ヤマドリゼンマイ見頃に (新宮市「浮島の森」 )
放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公モデルは、植物学者の牧野富太郎氏(1862~1957年)。新宮市には、牧野氏が国の天然記念物指定に関わった「新宮藺沢(いのさわ)浮島植物群落」(浮島の森)があり、島のシンボルとも言える「ヤマドリゼンマイ」が現在見頃を迎えている。
牧野氏は1920~31年の間に5回新宮市を訪れており、浮島の森の調査を行ったのは24(大正13)年8月のこと。浮島の森はもともと南北1㌔、中央部の最大幅300㍍におよぶ広大な池沼内にあったが、調査当時には周囲の埋め立てで道路や住宅地に接し、急激な環境の変化による荒廃が懸念されていた。
郷土資料の「藺澤浮島」(新宮保勝会、1934年発行)によれば、同所を訪れた牧野氏は「島内に叢生せる赤松、ヤマドリシダ、トガリバ、ミヅコケは本州北部の植物にしてテツホシダの如きは本州南部に稀に見る植物なり。以上植物の島内に混生せるは植物フロラ上の一奇観というべく学術上大に研究に値すべきものにして同地は充分保護すべき価値あるものと認む」と語ったという。
その後の経緯について牧野氏は「植物研究雑誌」(1926年3巻11号)で言及。新宮高等女学校教員の太田馬太郎氏に浮島の森の写真を撮影して送付してもらい、内務省の史跡名勝天然記念物会の評議員であった中野治房博士に保護の必要を力説したところ、26(昭和元)年に同評議員の三好學博士が調査へ赴くこととなった旨を記している。天然記念物に指定されたのは翌27(昭和2)年だった。
植物への「好き」を追求し、生涯研究に情熱を注いだ牧野氏。熊野地方に生育する植物にも、牧野氏が発見・命名したものが少なくない。春らんまんの言葉通り、さまざまな花が咲き乱れるこの季節に、その足跡を訪ねてみてはいかがだろうか。
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■浮島の森
浮島の森は、沼地に浮かぶ泥炭でできた島で、面積は約5000平方㍍。寒地の植物であるオオミズゴケやヤマドリゼンマイと、暖地のテツホシダなどが島上に混生していることが特徴。天然記念物指定当時は300本以上のスギ林があり、幹回り180㌢を超えるものもあった。現在も保全活動が続けられている。
(2023年4月20日付紙面より)
ALT着任に当たり市長表敬 (新宮市 )
「語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)」により来日し、外国語指導助手(ALT)として新宮市が任用した、セージ・マリー・ハインズリーさん(23)が17日、市役所を訪れ、田岡実千年市長を表敬訪問した。セージさんは市教育委員会教育政策課で勤務するほか、神倉・王子ヶ浜・三輪崎の各小学校と丹鶴幼稚園で、英会話指導を行う。
セージさんは米国カリフォルニア州出身。昨年カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業した。ジブリ作品がきっかけで日本に興味を持ち、5年ほど日本語を学んだ。外国も1人暮らしも今回が初めてで「夏の暑さと虫だけが心配です」と笑顔を見せる。
「(新宮市について)特にイメージはしていなかったけど、人が温かくて安心しました。美しくてすごく好き」「しぐれのおにぎりとめはりずしなどを食べた。とてもおいしかった」と話し「新宮市にいる間は、できる限りいろいろな所を冒険したい。いろいろなことにトライしてみたい」と抱負。田岡市長に「新宮での生活が楽しみです」と伝えた。
田岡市長は「子どもたちに本場の英語、発音を教えてあげてほしい。滞在中に新宮・熊野の魅力も知っていただければ」と歓迎した。
(2023年4月20日付紙面より)
町長希望に応え串本椎茸㈱ (串本町 )
串本町出雲にある串本椎茸株式会社(松末繁治代表取締役)で励んでいる外国人実習生16人が18日、田嶋勝正町長の希望に応えて表敬訪問し懇談に臨むなどした。
この訪問は、同社が2月に町のトルコ南東部地震災害義援金の寄託を申し出た折に働きながら商材管理の技能を学ぶ外国人実習生が頑張ってくれていることを報告し、田嶋町長が感心して「一度会ってみたい」と希望したことで実現した機会。
同社は協同組合ビジネスナビ=大阪府大阪市=と連携して国外から技能実習生を受け入れていて、現在はベトナム出身者13人とインドネシア出身者3人が期間3~5年の設定で実習中。町長じきじきの招きを喜んだ同社、同組合と実習生16人はその希望に応え、この日表敬訪問するに至った。
代表して同社の久保和雅生産部長があいさつし、田嶋町長は面会希望のいきさつや町の魅力などを伝えて歓迎。16人は持参した町職員160人分の生シイタケの贈呈を申し出て、以降の懇談に臨んだ。
田嶋町長は町や町民の印象を尋ね、あいさつの中で触れた花火や獅子舞はコロナ禍で見られない状況が続いているが今後は見られると思うと紹介。技能を学ぶだけでなく、観光地としての串本の良さも感じて母国へ戻ってほしいと願った。
実習生からはロケットも見たいがいつ打ち上げるのかと質問があり、田嶋町長はロケット「カイロス」初号機が直面している課題を説明し「夏を予定しているが今まで3回延期となっているので4回目があるかも、といった状況だ」と応答。その他、実習生によるイベント出店の相談も寄せるなどした。
懇談はくしもとぽんかんジュースと洋菓子店「セ・ラ・セゾン」のマドレーヌ「エルトゥールル」などを交えて実施。田嶋町長は記念品として日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」のストラップ人形を贈り、懇談後は産業課の島野淳課長が町長室や議場、執務エリアを案内するなどして16人の実習がより豊かになるよう後押しをした。
(2023年4月20日付紙面より)
三尾川小が大柳の竹林で (古座川町 )
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(海野富士子校長、児童3人)が18日、大柳地内の竹林でタケノコ掘りに取り組んだ。
同校は前年度に2人が卒業し、本年度は新入生なし。児童は気心通じる矢倉木鷄君(5年)と妹・いちえさん(2年)、田堀まつりさん(4年)の3人で新しい一年を歩み出している。
今回のタケノコ掘りは、3人でも仲良く元気に頑張ってほしいと願う矢倉きょうだいの家族が、そのための団結のきっかけになればという思いで仲立ちの世話をして実現した全校行事。所有者の承諾を得て児童と教職員を朝一番で竹林へ迎え、タイミングが良いとされる朝採りに挑戦した。
3人は担任とペアになりシャベルや細く厚みがある鍬(くわ)で程よい大きさのタケノコの周りを掘り進め、できるだけ根元から切り出すよう心がけて収穫した。最年長の矢倉木鷄君は今年2回目のタケノコ掘りだそうで、「1回目は家族で掘った。周りをできるだけ深く掘るのがこつだけど、タケノコは長すぎると下の方はおいしくない(あくが強い)から途中で切っちゃうぐらいの方がいい。今日は結構気持ちよく抜けるので掘っていて楽しいし、学校で掘るのも初めてでみんなと一緒に食べるのも楽しみ」と話し、次々に食べ頃のタケノコを見つけては掘り集めていた。
朝採りの良さが生かせるよう収穫は1時間ほどで終え、すぐに学校へ戻って収穫したタケノコをゆでてあく抜き。20日(木)にみんなで調理して味わう予定という。
(2023年4月20日付紙面より)
新宮弓友会主催の月例射会
軟式野球部「第1回大会」 (那智勝浦町体育協会 )
県クラブユースU―15サッカー選手権
JR西と東海がイベント
JR西日本とJR東海の合同ハイキングイベントとして、「世界遺産のまち新宮・熊野のまちなみめぐり」が15日、新宮市であった。雨天の中、参加者が順次、JR新宮駅に降り立ち、新宮市内の観光名所を歩いて巡った。
JR西日本は「ふれあいハイキング」、JR東海は「さわやかウォーキング」の名称で、同様のハイキングイベントを沿線各所で実施しており、今回は合同実施することになった。双方ともに参加者カード(アプリ)があり、参加するとポイントが付与される。たまると景品と引き換えてもらえる。
今回は、スタート、ゴールともに新宮駅とするコースで、距離は約5㌔。徐福公園、阿須賀神社、新宮城跡、仲之町商店街、香梅堂、熊野速玉大社、神倉神社、浮島の森を巡って新宮駅へと戻る。所要時間は約2時間20分を見込んだ。
合同企画ということもあり、通常より多めの参加ポイントが付与された。名古屋方面、大阪方面の両方面からの参加を見越して、受付時間は午前8時50分から午後0時10分までとなっていた。両方面からの特急到着時間を念頭にした時間設定だった。配布する記念品も用意されていた。
雨天ということもあり、参加者は分散して訪れた。受付でマップを受け取り、コースへと出発した。愛知県名古屋市から参加した、会社員の瀬王清隆さん(44)は「この(さわやかウォーキング)イベントにはよく参加している。今回は、せっかく世界遺産の場所に来たので、神社をゆっくりと参拝しながら巡ろうかな」と話した。
また、新宮駅のホームでは「子供制服体験」も行われた。JR西日本とJR東海の両方の制服が用意され、子どもが試着を、保護者が撮影を楽しめるようになっていた。
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イベントの実施に合わせ、新宮市観光協会による「しんぐう駅マルシェ」も開かれた。柏堂切畑屋、観光協会と徐福公園、瀞峡めぐりの里熊野川、エンゼルが出店し、菓子や軽食、地域特産品などを販売してにぎわせた。
(2023年4月18日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の例大祭「本宮祭」が16日、渡御祭(とぎょさい)で締めくくられた。晴天に恵まれ、神を移した神輿(みこし)と時代行列が社殿から旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで練り歩き、斎庭(さいてい)神事が営まれた。
主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)(スサノオノミコト)などを祭り、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭り。主祭神が「我を祀(まつ)るに母神(イザナミノミコト)をも祀れ」と命じたという故事から、熊野市の花の窟(いわや)から母神を迎え、挑花(ちょうばな)と呼ぶチョウを付けた菊の造花を奉じて鼓・笛・旗をもって祭りを行うようになった。
今年は、新型コロナウイルス感染対策を講じつつも、4年ぶりに従来の規模で斎行。なお、渡御祭は15日に斎行予定だったが、雨天のため日程を変更して執り行われた。
神木の榊(さかき)を手にした神職を先頭に、天狗(てんぐ)や修験者、稚児など約200人の行列が続いた。ほら貝や笛の音が響く中、4年ぶりとなる子ども神輿、桜神輿、本神輿が「わっしょい」の掛け声とともに渡御。参道やまちなかには、地域住民や観光客らの笑顔が広がった。
大斎原では地元小中学生が「大和舞」「八咫烏(やたがらす)舞」を奉納し、子どもたちによる御田植神事、父と子の八撥神事が行われた。熊野修験道の採燈大護摩、餅ほりもあり、多くの人でにぎわった。
斎庭神事を終え、九鬼宮司は「多くの方々に協力いただき、コロナ禍以前の形で斎行することができた」と関係者や地域住民、参列者らに感謝。
「全国的に少子化が進むが、本祭は子どもの協力がないと成り立たない。子どもたちには改めて感謝を伝えたい」と拍手を送った。
(2023年4月18日付紙面より)
飛雪の滝キャンプ場で体験会 (紀宝町 )
サウナテントの聖地、紀宝町浅里の飛雪の滝キャンプ場で16日、サウナ体験会「Hisetsu Sauna Festival」が開かれた。サウナ初体験の来場者らが、深いリラックス状態になることを意味する〝整う〟を堪能した。
春の二大イベントの第2弾。高温のロシア式サウナ「モルジュ」、フィンランド式サウナ「サボッタ」など3種類のテントサウナを無料で体験できる催し。お菓子と飲料水のプレゼントもあった。
キャンプ場は2019年2月からフィンランド製のテントサウナを導入し、大自然の中で体験できるサウナとして注目を集めている。
この日は晴天に恵まれ、訪れた人たちは30分ほどのテントサウナで汗を流し、水風呂代わりの滝つぼに入り、ここでしかできない体験を満喫した。体験した男性は「テントサウナも滝つぼも初めて。最高に気持ち良かった」と話していた。
キャンプ場では、29日(祝・土)~5月6日(土)のゴールデンウイーク期間中、千葉、東京、京都、大阪、兵庫などからの宿泊客でコテージやテントサイト、研修室の宿泊施設、テントサウナの予約が全て埋まっているという。
(2023年4月18日付紙面より)
七川漁協が稚アユ放流 (古座川町 )
古座川町の七川漁業協同組合(中田善和組合長)が14日、管内流域で稚アユ800㌔の放流に取り組んだ。
県内水面漁業協同組合連合会が事業委託する、資源増強を目的とした取り組み。七川漁協は600㌔を標準としてその年の放流量を計画しているが、今年も大手釣り具メーカー「株式会社シマノ」が協賛し200㌔分を上積みして稚アユを調達した。
この日は組合員ら約30人が集合。届いた稚アユを▽古座川本流400㌔▽古座川支流平井川300㌔▽同支流添野川100㌔―と割り当て、手分けして放流用ホースやバケツリレーでそれぞれの河川各所へ分散放流した。
県内水面漁連によると、今回の稚アユは海産と人工産が半々で、おおむね体長約10㌢、体重8㌘強、匹数に換算して10万匹弱。中田組合長は海産を本流、人工産を支流に充てて様子を観察し、必要であれば冷水病対策アユの追加放流も検討するとしている。
七川漁協管内のアユはアマゴと並ぶ管理対象魚で、今年の漁(友釣り)の解禁日は6月3日(土)と設定。中田組合長は「ここ最近の取り組みで本漁協の認知も年々広まってきている。伴って増える釣り客の皆さまのための環境を保つことは並大抵の努力ではないが、組合員一同で頑張っている。今年も管内流域へご来場いただき、満足していただければ何より」と話し、この日の放流の指揮に励んでいた。
七川漁協管内でアユ漁をする場合は、七川漁協が発行する鑑札が必要(日券2000円など、18歳以下は年齢が確認できる書類提示で無料)。問い合わせは管内の赤いのぼりを立てたおとり店や七川漁協(電話0735・77・0063)まで。
(2023年4月18日付紙面より)
近大新宮は初戦敗退 (春季高校野球和歌山県予選 )
スポ少野球東牟婁大会が開幕
第24回三輪崎少年剣道大会
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の例大祭「本宮祭」が13日、始まった。神を宿すとされる稚児が主人公の神事「湯登(ゆのぼり)神事」(県無形民俗文化財)では、稚児の神聖な体が地面に着かないよう父親らが肩車をして練り歩き、温泉で身を清めるなどして子どもの健やかな成長を願った。
熊野の春の訪れを告げる同大社の例大祭。主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)(スサノオノミコト)の故事に倣う祭典とされる一年の豊穣(ほうじょう)を願う祭り。毎年、地元住民や多くの観光客が参加・参列し、春の同町を盛大に彩る。
コロナ禍以降、人数制限などの感染対策を講じ規模を縮小しながら執り行ってきたが、今年は現状に応じた対策を取りつつも、4年ぶりに従来規模での斎行となった。
湯登神事に参加した子どもは2、3歳の4人。斎行に当たり九鬼宮司は「関係者各位のご協力を賜りながら、地域力、総合力で春を告げるすばらしいお祭りを執り行いたい。保護者の方には、子どもたちの若竹のような成長を願って、お子さんをしっかりと育てていくという責任感と認識を持っていただければ」と呼びかけた。
好天の下、神の依代である稚児たちは、ウマ役の父親などと共に本殿前で拝礼。九鬼宮司らを先頭に参道を下った。
湯の峯温泉では温泉につかり身を清めた後、温泉粥(かゆ)などを食べた。狩衣(かりぎぬ)や烏帽子(えぼし)で正装し、稚児の額に神の証しとして朱色の口紅で大の字を書き入れて準備を整えた。
2歳の哲翔君と参加した大阪府和泉市の中山仁翔さん(29)は「コロナも落ち着いてきて、祭りができるのはうれしい。皆さんと一緒に古道を歩き、子どもの成長を願いたい」と話していた。
祭りの様子は動画投稿サイト「ユーチューブ」にて配信。なお、15日(土)に予定されていた渡御祭、および旧社地・大斎原(おおゆのはら)での斎庭(さいてい)神事、採燈大護摩は、天候不順が想定されることから翌16日(日)に変更となった。
(2023年4月14日付紙面より)
特殊詐欺被害を防止 (新宮警察署 )
特殊詐欺被害を未然に防止したとして、新宮警察署(井田昌樹署長)から紀陽銀行新宮支店の阪本ルミさんへの感謝状の贈呈式が12日、新宮署であった。井田署長が感謝状を手渡し、引き続きの協力を呼びかけた。
特殊詐欺被害が発生しそうになったのは、2月27日。70代男性の携帯電話に、電話料金の未納分30万円を振り込むよう連絡があり、男性は同支店のATMで、操作しながら振り込みを行おうとしていた。
同支店はすでに閉まっている時間だったが、他の客が不審に思い同支店に連絡して、阪本さんが対応した。男性客に声かけを行い、銀行が駄目ならコンビニで振り込みを行うよう言われていることを聞き出し、特殊詐欺の可能性が高いと判断した。キャッシュカードをいったん預かるとともに、別の職員に警察への通報を依頼し、事なきを得た。
感謝状の贈呈式には阪本さんのほか、同支店の北川剛大支店長も訪れた。井田署長は「抑止対策を進めてはいるが、警察だけでは防げない。銀行のような金融機関も含めた、関係機関と連携して行う必要がある。その中で今回、防げたのはありがたい」と感謝を伝えたという。
なお、新宮署管内では1月から3月で、特殊詐欺被害の発生こそないものの、相談は寄せられており、注意を呼びかけている。
(2023年4月14日付紙面より)
第七勝丸の初漁クジラ (太地漁協 )
太地「第七勝丸」の今期初漁のミンククジラの競りが7日午前、太地町漁業協同組合の市場であった。集まった仲買人により、ブロック肉などが次々と競り落とされた。この後は各所で小分けにされ、スーパーや鮮魚店に並んだほか、一部は他地域に出荷された。
第七勝丸は同漁協の所属。3日に始まった、オホーツク沖の商業捕鯨に参加し、初日の午後に、北海道・根室から北に約24㌔の地点で、8㍍、5・2㌧のメスを捕獲した。この個体が切り分けられて、7日に太地町に届き、競りにかけられた。
仲買人は8業者が集まった。市場には、約3㌔の赤肉が20箱、約4㌔の皮が10箱、約3㌔のウネが10箱並んでいた。開始と同時に、仲買人が札を使って値段を提示し、次々と競り落とした。競り落とされた各部位の箱は、台車や車に積まれ、運び出された。早いものだと同日午後には、店先に並んだという。
同漁協の貝良文専務理事(日本小型捕鯨協会長)は「大きい割に脂が乗っていいもの。身もしっかりしており、刺し身でもおいしいかと思う。初漁で良いクジラが捕れて、しかもこの後も捕れている。今漁期に期待している。クジラ食の文化が広まっていけば」と話した。
なお、第七勝丸は6日までに、4頭を捕獲と好調。根室沖でしばらく操業し、クジラが少ないようなら網走沖まで北上し、その後は青森沖へと南下する予定という。
(2023年4月14日付紙面より)
串本町沖の海底3カ所へ (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(谷口勝政会長、会員24店舗)が12日、串本町沖にアオリイカの産卵床を設置した。
この取り組みは、ダイビングサービスが盛んな串本町の認知度を高め、ひいては町全体を盛り上げる話題づくりの一環。ダイビング客の定評がある産卵シーンを着実に見てもらうための仕組みで、さらにふ化すれば資源増強にもつながるとして日本釣振興会も協賛する形で毎年実施している。
材料には環境に戻りやすい天然木を使用していて、前日に3㍍を目安にして広葉樹の枝を切り出し軽トラックの荷台4杯分の量を確保。当日はイベント係の中井嘉昭さんを中心に会員店舗のスタッフ11人がダイビングボート2隻に積み込み、2組に分かれて設置場所を分担して赴いた。
現地で枝10本ほどを束ね、重り(土のう)で海底へ沈める形で設置。設置場所における産卵シーズンは4月下旬ごろから6月中旬ごろにかけてだそうで、最盛期には絶え間なく産卵が続いて着実にそのシーンが観察できるという。
新型コロナウイルスに伴う制限が緩み、人が動きやすくなリ始めたタイミングでの話題づくり。中井さんは「アオリイカの産卵はとても見応えのあるシーン。今年も大勢の皆さんに間近に見てもらえれば」、谷口会長は「ゴールデンウイークに合わせて生んでくれれば、その時期の串本の集客ツールの一つになり、たくさんの方に来てもらうことにつながる。そのタイミングでばっちり生んでほしいし、今年も日本釣振興会さまにご協力を頂いているがたくさん生んでくれればそれだけ資源が増えることになる。ダイビング客にも釣り客にもウィンウィンの取り組みとして、今年も成果が上がれば」と展望に期待した。
(2023年4月14日付紙面より)