6日間の休業に入る
官公庁で28日、仕事納め式があった。各首長らが職員たちの一年の労をねぎらい、新年からのさらなる活躍に期待の言葉を掛けた。ほとんどの官公庁は来年1月3日(水)まで6日間の休業となっている。
新宮市役所で行われた式には屋敷満雄市議会議長、濵田雅美副議長をはじめ職員約60人が出席。田岡実千年市長はあいさつで、新庁舎完成や10月の台風災害、市長選を振り返った。「市政は市民のために」は職員一人一人がしっかりと業務を達成することで必ず実現するとし、「人は何のために生きていかれるのか」に対する哲学者の故・森信三さんの答えを紹介。「自分なりに解釈すると『人はどうすれば幸せに生きていかれるのか』で、答えは『自分の仕事を通して人や社会のために役立つこと』だと確信している。しっかりと仕事をし、生き生きと幸せに暮らせる好循環な社会を新宮市役所から発していきたい」と呼び掛けた。
小谷充総務部長が今年一年に実施した主な事業などを紹介。向井雅男副市長は閉式の辞を述べ、最後は一本締めでお開きとなった。
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那智勝浦町では、役場2階の大会議室で仕事納め式が開かれた。
町歌斉唱後、町職員約80人を前に、寺本眞一町長が訓示した。職員にねぎらいの言葉を掛け、町長職2期8年間を振り返った。「いろいろな事業を駆け足で進めた中、可もなく不可もなくやってこられたのは皆さんのおかげだと思っている。今後も町を背負っていく立場として、他がより秀でて見えた時は本人が克服しなくてはならない。努力次第で職場も花開く。より信頼される役場になるように頑張って。退いた後は、町民として皆さんの活躍を期待しながら見守る」と話した。
植地篤延副町長は、閉庁中の諸注意として「年末年始は行事も多いかと思うが、気を緩めず町職員の職責をしっかり自覚して飲酒や事故のないように」と求めた。
(2017年12月30日付紙面より)
消防本部と消防団が年末警戒 (新宮市 )
市民たちが安心して新年を迎えることができるようにと新宮市消防本部(海野裕二消防長)と新宮市消防団(竹内由定団長)は28日から、年末警戒にあたっている。30日までの3日間、午後8時から午前0時まで市内を巡視する。
火を使用する機会の多いこの時季に毎年実施している。市消防本部は市全域、消防団は各分団の担当地区で巡視や防火広報に取り組んでいる。初日の28日には午後7時から市消防本部、同7時45分から熊野川消防出張所で出陣式があった。
市消防本部での出陣式には、旧市内七つの消防団から計50人が参加。整列した団員たちを前に田岡実千年市長は「火災の発生しやすい状況であると思うので3日間よろしくお願いします」と述べ、1年間の活動に感謝した。
屋敷満雄市議会議長が「警戒に当たっては体調管理に留意され、市民の皆さんが良き新年を迎えられるようよろしくお願いします」。濱口太史県議が「火事は気を付ければ防げる。新宮市民の安心安全のために、皆さんの活躍は必要なこと」。谷本克也新宮警察署長が「年末に火災が発生することのないよう、万が一発生した際は迅速、的確な対応で、警察と一緒になって活動していただきたい」と激励した。
式後、団員たちは消防車両に乗り込み、市長らに見送られる中、担当地域へ出発した。竹内団長は「各分団、地域の皆さまに防火意識を高めてもらいたい」と話していた。
(2017年12月30日付紙面より)
水族館Bゾーンで展示始まる (串本海中公園 )
串本町有田にある串本海中公園センター水族館(野村恵一館長)で28日、史上最大のウミガメ「アーケロン」の実物大彫刻模型の展示が始まった。新春から始まる企画展「アーケロン・プロジェクト」の象徴展示物で、野村館長は「予想以上の出来栄えで感激している。触れながら大きさを実感してほしい」と呼び掛けている。
「アーケロン」は今から約6000万年前、恐竜時代最終期(中生代白亜紀後期)に生息していた種。ウミガメ類の遠い祖先にあたり、すでに絶滅しているが化石の出土で存在が知られている。
野村館長(59)は一昨年の夏ごろ、企画展の構想を練る中で田辺市龍神村に工房を構えるチェーンソーアーティスト・城所ケイジさん(48)とのタイアップを着想。「やるからには大作を」と希望した城所さんに対し、野村館長が「ならばアーケロンだ」と答えたことでこの模型の製作が動き始めた。
城所さんは今回、自身で調達した大ぶりの紀州杉4本から削り出した各パーツを組み合わせ、全長3・7㍍、全幅4・6㍍、全高1㍍の巨体を復元。最大のパーツとなる甲羅には古座川町産の紀州杉などを用いた。今年9月25日から各パーツの荒削りを始め、本制作前に野村館長と共に名古屋港水族館にある国内最大の骨格レプリカ標本を観察し、既存のフィギア模型を肉付けの参考にして高めた生体のイメージを11月24日以降の本制作で投影した。「生きたアーケロンの姿を木で再現するために全力を尽くし、今の自分なりにいいものが作れたと感じている」と出来栄えを語る。
着想から2年余りの月日を経て形になった模型を見て野村館長は「過酷な恐竜時代を生き抜いたカメだと実感できる重要な展示物で、お客様にも必ず感動してもらえると思う。骨格やそのレプリカは世界中で展示されているが、実物大で生体を復元した模型は少なくとも日本ではここだけだと思う。カメ好きや恐竜好きの方はぜひ見てほしい」と話した。
母体となる企画展は来年1月1日(月)から2019年12月29日(日)まで、同館Bゾーンで開かれる。「アーケロン」の生態と共に遠い子孫の現在のウミガメ類もまた絶滅の危機にひんしている状況を伝える内容で、野村館長は同模型をシンボルにしてウミガメの展示、繁殖、保全に力を入れる水族館としていっそうの保全活動に取り組みたいと意気込んでいる。
同館は年中無休で、営業時間は午前9時~午後4時30分(夏季は午後5時まで)。入館料は大人1800円、子ども800円、幼児200円となっている。問い合わせは同公園センター(電話0735・62・1122)まで。
(2017年12月30日付紙面より)
PTA連合会で高部知子さん講演 (那智勝浦町 )
新宮・東牟婁PTA連合会は10日、那智勝浦町体育文化会館で講師に精神保健福祉士の高部知子さんを招き教育講演会を開催した。同町PTA、同町青少年センターが共催。高部さんはテレビドラマ『積木くずし』などの出演で知られるが、芸能界引退後に慶應義塾大学を卒業。認証心理士、浄土宗の教師などの資格も持つ。「共に生きるということ」を演題に依存症を中心に語った。
高部さんは「依存症は覚醒剤、大麻などがまず挙げられ、自分とは関係ないと思ってしまいがちですが、誰もが患うかもしれない身近な疾患」と語り、特にアルコール依存症についての危険性を訴えた。覚醒剤は、やせられる薬として肌に貼る「パッチ」が出回り、若い女性が使ってしまう例も増えているという。薬物依存の治療は対応する精神科にかかることが大切で、治療が遅れたり、知識のない病院にかかったりすると悪化すると指摘した。
依存対象との出会いは10代が多く、原因となるのは怒鳴る、拒絶するなどの心理的な虐待が一番多いが、「実は過干渉も多いのです。面倒を見過ぎ、期待され過ぎ、かまわれ過ぎてつらかったと話す子どもがいます」と話した。依存症の治療後に使ってはいけないとされる「3D言葉」も紹介。これは相手を否定する「でも」、言い訳の「だって」、後ろ向きな「どうせ」の三つ。「子どもとの会話で、3D言葉を使っていないでしょうか」と話した。
依存症になった子どもは▽自信が持てない▽人を信じられない▽本音を言えない▽見捨てられ不安が強い▽孤独で寂しい―この五つの言葉を必ず挙げるという。「依存症は病気です。必ず精神科へかかってください。一対一で向き合うとお互い大変です。当時者を囲む応援団を作りましょう。そして、継続的に関わっていきましょう」と呼び掛けた。
高部さんは講演の最後にサン・テグジュぺリの小説「星の王子さま」の「愛とは互いに見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」という言葉を紹介。「恋愛でも家族でもそうですが、互いを見つめ合ってしまうと欠点が見えて気になって、問題が出てきます。共に生きるこつは、一緒に正面を見て、同じ方向を向いていくこと」と話した。
(2017年12月13日付紙面より)
新宮労基が勝浦市場で (那智勝浦町 )
繁忙期を迎える那智勝浦町築地の勝浦卸売市場で11日、新宮労働基準監督署(森美大署長)が和歌山県漁業協同組合連合会(木下吉雄会長)と合同で作業安全パトロールを実施した。
管内の休業4日以上の労働災害は10月末現在で前年同期比約28%増となっている。増加傾向が顕著な製造業に対する取り組みとして、勝浦市場には多くの事業者が集まることから、実施場所に選ばれた。
パトロールは、転倒災害防止とフォークリフトなどの荷役作業の安全確保に重点が置かれた。同署の職員らは、市場周辺のフォークリフトを一台ずつ点検し、運転免許証と特定自主検査を受けているかなどを確認。歩行者と混在する場所での運転注意や荷の結束などを呼び掛けた。転倒防止については、傾斜などで転倒しやすい場所へのステッカーや看板などによる注意喚起を促した。
森署長は「慣れによる不注意に気を付けて、基本手順を周到してもらうよう声を掛けた。今日の実施内容を各事業者が自分の店や工場に持ち帰り展開してもらえれば」と話した。
(2017年12月13日付紙面より)
串本町で世界遺産セミナー (県世界遺産センター )
和歌山県世界遺産センター主催講座「第4回世界遺産セミナー」が10日に串本町文化センターであり、20人が近代建造物を後世に残す上で大事な視点を考える機会を得た。
このセミナーは、「紀伊山地の霊場と参詣道」の良好な保存と適切な活用を円滑に進める目的で平成19年度から実施。本年度は九度山町、上富田町、橋本市、串本町の4会場を計画し、この日はその最終の開講にあたる。
講師は元県教育委員会文化遺産課保存班長でもある建築史家・西山修司さん。「熊野地域の魅力あふれる近代の建造物」を演題に掲げて登壇し、世界遺産とともに近代建造物も良好に残すべきという視点で一石を投じた。
近代建造物は幕末から昭和初期にかけて作られた近代(西洋)建築、近代和風建築、近代化遺産を包括する用語で、西山さんは▽稲村亭・潮岬灯台・樫野埼灯台(串本町)▽互盟社・司馬遼太郎別荘・北大演習林庁舎(古座川町)▽懸泉堂・紀南教会(那智勝浦町)▽旧西村伊作邸・旧チャップマン邸・旧新宮郵便局(新宮市)▽山口家住宅(北山村)―などの物件があることを紹介。
これらを残すべきとする理由を観光客と地域住民の両視点から探り、『物件に宿る歴史や文化を住民が大切にすることが地域の誇りにつながり、その先に観光が見えてくる』という一筋道が考えられることを示唆した。
他方、近代建造物には必ず所有者がいて、残すにあたっては所有者の気持ちをくむ姿勢が何より大事だと意見。所有者もつぶしたくないから近代建築物が残っているが、維持管理が限界に達すれば所有者の判断でぱっと消えてしまうことも起こる。そうなる前に残したいと考える地域の人は①早く声を上げ②皆で支える体制を作り③所有者の尊厳を(第一に)守る―という動きをすべきだとした。「そのような住民の動きは、学者がいくら意見しても動かない行政をじっとしていられなくする」とも述べ、いかに住民の動きが大事かを諭しながらこれからの実践を促した。
(2017年12月13日付紙面より)
新宮市徐福の徐福公園の楼門が11日夜から赤、青、黄などとさまざまな色に変化し、幻想的な雰囲気を醸し出している=写真。来年1月10日(水)まで。
徐福とつながりの深い阿須賀神社が世界遺産に追加登録されたことを記念して昨年初めて実施。新宮市出身の空間デザイナー畑秀樹さんの演出で、発光ダイオード(LED)の照明器具を使用している。
楼門は普段からライトアップされているが、この時季限定で時間とともに色が変化するよう設定。時間は午後5時30分から9時まで。
同公園の昨年度の来園者は3万802人。設置した市商工観光課は「クリスマスムードを盛り上げるとともに年末年始に増える観光客や帰省客に喜んでもらえれば」と話している。
(2017年12月13日付紙面より)
県高校空手道新人大会兼近畿大会予選
アユ産卵場でふ化数増 (高田川 )
熊野川漁業協同組合(屋敷善一組合長、会員約1300人)が新宮市相賀の高田川に設置していたアユ産卵場で1日、ふ化が確認された。西哲司副組合長(66)は「昨年より数は多い。どれだけ帰ってくるか楽しみです」と期待している。
高田川へのアユの遡上(そじょう)は年々減っていたが、6年前の紀伊半島大水害で川底が激変し、追い打ちをかけた。アユは生まれた川へ帰ってくる習性があることから、組合は昨年初めて同地に産卵場を設置した。
今年は11月5日、重機で川に幅約20㍍、長さ約250㍍の穴を掘り産卵場を設置。組合員たちが周囲に鉄の杭(くい)を打ち込み、アユを狙うカワウ対策として網で囲った。11月10日に卵を持ったメスとオスの成魚合わせて約5000匹を放流していた。
今年は大水害以来、中止している高田川との合流点付近の熊野川本流への産卵場設置も予定していたが、濁水のため断念。西副組合長によると、川の石に泥がついているとアユが産卵しても流されてしまうという。
同組合は新宮市、田辺市本宮町、北山村の住民らで組織。毎年、高田川、赤木川、篠尾川、大塔川、四村川など熊野川支流に稚アユを放流している。今年は合計約4・1㌧放流した。猪飼三雄理事(75)は「とにかく稚魚を狙うカワウの被害が大きい。来年はたくさん遡上して、釣り人たちに喜んでもらいたい」と話していた。
(2017年12月8日付紙面より)
観光協会がカレンダー販売
那智勝浦町観光協会(花井啓州会長)は2018年オリジナル観光カレンダーを作成した。表紙を含め7枚つづり。一般公募した写真で作った。表紙は那智山の夜空を撮影した写真で、那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年の文字を入れている。
公募した写真でのカレンダー製作は昨年に続いて2回目。今回は全国から84点の応募があった。那智湾の日の出、熊野古道大門坂、勝浦漁港に水揚げされたマグロなどの美しい写真が採用された。観光協会では「那智勝浦を代表する魅力ある作品ばかりです。ぜひご利用を」と呼び掛けている。
1000部を発行し、一般販売の他、会員や取引のある旅行業者に配布する予定。1部税込み500円。希望者には郵送でも受け付ける。郵送の場合の送料は2部までは300円、それ以上は着払いとなる。問い合わせ、購入は那智勝浦町築地6の1の1、町観光協会(電話0735・52・5311)まで。
(2017年12月8日付紙面より)
明神小中合同学習発表会 (古座川町 )
古座川町立明神小学校(速水直樹校長、児童18人)と同町立明神中学校(中島良範校長、生徒14人)は2日、明神中体育館で合同学習発表会を開き、学業成果を家族らに公開した。
3年前まで小中それぞれに学習発表の機会を計画していたが、昨今の少子化に伴う児童生徒数減少を受け一昨年から合同で計画するようになった。3年目となる今回も児童は低・中・高学年別に舞台芸術(演劇)を練習し、生徒は学年ごとに体験学習の成果を取りまとめ。加えて児童生徒それぞれに音楽発表も準備して本番を迎えた。
明神小6年の岩本優史君がはじめのあいさつを述べ、明神小は▽1・2年生音読劇「お手紙」▽3・4年生劇「三年とうげ」▽5・6年生影絵劇「やまなし」、明神中は▽1年生「海について」▽2年生「職場体験を通して」▽3年生「修学旅行・福祉体験」―といったテーマで発表。続く入賞作品発表では、明神中2年の大西ひなたさんが英語スピーチ「My Dream」を披露した。
終盤は児童と生徒がそれぞれ一丸で合唱や合奏を発表。生徒はさらに「TOMO JAZZ DANCE STUDIO」の指導を受けて磨きをかけた創作ダンスを披露し、明神中2年の栗林享志君がおわりのあいさつを述べた。
会場の後方には美術や図画工作、家庭や技術などの学業作品も展示。両校を代表して中島校長は、各発表を振り返って良かったところや頑張りをたたえ「小学生、中学生ともよく頑張ったし、発表を通じて一段と大きく成長したと思う。年少は年長の姿を目標にし、年長は年少だった頃を振り返って今の自分を知る。そのような発表会をこれからも目指したい」と述べて締めくくった。
(2017年12月8日付紙面より)
パンダハウスで職員ら
新宮市三輪崎の子育てクラブ「パンダハウス」(髙由香代表)で6日、不審者対応訓練があった。刃物を持った男が侵入してきたとの想定で職員たちが刺股で取り押さえた。
今年3月31日、大分県の認定こども園に刃物を持った男が侵入し、児童や職員が負傷した事件を受け、初めて実施。子どもたちが見学する中、新宮警察署生活安全刑事課の大井敬悟警部補ら署員3人が職員たちに刺股を有効に使うコツなどを指導した。
平成13年に開設され今年16年目の放課後児童クラブ。職員は4人で、小学生46人が登録している。髙代表は「これまで不審者が入ってきたことはありませんが、地域では不審者の目撃情報はあるので、万が一に備えて訓練していきたい」と話していた。
(2017年12月8日付紙面より)