熊野川濁水治水対策特別委 (新宮市 )
新宮市議会の熊野川濁水・治水関連対策特別委員会(前田賢一委員長、8人)は16日、表面取水設備を改造中の風屋ダム(奈良県十津川村)を視察した。委員たちは電源開発職員から工事内容などについて説明を受け、濁水が悪化している理由などについて質問した。
電発は濁水軽減を図るため取水設備を改造している。工事は11月から6月までの期間で、来年6月に完了する予定。工事中は発電を停止し、ダム内の水を最大限抜いていることなどから濁度が高くなっているとし、流域住民に理解を求めている。
視察に参加した亀井寿一郎副市長は、工事期間中に少しでも濁度を抑えるため、北山川の流量を増やすことはできないのかとの質問。電発は池原ダムも渇水状態で難しいと述べた。
久保智敬委員は、ダムの水位が下がっている工事期間中のダム湖内の堆積土砂の除去を要望。電発は「意見を参考にさせてもらいたい」と述べた。
視察前に開かれた委員会で前田委員長は、「川の参詣道」として世界遺産に登録されている熊野川を見にくる観光客は清流を期待しているが、イメージとはほど遠い状況を見て落胆して帰っていると指摘。河口から上流5㌔までとなっている国直轄区間を北山川との合流点の宮井地区までの20㌔までに延長することなどを関係機関に強く要望していると説明した。
前田委員長は、要望を受け二階俊博・自民党幹事長は「この要望は、故郷のため、みんなのためのものであり堂々たるもの。活動が実りあるものとなるよう今後も最大限支援する」。鶴保庸介・内閣府特命担当大臣は「国の直轄化は地方分権の流れに逆行するという批判もあるが、道路特定財源のように河川特定財源(仮称)といった制度創設による根本的な解決策も検討しているので、今後に期待されたい」と応じたと報告した。
久保委員は「最近、雨が降っていないのに熊野川が濁っていると相筋の人に言われた。水が多くても少なくても濁っている。50年取り組んで濁水問題は何ら解決できていない。地域住民に仕方ないという意識が根付いているからではないか」。
屋敷満雄副委員長は「解決するには市民の力が大きい」。上田勝之委員は「取水設備の改造も一定の効果があるとは思うが、ダム湖内の堆積土砂の撤去を訴えるべき」と述べた。
前田委員長は「熊野川流域に11基も利水ダムばかり作っている。遠慮することはない。濁水の状況を動画で撮影して広く知ってもらっては」と提案。向井雅男・企画政策部長は「前向きに検討させていただきたい」と回答した。
(2017年2月18日付紙面より)
那智勝浦町で地域講演会
国土交通省・近畿地方整備局大規模土砂災害対策技術センターは那智勝浦町の体育文化会館で16日、地域講演会「考える、土砂災害」を開催した。歴史的災害を振り返り、あらためて土砂災害について考える内容で、一般財団法人砂防フロンティア整備推進機構の井上公夫技師長が「歴史的大規模土砂災害地を歩く」をテーマに講演した。約120人が集まり、熱心に聴き入っていた。
講演ではこれまでの調査・研究結果から、宝永・安政地震をはじめ土砂災害のあった地域と東牟婁地域の類似性、関連性などを交えながら解説。地域住民の復興への努力や、災害時の土砂移動に関わる地形「風穴(ふうけつ)」の産業・観光活用なども紹介した。井上技師長は、大規模な土砂災害があった現地の市町村史を読み、自然条件や社会条件を調べながら調査を進めている。「過去の災害記録や日記などがあれば、どのようなものでも啓発センターを通して情報提供を」と呼び掛けた。井上技師長の講演に続き、技術センターの田中健貴さんが「大規模土砂災害に関する研究活動」について、和歌山県土砂災害啓発センターの坂口武弘所長が「紀伊半島大水害」について、これまでの調査・研究を発表した。
講演後のアンケートでは感想や意見を求めるとともに、自然災害を題材にした小説のリストが配布された。新宮市高田在住の女性(66)は、「和歌山大学の防災カフェに行きそびれてしまったので参加した。自宅からすぐ近くの話が聞けたので良かった。興味深かったが、山の植生と土砂崩れの関係なども知りたい」と話していた。
(2017年2月18日付紙面より)
串本町立古座小学校(道本幸浩校長)の4年生15人が制作した防災マップ3点が、全国規模の審査会「第13回小学生のぼうさい探検隊マップコンクール」で審査員特別賞や佳作に選ばれた。16日に表彰状の伝達があり、審査員特別賞に選ばれた班『中湊なかよしたんけんたい』のリーダー宮本夏輝君(10)は「避難路の状態を色分けするところにこだわった。審査員特別賞に選ばれてうれしい」と述べ、3点全ての入賞に歓喜した。
このコンクールは日本損害保険協会が全国規模で行う事業「小学生のぼうさい探検隊」の一環。同協会は自分たちが住む地域を探検して危険な場所や安全のための施設や設備を見つけ、防災、防犯、交通安全といった各マップにまとめて振り返る実践プログラムとして、子ども用実演キットや指導者用実演マニュアルを学校や子ども会など指導者がいる2人以上の児童集団に無償で提供している。それらを活用して制作した各種マップを提出すると参加賞がもらえ、併せて同コンクール応募となる仕組みだという。
担任の谷瀬智教諭によると、本年度の4年生は総合的な学習の時間と実演キットを使って6月から防災学習を始めた。東日本大震災の津波などを振り返って危機感を高め、南海トラフで大地震が起こったら校区内の中湊区と古座区と津荷区に津波が来るので手分けして防災マップを作って呼び掛けることを決めた。
15人は▽中湊なかよしたんけんたい▽古座地区たんけんたい▽つがえんがんグループ―の3班に分かれ徒歩で現地の状況を確かめ区の人らに話を聞くなどして避難に役立つ情報を集めた。10月ごろから週3回の総合的な学習の時間を使ってマップ作りに取り掛かり、約1カ月がかりで収集の成果をぎゅっと詰め込んだ作品を完成させた。
「中湊なかよしたんけんたい」の防災マップは避難路の道幅の大小を色分けして示し、津波浸水域も地図上に色を塗って投影。津波緊急避難や非常食の試食、パーティーション設営など体験した防災訓練の内容などを収集して盛り込みつつ、「1秒でも早く、1㍍でも高く」と避難を促す内容に仕上げた。
3班はそれぞれ表現方法にもこだわっていて、平面の地図でありながら避難場所になる古座小や串本古座高校古座校舎を立体にしたり、避難路をモールで表現したり、セロハンを貼って津波浸水域を示すといった、人目を引く工夫をしている。
審査員特別賞は上位9賞9点に次ぐ10番目の評価で、8点が選ばれている。次いで佳作が100点。第13回の応募総数は2871点で、古座小の3点は初挑戦にして全て入賞という快挙を成し遂げた状況だ。
この日は同協会近畿支部から鐘ヶ江修事務局長が来校。他学年や教職員が見守る中で各班に表彰状を手渡し、中湊なかよしたんけんたいの防災マップの講評内容を伝えた。4年生は翌17日、全校集会で防災マップのプレゼンテーションを実施。目標としている各地域への呼び掛けは3月中に機会を設けて行うという。
(2017年2月18日付紙面より)
まち・ひと・しごと懇談会 (新宮市 )
新宮市は16日夜、市役所仮庁舎で「まち・ひと・しごと創生総合戦略推進懇談会」を開いた。戦略策定に関わった市民代表ら10人に進捗(しんちょく)状況を報告し、意見を聴いた。
市が人口ビジョンで示した2040年で約2万2000人、2060年で約1万8000人の人口を確保するために実施する具体的な施策を記した戦略。▽産業の振興による安定した雇用の確保▽まちの魅力を発信し、新しい人の流れをつくる▽子育て環境の整備により結婚・出産・子育ての希望をかなえる▽人にやさしく、安全で安心できるコミュニティの形成―の四つを基本目標にしていて、各施策に数値目標を設定している。計画期間は平成27年度から31年度までの5年間。
戦略で市は市内への転出から転入をひいた「転出超過」を平成31年度で100人を目標にしている。平成25年度は178人だったが、平成27年度は275人と大幅に増えたと報告。当局は理由として転入が減っていると説明した。
新宮港で開業する可能性のある木質バイオマス発電事業について質問があり、当局は、計4社から申し入れがあり、事業規模によるが15~20人の雇用を見込んでいると説明。開業への期待の声に当局は「クリーンな事業で、大きな期待を寄せています。課題を一つ一つクリアしながら地域のために頑張っていきたい」と述べた。
その他市民から、スポーツ少年団員数の減少対策、ファミリーサポートセンターの男性会員の募集、熊野牛への支援などの意見があった。
(2017年2月18日付紙面より)
太地漁協といさな組合が育英会に寄付
太地町漁業協同組合(脊古輝人組合長)と太地いさな組合(小畑充規組合長)は13日、太地町(三軒一高町長)の育英会奨学金に100万円ずつ、計200万円を寄付した。
同町育英会は町と那智黒の育英会が合併した組織。現在の形になって10年になる。高校、専門学校、短期大学、4年制大学への進学希望者を対象に利息無しの貸し付け型で奨学金を出している。4年制大学進学者からの申し込みが多く、現在15人に年間合計550万円貸し付けている。今年は13日現在で4人の申し込みがあった。
太地漁協は平成19年に約86億円もの負債を抱えていたが、町の協力と組合役員の尽力で立ち直らせた経緯を持つ。漁協では、1月の役員会で育英会の奨学金制度を知り、町との連携と恩返しから寄付を決定した。これまでには、東北大震災で200万円相当支援し、飛鳥神社の社務所再建に1000万円寄付した。これらの他、スポーツ関係でも支援を行っている。育英会には、可能であれば今後も寄付を継続したいとしている。
贈呈式には太地漁協の脊古組合長と貝良文参事、太地いさな組合の小畑組合長が出席した。
脊古組合長は「こうした形で協力できることを、とても誇りに思っている。今後も町と組合で連携プレーを取り、さらに協力していきたい」と町の発展に寄与する意を示した。
三軒町長は「漁協の再建は町に大きなインパクトを与えた。命懸けで漁に従事する人が子どもたちのために寄付していただいたことは、本当にありがたい」。
宇佐川彰男教育長は「しっかりとした管理の下、有効に使わせていただきます」と感謝を述べた。
(2017年2月15日付紙面より)
北山村不動明王で例祭
北山村大沼で11日、不動明王例祭が営まれた。山口賢二村長、筏師、中弘也大沼区長をはじめ約50人が参列し、修験者の資格も持つ岡田基(もとい)さんが神職を務めた。この例祭には、釜で沸騰させた湯にもち米を入れて釜が音を立てるか否かで今年の吉凶を占うという神事が含まれている。
岡田さんがサカキ、塩とほら貝の音で場を清めて読経し釜にもち米を入れると、釜はうなるような大きな音を奏で今年は「吉」という結果が出た。参列者も次々にもち米を釜に入れ玉串を奉てんした。
護摩たき、どんど焼き、餅まきも行い区民の無病息災を祈った。その後、公民館に移動し酒宴が開かれ、例祭は無事終了した。
参列した筏師の所和宏さん(31)はこの例祭が「筏の安全運航を願う機会でもあり、区内の祭りなので区民の家内安全を祈る機会になっている」と話した。村議の前岡武津雄さん(68)によれば、元来ここにお祭りされていたのは川の神様でこの祭りは筏師の安全を祈願するものだったという。前岡さんは「子どもの頃は筏で川を渡ってここに来て夜店を楽しんだ。今は5月から始まる観光筏の観光客の皆さんに楽しんでもらえるよう安全を祈っている」と話した。
(2017年2月15日付紙面より)
JICA研修で樫野を視察 (串本町 )
トルコ共和国の副知事や郡長11人が13日、串本町の田嶋勝正町長を表敬した。JICA北海道が実施する研修プログラムの一環でトルコ軍艦エルトゥールル号(エ号)遭難の地を訪ねるのが来町の目的で、一行を代表してキャーズム・テキン郡長は「串本はメルシンやサムスン(ヤカケント町を含む県)と友好を結んでいると聞く。今後、11のまちが友好関係に加わると思う」と述べて田嶋町長との親交を深めた。
一行は国土交通省北海道開発局と公益財団法人はまなす財団が協力する同プログラム「地域開発に係る地方行政官の能力開発プロジェクト」に参加。地域間格差是正に有益な知見を得る狙いで日本の地域開発の考え方や事例に触れ、自国に当てはめてアクションプランを取りまとめることを目指している。
人員の内訳は副知事2人、郡長は和歌山県の振興局長に相当する役職で9人。研修の場は主に道内とされ、道外では唯一串本町の視察がプログラムに組み込まれ、実践のため12日に串本町入りした状況だ。
一行の表敬を受けて田嶋町長は「遭難したエ号の乗組員を当時の島民が救援したことが最初の友好であり礎だといわれていることがうれしく、心から誇りに思う。町長として毎月16日に慰霊碑へ献花をしているが、(亡くなられた)587人は今も守り続けているので安心してほしい」などと述べて来町を歓迎。
テキン郡長は「長年の友好や信頼に基づき、近年は両国政府の政治的つながりや経済的協力関係が増し心強く思う。アジアの大国日本と中近東の重要国トルコが手をつなぐことは非常に大きな力になると思っている。このプログラムを手配してくれたトルコ内務省やJICAに感謝して、串本に敬意を表したい」と謝辞を寄せた。
同町がトルコ人女性を職員として起用していることへの感謝やトルコ人観光客の来町状況などざっくばらんに懇談が進む中、特に同町の防災施策が大きな話題になり同町の取り組みの状況とその意図に関係する田嶋町長の説明に真摯(しんし)に耳を傾けた。併せて双方、訪問の記念となる品を交換し合って歩み寄りを深めた。
一行は表敬後に樫野を訪ねてトルコ記念館や殉難将士慰霊碑、遭難現場の岩礁(通称・船甲羅)などを視察。同日中に北海道へ向けて離町した。
(2017年2月15日付紙面より)
新宮市が土地売却を検討
新宮市の田岡実千年市長は13日、新宮市井の沢のセンタービルであった市議会総務建設委員会で、新宮港第2期工業用地で木質バイオマス発電事業が始まる可能性があると報告した。現在4社から申し入れがあるという。土地の面積などから4社全ての受け入れは不可能で、今後、各社から具体的な計画を示してもらい検討していく。
田岡市長は、事業が始まる際には地域住民の理解を得、環境への影響を調査するなど慎重に進めていくと述べた。久保智敬委員は、バイオマス発電は「今後も伸びていくのか」と質問。田岡市長は「まだまだ増えてくる発電と思っている」と回答した。
大石元則委員の「地域住民との話し合いはいつか」との問いに向井雅男・企画政策部長は「土地の売却の前に説明会が必要と思います」と回答した。山本茂博・企業立地推進課長は「雇用、地元林業の振興など当地にとっては有意義な事業になると思っています。排水などの環境については勉強していきたい」と述べた。
北村奈七海委員は、熊野川町内で地域おこし協力隊員が取り組んでいるゲストハウスの状況を聞いた。丸石輝三・熊野川行政局住民生活課長は、施設は9割完成していて、来月には営業を始める予定と説明。「来年度は隊員を募集するのか」との問いに伊藤順司・熊野川行政局長は「各課と協議し、できれば人数を増やしたい」と述べた。
屋敷満雄委員は、隊員が関わった旧九重小学校での活動を支援し、有名ブランドだった「九重茶」を復活できないかと質問。向井部長は「(九重小の活動は)地域になくてはならない存在になっており、できるだけ支援していきたい」と述べた。
当局は、新しい総合計画策定に向け、市民3000人を対象にアンケートを実施し、901人から回答があったと報告した。現在、集計、分析を行っていて、市内3高校の2年生対象にもアンケートを実施している。
庁内では若手、中堅職員によるワーキング活動などを実施していて、外部有識者も含めた市民代表による「新宮市総合計画審議会」の人選を進め、本年度内に設置する。
北村委員は、審議会委員の人選について「年齢などに偏りがないように」と指摘。新谷嘉敏・企画調整課長は「極力考慮して人選にあたっている」と回答。大西強委員の「策定にはなるべく予算をかけず、若手の勉強の一環として作って」との要望に新谷課長は「コンサルを入れず、手作りで議論している」と述べた。
当局は新庁舎の落成式を3月19日(日)午前10時から挙行すると報告した。同日午前11時から午後3時まで内覧会を実施する。
(2017年2月15日付紙面より)
寒風の中でJA杯少年サッカー大会
新宮市神倉神社
熊野地方に春の訪れを告げる「御燈祭り」が6日夜、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれた。今年は1957人(主催者発表)の上がり子(祈願者)たちが、神倉山に集まり、山頂付近にあるご神体「ゴトビキ岩」の下でご神火を授かり、下山した。
1400年以上前から続くと伝わる全国でも珍しい女人禁制の火祭り。今年は昨年3月に国の重要無形民俗文化財に指定されてから初めての祭りだった。白装束に荒縄を胴に巻き、草鞋(わらじ)を履いた男たちが、ご神火の付いた燃えさかるたいまつを手に神倉山を駆け下り、太鼓橋付近で大勢の観客が迎えた。
初めて祭りに参加した九州大学2年の池山草馬さん(22)は「すごく寒かったですが、たいまつに火が付いた瞬間、空気が揺らぐのが見えました。心も体も熱くなり、自然と声が出てしまいました」と話していた。
(2017年2月8日付紙面より)
JAみくまのと協定書締結 (那智勝浦町 )
JAみくまの(村上幸弘代表理事組合長)と那智勝浦町(寺本眞一町長)は6日、「移動スーパー・とくし丸」を用いた高齢者等地域見守り活動に関する協定書を締結した。同町と太地町を範囲に、21日(火)から事業をスタートさせる。
社会問題となっている「買い物難民(買い物弱者)」に関してJAみくまの管内でも確認されており、見守りが必要な65歳以上の人口が約38%強に上っているという。
これらの問題を受けてJAみくまのは誕生15周年を機に移動スーパー事業を計画した。志の熱いことを意味する「篤志」から名付けた軽トラック「とくし丸」で買い物難民対策を施すと同時に、販売パートナーを「見守り隊」として機能させる狙いがある。住民に異変が見られた場合は、地域包括支援センターに連絡し、職員が訪問する。
移動スーパーは、Aコープで売られている総菜や生鮮品、日用品など約300品目1400点を取り扱う。訪問は1週間に2回で、注文にも対応。販売担当者と直接顔を合わせ、会話することで買い物を楽しめる。
現在はトラック1台で那智勝浦町の下里、太田と太地町の平見の個人宅約120軒を巡回する予定だが、要望があれば台数増加や対象地区拡大を検討するという。
寺本町長は「われわれの町でも年数件、孤独死が起きており、対策を福祉課と考えている。このような状況でこういった協定が結ばれ、連絡が頂けるのはとてもありがたく、心強い。町としても、お互いの組織の連携がスムーズかつ効率的になるよう頑張っていきたい」と述べた。
村上代表理事組合長は「移動販売車によって地域の人と接する機会が増えると思う。孤独死や体調不良で動けない人が見つかる確率も上がる。行政と手を結び、見守り活動を進めていきたい」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)
湯の花霊場の地蔵尊例祭 (古座川町 )
古座川町添野川、湯の花温泉そばにある地蔵尊の例祭が5日日中にかけて営まれ、正午の法要には区内外から約30人が参列して信心を注いだ。
この地蔵尊は七川ダム建設に伴い水没を免れるため、現在の湯の花温泉そばに引き上げられた。参道下から順に▽弁財天▽薬師如来▽徳本上人供養塔▽如意輪観世音菩薩(ぼさつ)―と安置され、中でも薬師如来は明治の中ごろに耳をわずらった子どもの平癒を願掛けしたところすぐにかなったという縁起があり、以来「耳の地蔵さん」として区内はもとより区外からも根強い信心を集めているという。
現在は添野川集落にある善光寺の境外地蔵とされ、近隣住民が雨天日などを除くほぼ毎日通い、参道を清掃するなどして護持している。例祭は旧歴1月17日とされるが、昨今は区外の参拝利便も考えて最寄りの日曜日に日取りを定めてほこらを開扉している。
今年はまれな雨天下で例祭を迎え、世話役筆頭の山本照一さん(82)はパラソルで雨をしのぎながらあらかじめ準備しておいた耳の地蔵さんの供え物「セミの抜け殻」「穴の開いた木片」(抜けの良さにあやかった慣習の品)を配り、南真次区長(63)もほこらへ誘うなどして参拝者を歓迎。正午には善光寺を兼務する小川宝音寺の伊藤収工住職が弁財天から順に法要を営み、般若心経を唱える中で参拝者一同、順次焼香して信心を注いだ。
区民が耳の地蔵さんにささげた餅や菓子は例年、法要後にお下がりとしてまかれるが、今年は雨天のため袋に小分けして配った。山本さんは「雨が降るのは本当に珍しくて、今日は朝から『お祭りはやるのか』と問い合わせがあって大忙しだった。足元が悪いのに大勢の皆さんに来ていただけてうれしいし、それぐらい親しまれている耳の地蔵さんなので、今後もこのお祭りを続けていこうと思う」と話した。
(2017年2月8日付紙面より)