「コロナに負けるな」 (手作りマスクに込めた思い )
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、マスク不足が叫ばれるようになってはや2カ月。いっときに比べマスク不足解消の兆しは見えつつあるものの、いまだ入手できない人が多いのが現状だ。
そんな中、マスク不足を払拭(ふっしょく)しようと、趣向を凝らしたマスクを手作りする人が増加。好みの布で作ったマスクを身に着ける人々が、春、そして間もなく初夏を迎えようとするまちなかに彩りを与えている。
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困難な状況にあっても女性のおしゃれ心は健在だ。「ガーゼが品薄」「耳に掛けるゴムが手に入りにくい」。そんな情報が流れるごとに誰かが代替案や代用品を提案し、手法などがアップデートされていく。今ではインターネットで「手作りマスク」と検索すると、無料型紙や彩り豊かな手作りマスクの画像などが日々更新されている。中には国が配布する布マスクの俗称「アベノマスク」を「ベツノマスク」「ウチノマスク」としてリメークしてしまうつわものも。
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100年前のパンデミック(世界的大流行)「スペイン風邪」では、当時の日本の総人口約5600万人に対し約2400万人が感染したとされ、終息には丸2年を費やした。スペイン風邪の大流行をきっかけに、当時、主に炭鉱などで働く人たちの粉じんよけとして使用されていたマスクが一般に普及したという。
しかし当時もマスクの供給が需要に追い付かず値段が高騰。さらに困難な状況に一山当てようと、マスクの「不正商人」が横行したという。
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いまだ終息のめどの立たない新型コロナウイルス禍。このたびもマスクなどの転売が社会問題となったが、いつの時代も暴利商法を用いて不正を働く者がいる一方、しなやかに、そしてたくましく困難に立ち向かう人々の姿もある。このコーナーでは、鮮やかなマスクを身に着けた人々の笑顔にスポットを当てたい。
「コロナに負けるな」。「手作りマスク」には、そんな人々の思いが込められているのではないだろうか。
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本紙では、自慢の「手作りマスク」を着用した写真を募集しています(マスク単体でも可)。あなたのすてきな「手作りマスク」の写真をお送りください。画像は「手作りマスク」コーナー宛てで、熊野新聞社フェイスブックもしくはメール(info@kumanoshimbun.com)でお送りください。
(2020年4月29日付紙面より)
中止事業の予算を活用し (古座川町老連 )
古座川町老人クラブ連合会(奥根公平会長)がこのほど、全会員に首掛け式の空間除菌剤1個を配ることを決めた。近々入荷予定で、単位老人クラブ会長経由で会員に届けるという。
24日にあった役員会で、新型コロナウイルス感染予防の観点から本年度前半の行事をすべて中止する判断をした同町老連。関係予算の新たな有効活用の方法を話し合う中で奥根会長(88)が身に着けている空間除菌剤が話題になり、それを全会員へ配って感染予防意識を喚起する方向へとまとまった。
その空間除菌剤は薬局を営む娘夫婦が感染予防に役立てばという思いで託した品で、薬剤師として近隣の病院に勤めた経験を持つ夫・尾鷲恭二さん(68)は医療従事者が身に着けている状況を見て自身も3年ほど前から使っているという。奥根会長は「手洗いや消毒、マスクなど基本の対策の上乗せとして、人が集まる場所へ行かなければならないときに使っている」と利用の状況を語り、ただ配るのではなく感染予防の説明をし日頃の心掛けを高めながら配るとしている。
同町老連事務局の同町社会福祉協議会によると、会下には12の単位老人クラブがあり総会員数は300人弱。今回は予備分も含めて320個を購入し、会員の感染予防に役立てるとしている。
(2020年4月29日付紙面より)
事業主らに応援金など支給 (紀宝町 )
紀宝町は27日、独自の新型コロナウイルス対策として、町に住民票または法人登記を有し県外に事業所、店舗などを構える中小企業・小規模事業者に支援金を、三重県の協力金交付対象外の全ての町内食事提供施設に応援金を支給すると発表した。
県では「緊急事態措置」として、対象施設に休業または営業時間を午後8時(アルコール提供午後7時)まで短縮するよう要請し、協力した県内中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)に協力金を交付している。
同町は和歌山県と隣接し、県外で事業を展開する事業主などが多いことから、町では県外事業者向けの支援金として1事業者当たり最大25万円を交付する。29日から5月6日(水・振休)まで休業や営業時間の短縮といった三重県の要請に協力することなどが条件となる。
応援金は、町内で喫茶店や飲食店など食事提供施設を経営し、県の休業要請に当てはまらない事業者に10万円を交付する。
受け付けはいずれも5月18日(月)から6月5日(金)までで、郵送での申し込みとなる。申請書は町のホームページでダウンロードできるほか町産業振興課、町商工会でも入手できる。支援金、応援金ともに申請要件が異なるため、詳しくは町産業振興課(電話0735・33・0336)まで問い合わせを。
町では5月13日(水)の臨時議会に一般会計補正予算として計上し、可決されれば5月末から交付を開始する。
会見した西田健町長は「紀宝町に住民票を有しながらも県外で活躍する人が多い。厳しい状況にある施設の皆さんに町として応援金を交付し、持続・継続できるよう支援したいという強い思いを持って提案した」と述べた。
(2020年4月29日付紙面より)
グランドール紀の風 (新宮市 )
新宮市佐野のサービス付き高齢者住宅グランドール紀の風(鈴木幹啓代表取締役、中村光德施設長)は23日、職員らが手作りした紙製の桜を飾った同施設内のテラスで「テラスでお花見お茶会」を開いた。マスク着用や互いの距離を空けるなど新型コロナウイルス感染対策を取った利用者は笑顔で外の空気を味わい、花見を楽しんだ。
同施設では毎年、同市の黒潮公園で花見を行っているが、新型コロナの影響で実施できない状況となったため、今回の花見を計画した。
桜の花は柔らかい折り紙で作成。利用者も手伝い、竹と段ボールで木の幹や枝を再現した。準備は1カ月ほど要したという。
花見はグループごとに行われ、職員がシャボン玉を飛ばし、お茶やお菓子でもてなした。
利用者は晴天の下、日光浴をしながら手作りの桜を鑑賞。「本当にきれい」とうれしそうに目を細めていた。また、花見待ちの利用者はバルーンアートなどを楽しんでいた。
催しを企画した同施設管理者の森晶平さんは「新型コロナの影響で利用者の方が屋外へ出ることができないため、少しでも楽しんでもらおうと考えた。今回の催しが今後の良い思い出になってくれたら」と話した。
中村施設長は「新型コロナの影響で面会が禁止になっているため、入居者の方やご家族にはご不便をかけ心苦しく思う。こんな時だからこそ、感染拡大には細心の注意を払いながら、笑顔でいられる環境を提供したい。その様子を写真に収めてご家族に送らせていただきます」。
「来年こそは利用者の皆さまに屋外で思い切り空気を吸ってもらい、お花見を楽しんでもらいたい。そして最高の笑顔をつくっていきたいと思う」と語った。
(2020年4月29日付紙面より)
熊野徐福万燈祭運営委員会 (新宮市 )
熊野徐福万燈祭運営委員会(委員長・田岡実千年新宮市長)は27日、市役所別館大会議室で今年1回目の委員会を開いた。第57回熊野徐福万燈祭(新宮花火大会)の事業報告と収支決算などを承認したほか、令和2年度の開催について審議。新型コロナウイルス感染症の全国的な拡大を鑑み、全会一致で中止が決定した。
熊野徐福万燈祭は、秦の時代に渡来したと伝わる徐福の遺徳をしのぶために始まった花火大会。毎年8月12日に同市徐福の徐福公園で徐福供養式典が営まれ、翌日に熊野速玉大社下の熊野川河川敷を舞台に花火大会が催され、大輪の花火が夜空を彩る。昨年は約4万人(主催者発表)の観客が会場に訪れた。
田岡市長は中止の意向について、新型コロナ感染症拡大と、それに伴う緊急事態宣言の全国拡大を受け「当市での感染例は報告されていないが、このような状況の変化と収束時期が予測できないこと、また、観客や関係者の方々の健康と安全確保を第一と考え決定した」と報告。徐福供養式典については、予定通り12日に規模を縮小し、関係者のみで実施する旨が伝えられた。
委員からの「仕方がない」「やむを得ない」などの声を受け、田岡市長は「市民の皆さま、ご協賛いただいている皆さま、関係者の皆さまにこのような決定の報告をしなければならないのは苦渋の決断。一日も早く事態が収束し、来年は多くの方々にご来場いただき楽しんでいただけるような花火大会になるように努力していきたい」と思いを語った。
(2020年4月28日付紙面より)
太地町は26日、新型コロナウイルス対策として町内4カ所の屋外で町民1人当たり10枚のマスクを配布した。3密を避けるため、引き換えを待つ町民が座る椅子は間隔を空けて設置、消毒液を各所に準備するなど万全に予防対策を取った。
同町は7日に町コロナウイルス対策本部を立ち上げ、マスクの配布や緊急経済対策として、町民1人当たり5㌔の米を支給することを決定。24日に開かれた記者会見で三軒一高町長は「コロナ対策の基準は町民全員に行き届くこと」と話しており、今後も状況を見ながらさらなる施策を打ち出していくという。
太地漁港ふれあい広場(通称・東の浜)には対象の大東区、小東区、新屋敷区の住民が集まった。住民は引換券を渡し、町職員からマスクを受け取った。
小東区の網野美紀さん(28)は「最近はどこへ行ってもマスクが手に入らない状況だった。家族の分も頂けたので、すごくありがたい」と笑顔。今後、追加で配布されるマスク50枚や米5㌔の支給については「コロナの影響で仕事ができず、収入が減った世帯もあると思う。米やマスクの追加支給は本当に助かる。太地町民で良かったです」と語った。
森尾伸総務課長は「コロナ対策として第1弾がマスク、続いて米の支給となるが今後も町民の意見を取り入れながら施策をどんどん進めていきたい」。懸念する点としては「高齢者の引きこもりを防ぎ、元気で過ごしていただくための福祉事業などがコロナでストップしている。高齢者の方々の健康被害を危惧しているため、一日も早い終息を願っている」と話した。
(2020年4月28日付紙面より)
文科省がインターネットで支援
文部科学省は、学習支援コンテンツポータルサイト「子供の学び応援サイト」(https://www.mext.go.jp/a_menu/ikusei/gakusyushien/index_00001.htm)を開設し、臨時休業期間における学習に役立つコンテンツを紹介している。
同サイトでは、さまざまな学習支援情報を小・中・高校生別、学習分野ごとに集約しており、学習レベルなどに合った内容を選択できる。
内容は▽子供の読書キャンペーン~きみの一冊をさがそう~▽マスクの作り方▽子供の運動あそび応援サイト▽わくわくサイエンスリンク集―など盛りだくさん。また、奨学金・授業料などの減免に関する情報や、幼児教育、特別支援教育などの参考サイトも紹介されている。学校教師や保護者に対するリンクも充実している。
LINE(ライン)で公式アカウントを友だち登録すると、自分に合った情報が送信されてくる。
同サイトでは子どもたちに対し「学校の休業中は、夏休みや冬休みなどと同じようにいつも通りの生活リズムで過ごしましょう。必要のない外出はやめて、健康に気を付けましょう。家庭学習を行う場合には、このウェブサイトを参考にして、自分に合った学習内容を選びましょう。分からない場合は学校の先生や保護者の方などに相談しましょう」などと呼び掛けている。
(2020年4月28日付紙面より)
分団軽車両使い3日間実施 (串本町消防団 )
串本町消防団(稲田賢団長)が26日、新型コロナウイルス感染予防広報に取り組み始めた。同日と5月2日(土)、4日(月・祝)の3日間、午前9時~正午に巡回広報をする内容。初日は出発式を営み、11ある分団にじかに思いを託して送り出した。
全国的に感染が拡大する状況を受け、管内住民の予防を促すのが狙い。同ウイルスに対して町民の安全、安心を守るためにできることはないかと意識する中で田嶋勝正町長や寺島正彦消防長から提案があり、各分団が機動力に優れた可搬型小型ポンプ積載車(軽車両)を出動させる体制を整えて実働にこぎつけた。
差し迫るゴールデンウイーク(GW)期間を見据え、わずか3日間で今回の体制を構築。出発式は同町サンゴ台にある消防防災センターであり、提案者の田嶋町長は施設閉鎖や事業自粛の状況とGW繁忙の懸念を振り返り「この地域から感染者を出さないこと、そして感染が全国的に収まることを願い、皆さんと共にこの連休の間を頑張っていきたい」、稲田団長は「町民の生命と財産を守るのが与えられた責務。串本町から感染者を一人も出さない意気込みで広報活動をする」と今回の広報にかける思いを寄せ、井道一馬副団長の指揮で出動する同積載車を送り出した。
串本と潮岬の両分団は単独で3日間、有田・田並・和深と大島・須江・樫野と西向・古座・田原はチームを組んで3分団管内を各1日ずつ回る形で成果を目指すという。広報のアナウンス内容は4月が帰省の自粛や他都道府県からの帰省や転勤時の2週間の自宅待機、5月が不要不急の外出自粛や3密回避による感染予防の呼び掛けとなっている。
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串本町消防本部(寺島正彦消防長)も現在、救急車両を用いた同ウイルス感染予防広報を定期的に重ねている。
この取り組みは、職員から複数挙がっている感染予防を目的としたアイデアの一つで、手のつけやすさからさっそく実働している。同町域は17日、24日と5月1日(金)の3日間、古座川町域は今月21日と28日(火)の2日間、同本部に予備車として備えている救急車両を午前9時~午後4時に出動させ、アナウンス巡回をしているという。
寺島消防長は「防災行政無線でも呼び掛けをしているが、消防車両や救急車両による巡回広報は注目度が高く同無線以上に関心を持ってもらいやすいと思う。予備車を保守目的で走らせるときに併せてアナウンスを流すのが今回のアイデアで、予備車を使うので本来の救急業務が圧迫されることもない。新型コロナウイルスの感染予防は今とても大切なこと。この取り組みが一人でも多くの住民の皆さまの意識の高まりにつながることを願っている」と語った。
(2020年4月28日付紙面より)
新宮バドミントンスポーツ少年団代表・奥田清二さん
太地町は24日、町公民館で町が取り組む新型コロナウイルス感染症対策についての記者会見を開いた。町民1人当たりマスク60枚の配布や、米5㌔の支給が実施される施策について三軒一高町長ら町幹部が詳細を説明した。
同町は7日に同町新型コロナウイルス対策本部(本部長・三軒町長)を立ち上げ、これまで5回の会議を重ねてきた。21日には休校中の太地こども園、太地小・中学校の子どもたちへの弁当の無償配達が開始された。
今回は町民1人当たりにマスクを60枚配布するとともに、緊急経済対策として町民(3005人、21日現在)1人当たりに米5㌔の支給が決まっている。米の支給は2回に分けて行われ、1回目に全世帯に5㌔ずつ届けられる。続いて2回目の支給は1世帯の残り人数分を配布する(1人暮らしなら1回目で終了。2人暮らしなら1回目に加え、2回目にもう1人分届けられる)。
当日は町職員や町社会福祉協議会の職員が協力し配布を行う。また、町議会議員もボランティアで参加するという。
三軒町長は「基準は全町民に行き届くこと。議会からも緊急事態なのでスピード良く進めてほしいと理解を得ている。こういった混乱がある時こそ町の出番。全町民の安心のために取り組みたい」と述べた。
配布を米にした理由については「体温計などいろいろな案も出たが、全町民に行き届かなくてはいけない。家にいてほしいという願いもあり、議論を重ねた結果、米になった」と説明した。
なお、今後も同様の対策は実施していく予定だとし、マスクについてはさらに50枚の配布を検討しており、前述の分を併せて1人当たり合計110枚の配布が行えるように進めているという。
(2020年4月26日付紙面より)
広報コンクール町村の部で (紀宝町 )
紀宝町が昨年発行した「広報きほう12月号」が日本広報協会主催の令和2年全国広報コンクール広報紙部門(町村の部)で全国1位となる特選(総務大臣賞)に輝いた。
全国コンクールの入選は11回目で、特選に輝いた12月号では「性の多様性」をテーマに、その現状や当事者・支援者の思いなど13㌻にわたり特集を組んだ。
特集ページでは性的マイノリティーを取り上げ、女性同性愛者、男性同性愛者、両性愛者、トランスジェンダーの各単語の頭文字を組み合わせたLGBTや支援団体などを紹介した。
広報広聴係の愛野裕基さんと、田中健太郎さんが昨年8月から3カ月半かけて取り組んだ。愛野さんは「予想以上に評価を受けて驚きました。性の多様性について意識が広がればと思い取り上げました。年に1回の大型特集を目標に日々、取材活動に励んでいます。今後も町の話題を広く広報していきたい」と話していた。
(2020年4月26日付紙面より)
採捕再開22日後に停止 (勝浦地方卸売市場 )
3月末までの採捕停止期間を終えたばかりの「はえ縄船によるクロマグロ漁」が、6月30日までの上限枠230・9㌧(都道府県別知事管理漁業を除く)の80%に達したため早くも採捕停止となった。(一社)全国近海かつお・まぐろ漁業協会(全近協)が21日に協会所属船や関係者に通達した。
規制は資源の減少が危ぶまれている太平洋クロマグロの管理のため国が定めた漁獲可能量制度(TAC法)によるもので農林水産大臣管理の同魚種大型魚(30㌔以上、エラハラ抜き26・1㌔以上)が対象。
那智勝浦町の和歌山県漁業協同組合連合会(JF県漁連)勝浦市場が受け取った通達書によると22日までに漁獲したクロマグロは規制の対象外となっており、現在操業中の船が持つクロマグロは23日までに漁獲本数の報告がなされる。これらの船が国内各地の港に揚げる数量により残り20%の枠の消費を見ていく。同市場では規制前のクロマグロの水揚げは5月頭ごろまでと見込んでいる。
勝浦地方卸売市場では24日早朝、3隻の船から253㌔の大物を含め26本のクロマグロが揚がった。宮崎県の船頭、第18漁雄丸の青木信裕さん、第1海伸丸の児玉博さんは採捕停止の知らせを受け、予定していた操業を切り上げて入港したという。
2人は「コロナの影響と漁獲規制のダブルパンチだ。禁止になった後クロマグロが食いついたら、はさみで切らないといけない。食料やお金を海に捨てるようなもの。それが嫌でたまらんから急いで縄を上げた」と声をそろえながらも「1カ月ほどゆっくり休んでまた頑張る」と希望を持ち帰港の途に就いた。
勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長は「国が決めたことには従うしかないが、資源は回復してきているはず。あと少しの辛抱だと思っています」と話していた。
(2020年4月26日付紙面より)
新型コロナ感染拡大防止のため
新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、8月11日(火)に予定されていた那智勝浦町花火大会の中止が決まった。町の夏の風物詩である花火大会が現在の形式になってからの中止は初。
同町によると、感染拡大防止のため、花火大会実行委員会の会議は設けず書面による決議で中止を決定した。賛成多数だったが、委員からは「延期での検討はできないか」「終息後に開催しては」などの意見も上がったという。
花火大会は、町民手作りの大会を基本理念に、これまで13回開催されてきた。那智湾を舞台に1万発の花火が大輪を咲かせ、昨年は海の章、追善供養、山の章、フィナーレの4部構成で多くの観客を魅了した。
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中止に当たり、堀順一郎町長と花火大会実行委員会の大江清一会長は連名で次の通りコメントを発表した。
令和2年8月11日に開催予定の那智勝浦町花火大会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のために中止することを決定いたしました。
新型コロナウイルス感染症は、当地域での感染例は報告されていないものの、収束が見通せない状況が続き、4月16日には緊急事態宣言の対象が全国に拡大されております。このような状況を鑑み、実行委員にもご意見を頂いたうえで、中止することとなりました。
「住民手づくりの花火大会」として本町の夏の恒例行事である花火大会を中止するのは断腸の思いでありますが、現時点で8月での収束を見込むことも難しく、最優先すべきは町民の生命、安全との考えからこのような判断に至りました。
例年の開催に当たりご支援、ご協力を賜っております企業や関係者の皆さま、何より花火大会を楽しみにしていただいている町民の皆さまには誠に申し訳ございませんが、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
一日も早く事態が収束することを願うとともに、収束後には何らかの形で皆さまに楽しんでいただける花火大会が実施できないか検討してまいりますので、引き続き皆さまのご支援、ご協力をお願い申し上げます。
(2020年4月24日付紙面より)
教育民生委が市長に申し入れ (新宮市議会 )
新宮市議会の教育民生委員会(濵田雅美委員長、7人)は23日、田岡実千年市長に対し、新型コロナウイルス感染症対策に関する申し入れを行った。濵田委員長、屋敷満雄副委員長、前田賢一議長、東原伸也副議長が田岡市長を訪問。「市民の生命と生活を守るため、感染予防と感染拡大防止に向けた対策が急務」と申し入れ書を提出した。
同委員会は、市の新型コロナウイルス感染症対策に関する調査のため、同日に委員会の開催を予定していたが、国の緊急事態宣言の全国拡大を受け中止。代わりに、委員からの提言などを取りまとめ、申し入れ書の提出へと至った。
前田議長は田岡市長に対し「各自治体がさまざまな政策を取っているが、市独自でできることもある。申し入れ書の趣旨をご理解いただき、少しでも市民が希望を持てるような対応を」。濵田委員長は「危機感から恐怖感に変わってきた人もいる。一人でも感染者が出ると医療・介護崩壊を招く恐れもある。市民の命を守るために市長のリーダーシップが必要」と呼び掛けた。
東原副議長は、20日の防災行政放送を使った田岡市長の呼び掛けに対して「市長の声でメッセージを送ると重みが違う」。屋敷副委員長は「市長の声が一番市民には分かりやすい。1日1回でもメッセージを発信すべき。県から情報をいただき、市民の不安を払拭(ふっしょく)できるよう体制を整えて」などと求めた。
田岡市長は「市医療センターからは、保健所と連携を図り、たとえ数人の感染者が発生した場合でも対策を講じていると聞いている」と報告し、「貴重な意見、申し入れを踏まえてできる限りの施策を実行していきたい」と述べた。
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▽防災行政無線や広報車両等を活用して、保健センターからの感染予防対策や感染症の発生状況等の情報を頻回に広報し、市民への啓発を行うこと。またその内容は、市のホームページやSNS等でも発信すること。
▽本地域で感染が拡大した場合の医療体制や軽症者等に対する宿泊療養の受入体制を早急に確立し、市民の不安払拭に努めること。
▽医療・介護従事者へのマスク、防護服、ゴーグル等の医療資材を確保すること。
▽特定警戒都道府県からの帰省者や転勤者、外国からの帰国者に対し、県への登録と2週間の自宅待機の徹底を求めるとともに、保健所との連携を強化し、本市に関する情報の把握に努めること。
▽医療的ケアが必要な子ども、障害のある方、高齢者や支援を必要とする方、妊娠中の方等に十分配慮した感染症対策を講じること。
▽外出自粛等に伴う生活の変化やストレスによるDVの増加、ひとり親家庭における保護者の感染など、懸念される様々な問題に対する相談体制の強化を図り対策を講じること。また、家で一人で過ごす時間が増加し、不安やストレスを感じている子どもたちへのケアについても、十分な配慮を行うこと。
▽小中学校等における感染症対策の長期化に伴う子育て家庭の負担増に対し、市独自の支援策を講じること。
▽医療崩壊・介護崩壊という事態は絶対に招いてはならないという観点から、改めて市民への不要不急の外出自粛を徹底するとともに、事業者等には市独自の支援策を講じること。
▽国が実施する全ての市民1人当たり10万円の給付(特別定額給付金〈仮称〉)については、5月中に給付できるよう早急に取り組むこと。
▽事業者から市が徴収している使用料(テナント料)等については、減免等の措置を講じること。減免等の措置を講じること。
▽妊娠中の女性職員や基礎疾患を有する職員に十分配慮した対策を講じること。
▽市長においてはリーダーシップを発揮し、危機感をもって情報やメッセージを市民に強く発信することで、感染拡大の防止と市民の不安払拭に努め、何よりも「市民の命を守る」ための政策に全力で取り組むこと。
(2020年4月24日付紙面より)
鵜殿、神内の福祉センター (紀宝町 )
紀宝町が昨年度から町福祉センターと神内福祉センターで進めてきた大規模改修工事がこのほど、完了した。両施設とも老朽化が進み、施設の長寿命化を目的に初めて大規模改修に着手。内装修繕や各設備の改修などにより、福祉施設の中核として利便性が向上した。
旧紀宝町と旧鵜殿村が合併した2006年以降、町社会福祉協議会が二つの福祉センターで機能を分担してきた。
築33年が経過した神内福祉センターは主にデイサービス機能の施設として活用。ボイラーの更新や施設の利用に合わせた空調設備の整備、大ホールの改修などを行った。町福祉センターは築26年がたち、雨漏りなどの防水対策を施したほか、照明をLED化して天井や壁を張り替えて明るい雰囲気になった。
西田健町長は「素晴らしい新築のような施設になった。新型コロナウイルスの影響で多くの町民の皆さんに見ていただけないのは残念だが、社協と力を合わせて福祉の増進を進めたい」と話していた。
(2020年4月24日付紙面より)
熊野那智大社で竣功清祓式
創建1700年記念境内施設整備事業による礼殿などの改修工事が完了したとして21日、熊野那智大社(男成洋三宮司)で「竣功清祓(しゅんこうきよはらい)式」が執り行われた。神職や神社役員、那智山青岸渡寺の髙木亮享住職ら約20人が参列。事業完了を祝った。
事業概要は、礼殿、拝殿の改修および銅板屋根のふき替え、鳥居や宝物殿、長生殿、手水(ちょうず)舎、授与所の塗装工事。同大社別宮・飛瀧(ひろう)神社の鳥居、社務所、祈願所の改修や塗装など。3月31日に工事が完了した。
事業費約2億4000万円は氏子や崇敬者らによる寄付。昨年4月には礼殿などの工事が完了したとして竣工(しゅんこう)奉告祭が営まれている。
竣功清祓式では、男成宮司に続いて参列者らが玉串を奉てん。巫女(みこ)が神楽「那智の滝舞」を奉納した。
男成宮司は「皆さま方のご協力で、当初の予定通りほぼ工期内に事故もなく竣工となった。全国の崇敬者の方々に心から感謝申し上げます」とあいさつ。「1700年の歴史があるのも先人の方々のご努力のたまもの。先人たちに思いをいたしながら、熊野信仰の継承に努めたい」と述べた。
また、新型コロナウイルス感染症の終息を願い「一日でも早く終息するように落ち着いた行動を。今は耐え忍ぶしかない。事態が収束したあかつきには、全国からお参りいただき、新しくなった同大社をご覧いただければ」と話していた。
なお、新型コロナの影響で当初予定していた奉告祭は10月ごろに執り行う見通しとなっている。
(2020年4月23日付紙面より)
高校生が休校求め署名活動 (新宮・東牟婁 )
新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中、休校要請対象とならなかった東牟婁地域の県立学校4校(新宮・新翔・串本古座・みくまの)の休校を求め、新宮高校3年生の女子生徒(17)がインターネットサイトで署名運動を展開。女子生徒は21日夕方、新宮市緑ヶ丘の東牟婁振興局を訪れ、県教育庁紀南教育事務所の大樫浩史所長に集まった684人分の署名を手渡した。
県は16日、国の緊急事態宣言拡大を受け、東牟婁地域の4校を除く県内全ての県立校に5月6日(水・振休)までの臨時休校措置を要請。女子生徒は県の決定に疑問を感じ「授業を再開している学校の中には特別支援学校も含まれており、医療的ケアを必要とする子どもたちもいる。医療体制が脆弱なため、感染者が一人でも出ると、瞬く間に医療崩壊につながる危険性がある」などと主張し休校を求める署名活動を行っていた。
しかし、事態は一変。県は21日正午の署名活動締め切りを待たずして4校の同日午後からの臨時休校を発表した。
大樫所長に署名を手渡した女子生徒は「最初に国が臨時休校を要請したときに休校になったにもかかわらず、緊急事態宣言の拡大を受けた際には休校にならなかったことに疑問を感じた。校内ではすでにマスクを外し始めている生徒もいる状況なのに」と署名活動に踏み切ったきっかけを話す。
このたびの臨時休校措置に当たり「休校の判断をしていただいた知事と県教育長、そして署名に賛同し拡散などに協力していただいた皆さんに感謝しています」。
女子生徒は「自分たちで動くことで変わることもあると学びました」と話し、休校中は人との接触や不要不急の外出を控えるとともに、受験勉強を視野に入れた家庭学習に取り組みたいと抱負を語った。集まった署名は紀南教育事務所を通して県教育委員会に届けられる。
(2020年4月23日付紙面より)
中西商店が野菜配達開始 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の㈲中西商店が、新型コロナウイルスの影響で外出などを自粛している町民もいることから、野菜などの品物を1000円以上購入した際に商品を自宅まで届けるサービスを開始した。配達は現在、旧勝浦町内と宇久井、那智山方面、太地町を予定している。それ以外の町内エリアは電話で要相談。
「新型コロナの影響による自粛で外出を控えている方もおり、買い物で困っている高齢者の方も多いと聞く。何かできないかと考えていたところ、配達サービスを思い付いた」と同店社長を務める中西毅さんは話す。
中西さんによると、配達はタケノコやゴンパチ、新タマネギ、春キャベツ、白菜など今が旬の野菜に加え、乾物や調味料も配達するという。電話で午前11時30分までに注文すれば、その日の午後2時30分ごろまでに商品が届く。午後の注文は翌日の午前中に届けられる。
配達以外では電話注文し、車で来店した際に車外へ出ずに店先で商品を受け渡すドライブスルー方式のサービスも今回同時に開始した。
中西さんは「コロナによる自粛や高齢者の方で買い物にお困りの方はお気軽にご利用いただければ」と語った。
注文および問い合わせは㈲中西商店(電話0735・52・0206)まで。
(2020年4月23日付紙面より)
各市町の教育委員会に提供 (矢野勝久さん )
御浜町阿田和在住の矢野勝久さん(66)がこのほど、新宮市、那智勝浦町、太地町、串本町、田辺市本宮町、紀宝町、御浜町、熊野市などにある中世城館跡を巡った資料を1冊にまとめた。「各市町の教育委員会に資料を提供しました。興味のある方は教育委員会に連絡してください」と話している。
矢野さんは勤務先の会社で全国各地に転勤し、59歳で退職。八丈島に移住し、釣りを楽しんでいたが昨年7月に阿田和に戻ってきた。
趣味を探していたところ、昨年9月に地元の阿田和城跡を散策したことをきっかけに城跡巡りに出会った。熊野市、御浜町、紀宝町の中世城館跡を訪れ、それぞれの場所や特徴などをまとめた。
その後、家系図を調べたところ曽祖父が旧四村(現田辺市本宮町)の村長だったことが分かり、和歌山県にも足を延ばして城館跡を訪ねるようになった。
矢野さんがまとめた資料には新宮市の新宮屋敷、堀内新宮城、明神山城、長石山城、宮井城本城など市町ごとの情報が記されている。那智勝浦町は勝山城、藤倉城、下里城など10カ所、太地町は太地城、和田城(和田館)、串本町は岩屋城、佐部城、虎城山城を巡ったという。
那智勝浦町の口色川城の森城では、1933(昭和8)年に矢野姓の人物が建立した石碑を見つけ、親近感が湧いたと話す。
城館跡を訪ねた際には、郷土資料の記載と異なる場所に存在していることもあり、地元住民に教わりながら探した。「地元の人には感謝しています。今後は他の地域にある城館跡にも足を運んでみたい」と語っていた。
(2020年4月23日付紙面より)
別館に経済対策室設置 (新宮市 )
国の緊急経済対策を踏まえ、新宮市は17日、市役所別館に「新型コロナウイルス感染症経済対策室」を設置した。市民に対して国などの緊急経済対策や市独自の経済対策に関する事務を行っていくほか、税金や各補助金などの相談を受け、関係機関や課につなぐ役割も担う。
国は7日に「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を決定。それを受け、市では全庁的に迅速、的確な経済対策を講じていく必要性を鑑み、市新型コロナウイルス感染症対策本部のもとに対策室の設置を計画した。
対策室には、馬込克彦室長(選挙管理委員会事務局長兼監査事務局長)をはじめ職員7人を配置。設置場所は別館1階の第1会議室で開設時間は午前8時30分から午後5時15分(土・日・祝日含む)。電話相談(電話0735・29・7358/直通)のほか、窓口対応も行う。
開設に当たり、田岡実千年市長は「国などの緊急経済対策に加え、それを補完・補強するような市独自の経済対策についても早急に検討し取り組んでもらうことになる」などと訓示。
「対策室には市民の皆さんからいろいろな相談や問い合わせがあろうかと思いますが、大変な思いをされている市民の皆さんに寄り添って、きめ細やかな対応を」と呼び掛けた。
訓示を受け、馬込室長は「緊急事態宣言の全国拡大を受け、より身が引き締まる思い。市の経済施策も進めていけるように一丸となって取り組んでいく」。国が打ち出す経済対策の方向性を見守るとともに、申請に対して速やかに案内できる体制を整えていきたいと決意を述べた。
(2020年4月18日付紙面より)
動鳴気漁港の災害復旧工事 (串本町 )
串本町古座にある動鳴気(どめき)漁港の令和元年台風19号に伴う災害復旧工事が先月26日から着工した。東西両防波堤同時着手で、全体の復旧は今から2年後の令和3年度末になる見込みだという。
同漁港の東西両防波堤は昨年10月11日夜半から12日未明にかけて接近する台風に伴う波の影響を特に強く受け、各所で堤体にずれが生じた。とりわけ西防波堤の先端部約70㍍は、ずれが顕著で、国道42号沿いからでも痛々しく見て取れる状態になっている。
同町産業課は、西防波堤と東防波堤を3分割した計4つの災害復旧工事を計画。うち契約金額が5000万円を超える西防波堤と東防波堤〈その3〉の2工事について同町議会3月定例会最終日(先月25日)で、同町議会の議決に付すべき契約および財産の取得または処分に関する条例に基づく工事請負契約の締結に対する議決を求め、承認を得た。
承認を得た2工事は翌26日から着工となったが西防波堤の契約金額は6億8970万円、東防波堤〈その3〉の契約金額は1億9470万円と膨大で、いずれも工期が令和4年3月25日までとなっている。契約金額5000万円未満の東防波堤〈その1〉と同〈その2〉の工期は令和3年3月26日までだという。
同19号は紀伊半島南東部を通り昨年10月12日午後に最接近。その前の最大瞬間風速30㍍弱の東風にあおられた波が満潮に乗って同町東岸部に強く打ち付けた。同漁港一帯では越波も多発し国道42号古座信号交差点付近では道をまたいで居住区にまで被害をもたらした。
少し離れた同町姫地内では護岸崩壊に伴い国道42号が約70㍍にわたり陥没などの影響を受ける被害があり、先月16日から解除日なしの終日片側交互通行規制をしながらの本復旧工事が始まった。工事期間は暫定で9月30日(水)までとし、発注者の国土交通省紀南河川国道事務所は諸事情で期間変更する場合があるとしている。
(2020年4月18日付紙面より)
20日から職員の分散勤務も (紀宝町 )
新型コロナウイルスの感染防止対策として、紀宝町役場の窓口に透明のビニールカーテンが設置された。
窓口への来庁者と職員の飛沫(ひまつ)感染防止を目的にしたもので、役場1階の福祉課地域包括支援センターや2階の教育委員会など全課窓口に順次設置し、カウンターには透明のアクリルボードも設ける。
また、感染した場合に備え町民生活を維持するため20日(月)から6月19日(金)まで、職員の分散勤務を行う。庁舎内の正規職員80人のうち、理事と課長を除く各課2人程度(約20人)を防災拠点施設5階の研修室とフロアに移す。各班とも2週間のローテーションとし、必要に応じて延長も検討するという。
同町では「窓口対応などを行う職員が平常時より少なくなる場合があります。町民の皆さまにご不便をおかけする場合がありますが、感染拡大防止のため、ご理解、ご協力をお願いします。引き続き、町民の皆さまにおかれましては不要不急の外出を控えてください」と呼び掛けている。
(2020年4月18日付紙面より)
【第10回】偏食改善のヒント
お子さんがいらっしゃるご家庭からのご相談で一番多いのが「偏食を治したい」というものです。無理やり食べさせるべきなのかどうか、悩む方も多いと思います。偏食は、3歳前後から現れるといわれています。でも、成長とともにほとんどの好き嫌いは改善されるともいわれているんです。栄養が偏るという心配も分かりますが、今は食料の種類がとっても豊富ですし、代替えはとっても簡単です。野菜が苦手であれば、ミネラルやビタミンは果物で摂取することができますし、魚が苦手でもタンパク質はお肉で取ることができます。しかしそうはいっても、栄養の面だけでなくいろんな食材の味を楽しめる子になってほしいですよね。今回はこの偏食改善のヒントをお伝えしようと思います。
まず一つ目は「一緒に子どもと話をしながら食べよう!」です。いわゆる共食ですね。食事の問題は、その根本に「食事が楽しいかどうか」ということが大きく関わっています。まず最初の第一歩は「食事は楽しい!」と思わせてあげることだと思います。子どもの話をできるだけ聞いてあげて、楽しい雰囲気で食事をしてあげてください。子どもの偏食を研究した論文には「食事中の会話が大人中心の場合には嫌いなものが多くなる傾向にあった」と報告しているものもあります(東海女子短期大学紀要「偏食を生み出す要因に関する研究」、2000年)。「いただきます」などのあいさつをきちんとすることや、お箸の持ち方をきちんと教えることも、偏食を防ぐ要因になりうることが分かっています。
二つ目は「声掛けをしましょう!」です。もちろん、皆さん声掛けをされていると思いますが、使うキーワードを意識していただきたいのです。声掛けについて研究した論文があります。この研究によると、最も偏食が少ないのは「感謝」の声掛けが多い家庭でした。「食べ物に感謝して食べようね」「食べ物にも命があるんだよ」などの食べ物への感謝です! しかも「食べないと大きくなれないよ」や「嫌いだったら食べなくていいよ」などの声掛けは、逆に偏食を促進するという結果になっているんです(京都女子大学発達教育学部紀要「食卓の雰囲気と母親の言葉かけの特徴が児童の偏食に及ぼす影響」、2012年)。
子どもたちは、強制されたり叱られたりすることを苦痛に感じているのかもしれません。給食で食べ残しが許されず、食事という行為そのものが嫌いになってしまう子もいます。でも、「嫌いならいいよ」と簡単に許すのは、なんの解決にもなりません。ヒステリックに叱ったり、感情的にならず、優しく促してあげることが一番なんだと思うのです。とにかくポジティブに促すことを心掛けてください。そして、苦手なものを食べられたらたくさん褒めてあげてください。その食卓の雰囲気こそが、きっと子どもたちを前向きで明るい子に育ててくれるのだと思います。実は偏食改善のヒントは、思いがけないところに、まだまだたくさんあります。続きは次回にしたいと思います。まずは、「諦めない、叱らない」ことから意識してみてください。
(2020年4月18日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で13日から15日にかけて、例大祭が営まれた。新型コロナウイルス感染症の影響で一部中止、規模縮小となったが、最終日の15日の渡御祭(とぎょさい)では、御霊(みたま)を抱えた九鬼宮司と時代行列が社殿から旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで練り歩いた。最後は熊野修験道による「採燈大護摩(さいとうおおごま)」も執り行われ、新型コロナ終息が祈願された。
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例大祭は、主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオノミコト)の故事に倣う祭典とされる一年の豊穣(ほうじょう)を願う祭り。
15日午前は本殿前において神職や氏子総代など関係者のみが参列し、本殿祭が営まれた。
この日は特別に新型コロナ終息を願い、疫病よけとして、力強く太鼓をたたきながらの「大祓詞(おおはらえのことば)」が唱えられた。
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渡御祭では新型コロナの感染拡大防止の観点から、中学生による大和舞や巫女(みこ)舞、御田植神事なども中止となった。例年400人が参加した行列も40人ほどに縮小となったが、「挑花(ちょうばな)」と呼ばれるチョウを付けた菊の造花が祭りに花を添えた。
また、御霊を移す神輿(みこし)も中止となっため、今回は「厨子(ずし)」と呼ばれるヒノキ製の箱に御霊を移し、九鬼宮司が抱え渡御した。この形式での渡御は初だという。大斎原に到着後は宮司が祝詞を奏上し、参列者らが玉串をささげた。
その後、熊野修験道による「採燈大護摩」が行われ、参列者の家内安全や、コロナウイルスの終息が祈願された。
九鬼宮司は「コロナにによって現在、国難といわれる状況になっている。飲食業や宿泊業などさまざまな業種の方々も生活が戻るように頑張っている。皆さま方の思いを受けながら今回の祭りは祈り一辺倒でさせていただいた」。
来年の例大祭については「祭りは地域活性化につながる大きな行事。来年は今まで以上に力強い祭りにできれば」と語った。
(2020年4月17日付紙面より)
総務建設委員会でコロナ対策 (新宮市議会 )
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が15日、市役所であった。4人の議員が出席し、全国的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症に対する市の対応などについて質問した。
三栗章史委員は、市庁舎内で感染があった場合、部署が閉鎖になる可能性があるとし、対策について質問。当局は、職員から感染者が出た場合や濃厚接触者と判明した場合、所管事務が滞らないように業務を継続していくとしながらも、多数の感染者が出る可能性を想定し、課を2班に分けて勤務する準備を進める必要があるとした。
市におけるマスク不足に対して当局は「市でも在庫がなく職員には個人で負担してもらっている。市民に配布できる備蓄もない」と理解を求めた。
上田勝之委員は▽感染予防、防止▽感染者が発生した場合の対応▽経済的困窮者への支援―について質問した。感染防止の観点から、ゴールデンウイークに他府県から帰省する人に対して2週間の自宅待機を強く要請するメッセージを出すべきと提言。市長から簡潔に広く市民に訴えかけるべきとした。
紀宝町の備蓄用マスクの配布や那智勝浦町の事業所に対する消毒液の配布などを挙げ「市からの発信が市民の不安解消につながるように早急な対応を」と求めた。
生活困窮者に対する国の支援制度について「方向性が定まれば市役所は混乱するのではないか。支給に該当しないケースも出てくるし書類も煩雑する可能性がある」。これに対し田岡実千年市長は、17日から市役所別館に相談窓口を開設することを報告した。
静岡県御殿場市が、損失額を保証した上で市内のバーなどに対し休業要請したことを例に挙げ「市として支援、助成のために思い切った対策を」と訴えた。田岡市長は「市内1800軒の商店、1000軒の飲食店に支援をするのは市の体力ではなかなか難しい」とし、国が打ち出す経済施策に期待したいと述べるにとどまった。
固定資産税などの支払い猶予や減免を望む意見に対して、当局は国では地方税法の一部改正を予定しており、全ての地方税を対象に徴収猶予や減免措置が設けられるなどと説明した。田岡市長からは水道料金の支払期間の猶予を水道事業所に指示をしているとの報告があった。
竹内弥生委員は、緊急事態宣言発令後の先週末、夜のまちに大勢の人が湧いていたと聞いたと危惧。「ストレスや自粛疲れなどで人があふれてくるのは必然。その第一波はゴールデンウイークで次はお盆時期と考える。他府県から帰省してきた人たちに対し、再度強く2週間の自宅待機を促すべき」と強く要望した。
また、夜の飲食店において「飲食店は消毒液さえあれば工夫をしながらなんとかやっていけるが接近を伴う夜の店は難しい。お金があれば休業できるという個人事業主も多い」と述べ、相談窓口でのしっかりした誘導と、飲食店に対する消毒液の配布を求めた。
福田委員長は「市民の安全を守るために相談窓口は土日いつでも対応できるようにしていただきたい」と要望し、市民に対する情報の発信を含め、できることは早急に対応をと呼び掛けた。
委員らからの意見を受け、田岡市長は飲食店など市内事業所に対して、除菌効果のある次亜塩素酸ナトリウムの希釈液を配布すると明言。16日実施の市新型コロナウイルス感染症対策本部会議で方向性を定めるとした。
(2020年4月17日付紙面より)
本年度2回目のアユ放流 (古座川漁協 )
古座川漁業協同組合(大屋敏治組合長)が16日、本年度2回目となる稚アユ放流に取り組み500㌔を管内流域各所へ分散して放った。
この放流は、アユ資源の安定増強を目的とした県内水面漁業協同組合連合会委託事業の一環。同組合は例年並みの天然遡上(そじょう)に対し基準量1・5㌧を設定し、これを2回に分けて管内流域に放っている。
2回目は古座川町内の児童に体験提供する形が恒例になっていて、事前に呼び掛けたところ新型コロナウイルス対応に伴う制約がかかる中、県道を挟んだ向かいにある清流・古座川を生かしたふるさと学習を計画する同町立明神小学校(速水和美校長、児童10人)が学習の足掛かりとするため提供を希望した。
同校前の河原で組合員らと合流した児童は、井口一副組合長のあいさつを受け持参したバケツで体長10㌢弱のアユを預かって静かに川へ注ぎ放った。
高学年はホースを使って行う放流も経験。大西泰平君(5年)は「今年のアユは前より大きかったけどあまり跳ねなくておとなしかった。元気に、健康に育ってほしい」と話し、川で群れるアユを見送った。
本年度の天然遡上はここ数年では平年並みで、放流量は1・5㌧として今後の状況を見るという。児童は今後も同組合に釣りなどを教わる予定で、井口副組合長は「大きくなってまた古座川で遊ぶ時に『こういうことあったなー』という思い出をしっかりとつくってもらえれば。アユが遡上できる自然豊かでふるさとの誇りでもある古座川。これからも古座川漁協として引き続き保全に頑張っていきたい」と子どもの今後に期待しつつ語った。
同漁協は本年度もアユ漁(友釣り漁)の解禁日を6月1日(月)と設定して準備を進めている。
(2020年4月17日付紙面より)
萩千取美惠さんが箏曲奉納 (熊野速玉大社 )
新型コロナウイルス感染症の終息を願い、和歌山市在住の萩千取美惠(はぎちどり・みえ)さんが15日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で箏(そう)曲と唄を奉納した。
萩千取さんは幼い頃から箏(こと)と三味線を習い、生田流京都當道(とうどう)会萩延(はぎのぶ)会の萩侑加代子さんに師事。世界平和を祈って熊野地方を中心に各地の神社で演奏し、古曲を伝承する活動を続けている。
熊野地方を訪れたのは14日で、毎月15日の月次祭(つきなみさい)に合わせて飛び込みで奉納することとなった。「若菜献饌」「春の曲」「千鳥の曲」を演奏し「今日は周囲に人がおらず、自然と一体になり、神様が聴いてくださっていると感じることができた」と語った。
上野宮司は「すがすがしく、素晴らしい演奏だった」と評し「人に聞かせるために演奏するのと、神様に奉納するのは全く次元の違うこと。この場所で演奏するのはひとしおで、熊野速玉大社は神気一体となり、魂をよみがえらせる地。われわれも新型コロナが終息するよう、祈っております」と感謝した。
(2020年4月17日付紙面より)
熊野那智大社で「桜花祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「桜花祭(おうかさい)」を営んだ。桜の花のかんざしを挿した巫女(みこ)が那智の滝前で「浦安の舞」を優雅に奉納した。
平安時代に花山法皇(968~1008年)が那智山で千日間の山ごもりをした際に、「木のもとをすみかとすればおのづから花見る人となりぬべきかな」と桜の美しさを詠んだという故事にちなんだ祭典。
神事は本社拝殿と別宮飛瀧(ひろう)神社斎場でそれぞれ営まれた。宮司以下神職の烏帽子(えぼし)や巫女の髪飾りにはサクラの小枝が付けられ、長さ約1㍍のヤエザクラの枝を幣帛(へいはく)として奉献した。
男成宮司は祝詞の終わりに新型コロナウイルスの一日も早い終息を祈願し「いろいろなところに大きな影響が出ていますが、季節はいつもと同じように新緑の美しい時季になりました。自然をめでる気持ちと希望を持ち、落ち着いた行動を取っていただければと思います」と話していた。神事の後、参列者には桜餅が振る舞われた。
(2020年4月15日付紙面より)
民間ロケット発射場周辺地域活性化協議会 (那智勝浦町 )
串本町で建設が進む民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」周辺の行政機関や関係団体などで組織される「民間ロケット発射場周辺地域活性化協議会」(会長・下宏副県知事)の第2回通常総会が13日、那智勝浦町の体育文化会館であった。17人が出席し、ロケット打ち上げ時における周辺地域の交通対策について中間報告が行われた。
同協議会は初の打ち上げとなる2021年に向け、見学場の整備や想定される渋滞への対策について協議するため、昨年10月21日に設立された。
総会には下会長をはじめ、田嶋勝正串本町長、堀順一郎那智勝浦町長らが出席。下会長は新型コロナウイルスに触れ、県の状況などを報告した。ロケットについては「令和3年中に1号機の打ち上げを計画している。見学場の設置や想定される渋滞対策について交通対策部会が議論している。今回は中間報告についてご意見を頂きたい」とあいさつした。
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同協議会内には警察や国、町観光協会などのメンバーで構成される交通対策部会があり、これまで3回、課題解決に向け対策を協議してきた。鹿児島県肝付町でロケットが打ち上げられた際のデータを基に、串本町でのロケット1機目の打ち上げ時には2万人の来訪者と自動車8000台が訪れることを想定しているという。
江住中学校前交差点(すさみ南IC出口)および、市屋交差点(那智勝浦新宮道路出口)を先頭に、両道路や国道42号では潮岬西入口と東入口交差点(大島入り口部分)から橋杭岩信号間の串本町の町中、ロケット射場と公式見学場付近での渋滞発生も課題となりそうだ。
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県では▽事前予約制で有料の公式見学場を用意する▽マイカーではなく、公共交通機関(鉄道)やパークアンドライドによる移動を前提とする▽公式見学場予約者以外のマイカー来訪者による渋滞緩和のため、看板や中継車などによる交通誘導を行い、「全体的な交通量の抑制」「42号線における来訪自動車の通過交通の円滑化」―などを対策として行う方針だ。
県商工観光労働部企業政策局産業技術政策課の柴田和也課長によると、予約客以外の来訪者に対し、「渋滞緩和を目的に抑制しすぎるのは地域のためにならないという意見もあった」。「各地域の観光資源とどう組み合わせていくかが重要だが、問題となる渋滞対策を進める必要がある」と見解を示した。
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有料の公式見学場については、現在那智勝浦町が旧浦神小学校の見学場整備を進めており、基本計画策定のために予算300万円を先月の町議会定例会で計上し可決された。
県によると、見学場には来訪者が見学しやすく、輸送しやすい立地が必要だという。同町だけでなく、射場が建設される串本町でもロケットの見学に絡めたさまざまなオプションの検討や見学場の構想があると説明した。
(2020年4月15日付紙面より)
300㌔超えの大物など55本水揚げ (勝浦地方卸売市場 )
国内有数のマグロはえ縄船の基地、那智勝浦町の勝浦地方卸売市場で13日、300㌔を超える大物を含めクロマグロ(本マグロ)55本が揚がった。前日分を合わせると30隻以上の入港船があった。
同市場一日の水揚げでは、近年まれに見るクロマグロの本数となったものの、国が7日に発表した7都府県の緊急事態宣言の影響からか高級魚のクロマグロを筆頭に需要が冷え込んでいる。
和歌山県漁業協同組合連合会(JF県漁連)勝浦市場の太田直久市場長は「全体の相場は4月初めまで安定していましたが、先週中頃から下がり出し、メバチ、キハダも安いですね」と話す。一方、スーパーなどで出回ることの多い大衆魚のビンチョウマグロは比較的高値で取引されている。
クロマグロを買い付けた仲買人からは「歴史的な安値になった。質も良いのに料亭やすし屋が営業していないから売れない。ビンチョウと変わらない値段で出回るかも」などの声が多くあった。同市場関係者らは「せっかく漁師さんが苦労して釣ってくれた本マグロ。今こそ産地の家庭で食べてもらえれば」と地元での消費を呼び掛けている。
(2020年4月15日付紙面より)
御幸町全龍寺線で (新宮市 )
新宮市新宮の本廣寺近くの道路が13日午後、陥没した=写真。陥没直前にオートバイで現場脇を通過した40代男性は「通過して2、3秒後にドカーンとすごい音がして、振り返ったら大きな穴が開いていた。驚いた」と興奮混じりに話す。
男性によると、通過中から道がへこんでいると感じたとのこと。道路が落ちる音に驚いた近隣住民が次々に家から飛び出してきたという。道は駐車場に面しており、車で道に出ようとしていた別の男性は「危ないとは思っていたがまさか道が落ちるとは」と驚きを隠せない。
市によると、もともとアスファルトにクラック(ひび)があり地面が下がっていたことから、3月末から同所を通行止めにしていた。最近の調査で床版の亀裂が目立っていたことなどを受け、市は6月の補正予算に工事費を盛り込む計画を立てるとともに、鉄板で道の補強を予定していたという。
現在のところ対応は決まっておらず、落ちたアスファルト片を早急に撤去するとともに、人が通行できるように処置を急ぐ方針だ。
(2020年4月15日付紙面より)
拳武館新宮空手道スポーツ少年団代表・青山富男さん
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の例大祭が13日、始まった。今年は新型コロナウイルス感染症拡大の状況を鑑み、規模縮小、一部中止の上斎行。「湯登(ゆのぼり)神事」で厳かに幕を開けた。
同社例大祭は、主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ=スサノオノミコト)の故事に倣う祭典とされる一年の豊穣を願う祭り。毎年、地元住民や多くの観光客が参加・参列し、春の同町を盛大に彩る。
祭りの始まりを告げる「湯登神事」は、湯の峰温泉で身を清めた稚児の頭に神を降ろす神事。和歌山県の無形民俗文化財の指定を受けている。額に神が降臨した証しである「大」という文字を書かれた稚児らをウマ役の父親が背負い、湯の峰での神事の後大日越えを果たす。
今年は主人公の稚児の参加を見合わせ、神職や氏子総代、修験道ら約20人で実施。祭り斎行に当たり、九鬼宮司は「熊野は甦(よみがえ)りの地の意味合いの深い場所。コロナウイルスの及ぼすこの状況を打破し、笑いの絶えない平安な日が戻るように祈りたい」と願いを込め、同大社を出発した。
行列は太鼓とほら貝に合わせ神歌を歌いながらまちを歩き大日越えを執り行った。
祭りは15日(水)の渡御祭(とぎょさい)、採燈大護摩まで続く。
(2020年4月14日付紙面より)
「たなか家の日常」ユーチューブで発信
新型コロナウイルスにより深刻な被害を受けているアメリカ・ニューヨークから明るい話題が届いた。ニューヨークに移住し5年が経過した太地町出身で同町観光大使の書画家・田中太山さんが10日、ニューヨークを拠点に活動するアーティストらと共にYouTube(ユーチューブ)で4コマ漫画「たなか家の日常」の配信を始めた。
制作メンバーは田中さんのほか、俳優・市村正親さんの弟子で自身も俳優の大久保全也さん、音楽家のTomoさん。田中さんが絵を、大久保さんが声を、Tomoさんが音楽をそれぞれ担当した。
内容はブルックリンに住む家族の日常をほのぼのと描いたもの。田中さんは「明るい気持ちで人々が生き続ければ未来はきっと明るいものになる。そういう思いを込めてこの4コマ漫画を作りました。子どもから大人まで楽しめるこの4コマ漫画を通して見る人たちの心が明るくなればうれしい」と語った。
なお、毎週土曜日午前8時に新しい漫画が配信されるという。
(2020年4月14日付紙面より)
那智山青岸渡寺で開山祭 (那智勝浦町 )
西国第一番の観音札所である那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮享住職)で12日、開山祭献茶法要会が営まれた。本尊の如意輪観世音菩薩を開帳し、同寺の開祖とされる裸形上人をしのび、髙木住職らが読経し茶が供えられた。また、この日は世界各地で影響を及ぼす新型コロナウイルスの終息もともに祈願した。
開山祭は約1600年前にインドから渡来し、那智の滝で修行したと伝えられる裸形上人の遺徳をたたえるため、1949年に始まった。
毎年、茶道愛好家の女性が多数参列し茶席も設けられるが、新型コロナの感染拡大予防から今回は中止となった。献茶式は表千家と裏千家が1年交代で奉仕しており、今年は茶道表千家流音無会(筑紫充代代表)の桝田ゆうさんが献炭と献茶を務めた。
法要後、枡田さんは「お茶席が中止になってしまいさみしい。ウイルスが終息してほしいという思いを込め、務めさせていただきました」。
髙木住職は「開山を記念して、献茶をしていただいた表千家には感謝している。今年は裸形上人の供養に加え、コロナウイルスの終息を祈願しました」と語った。
(2020年4月14日付紙面より)
旧神田家別邸活用の2社に (串本町 )
串本町役場で13日、国登録有形文化財(建造物)の指定を受ける旧神田家別邸(稲村亭)に対する登録証とプレートの伝達式があった。同邸を所有する株式会社一樹の蔭(博多敏希代表取締役)と宿泊・飲食業で運用するwe株式会社(松岡庸一郞代表取締役)が田嶋勝正町長から伝達を受け、意気込みを新たにする節目をつけた。
この登録は平成8年の文化財保護法改正に基づく近代建造物のための制度。築50年以上が経過し造形に優れ再建が容易でない建造物などを対象に登録をし、修理時の設計監理費用の半額を国が負担するなどの公的支援をする仕組みとなっている。
同邸は明治7年建築。平成28年に元所有者の神田家が同町へ建物と土地を無償譲渡し、同町は活用を図るため30年に町域の古民家再生を担う株式会社一樹の蔭に建物は無償譲渡、土地は有償貸与の条件で引き継いだ。建物部分は現在、we株式会社(株式会社subLimeの分社)に貸し出し、内部改装を経て宿泊・飲食業(NIPPONIA HOTEL串本 熊野海道)で活用される状況にある。
建物は不漁に苦しむ旧有田村救済の返礼として住民が託したスギ材を建材に取り入れた2間や桟瓦葺きの屋根など、当時の端正な造りを今も宿す点が特色。昨年7月の文化審議会文化財分科会で有形文化財(建造物)候補とされ、12月の官報告示で正式登録となった。
伝達式には博多代表取締役と松岡代表取締役の代理で浅見和花さんが出席。田嶋町長は稲村亭を通して串本の良さを発信することを今後に期待し、博多代表取締役は「まさかこのような活用をされた後に登録されるとは想像していなかったのでうれしい」、浅見さんは「こういう雰囲気を楽しめるのがうれしいという言葉を頂いている。民話に含まれている点も掘り下げつつこれからも来る方々に魅力を伝えていきたい」とそれぞれ応えた。
町内における有形文化財(建造物)の登録は、樫野埼灯台旧官舎に続き2例目となる。
(2020年4月14日付紙面より)
飛鳥町小又の田んぼアート (近大新宮高校 )
熊野市の飛鳥地区まちづくり協議会が毎年実施している「飛鳥町小又田んぼアート」の11㌃の田んぼのデザインに近畿大学附属新宮高校美術部の二河さくらさん(3年)の「ハスとメダカ」をテーマにした作品が決定した。5㌃の田んぼは熊野市立飛鳥小学校の戸嶋かのんさんの「ねずみの三兄弟」に決まった。
田んぼアートは地域活性化などを目的に実施され、ビオトープ小又が管理運営を行う。これまでに和歌山県立新宮高校の生徒のデザインも選ばれたことがある。
アートは田んぼに「ゆきあそび」「黄大黒米」などの10種類の古代米を植えて描かれる。6月から8月中旬までが見頃で、田んぼの色が変化する光景を一目見ようと期間中は約2000人が来場するという。稲刈りは9月末に実施される。
二河さんはデザインについて「近くにはメダカやハスがあると聞いていた。満開に咲くハスとその中を力強く泳ぐメダカたちのようにこの地域が発展することを願って1週間ほどでデザインしました。できるだけ多くの品種を使ったので、色の変化を楽しんでほしいです」と説明。
「多くの色をどこに使うかを考えた。遠くから見てもはっきりと分かるように細かくなりすぎないように努力した。完成したら見に行きたいと思う」と語った。
同協議会の小畑貞文さんは「良い作品です。うまいこと描いてくれている。田んぼアートに適している」と二河さんのデザインを評価した。
事務局の杉本和巳さんは「全国的にも田んぼアートで古代米を10種類も使う所は少ないので小又のアートは色の評価も高い。二河さんのデザインは学生の新鮮な気持ちを表現してくれている。ありがたい」と語った。
(2020年4月9日付紙面より)
雨嶋トンネル(仮称)が貫通 (すさみ串本道路 )
現在建設中のすさみ串本道路雨嶋トンネル(仮称)が7日、約4カ月の掘削作業を経て貫通した。発注者・国土交通省紀南河川国道事務所の谷成二副所長ら担当職員もその瞬間に立ち会い、施工者・前田建設工業株式会社の現場作業員らと共に万歳三唱の声を上げて喜んだ。
この道路は、すさみ町江住と串本町串本を結ぶ延長19・2㌔の自動車専用道路として平成26年度に事業化され、おととし秋には工事用道路の設置が始まり現在は用地取得が完了した区間から順次本体工事の発注をする段階に差し掛かっている。国土交通省が先月31日に発表した本年度予算内では直轄事業の一つに数えられ、事業費98億円を計上しているところでもある。
同日現在の計画にあるトンネルの数は16本。うち8本が発注済みで、雨嶋トンネルと二色トンネル(仮称)の2本が先んじて掘削作業に差し掛かっていた。
雨嶋トンネルの設計値は延長225㍍、幅員12㍍。昨年3月の発注以降、工事用道路や坑口の取り付けなど段取りを進めて12月に掘削作業へと入った。すさみ町里野方向から串本町和深方向を目指す片掘りで貫通を目指し、二色トンネルより若干早く貫通の瞬間を迎える形になった。
この日の掘削作業は重機で実施。施工者と発注者が距離を取って見守る中、2分ほどの削岩を経て1㍍程度の貫通孔が開いた。坑内に陽光が差し込むや万歳三唱で歓喜し、ただちに清めの儀を営んで貫通を祝うなどした。
雨嶋トンネルは今後も工程を進め、本年度中に道路としての形が仕上がる予定。他方、二色トンネルも貫通目前のところまできているという。同道路初となるトンネル貫通の瞬間を見届けた谷副所長は、このように道路としての形が見えてくる状況が今後の進み具合の好刺激になることを期待しつつ「まだ用地(取得)の部分が残っているので具体的にいつとはお知らせできないが、地元の皆さまのご期待に添えるよう一日でも早い開通を目指し、かつ安全に事業を進めていきたい」と思うところを語った。
(2020年4月9日付紙面より)
市内5小学校の187人へ (新宮市土建協同組合 )
新宮市土建協同組合(松根康隆理事長)は8日、市内5校の新小学1年生187人に防災頭巾220個を贈呈した。市役所別館で贈呈式が行われ、松根理事長らが「子どもたちの命を災害から守るために役立ててください」と速水盛康教育長に手渡した。
市立の小学校では、かつて児童らは教科書を頭に乗せて守り、避難訓練に取り組んでいた。組合は2010(平成22)年5月に創立60周年記念で、逃げるときに両手を使うことができればより安全と市内小学校全児童に防災頭巾を贈呈。「さまざまな工事において、音やほこりなどで迷惑を掛けている市民に対して何かできることがあれば」との思いもあったという。小学校生活を通して使用できるようにと翌年から毎年新1年生に贈り続けており、今回で11年目になる。
速水教育長は「今年は新型コロナウイルス感染症対策で学校が臨時休業になるなどのさなか、明るい話題を提供してくれた。われわれも防災に対して意識を高め、気を引き締めながら気持ちを新たにしていきたい」と感謝を述べた。
(2020年4月9日付紙面より)