熊野川町で「ささやかな花火大会」 (新宮市 )
2011年9月の紀伊半島大水害で大きな被害を受けた新宮市熊野川町で25日、夜空を彩る大輪の花火が打ち上がった。同町の有志ら8人が企画。花火を通して町民らに「頑張ろうや」のメッセージを送った。
未曽有の大水害から今年で10年。有志らが「ささやかな花火大会」と称する花火の打ち上げは、その節目を迎えるに当たり、そしていまだ終息の見えない新型コロナウイルス感染症の影響にあえぐ町民たちに元気を出してもらおうと企画、協賛した。
有志の一人、池上順一さんは「特に熊野川町では人口減少が顕著で新型コロナの影響で店を閉めてしまう人も多い。また、水害から10年となる節目に、改めて『元気出そうや』と呼び掛けたかった。少しの時間でも元気になってほしい。そんな願いを込めて熊野川町の中心から花火を上げたいと思った」と花火に託した思いを話した。
午後8時ちょうど。同町日足に75発の花火が打ち上がり、歩道などから花火を見守っていた町民は感嘆の声を上げるとともに大きな拍手を送った。
打ち上げ場所の近くから花火を見学していた70代男性は「コロナの影響で花火大会が中止となる中、久しぶりに花火を見ることができてうれしかった。元気をもらいました」と話していた。
(2021年6月27日付紙面より)
少年補導員連絡会が総会 (新宮警察署 )
新宮警察署少年補導員連絡会(田代知美会長)の総会が25日、同署大会議室で開かれた。関係者ら約20人が出席。昨年度の活動報告や本年度の活動計画などを審議した。
少年補導員は少年非行防止活動の一層の推進を図り、地域事情に合った取り組みを進めるため民間の協力者に県警本部長から委嘱している。
田代会長は、全国防犯ボランティア団体として金賞を受けることになったと報告。和歌山県内では13年ぶりのことで3団体目であると説明し「表彰はひとえに会員と歴代の補導員の方々の地道な活動の積み重ねがあったからこそ」と感謝。
最近は非行少年も少なくなる一方で児童虐待や学校でのいじめ問題などが増えているように感じていると述べ「子どもたちを守るためにできることは少ないかもしれないが、青色パトロールや登下校時に見守りなどを通して、少しでも子どもたちの力になることができれば」とあいさつした。
山田守孝署長は日頃の協力に感謝と敬意を示し、昨年の県内における刑法犯認知件数は3899件で、19年連続の減少となり、少年非行関係では刑法犯の犯罪少年検挙人数がピーク時(2004年)の1260人から158人、飲酒・喫煙・深夜徘徊(はいかい)などの不良行為の補導件数も1万6717人から5216人と大幅に減少していると紹介。
そんな中において、最近では高齢者を狙った特殊詐欺事件に少年が荷担したり、インターネットなどを使用したいじめや児童買春・児童ポルノ事件、少年が被害者となる児童虐待事件など、少年事犯も時代を反映して多様化していると危機感を示した。
新型コロナウイルス感染症が社会や経済に影響を与えている現状において、青少年の健全育成が困難を極める中、ボランティアの力添えが不可欠であるとしさらなる協力を呼び掛けた。
総会に先立ち、少年補導員として長年にわたり活動した遅越達也さんと久保正彦さん、井水敦司さんに、県警本部長と県警少年補導員連絡協議会長連名の表彰状が贈られた。
(2021年6月27日付紙面より)
紀南高校が全国に呼び掛け実現
県立紀南高校(森典英校長)が全国七つの高校に呼び掛けて実現した官僚との意見交流会「日本の〝未来(これから)〟について語る会」が25日、オンラインで初開催された。
経済産業省の若手官僚有志が協力し、紀南高校は東紀州学を履修する山本翔與(しょうよう)君、大西輝人(きらと)君、中村竜星(りゅうせい)君、岡﨑美柚(みゆ)さんが地方創生への思いを伝えた。
官僚との意見交換を通して、地域創生に取り組む高校生がさまざまな知見に触れ、各種制度を知ることで幅広い視野を得て今後の諸活動に生かすことが狙い。
紀南高校の山本君が全体司会を務め、4グループで意見交換した。山本君は「地方創生を考える上で、賃金は非常に重要なポイントだと思います。一方で、強引に給料を上げてしまうと、会社がもたず、働く場所自体がなくなってしまう可能性があります。都市部の大企業に課税するという選択肢もありますが、外国に逃げられてしまうと税収が減って、より地方の衰退が進んでしまう」と問題提起した上で「地方創生、賃金、雇用、課税について国の方針を知りたい」と質問した。
経済産業省の官僚は「私たちが日々向き合っている問題」とし、最低賃金や税率、地方創生による補助金などを紹介。その上で「地方創生に関心がある皆さんがやりたいことを考え、自分で行動することがすてき。『地方をよくしたい』と思う気持ちを応援したい」とエールを送った。
パソコンの画面を通して紀南高校の4人は「御浜町は小さな町ですが、ミカンや紀州犬が有名です」と全国に紹介した。
(2021年6月27日付紙面より)
那智勝浦町建設組合が町内5カ所で奉仕
那智勝浦町建設組合(上地秀和理事長、21社)は25日、町内の保育所・こども園計5カ所で奉仕活動に取り組んだ。参加した組合員は各所で作業に汗を流した。
奉仕活動は2017年度から開始。町内の公共施設から町役場建設課へ届けられる要望を受け、組合が毎年協力している。
この日は宇久井保育所でブランコ周辺にあった老朽化した木製柵を撤去し、さびに強い金属製のメッシュフェンスを設置した。
また、下里保育所では敷地内にある砂場の拡張を実施。従来の木製枠を取り外し、砂場面積を広げるとともに、コンクリート製のブロックで枠を造り、けが防止のために角を丸めた。
そのほか、井関保育所、南大居保育所、勝浦認定こども園では遊具の塗装がこの日までに実施されたという。
宇久井保育所へ激励に駆け付けた堀順一郎町長は「毎年、ボランティアで子どもたちが使用する設備などの安全対策をしていただいている。町としても細かいところまで手が届かないため、ご協力には感謝しています」とねぎらい、スポーツ飲料を手渡した。
荘司千保・宇久井保育所長は「柵が腐食してけがの危険もあったので助かりました。毎年いろいろな要望にお応えいただき感謝しています」。
上安みか・下里保育所長は「要望をかなえていただき感謝しています。安全・安心面も向上するとともに子どもたちも喜びます」と話した。
上地理事長は「私たちも地元で生まれ地元で育った。地元に何か貢献や協力ができないかという気持ちで、毎年実施させていただいています」と語った。
(2021年6月27日付紙面より)
東牟婁地方中学校総体陸上競技
県高校総体空手道競技で躍動 (近大新宮 )
勝浦八幡神社七夕委員会 (那智勝浦町 )
「人が集まるイベントはできないが、人の願いを集める場はつくれるかもしれない。1年前から考えていた」。そう語るのは勝浦八幡神社七夕委員会の上松資弘さん(45)だ。上松さんは30日(水)から七夕当日の7月7日(水)までの間、那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)に設置される短冊台に、参拝者が願いを書いた短冊をつるす催し「七夕 願いよとどけ」を初めて実施する。最終日は髙橋宮司が七夕祭の神事を営む。
上松さんは過去に南紀くろしお商工会青年部部長を務め、多くのイベントに関わってきた。現在もさまざまなボランティア活動に尽力している。
新型コロナウイルス感染症で同町を含め全国各地が疲弊していることを受け、「自分にできることは何か」と悩んでいた。
ある時、目にしたテレビ番組で着想を得て誰もが参加できる催しを企画。「病気で苦しんだり悩みを抱えている人、目標や夢を持った人など、老若男女問わず短冊を書いてほしい。この催しが皆さまの心の安らぎやよりどころになってもらえたら」と語る。
髙橋宮司に相談し快諾を得た。友人から木材の提供があり、自身が勤務する会社の従業員の協力を得て550枚の短冊を作成した。短冊は雨天時にも強い木製を採用。屋外につるし耐久性実験も行うほどの徹底ぶりだ。
短冊台は笹のみだと強度が弱いことから今後の継続も視野に入れて鉄製の土台を作成。笹が取り付けられる工夫や短冊をつるす竹を三段にすることで子どもから大人までの身長に対応した。12日現在で幅1・5㍍、奥行き1㍍、高さ2㍍の丈夫な台が1基完成。2基目も作成中だという。
短冊裏には髙橋宮司が、「七夕祈願」と筆を入れ神社の印を押し、一枚一枚丁寧に仕上げた。
髙橋宮司は「上松さんの熱い思いを聞き、素晴らしいことだと感じた。今は七夕飾りをしない家庭も多いため、こういった行事を思い出してほしい。7日はコロナ終息も含め、願いが通じるようにご祈とうさせていただきます」と語った。
上松さんは「マスク着用や3密に注意し、町内外からお気軽に来ていただけたら。一人でも多くの方の参加をお待ちしております。この行事が今後の勝浦のにぎわいのきっかけになればありがたい」と話した。
期間中、七夕台の近くに短冊と筆記用具が準備されており、記入後に取り付ける流れとなる。
実施時間は午前8時30分~午後5時。7日は午後6時まで。その後、髙橋宮司が神事を執り行う。なお、笹の持ち込みなどは受け付けていないという。
(2021年6月18日付紙面より)
野田隣保館で予防啓発 (新宮市 )
新宮市の野田隣保館で16日、介護予防教室と熱中症予防講座が開かれた。地域住民8人が参加し、高齢期に起こる体の変化と熱中症の関係、その予防方法を学んだ。
野田隣保館が市保健センターや地域包括支援センターと連携して毎月実施している教室で、尿検査や市の保健師らによる健康相談を受けることができる。
この日は保健師の奥地明菜さんが熱中症に関するミニ講話を実施した。熱中症は暑い環境で体温の調整ができなくなった状態で、目まいや吐き気、頭痛、失神などさまざまな症状をきたし、最悪の場合は死に至る。高齢者は若年者よりも体内の水分量が少なく、暑さに対する感覚機能や調整機能が低下するため注意が必要。県内では7~13日の1週間で17人が救急搬送されており、うち11人が高齢者だった。
奥地さんは「熱中症は屋外だけでなく、室内でも発生する。喉が渇いていなくてもこまめに水分を取り、エアコンと扇風機を併用するとより効果的に室温を下げられる」と呼び掛けた。
参加した吉良勝利さんは「以前に手術をしてからは健康に気を付け、毎日2㍑以上はお茶を飲んでいる」と話していた。
(2021年6月18日付紙面より)
大規模災害に備え神内班へ
総務省消防庁から無償貸し付けされた消防自動車の引き渡し式が17日、紀宝町役場本庁舎前駐車場であり、町消防団第1分団神内班に配備された。
総務省消防庁は、東日本大震災の教訓を踏まえ、今後想定される大規模自然災害に備えるため、地域防災力の中核である消防団の教育訓練の充実強化を目的に、全国の市町村に車両と救助資機材などを無償で貸し付ける事業を実施しており、同町が選ばれた。
車両はトヨタ「ダイナ」の四輪駆動車で、乗車定員は6人。救命胴衣や救命浮輪、自動体外式除細動器(AED)、布担架、発電機付き投光器などを搭載し、火災だけでなく多種多様な災害への対応が期待される。
町消防団は4分団を10班で構成し、団員は163人(4月1日現在)。保有する消防車両は12台。17人が所属する神内班の消防車は1992年から配備され、老朽化が進んでいた。
引き渡し式では、西田健町長が「機能を満載しており、災害が発生した際、迅速に対応できる体制づくりを」とあいさつし、逢野統一団長にキーを贈呈。逢野団長は「有事の際にはしっかり対応し、町民の生命・財産を守ります」と謝辞を述べた。
(2021年6月18日付紙面より)
生きがい菜園で市老連会員ら (新宮市 )
新宮市老人クラブ連合会(上廣正幸会長)の会員らは17日早朝、同市緑ヶ丘の「ゆうゆうクラブ生きがい緑ヶ丘農園」(緑ヶ丘農園)で共同作業を実施した。約20人が参加し、草抜きや溝の泥かきなどに汗を流した。
「生きがい菜園」は、市老連主催の「生きがいと創造の事業」の一環として、会員らに同所を含む市内2カ所の農園の区画を貸与している。同所では現在31区画中29区画、同市新宮の晴耕園では47区画中33区画で会員らがキュウリやトマト、ナス、トウモロコシなどのさまざまな作物を育てている。区画の契約期間は3年。
共同作業は、普段会う機会がない人同士の顔合わせや会員間交流、見守りを目的に実施している年に1度の恒例行事で、本格的な暑さを迎える夏前に行う。昨年は新型コロナウイルス感染状況を鑑み中止としていた。
この日は、区画の貸与を受ける会員らが協力し合い、軍手とごみ袋、シャベルなどを手に花壇の手入れや溝に詰まった石を取り除くなどの作業も行った。
キュウリやトマトなどを育てている松本順吉さん(95)は「1人暮らしなので家にいると誰とも話をしないけど、ここに来ると話ができる。農作業は楽しい。自分で育てた野菜の味は格別です」と笑顔。
同農園世話役代表の大石實さんは「高齢化社会が叫ばれる昨今、集まって交流が図れる場所は貴重だと思う。情報交換もできるし作物を育てることで競争心が芽生える人も。皆、生き生きして背筋もピンと伸びている。気力にあふれていますね」と話していた。
18日には晴耕園で耕運機などを使った共同作業が行われる予定。
(2021年6月18日付紙面より)
新型コロナワクチン接種 (太地町 )
各自治体で新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中、太地町では15日、65歳以上の在宅高齢者8割強の接種が完了した。6月中には59~64歳の2回目の接種が終わる予定。8月の盆時期までには希望する対象者全ての接種を終える見込みだ。
町住民福祉課によると、在宅の65歳以上1168人のうち、1回目を終えたのは1052人(90・1%)で、2回目は15日現在で1001人(85・7%)。町内に住所を有し、施設に入所する65歳以上の高齢者を含むと対象者が1354人で、1回目の接種を済ませた人は1197人(88・4%)で2回目の接種を完了した人は963人(71・1%)だという。
接種は検診室やエレベーターなどが完備される同町多目的センターで4月24日から始まった。医療従事者を筆頭に、町職員や健康作り推進員、ボランティアが協力し円滑な接種のために会場運営に努めた。
さらに同課では対象者が接種日を忘れないようにと前日に電話連絡を行ったほか、バスに乗車できない対象者の個別送迎も実施している。
2回目の接種を終えた70代男性は「1回目は少し痛かったが2回目は痛くなかった。こういう小さな町ではコロナに感染すると大変なことになるので接種が終わり安心している」と話した。
同課担当者は「皆さまのご協力のおかげでスムーズに進んでいる。国からのワクチンが届くまで期間は空いてしまうが、届き次第迅速に進めていきたい。お盆前までの終了を目指している」と述べた。
三軒一高町長は「迅速に進んでいるのは職員が随分前から周到な準備をしてくれたおかげ。人材が少ない中、看護師や医師などを集めていただき感謝している。町民の皆さまが本当に喜んでくれているのでありがたい」と語った。
(2021年6月17日付紙面より)
吹奏楽部がコンサート (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校吹奏楽部(亀谷覚史顧問、山本紗椰部長、部員29人)は15日、同校の中庭でランチタイムコンサートを開催した。生徒たちが弁当を広げながら音楽に耳を傾け、タンバリンやダンスで演奏に参加して盛り上がった。
昼食時に音楽を楽しみ、吹奏楽部の活動を知ってもらうため、年3~4回開催している。1年生の新入部員にとっては初舞台、3年生にとっては同校の生徒や教職員向けに演奏を披露する最後のランチタイムコンサートとなる。
この日は天候にも恵まれ、「YMCA」「ムーンライト伝説」「ラブ・ピース・アンダー・ザ・グルーヴ」の3曲を演奏。アンコールには星野源の「恋」で応え、仮装した部員によるダンスに笑顔が広がった。
山本部長は「最後のランチタイムコンサートということもあり、同級生もたくさん見に来てくれて良かった。現在は8月9日のコンクールに向けて練習をしています」。生徒会長で副部長の岡本華凜さんは「MCをしたのですが『盛り上がっていますか?』と呼び掛けると『イェーイ』と返事が返ってきてうれしかった。コンクールでは近畿大会出場、そして近畿大会での金賞受賞を目指します」と話していた。
(2021年6月17日付紙面より)
高齢者見守り隊が啓発活動 (紀宝町 )
紀宝町の高齢者地域見守り隊(小田原徳子代表)は15日、同町鵜殿の主婦の店などで啓発活動を実施し、特殊詐欺防止のチラシやウエットティッシュを配布した。
特殊詐欺から高齢者を守ろうと毎月1回、啓発活動を展開。奇数月は紀宝警察署と合同で取り組んでいる。今月は主婦の店と鵜殿郵便局、相野谷郵便局、JA伊勢紀宝支店、成川交番前で活動した。
配布したチラシは「またまた増えてきています!還付金詐欺!」と題し、詐欺の事例や注意点などを記載した。還付金詐欺は、役所職員などを名乗る者から「介護保険料の払戻金がある」などと電話があり、現金自動預払機(ATM)を操作させ、被害者の口座から犯人の口座に送金させる手口。
還付金の受け取りには、書類での手続きが必須で、ATMで返還することはなく「ATMへ誘導された場合は詐欺です。相手にしないで電話を切りましょう」と呼び掛けた。
最近では「振り込むために必要だ」「そのカードは古いので新しい物に変更しないといけない」などと、キャッシュカードを取りに来る手口も増えているという。
町内では紀宝警察署(電話0735・33・0110)、役場産業振興課(電話0735・33・0336)、町地域包括支援センター(電話0735・33・0175)で相談を受け付けている。
(2021年6月17日付紙面より)
神倉小学校で木工授業 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長、児童426人)の6年生72人は15日、図画工作の授業でロッカーを整理整頓するための木製棚を手作りした。地域住民の有志も協力し、体育館にカンカンと威勢のいい金づちの音を響かせた。
高学年がランドセルを収納するロッカーには内側に棚がなく、中が乱雑になりがちだったことから教職員が企画。木に触れ、物作りを体験する図画工作の一環として実施した。
材料の板とくぎ、金づち、くぎ抜きなどを受け取った児童は、コの字型に組まれた見本を基に、それぞれに手順を考えながら製作を開始。くぎが側面から飛び出したり、角がずれたりする失敗をしながらも、地域住民有志から「くぎの根元を打つイメージで金づちを振り下ろして」「横板の間に渡して上の板を安定させるといい」などとアドバイスを受けて全員が無事に完成させた。
ヤスリで角を整えた後に早速教室のロッカーに設置し、教科書やノート、手提げかばんをきれいに収納した。
高野湖葵(みずき)君は「くぎを打つのは簡単だったけれど、板の横側をヤスリで整えるのがちょっと大変だった」と話していた。
(2021年6月17日付紙面より)
消防署が水難救助訓練 (新宮市 )
海水浴など水辺でのレジャーシーズンに向けて新宮消防署(垣内一男署長)は15日、新宮市三輪崎の三輪崎漁港で水難救助訓練を実施した。同署警防隊20人が溺者救出方法などを再確認した。
訓練は毎年この時季に行われている。今年は釣り人が誤って海中に転落し、「意識なし、呼吸あり」「意識あり、けがなし」の2人を想定し救助訓練を行った。
署員らははしごや滑車、クレーン、水難救助用担架などを使用し、指揮者の指示を受けて安全管理を徹底した上で救助に当たった。
堀切学副署長は「しっかりと声を出して動きが良く、連携も取れていた。しっかりと意識を深め、いい訓練でした」と評価。レジャーシーズンの到来に対して「コロナ禍で、例年よりは少ないですが、一年を通して当地方を訪れる方たちもおり度々、水難事故が発生しています。私たちとしては訓練を通して任務分担の明確化や情報収集、迅速な救助活動など、各部隊との連携をより深めて任務に努めていきたい」と述べた。
また、海だけでなく川においての事故にも注意を促し、熊野川には多くの支流があることから、ダムの放水状況の確認や気象状況にも注意することが大事とし「せっかくのレジャーシーズン。事故のないよう、楽しんでいただければ」と呼び掛けた。
昨年度中に市内で発生した水難事故は1件。昨年に続き、新型コロナウイルス感染症拡大予防の観点から三輪崎海水浴場、高田自然プールともに、開設については現在未定となっている。
(2021年6月16日付紙面より)
太田小で「命の授業」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童20人)で11日、「命の授業」があった。全校児童が2グループに分かれて、同町でかづこ助産院を営む本舘千子(もとだて・かづこ)院長から、赤ちゃんが生まれるまでの過程や命の大切さを学んだ。
本舘院長は串本町から紀宝町までのさまざまな教育現場で、命の大切さや心と体のケア、科学的根拠に基づいた多角的な知識を学ぶ「包括的性教育」の必要性を伝えている。
5、6年生9人の授業では、本舘院長が子どもたちに小さな穴の開いたハートの折り紙を手渡し「これは命が始まった瞬間の大きさです。数字にすると0・12㍉あります」と説明。生まれるまでに約10カ月かかり、母親の胎内で成長して身長約50㌢、体重約3㌔になる過程を教えた。
赤ちゃんが生まれてくる方法については「自然分娩(ぶんべん)」と「帝王切開」の2種類があると述べ「母子の命が危険な場合には、無事を願いながら帝王切開でおなかを切ることもある」と伝えた。
本舘院長は、器のような女性の骨盤から赤ちゃんが自力で回りながら出ようとする動きを模型で解説。「赤ちゃんは自分の力で考えて生まれる。出産予定日なども赤ちゃんが決めます。『生まれる』は素晴らしくてすごいこと。全員が経験しています」と語った。
約3㌔の人形で赤ちゃんの重さを体験する時間もあり、児童たちは「結構重たい」「かわいい」などと声を上げながら順番に抱っこしていった。最後に本舘院長は、これから訪れる思春期について「大きくなるまでの道のりは、つり橋を渡るようなもの。滑り落ちそうになっている友達がいれば、手を差し伸べて助けてあげてくださいね」と呼び掛けた。
仲地主琉(しゅり)君(6年)は「0・12㍉から命が始まって大きくなる段階に改めて驚きました。人同士が助け合いながら成長していくことが大事だと思った」と話していた。
(2021年6月16日付紙面より)
警防班単位で水難救助訓練 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)の本年度水難救助訓練が14日から始まった。この訓練は警防班単位で計画し実践することとしていて、この日は串本消防署第2警防班(森下貴司班長)が同町くじ野川にある橋杭ビーチで溺者2人を想定し取り組むなどした。
水域でのレジャーが活発化する時季を前に日頃培っている技術を確かめ、水難事故発生時における迅速かつ的確な発揮を目指す同訓練。長大な海岸線や河川流域を有し、相応に水難が起こりやすく対処力が求められる管内環境への意識を高く保つ狙いも含めて例年実施している。
この日は森下班長ら班員13人が同訓練に臨んだ。橋杭海水浴場の中ほどで2人が溺れ、うち1人が海底に沈んでいるという想定で始め、潜水隊員が急行して要救助者を確保、救助隊員が救命索発射銃で沈んでいない1人を浜へ引き寄せ、潜水隊員が引き揚げた1人を救難艇(エンジン付きゴムボート)へ乗せて最寄りの浜まで運んで救急隊員が引き継いだ。各隊員には想定のみが伝えられ、以降は現場の状況を見て必要な活動を判断する本番同様の状況で目的の達成を目指した。
想定訓練のほか、潜水隊が捜索時に用いるロープ等の資材準備やエンジンが使えない場所での救難艇の操船(オールを使用)などの訓練項目も実施。森下班長は「救難艇の操船訓練は月1回取り組んでいるが、今回のような訓練は普段はなかなかない機会。隊員にとって身になる活動になったと思う」と総括した。
同訓練の様子を見守った井本茂署長は、隊員がもろもろの訓練の成果を生かして活動する状況を今後に期待。他の警防班の訓練日時は同日現在未定で、それぞれに内容を決めて臨むという。
(2021年6月16日付紙面より)
浮島の森で大規模作業 (新宮市 )
新宮市浮島の国指定天然記念物「新宮藺沢(いのそ)浮島植物群落」(浮島の森)で14、15の両日、スゲ属の植物「カサスゲ」の除去作業が行われた。業者が参加しての大規模除去作業は今回が初めてという。
カサスゲは湿地や池の浅い所に生育し、1㍍もの高さに成長する大型スゲの代表的なもの。かつてはすげがさやみのなど、さまざまな民具に利用された。
除去作業には、2011年の紀伊半島大水害以降に同所で繁殖している外来種の水草「アマゾントチカガミ」の存在も大きく影響している。
カサスゲが増えることによって水の流れが停滞し、アマゾントチカガミの生育を助長。カサスゲ、アマゾントチカガミ共に腐食することにより水質の悪化や水温の上昇に影響を与える場合があるという。
作業に立ち会った市文化振興課の小林高太主任によると、これまでも職員やボランティア有志によって除去作業を行っていたが、植物の生育スピードに追い付かなかったことから、夏を前に大規模除去作業に踏み切った。
14日の作業には業者8人が同所の池で鎌などを手にカサスゲを除去し重機を使って搬出。約5時間の作業で約6㌧を除去した。カサスゲの除去後は、随時アマゾントチカガミの除去作業も実施していく予定だ。
多種多様な生き物が観測される浮島の森では、外来種のブラックバスやミシシッピアカミミガメの存在も確認されている。昨年8月には、水温の高さが原因として考えられている「アカマクミドリムシ」が大発生。池の水面を赤く染めた。
(2021年6月16日付紙面より)
県高校総体団体、個人で (弓道競技 )
県高校総体で好成績 (新宮高校レスリング部 )
県内行進、新宮市で最終日 (国民平和大行進 )
原水爆禁止和歌山県平和行進実行委員会は、核兵器廃絶を訴えながら被爆地広島・長崎を目指す「国民平和大行進2021」を実施している。5月7日に橋本市から始まった県内の日程は2日をもって終了。今後は三重県に引き継がれ、8月4日(水)に広島県の広島平和記念公園に、6日(金)に長崎県の平和公園に到着する。
広島と長崎に原爆が投下されて76年目。2017年7月、国連総会で賛成122、反対1の大差で核兵器禁止条約が採択され今年1月22日、50カ国を超える国々の参加で国際法となった。
平和大行進は1958年6月、たった1人の行動から始まった。現在では全都道府県および8割以上の自治体を通過し、毎年10万人の人々が参加する国民的行動となった。
条約発効後初となった今年の平和行進。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、昨年に引き続き従来通りの集会と行進を中止。核兵器のない平和な世界への願いを署名とペナントに託し、各自治体を宣伝カーでつないだ。ペナントは8月9日(月・振休)の原水爆禁止世界大会終了後に、長崎平和公園・爆心地に奉納される予定。
2日に那智勝浦町役場前で行われた見送り式では、地元の実行委員を代表して玉石晃久さんが「皆さまの熱意で核兵器廃止条約に参加していただきたい」。堀順一郎町長は「世界ではさまざまなところで紛争が起きている。地球上の人間全てが平和で豊かに過ごせるようになっていかなくてはいけない」。
和歌山県最終日の2日、新宮市では、市役所駐車場で田岡実千年市長が「世界の各地では武力による紛争がいまだ絶えず、今なお地球上には人類を絶滅させるほどの大量の核兵器が蓄積・配備されている。唯一の被爆国であるわが国の果たすべき役割は極めて重要」。
原水爆禁止世界大会の成功を目指す平和行進参加者の行動を支持するとし「ともに力を合わせ、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向かって前進したい」と激励。宣伝カーを見送った。
日本は核兵器禁止条約に対し参加も批准もしていない。原水爆禁止国民平和大行進中央実行委員会では「世界の平和、アジアでも非核平和のためにリードできるよう条約に参加すべき」と呼び掛けている。
(2021年6月4日付紙面より)
土砂災害啓発センターで特別展 (那智勝浦町 )
那智勝浦町市野々の和歌山県土砂災害啓発センターでは、国土交通省が定める土砂災害防止月間である1日から30日(水)まで特別企画展を実施しており、命を守るためにいち早い避難の啓発や危険区域把握の周知を図っている。
土砂災害防止月間は住民が自分の命を守るべく、「みんなで防ごう土砂災害」をスローガンに、防災知識の普及や避難訓練などの催しを実施し、土砂災害による人命、財産を守ることを目的とした月間。1982(昭和57)年7月に長崎県長崎市を中心に大きな被害を発生させた「昭和57年7月豪雨」(長崎大水害)が契機だという。また、1~7日(月)まではがけ崩れ防災週間になっている。
センターによる特別展は昨年から始まった。今年は2011年9月に発生した紀伊半島大水害から10年の節目の年でもあるため、水害に関連するパネルが並んでいる。
そのほか、土砂災害の実例や解説をしたものや、先月から避難勧告が廃止となり、避難指示に一本化されるなど変更があった「避難情報」の詳細が分かるパネル、新宮・東牟婁の各市町村が作成するハザードマップなどの展示もある。
新宮市が提供した「紀伊半島大水害豪雨~平成23年台風12号、新宮市映像の記録~」などの動画も公開されている。
坂口隆紀所長は「雨の多い時季になり、土砂災害の発生が懸念されることを知ってもらえれば。パネルや町のハザードマップで自分の住む町の特徴などを理解し災害時に役立ててほしい。早めの避難を心掛けていただきたい」と話した。
問い合わせは同センター(電話0735・29・7531)まで。
(2021年6月4日付紙面より)
地域おこし協力隊着任 (古座川町 )
古座川町が1日、片岡紗梨さん(32)に地域おこし協力隊隊員を委嘱した。七川ふるさとづくり協議会(下山隆正会長)で活動することになっていて、片岡さんは「住民の困り事と向かい合い、そしてまちのすてきなものを発信していろいろな方が訪れるよう、微力ながら頑張りたい」と意気込んでいる。
片岡さんは東京都品川区出身で、販売職としての経験を持つ。林業従事を志す夫と共に夫の祖父母が暮らす同町へ移住することを決め、その折に同町が隊員募集をしていることを知って志願した。
着任に先駆けて町内へ移住し、同協議会の下見も経験済み。佐田の桜が今までに見たことがないほどきれいで驚いたことや、すでに何度か足を運んだ同協議会事務所(旧夏目商店)に集まって和気あいあいと過ごす住民の姿を印象的に感じながら、着任の日を目指してきたという。
委嘱した西前啓市町長は七川地区の人口規模や高齢化の状況、地区の同協議会への期待などを伝え、地域になじみ任期後に住み続けることも含めて取り組むことを希望。片岡さんは「笑顔と元気で頑張ります」と応えて、隊員としての第一歩を踏み出した。
同協議会への隊員配置は現在、昨年10月着任の横溝秀文さん、谷井麻美さんと片岡さんの3人体制。下山会長は「プロジェクトに基づいて活動した前年度までの3年間で、憩いの場所となる事務所など今後の振興の基礎をつくった。若者や観光客を引き込む上で事務所は極力開けておきたいが、隊員2人では難しいので町に3人目の募集をお願いした」と増員の経緯を語り、「片岡さんには接客の得意を生かして力を入れてもらい、3人がそれぞれ個性を生かしたチームワークで頑張ってもらいたい」と念願だった3人体制の今後を期待した。
片岡さんの任期は同日から令和3年度末まで。同隊制度は町と人材双方の合意により最長2回契約更新できる。同日現在の町内の隊員数は片岡さんを含め計7人(同協議会3人、観光協会3人、古座川ジビエ山の光工房1人)となっている。
(2021年6月4日付紙面より)
駅舎竣工式でお披露目 (太地町 )
太地町は5月31日、太地駅の駅舎防災複合施設の竣工(しゅんこう)式を開き、駅敷地内に設置したセミクジラをモチーフにした青色のご当地ポストのお披露目を行った。町の玄関口に設置した町内3基目となるポストで、「クジラの町 太地町」をPRしていく方針だ。
地域の特色を示したご当地ポストは全国にも多数存在し、本紙エリア内ではJR那智駅に黄色のポスト、熊野本宮大社に「八咫(やた)ポスト」がある。
同町ではこれまでに、町立くじらの博物館(林克紀館長)前と道の駅「たいじ」(〆谷(しめたに)和豊駅長)敷地内にポストを設置。観光客などに人気の撮影スポットとなっているという。
地域振興や観光資源化などを目的に、日本郵便と連携して町が寄付する形で設置に至っている。
ポストは2基と同様、地元で活動するクジラの造形愛好家らで組織される「ホエール・アート・ミュージアム」の山門基秀さん、前芝真人さん、石田一勝さんらが製作した。
山門さんは「町の玄関口にふさわしいものを作らせていただいた。暗い話題でなく、ポストを通じて太地では面白いことをやっていると思っていただけたらうれしい。今後も町内にポストを増やしていけたら」と話した。
太地郵便局の小河則行局長は「ブルーは『クジラの町太地の海』をイメージしている。これまでの2基も撮影スポットやSNS(会員制交流サイト)で好評だった。観光資源の一つとして、一人でも多くの方々にPRして太地町を訪れていただけたらありがたいです」と語った。
駅近くに設置されていた壁掛け型のポストは新ポストのお披露目に合わせ撤去された。
式典後には、駅前の国道を車で走行していたドライバーがポストの存在に気付き、スマートフォンで撮影する姿が見られた。
(2021年6月4日付紙面より)