PTA連合会で高部知子さん講演 (那智勝浦町 )
新宮・東牟婁PTA連合会は10日、那智勝浦町体育文化会館で講師に精神保健福祉士の高部知子さんを招き教育講演会を開催した。同町PTA、同町青少年センターが共催。高部さんはテレビドラマ『積木くずし』などの出演で知られるが、芸能界引退後に慶應義塾大学を卒業。認証心理士、浄土宗の教師などの資格も持つ。「共に生きるということ」を演題に依存症を中心に語った。
高部さんは「依存症は覚醒剤、大麻などがまず挙げられ、自分とは関係ないと思ってしまいがちですが、誰もが患うかもしれない身近な疾患」と語り、特にアルコール依存症についての危険性を訴えた。覚醒剤は、やせられる薬として肌に貼る「パッチ」が出回り、若い女性が使ってしまう例も増えているという。薬物依存の治療は対応する精神科にかかることが大切で、治療が遅れたり、知識のない病院にかかったりすると悪化すると指摘した。
依存対象との出会いは10代が多く、原因となるのは怒鳴る、拒絶するなどの心理的な虐待が一番多いが、「実は過干渉も多いのです。面倒を見過ぎ、期待され過ぎ、かまわれ過ぎてつらかったと話す子どもがいます」と話した。依存症の治療後に使ってはいけないとされる「3D言葉」も紹介。これは相手を否定する「でも」、言い訳の「だって」、後ろ向きな「どうせ」の三つ。「子どもとの会話で、3D言葉を使っていないでしょうか」と話した。
依存症になった子どもは▽自信が持てない▽人を信じられない▽本音を言えない▽見捨てられ不安が強い▽孤独で寂しい―この五つの言葉を必ず挙げるという。「依存症は病気です。必ず精神科へかかってください。一対一で向き合うとお互い大変です。当時者を囲む応援団を作りましょう。そして、継続的に関わっていきましょう」と呼び掛けた。
高部さんは講演の最後にサン・テグジュぺリの小説「星の王子さま」の「愛とは互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」という言葉を紹介。「恋愛でも家族でもそうですが、互いを見つめ合ってしまうと欠点が見えて気になって、問題が出てきます。共に生きるこつは、一緒に正面を見て、同じ方向を向いていくこと」と話した。
(2017年12月13日付紙面より)
新宮労基が勝浦市場で (那智勝浦町 )
繁忙期を迎える那智勝浦町築地の勝浦卸売市場で11日、新宮労働基準監督署(森美大署長)が和歌山県漁業協同組合連合会(木下吉雄会長)と合同で作業安全パトロールを実施した。
管内の休業4日以上の労働災害は10月末現在で前年同期比約28%増となっている。増加傾向が顕著な製造業に対する取り組みとして、勝浦市場には多くの事業者が集まることから、実施場所に選ばれた。
パトロールは、転倒災害防止とフォークリフトなどの荷役作業の安全確保に重点が置かれた。同署の職員らは、市場周辺のフォークリフトを一台ずつ点検し、運転免許証と特定自主検査を受けているかなどを確認。歩行者と混在する場所での運転注意や荷の結束などを呼び掛けた。転倒防止については、傾斜などで転倒しやすい場所へのステッカーや看板などによる注意喚起を促した。
森署長は「慣れによる不注意に気を付けて、基本手順を周到してもらうよう声を掛けた。今日の実施内容を各事業者が自分の店や工場に持ち帰り展開してもらえれば」と話した。
(2017年12月13日付紙面より)
串本町で世界遺産セミナー (県世界遺産センター )
和歌山県世界遺産センター主催講座「第4回世界遺産セミナー」が10日に串本町文化センターであり、20人が近代建造物を後世に残す上で大事な視点を考える機会を得た。
このセミナーは、「紀伊山地の霊場と参詣道」の良好な保存と適切な活用を円滑に進める目的で平成19年度から実施。本年度は九度山町、上富田町、橋本市、串本町の4会場を計画し、この日はその最終の開講にあたる。
講師は元県教育委員会文化遺産課保存班長でもある建築史家・西山修司さん。「熊野地域の魅力あふれる近代の建造物」を演題に掲げて登壇し、世界遺産とともに近代建造物も良好に残すべきという視点で一石を投じた。
近代建造物は幕末から昭和初期にかけて作られた近代(西洋)建築、近代和風建築、近代化遺産を包括する用語で、西山さんは▽稲村亭・潮岬灯台・樫野埼灯台(串本町)▽互盟社・司馬遼太郎別荘・北大演習林庁舎(古座川町)▽懸泉堂・紀南教会(那智勝浦町)▽旧西村伊作邸・旧チャップマン邸・旧新宮郵便局(新宮市)▽山口家住宅(北山村)―などの物件があることを紹介。
これらを残すべきとする理由を観光客と地域住民の両視点から探り、『物件に宿る歴史や文化を住民が大切にすることが地域の誇りにつながり、その先に観光が見えてくる』という一筋道が考えられることを示唆した。
他方、近代建造物には必ず所有者がいて、残すにあたっては所有者の気持ちをくむ姿勢が何より大事だと意見。所有者もつぶしたくないから近代建築物が残っているが、維持管理が限界に達すれば所有者の判断でぱっと消えてしまうことも起こる。そうなる前に残したいと考える地域の人は①早く声を上げ②皆で支える体制を作り③所有者の尊厳を(第一に)守る―という動きをすべきだとした。「そのような住民の動きは、学者がいくら意見しても動かない行政をじっとしていられなくする」とも述べ、いかに住民の動きが大事かを諭しながらこれからの実践を促した。
(2017年12月13日付紙面より)
新宮市徐福の徐福公園の楼門が11日夜から赤、青、黄などとさまざまな色に変化し、幻想的な雰囲気を醸し出している=写真。来年1月10日(水)まで。
徐福とつながりの深い阿須賀神社が世界遺産に追加登録されたことを記念して昨年初めて実施。新宮市出身の空間デザイナー畑秀樹さんの演出で、発光ダイオード(LED)の照明器具を使用している。
楼門は普段からライトアップされているが、この時季限定で時間とともに色が変化するよう設定。時間は午後5時30分から9時まで。
同公園の昨年度の来園者は3万802人。設置した市商工観光課は「クリスマスムードを盛り上げるとともに年末年始に増える観光客や帰省客に喜んでもらえれば」と話している。
(2017年12月13日付紙面より)
県高校空手道新人大会兼近畿大会予選