新宮市の熊野速玉大社
令和3年度地域文化功労者表彰(文部科学大臣表彰)が25日に発表され、本紙エリアからは熊野速玉大社祭事保存会(会長・上野顯宮司)が「民俗芸能の伝承」分野で選出された。和歌山県内では同保存会と和歌山市のピアニスト・宮下直子さんのみ。
同表彰は、全国各地において芸術文化の振興、文化財の保護に尽力するなど、地域文化の振興に功績のあった個人・団体に対し、その功績をたたえ文部科学大臣が表彰するもの。
同保存会は、同大社を中核として周辺地域の氏子や関係団体と協力して長年にわたり祭礼の執行や運営を行い、伝統文化の継承と地域の活性化に努めており、また熊野の世界遺産を生かした観光や魅力発信など、地域振興にも重要な役割を果たしているとして受賞対象となった。
同保存会は祭事の伝承や地域の文化交流推進などを目的に1964年に組織。同大社を中心とする「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」は、2016年に国の重要無形民俗文化財に指定されている。
受賞の決定を受け、上野宮司は「大変うれしく、責任も感じる。祭りを支えていくのが会の大きな目的。祭りの様子が海外に発信されるなど、一地域のものだった祭りや日本の文化が世界に共有されるのは喜ばしいこと」と話す。
コロナ禍の影響で今年の御燈祭り、そして速玉祭は2年連続の縮小に。そういった状況において「神に対する畏れや感謝、祭りを紡いできた先人たちに思いをはせ、祭事を執り行ってきた」とし「関係者、氏子、奉仕者、全国の崇敬者に支えられて『ハレの舞台』がつくられている。自然との共生といわれるが、自然がないと祭りができない。神がそれを教えてくれていると感じる。自然の中で祭りができる喜びを感じている」。
社会の変化や、新型コロナウイルスの影響を受け、祭りを見学する人が減少している昨今の状況について言及し「どの祭りも尊い。その中で代表として表彰を頂いただけ。多くの人に地域の祭りの価値に気付いてほしい」と話した。
表彰式は11月1日(月)、京都市の府立府民ホールで開催される。
(2021年10月28日付紙面より)
バリアフリー化で供用開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町は7月末から役場庁舎玄関前で実施していた駐車場やスロープ設置などの整備工事をこのほど終了し、18日から供用を開始している。
同町によると、これまでの旧スロープは急な傾斜だったことから、車椅子で庁舎に入るには補助が必要だったという。今回は現在の基準に合わせた傾斜が緩やかなスロープが付き、階段の高さも以前より低くなった。
駐車場は、車椅子の使用や歩行困難な来庁者が庁舎近くに駐車できる屋根付きの「おもいやり駐車場」と2台分の来庁者用駐車場も整備。その横に公用車用駐車場をつくることで、庁舎向かいの来庁者駐車場の駐車台数が数台分増となった。
さらに入り口付近には屋根付きの駐輪場も完備されたほか、町営バスの停留所が庁舎前に移動。玄関前と庁舎内にベンチも設置された。担当者は「雨風などを防ぐことができることから、町民の皆さまからは喜びの声も頂いています」と説明した。
塩﨑圭祐総務課長は「工事中、ご迷惑をお掛けしまして誠に申し訳ございませんでした。今回の工事で、妊婦の方々などにも使用していただけるおもいやり駐車場も設けました。利用証は和歌山県に申請していただく必要があります」。
駐輪場やバスの停留所については「町民の皆さまが庁舎や町営バスを利用しやすいように、駐輪場の設置や停留所の移動も行いました。快適なご利用につながれば幸いです」と話している。
(2021年10月28日付紙面より)
今年のユズの搾汁始める (古座川ゆず平井の里 )
古座川町の農事組合法人古座川ゆず平井の里(宇田篤弘代表理事)が27日、今年採れたユズの搾汁を始めた。
同法人は、昭和30年代から町内で数を増したユズ生産農家の共同体として2004年に発足。現在は94人が組合員となり、生産したユズの実を同法人の出荷場へ集荷している。
今年は55戸が順次集荷する予定。色づきが若干遅れ気味だが実は大きめで、宇田代表理事(63)は平年並みの作柄と評価し80㌧弱の集荷総量を見込んでいる。
搾汁作業初日のこの日の集荷量は約1・5㌧。同法人は近年、基準を設けて青みが残る果実も受け入れていて、この日はその実を主に搾汁した。今後は色づきが良く傷が少ないなど秀品は生果として紀ノ川農業協同組合へ出荷し、冬至向けの需要に資する。残りが搾汁対象で、11月30日(火)を集荷の最終として作業を進める。搾汁後の皮もきれいなものは加工品の材料とし、残りは堆肥化するなど極力無駄を出さない状況を目指すという。
搾汁で得た果汁は飲料や調味料など、同法人産加工品30品目の原材料として利用する。同町産の果汁は香りの良さで定評があり、一部は希望する大口へも出荷する。
宇田代表理事は、組合員の生産努力もあるが自然に恵まれた中で栽培できるのも町産ユズの強みだと自負。消費者に商品を利用していただくことで組合員も元気になりみんなで喜べる状態ができていると発足から約17年を経た今を振り返り、今後について依然としてコロナ禍に伴う運営の厳しさがあるが負けず考えて取り組んでいきたいと意気込んでいる。
加工品の情報など問い合わせは同法人(電話0735・77・0123)まで。
(2021年10月28日付紙面より)
くまの里山の恒例行事 (那智勝浦町 )
和歌山県の「耕作放棄地再生活動協働モデル事業」を活用し、休耕地の再生に取り組む那智勝浦町高津気の「くまの里山」(西美恵子代表)は23日、高津気地区の畑で落花生の収穫体験を楽しんだ。集まった会員や家族連れ約50人は収穫を喜び、作業に汗を流した。
「くまの里山」は2007年に組織された「高津気竹灯りの会」が母体。数年前に現在の「くまの里山」に改称した。農業を身近なものとし、里山に残る食文化や先人の教えを次世代につなぐとともに、耕作放棄地の再生と里山の保存のために活動している。
同収穫体験は今年で3年目。落花生は今年6月上旬に作付けを行ったもの。参加した家族連れは笑顔で土を掘り、「うわー、採れた」「いっぱい採れたよ」「良かったね」と収穫を楽しんだ。その後、参加者は会員らが用意したゆでたサツマイモを味わった。
くまの里山によると、今回の落花生はカラスなどの鳥獣被害を受け、収穫量が減少してしまったという。次回の収穫のためにも今後の打開策を検討するとした。
西代表は「私たちくまの里山は、子どもたちが自然に触れ合うことができることと、美しい里山を次世代に残すことが目的。喜んでいただけているのはうれしい。落花生の味を好んでくれている人もいるので今回は申し訳ない限り。次回は対策も施し、頑張りたい」と話した。
(2021年10月28日付紙面より)
令和3年度クラブ選手権競技 (日本ダイヤモンドゴルフ倶楽部 )
勝浦ヤンキースが体験会 (那智勝浦町 )
全日本高校女子サッカー和歌山大会
防犯功労者・団体表彰 (和歌山県 )
和歌山県庁で12日、「令和3年度全国防犯功労者及び団体表彰伝達式」があった。本紙エリア内では、新宮警察署推薦の柳本利文さん(72)が防犯栄誉金章を受章したほか、中山仁さん(74)が防犯栄誉銅章の栄誉に輝いた。
11日から20日(水)までの10日間は「全国地域安全運動」期間。地域安全に資する関係機関・団体、警察が地域安全活動を強化するとともに、相互の連携を一層緊密にすることにより活動の効果を最大限に上げ、安心して暮らせる地域社会の実現を図るために定められている。
例年なら期間中開催の「安全・安心まちづくり県民大会」の場において同伝達式および「きしゅう君の自転車鍵掛けコンテスト」を実施しているが、本年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から大会は中止に。伝達式と表彰式のみが行われた。
同表彰は、多年にわたり各地域における防犯活動に尽力し、犯罪の防止に多大な功労があった個人・団体に対して授与されるもので、金・銀章、防犯功労団体は警察庁長官および全国防犯協会連合会長の連名表彰、銅章と功労ボランティア団体は全国防犯協会連合会長名の表彰となっている。
新宮警察署では13日、受章者2人に花束が贈られた。約20年前に少年補導員として委嘱を受けて以降、会長を務めながらも新宮警察署地域安全推進員として尽力してきた柳本さんは「青色パトロールや補導員のベストを身に着けるなど、『見える』形を主目的として活動してきた。活動中に住民の方から声を掛けてもらえるなど、興味を持っていただいたことで効果が出ていると感じている。これを機に、少しでもまちを良くするために頑張りたい」。
58歳で早期退職後、知人に誘われ推進員に。「少しでも地元の役に立ちたい」と力を注いで約15年。現在、推進員会総代を務める中山さんは「昨今はコロナの影響で活動が停滞しているが、警察と連携し、各種啓発運動に取り組んできた。(受章に対し)驚いているが光栄です」とそれぞれ喜びを語った。
山田守孝署長は「2人からは地元愛が感じられる。警察が啓発するより、地元で生活している人が近所の人たちに声掛けしてくれるほうが効果的で重みもある。他の仕事をしながらのボランティア活動に頭が下がる思い」と感謝を伝えた。
(2021年10月14日付紙面より)
スタディケーションの学生ら (古座川町 )
首都圏の大学に通う観光学部の学生らが8日から11日まで、古座川町内でスタディケーションに取り組んだ。学生7人と引率教員3人が町内を巡り、学んだことや感じたことを踏まえて観光や町づくりに関する提案をした。
古座川町観光協会(須川陽介会長)が観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の採択を受け実施する複数の事業の第1弾。地域の観光資源の磨き上げを地域で行い観光の再生基盤をつくるための実証実験で、地域と多様に関わる人々である関係人口の増加などを目指した取り組みとしている。
スタディケーションとは「スタディー(勉強)」と「バケーション」を組み合わせた造語。学生らは北海道大学和歌山研究林とやまさき屋旅館に宿泊し▽古座川ジビエ山の光工房▽南紀月の瀬温泉ぼたん荘▽滝の拝▽Kii Garden▽一枚岩▽古座川ゆず平井の里―などを訪れ、サイクリングやアユの友釣り、木工、Eボートなども体験した。
同町小川の「Kii Garden」ではガーデナーの松下礼(あや)さんから説明を受けローズマリーやタイム、ミントなど6種のハーブティーの試飲、ハーブの収穫、手作りバーム(軟膏)といったワークショップに取り組んだ。
10日夜にはオンラインプレゼンテーションがあり、体験を通じて感じた同町の観光や町づくりの課題とその解決策などを3班に分かれて提案した。
アクセスの悪さや空き家などの問題点を逆手に取った町づくりや、学生対象のホームステイ・短期移住、住民との交流を目的とした観光、農業や林業を生かす取り組みなど、他地域に住む若者ならではのアイデアが多数挙がり、参加した関係者らは感想や質問を熱心に伝えていた。
引率の教員は学生をねぎらい、関係者に対し感謝を述べた。「観光を広く捉えるためにも地域とつながりながら実体験として学ぶ仕組みをつくりたいので、学生と共に手伝えれば」と述べて感謝した。
須川会長は「期間が短い中でこんなに素晴らしい独創的な発想をしてもらった。三者三様で良かった」と話し、学生の提案を講評。実現可能なものは実行していくとして締めくくった。
(2021年10月14日付紙面より)
薬物の乱用防止街頭啓発 (串本町 )
県立串本古座高校正門一帯で13日、薬物の乱用防止を呼び掛ける街頭啓発があり生徒の関心を促すなどした。
この啓発は、10、11月に全県規模で展開される麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動の一環。若年層への薬物乱用の広まりを防ぐ取り組みとして、対象とする生徒の代表にも参加を求めて定例的に実施している。
新型コロナウイルス感染症の情勢により前年度は中止したため、今回は2年ぶりの実施。県薬物乱用防止指導員串本地区協議会(堀正会長)を軸にして同町教育委員会、串本青少年センター、新宮保健所串本支所〈同協議会事務局〉、同校生徒会(岡村文音会長)の各代表者14人が啓発員として早朝に集まり、手分けして啓発物資を配った。
この運動は麻薬、覚醒剤、大麻、シンナー、危険ドラッグなどの薬物乱用は個人にとどまらず犯罪の誘発など地域社会へも危害をもたらすことを伝え、その根絶を図ることが目的。大麻については近年30歳未満が事犯全体の6割以上を占めていて、堀会長も地域の若者への広まりを危惧し「コロナで啓発だけでなく教室も開きづらい状況が続く中、若者に呼び掛ける機会が持ててよかった。この啓発をきっかけにして日頃の話題にし、意識を高めてくれれば」と生徒の今後を期待した。
岡村会長(2年)は着任から間がなく、この啓発が初の大仕事。今後のチームワークを高める弾みにすべく啓発に取り組んだそうで、「薬物の乱用がいけないことは小学生の時から教わってきた。高校生はみんなわかっていると思うので、決して手を出さないよう校内でも呼び掛けていきたい」と話した。
(2021年10月14日付紙面より)
小中学校で学習到達度調査 (和歌山県 )
和歌山県教育委員会は13日、県内の公立小中学校と特別支援学校の児童生徒を対象に、令和3年度学習到達度調査を実施した。新宮市・東牟婁郡の小中学校でもテストが行われた。
児童生徒の学力の定着状況をきめ細かく把握し、指導方法の工夫・改善に役立てるとともに、個に応じた指導を充実させ、学習内容の定着を図ることを目的に毎年実施している。
調査教科は小学校第4学年と中学校第1学年は国語・算数(数学)。小学校第5学年と中学校第2学年は、国語・算数(数学)・理科。
昨年度の調査では、小学校算数で問題の解き方を言葉で説明する問題や複数の思考過程を必要とする問題に課題があった。また、国語では人物像や物語の全体像を具体的に想像することに課題が示されていた。
本年度の調査の正答率や教科ごとの課題点などは、12月ごろに県教委のホームページなどで公表する予定だ。
(2021年10月14日付紙面より)