力の太鼓の音を響かせた。
佐藤さんは圧倒的な打法と精神性あふれる演奏で「和太鼓に選ばれた男」と称されている。この日演奏したのは、飛躍を意味する「とぶお」、勾玉(まがたま)がぶつかり合うような繊細でかすかな響きを奏でる「たまゆら」、根源的な力が湧き上がるような「ちはやぶる」。佐藤さんは「10歳の時、和太鼓と出会いもう37年。太鼓は全てが自然で出来ているので聖地の山の中では響きも違う。すがすがしい気持ちになります」と笑顔で話した。
男成宮司は「魂を揺さぶられるような音。風の強弱が感じられ、神様が感応されているようだ」と話した。
(2017年2月26日付紙面より)
企業などでさまざまな取り組み
個人が幸せや楽しさを感じられる体験やそのための時間を創出することで個人消費を喚起しようと「プレミアムフライデー」が24日から始まった。毎月月末の金曜日を軸に実施していく。
月末の金曜は早めに仕事を終えて豊かで幸せに過ごすという内容で、終業時間の繰り上げやフレックスタイム制の導入などを実施、検討している企業もある。
取り組みを通し▽充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会になる▽地域等のコミュニティー機能強化や一体感の醸成につながる▽デフレ的傾向を変えていくきっかけとなる―などの効果につなげる狙いで、官民が連携し、全国的・継続的に実施していく。取り組みの推進にあたり働き方改革などライフスタイルの変革も進めていきたいとしている。
宿泊施設や飲食店などサービス業ではプレミアムフライデーに合わせた企画やプランを用意しているところも。市内の大型スーパーなどでも取り組みがあった。
イオンではプレミアムフライデーに合わせ、毎月最後の金曜日に「ビッグフライデー」を開催し、夕方限定セールなどを行う。同市橋本のイオン新宮店ではイオンカード会員への特別優待会、1階化粧品売場前では従業員による体験型の講習会などの催しがあった。
同店は今後も毎月月末の金曜はビッグフライデーとして体験型の企画などを計画していく予定にしている。
(2017年2月26日付紙面より)
太地漁協といさな組合が育英会に寄付
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)と太地いさな組合(小畑充規組合長)は13日、太地町(三軒一高町長)の育英会奨学金に100万円ずつ、計200万円を寄付した。
同町育英会は町と那智黒の育英会が合併した組織。現在の形になって10年になる。高校、専門学校、短期大学、4年制大学への進学希望者を対象に利息無しの貸し付け型で奨学金を出している。4年制大学進学者からの申し込みが多く、現在15人に年間合計550万円貸し付けている。今年は13日現在で4人の申し込みがあった。
太地漁協は平成19年に約86億円もの負債を抱えていたが、町の協力と組合役員の尽力で立ち直らせた経緯を持つ。漁協では、1月の役員会で育英会の奨学金制度を知り、町との連携と恩返しから寄付を決定した。これまでには、東北大震災で200万円相当支援し、飛鳥神社の社務所再建に1000万円寄付した。これらの他、スポーツ関係でも支援を行っている。育英会には、可能であれば今後も寄付を継続したいとしている。
贈呈式には太地漁協の脊古組合長と貝良文参事、太地いさな組合の小畑組合長が出席した。
脊古組合長は「こうした形で協力できることを、とても誇りに思っている。今後も町と組合で連携プレーを取り、さらに協力していきたい」と町の発展に寄与する意を示した。
三軒町長は「漁協の再建は町に大きなインパクトを与えた。命懸けで漁に従事する人が子どもたちのために寄付していただいたことは、本当にありがたい」。
宇佐川彰男教育長は「しっかりとした管理の下、有効に使わせていただきます」と感謝を述べた。
(2017年2月15日付紙面より)
北山村不動明王で例祭
北山村大沼で11日、不動明王例祭が営まれた。山口賢二村長、筏師、中弘也大沼区長をはじめ約50人が参列し、修験者の資格も持つ岡田基(もとい)さんが神職を務めた。この例祭には、釜で沸騰させた湯にもち米を入れて釜が音を立てるか否かで今年の吉凶を占うという神事が含まれている。
岡田さんがサカキ、塩とほら貝の音で場を清めて読経し釜にもち米を入れると、釜はうなるような大きな音を奏で今年は「吉」という結果が出た。参列者も次々にもち米を釜に入れ玉串を奉てんした。
護摩たき、どんど焼き、餅まきも行い区民の無病息災を祈った。その後、公民館に移動し酒宴が開かれ、例祭は無事終了した。
参列した筏師の所和宏さん(31)はこの例祭が「筏の安全運航を願う機会でもあり、区内の祭りなので区民の家内安全を祈る機会になっている」と話した。村議の前岡武津雄さん(68)によれば、元来ここにお祭りされていたのは川の神様でこの祭りは筏師の安全を祈願するものだったという。前岡さんは「子どもの頃は筏で川を渡ってここに来て夜店を楽しんだ。今は5月から始まる観光筏の観光客の皆さんに楽しんでもらえるよう安全を祈っている」と話した。
(2017年2月15日付紙面より)
JICA研修で樫野を視察 (串本町 )
トルコ共和国の副知事や郡長11人が13日、串本町の田嶋勝正町長を表敬した。JICA北海道が実施する研修プログラムの一環でトルコ軍艦エルトゥールル号(エ号)遭難の地を訪ねるのが来町の目的で、一行を代表してキャーズム・テキン郡長は「串本はメルシンやサムスン(ヤカケント町を含む県)と友好を結んでいると聞く。今後、11のまちが友好関係に加わると思う」と述べて田嶋町長との親交を深めた。
一行は国土交通省北海道開発局と公益財団法人はまなす財団が協力する同プログラム「地域開発に係る地方行政官の能力開発プロジェクト」に参加。地域間格差是正に有益な知見を得る狙いで日本の地域開発の考え方や事例に触れ、自国に当てはめてアクションプランを取りまとめることを目指している。
人員の内訳は副知事2人、郡長は和歌山県の振興局長に相当する役職で9人。研修の場は主に道内とされ、道外では唯一串本町の視察がプログラムに組み込まれ、実践のため12日に串本町入りした状況だ。
一行の表敬を受けて田嶋町長は「遭難したエ号の乗組員を当時の島民が救援したことが最初の友好であり礎だといわれていることがうれしく、心から誇りに思う。町長として毎月16日に慰霊碑へ献花をしているが、(亡くなられた)587人は今も守り続けているので安心してほしい」などと述べて来町を歓迎。
テキン郡長は「長年の友好や信頼に基づき、近年は両国政府の政治的つながりや経済的協力関係が増し心強く思う。アジアの大国日本と中近東の重要国トルコが手をつなぐことは非常に大きな力になると思っている。このプログラムを手配してくれたトルコ内務省やJICAに感謝して、串本に敬意を表したい」と謝辞を寄せた。
同町がトルコ人女性を職員として起用していることへの感謝やトルコ人観光客の来町状況などざっくばらんに懇談が進む中、特に同町の防災施策が大きな話題になり同町の取り組みの状況とその意図に関係する田嶋町長の説明に真摯(しんし)に耳を傾けた。併せて双方、訪問の記念となる品を交換し合って歩み寄りを深めた。
一行は表敬後に樫野を訪ねてトルコ記念館や殉難将士慰霊碑、遭難現場の岩礁(通称・船甲羅)などを視察。同日中に北海道へ向けて離町した。
(2017年2月15日付紙面より)
新宮市が土地売却を検討
新宮市の田岡実千年市長は13日、新宮市井の沢のセンタービルであった市議会総務建設委員会で、新宮港第2期工業用地で木質バイオマス発電事業が始まる可能性があると報告した。現在4社から申し入れがあるという。土地の面積などから4社全ての受け入れは不可能で、今後、各社から具体的な計画を示してもらい検討していく。
田岡市長は、事業が始まる際には地域住民の理解を得、環境への影響を調査するなど慎重に進めていくと述べた。久保智敬委員は、バイオマス発電は「今後も伸びていくのか」と質問。田岡市長は「まだまだ増えてくる発電と思っている」と回答した。
大石元則委員の「地域住民との話し合いはいつか」との問いに向井雅男・企画政策部長は「土地の売却の前に説明会が必要と思います」と回答した。山本茂博・企業立地推進課長は「雇用、地元林業の振興など当地にとっては有意義な事業になると思っています。排水などの環境については勉強していきたい」と述べた。
北村奈七海委員は、熊野川町内で地域おこし協力隊員が取り組んでいるゲストハウスの状況を聞いた。丸石輝三・熊野川行政局住民生活課長は、施設は9割完成していて、来月には営業を始める予定と説明。「来年度は隊員を募集するのか」との問いに伊藤順司・熊野川行政局長は「各課と協議し、できれば人数を増やしたい」と述べた。
屋敷満雄委員は、隊員が関わった旧九重小学校での活動を支援し、有名ブランドだった「九重茶」を復活できないかと質問。向井部長は「(九重小の活動は)地域になくてはならない存在になっており、できるだけ支援していきたい」と述べた。
当局は、新しい総合計画策定に向け、市民3000人を対象にアンケートを実施し、901人から回答があったと報告した。現在、集計、分析を行っていて、市内3高校の2年生対象にもアンケートを実施している。
庁内では若手、中堅職員によるワーキング活動などを実施していて、外部有識者も含めた市民代表による「新宮市総合計画審議会」の人選を進め、本年度内に設置する。
北村委員は、審議会委員の人選について「年齢などに偏りがないように」と指摘。新谷嘉敏・企画調整課長は「極力考慮して人選にあたっている」と回答。大西強委員の「策定にはなるべく予算をかけず、若手の勉強の一環として作って」との要望に新谷課長は「コンサルを入れず、手作りで議論している」と述べた。
当局は新庁舎の落成式を3月19日(日)午前10時から挙行すると報告した。同日午前11時から午後3時まで内覧会を実施する。
(2017年2月15日付紙面より)
寒風の中でJA杯少年サッカー大会
新宮市神倉神社
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。今年は1957人(主催者発表)の上がり子(祈願者)たちが、神倉山に集まり、山頂付近にあるご神体「ゴトビキ岩」の下でご神火を授かり、下山した。
1400年以上前から続くと伝わる全国でも珍しい女人禁制の火祭り。今年は昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されてから初めての祭りだった。白装束に荒縄を胴に巻き、草鞋(わらじ)を履いた男たちが、ご神火の付いた燃えさかるたいまつを手に神倉山を駆け下り、太鼓橋付近で大勢の観客が迎えた。
初めて祭りに参加した九州大学2年の池山草馬さん(22)は「すごく寒かったですが、たいまつに火が付いた瞬間、空気が揺らぐのが見えました。心も体も熱くなり、自然と声が出てしまいました」と話していた。
(2017年2月8日付紙面より)
JAみくまのと協定書締結 (那智勝浦町 )
JAみくまの(村上幸弘代表理事組合長)と那智勝浦町(寺本眞一町長)は6日、「移動スーパー・とくし丸」を用いた高齢者等地域見守り活動に関する協定書を締結した。同町と太地町を範囲に、21日(火)から事業をスタートさせる。
社会問題となっている「買い物難民(買い物弱者)」に関してJAみくまの管内でも確認されており、見守りが必要な65歳以上の人口が約38%強に上っているという。
これらの問題を受けてJAみくまのは誕生15周年を機に移動スーパー事業を計画した。志の熱いことを意味する「篤志」から名付けた軽トラック「とくし丸」で買い物難民対策を施すと同時に、販売パートナーを「見守り隊」として機能させる狙いがある。住民に異変が見られた場合は、地域包括支援センターに連絡し、職員が訪問する。
移動スーパーは、Aコープで売られている総菜や生鮮品、日用品など約300品目1400点を取り扱う。訪問は1週間に2回で、注文にも対応。販売担当者と直接顔を合わせ、会話することで買い物を楽しめる。
現在はトラック1台で那智勝浦町の下里、太田と太地町の平見の個人宅約120軒を巡回する予定だが、要望があれば台数増加や対象地区拡大を検討するという。
寺本町長は「われわれの町でも年数件、孤独死が起きており、対策を福祉課と考えている。このような状況でこういった協定が結ばれ、連絡が頂けるのはとてもありがたく、心強い。町としても、お互いの組織の連携がスムーズかつ効率的になるよう頑張っていきたい」と述べた。
村上代表理事組合長は「移動販売車によって地域の人と接する機会が増えると思う。孤独死や体調不良で動けない人が見つかる確率も上がる。行政と手を結び、見守り活動を進めていきたい」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)
湯の花霊場の地蔵尊例祭 (古座川町 )
古座川町添野川、湯の花温泉そばにある地蔵尊の例祭が5日日中にかけて営まれ、正午の法要には区内外から約30人が参列して信心を注いだ。
この地蔵尊は七川ダム建設に伴い水没を免れるため、現在の湯の花温泉そばに引き上げられた。参道下から順に▽弁財天▽薬師如来▽徳本上人供養塔▽如意輪観世音菩薩(ぼさつ)―と安置され、中でも薬師如来は明治の中ごろに耳をわずらった子どもの平癒を願掛けしたところすぐにかなったという縁起があり、以来「耳の地蔵さん」として区内はもとより区外からも根強い信心を集めているという。
現在は添野川集落にある善光寺の境外地蔵とされ、近隣住民が雨天日などを除くほぼ毎日通い、参道を清掃するなどして護持している。例祭は旧歴1月17日とされるが、昨今は区外の参拝利便も考えて最寄りの日曜日に日取りを定めてほこらを開扉している。
今年はまれな雨天下で例祭を迎え、世話役筆頭の山本照一さん(82)はパラソルで雨をしのぎながらあらかじめ準備しておいた耳の地蔵さんの供え物「セミの抜け殻」「穴の開いた木片」(抜けの良さにあやかった慣習の品)を配り、南真次区長(63)もほこらへ誘うなどして参拝者を歓迎。正午には善光寺を兼務する小川宝音寺の伊藤収工住職が弁財天から順に法要を営み、般若心経を唱える中で参拝者一同、順次焼香して信心を注いだ。
区民が耳の地蔵さんにささげた餅や菓子は例年、法要後にお下がりとしてまかれるが、今年は雨天のため袋に小分けして配った。山本さんは「雨が降るのは本当に珍しくて、今日は朝から『お祭りはやるのか』と問い合わせがあって大忙しだった。足元が悪いのに大勢の皆さんに来ていただけてうれしいし、それぐらい親しまれている耳の地蔵さんなので、今後もこのお祭りを続けていこうと思う」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)