サ市訪問の中学生が報告会 (新宮市 )
新宮市国際理解教育海外研修事業の帰国報告会が14日、同市役所で開かれた。市の姉妹都市であるアメリカ・サンタクルーズ市(サ市)を訪問した生徒らが体験を発表。生徒代表の福田蓮君(光洋中3年)は「研修はかけがえのない人生の宝物になった。感謝を忘れず、新宮とサンタクルーズ市の懸け橋になれるよう頑張りたい」とあいさつした。
新宮市とサ市は1974年に姉妹都市縁組を締結。研修事業は市の将来を担う心豊かな人材を育てようと始まり、訪問は11回目。交流活動を通じ、地元の生徒との親睦を深めることや文化の違い、歴史を学び、自国文化への理解を深めるなどの内容で、ホームステイによって現地の生活様式を体験し外国語学習の意欲を高める狙いがある。
生徒らは8月17日から25日まで、サ市の歴史公園やレッドウッドの森、遊園地、水族館、スケートボード会社などさまざまな場所を訪れ、ホストファミリー、現地の人たちとの交流、ダウンタウンでのショッピングや体験などを通して思い出をつくった。
生徒らは印象に残ったことや感想を日本語や英語で発表。「最高の思い出になった」「歴史の授業より学べて勉強になった」「アメリカの広さを感じた」「サンタクルーズにまたいつか必ず行きたい」「自分が親切にされたように、受け入れたり体験させたりしたいと思った」「とても幸せな時間だった」「失敗を恐れず何事にも挑戦する大切さと積極的なコミュニケーションを取る大切さを学んだ」などと報告した。
福田君は「行く前は希望と不安でいっぱいだったが、一人一人が貴重な体験をし、生活や文化を学び、たくさんのことが得られた」と話した。
鈴森早有美団長は「継続することが大事と感じることができた。今後も積み重ねていければ」とあいさつ。引率の山本佳人・高田中学校教頭は「生徒たちはしっかり時間を取り、いろんなものを見て、体験し、知識が得られたと思う。生徒、私自身も記憶に残る体験だった」。
市教育委員会の雜賀まどかさんは「研修を通し、たくさんの人とのつながり、成長を感じた。体験や学んだことを生かせるリアルな教育プログラムだと思う。人との交流が実を結ぶ過程が分かる学習ができた」と話した。
田岡実千年市長は「研修で本場の英語に触れる機会は大きかったと思うが、心のつながりが勉強になったと発表を見て感じる。今後この縁、経験を大切にしてくれれば」。屋敷満雄・市議会議長は「現地に行き、何事も見るのが一番の勉強」と述べた。
姉妹都市親善協会の岩澤卓会長はサ市の歴史を語り「新宮の町でみんなが大きくなって出て行ったとしても、サンタクルーズ市が努力して町をつくったことを思い、新宮を自分たちが育てていくことをしてもらえれば大きな成果になる。経験したことを分かち合うだけでなく、今回経験したことを将来に生かし、新宮を今後自分たちのふるさとであるよう、自分たちが頑張ることがためになる」と呼び掛けた。
(2017年9月17日付紙面より)
みテますキープ制度1号にウミガメ公園 (紀宝町 )
紀宝警察署(島田満署長)と管内の事業所で組織する「テロ対策紀宝地区パートナーシップ」はテロ防止対策を進めるモデル事業所に道の駅紀宝町ウミガメ公園(石本慶紀駅長)=紀宝町井田=を指定した。13日に同所で伝達式があり、島田署長から石本駅長にクリスタル像とのぼり旗を伝達した。
パートナーシップは、参加の民間事業所が半年ごとの持ち回りでテロ防止に取り組む制度で「みテますキープ制度」。ウミガメ公園は第1号に選ばれた。期間中はシンボルのクリスタル像を設置し、のぼり旗を掲げるほか、マグネットシートの貼り付けと缶バッジの着装で従業員の危機意識高揚を図りながら、テロをうかがわせる不審な動きに注意を払う。島田署長は「テロは許さない、の感覚で」と協力を呼び掛け、石本駅長は「海外からの客も増えている。地元が連携を深めて連絡システムをきちんとし、みんなの目で見守ることが大切」と述べた。
(2017年9月17日付紙面より)
本宮(17日)は台風影響で渡御のみ (那智勝浦町 )
那智勝浦町の宇久井神社(宮司・男成洋三熊野那智大社宮司)例大祭の宵宮が15日、本殿で営まれた。熊野那智大社の井戸大輔神職が出仕し、神楽奉納、婦人会の踊りの後、神餅投げがあった。
台風18号が接近する中、井戸神職は「どのような天候であろうと例大祭の日は良いものであると思います。神事が無事に営まれるよう、ご奉仕を」と話した。
式典後、本宮開催について祭典委員会(亀井二三男委員長)が会議を開いた。本宮当日の17日午後に、同町が暴風圏内に入るとの予報から海上渡御などは中止とし、神輿(みこし)は出さずに「大旗」を先頭とした渡御のみ行うことに決めた。亀井委員長は「ここまで準備した。非常に残念だが、苦渋の選択をご理解いただきたい」と呼び掛けた。
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■大旗
渡御行列の先頭で頭(当)家の人たちが持つ「大旗」。これはご神体をうつす神のより代とされている。海が荒れたり、雨天の場合には神輿が海を渡御できなくても、大旗だけ一定のコースを渡れば祭りを終えることができるという昔からの言い伝えがある。
(2017年9月17日付紙面より)
21日にはクラス発表やバザーなど (新宮市 )
近畿大学附属新宮高校・中学校(川合廣征校長)の「2017近大新宮祭」が16日、同校体育館で開幕した。今年のテーマは「群星謳歌(ぐんせいおうか)」。台風接近の影響で2日目は21日(木)午前9時から行う。中学2、3年生の劇発表、吹奏楽部演奏、食物バザー、水産養殖魚や米の販売などを予定している。
表彰式では、近大新宮祭のテーマ、詩、原画を担当した生徒らが賞状を受け取った。オープニングセレモニーでは生徒や教職員がダンスを披露し、にぎやかにスタート。ITサークルの映像上映やなぎなた部、空手道部、書道部の発表、高校音楽選択生の合唱、中学1年生の劇があり、それぞれが練習の成果を発揮した。
近大新宮祭実行委員長の山本ふう子さんは「今年のテーマは『群星謳歌』です。一人一人が個性を込めたパワフルな文化祭にしていきましょう。高校3年生にとっては最後の文化祭。いつまでたっても『楽しかったね』と話し合ってもらえる文化祭にしたいです。みんなで盛り上げていきましょう」と呼び掛けた。
川合校長は「成功には一人一人の積極性と協力が不可欠。来客、保護者、生徒全員が満足感と感動が得られる近大新宮祭にしてほしい」とあいさつを寄せた。体育行事は20日(水)午前9時から同校グラウンドで行われる。
(2017年9月17日付紙面より)
太地町の町立くじらの博物館を舞台にした映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる」の撮影が10月中旬から同町を中心に始まる。映画は2018年夏公開予定。和歌山県と県観光連盟(わかやまフィルム・コミッション事務局)と日本遺産「鯨とともに生きる」を推進する熊野灘捕鯨文化継承協議会が全面的にバックアップする。
撮影は同協議会を組織する太地町、新宮市、那智勝浦町、串本町を中心に行われる。監督の藤原知之さん(38)は「20世紀少年」や「真田十勇士」で知られる堤幸彦さんの下で助監督としてキャリアを積み、2013年に短編映画を発表、山形国際ムービーフェスティバルでグランプリを受賞している。
映画はくじらの博物館を舞台に、奮闘する若い飼育員やトレーナーの実話をモチーフにした「青春ストーリー」。和歌山、熊野の風景、歴史に支えられた町の文化をさりげなく映像に収めながら、現代を生きる若者たちに「自分らしく生きること」「何かに夢中になること」の素晴らしさを伝えることをテーマにしている。夢を信じ突き進む勇気の大切さと怖さ、焦りと挫折。そんなとき、頼るべき人がいることの喜びと希望。大きな黒潮の流れをバックに、小さな人間が悩んだりくじけたりしながらも、一歩一歩目標に向かい進んでいく様が、見る人全てに勇気と希望を与える作品になるという。
(2017年9月14日付紙面より)
宝珠寺でヨガと座禅体験 (新宮市木ノ川 )
新宮市木ノ川の白龍山宝珠寺(西昭嘉住職)は12日、同寺の本堂でヨガ教室と座禅会を開いた。11人が参加し、神聖な空気の中で心身をリフレッシュした。
宝珠寺では、多くの人に集まってもらえるよう2年ほど前からさまざまな企画を催しており、今回もそのうちの一つ。これまでにも、落語や瞑想(めいそう)体験などを開いている。
ヨガ教室では、新宮市や那智勝浦町などで活動するヨガ教室「Arbor」のインストラクター西谷安代さんが講師を務めた。参加者は太陽礼拝などを実践し、前身をくまなくほぐした。
座禅は西住職が曹洞宗(そうとうしゅう)式の所作を教えた。壁に向かって手と足を組み、思考を止めて心を安らげた。
宝珠寺の座禅会は、毎週土曜日の午後5時から無料で開かれている。
(2017年9月14日付紙面より)
放課後英会話クラブ始まる (串本町 )
串本町文化センターで12日、小中学生を対象にした放課後英会話クラブが始まった。英語によるコミュニケーションへの関心と積極性を育む新たな取り組みで▽小学校中学年▽同高学年▽中学校―の各クラスを設置。同日現在で計62人が受講登録していて、月1回ペースで年度末まで励むという。
この教室は、同町教育委員会とトルコ語や英語や日本語などマルチリンガルな才覚で活躍する同町地域おこし協力隊のトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんが語学教育の在り方を語り合う中から出てきたアイデア。語学習得を大きく左右する興味と愛好を本格的に学ぶ前に高めるのが狙いで、児童生徒が自然体で英語をコミュニケーションツールとして普段使いする機会の提供に努めるという。
講師は外国語指導助手(ALT)のホ・トラクさんと今月から新たに着任したデイビッド・フィレモンさん、アルカンさんの3人。人数が多い小学校中学年は学年別2クラス編成(3年生13人と4年生17人)、同高学年(5・6年生12人)と中学校(1~3年生15人)は1クラス編成とし、火曜日を基軸にして小学校クラスは午後5時30分~6時15分(45分)、中学校クラスは午後6時30分~7時20分(50分)に開く。
この日は小学校中学年の2クラスが合同開講する形で同時スタート。序盤は相手との接点を持つきっかけとして最も基本的な自己紹介を英会話でこなし、中盤以降はミニゲームを交えて児童の活動と英単語「Big」「Small」「Heavy」「Light」を結び付け、学習とは違った「慣れ親しむ中から英語を覚える」という習得方法の雰囲気を体験した。
今後の活動のアイデアは歌やダンス、読み聞かせやミニゲーム、グループワークや発表など多種多彩。児童生徒が「話したい」「聞きたい」と感じられる内容を都度設定して、関心や積極性を引き出すという。期間前半は同センターを主な活動場所とするが、来年1月以降は同センターが改修工事期間に入るため役場古座分庁舎へと移すとしている。
(2017年9月14日付紙面より)
勝浦八幡神社例大祭前に勝浦全区合同で (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭=16日(土)宵宮、17日(日)本宮=の行事「子供手踊」の練習が9、10の両日、町立勝浦小学校体育館であった。40年近く踊りを教えた八木佐知子さんが昨年で引退し、後を継いだ村﨑幸さん、濵地生三子さんが指導。勝浦1~6区の子どもらが合同で練習に励んだ。
「子供手踊」はそろいの浴衣の子どもたちがかわいい踊りで祭りに花を添える。奉納する踊りは『勝浦節』と『勝浦音頭』。渡御(とぎょ)行列では『めはり音頭』も披露する。勝浦節は手拭いを持って那智の滝や船をこぐしぐさなどを表現する伝統の踊りで50年以上もの歴史を誇る。
手踊りの列は多い時には100人を超えたが、昨年は40人に減った。6区の坂井與己区長は「今年は57人に増えました。みんな上手に踊っている。あとは当日の天気を願うだけ」と満足そうだ。村﨑さんは「上級生が小さい子らに一生懸命教えている。かわいらしくほほ笑ましいですね」と笑顔を見せた。
(2017年9月14日付紙面より)
道の駅オープン記念に (太地町 )
太地町の一刀彫り名人として知られた故・戸間力也さんの「くじら工房力也」を引き継ぐ同町の会社員、掛橋寿徳さん(52)はこのほど、道の駅たいじにクスノキ製のザトウクジラの置物を寄贈した。
置物は施設付近にあるザトウクジラのモニュメントに合わせて2体。大きなクジラは約75センチ、小さなクジラは約60センチで、いずれも掛橋さんの師で伯父の戸間さんが生前に制作した作品。町の玄関口でもある道の駅のオープンを記念し、戸間さんの長男・圭哉さんの意思もあって寄贈した。掛橋さんは「県外から来た人に見てもらって喜んでいただけたら」と話した。
道の駅を管理する太地漁業協同組合の貝良文参事は「道の駅たいじのコンセプトはクジラなので、見事なクジラの木彫りをいただけるのはうれしい。駅舎の雰囲気にもピッタリ」と喜んでいた。置物は、駅舎内にあるレストランのカウンター内に置かれている。
(2017年9月9日付紙面より)
美容業生活衛生同業組合新宮支部 (熊野速玉大社 )
和歌山県美容業生活衛生同業組合新宮支部(丹内たき子支部長、55店舗)は4日、新宮市の熊野速玉大社で毎年恒例の「櫛(くし)供養」を営んだ。20年以上続いており、組合員有志の9人が、傷んだくしに感謝を込めて供養した。
同支部は新宮市から那智勝浦町、太地町までの会員で組織している。例年「くしの日」の9月4日(同日が営業日の場合は直近の定休日)に実施。欠けたり折れたりして使えなくなったくし5本を神前に供え、玉串をささげた。
同市下田で「ビューティーサロン木曜日」を営む丹内支部長は「くしへの感謝はもちろん、皆さんの健康と商売繁盛を祈って供養しました。私たちはくし1本で生活できるので、仕事に誇りを持って取り組んでいければ」と話した。
(2017年9月9日付紙面より)
紀の国トレイナート2017のワークショップが6、7の両日、県立串本古座高校古座校舎(愛須貴志校長、東啓史教頭)であり2、3年生69人がJR古座駅の駅舎アート担当作家・日笠保さんとの共同制作に励んだ。
日笠さんは愛知県愛西市在住の現代美術家。暮らしに身近な素材を材料にし、子どもなど地域住民と一体になって作品を仕上げるスタイルを持ち味にして十数年来活動している。
同トレイナートには前年度に初参加。太地駅の駅舎アートを担当し、太地小児童を対象にしたワークショップを開いて弁当でおなじみのたれびんに色水を入れて並べた作品「水面―みなも―」を仕上げた。
2年目となる今回は古座駅を担当することになり、JRきのくに線の前に広がる海の美しさや古座川のきらめきをストローで表現する作品「波間」の制作を構想。最寄りの同校舎にワークショップ参加を求めて2日間の制作協力を得るに至った。
ワークショップは両日とも3、4時間目にあり、2、3年生は小グループに分かれて流木や額装を太さや長さ、色合いや形状ともにさまざまなストローで飾った小作品を次々に制作して、駅舎を飾る材料として日笠さんに託した。
日笠さんはあらかじめ作品のイメージを伝え、どのような材料を仕上げるかは生徒に一任。グループ名「アビリッジハイト(=平均身長)」を掲げ、長さ約1㍍の細い流木を使ってJRきのくに線沿線の街並み再現に挑戦した宮下歌奏(うてな)さん(2年)は「みんなで住んでいるところの好きなものをストローで表現して大作にした。駅がとても華やかになると思うので、『あぁ、きれいだなー』と思ってもらえたらうれしい」と話した。
日笠さんは7日午後から駅舎アート制作を開始。同トレイナートのイベント期間は10月1日(日)からだが、滞在の都合上8日までに仕上げて9日(土)には鑑賞できる状態にするという。
今回の協働について日笠さんは「表現につながる体験を通して生徒皆さんの表現の幅が身近なところで広がればと思うし、自分もいろいろな表現に出合えて刺激になった」とコメント。「作品は地元の駅に飾られ、皆さんに見てもらえる。そのような地域活性化があるというところにも興味を持ってくれたら」と生徒の今後を期待した。
(2017年9月9日付紙面より)
大勢の親子連れでにぎわう (新宮市 )
新宮市が同市熊野川町日足で整備を進めていた「新宮市さつき公園(紀伊半島大水害復興祈念)」の竣工(しゅんこう)式が3日にあった。テープカット後、一般開放され、大型遊具は大勢の親子連れらでにぎわった。
2011年9月の紀伊半島大水害で熊野川と支流の赤木川の合流点付近に位置する日足地区は広い範囲で浸水し、多くの家屋が床上浸水した。公園は海抜約60㍍の山の上で、水害時の一時避難場所や災害時の仮設住宅建設地としても活用する。
公園の広さは約4500平方㍍。大型遊具、トイレ、遊歩道などを設置していて、駐車場は隣に30台分確保し、新宮市熊野川B&G海洋センター(温水プール)の駐車場50~60台分も利用できる。工事は15年7月に着手。事業費は約2億円。
式で田岡実千年市長は「6年前の大水害の記憶を風化させることなく防災、減災の意識を後世に伝えていこうという思いで建設させていただきました。多くの方に楽しんでいただければ」。屋敷満雄市議会議長は「多くの市民の憩いの場として有効に活用されることを願っています」。濱口太史県議は「水害時、迷わず逃げてこられる場所。地域発展のための前向きな象徴になると思います」などとあいさつした。
約500人が参加した式では、約150㌔分の餅をまいたほか、地元保育園児たちが踊りを披露。子どもたちには無料でお菓子を振る舞い、公園下のさつき温泉とプールを無料開放した。
テープカットに参加した熊野川区長連絡協議会の下阪殖保副会長は「たくさんの人が訪れる場所になってほしい。防災面でも心強いです」と話していた。
この日は市が14年2月から工事を進めていた熊野川小学校―神丸団地間の日足地区避難路(延長800㍍。幅は5㍍)も完成し、供用を開始した。事業費は約4億1300万円。
(2017年9月5日付紙面より)
追い込み漁初漁獲 (太地町 )
太地町で3日、鯨類追い込み網漁の初漁があった。町漁業協同組合所属の太地いさな組合(小畑充規組合長)の12隻23人の漁船団がコビレゴンドウの群れ約30頭を畠尻湾の網に追い込んだ。
船団は午前5時20分に出港し、6時40分ごろに太地町沖約17㌔の熊野灘でコビレゴンドウの群れ約30頭を発見。途中、群れが二手に分かれるなどしたが、午後2時35分ごろに捕獲した。
貝良文漁協参事は「台風の影響でなかなか出られなかったが、漁解禁から3日目に捕れてうれしい」と話した。捕獲した群れは、4日の午前5時すぎに解体および生体の捕獲作業に移った。
国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の漁で和歌山県知事の許可を得て、今月1日から来年春まで漁獲制限を設けて行われる。今年からカズハゴンドウとシワハイルカ2種が捕獲対象になった。
漁をめぐっては反捕鯨団体の活動家とのトラブルが絶えず、漁期中は県警本部が町内に臨時交番を設け、第5管区海上保安本部も職員を派遣して妨害活動を監視している。この日の漁獲に対して反捕鯨団体による妨害やデモはなく、穏やかに漁が行われた。
(2017年9月5日付紙面より)
無事ふ化のウミガメ放流 (王子ヶ浜を守る会 )
新宮市王子ヶ浜を守る会(速水渉会長)は4日、同市の王子ヶ浜で今年はじめてふ化したウミガメ110匹を放流した。子ガメたちは小さな足を動かしながら海に向かって泳ぎだした。
守る会は今年6月14日の初上陸、初産卵から8月10日までに10頭の上陸を確認。内7頭が産卵し、860個の卵を保護した。この日放流したのは6月30日に産卵された142個の卵からかえった110匹。9月2日~4日にかけて生まれ、20度以上に保ったプールで元気に泳いでいた。
例年秋に放流会を実施していたが、今年からはふ化した子ガメから順次放流していく。この日は同会の速水会長をはじめ同会青年部、環境省職員らが海に放した。他の子ガメも、土から出てきてはいないものの生まれているという。
守る会は昨年、王子ヶ浜で20頭の上陸と11頭の産卵を確認。1159個の卵を保護し、約785個がふ化した。
速水会長は「今年はふ化した都度放流していき、最後に市内の子どもを招いて簡単な放流式をしたいと考えています。昨年に比べると卵の数は少ない。毎年のことではありますが、上陸し産卵してもらった。清掃活動やボランティアをする中での楽しみ。このように放流でき、一安心です」。
会員の榎本晴光さんは「今期も無事に生まれてくれた。育ち、また戻ってくれれば」。熊野自然保護官事務所の刈部博文・首席自然保護官は「元気に育ち、また帰ってきてほしい。地元の方の地道な活動の上に成り立っており、感謝しています。また、王子ヶ浜は吉野熊野国立公園の一部。ウミガメの産卵に合わせ9月末まで乗り入れを規制していることを周知していきたい」と話していた。
(2017年9月5日付紙面より)
記念公園で未明に慰霊祭 (那智勝浦町 )
紀伊半島大水害から6年を迎えた4日未明、那智勝浦町の井関地区にある紀伊半島大水害記念公園で那智谷大水害遺族会(岩渕三千生代表)による追悼式があり、遺族らが死者・行方不明者と同じ数の29個のキャンドルに火をともし、故人をしのんだ。
追悼式は午前1時から始まった。岩渕代表のあいさつの後、参列者が黙とうした。妻と娘を亡くした寺本眞一町長は「七回忌を迎えた。節目の年と感じている。この時間帯になると災害を思い出す。遺族の皆さんは明かりを見てそれぞれ思うところがあると思う」と語り、「前を向き、あの教訓を将来に伝えていかなければならない」と述べ、記念碑に手を合わせていた。
キャンドルは犠牲になった岩渕紘明君(当時15歳)の同級生の井上絵里香さんらが作り始めた。井上さんらが新宮高校在学時に同校の後輩たちが作ってきた。今年は7月に井関クラブで地元の市野々小学校の児童や地区の人たちも参加してキャンドルを作った。
キャンドルを手作りした市野々小2年生の村井旭君も両親と一緒に慰霊碑に手を合わせ、「明かりがきれいでした」と話していた。井上さんと共に活動を続けてきた大阪市在住の橋本美裕(みゅう)さん(20)は「地元の人たちや小学生が引き継いでくれてうれしい。災害を忘れないためにも続けてほしい」と語った。
(2017年9月5日付紙面より)