くじらに出会える海水浴場 (太地町 )
太地町の名物となった催しの「くじらに出会える海水浴場」の準備に向けて、町立くじらの博物館(林克紀館長)は13日、くじら浜海水浴場にハナゴンドウ2頭を搬入。職員らが協力しスムーズに作業を進めた。
展示期間は17日(土)から8月17日(火)まで。午前11時と午後1時の2回(約15分間)、網いけすから開放される。
クジラの近くで泳ぐことができる人気の催しで2008年から始まり今年で13回目。昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった。
今年は感染防止対策で網いけすに特設ステージは設置しない。
搬入されたのは飼育展示5回目で雌のニール(体長291㌢、推定体重380㌔、推定18歳)と、3回目で雄のシロ(297㌢、推定体重380㌔、推定25歳)。
午前6時ごろから搬出作業を開始。1頭は博物館から担架に乗せ、トラックで森浦湾に運び出した。森浦湾からも1頭を搬出。その後、ボートにくくり付けて海水浴場へ向かい、網いけすに搬入した。
職員から餌をもらった2頭はいけす内を泳ぎ回り、ジャンプするなど元気な姿を見せた。
同館の稲森大樹副館長は「2頭とも健康で、搬送後も餌を食べるなど元気な状態。今年は感染症対策を設けた上でのオープンとなる。お客さまとクジラが同じ空間を共有できるので楽しんでほしい。隣接する博物館にも足をお運びいただけたら幸いです」と語った。
(2021年7月14日付紙面より)
「るれいる」メンバーがアクセサリー作り (紀宝町 )
紀宝町の中高生ボランティアグループ「東紀州学生ボランティア『るれいる』」が10日、同町鵜殿の大和田文雄・富子さん夫妻からアクセサリー作りを学んだ。
同グループは同町立矢渕中学校の6人と県立木本高校の10人で発足し、代表は木本高校3年の藤本将太君。同町社協が紀宝町鵜殿の町有住宅で運営する子ども食堂と駄菓子屋でのボランティアを活動の中心とする。この日は「ふれあい子ども食堂」を手伝った中学生3人が、終了後に隣家へ移動。大和田さん夫妻が用意したフェルト布や糸、縫い針などを使ってウサギ、ハムスターなど幅5㌢ほどのかわいいアクセサリー作りに挑んだ。文雄さんが描いた型紙に合わせて布を切り取り、手作業で表裏を縫い付けて最後は綿を内部に詰めて膨らみを持たせ、各人が約30分で一体を完成させた。
大和田さんらがアクセサリー作りを始めたのは約4年前という。文雄さんは「知人にあげると喜ばれた。できた作品を子どもたちと一緒に、施設利用者の皆さんに届けたい」と希望する。市川咲紗さんは「縫うときの針の間隔がばらばら。難しくて1個でも疲れた。次は高校生のグループにも参加してもらえたら」とも話した。次回は18日(日)を中心に、日程調整を進めているという。
(2021年7月14日付紙面より)
社会を明るくする運動 (新宮市 )
7月は法務省が主唱する「社会を明るくする運動~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」強調月間。和歌山保護観察所(奥田幸生所長)では「社明キャラバン隊」を結成し、各地で広報活動を行っている。落語家の桂枝曾丸(かつら・しそまる)隊長率いるキャラバン隊は12日、新宮市役所を訪れ、向井雅男副市長(田岡実千年市長代理)に菅義偉内閣総理大臣のメッセージを伝達した。
社明運動は、全ての国民が犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせて犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な取り組み。
71回目を迎える今年は「#生きづらさを、生きていく。」をテーマに全国各地で運動が展開されている。和歌山保護観察所では昨年、70回目の節目に当たりキャラバン隊を結成。数年かけて県内10カ所の更生保護サポートセンターを巡回する予定としている。
菅内閣総理大臣からは「新型コロナウイルス感染症によるさまざまな困難克服には支え合う人の絆やコミュニティーの存在が大切。犯罪のない明るい地域社会づくりに取り組む決意のしるしである『幸福(しあわせ)の黄色い羽根』(※)の下、多くの人に運動に参加いただけるよう協力を」と呼び掛ける内容のメッセージが伝達された。
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強調月間に当たり、各推進委員会では「全ての県民が犯罪や非行の防止と、犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築く」を趣旨として運動を展開している。
刑法犯の認知件数が減少傾向にあるが、一般刑法犯による被検挙者のうち、再犯者の占める割合(再犯率)は依然として高い状況にある。
2020年版犯罪白書によると、再犯者率は1997年以降上昇し続けており、2019年は48・8%に達した。
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※幸福の黄色い羽根=犯罪のない幸福で明るい社会を願うシンボルとして2009年から使用されている。刑期を終え出所した男性を温かく迎える夫婦愛を描いた映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年、山田洋次監督)から着想を得た。
(2021年7月14日付紙面より)
町出身の木皮成さんら (串本町 )
串本町出身のダンサー兼振付師・木皮成(きがわ・せい)さん(31)らが11日、同町田並にある田並劇場で舞台芸術「スーパーテクニックス」の披露に臨んだ。
木皮さんは県立串本古座高校を経て多摩美術大学へ進学。舞台芸術を学び、ダンス分野へとまい進して主にアジア圏で交流と実績を積み上げ自身の表現を追究している。その成果を生かす一端で2月、母親から聞いた同劇場に協力を申し出て4日間の創作ダンスワークショップ(WS)に取り組んだ経緯も持つ。
「スーパーテクニックス」は木皮さんが代表を務める合同会社フットワークスの舞台芸術作品で、木皮さんが映像作家としての才覚も注いで構成を担当。東京都の北区文化振興財団の事業委託を受けて昨年秋から区内の小中学校で公演を重ねるさなかにあり、創作ダンスWSの延長で披露についても同劇場へ協力を求め実現するに至った。
木皮さんは根本和歌菜さん、高下七海さん、丹野武蔵さんと組んで出演。音楽と映像による演出を交えたダンス表現でコント(=ショートストーリー)の世界観を複数つづる内容で、45分間の上演は演出や補足説明として言葉を使う以外は音楽、映像、ダンス(ジェスチャーを含む)を一体化した表現主体で進行した。
この日は午後2時30分と午後5時に披露があり、高校生以下は無料、その他一般は入場料1000円で迎え入れた。午後2時30分の公演には子どもから高齢者まで20人が鑑賞。終盤では観客の心をつかむため冒頭で演じた「消毒ダンス」の振り付けをみんなで体験するミニWSもあり、和気あいあいとした雰囲気で締めくくった。
区外での披露は今回が初。その第一歩をふるさと串本で踏み出した木皮さんは「今すごく緊張感があふれる日常を少しでも緩和できたらと思う。親子や家族で一緒に鑑賞してもらい、普段とは違った雰囲気でコミュニケーションを取ってもらえたらうれしい」と込めた思いを語り、WSとは違った形で自身の表現を仲間とともにふるさとへ伝えた。
(2021年7月14日付紙面より)
新宮高校女子サッカー部
県スポ少大会バレーボール競技
三輪崎区で七夕祭り (新宮市 )
新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)は七夕当日の7日、三輪崎海岸で「七夕祭り」を開いた。夕方には願い事を書いた短冊をつるした笹(ささ)飾りを手にした子どもや家族連れが集まり、七夕ムードを満喫した。
七夕は五節句の一つで、日本においては奈良時代に中国から伝わった七夕行事が、元から日本にあった「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と合わさって誕生した。短冊などを笹に飾る風習は江戸時代に始まったもので日本以外では見られない。
同区は、毎年三輪崎海岸で、近隣の子どもたちが持ち寄った笹を集め「七夕流し」を行う七夕祭りを開催していたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み中止に。三輪崎会館に子どもたちの笹を集め、一日限定で同館に飾り、伝統行事を楽しむ機会としていた。
「今年も中止では子どもたちがかわいそうで心苦しい」。同区では今年、2年連続の伝統行事中止を阻止すべく協議を重ね、会場入り口に消毒液を設置し、人の動線をスムーズにするなど工夫を凝らして祭りの開催にこぎ着けた。前日から準備を開始し、会場の草刈りやごみ拾いを実施。会場を設営し、最後に「コロナに負けるな」の看板を取り付けた。
祭り当日の午前中には、保育所型認定こども園「三輪崎保育園」の年長組21人が来場。全園児が願いを託した笹飾り5本を区役員らに預けた。笹は会場に飾り、役員は園児らにお土産としてお菓子を手渡した。
園児たちは「きょうりゅうはかせになりたいな」「やきゅうがじょうずになりたいな」「おともだちとたくさんあそびたいな」などの願いが込められた短冊を前に「たなばたさま」を口ずさみ、区役員らに「ありがとうございました」とあいさつし会場を後にした。
屋敷区長は「高齢者のワクチン接種も進んでおり、屋外ということもあり開催に至った。雨も降らず、子どもたちにも喜んでもらえて良かった」と笑顔。「コロナが終息し、子どもたちの願いもかなうといいですね」と七夕の願いを口にした。
(2021年7月9日付紙面より)
地域支え合いフォーラム (新宮市 )
新宮市役所別館で7日、地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう!わがらのまち~しんぐうで暮らし続けるために今できること~」が開かれた。74人が来場し、日頃の支え合い・助け合い活動の重要性を再確認するとともに、災害への備えにもなる地域住民のつながりのつくり方についても考える機会とした。
新宮市と市社会福祉協議会主催で、「住み慣れた地域で生き生きと暮らしたい」という人々の願いをかなえるため、地域に必要とされている支え合い活動について理解を深めてもらうことが目的。
開会に当たり、田岡実千年市長は「市の人口約2万7000人のうち、65歳以上の人口は1万1000人ほどで、高齢化率は全国平均を上回る。市では医療や介護、介護予防、生活支援、住まいなどを一体となって提供する『地域包括ケアシステム』の構築を目指しており、それには地域住民同士の支え合いの力が不可欠。今後も一緒に町づくりを進めていきたい」とあいさつした。
基調講演では和歌山県社会福祉協議会・県災害ボランティアセンターの南出考さんが講話。2011年の紀伊半島大水害や東日本大震災の被災地支援に携わった経験を基に「少子高齢化や単身世帯の増加、ライフスタイルの多様化、つながりの希薄化といった地域の課題が解決されないまま災害を迎えると、問題がさらに深刻化する。平常時から一人一人の違いを認め合い、理解し合い、触れ合う機会を増やして、災害があってもなくても助け合える関係をつくっておく。それが災害時の円滑な活動の土台になる」と語った。
地域の取り組み発表では、広角地区の田中みちよさんと中野末子さんが「みんなが笑える広角~思いついたらやってみよう!~」と題し、新宮警察署横の広場を借りたグラウンドゴルフが市や社協など関係機関の連携で実現したことを発表。三輪崎地区の石原千里さんは「みんなでつくる私たちの居場所」と題し、グラウンドゴルフや布マスク作り、男性住民の集いの場などについて共有した。パネルディスカッションでは、コロナ禍中の活動の難しさや住民同士の「初めまして」の関係をなくしていくことの重要性について話し合っていた。
(2021年7月9日付紙面より)
古座中、中核人材迎えて (古座川町 )
古座川町立古座中学校(井口英夫校長、生徒86人)が6日、近畿大学農学部の熊井英水名誉教授を迎えてクロマグロ完全養殖の研究史やその姿勢に触れる機会を持った。
第2学年の地域学習「海の学習」から派生した全校学習の機会。同学年は社会情勢により取り組み難い状況となっている従来の活動に代わる関心の糸口として串本町発祥のクロマグロ完全養殖に注目し、中核人材の熊井名誉教授に講師登壇を依頼した。快諾が得られ、同校は名誉教授による貴重な学びは2年生だけでなく全員で共有すべきだと考え、全校学習の場を設けることにしたという。
熊井名誉教授は「まぐろを育てる~世界初完全養殖クロマグロのはなし~」と題して登壇した。マグロの種類や生息海域を紹介し、1970年に始まった研究の初期は海から得た稚魚・ヨコワを養殖環境で育てるため餌やいけすの研究が主だったことを説明。安定して養殖できるようになった先で思い描いたのが養殖環境での産卵で、研究を重ねて79年に成功。卵から稚魚を得れば集めるのが難しいヨコワに頼らず十分な数を確保できると夢を思い描き、83~93年に全く産卵がない苦境に直面しても諦めずその研究を続けた。
産卵がない原因の究明をしつつ卵を人工ふ化させて稚魚まで育てる過程で起こる共食いや衝突死の原因と対策の研究も進め、95年に稚魚の生産に成功。「この稚魚が産卵をすれば、養殖環境でクロマグロを一生涯育てられることになる」とさらに夢を追い、2002年に人工ふ化させたクロマグロが産卵し世界初の完全養殖を達成した。
約5年後にはその卵(第2世代)から生まれたクロマグロが産卵し第3世代が誕生。現在は卵から育てた養殖用稚魚やクロマグロを出荷できる状況となっている。
熊井名誉教授は卵から得た稚魚の可能性を養殖と放流の2系統で紹介。▽継続(根気と忍耐)▽正確な観察眼▽愛情―を自身の水産増殖研究の3訓として掲げて話をまとめた。生徒を代表して杉本奏さん(3年)は諦めない姿勢が感動的だったと感想を述べて講演に感謝し、全校学習を締めくくった。
2年生は引き続き、熊井名誉教授と共に「海の学習」に取り組み、天然資源減少に対する水産庁の対応や養殖のメリットとデメリットなどを質問して完全養殖への理解を深めた。
(2021年7月9日付紙面より)
11日から夏の交安県民運動 (南郡交対協 )
11日(日)から「夏の交通安全県民運動」が始まる。20日(火)までで、重点目標は「高齢者と子どもの交通事故防止」「横断歩道における歩行者優先」「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用」「飲酒運転の根絶」。
期間中、南牟婁郡交通安全対策協議会(会長・大畑覚御浜町長)は、紀宝地区交通安全協会、紀宝警察署と共に各種啓発活動を展開する。
運動に先駆け、同協議会は2日、御浜町役場で委員会を開き、運動期間中の取り組みを確認した。
協議会は紀宝、御浜両町と熊野市紀和町の行政、議会、教育、交通安全団体の代表などで構成し、紀宝警察署長が顧問を努めている。
大畑町長は「今月下旬には夏休みに入り、車や人の流れが多くなると予想され、事故の増加が懸念される。皆さまのご意見とご尽力を」とあいさつした。
昨年度は年4回の交通安全運動期間をはじめ、年間を通じて啓発運動や街頭指導を展開。今年2月には作製した「交通事故分析冊子」を配布した。本年度も児童・生徒や高齢者対象の交通安全教室などさまざまな運動を展開して、無事故無違反への意識高揚を図る。
紀宝署の濱口裕史署長によると、6月末の県内死亡事故は25件(昨年比16減)、死者数25人(同17減)といずれも減少したものの、人口10万人当たりの死亡事故は1・4人で全国ワースト16位の厳しい状況にある。一方、管内の人身事故は10件(同1増)で、負傷者数13人(同2減)。死亡事故は発生していない。
横断歩道を渡る際、成人もちょっと手を上げて運転車に知らせる「ハンドサイン」キャンペーンもDVD動画で紹介し、出席した委員が安全安心な交通環境構築を再確認した。
(2021年7月9日付紙面より)
新宮・東牟婁で初の「五つ星」取得 (グランホテル )
新宮市緑ヶ丘のグランホテル(竹内知恵利代表取締役社長)はこのほど、公益社団法人日本食品衛生協会が推進する「食の安心・安全・五つ星事業」の五つ星を新宮・東牟婁地方で初めて取得した。2日、新宮食品衛生協会の中畑光史会長が同ホテルを訪れ、HACCP(ハサップ)=※=の考え方を取り入れた衛生管理実施店として竹内社長にプレートを手渡した。
同事業は、日頃行われている自主衛生管理を消費者にも目に見える形で掲示していくことを目的に実施。HACCPの考え方を含む▽従事者の健康管理実施店▽食品衛生講習会受講店▽衛生害虫などの駆除対策実施店▽食品衛生管理記録実施店▽食品賠償責任保険加入店―の対策を実施している施設が取得することができる。
中畑会長は「今回の取得は喜ばしいことであり、日頃の努力の結果。まだまだ当地域の普及件数が少ないため、これをきっかけに増えていってもらえれば」。
竹内社長は「大変うれしいです。頂いたプレートはお客さまの目に留まりやすい食品を扱う朝食会場に掲示したいと思います。コロナ禍ということもあり取得させていただいたことによって、今後も衛生管理の徹底に努めていきたい」と話していた。
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※HACCP=食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入などの危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようとする衛生管理の手法。
(2021年7月4日付紙面より)
消防職員らが水難救助訓練 (那智勝浦町 )
海水浴など水辺でのレジャーシーズンに向けて那智勝浦町消防本部(湯川辰也消防長)は6月30日、同町のブルービーチ那智(那智の浜)で水難救助訓練を実施。同消防本部警防第三班の9人が訓練を通して有事に備えた。
同浜と玉の浦海水浴場で22日(木・祝)から8月22日(日)にかけて開設される同町の海水浴場(新型コロナウイルス感染状況により変更となる場合あり)。
訓練は、これから迎える海水浴シーズンを前に、水難救助事案への対応強化を図ることを目的に毎年行われている。昨年、同町では3件の水難事故が発生した。
準備運動を済ませた職員らは、水中で泳力向上を目指し水平潜水や立ち泳ぎなどの訓練を実施。水上安全法の復習を兼ねて、要救助者の気道を確保した上で溺者搬送した。
訓練の様子を見守っていた関谷善文消防署長は「訓練を通して万全を整え安全をお守りしたい。皆さんも水の事故に十分に気を付けて、シーズンを楽しく過ごしてほしい」。
また、「子どもから目を離さないで。また、川の場合には知らない間に増水している場合もあるので天候には気を付けてほしい。飲酒時の遊泳はやめてください」と遊泳における注意を呼び掛けている。
(2021年7月4日付紙面より)
浦島観光ホテルが道普請 (那智勝浦町 )
浦島観光ホテル株式会社は6月30日、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部である中辺路かけぬけ道の道普請を実施した。同社のSDGs部会に所属する社員16人が参加し、参詣者が安全に通行できるよう石段に堆積した落ち葉や枯れ枝を払い落とした。
和歌山県が実施する「10万人の参詣道環境保全活動」の一環で、同社の参加は今回が初めて。同社は2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の理念に賛同し、▽環境▽働きやすい職場づくり▽地域共生を目指して―の三つを目標に若手社員を中心とするグループを組織。地域共生班はボランティアで海岸清掃などにも参加している。
この日は熊野那智大社から妙法山阿弥陀寺へ向かうかけぬけ道の20丁石~21丁石の約100㍍を清掃。熊手や竹ぼうきで落ち葉や腐葉土に埋まっていた石段を掘り起こした。
SDGs部会の事務局をしている小山正人さんは清掃の終わった参詣道を振り返って「大変な作業だったが、見違えるほどきれいになった」と語り、「熊野古道を趣味で歩いている上司に連れられ、大阪~和歌山間を歩いたことがある。新型コロナウイルス感染症の影響で中断しているが、そのうち紀伊路や大辺路を歩いて和歌山沿岸を一周したい」と話していた。
参加者たちはその後、歩いて参詣道を下り、熊野那智大社と那智山青岸渡寺へ参拝していた。
(2021年7月4日付紙面より)
復興イベント実行委員を選出 (新宮市熊野川町 )
新宮市熊野川町の熊野川総合開発センターで6月30日、「チームくまのがわ」の会合があり、メンバーや関係機関から約30人が出席した。2011年の紀伊半島大水害からの復興記念イベント「熊野川は元気で~す!」に向けた話し合いや作業分担があり、実現に向けて実行委員8人が選出された。
復興記念イベントは町内約600世帯に「黄色いハンカチ」を配布し、災害復興に携わった人々への感謝や熊野川町の今を伝えるメッセージを書いてもらい、9月5日(日)から期間限定で新宮市さつき公園(紀伊半島大水害復興祈念公園)に飾るというもの。日常の中で薄れつつある水害の記憶を後世に伝え、防災意識を高める狙いもある。
会合では調達した黄色い布(1反)の裁断・梱包(こんぽう)作業の分担や、町内への配布日程について話し合い、チームメンバーが中心となって住民へ協力を呼び掛けることを確認。9月5日に併せて実施予定の展示や講演会も議題に上り、「子どもが楽しめる体験ブースがあった方がいい」「コンサートもあった方が、いろいろな人に興味を持ってもらえるのでは」などの意見があった。その後、実行委員の選出があり、会合で出された意見を精査・具体化していく方針を決めた。
イベント発起人の一人で実行委員にも選ばれた下阪殖保さんは「水害の教訓を忘れず防災に力を入れて、これからもみんな元気に熊野川で暮らしていきたい。その思いが伝わるイベントになればうれしい」と話していた。
(2021年7月4日付紙面より)
県小学生バレー男女大会予選
扇立祭は時間短縮の上斎行 (熊野速玉大社 )
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ「扇立祭(おうぎたてまつり)」=14日(水)=を前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は2日、祭り当日に各殿で開帳する檜扇(ひおうぎ)7握を虫干しのため蔵から出し、ほこりなどを払った。なお、今年の扇立祭はいまだ終息の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染状況を鑑み、昨年同様、奉賛諸行事や露店商組合の出店は中止。午後2時に神事を斎行する。檜扇の開帳は3時まで。5時に閉門する。
扇立祭は、神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子が病気にかからないよう、また五穀につく虫を追い払って豊作を願い始まった。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物で、現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わっている。ヒノキの薄い板の木目の美しさを生かしながら彩色、金箔(きんぱく)、銀箔(ぎんぱく)が施されていて「熊野檜扇」と呼ばれている。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもので、本殿用(高さ1・5㍍、幅1・65㍍)は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製したものとなっている。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「多くの人がワクチンを打っていただいているが世界的に感染者が増えている状況を鑑み、昨年同様に神事のみの斎行とさせていただいた」と説明。「早く例年通り、にぎわう祭りに戻ってほしい」と思いを語った。
(2021年7月3日付紙面より)
エピペン&救急救命講習 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒541人)で6月29日、教職員を対象に、食物アレルギーを想定したエピペン(アドレナリン自己注射薬)講習会と救急救命講習があった。約30人が参加し、実動訓練を通して緊急時にとるべき初期行動を確認した。
同校では、教職員の誰もが緊急時に迅速で正しい行動を取れるよう、毎年講習を実施して知識や技術を身に付けている。
エピペン講習会は、生徒同士が昼食時におかずを交換したことでアレルギー物質を摂取し、全身の複数の臓器に急激なアレルギー反応が現れる「アナフィラキシー」を起こした場合を想定。せきや息苦しさ、腹痛、じんましんといった症状が現れた生徒から申告を受けた教職員らが、緊急時に取るべき行動を記した「アクションカード」と症状を緩和するエピペンの保管場所などを記した「緊急時個人対応カード」を基にチームで対処に当たった。
救急救命講習では、事前に新宮消防本部の講習を受けた防災担当教諭や在職10年目の中堅教諭らが中心となり、心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)の使用法を指導した。通常の呼吸と死戦期呼吸(心停止直後の人に見られる呼吸に似た動き)の見分け方などを説明し、人形を使った練習ではAEDパッドを貼り付ける際に心臓マッサージが止まらないよう細かくアドバイスをした。
在職3年目の女性教諭は「毎年の訓練がいい復習の機会になっている。近年は人工呼吸よりも心臓マッサージの方が重視されるようになっていることや、AEDを使うときに女子生徒の場合はパーティションを立てるなどの配慮があった方が良いということなど、知識のアップデートにもなった」と話していた。
(2021年7月3日付紙面より)
社明運動強調月間始まる (串本町 )
第71回社会を明るくする運動の強調月間が1日、全国一斉に始まった。同運動串本町推進委員会(委員長・田嶋勝正町長)は県推進委員会委員長・仁坂吉伸県知事のメッセージを読み上げてその趣旨、懇談で喫緊の課題について共有し、1カ月間の活動へと踏み出した。
全ての国民が犯罪や非行の防止やそれら行為に及んだ人の更生について理解を深め、それぞれの立場で力を合わせて犯罪や非行がない安心安全で明るい地域社会を築くことを趣旨とする同運動。7月はその強調月間で、中央、都道府県、市区町村の各推進委員会がそれぞれ啓発事業に取り組み全国規模で趣旨の浸透に努めている。
同町推進委は昨年に続いて今年もコロナ禍の情勢を鑑み、初日恒例の街頭啓発を中止。前述の趣旨と課題の共有を図る形へと置き換えた。田嶋町長と牟婁保護司会串本分会の生熊和道会長、五十川保純副会長、北地稔さん、堀正さん、同町更生保護女性会串本分会の谷口矮文子会長、同古座分会の川名千代美会長、同町民生委員児童委員協議会の山崎巖会長が委員代表として役場本庁町長室で会合に臨み、副委員長の生熊会長がメッセージを読み上げ田嶋町長に伝達する形でその趣旨を共有した。
懇談では田嶋町長が▽県警警察署再編(串本警察署の展望)▽小型ロケット「カイロス」打ち上げの見通し▽現・役場本庁舎解体後の県営住宅(兼津波避難ビル)―などの情報を提供し、これら進展に伴う地域の状況の変化を喫緊の課題として共有した。生熊会長は同運動のキャラバン隊が12日(月)に町内を通過することを事前報告し、情報共有するなどした。
強調月間を迎え、生熊会長は「この運動は7月に強調するが、本来は年間を通して取り組むべきこと。その点を伝えたい」と中止した啓発の代わりとして主張。今期は主に資材掲出による視覚啓発、県主唱「夏の子どもを守る運動」や内閣府主唱「青少年の非行・被害防止全国強調月間」と連携した学校訪問などに取り組むという。
同運動古座川町推進委員会は前日の6月30日に総会を開き、資材掲出や広報車巡回など今期の活動内容を決定。総会前にメッセージの朗読をして趣旨の認識共有を図ったという。
(2021年7月3日付紙面より)
新宮労基がパトロール (県道長井古座線 )
1日から始まった全国安全週間に先駆けて新宮労働基準監督署(中前英人署長)は6月30日、那智勝浦町と串本町をつなぐ県道長井古座線(仮称・八郎山トンネル)の建設現場(中里側)でパトロールを実施した。工事を担当する淺川・堀特定建設工事共同企業体や工事発注者の和歌山県東牟婁振興局らが出席する中、中前署長らが各種点検を行った。
1日から7日(水)までと定められた全国安全週間は、労働災害防止活動の推進を図るとともに、安全に対する意識と職場の安全活動の向上に取り組むもの。2021年度は「持続可能な安全管理 未来へつなぐ安全職場」をスローガンに掲げた。6月中は準備期間となっており、同署では取り組みの一つとして今回のパトロールを実施し、労働災害防止の啓発を行った。
同署によると、県の労働災害発生件数は長期的には減少傾向であり、2020年は前年より2件減とした。しかし、今年5月末現在で速報値・全業種で前年同時期の発生件数を上回っているほか、2月には管内で死亡災害が1件発生しているという。
同企業体が工事概要について、▽長井古座線のバイパスとしてトンネル延長711㍍の施工と路体盛土を行う工事▽工期は昨年9月に着工し、22年5月22日終了予定▽6月30日午前中に沈下・変状防止を目的とするインバートコンクリート工事実施▽この日現在で110㍍の掘削が終了しており、進捗(しんちょく)率は11・4%―などを説明した。
出席者ならび事業者全員がハーネス型安全帯や反射ベスト、電動ファン防じんマスクを着用し、トンネル内外の現場で安全パトロールを行った。
中前署長が「資格取得者による作業や、転落防止の手すり設置、整理整頓などが確認できた。熱中症対策などに注意し、今後も対策に取り組んでいただきたい」と講評。
同企業体の株式会社淺川組の西口伸専務取締役・事業本部長は「竣工(しゅんこう)するまでの間、無事故・労働災害ゼロを達成するために全力で安全に努めたい」と話した。
(2021年7月3日付紙面より)