ジュントスメンバーが農業体験 (那智勝浦町 )
「けん玉で養えるコンセントレーション(集中力)、コンフィデンス(自信)、コントロール(調整力)は農業にとっても、サッカーにとっても重要。どれが欠けてもいけない」―。
そう話すのは新宮市在住で太地町立子育て支援室・子どもの居場所づくり指導員の村上和弥さんだ。17日、那智勝浦町長井にある村上さん宅の13㌃の田んぼにおいて、新宮・東牟婁地方を拠点に活動する中学生クラブチーム「JUNTOS(ジュントス)フットボールクラブ」の2年生14人が協力して稲刈りなどに取り組み、農業体験に汗を流した。
同クラブ代表の⻆利則さんが生徒に農業体験をさせたいと考え、古くからの知人である村上さんに協力を求めて実施に至ったという。
生徒は三つのグループに分かれ、コンバインによる稲刈り、収穫した米の運搬、機械を用いた草刈りを順番に体験した。
村上さんから操縦や農業についての説明を受けながら、コンバインに乗車した生徒らは、たくましく実った稲穂を刈り取っていった。
速水陸さん(那智中)は「楽しかった。知らないことも多くあり、作業も想像以上に大変だった。チームではディフェンダーを務めている。今年は失点しないように努力したい」。
⻆さんは「体を成長させる上では食事は重要。米がどのような思いで作られているのかを知り、感謝の気持ちを学んでほしい。次は田植えも考えています」と話した。
昨年、太地学童保育所の子どもたちを招いて麦踏み体験を行い「種をまいて、収穫するまでの期間やそこに喜びがあることを理解する『長いものさし』を持ってほしい」と訴えた村上さん。
稲刈りについては「百の職業ができるから百姓だと説明した。努力や苦労してできたものを食べることは当然だが、工程を知って、多くを学んでもらうことこそ大切なのでは」と語った。
収穫した米は精米後、お土産として生徒らに贈られた。
(2022年8月24日付紙面より)
新宮市王子町の市立総合体育館で20、21日の2日間にわたり、剣道交流会が開かれた。新宮剣友会をはじめとする地元と海南市、紀の川市の少年少女剣士ら総勢33人が参加。剣道を通して交流を図り、技術の研さんに励んだ。
交流会に参加したのは▽新宮剣友会▽串本少年剣道クラブ▽正平館(三重県)▽巽剣道教室(海南市)▽貴志川剣道クラブ(紀の川市)―の5団体。県内に5人しかいない八段取得者である新宮剣友会の宮戸伸之会長の指導を得られる好機会を捉え、かねて親交のあった巽剣道教室、貴志川剣道クラブの参加を経て交流会の実施に至った。市外の剣道団体と地元剣道団体が合同練習や交流試合を行うことで技術向上や青少年の健全育成につなげる目的もある。
開催に当たり、応援に駆け付けた田岡実千年市長が、市を代表して歓迎のあいさつ。「剣道に打ち込めているのは監督や指導者、保護者の皆さんのおかげであることを忘れず、感謝の気持ちをもって精いっぱい取り組んで」と激励した。剣士らはお互いの距離を取るなど新型コロナウイルス感染予防対策を講じながら準備体操。素振りでは宮戸会長から「1本1本大切に」「どこですり足するか考えて」などと指導を受けた。
巽剣道教室の谷岡慎吾代表は現役警察官。今年3月に県警を退職した宮戸会長から警察官として指導を受けた縁もあり、教室挙げて交流会に参加した。「八段取得者から指導を受ける貴重な機会。子どもたちも楽しみにしています」と笑顔。
宮戸会長は「当地方の子どもたちはこれまでは出向くことが多かったが、地元で交流会ができて気持ちも違うと思う。剣道には『交剣知愛』、剣を交えて愛(お)しむを知るという言葉がある。これからもこういった交流を続けていきたい」と話していた。
(2022年8月24日付紙面より)
宇宙・ロケット・人工衛星教室 (雑賀技術研究所 )
雑賀技術研究所=和歌山市=の主催事業「サイカ/宇宙・ロケット・人工衛星教室」の第1回が21、22日に串本町内であり、受講登録する中学生~高校生37人が自身のスキルアップを意識して取り組んだ。
この教室は、一人でも多くの若者にロケット「カイロス」打ち上げの瞬間を間近で体験できるよう、初号機打ち上げ時の公式見学場のボランティアスタッフとして関わる(県との調整で決定済み)ことを前提にし指導のノウハウを持つ県宇宙教育研究会の共催を得て計画。計3回の集合活動とその間のオンライン交流により、来たる宇宙時代に自分はこれから何をするべきか考える機会とすることを目指して進めるとしている。
参加している中学生や高校生は応募時に動機と今後の目標をアンケート聴取しその内容で選抜されたメンバーで、登録数は39人。中学1年生から高校3年生まで、県内外から参加する状況となっている。
メンバーとはすでにオンライン活動を始めているが、集合活動は今回が初。打ち上げの現地・串本町を会場とし、南紀熊野ジオパークセンターで地理的特色を学んだ後、2024年度に普通科宇宙探究コース開設予定の県立串本古座高校へ移動して開講式に臨んだ。
県宇宙教育研究会の木皮享顧問と同校の榎本貴英校長がこの教室で目指すことの達成を期待してあいさつを述べ、同研究所の中西豊理事が第1回の活動内容と目的を説明。榎本校長が5月11日に校内実施した宇宙講座の内容解説を含めて学校の紹介をするなどした。
以降は教室名に掲げた宇宙・ロケット・人工衛星やコミュニケーションの大切さなどを学ぶセミナー(初日)やモデルロケット〈アルファⅢ〉の打ち上げ資格取得を見据えた講習・制作・打ち上げ体験(2日目)を実施。初日は同研究会の戸川定昭副会長、会員の成戸秀和さんや太田昇さん、藤木郁久事務局長、2日目は藤木事務局長が講師を務め、県立桐蔭高校科学部員やそのOB5人もサポートする中でメンバーは内容の習熟に励んだ。
町内から参加した松原咲奏さん(中学1年)は「すでに知っていた内容もあったけれど新しい内容もあって深く学べたし、話の中にあったNASA(アメリカの航空宇宙局)も見学してみたいなと思った。ボランティアをするときは串本の魅力も伝え、質問を受けたらしっかりと答えていきたい」とコメント。
教室を主導する中西理事によると、第2回は初号機打ち上げ前日と当日の2日間で組み、前日にボランティアセミナー、当日に公式見学場での実奉仕に臨む。その間はオンラインのつながりを生かして適時追加の勉強会も織り交ぜる予定。第3回は来年1月15日(日)に和歌山市内で開き、成果発表や修了証の交付、記念行事(宇宙飛行士・山崎直子さんのビデオレターやスペースワン株式会社・遠藤守最高顧問の講演を予定)を経て締めくくるという。
(2022年8月24日付紙面より)
「仲間と笑顔で地域づくり」 (おひまち会 )
御浜町の山間部にある尾呂志地域の女性グループ「おひまち会」(畑タミ代会長)のスイーツが人気だ。尾呂志産の農産物を生かした菓子作りで「仲間と共に笑顔で楽しむ地域づくり」に貢献したいと考えている。
尾呂志は明治時代にあった村名で、上野や阪本、栗須など7地区を合わせて今もそう呼ばれる。元々、住民主体の活動が盛んな地域で、町が1999年に設置した「農産物直売所さぎりの里」には多くの農家が出品し、地元の人や観光客でにぎわいを見せている。
会は、阪本地区で正月に作られる「三杯(さんばい)」など郷土料理を保存していこうと2017年4月に設立され、講習会などを通して作り方や味を受け継いできた。今は60~70代の女性7人が中心となり、尾呂志で取れた米や野菜を使った菓子作りに力を入れている。
季節に合わせてさまざまな菓子を提案しており、紅茶の原種として明治から栽培されている特産「アッサム茶」のゼリーや、米粉のレモンケーキ、クッキーは年間を通して作っている。昨年からは地元の高齢者の声に応え、10~2月限定で週2回の弁当販売も始めた。
尾呂志では昔、農作業を休む日のことを「おひまち」と呼び、毎月1日と15日には当番の人が丘の上から知らせたという。おひまちが意味するように菓子は毎週日曜だけ、さぎりの里に出品している。会員の板津呂良子さんと山田優子さんは「今はコロナ禍で活動が制限されるが、試作を繰り返して新しいお菓子にも挑戦していきたい。地域を元気にできれば」と話していた。
(2022年8月24日付紙面より)
全国道場少年剣道大会
日本少年野球紀州興紀大会
新宮サマーサッカーフェスティバル
熊野速玉大社で戦没者慰霊祭 (新宮市 )
終戦記念日の15日、全国各地で戦没者慰霊祭が営まれた。新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)では、新型コロナウイルスの影響で規模を縮小しつつ境内の忠魂碑前で慰霊祭を斎行。新宮市遺族会員や上野宮司らが参列し、英霊に対し追悼の誠をささげるとともに平和への誓いを新たにした。
「堪え難きを堪え 忍び難きを忍び 以(もっ)て万世の為に太平を開かんと欲す」―。1945(昭和20)年8月15日、昭和天皇の玉音放送で日本国民にポツダム宣言受諾による終戦が告げられた。
総務省によると、新宮市では製材工場が密集していた海岸地帯を中心に終戦直前に集中的に砲弾などを受けた。また、44(昭和19)年ごろから勤労動員が始まり、多くの学生らが和歌山市や大阪府、兵庫県などへ動員された。
44年12月3日、三輪崎上空に米軍機が初めて侵入、焼夷弾を投下。翌45年1月19日には大浜基地付近、広角方面が被爆し十余人が死傷した。
23日には焼夷弾により佐野、高田の森林六百余町歩(約600㌶)が焼失。また、同年4月7日には午前と午後の2回にわたり空襲があり、大浜で十余人の死傷者、三輪崎国民学校で23人の負傷者が出た。
以降も熊野地、野田、阿須賀などが焼夷弾や爆弾などの攻撃を受け、7月24日午前には西阿須賀町から丹鶴町にかけて250㌔爆弾数個が投下。当時、現在の新宮郵便局付近にあった県立新宮高等女学校では校舎全壊、死者50人、負傷者200人の被害を受けた。
同大社境内の忠魂碑は54(昭和29)年12月19日に建立されたもので、日清戦争~大東亜戦争で戦地に赴き尊い命を散らしていった1158柱の英霊が祀(まつ)られている。
慰霊祭を終え上野宮司は、今年、本土復帰50年の節目となった沖縄において、終戦後最も早い時期に建てられた慰霊碑「魂魄(こんぱく)の塔」に言及。「沖縄の人たちは『怨親平等』を実践した。怨親平等の根底にあるものは慰霊だと思う。今をちゃんと生きようという実感が、暴力や犯罪を少なくする。慰霊の気持ち、祖先への思いを大切にしてほしい」と思いを語った。
(2022年8月17日付紙面より)
花火大会に多くの観客 (紀宝町 )
紀宝町花火大会が15日、鵜殿港で開催され、3年ぶりにお盆の夜空に大輪の花が咲いた。新型コロナウイルスの影響で2年間中止となっていたが、感染症対策を取った上で実施。町内外の住民や帰省客らが集まり、趣向を凝らした約700発の花火を楽しんだ。
町村合併前の「初盆供養・追善花火大会」を新町でも引き継ぎ、2006年から町の花火大会として実行委員会(実行委員長・西田健町長)が主催。毎年、メッセージ花火や追善早打ちなど趣向を凝らした花火が夜空を染め夏の風物詩に定着していた。
太平洋を背に追善スターマインやメッセージ花火が次々と打ち上がり、家族連れや友達同士で夜空を見上げていた。
花火大会を前に、初精霊供養があり、西田町長が「ふるさと紀宝町の繁栄を見守りいただきたい」とあいさつ。藤根正典、谷川孝栄両県議、向井健雅町議会議長も哀悼の意を表した。
東正寺(とうしょうじ)の片野晴友住職らによる読経に続いて西田町長、遺族代表の瀬古真市さんらが焼香。35柱の初盆家庭が供えた灯籠に手を合わせ故人の冥福を祈った。最後は銀滝花火が灯籠を焼いた。
(2022年8月17日付紙面より)
「海亀を守る会」が確認 (新宮市 )
ウミガメの保護活動を展開する「紀伊半島の海亀を守る会」(榎本晴光会長、環境ファースト連合会会員)は14日早朝、新宮市王子ヶ浜のふ化場で50匹のアカウミガメのふ化を確認した。榎本会長は「(地面に)聴診器を当てたら音がしていたのでまたふ化すると思う」と期待を寄せている。
同浜は絶滅危惧種・アカウミガメが訪れる世界でも数少ない海岸の一つ。同守る会では、波浪流失や小動物の捕食被害から守るため、卵を海岸に隣接するふ化場に移して安全に保護する活動をしている。
このたびふ化したのは、6月14日に確認された今期初産卵のもの。産卵確認日から62日目に128個の卵から50匹がかえった。今期、同浜では5回のアカウミガメの上陸が確認されており、うち4匹が約490個の卵を産んだ。
なお、昨年は例年より早めとなった5月20日に初上陸と初産卵を確認。以降、上陸は確認されたが産卵はなかった。初産卵で98個の卵を確認し14匹がふ化し9月下旬に放流した。
榎本会長は「数日前から砂場がへこむなど(ふ化の)兆候があった。昨年は少なかったが今年は5匹も上がってくれた。ふ化率5割は難しいかもしれないが、産卵、ふ化を確認した瞬間は格別で保護活動の醍醐味(だいごみ)です」と話していた。
ふ化は数日間続く見込み。一定の大きさに育つまで餌やりや水替え、水温などの管理を行い、海水温が低くなる前に放流を実施する予定。
(2022年8月17日付紙面より)
池野山区で初精霊供養 (古座川町 )
古座川町の池野山区(垣秀志区長)が15日夜、八坂神社そばの広場で初精霊供養「灯ろう焼き」を営んで区内の初精霊を天上へ送り出した。
祖先を供養する風習として定着する盆行事。同区は平年、初精霊の親族と共に14日に迎え、15日に送りの盆祭りを営み、区を挙げてその遺徳をしのんでいる。
今年は12霊と例年になく多い初精霊を迎えて送ることとなり、同区は集まる親族の多さと新型コロナウイルスの情勢から感染症予防は難しいと判断。平年にある追善の地踊り(通称・扇の手)を含む盆踊りや縁日は中止とし、区の世話役と親族らで灯ろう焼きのみ営むとした。
親族は盆中に掲げた紙灯ろうを持って参集し、区が準備した竹棚につり下げ。高池にある龍谷山霊巌寺の小原征雄住職らが法要を営み、読経を交えて紙灯ろうをに火を入れてたき上げた。
垣区長は送る初精霊の多さを憂いつつ親族に今年の盆行事の経緯を伝えて理解を求め、他の世話役と共に灯ろう焼きに奉仕した。
(2022年8月17日付紙面より)