新組織立ち上げ会合 (新宮市高田区 )
新宮市高田区は20日付で「村づくりの会」を解散した。同日夜、新組織の1回目の会合があり、地域住民や和歌山県移住定住推進課・企画産業課の各担当者、市社会福祉協議会担当者ら約20人が出席した。今後は「新宮市高田村つくり推進事業実施要綱」に基づき、県や市と区民が協働し地域づくりを進めていく。
同区では、西・里・口区の3区が合同で「役員会・総会」という組織で集落自治を行っているが、高齢化に伴う人員不足の影響は区組織を機能不全に陥らせている。
現状を鑑み、区は企画書「安心して暮らせる高田を創るために」を作成し、地域の活性化に取り組む計画を立てていた。
今月18日に開かれた総会において、役員らは事務局と福祉防災・産業・子ども移住の各委員会を設け、目標達成に向けて活動を実施し地域の自立と活性化を図るなどを承認。国や県が定める地域おこし協力隊や集落支援員制度を活用していくことに同意し「高田村つくり推進事業実施要綱」をまとめ方向性を定めた。
会合では、移住定住推進課の古屋拳幸主任が過疎集落再生・活性化支援事業について紹介。事業の概要や取り組みのポイント、進め方などを説明した。
坪井辰実・高田支所長は、区の問題点などについて触れ「課題をどう解決していくか。中長期的な目標も立て、一歩進めて目標を作り上げて」と呼び掛けた。
今後は▽ホームページの作成(事務局、各委員会)▽砂防事業(福祉防災)▽和歌山大学観光学部生の地域インターンシップの受け入れ(産業)▽空き家情報登録利用制度、空き家登録の促進(子ども移住)―など、委員会ごとに本年度の活動について話し合いの機会を設けていく。
葛藪高盛総区長は「ここからがスタート。みんなで頑張って村づくりを進めていきたい」と呼び掛け、意識向上を図った。
(2020年7月22日付紙面より)
紡ぐプロジェクト助成受け (串本町 )
串本町西向にある薬王山成就寺(大崎實宗住職)所蔵の方丈障壁画「紙本墨画林和靖図(しほんぼくがりんなせいず)」の一部が20日、読売新聞社などの事業「紡ぐプロジェクト」の助成による修繕のため搬出された。年々傷みが進む状況を気に掛けてきた大崎住職(74)は「後世に伝える道が開けた」と喜び、今日まで残り続けた最後の1面を本堂から送り出した。
同寺の方丈障壁画は、現在の本堂が再建されてから10年後の1786年に来寺した絵師・長澤蘆雪の作。本堂のふすまなどに45面を描き、他史料により年代も明らかになっていることや制作当時のものがほぼ完全に受け継がれていたことから、長澤蘆雪の基準作の一つとして数えられ、作風を考える上での一級の資料として1979年には国の重要文化財指定を受けている。
同寺は継承のため2000年と09年の2回に分けて方丈障壁画44面を県立博物館に寄託。壁貼りの1面が搬出できず残り続けてきた。18年に読売新聞社・文化庁・宮内庁の官民連携による事業「紡ぐプロジェクト」が立ち上がり、大崎住職は同町教育委員会の中継ぎを受けて申請。本年度の同プロジェクト修理助成事業採択7件のうちの1件に選ばれ、継承するめどを付けた。
残る1面は鶴にいざなわれる客人を描いた作品で、大きさは175・7㌢×187・3㌢。この日の搬出作業には大崎住職と檀家総代と同町教育委員会、文化庁職員と県立博物館職員、県文化遺産課が立ち会い、搬出先の京都国立博物館修理所を担う一事業者・株式会社松鶴堂の技師職5人が本堂由来の構造体を損なうことなく外すなどして搬出した。
この時点で退色や素材の竹紙の剥がれや崩れなど劣化が進んだ状態。同修理所で本年度末までに修繕し、大崎住職は45面一式の最後の1面として県立博物館に寄託したいと考えている。
搬出後の壁は同社が翌21日に近しい技法で修復。大崎住職は「一部だけ戻ってきても皆さんに興味は持っていただけないと思うので、そのまま県立博物館へ頼もうと思う。最後の1枚がなくなりさみしいけれど、こうすることで後世に一式見てもらい研究もしてもらえると思うとうれしい。読売新聞さんのプロジェクトのご縁で文化庁のご支援も頂き修復がかなって一安心です」と語った。
(2020年7月22日付紙面より)
鮒田区環境防災会議 (紀宝町 )
濁水問題と土石流への対策を話し合う鮒田区環境防災会議が20日、紀宝町鮒田の鮒田構造改善センターであった。出席した環境ファースト連合会と同区の住民は、三重県と町に対し「以前から湯ノ谷川に土砂が流れ込んでいる。災害防備のためにも上流の山林を保安林にすべきではないか」と訴え、土砂流出を防ぐ砂防ダムの建設を求めた。
鮒田区の湯ノ谷川上流部の山林で2016(平成28)年2月から大規模森林伐採が行われており、同連合会は降雨時に汚濁水が発生し、湯ノ谷川、相野谷川、熊野川へ流出していると指摘。同区からの要望を受け、県熊野農林事務所と町は濁水流出防止対策、渓流の伐採木撤去、のり面緑化を行うよう指導しており、渓流の伐採木は撤去された。
環境防災会議では「湯ノ谷川から相野谷川に泥が毎年流れ出ている」との指摘に、県の担当者は「今後も土砂が発生し、湯ノ谷川の河川が氾濫する場合は必要に応じて堆積土砂を撤去する」と回答した。
町では「業者から皆伐して植林する届け出が数回に分けて出ており、植林が計画通り進んでいるか経過を確認している。作業道を設置する際には濁水対策を行うよう求めていく」とした。大型重機が入る作業道の基準を明確にするよう町から県に「県森林作業道作設指針」の変更を求めている。
住民からは「用水路に土砂が堆積して水が田んぼに流れてこない。毎年、砂の量が増えて土砂撤去に苦労している」との声があり、町では「湯ノ谷川の濁りの状況は確認している。堆積土砂の状況に応じて対策を検討していきたい」と応じた。
(2020年7月22日付紙面より)
甫子浦交差点で夜間啓発 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の甫子浦(ほこうら)交差点で20日夜、「令和2年度わかやま夏の交通安全運動」(20日まで)に合わせた夜間街頭啓発が実施された。町交通安全指導員、新宮警察署の署員、町職員ら14人が参加し、信号で停車するドライバーらに安全運転を呼び掛けた。
啓発活動は17日に実施予定だったが、天候不良のためこの日まで延期となっていた。
参加者は同交差点の3カ所で待機。赤信号で停車したドライバーや同乗者に対し、「交通安全運動を実施しています。運転にはお気を付けください」と声掛けを行い、啓発物資を配った。
町交通安全指導員協議会の塩﨑一男会長は「1件でも事故が減少するようにドライバーの方々にはご注意いただきたい。また、もうすぐ連休に入る。新型コロナウイルスの影響で交通量がどうなるか分からないが、安全運転を常に心掛けてほしい」と語った。
(2020年7月22日付紙面より)
県サッカー協会U―12ホップリーグ
「那智の扇祭り」前日に (熊野那智大社 )
熊野那智大社(男成洋三宮司)は13日、9日から延期となっていた世界遺産・那智の滝上の大しめ縄の設置を行った。14日に斎行される国指定重要無形民俗文化財「那智の扇祭り(火祭)」を前にした恒例行事。連日の大雨で水量が多くなっていたため、安全を考慮して例年より上流にしめ縄を張った。後日、落ち口で張り替えを行うという。
午前9時から本社拝殿で報告祭が営まれ、白装束に烏帽子(えぼし)姿の神職らが真新しいしめ縄を担いで入山した。しめ縄は長さ約26㍍、重さ4㌔。神職らは神域である滝の落ち口から約50㍍ほど上流で、命綱を着け、水につかりながら取り組んだ。高さ133㍍での作業となるため、水量が増した水に足を取られないように注意した。張り替え作業は例大祭前と年末の2回行われている。
延期のため、祭り前日のしめ縄設置となったこの日は、夕方から神職のみで宵宮祭が営まれた。
先日行った取材の際に男成宮司は「拝観者や奉仕者の皆さまの安全を考えると、縮小や一部中止はやむを得ないと思います。神様や皆さま方に元気になってもらうのが本来のお祭りの姿。来年はそんなお祭りができるようにご奉仕をしていきたい」と話していた。
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新型コロナウイルスの感染拡大予防の観点から、14日の例大祭は規模縮小と一部中止を決定。扇みこしや大たいまつ、那智の田楽などを取りやめるなど、祭典内容を変更して神職や役員、祭り関係者のみで斎行される。
同社によると、本殿での参拝は通常通り行えるが、別宮の飛瀧(ひろう)神社においては午前10時から正午まで参拝を中止するという。
(2020年7月14日付紙面より)
マナーアップ推進リーダーが啓発活動 (新翔高 )
新宮市佐野の県立新翔高校(東啓史校長)で13日、自転車マナーアップ推進リーダーによる啓発活動があった。バスケットボール部と吹奏楽部の部員約15人が校門前で啓発物資を配布し、自転車の安全な利用を呼び掛けた。
同推進リーダーは道路交通法の改正による自転車運転者講習制度の施行を受け、2015(平成27)年に県内で初めて実施された。今年は同校バスケットボールと吹奏楽の両部員ら39人が委嘱され、校内での自転車の交通マナー向上や自転車安全利用五則の周知、若者の交通安全活動への参画などを主導し、事故防止を図っていく。
両部は今後、数回に分けて活動を実施し啓発を行う予定にしている。初日のこの日は新宮警察署交通課の職員4人が来校した。部員たちは反射材と、「とびだしはしません」との文字が書かれたストラップを配布。「自転車のマナーを守ってください」「しっかり鍵を掛けましょう」と登校する生徒に呼び掛けた。
片山波也斗君(2年)は「初めて活動に参加し、少し緊張したけど自然に声を掛けることができました。鍵をつけ、マナーや交通事故などに気を付けて運転してほしい」。
同署交通課の小畑良平警部補は生徒たちの自発的な活動に感謝し「最初は恥ずかしそうにしていましたが、少しずつ積極的に呼び掛ける姿が見られました。啓発活動を通して校内をはじめ、各家庭などでも話をしてもらって広く周知していってもらえれば」と話していた。
(2020年7月14日付紙面より)
橋杭・田原の両海水浴場 (串本町 )
串本町くじ野川にある橋杭海水浴場で13日、南紀串本観光協会(島野利之会長)の呼び掛けによる遊泳期間の準備があった。今年は18日(土)に海開きをし、新型コロナウイルス感染予防策を講じつつ水浴の機会を提供するとしている。
この浴場は環境省選定「快水浴場百選」の一つに数えられ、橋杭岩や紀伊大島を眺望する開放的なロケーションときめ細やかな砂浜で地元内外から海水浴客を集めている。
運営する同協会は近隣の動向を見つつ、例年より時期がずれ込んだが十分な感染対策を講じて海開きをすることを決断。先だってあった株式会社人見建設の清掃奉仕によりすでに砂浜が整っていたため、この日は呼び掛けに応えた関係者約20人が遊泳区域を示すブイの洋上設置や有料駐車場看板の準備、ソーシャルディスタンスの目安とする幅杭の打ち込みなど準備に集中して取り組んだ。
同協会は橋杭と田原の2海水浴場を運営していて、いずれも遊泳期間は18日~8月31日(月)。橋杭の洋上遊具(滑り台付きの浮島)は感染予防の一環で今回は設置しないという。
島野会長は「串本の夏といえばやはり海。海水浴場はそれだけでなくまち全体を夏の雰囲気にするので、こうして海開きができるのはまちを盛り上げるという点でとてもうれしいことだ。感染予防対策をしっかりとして運営していくので、多くの皆さんに密にならないなど協力いただきながら海水浴を楽しんでいただきたい」と今期の海開きに向けた思いを語った。
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串本町の橋杭海水浴場と田原海水浴場の清掃を目的とした四輪駆動バギーが13日に納車された。
ビーチクリーナーをけん引して砂浜を良好に保つ目的で導入。車両は国産で排気量は420㏄、一式の導入に要した額は約200万円という。運用者は南紀串本観光協会で、遊泳期間中に使用する。
(2020年7月14日付紙面より)
町選管が当選証書付与 (太地町 )
太地町選挙管理委員会(山路直廣委員長)は13日、同町公民館で当選証書付与式を開いた。山路委員長が町長選挙当選の三軒一高さんと、町議会議員補欠選挙に当選した宮川茂さんに当選証書を手渡した。
任期満了(8月7日)に伴う町長選は7月7日に告示され、現職の三軒さんが無投票で5回目の当選を決めた。また、議員の死去に伴う町議補選(欠員1)には新人の宮川さんが立候補。同じく無投票で初当選を果たした。
山路委員長は三軒さんに対し「卓越した洞察力と英知を発揮し、町の発展を図ってくれると思っている」。宮川さんに「町民の声を町政に反映し、町の発展を図ってください」と激励。「お体にご留意の上、より一層のご活躍を」とあいさつした。
当選証書を受け取った三軒さんは「30年計画も中期に入った。一層力を入れて慎重にやっていきたい」と意欲を示し、「町のために力を尽くしたい」。宮川さんは「1年の任期の内にできるだけ町民と話をし、いろいろな意見を聞いて自分の基盤を築いていきたい」とそれぞれ意気込みを語った。
付与式後には、宮川さんに民生委員として長年社会福祉の増進に貢献したとして、三軒町長から加藤勝信・厚生労働大臣の感謝状が贈られた。宮川さんは平成22年12月から令和2年6月12日まで、9年半にわたり民生委員として活躍。このたびの町議補選立候補に当たり、解嘱を申し出ていた。
(2020年7月14日付紙面より)
第13回学童軟式野球大会
県高校野球夏季大会
東牟婁支部大会決勝 (県軟式野球連盟東牟婁支部学童部 )
扇立祭は時間短縮し斎行 (熊野速玉大社 )
熊野地方の夏の風物詩として1000年以上の伝統を持つ「扇立祭(おうぎたてまつり)」が14日(火)に開かれるのを前に、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で6日、祭り当日に各殿で開帳する檜扇(ひおうぎ)7握を虫干しのため蔵から出した。なお、今年の扇立祭は新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点からミス浴衣コンテストなどの奉賛諸行事や露店商組合の出店は中止。午後3時に本殿・各殿に檜扇を開帳し、午後5時に閉門となる。
扇立祭は、神前に立てられた檜扇に神が降臨し、氏子が病気にかからないよう、また五穀につく虫を追い払って豊作を願い始まった。
室町時代の作品と伝わる檜扇は大社を代表する宝物で、現在、日本に18握ある国宝のうち11握が大社に伝わっている。ヒノキの薄い板の木目の美しさを生かしながら彩色、金箔(きんぱく)、銀箔(ぎんぱく)が施されていて「熊野檜扇」と呼ばれている。
祭りで使用されている檜扇7握は、1964(昭和39)年に模写されたもので、本殿用(高さ1・5㍍、幅1・65㍍)は大社先々代の故・上野殖宮司、残り6握の各殿用(高さ0・8㍍、幅1・3㍍)は故・杉本義夫さんが模写し、故・鮒田和往さんが奉製したものとなっている。
(2020年7月7日付紙面より)
町と自主防が開設・運営訓練 (紀宝町 )
大里地区の四つの自主防災会と紀宝町は5日、同町の大里多目的集会施設で新型コロナウイルスに対応した避難所開設・運営訓練を実施した。各自主防災会、町、町消防団第3分団大里班などから参加した約50人が施設内で避難者同士が密にならないようパーティションを設置し、避難者の受け入れ方法を考えた。
今後、出水期に避難する機会が増えることが予想され、避難所での3密を避けるなど新型コロナ対策を講じた「新しい生活様式」による避難所運営がスムーズに行えるよう地区、町が連携した。密集回避のため参加者を限定し、検温、マスク着用、手指消毒をした上で行った。
訓練を前に、町防災行政総合アドバイザーで東京大学の松尾一郎・客員教授が「新型コロナによって人との接し方が変わった。ワクチンができない限り終息は難しいため、感染対策を講じた避難所運営を行政と一緒に取り組んでほしい」と呼び掛けた。
訓練は設営から開始し、パイプとビニールシートのパーティション、テント、簡易ベッドを組み立てた。間仕切りした避難所の完成後、受け入れ訓練に移り、受付に消毒関係備品を配置。防護服、フェースシールドを着用して避難者の問診や検温をし、発熱者は津本防災センターに専用車両で搬送した。分散避難できるよう、車中避難者の駐車スペースも設けた。
訓練を見守った西田健町長は「新型コロナと水防をしっかりと見据えた上での訓練が問われている。今回はその先駆的な訓練で、今後も身の安全を守る体制をつくっていきたい」と話した。
終了後、参加者からは「先着順か高齢者を優先するのか」「受け付けが混雑した。問診を簡潔にすれば」などの意見があった。今回の訓練で得た改善点などは大里地区タイムラインに反映するという。
(2020年7月7日付紙面より)
町民有志が署名求める (那智勝浦町 )
那智勝浦町の「体験型観光」の代表として知られる紀の松島観光船は現在、新型コロナウイルスの影響などを受け、事業運営が厳しくなっているという。その現状を鑑みて、町民有志らで組織される「紀の松島観光船存続を求める会」(小阪三喜子代表)が存続を願って署名活動を展開している。
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熊野学研究委員会の委員である中瀬古友夫さんによると、紀の松島観光船は戦前から70年以上の歴史があるという。中瀬古さんは1940年当時に南紀を訪れた旅行者のアルバムや過去の松島めぐりに関する資料などから、さまざまな業者が代わりながらこの観光船業を経営してきたことを説明。
「勝浦温泉は海が玄関口。那智勝浦町にとって伝統を受け継ぐ島めぐりの船がなくなっては非常に残念。熊野という観光地は各地のさまざまな要素が協力し合って発展したもの。そのうちの一つをなくしてしまってはいけないと思う」と語った。
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紀の松島観光船について、「町の観光の目玉」と掲げる小阪代表は現存する観光資源を大切にすべきだと主張している。
「この町の観光にとって観光船は必要なもの。なくしてから後悔しては遅い」と危惧。運営会社である紀の松島観光株式会社には「引き続き、企業努力してほしい」と要望するとともに、観光船の存続を願う署名活動に6月中旬から取り組んでいる。署名は2週間経過時点ですでに約1000人に達しており、集まり次第、堀順一郎町長宛てに提出する。
小阪代表は「一度廃止にすると、再開には多くの時間やお金が必要になってしまう。実際にファンは多い。磨いていって勝浦の魅力発信につなげてほしい。町が入って存続してもらえたらありがたい」と語った。
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紀の松島観光株式会社の支配人である畑下誠紀さんによると、同観光船事業は2003年から同社が経営。事業に関しては国や県からの補助金なしに運営しているという。
近年の乗船人数は15年が3万3988人、16年が2万8327人、17年が2万6171人、18年が1万9839人、19年が1万4859人と減少傾向となっている。しかし、那智勝浦町史によると「1973年には年間51万4741人が利用」と記されているほど観光資源としての人気があったとされている。
観光船は主に他府県からの修学旅行や、国土交通省勝浦海事事務所が行う「海の日」記念行事では地元小学生の乗船体験などの利用もある。また、太地町のくじら浜公園に寄港することから、町立くじらの博物館へ足を運ぶ観光客も多いという。
畑下さんは「コロナの影響で今年2月から運航休止となっていたため、それ以降の売上はない」とし、これまでは国の雇用調整助成金などを活用し、しのいできたと説明。10月以降は国の支援継続の有無や町内宿泊施設の状況を注視しながら、事業継続を判断していくと話した。
「署名活動をしていただき感謝している。企業努力は今後も続けていく。急には難しいが、将来的には町に経営していただけたらと考えている」と語った。
太地町在住の50代男性は「博物館の利用促進にもつながっている。自分的には勝浦の観光を担う存在だと思う」と話していた。
(2020年7月7日付紙面より)
伝統文化親子教室がスタート (新宮市 )
「和の心『珠蒼(しゅそう)の会』」の苅屋企世子代表が指導する「いけばな きもの着装・マナーこども教室」が5日、新宮市の蜂伏会館で始まった。文化庁の令和2年度伝統文化親子教室事業の一環。11月まで10回の教室を予定しており、初回は市内外の小学生やその母親ら10人が参加した。
子どもたちがいけばなやきもの着装、マナーなど伝統文化に触れることで、大人になるために必要なマナーや命の大切さを学び、文化を継承することを目的に毎年実施している。苅屋講師は華道家であり、きもの学院と池坊いけばな教室を主宰。礼法も指導する。今年は手や机などの消毒、換気、マスク着用など、新型コロナウイルス感染症予防対策を講じた上での実施となった。
苅屋講師は「今は新型コロナの影響で大変な思いをしていると思いますが、みんなで頑張りましょう」とあいさつ。この日は、半幅帯の結び方に始まり、立礼や立ち方、座り方、お辞儀の仕方などの作法を学んだ。
休憩を挟んでのいけばなでは、苅屋講師が「花にも命があることを忘れずに、優しく丁寧に扱ってあげてください」などと心構えを説明。いけばなの根源・池坊の歴史も紹介した。参加者らは苅屋講師の指導の下、ルリタマアザミやスプレーカーネーション、ベニバナ、ケイトウ、ユーカリなどの植物を使い、型にとらわれない自由花に取り組んだ。
毎年、12月に集大成として発表会を開催しているが、今年は新型コロナ予防の観点から発表会を11月1日(日)に前倒し。今後の状況を鑑みた上で密を避ける形での開催を模索していくという。
(2020年7月7日付紙面より)
池田武夫さんがマイクロバス寄贈 (新宮市 )
新宮市五新在住の池田武夫さん(84)がこのたび、市にマイクロバスを寄贈した。3日には市庁舎前駐車場で寄贈セレモニーが催され、池田さんが田岡実千年市長に目録とレプリカキーを手渡した。
寄贈は、昨年10月に心筋梗塞のため逝去した愛娘・賀代子さん(享年58)の「高齢者のために無料バスの提供を」との遺志を形にしたいという池田さんの強い思いから実現した。
マイクロバスは日野自動車製の29人乗りロングボディーで名称は「いけだ号」。主に高田グリーンランドのデイサービスや観光客の送迎用として利用される。4日から供用を開始する。
セレモニーには田岡市長をはじめ、新熊野体験研修協会の長山広重代表理事や市議会の久保智敬議長、東原伸也副議長、松本光生議員らが出席。寄贈に当たり、池田さんが「娘は残念ながら思いを実現できずにこの世を去った。(マイクロバスを)多くの人が笑顔になるように活用していただければ娘も喜ぶと思う」とあいさつ。
池田さんに感謝状と記念品を手渡した田岡市長は「このたびの寄贈は市民の福祉の向上に大いに寄与するもの。高齢者、市民、観光客に喜んでもらえるよう、大切に活用することを誓います」と感謝を伝えた。
池田さんによると、持病のため通院や入退院を繰り返しており、病院などで高齢者と接する機会が多かった賀代子さんは「高齢者のために何かしたい」と常々語っていた。池田さんは「まだ若いのだから慌てることはない」などと説得したという。
「生きているうちに実現させてあげれば良かった。一緒にバスに乗れなかったのが残念」と悔しさを口にしながらも、「市に尽くしてほしいという娘の遺志に応えることができた。夢に娘が出てきて『父ちゃん、ありがとう』と言ってくれた。私が市に尽くすことによって、娘も気分を良くしていると思う」と話していた。
(2020年7月5日付紙面より)
ひまわりの絆プロジェクト
京都府警察発案の「ひまわりの絆プロジェクト」に参加した新宮警察署は2日、活動に協力する新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長)の花壇に同プロジェクトの説明と交通事故根絶への願いを記した掲示板を提供した。同署の上畑充史交通課長らが訪れ、校舎北西のフェンスに設置した。
プロジェクトは2011年に府内の交通事故で亡くなった4歳の男児が、植えようとしてかなわなかった種が元になっている。当時の担当警察官が遺族から種を受け取ったことを機に、ヒマワリを育てて種を継ぐことで遺族の思いや命の大切さ、交通事故防止を伝えようと始まった。16年以降は警察署を中心に賛同者が増えて全国的な広がりを見せている。
同校園芸委員の児童15人がこのほど、新宮警察署から受け取った種を育苗ポットで発芽させた。学校関係者だけでなく、一般の人の目にも付くようにと、苗は道路沿いの花壇に植えられた。毎朝、委員の児童が中心となって水やりなどの世話をしている。
掲示板設置に立ち会った嶋田校長は「命の尊さ、交通安全学習の良い機会」と感謝し、上畑交通課長は「ヒマワリを見て、亡くなった子どもさんの生きていた証しと交通事故防止を思っていただければ。順調に育って種が取れたら児童たちにも引き継いで育ててもらいたい」と話していた。
(2020年7月5日付紙面より)
売り上げの一部は基金に寄付 (紀宝町福祉セ )
紀宝町鵜殿の町福祉センターで「リサイクル&手づくりバザー」コーナーがリニューアルオープンした。両コーナーと寄付コーナーの使用料は無料で「皆さんのご利用、出品をお待ちしています」と呼び掛けている。
ボランティア・市民活動センター「きぼらんせ」(神園敏昭運営委員長)が循環型社会への啓発活動と、ボランティア基金への協力を目的に設置。同センターの改修工事に伴い昨年8月から休止していたが、施設整備が完了したことから再開した。
これまで同様、福祉センター2階ロビーにコーナーを設け、出品者が自由にレイアウトできるよう工夫した。
リサイクルバザーと寄付コーナーは、未使用の食器や手芸用品、雑貨、着物(リサイクル用)などで洋服は対象外。手作りバザーは新品の作品を受け付けている。バザー売上金の一部は町ボランティア基金に寄付する。
出品などに関する問い合わせは、きぼらんせ事務局の町社会福祉協議会(電話0735・32・0957)まで。
なお、新型コロナウイルス感染防止対策として、来館時はマスク着用、手洗いの徹底などを求めている。
(2020年7月5日付紙面より)
各所で開花し夏を彩る (那智勝浦町 )
那智勝浦町湯川のゆかし潟でハマボウが見頃を迎えている。喫茶きよもん敷地内をはじめ、周辺各所で黄色の花が開花し、夏を彩っている。
ハマボウはアオイ科の落葉低木。内湾海岸に自生する塩生植物で、夏に黄色の花を開花させる。
同所は多くのハマボウが楽しめる名所の一つとして知られ、公益社団法人和歌山県観光連盟のホームページ「わかやま観光情報」にも掲載されている。
毎年きれいに開花するため、散歩する近隣住民、付近道路を走行する車のドライバーや同乗者の目を楽しませている。
記者が取材した6月末も、車から降りてスマートフォンでハマボウを撮影するドライバーの姿が見られた。
(2020年7月5日付紙面より)