熊野那智大社で「桜花祭」
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「桜花祭(おうかさい)」を営んだ。桜の花のかんざしを差したみこが那智の滝前で「浦安の舞」を優雅に奉納した。
平安時代に花山法皇(968―1008年)が那智山で千日間の山ごもりをした際に、「木(こ)のもとをすみかとすればおのづから花見る人となりぬべきかな」と桜の美しさを詠んだという故事にちなんだ祭典。
神事は本社拝殿と別宮飛瀧(ひろう)神社斎場でそれぞれ営まれた。神前にささげる神饌(しんせん)には境内で咲き残ったヤエザクラの小枝を飾り、長さ約1㍍のヤエザクラの枝を幣帛(へいはく)として奉献した
那智山の桜は例年より1週間ほど早く、ほぼ花の時期を終えたが、参拝者らは新緑に包まれた那智の滝前で優雅に舞うみこの姿に盛んにカメラのシャッターを切っていた。男成宮司(64)は「今日は熊本地震の発生から2年を迎えた。災害のない、穏やかな年になるように願っている」と話していた。
(2018年4月15日付紙面より)
勝浦漁港でヒジキ漁
那智勝浦町の勝浦漁港、通称「いざかた船溜(ふなだまり)」に13日、収穫したばかりのヒジキが天日干しされた=写真。港周辺のホテルや旅館へ向かう観光客らが潮の香り漂う絨毯(じゅうたん)に足をとめた。
勝浦周辺の海岸部ではこの日がヒジキ漁の解禁。潮の引きを見計らって大勢の漁師が磯へ出掛けた。天日干しをしていた一人は「例年並みの育ち具合。量も同じくらいかな」と話していた。3日ほど干すそうだが、十分に乾かさないと出荷の際に品質が落ちるという。
紀州勝浦漁協によると例年3㌧弱を出荷しており、今年も同様の量になる見込み。5月に入ってからも漁をしていたが、今年から4月いっぱいに取り決めた。
(2018年4月15日付紙面より)
御創建二千五十年奉祝式年大祭中の田辺市本宮町、熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で14日、白浜町の弓矢八幡が源平合戦や内乱で亡くなった熊野水軍八党の安宅(あたぎ)一族の霊を弔う『弓矢八幡鎮魂放生会神楽』などを奉納した。
法被を着た男女や武蔵坊弁慶の衣装を着た男性など178人が『弁慶ゲタ躍り』でにぎやかに入場。『弊の舞』『弁慶出世の舞(弁慶まつり応援団)』『古座の舞』などを厳かに披露した。
弓矢八幡は熊野水軍八党(九鬼、向井、鵜殿、泰地、潮﨑、周参見、小山、安宅)の安宅大神を祭っている。神楽では獅子舞の男子の後ろで女子が扇を手に華麗に舞い、訪れた参拝者たちから拍手が送られていた。
熊野速玉大社、石清水八幡宮、伏見稲荷大社などでも神楽を奉納していて、本宮大社では2012(平成24)年4月15日の正鎮座120年記念大祭に続いて2回目。九鬼宮司は熊野水軍八党の九鬼氏の末裔(まつえい)にあたる。林丈嗣副教主(56)は「節目の年に奉納させていただき感謝です」と話した。
(2018年4月15日付紙面より)
第71回紀南テニス協会シングルス大会
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)は13日、御創建二千五十年奉祝式年大祭「湯登神事」(県無形民俗文化財)を営んだ。神を宿すとされる1歳から4歳までの稚児12人を父親や祖父が肩車して練り歩き、温泉で身を清め、子どもの健やかな成長を祈った。祭りは15日(日)の渡御祭(とぎょざい)、斎庭(さいてい)神事まで各種行事を予定している。
地元はもちろん遠くは北海道、大阪府から参加した稚児たちは、大社本殿前で拝礼を受けた後、九鬼宮司らと参道を下り国道沿いを歩いた。湯の峯温泉で温泉につかり身を清めた後、温泉粥(かゆ)などを食べ、狩衣(かりぎぬ)や烏帽子(えぼし)に正装。稚児の額に神の証しとして朱色の口紅で大の字を書き入れた。
温泉地が一望できる湯峯王子では稚児の体を左、右、左と3回ずつ回す八撥(やさばき)神事を営み、坂が続く3・4㌔の熊野古道大日越を歩いた。
幸聖君(2)と参加した冨田晃規さん(35)=田辺市=は「2050年の節目の年に息子が稚児に選ばれて光栄で、うれしく思います。この神事をきっかけに子どもとの絆がより深まれば」と話していた。
(2018年4月14日付紙面より)
熊野水軍太鼓保存会が成果を披露 (紀宝町 )
熊野水軍太鼓保存会(廣里稔暢代表)=紀宝町=は8日、紀宝町の生涯学習センター「まなびの郷」で練習や活動の成果を発表する「熊野水軍祭」を催した。
同保存会は1996年、三重祭り博覧会開催に合わせて設立された和太鼓集団で、今年で22年目を迎える。水軍祭は第8回を迎え、保存会が指導する熊野水軍子供太鼓も出演。激しく強いばちさばきが大勢の聴衆を魅了した。福祉施設のグリーンプラザ、アプローチも共催し、ロビーで福祉バザーを同時開催した。
演奏は保存会が編曲した「波動」でスタートし、全8曲を披露。廣里代表は「子供太鼓を卒業して、大人の仲間入りするメンバーもあるなど節目の祭り。楽しんでもらえるよう一生懸命頑張る」とあいさつ。西田健町長は盛会を祝い、来場者には「保存会の演奏は、この地方では一、二の技術と思う。末永くかわいがってもらえれば」と呼び掛けた。
(2018年4月14日付紙面より)
袋港沖の4カ所に (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(小松誠司会長、会員22店舗)は12日、串本町の袋港周辺のダイビングポイント4カ所にアオリイカ向けの産卵床を設置した。
ダイビングシーズンが活発化する時期に合わせた話題作りの一環。アオリイカの産卵シーンはダイビング客にも喜ばれるシーンの一つだが、近年の袋港沖は産卵場所となる藻場自体が少なくなったため、確実に観察できる仕組みとしてダイビングポイントへの同床設置に取り組むようになった。最近5年は資源増強にもつながるとして、日本釣り振興会も支援するようになり設置数が増えている。
過去の産卵状況に基づき、今年は▽備前▽グラスワールド▽中黒礁(なかぐるみ)▽イスズミ礁―を設置場所とし、産卵床の材料にする広葉樹の枝を3~4㍍の長さで準備。極力藻場に近い環境を再現し、万が一海が荒れて崩れても周辺環境への影響が少ない点で、手間はかかるが毎年天然木を束ねて同床を仕立てている。
この日はダイバー18人が設置作業に参加。3隻に分乗して上記4カ所を移動し、水深10~18㍍の海底に同床を固定した。
設置期間は産み付けられた卵のふ化が終わるまで。その頃には同床も半ば腐食し崩れているが8~9月ごろには残った部分を回収して設置場所の保全も図る。今年は黒潮大蛇行の影響で海水温が低く、エギング愛好者の間でも釣果の厳しさが声として上がっている。海中の状況をよく知る同組合の一会員も似た印象を語り、同床が一日も早く呼び水になることを期待していた。
(2018年4月14日付紙面より)
キャンプ場有料期間に向け (串本町 )
潮岬望楼の芝管理運営委員会(田仲康慧会長)は12日、串本町の同芝キャンプ場有料期間に向けた芝生の整備を始めた。本年度最初の同期間は28日(土)~5月5日(土・祝)の8日間。開始までにおおむね東半分の芝を段階的に刈り、テント設営に適した環境を整える。
同委員会は既設の無料キャンプ場施設で収容しきれない数の利用を管理し、同時に膨大なキャンプごみに対処して本来の環境を守るために活動。環境省の特別許可を得て望楼の芝の東半分をテント設営場所とし、1人1泊600円の清掃協力金を預かって設営場所を提供している。その収益で利用の管理やキャンプごみの引き受けなどを行い、整然とした望楼の芝の環境保持に取り組んでいる。
昨年の5月3日は過去最多795人が利用し、急きょ設営場所を広げるなど対応をした。利用者は年々増加傾向にあり3連休で管理が望ましいケースも出始めたため、本年度は▽4月28日(土)~5月5日(土・祝)▽7月28日(土)~8月18日(土)▽9月15日(土)~16日(日)▽9月22日(土)~23日(日・祝)▽10月6日(土)~7日(日)▽11月23日(金・祝)~24日(土)―を有料期間とし、今月9日付で公表している。
期間中は既設キャンプ場を共同給水場(テント設営不可)とし、併せて現地窓口を設けてテント設置場所の提供希望を受け付ける(自己申告制)。キャンプ場駐車場内での車内泊や日帰り利用も対象とし、テント泊の利用者同様にキャンプごみの引き受けを行う仕組みになっている。その他詳細の問い合わせは同委員会事務局(電話0735・62・0557、平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
芝生の整備は同委員会の会員が1日4時間を上限にして実働するが、東半分とはいえ広範なため、日数を重ねて段階的に全体を仕上げる。
初日のこの日は会員6人が既設キャンプ場内から設営場所とする芝地の芝刈りを実施。田仲会長は「1月最終土曜日に芝焼きがあり、前はある程度芝を残さないとならないし、後はすすけてしばらくは提供が難しい。そのあたりも考えつつ(本年度の)有料期間を決めた。皆さんには望楼の芝の事情をご理解いただきながら、伸び伸びとキャンプを楽しんでほしい」と話した。
(2018年4月14日付紙面より)