くじらに出会える海水浴場 (太地町 )
太地町の名物となった催しの「くじらに出会える海水浴場」の準備に向けて、町立くじらの博物館(林克紀館長)は13日、くじら浜海水浴場にハナゴンドウ2頭を搬入。職員らが協力しスムーズに作業を進めた。
展示期間は17日(土)から8月17日(火)まで。午前11時と午後1時の2回(約15分間)、網いけすから開放される。
クジラの近くで泳ぐことができる人気の催しで2008年から始まり今年で13回目。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。
今年は感染防止対策で網いけすに特設ステージは設置しない。
搬入されたのは飼育展示5回目で雌のニール(体長291㌢、推定体重380㌔、推定18歳)と、3回目で雄のシロ(297㌢、推定体重380㌔、推定25歳)。
午前6時ごろから搬出作業を開始。1頭は博物館から担架に乗せ、トラックで森浦湾に運び出した。森浦湾からも1頭を搬出。その後、ボートにくくり付けて海水浴場へ向かい、網いけすに搬入した。
職員から餌をもらった2頭はいけす内を泳ぎ回り、ジャンプするなど元気な姿を見せた。
同館の稲森大樹副館長は「2頭とも健康で、搬送後も餌を食べるなど元気な状態。今年は感染症対策を設けた上でのオープンとなる。お客さまとクジラが同じ空間を共有できるので楽しんでほしい。隣接する博物館にも足をお運びいただけたら幸いです」と語った。
(2021年7月14日付紙面より)
「るれいる」メンバーがアクセサリー作り (紀宝町 )
紀宝町の中高生ボランティアグループ「東紀州学生ボランティア『るれいる』」が10日、同町鵜殿の大和田文雄・富子さん夫妻からアクセサリー作りを学んだ。
同グループは同町立矢渕中学校の6人と県立木本高校の10人で発足し、代表は木本高校3年の藤本将太君。同町社協が紀宝町鵜殿の町有住宅で運営する子ども食堂と駄菓子屋でのボランティアを活動の中心とする。この日は「ふれあい子ども食堂」を手伝った中学生3人が、終了後に隣家へ移動。大和田さん夫妻が用意したフェルト布や糸、縫い針などを使ってウサギ、ハムスターなど幅5㌢ほどのかわいいアクセサリー作りに挑んだ。文雄さんが描いた型紙に合わせて布を切り取り、手作業で表裏を縫い付けて最後は綿を内部に詰めて膨らみを持たせ、各人が約30分で一体を完成させた。
大和田さんらがアクセサリー作りを始めたのは約4年前という。文雄さんは「知人にあげると喜ばれた。できた作品を子どもたちと一緒に、施設利用者の皆さんに届けたい」と希望する。市川咲紗さんは「縫うときの針の間隔がばらばら。難しくて1個でも疲れた。次は高校生のグループにも参加してもらえたら」とも話した。次回は18日(日)を中心に、日程調整を進めているという。
(2021年7月14日付紙面より)
社会を明るくする運動 (新宮市 )
7月は法務省が主唱する「社会を明るくする運動~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」強調月間。和歌山保護観察所(奥田幸生所長)では「社明キャラバン隊」を結成し、各地で広報活動を行っている。落語家の桂枝曾丸(かつら・しそまる)隊長率いるキャラバン隊は12日、新宮市役所を訪れ、向井雅男副市長(田岡実千年市長代理)に菅義偉内閣総理大臣のメッセージを伝達した。
社明運動は、全ての国民が犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせて犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な取り組み。
71回目を迎える今年は「#生きづらさを、生きていく。」をテーマに全国各地で運動が展開されている。和歌山保護観察所では昨年、70回目の節目に当たりキャラバン隊を結成。数年かけて県内10カ所の更生保護サポートセンターを巡回する予定としている。
菅内閣総理大臣からは「新型コロナウイルス感染症によるさまざまな困難克服には支え合う人の絆やコミュニティーの存在が大切。犯罪のない明るい地域社会づくりに取り組む決意のしるしである『幸福(しあわせ)の黄色い羽根』(※)の下、多くの人に運動に参加いただけるよう協力を」と呼び掛ける内容のメッセージが伝達された。
□ □
強調月間に当たり、各推進委員会では「全ての県民が犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築く」を趣旨として運動を展開している。
刑法犯の認知件数が減少傾向にあるが、一般刑法犯による被検挙者のうち、再犯者の占める割合(再犯率)は依然として高い状況にある。
2020年版犯罪白書によると、再犯者率は1997年以降上昇し続けており、2019年は48・8%に達した。
□ □
※幸福の黄色い羽根=犯罪のない幸福で明るい社会を願うシンボルとして2009年から使用されている。刑期を終え出所した男性を温かく迎える夫婦愛を描いた映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年、山田洋次監督)から着想を得た。
(2021年7月14日付紙面より)
町出身の木皮成さんら (串本町 )
串本町出身のダンサー兼振付師・木皮成(きがわ・せい)さん(31)らが11日、同町田並にある田並劇場で舞台芸術「スーパーテクニックス」の披露に臨んだ。
木皮さんは県立串本古座高校を経て多摩美術大学へ進学。舞台芸術を学び、ダンス分野へとまい進して主にアジア圏で交流と実績を積み上げ自身の表現を追究している。その成果を生かす一端で2月、母親から聞いた同劇場に協力を申し出て4日間の創作ダンスワークショップ(WS)に取り組んだ経緯も持つ。
「スーパーテクニックス」は木皮さんが代表を務める合同会社フットワークスの舞台芸術作品で、木皮さんが映像作家としての才覚も注いで構成を担当。東京都の北区文化振興財団の事業委託を受けて昨年秋から区内の小中学校で公演を重ねるさなかにあり、創作ダンスWSの延長で披露についても同劇場へ協力を求め実現するに至った。
木皮さんは根本和歌菜さん、高下七海さん、丹野武蔵さんと組んで出演。音楽と映像による演出を交えたダンス表現でコント(=ショートストーリー)の世界観を複数つづる内容で、45分間の上演は演出や補足説明として言葉を使う以外は音楽、映像、ダンス(ジェスチャーを含む)を一体化した表現主体で進行した。
この日は午後2時30分と午後5時に披露があり、高校生以下は無料、その他一般は入場料1000円で迎え入れた。午後2時30分の公演には子どもから高齢者まで20人が鑑賞。終盤では観客の心をつかむため冒頭で演じた「消毒ダンス」の振り付けをみんなで体験するミニWSもあり、和気あいあいとした雰囲気で締めくくった。
区外での披露は今回が初。その第一歩をふるさと串本で踏み出した木皮さんは「今すごく緊張感があふれる日常を少しでも緩和できたらと思う。親子や家族で一緒に鑑賞してもらい、普段とは違った雰囲気でコミュニケーションを取ってもらえたらうれしい」と込めた思いを語り、WSとは違った形で自身の表現を仲間とともにふるさとへ伝えた。
(2021年7月14日付紙面より)
新宮高校女子サッカー部
県スポ少大会バレーボール競技
三輪崎区で七夕祭り (新宮市 )
新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)は七夕当日の7日、三輪崎海岸で「七夕祭り」を開いた。夕方には願い事を書いた短冊をつるした笹(ささ)飾りを手にした子どもや家族連れが集まり、七夕ムードを満喫した。
七夕は五節句の一つで、日本においては奈良時代に中国から伝わった七夕行事が、元から日本にあった「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と合わさって誕生した。短冊などを笹に飾る風習は江戸時代に始まったもので日本以外では見られない。
同区は、毎年三輪崎海岸で、近隣の子どもたちが持ち寄った笹を集め「七夕流し」を行う七夕祭りを開催していたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み中止に。三輪崎会館に子どもたちの笹を集め、一日限定で同館に飾り、伝統行事を楽しむ機会としていた。
「今年も中止では子どもたちがかわいそうで心苦しい」。同区では今年、2年連続の伝統行事中止を阻止すべく協議を重ね、会場入り口に消毒液を設置し、人の動線をスムーズにするなど工夫を凝らして祭りの開催にこぎ着けた。前日から準備を開始し、会場の草刈りやごみ拾いを実施。会場を設営し、最後に「コロナに負けるな」の看板を取り付けた。
祭り当日の午前中には、保育所型認定こども園「三輪崎保育園」の年長組21人が来場。全園児が願いを託した笹飾り5本を区役員らに預けた。笹は会場に飾り、役員は園児らにお土産としてお菓子を手渡した。
園児たちは「きょうりゅうはかせになりたいな」「やきゅうがじょうずになりたいな」「おともだちとたくさんあそびたいな」などの願いが込められた短冊を前に「たなばたさま」を口ずさみ、区役員らに「ありがとうございました」とあいさつし会場を後にした。
屋敷区長は「高齢者のワクチン接種も進んでおり、屋外ということもあり開催に至った。雨も降らず、子どもたちにも喜んでもらえて良かった」と笑顔。「コロナが終息し、子どもたちの願いもかなうといいですね」と七夕の願いを口にした。
(2021年7月9日付紙面より)
地域支え合いフォーラム (新宮市 )
新宮市役所別館で7日、地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう!わがらのまち~しんぐうで暮らし続けるために今できること~」が開かれた。74人が来場し、日頃の支え合い・助け合い活動の重要性を再確認するとともに、災害への備えにもなる地域住民のつながりのつくり方についても考える機会とした。
新宮市と市社会福祉協議会主催で、「住み慣れた地域で生き生きと暮らしたい」という人々の願いをかなえるため、地域に必要とされている支え合い活動について理解を深めてもらうことが目的。
開会に当たり、田岡実千年市長は「市の人口約2万7000人のうち、65歳以上の人口は1万1000人ほどで、高齢化率は全国平均を上回る。市では医療や介護、介護予防、生活支援、住まいなどを一体となって提供する『地域包括ケアシステム』の構築を目指しており、それには地域住民同士の支え合いの力が不可欠。今後も一緒に町づくりを進めていきたい」とあいさつした。
基調講演では和歌山県社会福祉協議会・県災害ボランティアセンターの南出考さんが講話。2011年の紀伊半島大水害や東日本大震災の被災地支援に携わった経験を基に「少子高齢化や単身世帯の増加、ライフスタイルの多様化、つながりの希薄化といった地域の課題が解決されないまま災害を迎えると、問題がさらに深刻化する。平常時から一人一人の違いを認め合い、理解し合い、触れ合う機会を増やして、災害があってもなくても助け合える関係をつくっておく。それが災害時の円滑な活動の土台になる」と語った。
地域の取り組み発表では、広角地区の田中みちよさんと中野末子さんが「みんなが笑える広角~思いついたらやってみよう!~」と題し、新宮警察署横の広場を借りたグラウンドゴルフが市や社協など関係機関の連携で実現したことを発表。三輪崎地区の石原千里さんは「みんなでつくる私たちの居場所」と題し、グラウンドゴルフや布マスク作り、男性住民の集いの場などについて共有した。パネルディスカッションでは、コロナ禍中の活動の難しさや住民同士の「初めまして」の関係をなくしていくことの重要性について話し合っていた。
(2021年7月9日付紙面より)
古座中、中核人材迎えて (古座川町 )
古座川町立古座中学校(井口英夫校長、生徒86人)が6日、近畿大学農学部の熊井英水名誉教授を迎えてクロマグロ完全養殖の研究史やその姿勢に触れる機会を持った。
第2学年の地域学習「海の学習」から派生した全校学習の機会。同学年は社会情勢により取り組み難い状況となっている従来の活動に代わる関心の糸口として串本町発祥のクロマグロ完全養殖に注目し、中核人材の熊井名誉教授に講師登壇を依頼した。快諾が得られ、同校は名誉教授による貴重な学びは2年生だけでなく全員で共有すべきだと考え、全校学習の場を設けることにしたという。
熊井名誉教授は「まぐろを育てる~世界初完全養殖クロマグロのはなし~」と題して登壇した。マグロの種類や生息海域を紹介し、1970年に始まった研究の初期は海から得た稚魚・ヨコワを養殖環境で育てるため餌やいけすの研究が主だったことを説明。安定して養殖できるようになった先で思い描いたのが養殖環境での産卵で、研究を重ねて79年に成功。卵から稚魚を得れば集めるのが難しいヨコワに頼らず十分な数を確保できると夢を思い描き、83~93年に全く産卵がない苦境に直面しても諦めずその研究を続けた。
産卵がない原因の究明をしつつ卵を人工ふ化させて稚魚まで育てる過程で起こる共食いや衝突死の原因と対策の研究も進め、95年に稚魚の生産に成功。「この稚魚が産卵をすれば、養殖環境でクロマグロを一生涯育てられることになる」とさらに夢を追い、2002年に人工ふ化させたクロマグロが産卵し世界初の完全養殖を達成した。
約5年後にはその卵(第2世代)から生まれたクロマグロが産卵し第3世代が誕生。現在は卵から育てた養殖用稚魚やクロマグロを出荷できる状況となっている。
熊井名誉教授は卵から得た稚魚の可能性を養殖と放流の2系統で紹介。▽継続(根気と忍耐)▽正確な観察眼▽愛情―を自身の水産増殖研究の3訓として掲げて話をまとめた。生徒を代表して杉本奏さん(3年)は諦めない姿勢が感動的だったと感想を述べて講演に感謝し、全校学習を締めくくった。
2年生は引き続き、熊井名誉教授と共に「海の学習」に取り組み、天然資源減少に対する水産庁の対応や養殖のメリットとデメリットなどを質問して完全養殖への理解を深めた。
(2021年7月9日付紙面より)
11日から夏の交安県民運動 (南郡交対協 )
11日(日)から「夏の交通安全県民運動」が始まる。20日(火)までで、重点目標は「高齢者と子どもの交通事故防止」「横断歩道における歩行者優先」「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用」「飲酒運転の根絶」。
期間中、南牟婁郡交通安全対策協議会(会長・大畑覚御浜町長)は、紀宝地区交通安全協会、紀宝警察署と共に各種啓発活動を展開する。
運動に先駆け、同協議会は2日、御浜町役場で委員会を開き、運動期間中の取り組みを確認した。
協議会は紀宝、御浜両町と熊野市紀和町の行政、議会、教育、交通安全団体の代表などで構成し、紀宝警察署長が顧問を努めている。
大畑町長は「今月下旬には夏休みに入り、車や人の流れが多くなると予想され、事故の増加が懸念される。皆さまのご意見とご尽力を」とあいさつした。
昨年度は年4回の交通安全運動期間をはじめ、年間を通じて啓発運動や街頭指導を展開。今年2月には作製した「交通事故分析冊子」を配布した。本年度も児童・生徒や高齢者対象の交通安全教室などさまざまな運動を展開して、無事故無違反への意識高揚を図る。
紀宝署の濱口裕史署長によると、6月末の県内死亡事故は25件(昨年比16減)、死者数25人(同17減)といずれも減少したものの、人口10万人当たりの死亡事故は1・4人で全国ワースト16位の厳しい状況にある。一方、管内の人身事故は10件(同1増)で、負傷者数13人(同2減)。死亡事故は発生していない。
横断歩道を渡る際、成人もちょっと手を上げて運転車に知らせる「ハンドサイン」キャンペーンもDVD動画で紹介し、出席した委員が安全安心な交通環境構築を再確認した。
(2021年7月9日付紙面より)
熊野川地域フラワーツーリズム協議会 (新宮市 )
熊野川地域フラワーツーリズム協議会(下阪殖保会長)のメンバーら約10人は7日、新宮市熊野川町日足のバイパス近くの休耕田約0・5㌶にヒマワリの種約15㌔を植えた。
同協議会は、2011年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所として活性化し町民らを元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモス、菜の花などの種をまいている。今年で9回目の取り組みとなる。
他にもこいのぼりの設置やさまざまなイベントを企画・実施し、復興を祈念するとともに水害当時に思いを寄せる機会としている。
市制施行10周年記念として15年から開催されている「ひまわりまつり」では一帯を大輪のヒマワリが彩るが、今年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、昨年に引き続きまつりは中止に。
そんな状況下でも協議会メンバーらは「町の活性化につながれば」と思いを込め、一つ一つ丁寧に大輪花で耐倒伏性が強いヒマワリの品種「ハイブリッドサンフラワー」の種を植えていった。
先月30日には約1・5㌶の休耕田に約20㌔のコスモスの種をまいた協議会メンバー。種をまいた後は発芽しやすいように土をかけ、肥料の散布も実施した。今年のコスモスは約3カ月で開花する早咲き種で花径約7、8㌢の大輪になるものもあるという。
「秋には花畑があふれ、町を訪れる人たちに楽しんでもらうとともに、復興を祈念できれば」。大水害以降も幾多の風水害を乗り越えてきた熊野川町。町を彩るヒマワリとコスモスの開花は9月ごろを予定している。
(2021年7月8日付紙面より)
図書館が引き継いで所蔵へ (串本町 )
串本町教育委員会(潮﨑伸彦教育長)がこのほど、ケンケン漁ゆかりの漁具・工具や研究資料一式の寄贈を受けた。串本町図書館(池田三明館長)へ引き継ぐ方向で段取りを進めていて、池田館長は閲覧できる状態にある研究資料は7月中旬をめどに郷土資料として蔵書登録し閲覧公開、漁具は年末をめどに展示公開を目指すとしている。
町教委によると、一式は田並の故・雑賀徹也さんが生前の研究でそろえたもの。遺品整理をする中で「貴重では」と感じた家族が知り合いの役場職員の仲介で町教委に相談し、寄贈するに至ったという。
内訳は漁具が▽潜行板7個▽飛行機6個〈大2、小4〉▽爆弾3個▽ウキ1個▽手釣り用木枠〈釣り糸つき〉1個▽疑似餌複数個―、工具は木製の潜行板、飛行機、爆弾を作る道具など11個。研究資料がファイル4冊(写真や新聞記事の切り抜き、独自考察など)と未整理の文書・図面・写真で数量不詳となっている。
潜行板、飛行機、爆弾は漁業従事者が漁具の形状や用途を見て用いていた呼称。研究資料は故・雑賀さんが生前に和歌山東漁業協同組合へ寄稿したケンケン漁推察の出典元となるさまざまな文書資料や独自考察、写真などで「天馬船」の設計図面〈実物〉も含まれている。
一式全体として整理が追いついていない状態にあり、その作業を進めてできる限り所蔵していくという。池田館長は「本館は農業関係に比べて漁業関係の民具が少ない。(同町の代表的な漁業の一つである)田並発祥のケンケン漁にまつわる内容ともあってとてもありがたい寄贈だ」と喜び、今後の公開に意気込んでいる。
ケンケン漁は、田並からハワイへ渡った移民者が現地の漁法を洗練して持ち帰り全国へと広めたとされるカツオ漁法。現在は長さおを漁船の両舷へ羽のように伸ばして仕掛けを引く形へと発展し、代表的なカツオ漁法の一つとして浸透している。
(2021年7月8日付紙面より)
宇久井中で海洋教育 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)で6日、地元漁師の東信義さんによる漁業学習があった。2年生29人が地元の漁業について学び、理解を深めた。
同校で20年以上続く海洋教育の一環で、ふるさとの漁業の歴史や取り組みを学ぶとともに、将来的な漁業後継者を育てることも目的の一つとしている。
東さんは宇久井漁業協同組合に所属し、引き縄(ケンケン)漁とイセエビの刺し網漁を営む傍ら、ホエールウオッチング業にも従事している。
授業では東さんの経験を基に、地元の主な漁法としてマグロやカツオを取る「はえ縄」「引き縄」「一本釣り」、アジやサバ、サンマなどの「棒受け網」、ブリを中心に季節の魚を取る「定置網」、「養殖」などの仕組み、クジラの種類や生態についても解説した。
生徒からは「クジラが見える確率は」「宇久井漁協はどういった組織なのか」「難しい漁法は」「漁に出ないときは何をしているのか」などの質問があった。
東さんは「ウオッチングは5月のシーズンなら90%以上見ることができる」「組合がないと僕らは魚を持って行くことができない。漁師のまとめ役」「どの漁法も慣れるまで難しいが、棒受け網は難しい」「漁以外では網の修理などをしている」と答えた。
この日の朝に定置網で取れたイワシやイカ、サバ、カツオ、シイラ、タチウオなどを直接見せながら特徴や種類を説明した。
学級委員の田原まなさんは「漁法の説明や実際に魚を見せていただき、ありがとうございました。宇久井の漁業について学ぶことができました」と感謝を述べた。
坊校長は「発展した漁業がこの地域を支えてきた。その歴史などを学んでほしい」と述べた。
同校によると、2年生は3学期、船に乗って定置網の見学を実施するほか、3年生は漁協女性部の協力の下、魚食体験を行うという。
(2021年7月8日付紙面より)
区長会で各種事業を報告 (紀宝町 )
町内14地区と町で組織する紀宝町区長会(会長・辰巳尚鵜殿区長)は6日、同町役場大会議室で定例会を開催。役員改選に伴い、会長に辰巳区長、副会長に鮒田区の東口高士区長を再任した。
各区の区長、役場職員が出席し、西田健町長は「町内でこれまで新型コロナウイルスの感染者がないものの、地域経済にとっても厳しい状況にあり、町としてもできる限り支援をしたい。全国学力テストで、小中学校5教科中3教科で全国平均を超えた。子どもたちは学力やスポーツも頑張ってくれている」とあいさつ。各課の担当職員が町の関連事業などを説明した。
65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種は1日現在、1回目が2701人、2回目は1769人が済ませた。3、4日に720人が集団接種し、1回目接種率は約85%だという。
担当課長は「8月も土、日曜日に集団接種を計画しているが、ワクチン供給量によって設定できないかもしれない」と報告。「接種した人は新型コロナの発症を予防できるとされているが、接種を受けた人から他の人への感染をどの程度予防できるか分からない。接種後も引き続き、手洗い・マスク着用・3密回避などの対策徹底を」と呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染症支援事業や第15回紀宝町花火大会の打ち上げ花火中止、町空き家バンク事業、第2次町総合計画、鵜殿保育所建設工事、矢渕中学校大規模改修工事の概要なども伝えた。
(2021年7月8日付紙面より)