田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)は15日、御創建二千五十年奉祝式年大祭の渡御祭(とぎょさい)を営んだ。約500人の時代行列が本殿から旧社地・大斎原(おおゆのはら)までを練り歩き、大勢の人でにぎわった。
行列は神木のサカキを手にした神職を先頭に、てんぐ、修験者、巫女(みこ)、稚児、獅子舞などが続いた。ほら貝や笛の音、みこしを担ぐ男女の掛け声などが響き、道路脇で見守る人たちを喜ばせた。
大斎原に到着後、地元中学生が『大和舞』『巫女舞』が奉納。稚児による八撥(やさばき)神事、子どもたちによる御田植神事、熊野修験者の大護摩が営まれた。
この日の午前中に営まれた本殿祭には三笠宮彬子女王殿下をはじめ仁坂吉伸知事ら約900人が参列。九鬼宮司が国家安泰や国民の平和を祈る祝詞を奏上し、雅楽師の東儀秀樹さんが簫(しょう)と篳篥(ひちりき)演奏、俳優の今野誠二郎さんが『男舞』を奉納した。
九鬼宮司は「皆さまに祭り当日の天候について多くの心配の声をいただきましたが、私は熊野の神様が見守ってくれていると思っていました。参加した皆さまにも祭りを一緒になって楽しんでもらえたと思います。御創建二千五十年の行事は12月まで続きますので、今後も多くの人に来てもらえるようしっかりと努めていきたい」。
氏子総代会の榎本隆文会長は「心配していた天気にも恵まれ、本宮大社御創建2050年節目のメイン行事を無事催行することができました。協力していただいた皆さまに感謝いたします」と話していた。
(2018年4月17日付紙面より)
関係者や住民集い起工式 (すさみ串本道路 )
近畿自動車道紀勢線・一般国道42号すさみ串本道路の起工式が15日に串本町立体育館であり、工事の安全と一日も早い完成を願った。
この道路は串本町サンゴ台とすさみ町江住を結ぶ延長19・2㌔の自動車専用道路(構造規格は第1種3級)。中央分離帯を有する完成2車線とされている。江住側は紀勢線すさみ南ICと接続し、サンゴ台側に串本IC(仮称)、中ほどに和深IC(仮称)を整備し、完成時にすさみ南ICと和深ICはハーフインターとなり、串本ICは後の串本太地道路接続時にフルインターとなる。車線の計画高が南海トラフ巨大地震の最大津波高以上(海抜27~54㍍)に設定され、主に▽災害時の安全性・信頼性確保▽救急医療活動支援▽観光活性化支援―といった整備効果が見込まれている。
国の予算計上により平成26年度から事業化されていて、前年度は串本町域でも工事用道路の設置が始まった。今年2月にはくじ野川地内でいよいよ本線盛土工事も始まり、完成までの工事の安全と一日も早い完成を願って国土交通省近畿地方整備局、和歌山県、すさみ町、串本町の共催で起工式を営むに至った。
式中、共催者を代表して国土交通省の石川雄一道路局長は紀伊半島一周高速ネットワークの現況を報告し「全面的な協力をいただいて、地域の期待に応えるすさみ串本道路の早期開通、ひいては紀伊半島一周高速道路の全通を目指して事業を推進する」と意気込みを掲げた。仁坂吉伸知事は延伸による商機拡大を強調して地域の活力に弾みをつけ「まだ完成までには少し時間がかかる。われわれも大いに努力したいと思うが、その期待を胸にみんなで協力して早くこれが完成するようにしていきたいものだ」と考えを抱えて引き続きの熱情を促した。
来賓を代表して二階俊博衆議院議員は完成に向け円滑な用地提供などより一層の地元協力を促し、浮島智子衆議院議員、足立敏之参議院議員が早期完成を願った。鍬入れ式を経て田嶋勝正・串本町長と岩田勉・すさみ町長も思いを言葉にし、万歳三唱で起工を祝った。
式前にはすさみ町・下地獅子舞保存会による獅子舞や串本町・串本節保存会による串本節が披露され、式後には餅まきも実施。式場には関係者、招待者、一般来場者約500人が集い、この日の節目を共にした。
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■起工に寄せて
▽田嶋勝正・串本町長
わが町にとってはこの道は命の道であり経済の道につながる。先ほど二階先生も言われていたが、ここからが勝負。われわれも地元でできることは全力で取り組んで一日も早い完成に向けて頑張っていきたいと思うので、皆さま方もいっそう尽力いただくことをお願い申し上げる。
▽岩田勉・すさみ町長
串本まで一日も早く完成することをお願いたい。これはひとえに地元の者がいかに一丸となって活動をするかにかかってくるんじゃないかなと思う。私たちはこれからもよりいっそう積極的に地元の者として頑張ることをお誓い申し上げる。関係の皆さん方に今まで以上にご支援ご助力をいただきますことをお願い申し上げる。
(2018年4月17日付紙面より)
外国客船スターレジェンド初入港 (新宮市 )
外国客船「スターレジェンド」(全長134㍍、9975㌧)が16日、新宮市三輪崎の新宮港へ初入港した。乗客のアメリカ人ら約204人が世界遺産の熊野三山巡り、瀞峡遊覧などを満喫した。外国客船の入港は開港以来4度目。本年度は14隻の客船が入港する予定となっている。
2014年9月26日に初めてアメリカ客船「ザ・ワールド」が入港。16年4月5日にはフランス船の「ル・ソレアル」、10月13日には「ロストラル」が入港している。
国土交通省の調べでは、17年のクルーズ船での訪日外国人は前年比27・2%増で200万人を突破し253・3万人だった。
「スターレジェンド」はアメリカのウインドスター・クルーズ社の船。今回は同社初の日本発着クルーズで横浜、清水、鹿児島、佐世保、鹿児島、韓国の釜山、福岡、広島、高知、大阪を巡る。今回の乗客の7割がアメリカ人。平安衣装の女性たちや太地町のマスコットキャラクター「ゴン太」君、三輪崎保育園の5歳児らが乗客を迎えた。近隣観光協会による地元物産販売もありにぎわった。
歓迎セレモニーで田岡実千年市長は熊野地方が日本の歴史上で重要な役割を果たしたことや、大自然を背景に仏神融合の熊野信仰が多くの人を魅了していることに触れ「短い時間ではありますが熊野の持つ神秘的な部分に触れていただき、幸せな気持ちに浸ってくれれば」と歓迎。船長らに初入港記念のプレートや花束、地酒を贈呈した。
マーク・シモンズ船長は「日本の皆さまのあたたかい歓迎をありがたく思っています。今日は天気に恵まれうれしい」と感謝を述べた。
(2018年4月17日付紙面より)
スポ少野球東牟婁予選
第2回JAみくまの杯バレーボール大会
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)は13日、御創建二千五十年奉祝式年大祭「湯登神事」(県無形民俗文化財)を営んだ。神を宿すとされる1歳から4歳までの稚児12人を父親や祖父が肩車して練り歩き、温泉で身を清め、子どもの健やかな成長を祈った。祭りは15日(日)の渡御祭(とぎょざい)、斎庭(さいてい)神事まで各種行事を予定している。
地元はもちろん遠くは北海道、大阪府から参加した稚児たちは、大社本殿前で拝礼を受けた後、九鬼宮司らと参道を下り国道沿いを歩いた。湯の峯温泉で温泉につかり身を清めた後、温泉粥(かゆ)などを食べ、狩衣(かりぎぬ)や烏帽子(えぼし)に正装。稚児の額に神の証しとして朱色の口紅で大の字を書き入れた。
温泉地が一望できる湯峯王子では稚児の体を左、右、左と3回ずつ回す八撥(やさばき)神事を営み、坂が続く3・4㌔の熊野古道大日越を歩いた。
幸聖君(2)と参加した冨田晃規さん(35)=田辺市=は「2050年の節目の年に息子が稚児に選ばれて光栄で、うれしく思います。この神事をきっかけに子どもとの絆がより深まれば」と話していた。
(2018年4月14日付紙面より)
熊野水軍太鼓保存会が成果を披露 (紀宝町 )
熊野水軍太鼓保存会(廣里稔暢代表)=紀宝町=は8日、紀宝町の生涯学習センター「まなびの郷」で練習や活動の成果を発表する「熊野水軍祭」を催した。
同保存会は1996年、三重祭り博覧会開催に合わせて設立された和太鼓集団で、今年で22年目を迎える。水軍祭は第8回を迎え、保存会が指導する熊野水軍子供太鼓も出演。激しく強いばちさばきが大勢の聴衆を魅了した。福祉施設のグリーンプラザ、アプローチも共催し、ロビーで福祉バザーを同時開催した。
演奏は保存会が編曲した「波動」でスタートし、全8曲を披露。廣里代表は「子供太鼓を卒業して、大人の仲間入りするメンバーもあるなど節目の祭り。楽しんでもらえるよう一生懸命頑張る」とあいさつ。西田健町長は盛会を祝い、来場者には「保存会の演奏は、この地方では一、二の技術と思う。末永くかわいがってもらえれば」と呼び掛けた。
(2018年4月14日付紙面より)
袋港沖の4カ所に (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(小松誠司会長、会員22店舗)は12日、串本町の袋港周辺のダイビングポイント4カ所にアオリイカ向けの産卵床を設置した。
ダイビングシーズンが活発化する時期に合わせた話題作りの一環。アオリイカの産卵シーンはダイビング客にも喜ばれるシーンの一つだが、近年の袋港沖は産卵場所となる藻場自体が少なくなったため、確実に観察できる仕組みとしてダイビングポイントへの同床設置に取り組むようになった。最近5年は資源増強にもつながるとして、日本釣り振興会も支援するようになり設置数が増えている。
過去の産卵状況に基づき、今年は▽備前▽グラスワールド▽中黒礁(なかぐるみ)▽イスズミ礁―を設置場所とし、産卵床の材料にする広葉樹の枝を3~4㍍の長さで準備。極力藻場に近い環境を再現し、万が一海が荒れて崩れても周辺環境への影響が少ない点で、手間はかかるが毎年天然木を束ねて同床を仕立てている。
この日はダイバー18人が設置作業に参加。3隻に分乗して上記4カ所を移動し、水深10~18㍍の海底に同床を固定した。
設置期間は産み付けられた卵のふ化が終わるまで。その頃には同床も半ば腐食し崩れているが8~9月ごろには残った部分を回収して設置場所の保全も図る。今年は黒潮大蛇行の影響で海水温が低く、エギング愛好者の間でも釣果の厳しさが声として上がっている。海中の状況をよく知る同組合の一会員も似た印象を語り、同床が一日も早く呼び水になることを期待していた。
(2018年4月14日付紙面より)
キャンプ場有料期間に向け (串本町 )
潮岬望楼の芝管理運営委員会(田仲康慧会長)は12日、串本町の同芝キャンプ場有料期間に向けた芝生の整備を始めた。本年度最初の同期間は28日(土)~5月5日(土・祝)の8日間。開始までにおおむね東半分の芝を段階的に刈り、テント設営に適した環境を整える。
同委員会は既設の無料キャンプ場施設で収容しきれない数の利用を管理し、同時に膨大なキャンプごみに対処して本来の環境を守るために活動。環境省の特別許可を得て望楼の芝の東半分をテント設営場所とし、1人1泊600円の清掃協力金を預かって設営場所を提供している。その収益で利用の管理やキャンプごみの引き受けなどを行い、整然とした望楼の芝の環境保持に取り組んでいる。
昨年の5月3日は過去最多795人が利用し、急きょ設営場所を広げるなど対応をした。利用者は年々増加傾向にあり3連休で管理が望ましいケースも出始めたため、本年度は▽4月28日(土)~5月5日(土・祝)▽7月28日(土)~8月18日(土)▽9月15日(土)~16日(日)▽9月22日(土)~23日(日・祝)▽10月6日(土)~7日(日)▽11月23日(金・祝)~24日(土)―を有料期間とし、今月9日付で公表している。
期間中は既設キャンプ場を共同給水場(テント設営不可)とし、併せて現地窓口を設けてテント設置場所の提供希望を受け付ける(自己申告制)。キャンプ場駐車場内での車内泊や日帰り利用も対象とし、テント泊の利用者同様にキャンプごみの引き受けを行う仕組みになっている。その他詳細の問い合わせは同委員会事務局(電話0735・62・0557、平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
芝生の整備は同委員会の会員が1日4時間を上限にして実働するが、東半分とはいえ広範なため、日数を重ねて段階的に全体を仕上げる。
初日のこの日は会員6人が既設キャンプ場内から設営場所とする芝地の芝刈りを実施。田仲会長は「1月最終土曜日に芝焼きがあり、前はある程度芝を残さないとならないし、後はすすけてしばらくは提供が難しい。そのあたりも考えつつ(本年度の)有料期間を決めた。皆さんには望楼の芝の事情をご理解いただきながら、伸び伸びとキャンプを楽しんでほしい」と話した。
(2018年4月14日付紙面より)