那智の滝で大しめ縄張り替え (那智勝浦町 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で27日、世界遺産である那智の滝で恒例の大しめ縄の張り替えがあった。日本一の落差133㍍の滝口で神職たち5人が足元に注意を払いながら慎重に新しいしめ縄に取り換えた。
那智の滝は同大社の別宮・飛瀧(ひろう)神社のご神体。張り替え作業は7月14日の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」の前と年末の毎年2回行われている。
しめ縄はサラシ製で長さ約26㍍、重さ約4㌔。大社本殿で安全祈願を行い、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職らが表参道約2㌔の道のりを運んだ。滝の流れに足をつけた神職らは声をかけ合いながら無事にしめ縄を設置した。
年2回の張り替えの様子を見物できたことを喜び、写真撮影を行う参拝客らの姿も見られた。
男成宮司は「今日はすす払いを行い、しめ縄の張り替えも済み、新年を迎える準備が整った。今年はコロナ禍に加え、ロシアによるウクライナ侵攻もあり、厳しい社会情勢だった。来年こそはコロナ終息や紛争の終結する年になれば。すがすがしい一年になることを祈っています」と語った。
同大社では新型コロナウイルス対策に取り組み、年末年始の参拝客を迎えるとしている。
なお、那智の滝は大みそかから元旦にかけて青岸渡寺の三重塔とともにライトアップされる。
(2022年12月28日付紙面より)
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串本町田原
串本町田原の荒船海岸では冬の風物詩、海霧が発生している=写真(20日撮影)。
霧は12月に入って、続く寒さでほぼ連日のように出ている。この日の串本の日の出は午前6時56分ごろだったが、水平線に雲があり、すこし遅れて顔を出した朝日に照らされて黄金色の海霧が浮かび上がった。
海霧は海面から発生する湿気を含んだ水蒸気が低温によって冷やされて蒸気霧となる現象で、気嵐(けあらし)といわれる。
シーズンはこれから本番を迎え、1月末ぐらいまで続く。
(2022年12月28日付紙面より)
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来年2月末ごろのロケット「カイロス」初号機打ち上げを目指すスペースワン株式会社=東京都港区=がこのほど、準備の大詰めを迎えている射場「スペースポート紀伊」を報道公開した。同社は、事業の背景と概要を説明し総合指令棟と射点一帯の外観を紹介した。
射点には「カイロス」より一回り大きい高さ約20㍍の移動式射点組立足場があり、隣接するロケット整備棟からパーツを運び込んで射点上に組み上げる。打ち上げ時に立ち入り禁止となる「カイロス」の半径1㌔圏外となる場所に管制室があり、遠隔操作で「カイロス」を打ち上げて人工衛星を軌道投入するまでを一括監視する。
「カイロス」のロケットシステムは宇宙へ到達するための1段目と第一宇宙速度(地球の引力と人工衛星の遠心力がつりあい地球に落下しない最低速度、秒速約8㌔)までの加速を担う2、3段目からなり、さらに軌道修正用液体エンジン(スラスター)を駆使し適切に軌道投入をする。とりわけ多くのニーズが見込まれる高度500㌔の太陽同期軌道(打ち上げる方向は南方)に投入する場合、「カイロス」は150㌔の打ち上げ能力を発揮する。
これら技術の集大成により同社が目指す事業コンセプトは▽信頼性▽即応性(契約から1年、衛星受領から4日で打ち上げ)▽柔軟性▽低コスト―の4本柱。他の射点の手法を参考にし、遅くとも打ち上げの1カ月半前までにその日時を公表し、直前の気象条件などを見て日時を調整する形を取るという。
2020年代半ばには年間20回の打ち上げ頻度を目指していて、その光景と音響が日常となる射場周辺地域に向け同社の川井孝之部長は「初号機を成功し、そして定期的に打ち上げられるようになること、できることで地域の皆さんと一緒に頑張っていくことが貢献になると思っている。宇宙産業が拡大する中、宇宙へ出ていくためにはその手段が必要。われわれのロケットにより世界中の宇宙産業が多くなり、また入りやすくするような貢献もしていければ」と語った。
(2022年12月28日付紙面より)
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市内小学生から120点の力作 (新宮市 )
新宮市野田の市福祉センターで20日、令和4年度赤い羽根絵はがきコンクール審査会があった。市共同募金委員会長の田岡実千年市長と社会福祉法人和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事、市社会福祉協議会の濵前泰弘会長らが審査員を務め、市内小学校の児童から寄せられた作品を審査。県共同募金会会長賞などに8作品を選んだ。
誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」としての取り組みが展開されている「赤い羽根共同募金」。
10月からの運動期間に合わせ、市では市内の子どもたちに街頭募金への協力を呼びかけ運動を展開しているが、昨今の新型コロナウイルス感染状況を鑑み、募金活動は縮小傾向に。コンクールは「活動が制限される中でも子どもたちに広く運動および活動の趣旨を伝えることができれば」との思いから、市共同募金委員会の主催で昨年初めて開催。市社協職員らが市内各小学校で「赤い羽根共同募金」の授業を実施しつつ、児童らにコンクール参加への呼びかけを行っていた。
2回目となる今回は、市内5小学校から120点の作品が寄せられた。審査会では最終審査に残った83枚から田岡市長らが▽県共同募金会会長賞(1点)▽市共同募金委員会会長賞(同)▽市社会福祉協議会賞(同)▽審査員特別賞(5点)―を選定。「絵だけではなく優しい言葉が入っている」「言葉も良く、絵も遠近感もある」「福祉の精神をよく理解していると思う」などと講評した。
審査を終え、髙瀨常務理事は、福祉への意識高揚を図る市と市社協の取り組みに感謝。田岡市長は「力作が多く、選ぶのに苦労した」と話していた。
応募作品は1月10日(予定)からの約1カ月間、市福祉センターで展示予定。入賞作品は市社協広報紙「Assist(アシスト)」2月号に掲載する。なお、表彰式の開催は未定となっている。
(2022年12月28日付紙面より)
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新宮弓友会納射会
新宮ロータリー杯ジュニアバド大会
ケンドリック旗争奪少年野球大会 (串本RC )
新翔高で3年ぶりの七海祭 (新宮市 )
新宮市佐野の県立新翔高校(藤田勝範校長、生徒298人)で15日、3年ぶりとなる文化祭「七海祭」が開かれた。生徒たちはステージ発表や有志パフォーマンス「新翔ソニック」で歌や劇、ダンスなどを繰り広げた。
開会式で生徒会長の天野琉星さん(2年)が「3年ぶりの開催で前年の反省や経験ができず不安もあるが、楽しむことが最優先。七海祭ができることに感謝し、全員で一丸となって盛り上げていきましょう」とあいさつ。藤田校長は「以前とは違い1日のみの実施となりますが、催せることができたのが喜びです。感染対策を施しながら楽しんで」と呼びかけた。
ステージ発表では、吹奏楽部が▽学園天国▽千の風になって▽ハナミズキ▽宝島―など全7曲を演奏。1年2組による劇「犯人は誰だ」や2年3組の映画上映とダンス「私たちの教室は今」、2年2組の「ダンスメドレー」なども行われ、鑑賞していた生徒や教職員から大きな拍手が送られた。
他にも校内では書道部や写真部、美術部、文芸部、建設技術部、防災デザイン、服飾手芸による作品展示があった。お菓子、木製コースターや同校育友会のポップコーン販売もあり、にぎわいを見せた。
(2022年12月17日付紙面より)
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糖尿病啓発や地域に元気を (勝浦ライオンズクラブ )
今期60周年を迎える勝浦ライオンズクラブ(勝浦LC、岡本英博会長)は現在、那智勝浦町築地の同事務所入り口にマグロなどのイルミネーションを設置し、周囲を鮮やかに彩っている。
11月中旬に飾り付けされたマグロのイルミネーションは世界糖尿病デーのブルーライトアップ活動の一環。世界糖尿病デーは、世界でも有数な疾患啓発の日と知られている。
糖尿病は世界規模で取り組むべき重要な健康課題とされ、各地で予防、治療、療養を喚起するブルーライトアップや講演会などの啓発活動が行われている。
マグロのイルミネーション以外の飾り付けはコロナ禍によって、低迷した地域の活気を取り戻したいという願いも込められている。会員が協力し、今月取り付けた。
岡鼻崇奉仕委員長は「コロナ禍で地域の観光や商業などが活気を失い、低迷している。イルミネーションを見て、町内外の皆さまに元気になっていただけたら。また、勝浦LCが今期60周年を迎えた。会員一同、気持ち新たにさまざまな活動に取り組んでいきたい」と話していた。
イルミネーションは暗くなった時点で点灯し、午後10時に消灯し、来年1月中旬まで行われる。
(2022年12月17日付紙面より)
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新年を前にホームに設置 (JR新宮駅 )
新宮市徐福のJR新宮駅(坂本純一駅長)は15日、熊野三山の絵馬を駅構内1番ホームに設置した。
熊野速玉大社、熊野本宮大社、熊野那智大社の「癸卯(みずのとう)」の絵馬が並び、利用客たちを出迎えている。絵馬は、各大社の宮司が直筆した。駅員たちは▽速玉大社・徒歩20分▽本宮大社・バス約1時間▽那智大社・紀伊勝浦駅下車・バス約30分―と下車後の所要時間が書かれたそれぞれの台に、落下や傾きに注意を払いながら慎重に固定していった。利用客らは一足早く登場した絵馬を写真に収めていた。
坂本駅長は三山の授与に感謝し「新宮駅に訪れるお客さまが旅行の記念に絵馬を撮影する姿を目にして気持ちが穏やかになります。来年は、うさぎ年にちなんで多くの皆さんにとって飛躍の年になってもらえれば」と話していた。
(2022年12月17日付紙面より)
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紀州勝浦漁協がイセエビ奉納 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で16日、紀州勝浦漁業協同組合(片谷匡代表理事組合長)によるイセエビの奉納があった。和歌山県漁業協同組合連合会の額田浩事務局長や同連合会勝浦市場の𠮷村泰治参与らが参列。地元産イセエビ「南紀黒潮イセエビ」10㌔を神前にささげ、海上安全や大漁、地域の発展などを祈願した。
県漁連によると、今年の漁獲量は、例年の半分だった昨年の3分の1程度で、不漁だという。磯焼けや温暖化などの影響も要因の一つではと話していた。
額田事務局長は「来年こそは、町の漁業者さまはもちろん、市場に関係する漁業者の皆さまが安全に操業でき、大漁で喜ばしい一年になるようにと祈願しました」。
男成宮司は奉納や日頃の協力に感謝を述べ、「水産業を取り巻く環境は厳しい。そういった状況の中ですが、町や日本の水産業のためにご尽力を頂ければありがたいです。来年はうさぎ年。皆さまにとって飛躍の年であることを祈念しております」と語った。
(2022年12月17日付紙面より)
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新宮グラウンドゴルフ同好会
第15回新宮ジュニアレスリング大会
【第56回】年越しそばで食育を!
年の瀬が迫り、バタバタと慌ただしい日が続きますね。この時期は、毎年わが家も、子どものスケジュールと仕事のスケジュールに忙殺されているように思います。さて、今回は「年越しそば」のお話をしたいと思います。
大みそかに食べる「年越しそば」。行事食として毎年当たり前のように食べますが、なぜ食べるのかというと、その由来は幾つも説があるのです。最も一般的なのは「そばのように細く長く、長寿や繁栄が続くように祈る」というものです。これはよく聞きますよね。でもその他にも幾つかあります。一つは金銀細工師が、散らばった金粉をそば団子を使って集めたことから、「金を集める」とされているという説。そばは、かみ切りやすいことから、「苦労や悪縁を断ち切る」という意味もあるといわれています。また、そばは打つことから「相手を討つ=勝つ」という意味もあります。こうして挙げてみるとどうでしょう、とても縁起は良さそうですが、どうにも曖昧な感じがしますよね。
日本の行事食は、おせち料理もそうですが、こういった半ばこじつけのような縁担ぎの意味を持たせたものがたくさんあります。そこで、私は行事食に「縁起のいいこじつけをプラスする遊び」をお勧めしています。これは作るときでも、お買い物をするときでも、食べるときでもいいのですが、お子さんと入れる具材などを一緒に考えるのはいかがでしょうか? 例えば、お子さんが「エビを入れたい」と言ったら「エビにはどんな意味があるかな?」と考えてもらうのです。エビは、おせち料理には「腰が曲がるまで長生きできるように」などと言いますよね。わが家では「とろろ昆布を入れたい」と娘が言ったことがあり、一緒に意味を考えた結果「粘り強く立ち向かえるように」ということにしました(笑)。他にも、サツマイモの天ぷらを入れる理由は、天ぷらは揚げているから「運気が上がるように」という意味にしました。
正直、子どもが考える意味はなんでもいいのです。ここで大切なのは「日本の行事食には、そういった縁起の良いものを食べるという意味がある」ということを理解してもらうことです。ゲーム感覚で食べる意味を考えることで、行事食への理解が深まると思います。そして、意味を考えながら食べると、普段食べないものも食べてくれたり、その具材に興味を示すきっかけになったりもします。おせち料理もその意味を話しながら食べるのはお勧めですが、おせちはある程度入るものが決まっているので、なかなかアレンジは難しいですよね。でも、年越しそばは具材が決まっているわけではないので、こういった遊びをするにはもってこいだと思います。
年末年始は行事食がめじろ押しで、食育にはうってつけの時期でもあります。手をかけて作るのも、最高の食育ですが、行事食の話をするだけで、作らなくても食育は簡単にできます。ぜひ、この機会に日本の伝統食の意味を、楽しく教えてあげてください。
(2022年12月17日付紙面より)
青岸渡寺で大すす払い (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の西国第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)で14日早朝から昼ごろにかけて、1年間のほこりを払い清める年末の大すす払いが行われた。寒風吹きすさぶ中、髙木住職や髙木智英副住職、寺の職員が総出で世界遺産の本堂や鐘楼、山門などの清掃に取り組んだ。
職員らは協力してササの葉を先に付けた長いタケを使い、天井などにたまったほこりを落とした。
重さ450㌔、直径1・4㍍、大きさでは日本一といわれている本堂につり下げられた豊臣秀吉寄進の大鰐口(おおわにぐち)は職員がはしごに乗って、丁寧に清めた。
この日、寺が清められる様子を見物したり、写真に収めたりする参拝客の姿も多く見られた。
髙木住職は「今年もさまざまな災いや暗いこともあった。恒例となった大すす払いは1年のちりやほこりを払うもの。願わくは、皆さまの心のちりも合わせて落としたい」。
新年については「来年はうさぎ年。飛躍の年であるとともに、明るく朗らかで平和な1年であることを祈っております」と語った。
(2022年12月15日付紙面より)
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個人ボランティアと初の交流会 (紀宝町 )
紀宝町ボランティア・市民活動センター「きぼらんせ」(神園敏昭運営委員長)は、町福祉センターで個人ボランティア(個人ボラ)との交流会を初開催した。
個人・団体のボランティア・市民活動の連携、発展を目指す組織で、本年度は88団体と個人合わせて3949人が所属している。
個人ボラは2011年の紀伊半島大水害のボランティア活動を契機に誕生し、矢渕中学校花壇の整備、キホッチョ農園の苗植え、収穫作業などに取り組んできた。
交流会は、個人ボラを招き、興味のある活動や参加しやすい取り組みなどを聞き、今後の運営に生かすことが狙い。
13人が参加し、個人ボラのこれまでの活動を紹介した後、4、5人1グループで「こんな活動してみたい! 興味がある!」などをテーマに意見交換した。
「新しいことは何でもやりたい」「知らない人には連れて行ってあげたい」「ボランティアはゆとりが必要。働いている人が多いので仲間を増やすことが大変」「継続した取り組みが必要」などの他、「バス停の時刻表が破れている。来訪者のためにも直す活動をしたい」「困っていても手を挙げられない高齢者が多い。そういった人を拾い上げる活動は」など具体的な意見もあった。
今回集まった意見は今後、きぼらんせの運営委員会で協議するという。
(2022年12月15日付紙面より)
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中江美則さんが講演 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で11日、新宮警察署主催の「新宮ハートフルコンサート~交通事故防止の願いを込めて~」が行われ、特別講演では、犯罪更生保護団体ルミナ代表の中江美則さんが「亀岡集団登校交通事故から10年~深まる苦しみ…ひろがる傷口~」を演題に講話した。
2012年4月に京都府亀岡市で発生した、未成年者の無免許運転による集団登校児童死傷事故で妊娠中の娘・松村幸姫さん=当時(26)=を亡くした中江さん。
悲惨な被害者を生み出さないためには加害者を生み出さないことが大切との思いから「犯罪更生保護団体ルミナ」を設立。警察署や刑務所、保護司会などからの依頼を受け、講演活動に取り組んでいる。
講演に先立ち、紀南交通事故被害者の会の中岡貴恵代表が、中江さんと知り合うきっかけについて紹介。中岡さんは、2018年12月14日、紀宝町鵜殿の六反田交差点付近の県道で発生した交通事故で、母親の中尾叔子さん=当時(85)=を亡くしている。
中岡さんは「遺族自身、当時を振り返ることは苦しいことだが、伝えていくことで交通事故がもたらす苦しみの深さを知っていただき、被害者にも加害者にもならないための意識をより一層持っていただければ1件でも事故がなくなり、救える命があるのでは」と訴えた。
中江さんは、約10年前の事故当時について「想像できない痛みと恐怖で幸姫が苦しんでいる。医師に対して楽にしてあげてほしいとしか言えなかった」。加害者に対して「愛する家族を地獄に落とした。憎まずにはいられなかった」と回顧した。
幸姫さんが死去した翌日、幸姫さんの携帯電話に加害者の父親から電話がかかってきたこと、電話番号が漏えいしていたこと、自身が受けた誹謗(ひぼう)中傷や嫌がらせ、加害者に対する復讐(ふくしゅう)の思いが芽生えたこと、裁判の様子、無免許運転の厳罰化を求める活動などにも言及し「一般市民がこれだけの短時間で経験するのかと、自分の人生を疑うばかりだった。信じられないことが次々と家族に襲いかかった」などと振り返った。
「苦しみの毎日の中で周りの人たちに助けられたこともあった。元犯罪者たちとの出会いが自分を少しずつ変えてくれた」と述べ、犯罪更生保護団体を設立した経緯や受刑者らとの関わりについて紹介。「僕たちのような被害者をこれ以上増やしてほしくない一念でやっている。被害者遺族の苦しみを知ることで再犯者をつくらせない活動の取り組みが、犠牲者を生まないことにつながる」。
「幸姫はこの世で幸せになれなかったが弱い者たちを見守る姫にしてあげたい。生きた証しをつくってあげたい」と述べ「新宮市には被害者に寄り添ってくれる議員さんもいる。新宮署の方々の優しさにも触れさせていただいた。命のメッセージが、犯罪抑止のための実りとなることを願っています」と語った。
(2022年12月15日付紙面より)
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宇久井小学校で巡回公演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長、児童178人)で13日、日本の伝統芸能である能楽のコンサート「囃子堂(はやしどう)」が開かれた。一般社団法人京都能楽囃子方(のうがくはやしかた)同明会の谷口正壽(まさとし)さんら5人が来校し、謡(うたい)、笛、小鼓、大鼓、太鼓による迫力の演奏で児童を圧倒した。
文化庁の「令和4年度文化芸術による子供総合育成事業」の巡回公演。能楽は日本で最初に登録された国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産。同会は能楽の学校公演や体験教室を通じて能楽の魅力や、あいさつ、道具を大切にする心を伝える活動を継続している。
開演に当たり谷口さんが「能楽は600年前に生まれた日本のミュージカルで、演劇や舞、音楽によって成り立つ総合芸術。江戸時代には武士の正式な芸術となったため、武士が大切にした価値観が反映されている。能楽ばやしには四つの楽器と謡しかないが、30人のオーケストラをしのぐ力がある」と語り、それぞれの楽器の特徴を解説した。
龍神が登場する場面で演奏される「早笛」や天狗が空高くを飛んでいる様子を表現した「大癋(おおべし)」などを披露すると、児童たちはじっと聞き入っていた。
五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「三番三(さんばそう)」では、前日のワークショップで小鼓、大鼓を練習した4~6年生の中から18人が共演。掛け声に続けて、力強く小鼓と大鼓を打っていた。
(2022年12月15日付紙面より)
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新宮山彦ぐるーぷが秩父宮記念山岳賞
自然保護団体「新宮山彦ぐるーぷ」(沖﨑𠮷信代表・世話人)の「大峰南奥駈道(おくがけみち)の再興と山小屋建設並びにその維持管理活動」がこのほど、秩父宮記念山岳賞(日本山岳会主催)を受賞した。
山について造詣の深かった、故秩父宮ご夫妻の事跡を永く記念するため、山に関連する顕著な活動や業績に対して表彰し、登山活動の奨励と山岳関連諸文化の高揚に資することを目的に、1998年に創設された栄えある賞。
なお、日本山岳会は05年に創立。現在東京の本部を中心に33の支部があり、全国に約4800人の会員が在籍している。会員には天皇陛下も名を連ねている。
新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりとなった本年度、同団体は74年の発足以来、38年間にわたり熊野古道奥駈道の再興や登山道の維持管理などを行い、また小屋の建設・保守・運営を行っていることなどが評価され受賞に至った。
現在、会員約40人。毎週15人ほどで活動を行う同団体は、120年間やぶに埋もれていた大峰奥駈道(約45㌔)の再興に着手し、約3年間をかけて第1次刈り開きを完了。その後も第2次、第3次刈り開きと並行し、行仙宿の新築や平治宿の建て替え、持経宿の大規模改修など4カ所9棟の小屋などを整備し、84年の千日刈峰行着手から32年間を要して大峰南奥駈道の環境整備を行い、熊野修験の復興にもつなげた。
初代代表の玉岡憲明さん(97)は88歳まで、約40年間にわたり大峰奥駈道の再興に尽力。約2200回に及ぶ活動の様子を記録しているという。
3日に東京都新宿区の京王プラザホテルで年次晩さん会が開催され、沖﨑代表(74)が表彰を受けた。晩さん会前には記念講演も行われ、沖﨑代表らが「千日刈峰行とその展開」を題目に講話した。なお、晩さん会には毎回天皇陛下も臨席されるが、今回は諸事情により欠席となった。
このたびの受賞を受け、沖﨑代表は「40年にもわたり道を開いてくれた玉岡さんら先輩方のおかげ。受賞を報告すると本当に良かった、と喜んでくれた。受賞を励みにして、今まで通り地道にコツコツと活動していけたら」と話していた。
なお、同団体は地域のために行う地道な地域貢献活動が認められ「第13回あしたのなら表彰」(奈良県主催)の受賞も決定している。
同団体では現在、会員を募集中。行事予定や参加・入会に関しては、フェイスブックもしくは同団体ホームページ(http://syamabiko.web.fc2.com/)で確認を。
(2022年12月8日付紙面より)
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環境美化に防災加えた初の活動 (紀宝町 )
鮒田の環境を守る会(東口高士会長)は4日、紀宝町鮒田の相野谷川下流で流木を撤去した。環境美化に防災を加えた初の取り組みで、35人が2時間作業し、軽トラック15台分の流木を回収した。
全国的に流木の処理に苦慮する自治体が多い中、鮒田地区では、自分たちで流木を集め、防災用の資源にしようと計画。河川を管理する紀南河川国道事務所の許可を得て実施した。
下流域には9月の台風で流れ着いた流木がたまっており、弁慶橋から鮒田水門付近まで、人の手や重機で集めた。
大きな流木は高台の一時避難場所に運び、ライフラインが寸断されるなどの災害時に備え、まきにして備蓄した。小枝などは、鮒田地区自主防災会による防災散歩時の料理などの燃料に活用する。
同地区の防災活動に関わってきた大阪工業大学工学部都市デザイン工学科の田中耕司・特任教授は「流木を防災や地域の活動に活用する取り組みを初めて見た。これまで鮒田地区の活動を学会で発表しているが、備蓄農園の取り組みは国も驚いていた。高齢化が進み、こういった集まりは地区の情報もみんなで共有できる。楽しく防災に取り組んでいる」と話していた。
作業後、東口会長は「自分たちの地域をきれいにするためにも、ごみにされていた流木を生かそうと考えた。この取り組みが全国に広がれば」と語っていた。
(2022年12月8日付紙面より)
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福祉センターで地震・火災避難訓練 (新宮市 )
新宮市野田の市福祉センターで6日、地震と火災を対象にした避難訓練が行われた。新宮消防署の宮平陽介消防士長と林勇成消防士が訪れ、市社会福祉協議会職員や中央児童館で遊んでいた子どもたちが、災害発生時の避難経路や行動などを確認した。
同センターでは毎年度、地震津波と火災の訓練を実施している。この日は県内全域での強い地震に伴い1階の給湯室からの出火を想定。訓練開始の放送が流れると、居合わせた人たちは身の安全を確保しながらセンター前の駐車場へと逃げた。
訓練を見守った宮平消防士長は避難時に重要な「押さない、走らない、しゃべらない、戻らない、近づかない」を略した「おはしもち」を伝え「火災が発生してから迅速かつ安全に逃げることができていてよかったです。これからも一連の行動を忘れないでください」と講評した。
後半には消火器の使用訓練も行われ、林消防士が諸注意や操作方法などを説明。職員たちは「火事だ!」と叫びながら訓練用消火器で順番に実践した。
同協議会の東雄大さんは「学生時代に訓練は経験しましたが、忘れていた部分もあり勉強になりました。実際の場面に遭遇した場合、冷静さを失う可能性が大きいため今後も継続して訓練に取り組んでいければ」と話していた。
(2022年12月8日付紙面より)
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「臨場感シアター(仮称)」完工 (串本町 )
串本町西向にある旧役場古座分庁舎内で改修整備が進められてきた上映室「臨場感シアター(仮称)」が11月末に完工した。今月6日は町議会議員や報道機関対象の見学会を実施。町は建物全体の用途変更に伴う工事完了後(期日未定)に一般公開を始めるとしている。
この上映室は宇宙振興拠点化をコンセプトとする同庁舎リニューアルの一環で、旧議場を改修整備する形で設置。議員席や当局席を取り払い天井と側壁の色を黒系統に変更。縦約3㍍、横約12㍍のパノラミック大型カーブドスクリーンを据え、4Kプロジェクター3台による連携投影(マルチプロジェクション)で8K映像コンテンツの上映を実現する。計10基のスピーカー(うち2基はサブウーハー)を配置して5・1ch相当のサラウンド音響も確保。前方左右中を上下2列としサブウーハーを左右2基とする配置により、最良の状態で音を楽しめる空間を立体的かつ力強くする工夫が注がれている。
旧来のまま残している傍聴席は現状で使用の前提はしておらず、議員席や当局席があったフロア内の同空間内にベンチを並べて通常使用で27人(前列9人掛け×3列)が座って同時鑑賞できる状態としている。
この上映室は、主に宇宙への憧れや新しい時代の始まりを感じさせるシアターとして運用する想定。町企画課ロケット推進室によるとこの整備はロケット「カイロス」の打ち上げを至近かつ相応の画質で捉えた映像コンテンツの上映が最終的な着地点で、一般公開の実質的な開始はそのタイミングになると受け止めてもらえればと話している。
(2022年12月8日付紙面より)
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