城南中が「エンジリボン活動」を始動 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(中田善夫校長)では、独自の取り組みとして今月から「エンジリボン運動」をスタートした。活動を通して差別や虐待のない温かな社会となるよう校内外に訴求していく。
同校では、子どもたちを保護者の温かい気持ちで包み、やがて子どもたちが守ってあげられる側の人間に成長してほしいといった思いを込め、2015(平成27)年から11月の「児童虐待防止推進月間」に合わせて毎年オレンジリボンの授業を実施。命の大切さに加え、人権意識を高揚させて生徒・教師・家庭をつなぐ取り組みとして定着させてきた。
エンジリボンは、同校のイメージ色である「えんじ色」を採用し、校訓を取り入れ「あらゆる差別と偏見をなくし、明るく・仲良く・正しい社会(未来)をつくる運動」をテーマに始動。授業やさまざまな活動を通し、部落差別をはじめとした根強く残る差別やインターネットにおける誹謗(ひぼう)中傷など、現代社会ならではの新たな差別に対応していくとしている。リボンは11日に行われたオレンジリボンの授業で、生徒らに初めて公開された。
多様化する問題に対し、リボンには「しなやかに強く生きてほしい」「誰かに相談できる勇気を持ってほしい」との思いを込めた。森浦展行・主幹教諭は「生徒たちは授業で手渡したリボンと、その意味を大切にしてくれているのを感じました。取り組みを通じて次の世代に伝えていけるような大人に成長してもらえれば」と話している。
(2020年11月27日付紙面より)
日野RDが珍魚釣りに挑戦 (串本町 )
串本町総合運動公園でキャンプ中のラグビートップリーグ所属チーム・日野レッドドルフィンズが25日、串本漁港の一角で南紀串本観光協会が提供するプログラム「珍魚釣り体験」に取り組んだ。
大人数でのキャンプを受け入れ支えてくれる地域への恩返しの思いを込めて取り入れた、全員参加のトレーニングメニュー。選手らは4チームに分かれ対抗戦を繰り広げる形で珍魚釣りに臨んだ。
同協会の宇井晋介事務局長ら職員や釣りに詳しいアドバイザリースタッフ候補がその挑戦をサポート。選手らは触れてはいけない魚種を確認した後、チームごとに陣地を決め珍しそうな魚影の情報をチーム内で回しながら釣果を重ねた。
カサゴやアイゴ、フグ類が数の上位を占める中、オハグロベラやテンジクイサギ、カゴカキダイやフエダイといったレア魚もチームそれぞれに釣り上げた。元・串本海中公園センター水族館館長で魚類に詳しい宇井事務局長が審査してチーム順位を決め、同協会と同町から景品を贈って各チームの健闘をたたえ合った。
地元の体験を皆で協力して楽しむ過程を通して地域貢献とチームビルドを両立させるのがこのメニューの狙いとするところ。堀江恭佑キャプテンは「普通に釣りをする人はいるが珍魚釣りは全員が初めてで、この人数でできたこともあってすごく楽しめた。僕たちはチームビルドという目的で合宿に来ているが、どのチームもコミュニケーションを取って楽しみながらチームワークができていたところがとても良かったと思う」。
オーガスティン・プルキャプテンは「聞くところによると串本は世界でも魚釣りが有名な場所だそうで、今日は実際にその釣りをさせていただけてとても楽しかった。この2年ぐらい合宿に行く機会がなく、マネジメントの皆さんにチャンスをつくっていただきチームとして行くことができた。今日は選手みんなの楽しむ表情を見ることができて良かった」と取り組みの印象や手応えを語った。
この日は希望者を対象にし早朝のシーカヤック体験にも取り組んだ。同チームが串本でキャンプをするのは初で、期間は28日(土)まで。
(2020年11月27日付紙面より)
2町1社と連携協定を締結 (古座川町 )
古座川町が20日、すさみ町、上富田町、株式会社南紀白浜エアポートとサイクルツーリズムにかかる連携協力に関する協定を締結した。
この協定は、紀南エリアにおいてサイクルツーリズムによる観光推進事業の発展と地域活性化を推し進める上で、4者が連携協力する根拠となるもの。締結式は南紀白浜空港であり、すさみ町の岩田勉町長、上富田町の奥田誠町長、古座川町の西前啓市町長、同社の岡田信一郎社長がそれぞれにあいさつを交わし、協定書4通に記名押印して発効させた。
▽紀南エリアをEバイク(電動アシスト付きスポーツ自転車)などで周遊するためのコンテンツ整備▽紀南エリアの魅力を伝えるサイクルツーリズム商品の共同開発▽サイクリングを軸とした観光情報の発信▽その他4者が有益と認める事項―における連携を定める内容で、経費は展開する事業ごとに4者で協議して案分、協定の有効期限は1年間とし期限終了30日前までに4者のいずれかから改定や終了の申し出がない場合は同一内容で年次更新するとしている。
古座川町地域振興課によると、3町に共通する点としてレンタサイクルにスポーツ自転車を取り入れている点があり、すさみ町と上富田町は先駆的にEバイクを導入している。これら自転車をレンタル利用する時の行動圏を考えた場合、3町とも町域を越えた利用が想定でき、Eバイクについては町域を越えた先で給電やバッテリー交換ができる連携拠点も必要になる。
町域外の連携拠点での乗り捨て(レンタルの終了)も含めた利用環境を整えるのがこの協定の喫緊の目的で、まずは近い将来にスポーツ自転車のレンタル事業を考えている同社を含めた4者で協力の根拠をつくった。この枠組みを母体にして連携の幅を今後さらに広げ、行動圏となる県南部広域をサイクルツーリズムの地として盛り上げることを目指しているという。
(2020年11月27日付紙面より)
委員会で事故情勢など確認 (南郡交対協 )
南牟婁郡交通安全対策協議会(会長・大畑覚御浜町長)による委員会が25日、同町役場くろしおホールであり、12月1日(火)から始まる「年末の交通安全県民運動」期間中の取り組みを協議した。
運動は交通事故防止の徹底を図ることが狙い。10日(木)までの10日間で▽子どもと高齢者の交通事故防止▽横断歩道における歩行者優先の徹底▽シートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底▽飲酒運転等の根絶―を重点に掲げる。
委員会であいさつした大畑会長は「年末年始にかけて慌ただしくなり、交通事故の多発が懸念される。この地域から悲惨な事故がなくなるようしっかり取り組みたい」と述べ、関係機関の協力を求めた。
紀宝警察署の濱口裕史署長は10月末現在の交通事故情勢を報告。県内、管内ともに減少しているとしながらも、県内の死者65人中、約半数が高齢者とし、さらなる高齢者の安全対策が課題とした。
管内では、横断歩道での「まもってくれてありがとう運動」を推進し、飲酒運転の夜間検問を積極的に実施するとした上で「一人でも多くの町民、市民に交通安全意識が浸透するよう取り組みたい」と述べた。
運動期間中、初日の広報啓発活動を皮切りに、安全運転管理推奨像の伝達式、ハンドルキーパーモデル事業所の指定、通学路での街頭指導活動などに取り組む。
(2020年11月27日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部
第29回LC杯少女バレー
県高校新人卓球大会
県小学生秋季選手権・インドア県予選会 (ソフトテニス )
課題探究ポスター発表会 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長)で17日、「合同課題探究ポスター発表会」(榎本泰雅実行委員長)が開かれた。1、2年生349人がグループごとに設定したテーマで、「総合的な探究の時間」に取り組んだ調査・研究の内容を発表し、質問に答えた。
日常生活や社会に目を向けたときに出てくる疑問や関心に基づいて自ら課題を設定し、情報収集や分析を通じて問題解決に取り組み、明らかになった考えや意見を表現する力を培うことが目的。課題に対する調査や考察に加え、2年生は論文作成も行う。
発表会は、学年を超えた聞く人との質疑応答を通じて新たな観点や課題の発見、自分が導き出した結論の見直しにつなげるとともに、コミュニケーション能力を高める狙いもある。今年は84グループが3部に分かれ、各ブースで模造紙にまとめた内容を発表した。
オープニングセレモニーで榎本実行委員長は「今日まで、それぞれの課題に向かって取り組んできた。特に1年生は調査や考察が難しく、うまくいかなかったこともあったと思う。発表では全力を尽くし、これまでの調査結果や考えたことを最大限活用して頑張りましょう」とあいさつ。
生徒たちは「夜きちんと眠れていますか?~授業中にせまる睡魔のヒミツ~」など日常生活から着想を得た疑問や、「新宮市の観光名所とコロナ対策」といった新型コロナウイルス禍中の社会問題、「自然を壊すマイクロプラスチック」などの環境問題を取り上げ、テーマ設定の理由や立てた仮説、調査や考察の過程を説明し、結論について議論する中で互いに知識を深めていた。
(2020年11月19日付紙面より)
PTA連絡協議会が臨時役員会 (新宮市 )
新宮市立緑丘中学校で17日夜、新宮市PTA連絡協議会(市P連、金田有史会長)臨時役員会が開かれた。市内5小学校と5中学校、10校の校長・教頭、教職員らが出席。「県立高等学校の今後の在り方」について、各校育友会の声を集結し意見交換を行った。
県教委は、「現在29ある県立高校(全日制)の数を、今後15年で3分の2となる20校程度とするのが適正」などとした「きのくに教育審議会」の答申を受け、各地域から寄せられた意見を基に再編整備実施プログラムを作成していくと方向性を示している。
新宮、新翔の両校統合も視野に入れた和歌山県立高校の再編問題。この日の会議には▽三輪崎小▽光洋中▽熊野川小▽熊野川中▽高田小・中▽神倉小▽緑丘中▽王子ヶ浜小▽城南中―が参加。各校が保護者らへのアンケートなどで集約した意見を報告。オブザーバーとして県立みくまの支援学校も意見を提出した。
市P連はこの日の報告内容と「もう少し時間をかけて詳しい情報を開示しながら進めていってほしい」などといった多数意見を再度集約。26日(木)に行われる懇談会で県教委に提出する予定。
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■各校育友会から寄せられた意見(一部)
▽学びなおし学科やオンラインを伴う通信制、紀南地方ならではの海洋関係の学科や自然学科、グローバル科、少人数で特色のある学科も設置してほしい
▽英会話授業、ICT教育が充実した学科が必要
▽総合学科を残し、県外からも広く募集できるようにしてほしい
▽クラブ部員が少ないので分校(別校舎)になってもクラブは合体したほうがいい
▽新宮高校は伝統を守ってほしい
▽紀北(和歌山市)を中心に話は進んでいる。紀南の地域性などの声は届きにくい現状かと
▽概要に「高校の活力や多様化が低下」「高校の魅力が低下」とあるが、県教委は地域や学校に責任転嫁しているように感じる
▽子どもたちの環境の変化が大きい。子どもたちの声を聞いてほしい
▽校風などになじめない生徒のためにも分校として学級を残す必要があると考える
▽学校が減ることによって1クラスの人数が増えて教育の質が低下するようなことがあってはならない
▽遠方から通学する生徒に対する通学費や寮費などの支援を
▽学力の向上やパソコンなどの資格取得の支援に力を入れてほしい
▽地元に根差した学科(農林・水産・観光)を
▽2校を存続してほしい
▽就職につながるクラスも残してほしい
▽プール、実験施設、宿泊施設など、両校の生徒が有効に活用できるようにしてあげてほしい
▽スクールバスを保有し、生徒の送迎や部活練習の移動に利用してほしい
▽専門科を作って地元に就職して人が残るようなことも考えてほしい
▽働く場所が限られている。看護・介護・保育など専門的な学科の設置を
▽高校に支援学級を設置したり、高校と特別支援学校の中間のような学校があったらいい
(2020年11月19日付紙面より)
紀宝町民児協の11月定例会
紀宝町民生委員児童委員協議会(濵口啓会長)の11月定例会が17日、町福祉センターであった。委員約30人が参加し、津本地区自主防災会と町防災対策室の取り組みを通して、コロナ禍における防災対策を学んだ。
津本自主防災会は2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害を契機に、翌年4月に発足。14(平成26)年に避難所の津本防災センターが完成し、防災チャレンジ大運動会や訓練など防災の拠点として活用しているという。
町防災対策室の鈴木大司さんは、新型コロナウイルスに対応した避難所のレイアウトや運営について「密になりにくい場所に受付を設け、体温計、消毒液を設置する。受付要員はマスクを必ず着用する」と説明。マスク、使い捨てゴム手袋、手指消毒液、除菌シートなど衣装ケースにまとめた備品を紹介。避難所で活用できるパーティション、簡易ベッドを組み立てた。
前回の意見交換会であった「タイムライン運用時の民生委員の行動」について濵口会長は「地域によって実情が違う。タイムラインが発動したら、高齢者に早めの避難や縁故避難などを呼び掛けてもらえれば」と伝えた。また、町に対し「タイムライン始動を防災無線で放送してほしい」と改めて要望した。
(2020年11月19日付紙面より)
「祝ドラフト2位」懸垂幕掲示 (新宮市 )
新宮市、市体育協会、市スポーツ少年団本部は18日、市庁舎にプロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから2位指名を受け、入団が決まった新宮市出身の森浦大輔投手の活躍を願い、応援懸垂幕を掲げた。来年1月31日(日)まで掲示される予定。
森浦投手は現在、天理大学4年生。最速148㌔のストレートとスライダー、チェンジアップ、カーブを武器とする左腕だ。
緑丘中学校では野球部に所属。3年生の時に和歌山県大会で優勝し、近畿大会に出場した。名門・天理高校に進み1年の夏からベンチ入り。2年で「春の選抜」に出場し、甲子園のマウンドに立った。甲子園には春夏の連続出場を果たした。
天理大では1年の春からリーグ戦に出場し、5戦3勝、防御率0・92でMVPを獲得。秋には最多の5勝をマークし、MVPと最優秀投手を受賞している。
森浦投手の今後の活躍に対し、田岡実千年市長は「新宮市出身の森浦大輔選手が広島東洋カープから2位指名を受けたことは、市としましても本当に喜ばしいことであり、当地方の子どもたちにとっても大きな目標になったと思います。厳しいプロの世界と聞きますが、森浦選手の1軍でのご活躍に地元新宮市から精いっぱいのエールを送ります」とコメントを寄せている。
(2020年11月19日付紙面より)
尾﨑酒造株式会社(新宮市船町)代表取締役の尾﨑征朗(いくろう)さん(76)がこのほど、大阪国税局長納税表彰を受賞した。12日に同社で贈呈式があり、石橋裕・新宮税務署長が尾﨑さんに、長年にわたる申告納税制度の普及発展に対する感謝を伝え、表彰状を手渡した。
毎年11月11~17日は「税を考える週間」。国税庁では期間中にさまざまな広報広聴施策を実施するとともに、財務行政に対する意見や要望を聞く機会としている。今年は「くらしを支える税」をテーマに、日常生活と税の関わりを理解してもらい、納税意識の向上を図る取り組みを展開している。
納税表彰(および租税教育推進校等表彰)は、税への理解を深めてもらおうと、同週間に合わせて国税庁が毎年行っているもの。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から「納税表彰並びに感謝状贈呈式」は行わず、各地方の国税局長や各管轄の税務署長が個別に表彰状を贈呈する形を取った。
この日の贈呈式には石橋税務署長ほか、公益社団法人新宮納税協会の横手章郎会長、新宮納税貯蓄組合連合会の森川起安会長が出席した。
尾﨑さんは2004(平成16)年に新宮納税協会の副会長に就任。以降、会社経営の傍ら、多年にわたりe-Tax、ダイレクト納付の普及・拡大、納税道義の高揚に寄与してきた。今年、大阪国税局長納税表彰を受賞したのは、尾﨑さんを含め県内で2人。
表彰状を受け取った尾﨑さんは「酒造業は国税と大きく関係している。税務署には昔からお世話になっており、親しみを感じている。受賞をうれしく思います。今後も他の業界の人と連携し勉強させていただきたい」と笑顔。
石橋税務署長は「今後も引き続き、税務知識の高揚を図っていただければ」と話していた。
本年度の新宮税務署管内の受賞者は次の皆さん。
■大阪国税局長納税表彰
▽尾﨑征朗(公益社団法人新宮納税協会副会長)=新宮市
■新宮税務署長納税表彰
▽久司博嗣(同協会理事)=那智勝浦町
▽田邉毅一(同協会理事)=横浜市
■租税教育推進校等表彰・新宮税務署長表彰
▽串本町立橋杭小学校(溝内聡子校長)=串本町
(2020年11月14日付紙面より)
和歌山県文化表彰 (表彰式は16日 )
和歌山県はこのほど、令和2年度和歌山県文化表彰の受賞者を発表した。本紙エリアでは、熊野速玉大社祭事保存会(会長・上野顯宮司)が「民俗芸能の伝承」分野で奨励賞を受賞した。表彰式は16日(月)、県庁本館で開催される。
同表彰は、文化の発展向上に顕著な功績のある個人、団体に贈る賞。昭和39年に始まり本年度で57回目を迎える。文化奨励賞はすぐれた文化の創造と普及活動を続け、将来一層の活躍ができる人や団体に贈られる。
発表を受け、同保存会では「このたびは栄えある賞を賜り、誠にありがとうございました。祭事にはその土地に暮らす人々の考え、文化、習俗といったものが集約され、いわば日本の精神文化の結晶であります。全国的に過疎化が進み、熊野でも多くの人手を要する祭事はなおさら伝承が危惧されるところですが、祭に込められた祖先たちの想(おも)いを、未来に繋(つな)ぐ日本の祈りとして後の世までも伝えていくために、今回の受賞は大きな励みとなります。また、伝統神事に携わることによって若者たちが育ってゆく姿は実に頼もしく、ここにも文化奨励の大きな意義があると存じ、今後とも会員一同一層努力してまいります」とコメントを寄せている。
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「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」は、和歌山県新宮市に鎮座する熊野速玉大社を中心とする大規模な祭礼である。
速玉祭は、10月15日に、神霊を神馬に戴き、速玉大社や御旅所(おたびしょ)などを巡る、神馬(しんめ)の渡御(とぎょ)が行われる。翌16日には神輿(みこし)の渡御と御船祭(みふねまつり)が行われる。「一つもの」と呼ぶ人形を載せた神馬を先頭に、神輿が町内を巡った後、神霊は朱塗り神幸用船に遷され川を遡上し、御船島へと向かう。御船島では九隻の早船が御船島を3回廻って先着を競う。島廻りが終わると、神霊は御旅所に入り、浄闇の中で御旅所神事が厳かに行われ、還御(かんぎょ)となる。
御燈祭りは、2月6日に行われる。神倉山の山上に「上がり子」と称する参拝者が集う中、御神火が起こされ、大松明に遷される。大松明から上がり子たちの松明に火が分かたれると、やがてあたり一面は火の海となり山門から上がり子たちが一気に山を駆け下りるその様は、さながら火の滝のようで、この勇壮な祭りに参加しようと、全国から大勢の参拝者が集う。翌日は、御礼参りの日で、神倉山の麓で祈祷や、餅撒きなどが行われる。
これらの祭りは昭和39年3月に和歌山県指定無形民俗文化財となり、平成28年3月には「新宮の速玉祭・御燈祭り」の名称で国の重要無形民俗文化財に指定された。
保持団体である熊野速玉大社祭事保存会は、昭和39年に組織化され、熊野速玉大社を中核として周辺地域の氏子や関係団体と協力して長年にわたり祭礼の執行及び運営を行っている。その功績は、伝統文化の継承のみならず、熊野の世界遺産を活かした魅力発信など、地域の活性化・振興に重要な役割を果たしており、本県の伝統文化の保護および文化振興に対する貢献は誠に多大である。保存会の末永い活動が今後も期待される。
(2020年11月14日付紙面より)
キャラバン一行首長表敬 (県木材利用推進協議会 )
県木材利用推進協議会(榎本長治会長)のキャラバン活動の一行が12日、太地町の三軒一高町長、古座川町の西前啓市町長、串本町の田嶋勝正町長を順次表敬訪問し、要望書を手渡して公共事業における紀州材活用への理解と高配を願うなどした。
同協議会が県内30市町村を対象に例年実施している直接要望の取り組み。各市町村に関係する会員が表敬し、同協議会名の要望書と思いを託して意識喚起に努めている。
古座川町や串本町へは、南紀森林組合の勝山高嘉組合長と県木材協同組合連合会の澤野誠専務理事、池田製材所の久保太嘉志さん〈古座川町の表敬に同席〉、山形材木店の山形五六(いつむ)さん〈串本町の表敬に同席〉が、東牟婁振興局農林水産振興部の山本貴司部長ら職員と共に表敬。代表して勝山組合長が実直に「紀州材を使ってほしい」という思いを告げて両町長に要望書を手渡し、両町内における活用の道を話し合って探った。
大きなところで古座川町は集会所の更新整備、串本町が認定こども園園舎の新設整備といった公共事業の見通しがあり、一行はそれぞれの事業に向けて紀州材の積極導入を願うなどした。
今回託した要望書は、建築基準法の一部改正により地上4階以下かつ高さ16㍍以下の建物について木造化が可能になったこととその根底にある発想、公共建築物の木材の利用の促進に関する基本方針の変更に伴う地方公共団体の努力事項、木材の積極利用がもたらす社会貢献を振り返りつつ、市町村が定める木材利用方針に配慮し公共工事による地方創生や環境保全の観点から紀州材利用への高配を願う内容。同協議会と市町村を仲介する同局によると、17日(火)に北山村と那智勝浦町と新宮市の各首長を表敬するという。
(2020年11月14日付紙面より)
那智勝浦RCが清掃活動
那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC、山田善清会長)は12日、那智勝浦町の熊野古道・大門坂の石碑周辺で清掃活動を実施した。会員約10人が参加し、草刈り機やはさみ、ほうきなどを手に草刈りやごみ拾いに取り組んだ。
活動は同クラブ恒例の社会奉仕活動の一環で、毎年取り組んでいる。「大門坂」の石碑は高さ約2・5㍍で地元の自然石(火成岩)で作られており、同クラブの創立50周年と世界遺産登録を記念して2004(平成16)年に寄贈された。現在では古道を歩く観光客らにとって人気の撮影ポイントになっている。
山田会長は「大門坂の玄関として観光客の皆さんが写真を撮影するスポットに定着しています。新型コロナウイルスの影響で例年に比べて人は少ないですが、訪れてくれる皆さんのためにも景観を損なわずに世界遺産を守るため、今後も取り組んでいきたい」と話していた。
(2020年11月14日付紙面より)
県高校空手道新人大会兼近畿大会予選
新熊野少年野球大会などが開幕
【第24回】10代こそ食育を!
子どもの食事について、親が悩むのは幼少期が多いですよね。偏食や遊び食べも、気になるのは小学校低学年くらいまでではないでしょうか? でも、実は大人になってからの食意識には、小学校高学年くらいからの食生活が大きく関係しているんです。厚生労働省の対象特性別健康づくりのための食生活指針では、学童期は食習慣の完成期、思春期は食習慣の自立期とされています。つまり学童期に身に付いた食習慣が思春期の食意識を決定するということですよね。小学校高学年から中学生は、この移行期間に当たるのではないでしょうか?
この時期の食生活が大切だと思う理由の一つは、「記憶に残りやすい」という点です。「子どもの頃の食卓」として思い出すのは、おそらくこの10歳から15歳くらいの頃ではないでしょうか? 食卓がどんな雰囲気だったか、どんな会話をしていたか、といった記憶も大人になるまで残るかもしれません。そしてその記憶こそが食育だと私は考えています。小学校高学年になると、食材の味や料理の知識も、ある程度持ち合わせています。学校で栄養のことなども学びますし、調理実習も経験しているかもしれません。では家庭では何が必要なのでしょうか?
この頃の食卓で、将来に大きく影響するのが「自発的コミュニケーション」だとする研究があります。「自発的」つまり子どもが自ら話すことをきっかけとした会話ということですね。年齢が上がるにつれ、子どもの自発的コミュニケーションが少なくなるのは、とても自然なことです。でも、だからこそこの時期、この「自発的コミュニケーション」が大切になるようです。そのためにできることが、二つあります。まず一つ目は、「自発的コミュニケーションを促すこと」。大人の話を聞かせたり、説教をするのではなく、子どもの話を聞こうと心掛けてみてください。質問に答える形から始めても大丈夫。それを習慣的に続けていくことで、食卓が会話の場という習慣ができて、自発的に会話をしてくれるようになります。そして、もう一つが食事の前後の「いただきます」と「ごちそうさま」のあいさつです。前出の研究論文にはこんな記述があります。「小学5年生の夕食共食頻度が週4日以上でかつ食事中の自発的コミュニケーションが多かったA群は、共食頻度が週3日以下で自発的コミュニケーションが少なかったD群に比べて、共食の重要性の認知が高く、食事前後の挨拶の実践頻度が高かった」(栄養学雑誌「家族との夕食共食頻度及び食事中の自発的コミュニケーションと食態度、食行動、QOLとの関連」、2014年)。食事のあいさつは、食卓におけるコミュニケーションの栓抜きだと私は思っています。黙って食べ始めるよりも、一言あいさつをすることで、会話への準備が整うのではないでしょうか?
子どもたちが食の自立を果たし、健やかな食生活を選び取れる大人になるように、今できることから始めてみてください。
(2020年11月14日付紙面より)
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で営まれる、熊野地方に春を呼ぶ「御燈祭(おとうまつ)り」(2月6日)。来年の斎行についてこのほど、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、上(あ)がり子の参加を中止し、関係者のみで神事を執り行うことが決定。5日に同大社、神倉奉賛会、神倉青年団が発表した。
熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける「御燈祭り」は、新年における「火の更新」を意味する勇壮な祭り。毎年、全国から大勢が祭りに参加し、御神火を移したたいまつを手に一斉に神倉神社を駆け下りる。
このたびの決定は、全国的にコロナ感染症のクラスター発生防止についてあらゆる取り組みが行われている中、2000人以上の上がり子が神倉神社山門内に集結することによって長時間の3密状態が避けられない状況であることを考慮。上がり子の安全と健康を最重要視する運びとなった。報道関係者や一般撮影者の入山も禁止となる。翌7日の御燈祭り奉祝祭、餅まきも中止。
斎行に関して、同大社、神倉奉賛会、神倉青年団、市観光協会で御燈祭り検討委員会を開催。新宮警察署や市消防本部、市消防団、新宮森林事務所、新宮少年相談センター、新宮小売酒販組合、御燈祭りを守る会など関係機関と協議を重ね、また、和歌山県危機管理局、県福祉健康部感染症対策班および県神社庁などの助言も得ながらこのたびの決定に至った。
祭り当日は15人以内の神職と介釈(かいしゃく)のみで入山する。中止に関して、介釈を務める神倉青年団の中山忠吏団長は「新型コロナの情勢に敏感になる人が多い中、上がり子の健康を第一に考え中止に至った。当日は新型コロナの終息を願い、神職の指示に従って厳粛に滞りなく任務を遂行したい」。
上野宮司は「中止の決定に至るまで葛藤はあった。残念だが健康と安全を考えた結果。長い時代の中で同じような苦労はあったのでは。その中で祭りをどう伝えていくかを模索しながらこれまで続いてきたことと思う。今年は、家から神倉山を見て、手を合わせてほしい」と思いを語った。
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■御燈祭り当日の日程
※当日(2月6日)夕刻以降、神倉神社付近への車の参入は避けること
▽午前10時 かがり御供(ごく)奉製
▽午後5時10分 介釈、神倉神社で修祓(しゅうばつ)の後、熊野速玉大社に向かう
▽午後5時50分 神職、介釈一行同大社を出発し、神倉神社に向かう
▽午後6時20分 神倉神社到着
▽午後7時10分 御神火をおこし、神事開始
▽午後7時30分ごろ 大たいまつを先頭に下山開始
▽午後7時35分ごろ 中ノ地蔵に到着、拝礼
▽午後7時40分 神倉神社社務所に到着。拝礼後、阿須賀神社へ出発
▽午後8時 阿須賀神社に御神火を奉安し奉幣を奉る
▽午後8時30分 熊野速玉大社に御神火を奉安し奉幣を奉る
(2020年11月7日付紙面より)
タウンガーデンで花の植え替え (新宮市 )
新宮市保健センター隣の花壇・タウンガーデンを管理するボランティアグループ「タウンガーデン」(平田裕子代表)は5日、同所で花の植え替えを行った。会員10人が、秋から冬に咲く花を植えた。
この日に植えた花はパンジー、ビオラ、ハボタンの3種類。今後も随時、ナデシコやカンパニュラ、クローバー、金魚草などさまざまな花を植えていく予定になっている。会員たちは花壇を囲み、協力しながら丁寧に作業を進めていった。
平田代表は「季節の変わり目に花を植え替え、大勢の方たちに見てもらい楽しんでほしい。まちの中で少しでも座って休むことのできる憩いの場にもなってもらいたいですね。コロナ禍で引きこもりがちになりそうな毎日ですが、まちのシンボルの一つになってもらえれば」と話していた。
(2020年11月7日付紙面より)
例年並み110㌧見込む (北山村 )
日本唯一の飛び地の村、北山村で6日から、特産品「じゃばら」の収穫が始まった。女性たちが色づいたものを枝切りばさみで丁寧に切り取り籠へと入れていった。今年の収穫量は例年並みの約110㌧の見込みで、作業は12月中旬まで続く予定となっている。
じゃばらは温暖多雨な気候で寒暖差が大きい同村の自然条件が生み出したかんきつ系の果実。ユズや紀州みかんの自然雑種とされており、江戸時代から村に分布したとされている。名前は「邪(じゃ)を払う」からきているという説がある。大きさはテニスボールほどで、疲労回復に良いとされるビタミンAとC、風邪予防に効果があるカロテンを含むなど栄養価に優れ、皮には抗アレルギー作用があるフラボノイド成分が多く含まれている。
じゃばらは株式会社じゃばらいず北山と村じゃばら生産協同組合に加盟している農家30戸の計8㌶ほどの畑で約5000本を栽培。生しぼりやジュース、ぽん酢、ジャム、シャーベットなどさまざまな商品があり、昨年度の売り上げは約4億7500万円だった。本年度は約6億円を見込んでいる。
北山振興株式会社じゃばら農園管理責任者の宇城公揮さん(44)は「夏場に雨が少なく木が枯れそうになるなどの心配がありましたが、みんなで手入れに力を入れて無事に成長させることができました。今年は実もしっかりしており、品質の良いものが育ちました」と話していた。
予約はインターネットや電話で受け付けている。問い合わせは村じゃばら村センター(電話0735・49・2037)まで。
(2020年11月7日付紙面より)
サイクリング動画制作し公開 (東牟婁振興局 )
東牟婁振興局がこのほど、サイクリングPR動画「KINAN Cycling Team 山本大喜選手 熊野を走る」を制作し、動画サイトでの公開を始めた。
この動画は、サイクリングを通じて熊野地方の魅力を伝え県内外からの誘客につなげることを狙い、NPO法人「SPORTS PRODUCE 熊野」が擁する県内唯一の自転車競技チームの協力を得て制作。
県サイクリングコースの一ルート「本州最南端ジオパークコース」の魅力や地域柄を語りながら紹介する内容で、同局企画産業課の職員が「自転車で出会う熊野の魅力」をコンセプトにして企画、撮影、編集を担当した。
シーンとして橋杭岩や南紀熊野ジオパークセンター、一枚岩や虫喰岩なども収録。ドローンやウエアラブルカメラ、一眼レフカメラなど撮影手法の多彩さにもこだわっているという。
公開先は動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」の熊野エリア観光ちゃんねる(サイト内検索で検索可)。同局や同チームの公式ホームページ、同課公式フェイスブック、熊野エリア観光推進実行委員会公式ホームページやフェイスブック、南紀熊野ジオパーク推進協議会公式ホームページにおいて、外部リンクをたどっての閲覧もできる。
山本選手は奈良県平群町出身、24歳。現在は同チームに所属し、新宮市に在住し主に同局管内でトレーニングを続けている。第38回アジア選手権ロードレース(U―23)優勝、2018年全日本選手権個人タイム・トライアル(U―23)優勝、第54回西日本ロードクラシック広島大会(Day―1)優勝、と実績を重ねている。
今回紹介するルートは串本駅を発着点にし、橋杭岩~虫喰岩~一枚岩~串本海中公園~潮岬灯台を巡る全長約65㌔の初・中級者向けコース。詳細は和歌山県サイクリング総合サイト「RIDE ON WAKAYAMA」を参照。
今回のルート以外にも管内にかかるルートが複数あり、現時点では未定だが同課は同チームと引き続き話をする中で第2、3弾に挑戦できればと話している。
(2020年11月7日付紙面より)
東牟婁地方中学校秋季陸上競技大会
新宮市民スポ祭硬式テニス
那智勝浦町総体グラウンドゴルフ大会
みんなで防災意識高める (丹鶴幼で地震津波避難訓練 )
「世界津波の日」(11月5日)前日の4日と5日、県内全域で地震・津波避難訓練が実施された。国や県、市町村、教育機関、自治会などが取り組み、適切な避難の定着を図った。
「世界津波の日」は2015(平成27)年12月に国連総会で制定。1854(安政元)年11月5日に、安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際、濱口梧陵(ごりょう)が稲むらに火をつけ、津波から逃げ遅れた村人を高台へ導いて多くの人の命を救った「稲むらの火」の故事にちなんでいる。
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新宮市立丹鶴幼稚園(下岡容子園長、園児56人)は5日、地震、津波の避難訓練を行った。園児たちは経路をたどり、落ち着いて避難した。
同園では子どもたちに防災や防犯意識を高めてもらおうと火災、地震、津波、不審者を想定した各訓練を定期的に実施している。この日は午前10時に地震発生を知らせるアナウンスが流れた。園庭で遊んでいた子どもたちはその場に座り、手で頭を覆って身を守った後、職員の指示に従って近隣にある市保健センター隣の花壇・タウンガーデンへと逃げた。
下岡園長は「今日は上手に逃げることができました」と講評。「部屋にいるときには丈夫な物の下にもぐり、外で遊んでいる場合は『ダンゴムシのポーズ』で体を守ってくださいね」と呼び掛けた。
「真剣に取り組むことが大切。そのために、しっかりと避難できるように訓練しています」と語り、「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」「泣かない」の「お・は・し・も・な」を守るよう伝えた。
訓練後にはみんなで園に戻り、遊戯室で災害にまつわる紙芝居「稲むらの火」を見た。
(2020年11月6日付紙面より)
中央公民館で防災講演会 (古座川町 )
古座川町が3日、中央公民館で津波避難総合センター完成記念防災講演会を開いた。和歌山大学災害科学・レジリエンス共創センターの客員教授・後誠介さんを講師として迎え、約50人が聴講して防災意識を高めるなどした。
津波避難総合センターは下部区内で5月に完成したが、コロナ禍に伴い落成式を営めず。「何かをしたい」という思いは持ち続け、できることとしてこの講演会を思いついた。同日午後にあった同センターの内覧会と対の行事に位置づけ、町民対象で定員60人程度とするなど感染症予防対策を講じつつ参加を呼び掛けたという。
落成式だけでなく防災行事の機会もコロナ禍で減っている同町にとっては、久しぶりの意識喚起の機会。開会に当たり西前啓市町長は同センター設置の経緯を伝えつつ「(今後も町内の)防災力向上を図り、町民の皆さまが安全に安心してもらうためまい進していきたい」と意気込みを示して講師の登壇と聴講を歓迎した。
演題は「地震・津波災害に備える」。後さんは昭和19年東南海地震、昭和21年南海地震を振り返って地震や津波のイメージを組み立て、本質は地下で大きなずれが起こる点にある、と視点を誘導。紀伊半島付近の地下にある二つのプレートの固着域(破壊域)を震源とし、両プレートのずれが東に広がれば東南海、西に広がれば南海、それ以上に広がった先に国が想定する南海トラフ巨大地震があると印象づけた。
来る地震は単発か連動か巨大地震のいずれかで、マグニチュードが大きくなるほど被災地が広がり救援の手が遅れて長期(持久)戦が強いられる。その時は体力を温存しながら復興に臨む姿勢も必要になるなど規模相応に対処する発想の柔軟さを促しつつ、現在の予測状況を同町に当てはめて紹介した。
地震・津波対策の盲点として県内の耐震化や家具転倒防止の普及の鈍さを懸念し、これらは続く津波避難時に自身や助けてくれる周りの人に負担を掛けない点で大切だと推奨。まとめとして▽来る地震は3種類▽防災意識が高い地域は犠牲者が少ない▽耐震化の大切さ―を振り返って話を締めくくり、質問に答えるなどした。
(2020年11月6日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(久保敏晴校長、生徒73人)では4日、南海トラフ巨大地震を想定した防災学習と裏山への避難訓練があった。
毎年実施している取り組みで、本年度は家庭での防災意識向上にも役立ててもらおうと、プリントや無料の連絡網サービス「マチコミ」を使った情報発信にも力を入れている。
生徒たちは防災学習で「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の津波避難3原則を学習。家族分も含めた「避難カード」が配られ、分かる範囲で地震・津波時の避難場所や緊急連絡先を記入した。
1年生のクラスでは南隼太教諭が「皆さんが率先して避難することが、家族や友人など周囲の人の命を助けることにつながる。緊急時に家族の安否が確認できるよう、具体的な避難先や連絡先を家族と話し合い、一緒に『避難カード』を作成して」と呼び掛けていた。
(2020年11月6日付紙面より)
宇久井小・中・保が避難訓練
那智勝浦町立宇久井小学校(芝﨑勝善校長、児童155人)、中学校(坊信次校長、生徒62人)、保育所(山田有美所長、園児83人)は5日、合同避難訓練を実施した。
午前9時50分に地震を知らせる校内放送がかかると、児童、生徒、園児は机の下に避難。地震がやんだ後、児童・園児は救命胴衣を身に着け、生徒はヘルメットを着用して一次避難場所の中学校グラウンド(海抜約26・6㍍)に集合した。
芝﨑校長は「2011年の東日本大震災では多くの人が津波の被害に遭い、命を失った。その教訓を生かそうと今日の避難訓練がある。宇久井は海の近くなので、津波が来れば大きな被害が出る可能性がある。いざというときのため、今後もしっかりと訓練に取り組んで」と呼び掛けた。
なお、本年度は3密防止のため、二次避難場所である中学校校舎屋上への避難は実施しなかった。
(2020年11月6日付紙面より)