熊野川濁水対策特別委で決議 (新宮市 )
新宮市議会の熊野川濁水・治水関連対策特別委員会(前田賢一委員長、8人)は22日、風屋ダム(十津川村)を管理、運営する電源開発に対し、ダム湖内に堆積したシルト(沈泥)を撤去すると共に監督する国土交通省に強い指導、支援を求める決議文を採択した。
熊野川の濁水は2011年9月の紀伊半島大水害以降、長期化。電源開発は濁水軽減対策の一環として現在、風屋ダムでダム湖内の清水部分の活用範囲を広げることなどを目的にした表面取水設備の改造工事を実施している。今年5月に第1期の工事が終了し、11月から来年5月末まで第2期工事を予定している。
1期工事中、大量のシルトが流出。熊野川の濁度がさらに悪化し、観光、漁業、上水道などに多大な悪影響を及ぼした。決議文では11月から始まる2期工事の際、ダム建設以降半世紀にわたり堆積した高さ15~20㍍のシルト層の撤去を強く訴えている。
前田委員長は、熊野川が川の参詣道として世界遺産に登録されていることを強調。「これまでと同じような要望活動では前に進まない。ドローンなどで空撮して現状を全国に訴えるべき」。
上田勝之委員はユネスコへ訴えることを提案。松畑玄副委員長は「損するのは住民。二度とシルトを流させてはいけない」と訴訟も辞さない決意で訴えることを求めた。
田岡実千年市長は視点を変えて要望することに理解を示し、「議会と一緒になって濁水が解決できるよう努力していきたい」と述べた。
(2017年9月23日付紙面より)
「bodai」の「鮪中とろカツ丼」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の「鮮魚 創作和食・旨い酒 bodai」はこのほど、「全国No.1ご当地どんぶり」の座を競い合う「全国ご当地どんぶり選手権」への出場権を懸けた予選会に参加できる16団体の一つに選出された。予選会は23日(土・祝)・24日(日)に東京ビッグサイトで開催され、同店はお店でも提供している「鮪(まぐろ)中とろカツ丼」で出場する。
全国各地からご当地自慢の絶品どんぶりが集まる同選手権は今年で9回目。同店はこれまで第1回、第2回大会にもエントリーしていたが、いずれも書類審査を通過できず、7年ぶりにエントリーした今回、見事に全国ベスト16のどんぶりの仲間入りを果たした。
「鮪中とろカツ丼」は、勝浦産の生マグロを使用。サクッと食感のジューシーなとろカツを和歌山県産の梅しそを混ぜ込んだご飯の上に乗せ、たっぷりかかった琥珀色の特製土佐酢ジュレであっさりと食べられる一品に。23・24日の予選会で1杯500円(ハーフサイズ)で提供され、当日来場した客の投票によって上位10団体に選ばれると、来年1月の本選に出場できる。
オーナーの谷亮さんは「お店がオープンして13年、自分自身次のステップにつなげるためのいいきっかけにしたいと思います。(大会では)マグロを出しているどんぶりは他にもありますが、“生”を使っているのはうちだけなので、そこを推して頑張りたいです」と意気込みを話した。詳細は下記の大会公式ホームページまで。
https://www.tokyo-dome.co.jp/furusato/
(2017年9月23日付紙面より)
新宮信金で創業セミナー
新宮市の新宮信用金庫本店5階で19日、先輩女性起業家から学ぶ実践セミナー「創業についての悩み事はありませんか?事業を成功に導くコツを学べます」が催された。創業応援セミナーの第5弾。創業予定者や起業5年未満の創業者24人が参加し、スターフードジャパン株式会社の新古祐子代表から起業と成長のこつを学んだ。
新古さんは、起業には「金」、「人」、「物」の順で必要だと力説する。商品化には人を必要とし、まずは、これら二つを成立させる資金を算出するべきだと話した。
創業後も継続させるためには、自分の強みを最大限に生かしてニーズを把握したビジネスモデルを作ることが重要だと講話。個人商店から中小企業になることで新商品開発や販路を拡大できるとし、社長、会社、商品、サービスをブランド化することでライバル企業と差別化できると話した。
参加した事業主に自社の強みや脅威、ニーズなどを分析させ、それらにアドバイスも与えた。
講師を務めた新古祐子さんは、スターフードジャパン株式会社代表取締役。一般社団法人地域食プロデュース協会理事も務める。グローバルな視点で地域の食材を評価分析し、国内外に発信している。中小企業メーカー専門に商品企画・開発のアドバイスも行っており、これまでに300社以上を支援してきた。
(2017年9月23日付紙面より)
串本RHで鍵井靖章写真展 (串本町 )
串本町サンゴ台にある串本ロイヤルホテル(RH)の1階ギャラリーで水中写真家・鍵井靖章写真展「3・11―あの日から」が開かれている。東日本大震災以降の宮古市の海に残る史実と自然再生の様子を伝える内容で、30日(土)まで随時鑑賞できる。
鍵井さん(46)は兵庫県出身。20歳の時に串本でダイビングの資格を取得し、水中写真家の伊藤勝敏さんに師事して同じ道を志した。現在は世界規模で撮影活動に打ち込み、国内でも屈指の歴史を誇る串本海中フォトコンテストの審査員を6年間務めた経験も持つ。
写真展「3・11―あの日から」は震災3週間後から地元の有志や各漁協などの理解と協力を得て密漁防止のためダイビングが制限されている宮古市の海へ潜り、3年越しで撮り続けた作品を通して宿るメッセージを伝える独自企画。今回は厳選14点を公開していて、作品の一部は実物大に迫る大判として展示し臨場感を高めている。有志筆頭の娘・後藤まりさんを介して鍵井さんの取り組みを知った同町古座にあるダイビングショップ「DIVE KOOZA」オーナーの上田直史さんが、宮古市と串本町が本州四端でつながっている縁で町内での写真展実施を提案。鍵井さんもぜひにと応えて実現に至ったという。
会場には山本正德宮古市長のメッセージも掲げられ、併せて鍵井さんの本来の撮影スタンスを伝える写真展「夢色の海」(作品数10点)も実施。鍵井さんは「自分は基本美しい海の提示をしているが、写真展『3・11―あの日から』については震災後の海が今どのように変化しているかをご覧いただいた皆さんに伝えられたら水中写真家として本望」という。
21日は上田さんらダイバー仲間3人と共に田嶋勝正町長を表敬訪問。「復興で様変わりする陸と違い、海には今も数多くの流出物が震災の史実を物語るように残り、それで終わりかというとそうではなく、そこには命もある。そのようなテーマに行きつき、流出物を礎にして海の生き物が新たな生活を始めている様子を3年間撮り続けた」と写真展の経緯を説明し、本州四端サミットが近々青森県大間市(本州最北端)で開かれることから、自身の取り組みを他市町長にもアピールしてもらえればと求めるなどした。
(2017年9月23日付紙面より)
太地町の町立くじらの博物館を舞台にした映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる」の撮影が10月中旬から同町を中心に始まる。映画は2018年夏公開予定。和歌山県と県観光連盟(わかやまフィルム・コミッション事務局)と日本遺産「鯨とともに生きる」を推進する熊野灘捕鯨文化継承協議会が全面的にバックアップする。
撮影は同協議会を組織する太地町、新宮市、那智勝浦町、串本町を中心に行われる。監督の藤原知之さん(38)は「20世紀少年」や「真田十勇士」で知られる堤幸彦さんの下で助監督としてキャリアを積み、2013年に短編映画を発表、山形国際ムービーフェスティバルでグランプリを受賞している。
映画はくじらの博物館を舞台に、奮闘する若い飼育員やトレーナーの実話をモチーフにした「青春ストーリー」。和歌山、熊野の風景、歴史に支えられた町の文化をさりげなく映像に収めながら、現代を生きる若者たちに「自分らしく生きること」「何かに夢中になること」の素晴らしさを伝えることをテーマにしている。夢を信じ突き進む勇気の大切さと怖さ、焦りと挫折。そんなとき、頼るべき人がいることの喜びと希望。大きな黒潮の流れをバックに、小さな人間が悩んだりくじけたりしながらも、一歩一歩目標に向かい進んでいく様が、見る人全てに勇気と希望を与える作品になるという。
(2017年9月14日付紙面より)
宝珠寺でヨガと座禅体験 (新宮市木ノ川 )
新宮市木ノ川の白龍山宝珠寺(西昭嘉住職)は12日、同寺の本堂でヨガ教室と座禅会を開いた。11人が参加し、神聖な空気の中で心身をリフレッシュした。
宝珠寺では、多くの人に集まってもらえるよう2年ほど前からさまざまな企画を催しており、今回もそのうちの一つ。これまでにも、落語や瞑想(めいそう)体験などを開いている。
ヨガ教室では、新宮市や那智勝浦町などで活動するヨガ教室「Arbor」のインストラクター西谷安代さんが講師を務めた。参加者は太陽礼拝などを実践し、前身をくまなくほぐした。
座禅は西住職が曹洞宗(そうとうしゅう)式の所作を教えた。壁に向かって手と足を組み、思考を止めて心を安らげた。
宝珠寺の座禅会は、毎週土曜日の午後5時から無料で開かれている。
(2017年9月14日付紙面より)
放課後英会話クラブ始まる (串本町 )
串本町文化センターで12日、小中学生を対象にした放課後英会話クラブが始まった。英語によるコミュニケーションへの関心と積極性を育む新たな取り組みで▽小学校中学年▽同高学年▽中学校―の各クラスを設置。同日現在で計62人が受講登録していて、月1回ペースで年度末まで励むという。
この教室は、同町教育委員会とトルコ語や英語や日本語などマルチリンガルな才覚で活躍する同町地域おこし協力隊のトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんが語学教育の在り方を語り合う中から出てきたアイデア。語学習得を大きく左右する興味と愛好を本格的に学ぶ前に高めるのが狙いで、児童生徒が自然体で英語をコミュニケーションツールとして普段使いする機会の提供に努めるという。
講師は外国語指導助手(ALT)のホ・トラクさんと今月から新たに着任したデイビッド・フィレモンさん、アルカンさんの3人。人数が多い小学校中学年は学年別2クラス編成(3年生13人と4年生17人)、同高学年(5・6年生12人)と中学校(1~3年生15人)は1クラス編成とし、火曜日を基軸にして小学校クラスは午後5時30分~6時15分(45分)、中学校クラスは午後6時30分~7時20分(50分)に開く。
この日は小学校中学年の2クラスが合同開講する形で同時スタート。序盤は相手との接点を持つきっかけとして最も基本的な自己紹介を英会話でこなし、中盤以降はミニゲームを交えて児童の活動と英単語「Big」「Small」「Heavy」「Light」を結び付け、学習とは違った「慣れ親しむ中から英語を覚える」という習得方法の雰囲気を体験した。
今後の活動のアイデアは歌やダンス、読み聞かせやミニゲーム、グループワークや発表など多種多彩。児童生徒が「話したい」「聞きたい」と感じられる内容を都度設定して、関心や積極性を引き出すという。期間前半は同センターを主な活動場所とするが、来年1月以降は同センターが改修工事期間に入るため役場古座分庁舎へと移すとしている。
(2017年9月14日付紙面より)
勝浦八幡神社例大祭前に勝浦全区合同で (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭=16日(土)宵宮、17日(日)本宮=の行事「子供手踊」の練習が9、10の両日、町立勝浦小学校体育館であった。40年近く踊りを教えた八木佐知子さんが昨年で引退し、後を継いだ村﨑幸さん、濵地生三子さんが指導。勝浦1~6区の子どもらが合同で練習に励んだ。
「子供手踊」はそろいの浴衣の子どもたちがかわいい踊りで祭りに花を添える。奉納する踊りは『勝浦節』と『勝浦音頭』。渡御(とぎょ)行列では『めはり音頭』も披露する。勝浦節は手拭いを持って那智の滝や船をこぐしぐさなどを表現する伝統の踊りで50年以上もの歴史を誇る。
手踊りの列は多い時には100人を超えたが、昨年は40人に減った。6区の坂井與己区長は「今年は57人に増えました。みんな上手に踊っている。あとは当日の天気を願うだけ」と満足そうだ。村﨑さんは「上級生が小さい子らに一生懸命教えている。かわいらしくほほ笑ましいですね」と笑顔を見せた。
(2017年9月14日付紙面より)
道の駅オープン記念に (太地町 )
太地町の一刀彫り名人として知られた故・戸間力也さんの「くじら工房力也」を引き継ぐ同町の会社員、掛橋寿徳さん(52)はこのほど、道の駅たいじにクスノキ製のザトウクジラの置物を寄贈した。
置物は施設付近にあるザトウクジラのモニュメントに合わせて2体。大きなクジラは約75センチ、小さなクジラは約60センチで、いずれも掛橋さんの師で伯父の戸間さんが生前に制作した作品。町の玄関口でもある道の駅のオープンを記念し、戸間さんの長男・圭哉さんの意思もあって寄贈した。掛橋さんは「県外から来た人に見てもらって喜んでいただけたら」と話した。
道の駅を管理する太地漁業協同組合の貝良文参事は「道の駅たいじのコンセプトはクジラなので、見事なクジラの木彫りをいただけるのはうれしい。駅舎の雰囲気にもピッタリ」と喜んでいた。置物は、駅舎内にあるレストランのカウンター内に置かれている。
(2017年9月9日付紙面より)
美容業生活衛生同業組合新宮支部 (熊野速玉大社 )
和歌山県美容業生活衛生同業組合新宮支部(丹内たき子支部長、55店舗)は4日、新宮市の熊野速玉大社で毎年恒例の「櫛(くし)供養」を営んだ。20年以上続いており、組合員有志の9人が、傷んだくしに感謝を込めて供養した。
同支部は新宮市から那智勝浦町、太地町までの会員で組織している。例年「くしの日」の9月4日(同日が営業日の場合は直近の定休日)に実施。欠けたり折れたりして使えなくなったくし5本を神前に供え、玉串をささげた。
同市下田で「ビューティーサロン木曜日」を営む丹内支部長は「くしへの感謝はもちろん、皆さんの健康と商売繁盛を祈って供養しました。私たちはくし1本で生活できるので、仕事に誇りを持って取り組んでいければ」と話した。
(2017年9月9日付紙面より)
紀の国トレイナート2017のワークショップが6、7の両日、県立串本古座高校古座校舎(愛須貴志校長、東啓史教頭)であり2、3年生69人がJR古座駅の駅舎アート担当作家・日笠保さんとの共同制作に励んだ。
日笠さんは愛知県愛西市在住の現代美術家。暮らしに身近な素材を材料にし、子どもなど地域住民と一体になって作品を仕上げるスタイルを持ち味にして十数年来活動している。
同トレイナートには前年度に初参加。太地駅の駅舎アートを担当し、太地小児童を対象にしたワークショップを開いて弁当でおなじみのたれびんに色水を入れて並べた作品「水面―みなも―」を仕上げた。
2年目となる今回は古座駅を担当することになり、JRきのくに線の前に広がる海の美しさや古座川のきらめきをストローで表現する作品「波間」の制作を構想。最寄りの同校舎にワークショップ参加を求めて2日間の制作協力を得るに至った。
ワークショップは両日とも3、4時間目にあり、2、3年生は小グループに分かれて流木や額装を太さや長さ、色合いや形状ともにさまざまなストローで飾った小作品を次々に制作して、駅舎を飾る材料として日笠さんに託した。
日笠さんはあらかじめ作品のイメージを伝え、どのような材料を仕上げるかは生徒に一任。グループ名「アビリッジハイト(=平均身長)」を掲げ、長さ約1㍍の細い流木を使ってJRきのくに線沿線の街並み再現に挑戦した宮下歌奏(うてな)さん(2年)は「みんなで住んでいるところの好きなものをストローで表現して大作にした。駅がとても華やかになると思うので、『あぁ、きれいだなー』と思ってもらえたらうれしい」と話した。
日笠さんは7日午後から駅舎アート制作を開始。同トレイナートのイベント期間は10月1日(日)からだが、滞在の都合上8日までに仕上げて9日(土)には鑑賞できる状態にするという。
今回の協働について日笠さんは「表現につながる体験を通して生徒皆さんの表現の幅が身近なところで広がればと思うし、自分もいろいろな表現に出合えて刺激になった」とコメント。「作品は地元の駅に飾られ、皆さんに見てもらえる。そのような地域活性化があるというところにも興味を持ってくれたら」と生徒の今後を期待した。
(2017年9月9日付紙面より)
スパセン南紀・熊野防災イベント (新宮市 )
「スパセン南紀・熊野防災イベント」が2日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店を会場に始まった。同店テナント会主催。来場者や買い物客らが訪れ、ダンスステージや展示されている車両を見学し、起震車や煙の体験などをした。
同会では5年前にも防災イベントを開き、集まった義援金を市などに寄付している。オープニングで下向栄一会長は「全国、いつどこで起こってもおかしくない災害。私たち南紀店内のテナント会で何かしていこうとイベントを開いた。防災のいろんな体験とフラのショー、明日はプロ歌手のライブもあり楽しんでもらいたい」とあいさつ。
来賓の田岡実千年市長は「今日は災害などに活躍する車両の展示、体験、イベントがあると聞いている。多くの方々に体験してもらいたい」。県議会の濱口太史議員は「防災イベントを民間で立ち上げて行っていただくことは大変有意義。民間、一般の皆さまに防災意識を高めていただくことが一人の犠牲者も出さない方向に向かっていくことだと思う」。泉正徳議員は「防災意識を高めてくれるイベントを開いてくれた各位に感謝したい。6年前の大変な災害から、いつ来るか分からないものに備え、気を引き締めていかなければならない」と述べた。
会場では国土交通省紀南河川国道事務所の排水ポンプ車、照明車、対策本部車をはじめ、自衛隊の軽装甲機動車などの車両展示があり、来場者らが実際に乗り込み記念撮影するなどした。起震車や煙の体験では子ども連れの家族らの姿もあった。店内では家具固定の講習会防災グッズ展示、アドバイスコーナーなどがあり、屋外ステージでは5組のフラチームが青空の下で踊りを披露した。
3日は午前11時から小芝陽子さん、午後3時から丸石輝正さんのライブを予定している。車両展示は午前9時30分~午後4時。
(2017年9月3日付紙面より)
丹鶴幼稚園で地震津波避難訓練 (新宮市 )
新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児67人)は1日、地震と津波を想定した避難訓練をした。園児らは防災頭巾をかぶり、市保健センター横のタウンガーデンまで逃げた。
同園では年に6、7回ほど避難訓練を行い、防災意識を高めている。この日は午前10時に地震発生を知らせる放送が流れ、園児らは職員の指示に従って机などの下に身を隠した。揺れが収まると、園児らは防災頭巾をかぶって園庭へ。そこから歩いてタウンガーデンに避難した。
下岡園長は「地震で揺れたときには丈夫なものの下にもぐらなければいけません。今日は上手に避難できました」と話し、逃げる際にはしゃべらないよう呼び掛けた。
「おうちでいるときは家の人が守ってくれます。幼稚園では先生が守ってくれますが、自分の体、命は自分で守らなければいけません。そのためにちゃんと逃げられるように訓練をしています」と述べ、「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」の「お・は・し・も」を守るよう伝えた。
園に戻った園児らは遊戯室で「防災の日」の話を聞き『稲むらの火』の紙芝居を見た。
(2017年9月3日付紙面より)
熊野那智大社が義援金 (那智勝浦町 )
九州北部で7月にあった豪雨災害の被災者を支援するため那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)は、今年の「那智の扇祭り」前後に同大社と飛龍神社に募金箱を設置した。男成宮司が8月31日、集まった募金と同大社からの義援金を合わせた50万円を日本赤十字社へ送ろうと、同社和歌山県支部那智勝浦町分区長である寺本眞一町長に届けた。
義援金の名称は「平成29年7月5日からの大雨災害義援金」で、町でも12月20日(水)まで募集している。
男成宮司は「ご参拝の方が多く、日数の割に思ったよりも多く集まった。人的なボランティアはなかなか難しいが、少しでも役立ててもらえれば」と述べ、寺本町長は「募金を預かるたびに23年の災害を思い返す。こうした形で恩返しできることはありがたい」と振り返り感謝した。
2人は紀伊半島大水害当時の町の様子や、災害についても話し合い、那智の原生林と滝の水量保全についても熱心に意見を交わしていた。
(2017年9月3日付紙面より)
古道歩きや外来植物除去 (新宮市 )
東京大学の学生たちが8月31日から、「聖地熊野の歴史文化と自然を体験しつつ新宮市の文化行政を学ぶ」をテーマに新宮市内の熊野古道などを巡っている。9月3日(日)までに大峰奥駈道、小雲取越などを歩く予定。
東大の濱田純一前総長が提唱した「よりタフによりグローバルに」を元に2012年度から始まったプログラムの一つ。新しい考え方や生活様式を学び、新しいアイデアを生み出す力を身に付けることが狙いで、社会貢献活動、国際交流、自然体験、地域体験など全76種類ある。
参加者は学生9人、大学院生2人のほか、企画責任者の秋山聰・東大人文社会系研究科教授、鐸木道剛・東北学院大学キリスト教文化研究所長、建築家のマヌエル・タルディッツさん、濱田東大前総長ら計27人。
一行は8月31日、新宮市文化財保護審議会の瀧野秀二副委員長(71)の案内で市内の世界遺産熊野古道「高野坂」を歩き、外来植物ノハカタカラクサをゴミ袋9袋分除去した。その後、市役所で「熊野地方の自然」をテーマにした瀧野副委員長の話を聴いた。
秋山教授(54)は13年9月、台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したことがきっかけで熊野に興味を持つようになった。昨年5月に市内で講演し、楠本秀一教育長との話し合いの中で同プログラムを企画した。「初めての取り組みですが、できれば来年からも続けていきたい」と話していた。
初めて熊野を訪れた薬学部3年の伊藤慶さん(20)は「寺社巡りが趣味で熊野へ行きたいと思っていました。高野坂を歩いて海岸がとてもきれいだと思いました」と感動していた。
(2017年9月2日付紙面より)
京都橘大学インターンシップ報告会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と地域活性化に関する連携協定を結ぶ京都橘大学のインターンシップ(企業実習)終了報告会が8月31日、町体育文化会館であった。2年生10人が関係者約20人の前で、11日間の就業体験とフィールドワークのまとめを発表した。
このインターンシップは、連携協定の一環として、積み上げ方式の3カ年計画で今年から始められた。就業体験に地域の課題解決に向けたフィールドワークを組み合わせることで、教育効果が高まるという。
学生一行は21日に来町し、22~26日まで宿泊施設や関係各団体で研修を受け、28日に中間報告を行った。
29、30日のフィールドワークでは、歴史や文化への関心が高い欧米人観光客と町に漁師町文化と歴史ある寺社が多いことから、「欧米人観光客と受け入れ調査」をテーマにし、2班に分かれて商店街の22店舗で聞き込み調査を行った。
調査の結果、「外国人観光客に駅やコンビニ、銀行の場所がすぐ分かるようにしてほしい」、「外国人観光客を案内する指さし表を実際に使用した店舗がほとんど無かった。日本人と欧米人でイラストの認識に相違がある」などの意見があった。アンケートも実施し▽「英語のメニューあり」53%▽「指さし表あり」39%▽「英語でのコミュニケーションが可能」58%▽「外国人が来ることはいいと思う」100%―という結果だった。
学生代表の現代ビジネス学部経営学科2年、海東拓実さんは「那智勝浦町が大好きになりました。研修先の中の島でも、社員や先輩たちにかわいがってもらい、親身に話も聞いてくれました。別れるのがとてもさみしい。次こそはお世話になった人たちに恩返しできるよう、成長したいです」と涙ながらに思い出を語り、感謝を述べた。
浦島観光ホテル株式会社取締役・総合企画担当の西川正修さんは「よそから来た若い人の視点で調査してくれた。町に住む者が今日の報告を生かしていけたら」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
養生期間を経て一面緑に (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)は1日、芝生化した校庭の利用を再開した。来る中体連新人戦に向けてサッカー部などが練習を始めたほか、同町立潮岬幼稚園(南君子園長)の園児も訪れてさっそく駆け初め。晩秋に冬芝のタネをまいて再度養生期間を設けるが、それまでの間は社会教育利用も含めて活用を図るとしている。
同校校庭の芝生化は、旧来の芝が減り近隣に舞い上がるようになった砂の飛散抑止が主目的。日本サッカー協会(JFA)事業「グリーンプロジェクト」の支援が得られることになり6月下旬、地域の協力も得ながら無償提供された苗2万株弱を植え込んだ。
苗は国立競技場でも採用されているティフトン芝で、旺盛な生育力が特徴。JFAから「2カ月ほどで一面を覆う」と紹介を受けた同校は、夏休みの終わりまでを養生期間とし、本来の養生期間(約1カ月)以降は暑さが厳しい中で毎朝の散水に加え、同町教育委員会が配備した乗用芝刈り機による週3回の芝刈りや手押し式による月2回の追肥―と手間をかけて着実な根付きを図ってきた。
当初は50㌢間隔でまばらだった500円玉大のポット苗の成長は驚異的で、8月31日現在で外縁を除く校庭全面をほぼ覆い尽くした状況。厚みが増すのはこれからといった段階だが、ティフトン芝は踏むなどの刺激を与えた方が育ちがいいため予定通り今月1日から利用を再開した。
授業やクラブ活動のほか、社会教育関係で少年サッカーやシニア野球、ソフトボールなどの団体利用、幼稚園のチャレンジランキングに向けた練習や住民の利用もあり、関係各者には利用再開を事前に伝えている。
藤本校長は「皆さまの協力と先生方の尽力のおかげで、無事に芝生化が進んだ。特にサッカー部には10月の新人戦に向け、今まで使えなかった分も含めてこれから練習に頑張ってほしい。地域の皆さまにもこれまで通り活用していただければ」とコメント。
井口英夫教頭によると、この夏は着実な根付きを図るという狙いもあり教員のみで管理にあたったが、教員だけでは大変な労力規模で今後は省力化や労力の分散も考えたいとした。
(2017年9月2日付紙面より)
台風の影響、初日は漁獲なし (太地町 )
太地町で1日、イルカや小型クジラの追い込み漁が解禁された。午前5時すぎ、町漁業協同組合所属の太地いさな組合(小畑充規組合長)の12隻が太地漁港を出港した。反捕鯨団体の目立った活動はなく、静かな出漁となった。この日は台風の影響で波が高く、すぐに引き返し漁獲はなかった。
国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の漁で和歌山県知事の許可を得て来年春まで漁獲制限を設けて行われる。今年からカズハゴンドウとシワイルカ2種が捕獲対象になった。漁をめぐっては反捕鯨団体の活動家とのトラブルが絶えず、漁期中は県警本部が町内に臨時交番を設け、第5管区海上保安本部も職員を派遣して妨害活動を監視している。この日は、外国人2人が東の浜でスマートフォンを使って出港風景を撮影していた。
小畑組合長は「初日なので、できるだけ状況を見てみたかった。9月は最初の月で今年一年を占える。この月がよければ安心感が持てる。いい漁ができればいいなと思っている」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
全日本ジュニアバド和歌山県予選