来年の大絵馬が完成 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で15日、来年のえと「壬寅(みずのえとら)」の大絵馬が完成した。12月から大社拝殿に掲げられる。
大絵馬はヒノキ製で、縦1・5㍍、横2・1㍍。上野宮司が7月ごろから構想を練り、手直しなどを加えて今日に至った。
アクリル絵の具などを使用し、瑞光を背景に梛(なぎ)の御幣をくわえ、鋭い眼光で前を見据える雄虎を表現。疫病や不浄を表したという岩を、たくましい前脚で力強く踏み付ける。上野宮司は「新型コロナウイルス感染症の影響で不自由な生活を余儀なくされる中、期待を持って新しい年を迎えたい」と絵馬に込めた思いを話す。
「地球のために全ての祈りを」の文字を書き入れて絵馬を完成させ、「祈りは人間だけのものではない。地球の命、より良い自然環境、伝統、美しいもの。全ての祈りを母なる地球に捧げたい」。
また、温暖化対策が進まない世界の現状について主張を重ねる環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんに触れ「地球は今、ターニングポイントに来ていると思う。来年は地球のために祈ることの大切さに気付く年になれば。一人一人が世のため、人のため、地球のために尽くすことができれば、より良い年になると思います」と話した。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬(縦70㌢、横110㌢)は、12月半ばごろに届けられる予定。
(2021年11月16日付紙面より)
2年ぶりの収穫祭盛況 (北山村 )
北山村のおくとろ公園観光センターで14日、2年ぶりに「じゃばらの里の収穫祭」が開かれた。快晴の下、村内外から多数の来場者が訪れ、買い物や地元グルメを楽しんだ。
特産品「じゃばら」の収穫を祝って開くイベントで、今年は紀の国わかやま文化祭2021の地域文化発信事業として開催。じゃばらの収穫体験や今年の収量当てクイズ、じゃばらや筏(いかだ)下りのパネル展、小中学生の作品展などがあった。
じゃばら園での収穫体験にはイベント開始時から大勢が参加し、北山振興㈱の職員から収穫に適したサイズや効能、活用法についても学んだ。じゃばら加工品の販売の他、おくとろ温泉による魚市も盛況だった。
この日は「北山3村フェスタ2021」も同時開催。北山村青年会による射的やスーパーボールすくい、林業に携わるシンガーソングライター・カモンユキオさんによる「きこりライブ」、学校給食から生まれた「じゃばら唐揚げ」の販売もにぎわいを見せていた。
同文化祭北山村実行委員長の中島良範教育長は「天気にも恵まれ、村内外のたくさんの方々に北山村の美しさや歴史を感じていただけて最高です。じゃばらの収穫期こそ、村の一番いい時期。新型コロナ後に向け、小さなスタートを切れたのでは」と話していた。
(2021年11月16日付紙面より)
来年のえと「寅」の色紙 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で来年のえと「壬寅(みずのえとら)」の色紙作りがピークを迎えた。男成宮司が直筆で1枚ずつ、色紙に「瑞兆」の文字を書き添えている。今月中に1500枚を完成させる予定。
色紙には勇ましい色鮮やかな虎と初日を配した那智の滝が描かれている。同社によると、虎に関することわざの「虎口を脱する」にちなみ、来年こそは未曽有のコロナ禍から脱し、めでたい初日の光のごとく明るい兆しが現れ、人々にとって心安らぐ幸せな一年になるようにと願いが込められているという。
14日は同大社斎館で、男成宮司が色紙に文字を書き入れ、巫女(みこ)が社印を押して仕上げた。
男成宮司は「ワクチン接種などが進み、感染者も減って参拝者も多くなってきた。明るい兆しが見えつつある。来年こそは、危険なコロナ禍から抜け出せるように色紙を描いた。皆さまの幸せを願っています」と語った。
社頭での授与は15日から行い、発送は11月下旬からを予定。1枚2000円。送料は2枚以下600円、3枚以上は1200円。申し込みは、はがき(〒649―5301那智勝浦町那智山1、熊野那智大社)、FAX(0735・55・0643)、または同大社ホームページで受け付けている。
(2021年11月16日付紙面より)
CGS部と初連携しつつ実施 (田辺海上保安部 )
串本町樫野にある樫野埼灯台で14日に一般公開があり、普段は無人灯台として閉ざされている内部を見学する機会などが提供された。
153周年灯台記念日(今月1日)行事の一環。この記念日は日本で最初に点灯した観音埼灯台の起工日に基づいて定められていて、樫野埼灯台は観音埼灯台と並んで改税条約(江戸条約)により建設されることになった8灯台の1基としてグレゴリオ暦(=西暦)1870年7月8日(旧暦明治3年6月10日)、8灯台中4番目に点灯した経緯がある。
管轄する海上保安庁田辺海上保安部(上野春一郎部長)は8灯台の一基、潮岬灯台が常時内部見学可能であるのに対し、平時は閉ざしている樫野埼灯台も広く知ってもらうため、この公開を灯台記念日と絡めて定例化している。最近は同町が関西文化の日に合わせて同灯台旧官舎やトルコ記念館、日米修交記念館を無料開放していて、時期はずれるが相乗効果を目指して期日を合わせるよう考慮して実施している。
今回は初の試みで、県立串本古座高校CGS部と連携。灯台内部で同灯台の沿革紹介パネルや灯台絵画コンテスト2021受賞作品展示と併せて同部の活動紹介パネルを展示し、日本機械学会の機会遺産に登録されている昭和8年導入の心臓部・光学系機械装置(昭和7年度製造)については同部交通課課員や同部生徒が解説をし、水銀槽に浮かせて灯部を回転させる(昔は分銅〈現存〉、今はモーターが動力)という今では希少な仕組みを伝えるなどした。
午前11時には灯台南方の洋上で串本海上保安署所属巡視艇「PC―102 30㍍型〈船名・むろづき〉」と関西空港海上保安航空基地所属中型飛行機「サーブ340B型」の運航展示もあり、居合わせた見物客は手を振って両者の共演に親しんだ。同庁のマスコットキャラクター・うみまるも登場して記念撮影に応え、都合により子ども用が確保できなかったが制服試着の機会も提供。同部は敷地内で調理班がレシピを開発した万能だれ「あがらのたれ」の紹介と販売にも取り組んだ。
来場者にパンフレットやPRグッズを配って見学に感謝した上野部長は「造られた当時は船乗りのものだっただろうが、150年余りを経て地域の資源としても親しまれるようになっている。今回は初めて串本古座高校CGS部さんと連携したが、これからも地域と共に盛り上げることを続けていこうと思う」と話し、同部交通課課員と共に灯台と人を近しくすることに努めていた。
(2021年11月16日付紙面より)