議会提案が賛成多数で可決 (新宮市 )
新宮市議会(屋敷満雄議長、16人)の12月定例会で21日、議会発案の大石誠之助を名誉市民に推挙する議案が11対4の賛成多数で可決した。田岡実千年市長は「議会の議決を重く受け止め、遺族に報告した後、最終判断します」とコメントした。
名誉市民は社会福祉の増進、産業文化の進展などに貢献し、その功績が顕著であった新宮市民や縁故者に贈っている称号。1960(昭和35)年の佐藤春夫が初めての名誉市民で、これまで東くめ、木村藤吉、杉本喜代松、世耕弘一、村井正誠、山本秋広、西村伊作、畑中武夫、中上健次の10人に贈っている。
名誉市民はこれまで市長が議会に提案し、議決を経て決定していたが、今議会初日に可決した条例改正で、2人以上の議員で候補者を上程し、可決すれば市長に推挙できるようになった。最終決定するのは市長となっている。
新宮出身の医師、大石誠之助(1867~1911)は明治天皇暗殺を企てたとして1911(明治44)年、12人が死刑、12人が恩赦で無期懲役となった「大逆事件」で、「嘘(うそ)から出た真(まこと)」の言葉を残して絞首刑となった人物。
事件は後の研究で大逆罪に名を借りた社会主義者、無政府主義者への弾圧で、国家によるフレームアップ(でっちあげ)であったことが明らかになっていて、市議会は2001(平成13)年9月に誠之助を含む熊野地方の犠牲者6人の名誉回復宣言を全会一致で採択している。
提案者の上田勝之議員は、誠之助は貧者からは薬代を取らず、遊郭設置や戦争に反対するなど民主主義、人道主義、人権意識の先覚者で、名誉市民の春夫や伊作など後世の新宮人に多大な影響を与えたと説明。「今、この時代に名誉市民に推挙する意味がある」などと訴えた。
(2017年12月23日付紙面より)
生産者らが品質チェック (那智勝浦町 )
那智勝浦町と新宮市の農家でつくる「くろしお苺生産販売組合」(杉浦仁組合長)は20日、同町南大居のJAみくまの太田営農センターでイチゴ「まりひめ」の目慣らし会を実施した。
目慣らし会は、「まりひめ」の出荷規格を統一するため、毎年イチゴのシーズンに開かれている。この日は、イチゴ生産農家(9軒)とみくまの農業協同組合の職員らが集まり、大きさや形などを見て等級などを確認した。
杉浦組合長は「台風で生育に影響が出て、昨年より出だしが遅れたが、摘果も良く効き品質には自信がある。年始から順調に出荷できると思う」と話した。
「まりひめ」は、完熟で摘んでいるため、強い甘さが特徴。足が早く、地域でしか販売されないため、公設市場を通して近隣のスーパーや八百屋で販売されている。イチゴの収穫および出荷は、12月から5月終盤まで。昨年度は収穫期間中、まりひめだけで約1万5600ケースを出荷した。
(2017年12月23日付紙面より)
大会出場の2人を壮行 (潮岬中 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長、生徒52人)が21日の全校集会で、国際大会に出場する武田日向君(3年)と全国大会に出場する潮﨑梨緒さん(3年)の活躍を期待して壮行した。
武田君は夏の倉敷国際少年野球大会以降、和歌山野球振興協会(夢クラブ)の代表選抜を受け、台湾で開かれる2017台北市国際青少年野球大会に出場することになった。大会日は22日~27日(雨天予備日28日)の6日間で、初日は開会式、23~25日が予選リーグ、26~27日が決勝トーナメントと閉会式。武田君は日本和歌山チームの一員として、32チーム中の上位進出を目指す。
潮﨑梨緒さんは昨夏、JOCジュニアオリンピック第31回全国都道府県対抗中学バレーボール大会の和歌山県チーム選抜を受け、9月以降は週末ごとに合同練習に打ち込んできた。大会日は25日~28日の4日間で、初日は開会式、2日目は予選リーグ、27~28日は上位32チームによる決勝トーナメント。女子の会場は準々決勝までエディオンアリーナ大阪、準決勝以上は大阪市中央体育館となっている。
2人はユニフォーム姿で全校生徒教職員にあいさつし、武田君は「選ばれなかった人の分まで頑張り、結果を残してこれからの自信につなげていきたい」。潮﨑さんは「自分の好きなバレーボールを指導してくれた先生や周りの方々、そして家族に感謝して、県代表として頑張る」と述べ、挑戦中の応援を求めた。
藤本校長は「2人とも小学校の頃から競技を始めた。時には苦しい時もあっただろうが、それを乗り越えて『楽しい』と言える今がある。すごいなと思うし、これからも頑張ってほしい。別々に競技から何を学んだかを質問したら、くしくも同じ答えが返ってきた。『人とのつながりの大切さを学んだ』という。そのような2人なので、大きな舞台でも臆することなく堂々と楽しんでプレーしてくれると思うので大いに期待したい」。生徒会の古久保颯太会長(2年)は「健康に注意して、当日は全力を発揮してほしい」と激励し、一同拍手で健闘を期待した。
(2017年12月23日付紙面より)
新宮GG同好会「年忘れ12月大会」
和道流新宮支部が2大会で活躍
境内施設整備事業 (熊野那智大社 )
創建1700年記念境内施設整備事業による改修工事が進む那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で11日、男成宮司をはじめ工事関係者、那智勝浦町消防本部、同町教育委員会の職員らが集まり、年内から年明けにかけての作業工程や検討事項などを確認した。
同事業の概要は、拝殿の改修および銅板屋根葺き(ふき)替え工事、拝殿、鳥居、宝物殿、長生殿、手水(ちょうず)舎などの塗装工事、祈願所、社務所の改修および塗装工事となっており、総事業費は1億6500万円。事業期間は平成31年12月31日まで。
年内に拝殿の銅板は全て外され、年明けに傷みのひどい向拝(ごはい=一般参拝所)を解体する。日本建築工藝設計事務所の1級建築士・川村浩一さんによると、向拝部分は新しく建てるのではなく柱など使えるものは残し、再度組み立てる重要文化財と同等の改修になるという。
しばらくは拝殿が足場で囲まれた状態になるため、同大社では斎館の利用や臨時参拝所の設置などを検討している。男成宮司は、来年7月の式年例大祭までには拝殿が使えるようにと話し、「工事の方やお参りの方の安全を第一に、無事の竣工(しゅんこう)にお力添えを」と呼び掛けた。現場で工事関係者らと、屋根の造作や参拝客への配慮などについて細やかに打ち合わせをした。
同事業奉賛の問い合わせは同大社境内施設整備事業奉賛会(電話0735・55・0321)まで。
(2017年12月14日付紙面より)
熊野ええもん祭り (熊野エリア商工青年部協議会 )
熊野エリア商工青年部協議会(福本友樹会長)は10日、新宮市のスーパーセンターオークワ南紀店で広域商工フェア「熊野ええもん祭り」を催した。地域の特産品を扱った露店21店が軒を連ね、ステージショーなどでにぎわった。
同イベントは今年初開催。和歌山県と三重県の商工会議所、商工会が集まる場所を作り、熊野地域全体の交流人口増加と経済発展を目的に企画した。
開会のあいさつで福本会長は「イベントや講演、セミナーを通して、広域の皆さんが集まって生まれる力はとても大きなものだと感じました。県と市町村の垣根を越えることで熊野が発展できたら。どうぞ楽しんで」とイベントにかける思いを語った。
会場内にはウミガメとの触れ合いコーナーや三重県熊野市のご当地キャラ「にいひめちゃん」のエアトランポリン、水上遊具「アクアボール」の体験コーナーが設けられた。露店ではマグロやクジラ、じゃばら、木工品といった特産品を販売し、市内の飲食店も自慢の一品を振る舞った。
ステージでは熊野水軍太鼓保存会の太鼓演奏をオープニングに、新宮市立緑丘中学校吹奏楽部がなじみの曲を奏でた。熊野エリア内各地区のパフォーマンス団体のダンスや紀北町のご当地ヒーロー「KIHOKU戦隊アババイン」の戦隊ショーもあり、会場を盛り上げた。
商品券が当たるミカン早食い競争では小学生、女性、男性の部に分かれて皮をむくところから指定の個数を食べ終わるまでのタイムを競い合った。
男性の部で1位となった新宮市下田在住の大江和貴さん(29)は「とてもおいしいミカンでした。いかに皮を早く向き、飲み込むか工夫したことが結果につながったのだと思う」と喜んだ。
(2017年12月14日付紙面より)
生徒立案のグローバル講演会 (串本古座高校 )
県立串本古座高校串本校舎(愛須貴志校長、左近晴久教頭、生徒284人)で11日、グローバル講演会が開かれた。学校ではなく生徒が主体になって立案した初の試みで、今回はクラブ活動「CGS部」のトルコ班が串本町総務課に勤務するトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんを講師として迎え、対談形式で質問を寄せるなどした。
日本とは違った文化を持つ外国を肌で感じ、外国人から見た日本や串本町の印象を聞いて今まで気付かなかった串本の価値観を探り見つけるのが今回の同講演会の狙い。同班は事前にアルカンさんと打ち合わせを重ね、前半は講演、後半は対談とする内容を計画して本番を迎えた。
同班メンバーの上屋敷希美さんと北千優さん(共に2年)が司会進行を担当。アルカンさんは自己紹介やふるさとアイドゥン県にいる家族やまちの特色、日本に来たきっかけや背景にある両国友好を育んだ二つの出来事、殉難将士慰霊碑をトルコ人に代わって守ってくれていることへの感謝やトルコ共和国の成り立ちと文化などをざっくばらんに語り、生徒が関心を持つ糸口とした。
後半の対談は伊森安美さんと岡地舞さん(共に1年)が聞き手になり、▽なぜ日本で働こうと思ったのか▽日本に来て驚いたことや困ったこと▽アルカンさんから見た日本や串本のいい所―などをテーマに掲げて質問。併せて事前に実施した生徒アンケートの結果を発表し、7~8割が串本は「住みやすい」「好き」といっているのに6割弱が「町外に出たい」と思っていることへの印象も尋ね、アルカンさんは「まずは自分のやりたいようにするのがいいが、(町外へ出る理由で)串本には何もないからという考えはなくした方がいい」と答えた。
アルカンさんは最後に「高校時代はとにかく(今すべきことに)頑張りながら将来の夢を見つけ、その未来の筋道の中でふるさとも大切にしてほしい」とメッセージを送って講演を終了。質疑応答を経て始終を見守った愛須校長は「国民性の違いが分からないと誤解が生まれてしまう。互いの国の常識を知るという点で、今日の話は良かったと思う」と講評。将来どこへ行くことになってもアルカンさんのようにふるさとを語れる大人になることを期待しながら会を締めくくった。
(2017年12月14日付紙面より)
健康づくりポイント事業 (和歌山県 )
和歌山県は10月から「健康づくり運動ポイント事業」を開始している。自治会活動や個人の運動活動にポイントを付け、地域ぐるみで楽しく競いながら運動習慣の定着を目指す取り組み。専用ウェブサイトに登録するなどして毎日の運動の実績を報告するとポイントがたまり、ランキング上位者には賞状と賞品が進呈される。
元気で長生きをするためには栄養、運動、休息が必要になるが、運動面では歩く人が少なく、2012年の国民健康栄養調査では和歌山県の1日あたりの歩数で、男子がワースト2位、女子はワースト10位だった。事業は楽しみながら運動を継続し、地域ぐるみで運動習慣の定着を図る目的。
申し込みは8月から開始し、10月から事業がスタートした。今後は毎年実施していく予定で、個人参加と自治会、グループ参加があり、年度末までの間ランキング形式で競う。申請方法はウェブと専用用紙があり、18年1月末には専用アプリが登場する予定だ。1日8000歩以上のウオーキングで1ポイント、30分以上のスポーツで1ポイントの換算。ラジオ体操やゴルフ、ダンスなどさまざまな項目がある。自治体参加では会主催のイベント参加で2ポイントが付与され、草刈りや溝掃除なども得点の対象になる。
月ごとの歩数や運動内容をウェブで入力、もしくは記録表を県に郵送するか、市町村健康づくり担当課に提出して実績を報告することでランキングに反映される。当地方では10月末時点で新宮市や串本町の自治会、個人では200人以上が登録している。担当課では「運動がおっくうな人にも楽しみながら取り組んでもらいたい」。児玉征也・東牟婁振興局長は各地で行われるラジオ体操や元気クラブしんぐうなどの活動を挙げ「当地方はポテンシャルが高く、県内でもトップに入るのではないか」と話していた。
■登録方法
登録方法は①専用ホームページ「わかやま健康ポイント」よりウェブで申請②県庁健康推進課ホームページ(http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/041200/index.html)から様式をダウンロードし、郵送するか市町村健康づくり担当課に提出する。ランキングはウェブ上で毎月公表する。
(2017年12月14日付紙面より)
第14回太地いさなカップ
地元と健康にこだわり開発 (新宮港埠頭 )
新宮市三輪崎の新宮港埠頭株式会社食品部(シングウポートフーズ)はこのほど、地元にこだわった食材で作ったブリ商品を開発した=写真。今月9日(土)午前10時から正午まで、港内の株式会社食縁本社工場前で初めて地元販売する。
近畿大学技術の養殖プレミアムブリ「におわないブリ」を使用した商品。168時間かけて製造している薫製は、生ハム風と照り焼き風の2種類。切り身はプレーン、照り焼き、みそ漬け、酒かす漬けの4種類。刺身用ブロック、しゃぶしゃぶ用などもある。
安全、安心をモットーに、いずれの商品も化学調味料や食品添加物を一切使用しておらず、しょうゆは新宮醤油、酒かすは尾﨑酒造など、地元産を使用している。
同社は1978(昭和53)年9月30日に設立された新宮市の第三セクター。これまで新宮港を中心とした港湾運送、船舶代理店、貨物運送を主たる事業としてきたが、日本の「食」の多様性に注目し、食品部を設置。稚魚生産から加工販売までの「なまず養殖事業」もスタートしていて、来年の夏ごろの販売開始を予定している。
小池けん二社長は「私のモットーは、常に先を見据え新しい視点を持つこと。人口減少・少子高齢化の波がこの地方でも大きな社会問題となり、産業の衰退は地方都市の活力を疲弊させています。この地域の新たな活力と産業の振興を図り、雇用の場を作ることが必要。地域の特産を目指した事業を興し、全国展開を図りながら、さらに地域社会に貢献する会社を育てたいと考えています」と話している。
(2017年12月6日付紙面より)
※ 小池けん二社長の「けん」は、「濕」のさんずいを取り除いた字
新宮税務署が説明・相談会 (新宮市 )
新宮税務署は4日、新宮市の新宮商工会議所で「雑損控除等説明会」を開いた。台風21号などで被害を受けた人を対象とする説明会で、同市などで多くの被害があったことから開催した。被災した場合の所得税の減免制度や、住宅や家財の損失額の計算方法などについて説明した。
災害などで住宅や家財に被害があった場合、雑損控除か災害減免法によって所得税の軽減免除を受けられる場合がある。どちらか有利な方を選ぶことができ、確定申告の際に必要書類を添付して申請する。インターネットで申告書が作成できる国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を使う際にも、被害のあった家財などの損失額を入力することで、条件に合わせて雑損控除か災害減免法の有利な方を選択できる。
説明会では全般的な説明の他に、個別相談の時間も設けられ、申告会場に持参できる損失額計算個票の用紙も配られた。確定申告の期間は2月16日(金)からとなるが、同署では被災者を対象に事前対応も予定している。
担当の同署個人課税部門の統括国税調査官・山田耕士さんは、「申告の時期には混雑も予想されます。まずは説明会にお越しください」と話した。
この説明会・個別相談会は今後、5日と7日(木)に同所で、14日(木)に那智勝浦町築地の南紀くろしお商工会で開かれる予定。時間は説明会が午後1時30分~2時30分、個別相談会が午後2時30分~5時。夜間の説明会が午後6時~7時。
(2017年12月6日付紙面より)
来年、創建2050年を迎える田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の式年大祭を盛り上げようと組織された「熊野本宮大社御創建二千五十年奉祝式年大祭推進協議会」(榎本長治会長)は2日、大社瑞鳳殿で総会を開き、来年の主なイベントの事業計画案などを承認した。
協議会は今年9月に組織。熊野本宮観光協会、田辺市熊野ツリーズムビューローなどさまざまな団体、企業など30を超える団体で組織。奉祝期間を誘客の絶好の機会として捉え、さまざまなイベントを展開し、熊野の魅力を発信しようと事業に取り組んでいる。
本宮大社の例大祭は例年4月13日から15日に行われているが、来年は11日(水)から15日(日)までを日程として奉祝式年大祭として営む。期間中には歌手の山川豊さんや水森かおりさんらの歌唱奉納などがある。
例年8月に行われる「八咫(やた)の火祭り」は10月13日(土)に日程を変更し、式年大祭とは別に公募した稚児による湯登神事を行う。
3月には博物学者、小説家の荒俣宏さん、5月には演出家の宮本亜門さん、秋には作詩家の及川眠子さんの講演を計画。宝物殿の特別拝観なども予定している。
協議会では大祭記念ロゴを製作し、ピンバッジやのぼり、記念ポロシャツの製作も進めており、さまざまなPR活動を展開していく。
総会で協議会顧問の九鬼宮司は「地元の高校生も祭りに参加したいという声もあり、うれしい。皆さんと新たな祭りができればと考えている。何かが生まれてくると確信している」とあいさつ。榎本会長は「2050年のお祝いだけでなく、熊野の良さを発信する大きな機会と捉え、地域の観光振興につなげられたらと思う」と話し、「参加していただける団体、企業を募集している。本宮大社へ問い合わせてほしい。いろいろな方々に参加してもらい、一緒に盛り上げていきたい」と呼び掛けた。
(2017年12月6日付紙面より)
町長らに感謝届け親交深める (串本町 )
駐日トルコ共和国大使館のハサン・ムラット・メルジャン特命全権大使(58)一行が4日、串本町の田嶋勝正町長や同町立大島小学校(山本隆介校長、児童36人)を表敬訪問し、トルコ軍艦エルトゥールル号殉難将士慰霊碑に献花するなどした。
メルジャン大使は先月17日に着任した新任の特命全権大使。今回の訪問は公務に就くにあたって慣例になっているあいさつ回りを兼ねた視察の一環で、インジ・メルジャン夫人と通訳者としてボアチ・ウリケル専門官を連れ3人で来町した。
南紀白浜空港で役場総務課職員と合流し、公用車で同町入り。役場本庁で表敬を受けた田嶋町長は「町民を代表して歓迎する。エ号の遭難は悲しい事故だったが、当時の救難活動が今の日本とトルコの友好を築いた柱と言ってもらえることを私たちはうれしく、誇りに思っている。今も清掃や献花をしながら587人の殉難将士をお守りしているので安心してほしい。これからいいお付き合いをさせていただきたい」と述べ、メルジャン大使は「何よりもまず将士を大切にしてくれていることに感謝する。われわれも祖先への思いを胸に友好を作る努力をし、町長ともよい機会を作りたい」と応えた。
「次の来町時には町長と一緒にダイビングに挑戦したい」など後の懇談も弾む中、田嶋町長は歓迎の一端で記念楯や日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」のぬいぐるみ、町独自の友好のあかしとしている同碑レリーフをかたどったピンバッジなどを贈って親交を深めた。
同町立大島小学校では、山本校長と6年生の造隼瑠菜さんがあいさつし、6年生の伊勢谷連さんと中西基樹君が花束を贈って来校を歓迎。一同で同碑とともに受け継がれる追悼歌を披露した。
メルジャン大使は「皆さんや役場の方々が両国の国旗を振って迎えてくれたことが、串本に来て何より感動していることだ」と歓喜。同碑の清掃などを通して殉難将士を大切に守ってくれている児童を『もっとも美しい花で飾られたような友好の架け橋』とたたえて感謝し、交流の記念にと文具を贈るなどした。
表敬後は樫野崎を訪ね、田嶋町長夫妻や樫野区の岩谷知道区長の代理で高山カヤ子さんとともに同碑に献花。メルジャン大使夫妻は樫野崎園地にある建国の父・アタテュルク像への献花を来町にあたって希望したそうで、同町も応えて段取りし実現した。併せて樫野埼灯台やトルコ記念館、遭難地点とされる岩礁(通称・船甲羅)を視察し現地説明を受けるなどした。
夜は田嶋町長主催の歓迎夕食会に出席。町内に宿泊し翌5日に串本海中公園センターを視察するなどして同大使館がある東京へ戻った。
(2017年12月6日付紙面より)