周辺地域協の臨時総会で発表 (スペースワン株式会社 )
串本町田原~那智勝浦町浦神にまたがる民間ロケット射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン株式会社(豊田正和代表取締役社長)=東京都=が19日、ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを来年2月末ごろに再延期することを公式発表した。
同日、串本町サンゴ台のホテル&リゾーツ和歌山串本で開催のスペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)臨時総会に出席した同社の阿部耕三取締役が事業の経緯や現時点での進捗(しんちょく)と併せて報告したもので、国際情勢に伴う物流の停滞が想定以上で期待する時期に必要な部品が届かないなどの諸課題に苦慮し、それらの対処をすると今年12月末ごろの打ち上げは厳しいとの判断に至ったとして理解を求めた。
同総会では初号機打ち上げ時の公式見学場の全体管理を担う株式会社JTBも報告に臨み、会場運営の概要や集客窓口とするホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」の事前登録状況やオフィシャルツアーに伴う宿泊施設の配分などを伝えた。
今回の議事は2社の報告のみ。下副知事は「残念だが、現在の状況などを考えるとやむを得ないと思う。引き続き支援をし、ぜひとも初号機の打ち上げを成功させていただきたい」と総括した。
当初の2021年度内から今年12月末ごろ目標、さらに来年2月末ごろ目標と再延期したことについて阿部取締役は「楽しみにしていただいた地元の皆さまには大変申し訳ないと思っています。引き続きご支援ご声援をお願いしたい」とコメント。来年2月末ごろという期日は関係各者と話し合う中で総合的に判断し示した目標で、実現に向け全力で取り組むとしている。
発表を受け副会長の田嶋勝正・串本町長は「来年2月の閑散期にずれ、商売人は助かりファンも来やすい状況になると思う。渋滞対策などよりいっそう充実し、多くの方を迎える状況をつくっていきたい」。
副会長の堀順一郎・那智勝浦町長は「期間が少し延びたところをうまく活用し、もっと盛り上げて多くの方々に喜んでいただけるような地域振興につなげる期間として前向きに捉えたい」とそれぞれ語った。
(2022年10月21日付紙面より)
笑福亭鶴笑さんが講話 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で19日、全校生徒561人を対象に人権全体鑑賞会が開かれた。落語家でNPO法人「国境なき芸能団」代表の笑福亭鶴笑さんが、パペット落語などを通じて笑いを届け、難民キャンプで暮らす子どもたちや戦争、平和に対する思いを語った。
鶴笑さんは笑福亭一門の落語家で、世代や国境、言語の壁を超えて世界中の人々が楽しめる新型落語「パペット落語」を考案。戦争や内乱、災害、疫病によって生活を破壊された人々や、紛争地で生まれ育った子どもたちに励ましの「笑い」を届けるためNPO法人を設立し、アフガニスタンやイラク、カンボジアといった国々へ赴いている。
鶴笑さんは、枕として難民キャンプを訪れた経験を紹介し「最初は外国人への不信感からキャンプ内への立ち入りを拒否されたが、芸で子どもたちを笑わせたことがきっかけとなってコメディアンとして認めてもらえた」と語った。戦争の絶えない世界の現状を憂い「なぜ戦争が起きてしまうのか。いろんな人の意見を聞いて視野を広げて。人間らしさを取り戻すためにも笑いが大切。皆さんの家庭や学校生活に楽しい笑いがあふれるように」と語りかけた。
手作りのパペットで1人4役を演じるオリジナルの落語「立体西遊記」では、登場人物たちの軽妙な掛け合いに、生徒たちに笑いが広がった。
弟子の笑音(しょうと)さんも登場し、灯油シュポシュポやパイプ椅子、熊手、クレンザーボトルなど身近な素材を改造した手作りの笛を披露。塩ビパイプで作ったトロンボーンでは「ぞうさん」を演奏した。
山田倫加さん(3年)は「初めて落語を聞いたが、面白かった。大学で海外のことを学びたいという思いが強くなった」。松下穂乃果さん(同)は「難民キャンプの話を聞き、海外でも落語が受け入れられて、笑ってもらえること、人と仲良くなれることを聞いて感動した」と話していた。
(2022年10月21日付紙面より)
紀伊半島沖で採集の2種 (串本海中公園 )
紀伊半島西南沖で採集されたイバラスナヒトデとケムシヒトデが標本に基づく記録として国内2例目となることがこのほど判明し、その報告論文が先月20日発行の学術誌「Biogeography」24号に掲載された。
イバラスナヒトデは、串本海中公園センター水族館の平林勲係長が2019年12月30日に有田沖で展示生物の採集をしていた時に発見。見慣れないヒトデ類だったため水産研究・教育機構の木暮陽一主幹研究員に精査を求めたところ、沖縄県の1標本のみ記録されているイバラスナヒトデだと判明した。
木暮主幹研究員は生体調査に加え過去に採集され標本として収蔵されている未同定種も対象として研究をしている専門家。1975年にすさみ町沖で採集され大阪市立自然史博物館に未同定種として収蔵されていた標本を昨年に見つけ、形態観察をした末に小笠原諸島兄島でのみ記録されるケムシヒトデだと判断。紀伊半島西南沖で採集されたこれらヒトデ類は貴重な標本と感じ、平林係長と連名で論文を書き学術誌掲載で公表するに至った。
平林係長によるといずれも南方系に分布するヒトデ類で、公表により分布北限が紀伊半島へと更新される結果になったそう。木暮主幹研究員はこれら2種が採集される背景に越冬を含め生息可能な環境が紀伊半島沖で成り立っている状況を洞察し、いずれもこれまで本州には記録がなく貴重な標本だと評価している。
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以降、平林係長は今月3日に田並沖でのイセエビ刺し網漁で混獲された生物を調査中にケムシヒトデと思われる個体を見つけ、その場で交渉し譲り受けた。
後に確かめたところ間違いなく、希少なヒトデ類として17日から館内Aゾーンで生体展示を始めている。平林係長は「木暮さんが論文で公表した直後に生きた状態で見つかったのはまさに奇跡。国内ではほぼ目にすることがないケムシヒトデを生体展示でじかに知ってもらいつつ、生態の解明にもつなげていきたい」と意気込んでいる。
串本町沖での採集は初で、すさみ町沖で採集されて以来47年ぶりとなる標本記録。木暮主幹研究員は「生体展示をしているのは、自分が持つ情報の中では世界でも同館だけ。何を食べるかさえ分からないほど知見が乏しいが、餌が分かり飼育ストレスを小さくすれば長生きできると思う。ヒトデ類は脚光を浴びることが少ないが、海を描くとほぼ登場するほど意識されている生き物。うまく飼育できたら目玉の一つになると思う」と長期飼育の成功を期待して語った。
(2022年10月21日付紙面より)
新宮保健所による「薬物乱用防止等を目的とした校舎校門前早朝啓発活動」が19日、那智勝浦町立那智中学校であった。新宮保健所職員、新宮地区協議会所属の薬物乱用防止指導員、関係機関職員8人のほか、那智中生徒会の役員5人が参加。登校する生徒に啓発物資を手渡し、乱用防止を呼びかけた。
近年、青少年による薬物乱用、特に大麻乱用が増加しており、令和3年の全国における、大麻事犯の20歳未満の検挙人員が994人、うち高校生が159人、中学生が8人となっている。「大麻は安全で依存性がない」などの誤情報も流れている。
また、10月は「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」および「薬と健康の週間」に関連する運動月となっている。これらのことから新宮保健所は昨年、下里中学校と新宮高校で啓発活動を実施、今回は2年目となる。那智中のほか、21日に新翔高校でも実施を予定している。
那智中では、薬物乱用防止の啓発標語が書かれたポケットティッシュやばんそうこうのほか、薬と健康の週間の啓発ボールペンなどを配布。登校する生徒に対して「薬物乱用防止の啓発です」と伝えながら、啓発物資を手渡していた。受け取った生徒は標語を眺めるなどしながら、校舎へと入っていった。
生徒会長を務める、2年生の小井谷美央さんは「麻薬を使ったり、犯罪に手を出したりしないよう、啓発活動を通して知ってほしい」と語った。新宮保健所衛生環境課の勝山亮さんは「薬物乱用は遠い世界、都会の出来事として捉えがちだが、インターネットなどで身近に危険があることを感じてもらえれば」と述べた。
(2022年10月21日付紙面より)
初の近畿大会に向け練習に励む (近大新宮 )
とちぎ国体レスリング競技 (新宮高校 )
新熊野少年野球大会など
王子区が上り優勝 (新宮の速玉祭 )
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が執り行われ、16日には神輿渡御式(みこしとぎょしき)と御船祭(みふねまつり)・早船競漕(きょうそう)が営まれた。
神馬(しんめ)に乗った「ヒトツモノ」に先導されて、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊を移した神輿が「わっしょい」の掛け声とともに熊野川河川敷へ。
その後、熊野大橋上流の「神遷(うつ)し場」で、朱塗り神幸船(しんこうせん)に遷されると、旧丹鶴小学校裏の河川敷に設けられた下札場(しもふだば)から9隻の早船が一斉にスタート。上流にある御船島(みふねじま)を3周し、上札場(かみふだば)を目指す約1・6㌔のコースで競い合った。上りで王子区が15分50秒のタイムで、3年ぶりとなった早船競漕を制した。
とも取りを務めた西村雄作さんは「3年ぶりの早船競漕に優勝できて良かった。(前回の2019年は2位だったので)リベンジできた。気合いを入れて練習してきたのでうれしい。途中で他の区と櫂(かい)が当たったりしてやばいかもと思ったが、こぎ手がよくこいでくれた。来年も優勝して連覇できたら」と喜びを語った。
熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)では、「神輿所(みこししょ)」に設けられた杉ノ仮宮で暗闇の中、御旅所神事が営まれ、静寂に包まれながら厳かに日程を終えた。
熊野地方はこれから、本格的な秋を迎える。
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■早船競漕の結果
【上り】
①王子②阿須賀③丹鶴④神倉⑤明神⑥堤防⑦千穂⑧相筋⑨春日
【下り】
①堤防②阿須賀③春日④明神⑤神倉⑥丹鶴⑦相筋⑧千穂⑨王子
(2022年10月18日付紙面より)
外国人講師による講演会 (那智勝浦町 )
外国人の目から見た那智勝浦町の魅力を伝える、本郷アリーさんによる『観光地から「感動地」へ』の講演が13日、那智勝浦町天満の体育文化会館であった。観光関係者や一般など15人が参加。コロナ禍で低迷した観光業の復活のヒントを探した。
串本町と那智勝浦町の主催による「宇宙ウィーク2022」のイベントの一つとして実施した。本郷さんはブルガリアの出身で、2001年に家族と日本へ移住。日本の優れた「感動地」を世界に伝える「Japan Travel Awards」の選考委員長を務めている。
本郷さんは、目指すべき観光を「外国人、日本人に関係なく、誰もが楽しめる場所に」と主張。「観光客には、小さな子や車椅子の人、ペットと来る人や年配者もいるが、やりたいこと、楽しみたいコンテンツは一緒。国籍もあまり関係がない」と話した。
2022年の同アワードに認定された、ふくしまバリアフリーツアーセンターを紹介。「(名所の一つの)花畑は、数年前までバリアフリーが整っておらず、車椅子では奥まで行けなかった。それを整え、車椅子を押してガイドが案内するようにし、それで観光客が増えた。まち全体のインフラが(バリアフリーに)変わってきている」と明かした。
那智勝浦町の観光課題を指摘。「魅力的な情報を知らせる発信が不足している。英語の情報発信が足らず、よってブランドの認知度も変わらない。これが充実すると観光客の増加につながる」と語った。
魅力的な情報について「日本と外国の観光客の両方とも、やりたいことは一緒。『外国人はこういうものを喜ぶ』ではなく、自分たちが喜ぶコンテンツを考えることが大事」と述べた。魅力的なコンテンツは「人それぞれ」とし「既存のコンテンツをさまざまなアングルから情報発信すれば、それが魅力的な観光コンテンツになる」と力を込めた。
具体例として、愛知県の着物レンタル店を紹介。「女性がはかま、男性が振り袖でもいいと情報発信したら、外国人コミュニティーですぐ広がった。店がかけたお金はゼロ。見せ方だけで変わる」と話した。他の成功事例として、3歳から乗れるようにした川の急流下り体験や、車椅子のままでの人力車乗車体験なども挙げた。
車椅子への配慮やLGBTQへの理解など、写真による「見える化」の重要性にも触れた。外国人観光客に感想を聞く有効性も強調。「何が必要かと聞くとアイデアを出してくれる。失礼ではない」と述べた。
(2022年10月18日付紙面より)
アニメ監修者が講話 (那智勝浦町 )
NHK・Eテレで放映中のアニメ「宇宙なんちゃら こてつくん」の監修者が語る「宇宙兄さんズと楽しく宇宙を学ぼう!」が15日、那智勝浦町天満の体育文化会館であった。町内外の親子連れなど、約50人が参加。宇宙の魅力を楽しく学んだ。
串本町と那智勝浦町の共催による「宇宙ウィーク2022」の中のイベントの一つ。宇宙兄さんズは、公益財団法人日本宇宙少年団の小島俊介さん、小定弘和さんのコンビとなる。2人は、米航空宇宙局(NASA)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙センターでのスペースキャンプや、宇宙飛行士との交流イベントなどを企画、運営している。
2人は「世界の宇宙関連組織の人々が、宇宙をどう調べるかについて会議している」と紹介。「国際宇宙探査ロードマップには、いろんな国が協力し、地球から国際宇宙ステーション、月、火星の順で調べることを目指していることが書かれている」と明かした。月面基地や火星の有人探査のイメージ図を提示し、目指す将来を印象付けた。
会場で仮の宇宙飛行士選抜試験を行うとし「協力して最後まで諦めず頑張れるかが大事」と語った。宇宙飛行士に求められる資質を「いろんな国の人と仲良くして、地上スタッフと話しながら仕事を進める。チームで仲良く、外国人とも分かり合い、助け合い、コミュニケーションを取って仕事をうまくやることが求められる」と述べた。
宇宙飛行士は地上スタッフに対し、言葉だけで状況説明を行う必要があることに言及。その試験として、三角や四角、半円などを言葉だけで組み合わせ、指定の図形を作れるかを確かめた。1の目が上を向いたサイコロを指定された通りに転がして、その結果、1の目がどちら向きになったかも尋ねた。子どもらは頭をひねり、懸命に答えを考えていた。全問正解者は少なかったが「協力して最後まで諦めず頑張ったので、全員合格」と伝えた。
宇宙ステーションでの日本人宇宙飛行士の様子を、動画や画像で紹介。「水は貴重なので、おしっこは再び水に変えて飲んだりする。お風呂はなく、ウエットタオルで拭き、水のいらないシャンプーで体を洗う」などを明かした。
(2022年10月18日付紙面より)
和歌山ロケット応援団結団
串本町田原~那智勝浦町浦神にあるスペースポート紀伊のロケット「カイロス」打ち上げを盛り上げる有志団体「和歌山ロケット応援団」が15日、串本町潮岬にある望楼の芝で結団式を挙行した。
初夏ごろから先行して串本町、次いで那智勝浦町と有志のつながりが生まれ、応援の思いは共通という観点で一体となり発足を目指してきた団体。
同日現在の団員規模は約30人。うち6人が同日実施の「宇宙ウィーク2022」モデルロケット打ち上げ体験にゲスト参加し、同ロケット持参で結団式に臨んだ。
同体験の参加者やスタッフらが立会人となる中、結団に至るまでのいきさつや入団条件(打ち上げを心から応援する気持ちと地元を愛する気持ちを持つこと)、団員活動の方向性や交流サイト(SNS)やメールマガジンによる世界規模の情報発信、県立串本古座高校CGS部が目指している応援などを発表した。青木圭団長は「これからさらに団員が増えてどのようなアイデアが出てくるのかを考えるとわくわくする。打ち上げの成功や失敗によらず、どんなときでも応援していきたい」と思いを掲げ、記念として同体験の打ち上げ環境を借りて同ロケットを打ち上げて活動の第一歩を踏み出した。
当面はSNS(LINE)とメールマガジンの2系統で情報発信をし、「カイロス」と接点がある既存企画に連動して実動しつつ団員規模の拡大を図る。団名を和歌山としたのは2町にとどまらず広く仲間を集めたいという思いから。青木団長は「団員が増えれば団内のアイデアも充実し、それを形にする小隊(=分会)ができればやれることの幅が広がる。活動資金を得るための収益体制もしっかり構築し、打ち上げに関心がある大勢の皆さんをおもてなしできる団体にしていきたい」と展望を見据えて意気込んでいる。
メールマガジンは今後発信を始める予定。事務局は古座サテライトオフィス内にある株式会社USPジャパン和歌山オフィス(電話070・9050・4122)に置いている。問い合わせは同オフィスまで。
(2022年10月18日付紙面より)
下里祭典部が来校し鑑賞会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長、児童71人)で12日、下里祭典部(太田進祭典部長)ら11人による獅子舞鑑賞会があった。獅子舞の歴史や違いなどの解説後、実際に二つの演目を披露し、児童から拍手が送られた。
鑑賞会はもともと、3年生の地域学習の一環で獅子舞を学ぶ講話を予定していたが、祭典部の好意で獅子舞披露が決定し、全校で鑑賞することとなった。
太田祭典部長は獅子舞について▽中国が起源とされている▽伝わった地域によって、獅子舞の特色が違う▽シカやトラの舞もある▽下里、高芝、下里天満の獅子舞も獅子頭の顔や笛、太鼓なども違う▽下里は雌獅子、高芝は雄獅子▽20年前の調査では全国で約8000種類の獅子舞がある▽同じ獅子舞はない―などと説明した。
さらに下里地域の獅子舞の歴史自体も詳細は分かっていないことや全国的に子どもの数も減少し、獅子舞に携わる人も減っていることに触れた。
同祭典部によると、例年は下里神社例大祭の際には同校の児童らが子ども神輿(みこし)の綱を引き、笛や太鼓で祭りに参加しているという。コロナ禍となってから3年間は、実施されていない。
演目「神宮の舞」後の「天狗(てんぐ)の舞」では、同校5年の中地将斗君が天狗として参加。見事な舞を披露して場を盛り上げた。
太田祭典部長は「今回の鑑賞会で獅子舞に興味を持っていただけたらありがたい。コロナ禍で皆さんと一緒に練習ができていない。僕らはこれからも獅子舞を続けていくので、参加が可能となったときはぜひ、祭りや獅子舞に参加してください」と呼びかけた。
泉校長は「コロナで何年もお祭りができていない。子どもたちが参加して地域の伝統を受け継いでいってほしいと思います」と話した。
(2022年10月14日付紙面より)
水際対策が大幅緩和
入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、新型コロナウイルスの水際対策が11日より、大幅に緩和された。新宮市熊野川町の小口自然の家でも、外国人旅行客の宿泊予約が入り出すなど、明るい兆しが見え始めている。
外国人観光客の受け入れはコロナ禍に伴って、6月に添乗員付きツアー客限定で上限を2万人、9月に添乗員を伴わないツアー客も認め上限を5万人とするなど、徐々に緩和していた。ただし個人の外国人旅行客は認められていなかったため、熊野古道を歩く目的の個人旅行客が多い本紙エリアでは、客足が戻るところまでは至っていなかった。
小口自然の家で総務を担当する竹本慎介さん(53)によると、今回の規制緩和に伴い、個人の外国人旅行客の予約が増え始めたという。いずれも古道歩きが目的で、1泊を予定。国籍はオーストラリアが多いと話す。11日現在の予約数は昨年、おととしと比べ、3割から4割増しとのこと。「これで少しでも活気が戻れば」と期待を寄せる。
感染拡大中は宿泊客に、ソーシャルディスタンスの確保、アルコールによる手指消毒などを呼びかけてきた。「今後もこれらを継続し、感染予防に努めながら受け入れをしていきたい」と述べた。
(2022年10月14日付紙面より)
「宇宙ウイーク」始まる (串本町 )
串本町と那智勝浦町の合同企画「宇宙ウイーク2022」が12日から始まった。この日は串本町文化センターでワークショップがあり、事前に申し込んだ一般14人と同町のロケット推進事業関係者がロケット「カイロス」打ち上げの情報発信を効果的にする視点を教わるなどした。
両町は「カイロス」の射場「スペースポート紀伊」の立地となっている自治体。その縁で連携し目前に迫る打ち上げに向けた機運醸成を図るために計画したのが、展示やワークショップなど複数のイベントから成るこの合同企画で、この日から16日(日)までの5日間にわたり両町それぞれに会場を設けて順次イベントを実施する。
その先陣を切る形となった初日のワークショップは①講演「映えるロケット写真とライブ動画配信のコツ」(講師はアソビシステム株式会社チーフプロデューサーの畔柳涼吏さん)②講演とグループワーク「外国人の目から見た串本・那智勝浦の魅力」(講師は株式会社しいたけクリエイティブ取締役の本郷アリーさん)―の2本立てで、日中午後と夜の2回実施。畔柳さんは交流サイト(SNS)による情報発信で「いいね」やフォローを得るために意識したい視点、本郷さんはジャパントラベルアワード選考委員長として制度推進する「感動地」を世界に伝える上で押さえたい視点に軸足を置いて持論を託すなどして、今後の打ち上げを地域資源とした振興の取り組みを後押しした。
13日以降のイベント概要は両町で9月下旬に回覧配布され主要観光拠点でも入手できる告知リーフレット、または両町公式ホームページ上の告知を参照。ワークショップは会場がある自治体窓口への事前申込者対象だが、14日(金)から16日(日)まで実施する展示(串本町文化センターで「宇宙アートギャラリー展」、那智勝浦町体育文化会館で「宇宙と星とロケット展」)は午前9時~午後6時〈最終日は午後5時まで〉に随時無料で観賞できる形となっている。
(2022年10月14日付紙面より)
姉妹都市ブルームと交流 (太地中学校 )
太地町立太地中学校(山田貴也校長)で12日、姉妹都市のオーストラリア・ブルームにあるセント・メアリーズ・カレッジとのオンライン交流が開かれた。太地中からは3年生15人が参加し、日本語と英語を交えて互いの地域の絆を確かめ合った。
19世紀末ごろからシロチョウガイ採貝などのために太地からブルームへ渡った移民の歴史が基になり、1981年に姉妹都市提携が結ばれた。2008年から青少年教育交流事業が開始され、中高生が互いの地域を訪問してホームステイ。新型コロナウイルス感染拡大で行き来ができない中でも、セント・メアリーズ・カレッジからはオーストラリア国旗、太地中からは千羽鶴を送って交流を続けてきた。
交流では、川端崇晴さん(3年)が「送っていただいた大きな国旗を教室に飾っている。手紙の『頑張って』という言葉に元気づけられた。ブルームとの良い関係性が永久に続くよう願っている」と英語であいさつした。
町歴史資料室の学芸員・櫻井敬人さん、外国語指導助手のエリン・ケリーさんのサポートを受け、生徒たちの自己紹介からスタート。「好きな日本食は?」には「カツうどん」、「放課後はどんなふうに過ごすの?」には「犬とビーチに散歩に行く」「演劇クラブに行く」などの返答があった。太地中生徒によるオンラインホームステイでは、中学生の一日を英語で紹介。ブルームからは、現地の「真珠祭り」で生徒たちが平和を願って灯籠を流す様子を映した。
宇佐川彰男教育長は「ブルームとの交流は、町の教育方針の三本柱である国際交流、地域学習、主権者教育の重要な一部。一度仕切り直しが必要だが、ぜひ訪問を再開させたい」と話していた。
(2022年10月14日付紙面より)
新宮市民スポ祭ソフトテニス大会
スポーツ祭典グラウンドゴルフ大会 (新宮市 )
奥瀞道路(Ⅲ期) (北山村 )
現在、開通に向けて工事が進む奥瀞道路(Ⅲ期)の1号トンネル(同村下尾井)で7日、貫通見学会があった。北山村立北山小学校(松本広明校長)の1~4年生19人が参加し、掘削が完了したトンネル内を見学。大型ブレーカによる貫通の瞬間を目撃した児童らは、万歳をして掘削完了に喜びを表現した。
延長3・4㌔の奥瀞道路(Ⅲ期)は、開通した奥瀞道路(2008年開通)と奥瀞道路(Ⅱ期、15年開通)の延伸区間となる道路で、16年度に事業化。両区間とも災害時や緊急時における交通機能を確保するとともに、沿線地域の活性化と交流促進を図るために計画された道路で、奥瀞道路(Ⅲ期)の完成によって、これらの機能や効果をさらに高め、災害に対する強靱(きょうじん)な道路ネットワークを確保し、救急医療活動の支援や地域などの発展に寄与するものと期待されている。
全長481㍍の1号トンネルの掘削は、佐藤工業(株)奥瀞1号トンネル作業所が施工。5月から準備を行い6月上旬から本格的に掘削を開始。約4カ月半の作業を経て、晴れて貫通の日を迎えた。
各自ヘルメットと長靴を装着した児童らは貫通発破の後、トンネル内に進入。同社職員や国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所職員らの案内を受け「コンクリートロボット」「タイヤショベル」「ドリルジャンボ」などの重機を間近で見学。トンネルが貫通される様子を目の当たりにし「貫通した」などと感嘆の声を上げて拍手を送った。
見学会を企画した同社の東田研次・奥瀞1号トンネル作業所長は「作業に当たり、地元の人にご迷惑をおかけした。見学会に参加いただくことで、少しでも地元の方々に貢献できると思った。皆さんに喜んでいただけてやりがいに結び付きました」と話していた。
今後、覆工などの作業を経て完成に至る。なお、奥瀞道路(Ⅲ期)の全体の完成時期は現在未定となっている。
(2022年10月9日付紙面より)
もとだてかづこさんが講話 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校で7日夜、同校育友会(加味根央人会長)主催の講演会「今どきの性教育~子ども達に伝えてほしい性の話~」が開かれた。児童の保護者や教職員ら約40人が参加し、同町でかづこ助産院を営むもとだてかづこさんから近年の性教育に関する動向を学んだ。
もとだてさんは思春期保健相談士、性情報リテラシー教育協会認定講師などの資格を持ち、科学的根拠に基づいて性や人権、ジェンダー観、幸福などについて学ぶ「包括的性教育」の重要性について教育現場で発信を続けている。
この日は「なぜ子どもと性について話すのに抵抗があるのかというと、大人も正しい性についての教育を受けてこなかったからでは?」と問いかけ、日本の性教育の歴史を解説。2023年から全国の小中高校で「生命の安全教育事業」が展開されるなど、性教育の機運が高まっている現状を述べた。
子どもたちを性に関する知識から遠ざける従来の性教育を「大人世代が、人間と性の関係を履き違えている」と批判。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際セクシュアリティ教育ガイダンスなどを示しつつ「正しい知識を教わった子どもたちは、自分を守る行動を取ることができる。性教育の基本は家庭であり『自分の疑問に答えてくれる』という信頼関係が重要。子どもから性について聞かれたときは、うそをつかず、ごまかさず、正直に話しましょう」と呼びかけた。インターネット上のゲームや交流サイト(SNS)を介した犯罪が増えていることにも言及し、大人世代が知識をアップデートしていく必要性を訴えた。
性教育に関連するお薦めの本の展示もあり、保護者たちが手に取って目を通していた。
(2022年10月9日付紙面より)
紀宝町立鵜殿小学校(前田幸利校長)は6日、3年生の学年活動の一環として「防災学習」を実施。3年生38人と保護者が地震から命を守るすべを学び、防災かるたに取り組んだ。
学年活動は新型コロナウイルスの影響で2年間中止となっていたが、3年ぶりに再開。新たな取り組みとして、対象学年の保護者を招き、子どもと一緒に学ぶ機会を設けた。年度末までに各学年でそれぞれの学習授業を行う。
3年生の学年活動は体育館で行い、県教育委員会の学校防災アドバイザー、渡邊喜内さんが防災講話。「南海トラフ地震は県内で震度5以上、熊野地域で6以上と想定されている。津波は伝わる速度が速く、繰り返し襲ってくる。揺れの大きさに関係なく地震が起きたら高台に逃げることが大事。普段から家族と避難場所などを話し合おう」と述べた。
「保護者が教えるのではなく、子ども自身が気付くことが大切。子どもと一緒に通学ルートを下見し、避難する場所や危険箇所などを調べ、危険回避能力を高めてマイ防災マップを作ってほしい」と呼びかけた。
日頃の備えが重要とし「自分の命は自分で守れる人、周りの人を助けられる人、早く正しい判断ができる人になってほしい」と求めた。
講話後、児童と保護者が一緒に防災かるたに取り組み、「あなどるな自然の猛威、破壊力」「海からの距離より高さ逃げる基準」「過去で得た防災知識未来を守る」などのかるたを取り合い、楽しく知識を増やした。
(2022年10月9日付紙面より)
近大新宮吹奏楽部がJR新宮駅で
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部(大川夢乃部長、部員28人)が8日、JR新宮駅で特別急行列車「WEST EXPRESS 銀河」を出迎え、ウエルカム演奏を披露した。
「銀河」は西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が期間限定で運行する長距離列車で、鉄道の旅と当地方の魅力のPRを図っている。同校は「ふるさと学習」や希望生による「地域ゼミ」など、教育活動の中で観光や地域活性化について学ぶ場を提供しており、学校側からおもてなしへの協力を打診したという。
部員たちは「銀河」到着に合わせて「銀河鉄道999」の演奏をスタート。パフォーマンスも交えて「Let’s Swing!!」を披露し、駅員や市民らと共に乗客をもてなした。
大阪府から乗車した北野登志寛さん(26)と目黒佳奈さん(24)は「電車が好きで、やっとチケットが取れた。橋杭岩を見たり、この地域のお弁当で朝食を取ったり演奏をしていただいたりと、列車の旅はすごくよかった。那智の滝や熊野古道を巡る予定」と話していた。
(2022年10月9日付紙面より)