関係者らが入港を歓迎 (新宮市 )
海上自衛隊の最新鋭ステルス型の護衛艦「くまの」(艦長=櫻井敦二等海佐、以下90人)が25日、新宮市佐野の新宮港第3岸壁に入港した。同日、関係者らによる入港歓迎行事が行われ、田岡実千年市長らが出迎えた。同護衛艦は26、27の両日に同所で開催される「自衛隊サマーフェスタ2022in新宮」で岸壁から見学することができる。
今年3月、和歌山、三重、奈良3県を流れる「熊野川」から命名された護衛艦「くまの」が就役。掃海隊群に直轄艦として編入され、横須賀に配備された。全長132・5㍍、最大幅16・3㍍。排水量は3900㌧。船体のコンパクト化、徹底した省人化を図っており、乗員は通常型護衛艦の半数ほどの約90人。護衛艦機能に加え、従来は掃海艦艇が担っていた対機雷戦機能も備えている。
熊野を冠した艦名から当地方でのお披露目が実現。同護衛艦が一般の港に入港するのは今回が初めてとなる。
歓迎行事には田岡市長、酒井清崇東牟婁振興局長、田原正士新宮警察署長をはじめ、新宮防衛協会、紀州防大防医大友の会、県自衛隊家族会など関係者らが出席した。
主催者を代表し、和歌山地方協力本部長の栫憲記(かこい・けんき)一等陸佐があいさつ。同港入港に至った経緯を説明するとともに、関係者らの尽力に感謝を伝え、乗員に「短い滞在時間だがこの機会を通して和歌山県を知ってもらえれば。イベントを訪れる多くの人に『くまの』をアピールして」と呼びかけた。
来賓の田岡市長は「新宮港を第2の母港として、ふるさとに帰るがごとく今後もお立ち寄りいただければ。いつでも心を込めてお帰りをお待ち申し上げたい」。対し、櫻井二等海佐は「愛される船となるよう、しっかりと頑張っていきたい」と誓いを新たにした。
サマーフェスタの初日26日は正午から。陸自の装備品展示や、売店でのグッズ、レトルトの海軍カレーの販売もある。27日は午前9時から午後4時までで、陸自の装備品展示や売店販売に加え、空自が地対空誘導弾ペトリオットの展示もある。
(2022年8月26日付紙面より)
和歌山県は23日、「県民の皆様へのお願い」を更新した。軽微な症状などの条件に当てはまる人は、自己検査・登録制度(抗原定性検査キットの送付・陽性者登録事業)を活用するよう呼びかけている。
新型コロナウイルス感染症患者の急増に伴い医療の逼迫(ひっぱく)が発生する中、県は急拡大への対応として、有症状者などを対象に抗原定性検査キットの入手から医師による確認・届け出までを自宅にいながらオンラインで完結することができる「県抗原定性検査キット送付・陽性者登録センター」(QRコード参照)を開設した。抗原キットの申し込みは9月28日(水)までの午前9時~午後5時、陽性登録は同30日(金)までの午前9時~午後5時まで申請を受け付ける。
対象者は▽和歌山県在住または滞在中で、何らかの症状がある▽「年齢が15歳から50歳未満」「基礎疾患(糖尿病、高血圧、心血管疾患、慢性腎臓病、ぜんそくなど)を持っていない」「BMI30未満(BMI=体重㌔÷身長㍍の2乗)」「妊娠していない」―の全てに該当する人。申請から登録までの流れは別図を参照。
また、PCR検査等の無料化事業を9月30日まで延長すると決定。県は、保健所の業務負担軽減のために、陽性が判明した人で管轄保健所からショートメッセージサービス(SMS)を受信した人は、MyHER-SYS(マイハーシス)を活用した健康観察への協力を呼びかけている。
(2022年8月26日付紙面より)
和久田学さんが教育講演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町教育研究会(会長=山下真司・勝浦小学校長)が24日、町内の小中学校10校の教職員を対象とした教育講演会を開催した。公益社団法人子どもの発達科学研究所の所長兼主任研究員の和久田学さん(小児発達学博士)が「子どもの行動を支える学校としての取り組み」と題してオンラインで講話した。
和久田さんは1986年から静岡県特別支援学校の教諭を務め、2012年からは研究者として大阪大学大学院、浜松医科大学、弘前大学大学院で活躍。文部科学省委託の「いじめ・不登校等の未然防止に向けて魅力ある学校づくりに関する調査研究事業」で大阪府吹田市の公立小中学校にプログラムを提供している。
和久田さんは、学力面の遅れや暴れる・おとなしすぎる、不登校といった問題が起こってから支援を行う従来の方法を「失敗を待つモデル」と批判。それに代わる包括的モデルとして、米国で開発・実践されている「教育に対する反応(RTI)モデル」を紹介した。
「学びとは、半永続的な行動の変化である」という定義を示し「教師の仕事は子どもに学びをもたらし、適切な行動を増やしていくこと」と説明。「現在の教育現場では不適切な行動を減らすことが中心となりがち。しかし、『しかる』『注意する』という罰的アプローチを取ると、勉強自体への意欲をなくす『近接領域弱化の法則』や、怖い先生の前だけきちんとするようになる『弁別の法則』といった副作用が起こり、問題が深刻化する可能性がある」と述べた。
具体的な手法としては、ターゲットとなる行動が起こる先行条件・行動・結果の三つを分析するABC分析の考え方を紹介。適切な行動が起こる先行条件を整え、結果を褒める「前向き行動支援」の重要生を述べ「教師による課題設定や指示、非言語性表現、時間デザインなどが重要な先行条件となる」と教育のプロとしての指導力の向上を促した。
(2022年8月26日付紙面より)
潮岬でアート・WS実施 (県文化振興財団 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家などで21日、イベント「夏休みアート・ワークショップ(WS)串本編」があり参加者15人と同伴の家族が化石に親しみ、その造形に挑戦するなどした。
このイベントは県と県文化振興財団が県立近代美術館、潮岬おもしろらんど体験学習推進協議会、和歌山芸術文化支援協会の協力を得て実施。講師として美術家の妻木良三さんと化石研究家の左向幸雄さんを迎え、2人が愛好する世界観に触れる内容で小学生以上を対象にし定員先着15人程度で事前申し込みを呼びかけた。
講師2人は化石収集で親しい間柄。前半は左向さんが潮岬地内に私設している化石資料館を訪ねて町内外から収集した化石を解説付きで観察し、高まった関心を足掛かりにして後半は妻木さんから化石の型取りを当日指示して作品作りに取り組んだ。
当日指示の内容に合わせて左向さんは三葉虫の化石を参加者に提供。妻木さんは樹脂粘土を使ってきれいに型取りする方法を伝えて工作を促し、仕上がった作品をシャーレに封入し参加の証しとして託した。
妻木さんは現在、同美術館で「なつやすみの美術館12 妻木良三『はじまりの風景』」と題した展覧会を開いていて、終盤では紀伊半島で見られる自然の造形にも似た表現の鉛筆画作品など出品概要を紹介し、最後に「自分が楽しいことは何かなとアンテナを張り、その何かにうまく出会えると楽しくなる。それを大事にしてほしい」と呼びかけて締めくくった。
イベントを経て妻木さんは「試行錯誤して考えた型取りの手法で子どもも上手に作品を仕上げて喜ぶのを見て、やってよかったし楽しみを持ち帰ってもらえたと思う。自分も左向さんも好きなことがやめられず今がある。化石や絵である必要はないので、皆さんそれぞれに好きの先にあるものとの出会いがあれば」と手応えなどを語った。
(2022年8月26日付紙面より)
供養式典に20人参列 (新宮市 )
新宮市徐福の徐福公園で12日、徐福供養式典が営まれた。熊野徐福万燈祭運営委員長の田岡実千年市長や、山口泰郎代表理事をはじめとした一般財団法人新宮徐福協会役員ら関係者約20人が参列。徐福の遺徳をしのんだ。
徐福は今から約2200年前、中国を統一した秦の始皇帝の命を受け、不老不死の霊薬を求めて熊野に渡来したという伝説がある。公園内には、紀州藩初代藩主・徳川頼宣の命で1736年に建立された墓碑(市指定文化財)がある。
今年の式典は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、規模を縮小し関係者のみで執り行った。なお、関連行事である「熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)」は3年連続の中止が決定している。
式典執行に当たり、山口代表理事は「今年も徐福さんに思いをはせる日がやって来た。徐福さんが取り持つご縁は、友好的で平和的な交流の礎構築に寄与してきた」。
「混沌(こんとん)とした世界情勢に鑑み、今こそ徐福さん顕彰の理念である『友愛の絆』を見つめ直さねばならない。徐福さんを媒介として、未来永劫(えいごう)親しくお付き合いをさせていただくことを切に願ってやみません」とあいさつした。
田岡市長は、徐福の墓前で農耕や捕鯨などの技術を日本に伝えたとされる徐福に感謝を示し「永く永く安らかに、そして新宮市の発展と日中両国や徐福の縁(えにし)につながる多くの人々や、国内伝承地のより一層の繁栄と友好そして永遠(とわ)の平和へのお導きとともに、お守りくださらんことを祈念します」などと祭詞祭文を読み上げた。
参列者たちは新宮仏教会の読経が響く中、墓前に線香を手向けた。
(2022年8月14日付紙面より)
新宮港クルーズ振興広域協議会総会
新宮市役所別館で9日、新宮港クルーズ振興広域協議会(会長・田岡実千年市長)の総会が開かれた。関係者ら45人が出席。本年度の事業計画など4議案を承認した。
同協議会は新宮港へのクルーズ振興を通じて県境を越えた広域連携を図り地域振興に寄与する目的で設立した。会員は新宮市、田辺市、那智勝浦町、太地町、古座川町、串本町、北山村、尾鷲市、熊野市、御浜町、紀宝町、紀北町、十津川村、下北山村、和歌山県、三重県、奈良県の14市町村3県。
開会に当たり、田岡会長が関係者らの支援に対し感謝。「新型コロナウイルス感染症の影響で入港数が減少していたが、皆さま方の尽力により、コロナ禍での運航体制や受け入れ体制が確立されつつある中、少しずつではあるが明るい兆しが見えてきている。クルーズ振興がこの地域、各自治体における振興の柱の一つとして確立されることを心から願っている。そのためにもこの協議会が果たすべき役割は重いものと考えている」とあいさつした。
来賓の谷川孝栄・三重県議は「クルーズ船で当地域を訪れるたくさんの皆さまをどうおもてなししていくか、14市町村3県でどう連携していくのかは大切なこと。私たちも再スタートの気持ちでおもてなしをしていければ」と祝辞を述べた。
本年度は▽クルーズ客船受け入れのための情報収集および情報共有▽クルーズ振興にかかる調査・研究▽岸壁や周辺観光地における観光案内などの支援、コロナ対策を講じてのクルーズ客船受け入れ実施―などの事業を展開していく。
任期満了に伴う役員選任では、田岡会長と副会長の河上敢二熊野市長を再任した。県港湾空港振興課がコロナ禍におけるクルーズ客船受け入れ対応について報告。「国などのガイドラインの改訂により、条件を満たせば感染者が出てもクルーズ続行が可能になった」などと説明した。
議案審議後には大型客船「飛鳥Ⅱ」を運航する郵船クルーズ㈱経営企画部の村山公崇部長が「これからのクルーズ ポスト・コロナに向かって」を題目に講話した。
村山部長は、日本のクルーズの現状について説明し▽ウイルスを船内に入れない▽ウイルスを船内で拡散させない―を2本柱とした「飛鳥Ⅱ」の新型コロナウイルス感染対策プランについて紹介。「船は、コロナ前は3密だったのは事実だったが、コロナ後は管理がしっかりできることにより安心な場所になってきたのでは」などと話した。
同船が実施する地方創生、地域活性化を目的とした取り組みや、2025年就航予定の新造客船について紹介した。
昨年度の新宮港へのクルーズ船入港実績は入港数8隻で客数は1795人。今月17日(水)、24日(水)には「ぱしふぃっくびいなす」、28日(日)には「飛鳥Ⅱ」が入港する予定。
(2022年8月14日付紙面より)
JR利用者、昨年より増加 (熊野地方 )
お盆をふるさとや観光地で過ごす人たちの帰省ラッシュが本格化している。新宮市徐福のJR新宮駅では12日、京都・大阪や名古屋方面から来た列車から、大きな荷物を持った帰省客らが下車。ラッピング電車「パンダくろしお」と記念撮影をしたり、迎えに来た家族と再会を喜んだりする姿が見られた。
新型コロナウイルス感染症の第7波が拡大する中で迎えた今年のお盆。首都圏1都3県や大阪府に緊急事態宣言が発令されていた昨年と比較すると、駅構内もにぎやかな雰囲気に包まれている。
12~17日の特急くろしお空席状況(新大阪―新宮間)によれば、上り・下りともにグリーン車を中心に予約が埋まり、ほぼ満席の列車もある。
駅業務に当たるJR職員からは「昨年に比べて明らかに利用者が増えており、駅としてはうれしい限り。大阪方面へ向かう利用者では、新型コロナ感染再拡大の影響か予約の取り消しもある」との声があった。
国道42号では他府県ナンバーの車も目立ち、熊野地方各地で開設されている自然プールや海水浴場もにぎわいを見せている。
(2022年8月14日付紙面より)
那智勝浦町と覚書を交わす (新宮警察署 )
新宮警察署(田原正士署長)と那智勝浦町(堀順一郎町長)は5日、同町天満の消防・防災センターで「災害時における警察車両等への燃料の供給に関する覚書」に伴う調印式を行った。災害発生時、警察車両への給油が不可能な際に、消防・防災センターに保有する燃料を供給するもので、新宮署から呼びかけた。過去には新宮市や串本町とも調印しており、管内では3例目。
近年、豪雨災害が激甚化・頻発化し、全国各地で甚大な被害をもたらしているほか、高い確率で発生が予測される南海トラフ巨大地震を受け、防災体制強化の一環として締結した。
災害時、町が管理する燃料を警備活動に務める警察車両に給油することで、町民の安心安全につなげることが目的だ。
同町では南海トラフ巨大地震発生時、津波の第1波到達が約3分、最大17㍍と想定されている。今年4月に竣工(しゅんこう)した消防・防災センターは、海抜27㍍の高台に位置し、有事の際は対策本部として町防災の要となる施設。
完備した自家給油取扱所にはガソリンを最大6000㍑、軽油を4000㍑保有できるとしている。
調印式を終え、堀町長は「これまでの消防署は浸水域であり、燃料の備蓄を行える設備がなかった。新設することで、給油設備もでき、防災・減災対策や町民の安心安全につながった。有事の際は警察車両に給油を行うことで、さまざまな警察活動を行っていただけることから、町の防災力が向上した」。
田原署長は「災害はいつ、どのような形で発生するか分からない。発生時は、給油のために移動することで現場への到着が遅れることも懸念される。今回の調印によって、素早く警察力が発揮できるのでありがたい」と語った。
(2022年8月6日付紙面より)
南紀熊野ジオパーク探偵団
「南紀熊野ジオパーク探偵団」(東垣(あずま・わたる)団長=南紀熊野ジオパークセンター長)の活動が、本年度もスタートした。8日にはオンラインで事前学習会が開かれ、新宮市の県立新宮高校、新翔高校を含む県内5高校、1中学校の有志生徒らが参加した。
地元の自然や地球環境に関心を持つ中高生が、南紀熊野ジオパークをフィールドに探求活動を行い、地元の課題解決のために自律的に思考し、世界に情報発信していくことを目指す取り組み。昨年度スタートした。
本年度の研究テーマは「海洋環境を考える」。東団長は「think locally, act globally(地域で考え、地球規模で行動)」という探偵団のモットーを述べ「青い海をどう守るのか、皆さんには科学的に問題に取り組み、学んだことを日本地球惑星科学連合大会などの学術大会で発信してほしい。最終的には、会社や企業と連携し、プラスチック循環社会に向けたイノベーションにつなげていくことができれば」と今後の展望を語った。
和歌山大学教育学部の岡崎裕教授は、持続可能な開発目標(SDGs)の観点からみた探偵団活動の意義を説明。
京都大学学際融合教育研究推進センターの島村道代・特定准教授は、海ごみ問題の特徴を▽グローバルな問題(人類共通課題)▽地域の問題(ごみは現場に落ちている)▽日常生活に密接に関係した問題(普段使っている物が海を汚す)―の三つと説明。過去15年で海ごみに占めるプラスチック製品の割合が増えていることを述べ「物理・化学といった理系のアプローチだけでなく、法整備やごみ処理の仕組みづくりなどの文系の解決方法を探っていく必要もある。皆で協力して問題について考えていきたい」と呼びかけた。
生徒たちは今後、専門家らのサポートを受けながら、新宮市の三輪崎海岸と白浜町の志原海岸で漂着ごみの調査を行い、比較・分析を通じて特徴や原因を探っていく予定だ。
(2022年8月6日付紙面より)
給食米支える生産者組合 (串本町 )
串本町の学校給食米納入を担う地産地消生産者組合(山下敏文組合長)が4日、稲刈りの作業に取りかかった。
同町は学校給食における地産地消の推進と休耕田の解消を目的として2009年度に学校給食米の制度を導入。その納入者として発足したのが同組合で、休耕田を借りて再興し町指定品種・コシヒカリを栽培している。16年度には学校給食センターが本格稼働し、全町規模(古座川町立古座中学校分も含む)での学校給食がスタート。呼応して同組合も会員増強と作付面積の拡大に努め、現在は21人で27㌶を作付し白米換算で年間14~15㌧規模の需要を支えているという。
この日稲刈りに取りかかったのは坂本渡副組合長。二色地内で4月9日に田植えした苗が収穫適期に差し掛かったため、愛用のコンバインで刈り進めた。
今年は梅雨明けが早かった分好天に恵まれ、組合内では「塩害を受けた」という話もあるがこの場所は心配した台風接近の影響もほぼ無く作柄は上々。育ちも良く例年より1週間ほど早く取りかかることができ、「好天が続けば盆前には(組合からの預かり分の)収穫を終えられそう。じかに見えなくても子どもたちが喜ぶ顔は目に浮かぶ。それを励みにして暑い中だが収穫に頑張りたい」と意気込んでいる。
山下組合長によると今年も14㌧を目安にして納入を目指すそう。新型コロナウイルスの情勢に伴い昨年納入分が若干余っているため、子どもたちが新米を味わえるのは余った分を使い切る9月半ば以降になる予定。今年は組合員間で田植えをした時期にばらつきがあり、組合全体としての収穫作業は9月いっぱいまでかかる見込みだという。
(2022年8月6日付紙面より)
「スペシャルおはなし会」満喫 (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」内の市立図書館は4日、同施設1階の大階段で「スペシャルおはなし会」を開催した。午前と午後の2回に分けて実施され、幼稚園から小学6年生までの子どもらと兄弟、保護者ら約30人が参加。ボランティアグループ「ブック・ブック」(濱野小夜子代表)メンバーが読み聞かせを担当し、子どもたちは絵本の世界を満喫した。
図書館内の「おはなしのへや」で定期的に開催される催し。今回は「スペシャル」と銘打ち、3密回避なども目的として小規模な多目的イベント空間として利用可能な「大階段」に場所を移した。「大階段」でのおはなし会の開催は初で、集客を伴う同所でのイベント開催も初めてという。
この日、「ブック・ブック」のメンバーらは▽あんぱんまん▽地震がおきたら▽にゃーご▽花さき山―の大型絵本を読み聞かせ。子どもたちは真剣な表情で絵本に見入り、終了後には拍手を送っていた。
パネルシアター「とんでったバナナ」では、メンバーらが同タイトルの童謡を歌いながら歌詞に合わせてパネル上で物語を展開。子どもらはメンバーと一緒に、元気に童謡を口ずさむなどした。
午前の部に参加した園山将臣君(7)は「(『とんでったバナナ』の小道具など)どうやって作ったのか気になる。作ってみたい。歌も歌えて楽しかったです」と笑顔。母親のまどかさんは「おはなし会には初めて参加しました。喜んでくれて良かった」と話していた。
(2022年8月6日付紙面より)
夏休みバスケットボール体験キャンペーン (黒潮ミニバス )
夏のなぎなた体験教室 (新宮なぎなたクラブ )
新宮高校でオープンスクール (新宮市 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で3日、オープンスクールがあり、新宮・東牟婁郡内の21校から中学生297人が訪れた。中学生たちは2グループに分かれて体験授業やクラブ体験に参加し、高校生活に期待を膨らませた。
体育館では、広報委員会の伊藤志歩さん(2年)、冨田萌々花さん(同)、坂口りおさん(同)が動画で学校紹介。クイズも交え、4万冊超の蔵書がある独立した図書館や、創立120周年記念に改装したばかりの多目的食堂施設「リレー・スクエア」、夏バテ対策の食堂新メニューのしそジュース、焼きたてパンなどが買える購買部、多彩なクラブ活動などの魅力や特色を伝えた。
中学生たちはそれぞれの希望に沿い、数学や英語、生物、物理、倫理、公共などさまざまな授業を受講。英語のコミュニケーションゲーム「Line up in Order」や、ペットボトルとガラス玉を使ったタマネギの細胞観察などで、高校の学びを体験した。
参加した中学生たちは「『自由って最高』という面白そうなタイトルだったので倫理を受けたが、思っていたよりも難しく、高校ではこんなことを勉強するんだと分かった」「新宮高校がいいなと思っていて、生物の授業も楽しかった」「高校では吹奏楽部に入りたい。見学も楽しみ」などと話していた。
(2022年8月4日付紙面より)
第46回マリンスクールで (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センターが1日にイベント「第46回マリンスクール」を開き、町内の小学5、6年生14人が同館職員と一緒に串本の海にじかに親しむ経験をした。
海への理解と興味をより一層深めるとともにそのためのグループ活動を通して自主性と協調性を培う目的で、同センターオープン翌年の1972年からおおむね年1回の頻度で実施(未実施年があるため実施回数は経年より少なくなっている)している同スクール。
例年は1泊2日(テント泊)で夏休み期間中に実施しているが、おととしと昨年は新型コロナウイルスの情勢により中止。今年は自炊やテント泊の要素を差し引くなど感染予防の工夫をして計画し、参加を呼びかけた。
メイン講師は同センター水族館職員の平林勲さんが担当し、他の職員も活動を支援。前半は参加者が過去に遠足などで親しんできた施設の見学や飼育体験、アカウミガメの放流に取り組んで串本の海へのイメージを高め、昼食休憩を経て後半は同センター前に広がる錆浦海岸で磯観察に臨んだ。
14人は平林さん組と同職員の佐久間夢実さん組に分かれて小さな潮だまりや潮間帯、魚類も取り残されるほど大きな潮だまりを巡り、魚類や貝類や甲殻類、棘皮動物の仲間(ウニ類、ヒトデ類、ナマコ類)といった生き物を採集。大きな潮だまりでは網を持ってシュノーケリングによる採集にも挑戦した。
採集後は平林さんから生き物の名前を教えてもらいながらじっくり観察。行動観察と題し、ヤドカリがどのようにして背負う貝を選ぶかも観察して確かめた。
参加者の道井渚由さん(5年)は「磯観察が楽しくて、ソラスズメダイ10匹ぐらいの群れがいてきれいだった。アカウミガメが泳いでアメリカまで行くことは知らなかったのでびっくりしたし、勉強になった」とコメント。平林さんは「串本の海の素晴らしさにじかに触れ、何かを感じて今後親しむ機会にしてもらえれば」と参加した児童の今後を期待した。
(2022年8月4日付紙面より)
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長)と下里中学校(布引伸幸校長)の図書室で現在、夏休みを利用した図書管理システムの導入作業が行われている。バーコードの貼り付けや図書整理を経て、新学期からは順次、本の貸し出しや返却などの作業をパソコン上で行うことができるようになる予定だ。
太田小学校の現在の蔵書は5175冊、下里中学校は5199冊で、これまでは貸し出しカードへの記入などによって本の管理をしていた。
両校で導入するのは「お気軽図書館」という小規模図書館向けのシステム。バーコードリーダーによる本の貸し出し、返却、予約、利用者管理の機能を完備し、本の情報(書誌データ)に基づく検索や貸し出し記録の分析を行うこともできる。
現在は夏休みを利用し、那智勝浦町の学校司書や教職員が手分けし、分類記号を記した3段ラベルやバーコードの貼り付け作業をしている。
学校司書の米地紗織里さんは「町内小中学校の図書管理システム導入は、現在の2校が最後。本の管理が非常に簡単になり、子どもたちの読書環境づくりの面からも、大きな一歩となると思う」と語る。
お気軽図書館のシステムでは、児童・生徒や教職員、地域住民といった利用区分ごとに貸出冊数や期間を調整することも可能。太田小は今後、地域住民向けの図書室開放や貸し出しを行うことも視野に入れているという。
(2022年8月4日付紙面より)
グロッサンさん一家が訪問 (新宮道場 )
新宮市の熊野速玉大社境内の新宮道場に7月31日、フランス在住のグロッサン・ガブリエルさん(41)一家が訪問した。一家は、同道場で練習を行う新宮剣友会(宮戸伸之会長)に所属する剣士たちと共に同大社で正式参拝を行い、稽古を通して交流を図った。
「新宮を剣道の聖地に」「楽しく伝統文化を継承したい」との思いから、国内外から訪問者を受け入れている同会。フランスで、家族で剣道に打ち込むガブリエルさん、妻で和歌山県出身のなつきさん(42)、息子のガスパー・楓雅さん(14)は夏のバカンスを利用して毎年日本を訪れており、なつきさんの母校である県立和歌山東高校などで研さんに励んでいるという。
6段錬士の腕前を誇り、フランス女子ナショナルチームのコーチも務めるなつきさんと現在5段のガブリエルさんとの出会いは高校生の時。剣道の稽古のために同校を訪れたことがきっかけで結ばれた。
なつきさんの両親と知り合いだったことも縁となり、これまでにも剣道を通して交流を育んできた一家と宮戸会長。新宮市への訪問は初めてで、今回の来日は11日(木・祝)に橋本市で実施される楓雅さんの昇段審査も兼ねている。楓雅さんはフランスの中学生の部で優勝を飾るほどの腕前で「昇段審査目指して頑張りたい。和歌山の海や川で泳いだりして、バカンスも満喫したい」と話していた。
正式参拝を終え、ガブリエルさんたちは新宮剣友会の剣士たちと打ち込み稽古などに汗を流し、剣道を通して交流を深めた。
宮戸会長は「交流を通して、剣道の素晴らしさをお互いに感じてもらいたい。この地が剣道の聖地になるために、これからも多くの人に声をかけて熊野に来たい人を増やすことができれば。今日の交流はその第一歩だと思います」と思いを語った。
(2022年8月4日付紙面より)