環境問題研究会が発行 (新宮市 )
環境や人権、熊野地方の歴史などさまざまな分野の講師を招き学んでいる新宮市の市民団体「環境問題研究会」がこのほど、30周年記念誌『箱舟』を発行した。講師を務めた人など46人が論文やエッセーを寄せているほか、これまでの活動年表などを掲載している。
カトリック新宮教会の故ベダ・クレアリ神父が1985年に創設。後を継ぎ事務局を務めている植松晴孝・喜美子夫妻=同市磐盾=(ともに82歳)は「人が人として生きる時、失ってはならないものをしっかり見据えて、奪われようとする時には『これはおかしい』と声を上げていく生き方をしたいと願う人々の善意と熱意に支えられ、発行することができました」と感謝している。
各分野の講師を招き、同市の井の沢隣保館などで毎月例会を開いている。会に規約や会則はない。会員は50人で年会費1000円。有名大学の教授なども講師を務めているが、肩書や交通手段にかかわらず、謝礼は1000円分の図書カードと決めている。
「最初の頃は講師を務めてくれる人を探すのに苦労しました」と喜美子さん。「宗教色を出さずに続けてきたのが良かったと思います。この30年間で人の輪が広がったことが大きな財産です」
晴孝さんは「地球環境を守るために一人一人何ができるか、から始まった会ですが、今では人間に関わるあらゆることを学んでいます。会員は40~80代。今後の希望は新しい世代の人たちに会を引き継いでいってもらいたい」と話していた。
30周年記念誌はA4サイズ、92㌻。新宮市井の沢のくまの茶房(電話0735・21・1761)で有料で配布している。
(2017年9月30日付紙面より)
結核週間で啓発活動 (和歌山県 )
結核予防週間(24~30日)に伴い和歌山県と結核予防会和歌山県支部は28日、新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で街頭啓発を実施した。県職員3人が買い物客に啓発用パンフレットなどを配布した。
結核は全国で年間約2万人が発症する重大な感染症。1日に50人の新しい患者が発生し、5人が命を落としている。厚生労働省は毎年9月24日~30日を「結核予防週間」と定め、重点的に結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。
結核はたんの中に結核菌が出る重症患者がせきやくしゃみをすることで感染が広がる。症状はせき、たん、発熱、血たん、胸痛など。昨年の県の結核の現状では、新登録結核患者数が131人(前年比19人減)で、うち70歳以上が74%、80歳以上が58%となっている。30代未満の若年者でも4人が発病している。
県は受診や発見の遅れが依然として見られるとし、「2週間以上、せき、たん、微熱などが続いたら、早めに医療機関を受診しましょう。結核は確実に薬を服用すれば、ほとんどが治る病気です。早期発見、早期治療が大切です」と呼び掛けている。
東牟婁振興局健康福祉部の花光宏樹さんは「高齢の方が発病される事が多く、風邪かと思ってもすぐに受診することが大切です」と話していた。
結核に関する相談は国立病院機構和歌山病院内の結核相談支援センター(電話0738・32・7033)まで。祝日を除く月~金曜日。時間は午後1時~4時。
(2017年9月30日付紙面より)
紀陽銀行やノオトと協定結ぶ (串本町 )
串本町(田嶋勝正町長)は28日、株式会社紀陽銀行(松岡靖之頭取)や一般社団法人ノオト(金野幸雄代表理事)=京都府篠山市=と地域活性化に向けた包括連携協定を結んだ。稲村亭(とうそんてい)など町域にある古民家の再生と活用を進める上での協力関係で、今後は年内に事業体や仮称『串本町古民家活用協議会』を立ち上げて再生や活用の具体化を進めるという。
稲村亭は1872年に建築された民家で、無量寺そばに位置。前所有者の神田家が飢饉(ききん)救済のお礼として旧有田村の住民から譲り受けた杉の巨木を建材の一部に使っているといった由緒を持つ。同町は昨年3月に同家から譲渡を受け、今年4月以降は同町地域おこし協力隊員が隣接する家屋に実際に住み込んで活用方法を模索している。
他方、紀陽銀行とノオトは両輪で政府施策「古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくり」の趣旨に合致する地域経済活性化を目指している。県域全体を面でとらえた周遊観光を構築する上で本州最南端は外せないという観点で同町に取り組みを紹介し、三者の思いは積極的に合致。連携協議へと発展し、実現の第一歩として今回の協定締結に至った。
調印式は串本町役場であり、田嶋町長、紀陽銀行の日野和彦取締役上席執行役員、ノオトの藤原岳史理事の代表署名により『和歌山県串本町の歴史的資源を活用した地域活性化に向けた包括連携協定』を締結した。県内の自治体では有田市、湯浅町に次いで三例目。紀陽銀行とノオトはJR西日本とも連携協定をすでに締結していて、同日現在で3自治体1企業とともに目的達成を目指す状況になっている。
田嶋町長は「この機に持ち得た地域資源をもう一度掘り起こしてPRし、人に来ていただくことによる地方創生を進めたい」とあいさつ。日野執行役員は自治体と住民や事業所が一丸になることが大切だとし、藤原理事は今後の振興は地域が宿す生活そのものを資源として捉えて進めると方向性を示唆して協働の意思を掲げた。
ノオトは同市丸山地区における振興の一環で2009(平成21)年に設立。以来8年間で約60軒の古民家再生を手がけた実績を持つ。活用の手法は宿泊施設、カフェ、レストラン、ミュージアムと多彩。その積み重ねで同市の城下町を対象にしたエリアマネジメントのノウハウも有する。
同町産業課の松原邦明主査によると、当面は稲村亭と現在交渉中の古民家1軒を集中的に再生、活用する予定。藤原理事は、古民家を当時の生活様式に沿って再生し希望すれば購入もできる形で活用を図るとし、まずは上記2軒を古民家の再生、活用モデルとして仕上げ、これらを交渉の材料にしてエリアマネジメントへの発展を目指す。実働を担う事業体は、地元雇用を視野に入れ民間主導で立ち上げるとしている。
(2017年9月30日付紙面より)
秋晴れの下、新翔高校
新宮市佐野の県立新翔高校(永石和校長)で29日、第11回体育祭が開かれた。テーマは「記念すべき、100回目の熱盛!」。
生徒入場、校歌斉唱の後、小松莉那さん(3年)が聖火を聖火台に点火、永石校長が創立100周年に触れ「皆さんが引き継ぐ体育祭の伝統とは何だろうと考えたとき、真剣かつ元気はつらつにプレーすることだと思います」と述べ、「3年生にとっては、締めくくりの体育祭。しっかりとリーダーシップを取って、成功に導いてください」とあいさつ。
実行委員長の南礼君(3年)が「とてもいい天気で神様が、頑張れと言っている気がする。3年生にとっては最後の体育祭。1、2年生も3年生に負けない元気で頑張りましょう」と呼び掛け、生徒代表の前田優さん(3年)、貝塚咲頼さん(3年)が「私たちを支えてくれる先生方、家族、新翔高校で出会ったかけがえのない友人に感謝の気持ちを込め、正々堂々と戦い抜くことを誓います」と宣誓し、競技に移った。
競技は午前に各学年による団体種目や、クラス、クラブ対抗リレーなど、午後は応援コンクールやフォークダンスなどが行われた。
(2017年9月30日付紙面より)
秋の全国交通安全運動で決起集会 (新宮市 )
正しい交通ルールの順守とマナーの実践を呼び掛ける「秋の全国交通安全運動」が21日、始まった。30日(土)までの10日間、▽子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止▽夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止▽全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底▽飲酒運転の根絶―を重点に全国で活動が行われる。
新宮市では、市交通指導員協議会、市交通事故をなくする市民運動推進協議会(会長・田岡実千年新宮市長)、交通事故をなくする県民運動東牟婁地区推進協議会(会長・児玉征也東牟婁振興局長)など関係者ら約70人が同市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で決起集会と街頭啓発をした。
田岡市長は「皆さんの地道な活動のおかげで年々交通事故の件数は減少しているが、まだまだ予断を許さない状況。私たちの共通の願いである、交通事故のない安心安全な町づくりという思いが多くの皆さんに伝わるよう啓発したい」。児玉局長は活動重点に触れ「行楽シーズンを迎え交通量が増える。夕暮れ時や高齢者の事故も増える。運転時、歩行時、自転車運転時のスマートフォンの利用は注意していきたい」などと語り「啓発を通じ交通事故ゼロを目指したい」とあいさつ。
谷本克也・新宮警察署長は10月から12月までの夕刻に事故が増加していると話し、シートベルトの着用や飲酒運転の根絶、駐車場内での物損事故に触れた。管内の情勢を説明し「警察も取り締まりや指導を行っているが、警察だけでは事故をなくすことができない。皆さまをはじめ関係機関と協力していきたい」と呼び掛けた。
新宮警察署管内では今年20日現在で人身事故は60件発生し、昨年より16件減少している。死者は2人で1人増。物損事故は855件で81件の増加となっている。
(2017年9月22日付紙面より)
下里小で不審者対応訓練 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(岡史博校長)は20日、不審者対応避難訓練を実施した。全校児童96人の避難を完了させた後、防犯講話や教員の刺股訓練で対策意識を高めた。
2001(平成13)年6月に大阪教育大学附属池田小学校で起きた児童殺傷事件を機に、町内の学校で不審者対応訓練が始まった。下里小では年1回訓練を行っており、各教室に刺股を備える。
今回は、1階の2年生教室への不審者侵入を想定。1階の1・2年と特別支援学級が体育館へ、2階の3年生以上が廊下の防火扉を閉めながら6年生教室へ避難した。男性教員が刺股で不審者を威嚇または取り押さえるなどして時間を稼ぎ、女性教員が児童らを誘導した。
午後の授業中に不審者役が窓から侵入すると、児童らは走って指定の場所へ避難した。侵入を知らせる校内放送が流れると、男性教員1人が刺股を持って駆けつけて応戦。続々と教員が集まり、5人で不審者役を取り押さえた。
新宮警察署生活安全刑事課の大井敬悟警部補ら署員3人が子どもたちに「いか」ない、「の」らないなど不審者への対応方法を覚える「いかのおすし1人前」の意味を説明し、遭遇した場合はきしゅう君の家に逃げるよう呼びかけた。教員には刺股の扱い方を教えた。
岡校長は「子どもたちはまだこういう訓練に慣れていないので、危機感を持って訓練できたら。職員も即座に対応できるようにしたい」と対応力の向上を誓った。
(2017年9月22日付紙面より)
JR紀伊佐野駅でキャンペーン (新宮市 )
通学中の列車内や駅構内など、公共の場でのモラルとマナーの向上を呼び掛ける「きのくに・さわやかマナーアップキャンペーン」が21日朝、新宮市のJR紀伊佐野駅で実施された。高校生や駅、警察関係者ら約40人が駅利用者らに啓発グッズを配布した。
同キャンペーンは学生が駅など公共の場所で座り込みや大声で騒ぐなどのマナー違反行為が横行し、社会問題となった平成15年から、年に2回実施している。この日は自転車マナーアップ推進リーダーの新翔高校生徒、新宮警察署、少年補導員、少年相談センター、JR新宮駅社員などが参加。電車を利用する人たちに声を掛け、物資を配布した。この日は秋の交通安全運動初日でもあり、併せて啓発した。
新宮警察署の大井敬悟さんは「乗車マナーアップと交通事故の防止をお願いします」とあいさつ。新翔高校の大居結唯さん(2年)は「笑顔で渡すようにしました。ルールを守る人が増えてくれればいいなと思います。自分も電車を利用する際は降りる人を優先するなど気を付けています」と話していた。
林正樹・新宮駅長は「警察が主体となってやっていただいています。学生のマナーがよくなれば、大人になってもマナーを守っていただけると思います」と感謝していた。
(2017年9月22日付紙面より)
丸石輝正さんが職業講話 (太地中学校 )
太地町立太地中学校(城谷真司校長)に15日、新宮市熊野川町出身のシンガーソングライター丸石輝正さんが来校した。職業講話で3年生18人に夢や働くことの意味を説き、ライブで全校生徒67人に歌を届けた。
19日の職場体験を控えて、仕事への姿勢を学んでもらいたいと同授業を実施した。田舎からでも全国で活躍できることを知ってほしいと、かつて山崎豊美教頭の教え子であった丸石さんに講師を依頼した。
講話で丸石さんは「文化祭のライブでの評判が歌手を目指したきっかけ。歌うことで自分を解放できた」と語り、路上ライブやオーディションでの体験談、SMAPの曲などを手掛けた作曲家との出会い、デビューに向けた苦悩などを話した。
「将来やりたい仕事がなくても大丈夫。自分も中学生までなかった。ある子は、それを目掛けて一直線に頑張って」と励ました。
ライブでは国道42号を歌った「ルート42」や知人のバンドから託された曲「だから」など数曲を熱唱した。
(2017年9月22日付紙面より)
城南中で千羽鶴受け渡し式 (新宮市 )
新宮市立城南中学校(速水盛康校長、生徒181人)で11日、千羽鶴受け渡し式があった。各クラスが平和のメッセージを発表し、修学旅行で東京都の第五福竜丸展示館などを訪れる2年生に鶴を託した。
生徒らは授業や空き時間を使い、夏休み2週間前から一人5、6羽ずつ鶴を折った。平和学習の一環で、同校の思いを伝えようと取り組んだ。同校2年生60人は6月、修学旅行の事前学習としてビキニ環礁近くでアメリカの水爆実験により被ばくした第五福竜丸についての授業を受けている。
式は生熊友輝君(3年)のピアノに合わせた校歌斉唱で始まった。各クラスの代表が「世界中から核兵器と戦争がなくなってほしい。今ある平和を大切にしていきたい」「世界中のみんなが笑顔で平和に暮らせますように」「平和が人を作る。人が平和を作る」「他国と仲良くして幸せが続きますように」などと平和のメッセージを読み上げながら、折った鶴を2年生の代表者に手渡した。
クラス委員長の傳田未咲さん(2年)は「国や言葉や文化が違っても世界中のみんなが真の平和を目指し、心を一つにして仲のいい世界になってほしい。世界から戦争という言葉をなくし、これからの世界を優しさや笑顔であふれる世の中にしていきたい。未来をもっと平和にするため、この気持ちを語り継いでいく」と誓った。
クラス委員長会を担当する講師の桃原彪吾さんは「これまでは生徒会が主催しており、クラス委員長会としては初めて。学校全体に2年生の平和学習の思いが伝わったと思います。昨年修学旅行に行った今の3年生はもう一度考える機会に、1年生は自分たちが修学旅行に行くときの手本にしていってほしい」と話していた。
(2017年9月13日付紙面より)
八青会、6年の貢献に感謝状 (那智勝浦町 )
住民のさまざまな悩み相談を受けている大阪府の司法団体「八青会」に対し那智勝浦町は10日、地域への貢献をたたえ、感謝状を贈った。同会と全国B型肝炎訴訟大阪弁護団28人は前日から同町役場で「法律なんでも相談会」を開いていた。寺本眞一町長は松尾由香会長(行政書士)に感謝状を手渡し、引き続きの協力を求めた。
弁護士、税理士、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などの若手国家資格者からなる同会は、専門家の少ない地域を巡回しており、那智勝浦町では6年前から相談会を実施。毎年30人以上が相談に訪れている。内容は、金銭、税金、相続、土地、職場での悩み、家庭の悩みなど。
寺本町長は「紀州南端には法律の専門家が少ない。身近で顔を合わせて信頼関係を結び、専門家とのつながりができることは財産になる」と感謝し、同会の西田敦さん(弁護士)は「相談者が満足するまで、こちらから対話を終わらせることはない。ニーズが継続しているということは意義がある事業の証し。われわれも勉強になる。こちらこそ感謝します」と述べた。
松尾会長は「毎年の決まった開催は那智勝浦町だけ。大変な水害があったので、災害にまつわる相談も多い。来場者も年々増えており、求められているという実感がある」と話していた。
(2017年9月13日付紙面より)
救急車見学やミニ講習も (串本町消防本部 )
串本町消防本部(北地稔消防長)は9日、同町串本にあるAコープ紀南VASEO店で往来する住民に救急車の適正利用を呼び掛けるなどした。
救急医療週間(3~9日)関係行事の一環。この日は同週間の基軸「救急の日(9月9日)」にも当たり、本年度も職員発起でイベント(通称・救急フェア)を計画して啓発に取り組んだ。
本年度は北地消防長をはじめとする職員10人が2時間にわたって活動。ティッシュや風船、手作りのチラシといった啓発物資を配り、関心を引くために県道沿いに横断幕を掲げ高規格救急自動車の展示やミニ救命講習会も開いた。一日救急隊長として日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」も登場し、小さな子どもがいる家族連れを誘って救急医療への関心を促した。
同本部における今年1~8月の救急出動件数は964件、8月は89件。啓発は救急車以外の手段でも医療機関に行けるのに安易に救急車を利用してしまうケースを抑えるのが狙いで、同チラシは適切でない利用(タクシー代わり、待ち時間なく診てもらえる、どの病院に行けばいいか分からないといった理由)と、どういう時に119番通報すればよいかを伝える内容となっている。
制作した小山知佳消防士は「本当に救急車を必要とする人が使えない状況にならないよう、皆さんに限りある救急車の適正な利用をお願いしたい」と話した。
(2017年9月13日付紙面より)
那智勝浦町立勝浦小学校(上浦一剛校長)の3年生43人が8日、太田地区の畑でナスの収穫と出荷作業の体験をした。同地区では、農家が「太田のナス組合」を作っており、この日は同町南大居の杉浦圃場(ほじょう=農地)で行った。
小学生の体験学習として、収穫から出荷まで生徒らが作業し、収穫したナスは新宮中央青果市場や同町小売店などで販売する。協力関係機関は、新宮周辺地場産青果物対策協議会、東牟婁振興局農業振興課、JAみくまの、太田のナス組合、新宮中央青果株式会社。
子どもたちは1クラスずつ畑の中に入り「できるだけ傷のない大きさのそろったのを採ってください」の声に、はさみを手にナスを探した。一人5個を収穫し、3個を袋詰め。袋の中には各自のメッセージを書いた紙を入れ、残りの2個を持ち帰った。
振興局農業水産振興課主査の村畑恵一さんは「今年は台風も少なかったので、傷まず順調に育ちました」と話していた。12日は、宇久井小学校の3年生21人が、松本圃場で学習した。
太田のナスは平成9年に太田地内を中心としたグループが栽培を開始。同19年7月に生産者全員がエコファーマーに認定された。
(2017年9月13日付紙面より)
那智勝浦町総体スポ少バレーボール
船大工の谷上嘉一さん宅 (「御船祭」に向け )
新宮市の熊野速玉大社の例大祭「御船祭」(10月16日)を約1カ月後に控え、熊野川流域で唯一の船大工、谷上嘉一さん(75)宅=紀宝町北桧杖=の作業場では早船競漕(きょうそう)で使う櫂(かい)の製作が追い込み期を迎えている。今年は約100本作る予定で、半分完成している。
シイの木で作る櫂の長さは約1・85~1・95㍍。“ヒナ”と呼ばれる水かき部分は幅約21㌢。練習で舟と接触する部分が傷み、折れてしまうこともあることから、祭り本番はほとんどのチームが新品で出場する。
谷上さんは櫂を20年以上前から製作している。木によって堅さが違うことから、しなりが必要な“ヒナ”の厚さに一番気を使うという。
神迎えの喜びを表している御船祭は昨年3月、国の重要無形民俗文化財に指定された「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」に含まれている。「速玉祭」は神霊を載せた馬が大社や御旅所(おたびしょ)を巡る10月15日の神馬渡御式(しんめとぎょしき)と、神霊を神輿から御神幸船(ごしんこうせん)に遷(うつ)して熊野川を遡上(そじょう)し、早舟競漕とともに御船島を回る翌16日の神輿渡御式(みこしとぎょしき)からなる。
早船競漕は、全長8・9㍍、幅1・4㍍の木造船9隻に各11人が乗り込み順位を競う。3回の優勝経験がある谷上さんは「輝かしい歴史と伝統のある祭りですが、昔に比べると観客がだいぶ減っている。祭り関係者と地域が一体となって盛り上げていくことができれば」と話していた。
(2017年9月7日付紙面より)
近大工学部空手部が合宿 (那智勝浦町 )
広島県にキャンパスを構える近畿大学工学部の空手道部(有貞涼主将、20人)が3日、那智勝浦町体育文化会館へ合宿に訪れた。11月19日(日)に日本武道館で催される全日本大学選手権大会に向けて練習に励んだ。
地元のサポートを受けて練習に集中できることから、約5年前から同町で合宿を行っている。基礎体力や攻撃の強化を目的とした7泊8日の行程で、8月30日にみなべ町清川の本誓寺ふるさと道場で稽古を積み、3日午前に那智勝浦町入り。5日午後に白浜へ向かった。
合宿に参加した選手20人のうち10人は10月7日(土)から9日(月・祝)まで愛媛県四国中央市の伊予三島運動公園体育館で開かれる「えひめ国体」の空手道の部に出場する。中には、スペイン・テネリフェで10月末に開かれる「第10回世界ジュニア&カデット、21アンダー空手道選手権大会」に出場する選手もいる。
4日、寺本眞一町長が選手らと面会し「この合宿が皆さんにとって実りあるものになり、全国で頑張っていただけたら」と激励し、スポーツドリンクを差し入れた。
同部情報学科4年の有貞主将(22)は「1~3年で同じ大学に負けているので、4年の最後の大会で勢いづけて、優勝まで駆け抜けたい」と意気込みを語った。
(2017年9月7日付紙面より)
消防や警察航空隊と連携も (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)は5日、南海トラフ巨大地震の発生を想定した総合災害警備訓練に取り組んだ。終盤では和歌山県警察航空隊や串本町消防本部と連携し警察ヘリ「きのくに」による負傷者搬送訓練も実施。ドクターヘリ以外の空路搬送の手法を探るなどした。
同署が毎月5日に取り組んでいる災害に備える日訓練の一環。今月は防災週間(9月1~7日)中の実施となることから特に規模を大きくし、①初動対応訓練(災害警備本部立ち上げ訓練など)②信号機滅灯対策訓練③警察ヘリによる負傷者搬送訓練―の各訓練を計画した。
①は署員が必要な資機材などを持って串本町サンゴ台にある代替指揮所へ車両移動し、速やかに災害警備本部を立ち上げる内容。6月に配備された捜索用ドローンで撮影した映像データをモニターに表示する段取りも合わせて実践した。
②は国道42号潮岬東信号交差点の電源を落とし、手信号で車両誘導をしながら発電機を信号機の電源付加装置につないで復旧させる内容。同装置は限りある人員を捜索や情報収集に充てるために導入されていて、署員全員が手信号と復旧操作をこなせる状況を見据えて実践した。
③は同署初の取り組みで、同本部が陸路搬送した重傷者を警察ヘリが引き継いで空路搬送する内容。今回は倒壊家屋から救出した重傷者を想定し、バックボードに固定した状態で救急隊員が警察ヘリへ運び込む流れを実践して手法を探った。
捜索用ドローン運用を除く①と②の訓練は過去にも取り組んだ内容で、練度向上が目的。③はドクターヘリのような救命装置はないが警察ヘリも空路搬送ができ、特に広域災害発生時には警察ヘリによる負傷者搬送の必要性も十分考えられることから、その手法を探ったという。
同訓練について津田署長は「こういった訓練の目的は、実際に起こった時にいかに動けるかにある。訓練を通して互いを理解すれば自分が取るべき行動をイメージできるようになる。問題点があれば解消して次の訓練をする。そうやって徐々に自分のやるべきことを理解し、いざという時に連携して動ける状況につながっていけば」と効果を期待した。
(2017年9月7日付紙面より)
赤木川などで漁始まる
新宮市熊野川町の熊野川支流赤木川など各地で秋の味覚、モクズガニ(藻屑蟹、別名ズガニ)漁が始まっている。熊野川上流域では10月ごろまで漁が続く。
海で産卵し一時期を過ごしてから川に遡上(そじょう)して育つカニで、産卵のため川を下る秋ごろから本格的な漁が行われている。一般的な漁は、川底に魚のあらなどを入れた籠を沈めておき、朝に引き上げる。捕れたカニは塩ゆでやみそ汁に入れて食べる人が多い。お酒が好きな人はカニみそが入った甲羅に日本酒を入れて飲む。
同町西の民宿業、中澤秀昭さん(72)は自宅近くの川で毎年漁をしている。今季は8月20日ごろから漁を始めた。
6年前の紀伊半島大水害の影響で一時は捕獲量が減っていたが、大きさも量も水害前と同じくらいに回復してきているという。
「8月は全然だめでしたが、9月に入ってから入り出しました。多い時で一籠に15匹ぐらい入ります。捕ったカニは自分ではほとんど食べず、友人らにあげています」と話していた。
モクズガニは甲幅7~8㌢、重さ180㌘ほどに成長する川では大型のカニ。はさみに濃い毛が生えているのが特徴で、日本全国のほか、朝鮮半島東岸、台湾などの川、水田、用水路、河口などで生息している。淡水域にいる時は基本的に夜行性で、カワニナなどの貝類、小魚、水生昆虫を食べる。
(2017年9月7日付紙面より)
JAみくまの旗学童軟式野球大会
大水害記念公園で慰霊祭 (那智勝浦町 )
2011年9月の紀伊半島大水害から6年を迎えて那智勝浦町は4日、同町井関の紀伊半島大水害記念公園で慰霊祭を営んだ。遺族や住民、町関係者ら130人が参列し、死者・行方不明者29人をしのんで慰霊碑前で献花した。
午後1時30分に町内全域にサイレンを鳴らし、出席者らは黙とうをささげた後に一人ずつ白いカーネーションを献花した。寺本眞一町長は「犠牲となられた皆さまの気持ちを思うと今でも胸が張り裂けそうになる。ふるさと『那智勝浦』が安全で安心して暮らせる笑顔いっぱいの町になるよう、全身全霊で復旧復興し、防災に取り組んでいきたい」と記念碑の前で固く誓った。
中岩和子議長は「未曽有の被害から6年たつが、昨日のことのように思い出される。町と協力し、防災に取り組んでいきたい」と語った。那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表は「何年過ぎようと、当時の悲惨な光景を思い出し、いまだに心の傷は癒えない。灯籠供養で29個の灯籠に火をともし、その数の多さに改めて被害の大きさと尊い命の犠牲を痛感した。諸霊には安らかにお眠りいただき、住民が安心して住める那智谷になるよう見守ってください」と冥福を祈った。
水害で父母と妹2人弟1人を亡くした新宮市王子町に住む会社員・中平史都さん(29)は「笑顔が絶えない理想の家族だった。当時は東京に住んでいて帰ってくるのがつらかったが、祖父母らを守らなければという思いで戻った。地域のため何かしたいので消防団に入るつもり」と話した。
(2017年9月6日付紙面より)
福祉センターで避難訓練 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は4日、同市福祉センターで火災を想定した避難訓練を実施した。同協議会職員とセンター利用者、児童館で遊んでいた子どもたちが参加し、屋内から玄関前に逃げた。
福祉センターでは年に2回、津波と火災を想定した避難訓練を各1回ずつ実施している。この日は1階の湯沸室からの出火を想定し、火災を発見した職員が大声で周りに知らせ、消火班が近くにある消火器を使って初期消火を試みた。
通報連絡班が消防署への通報と館内放送で火災発生を知らせるなど役割に沿って行動した。利用者らは職員の指示と誘導に従い、鼻や口をハンカチや手、服の袖などで覆い、速やかに避難した。
市消防本部職員は「火災を発見した際に初期消火をしてもらうが、煙などが充満するのを防ぎ、避難誘導をしやすくするため成功しても失敗しても扉を閉めてほしい」と話した。
消火器の使用訓練では、特徴や使い方の説明を受けた職員らが2人ずつ交代で練習した。消防職員は逃げ道を確保して消火器を使うことや天井まで燃えている場合は初期消火よりも避難誘導を優先するよう呼び掛けた。
大谷康央事務局長は「児童館の子どもたちがいるので慎重に素早く行動する必要がある。毎年訓練を実施しなければならないと感じます。火事になった場合、手順を踏んでできるか分からないので毎年していかなければならないと思います」と話していた。
(2017年9月6日付紙面より)
橋杭海水浴場遊泳期間終了 (串本町 )
串本町くじ野川の橋杭海水浴場で4日、遊泳期間(7月1日~8月31日)終了に伴う海上遊具など資材の撤収作業があった。役場産業課調べによる期間中の利用者数は8525人で、台風など天候不順で昨年に比べ約1割減。他方、駐車場やビーチハウス・ラパンの収益は向上していて、利用の勢いは増したという見方をしている。
同浴場は環境省「快水浴場百選」の一つに数えられ、橋杭岩や紀伊大島などに囲まれたロケーションの良さときめ細やかな砂浜などを特色とする。今季は春~秋3シーズン活用の本格化により各種マリンアクティビティーレンタル事業や海上遊具(滑り台)の増設など、魅力を増した状況で海開きを迎えてひと夏の利用を集めた。
期間中は台風5号が迷走した8月上旬や天候不順の盆以降で利用が伸び悩み、全体実績を下げる要因となった。昨年の利用者数は9436人で、今年は911人減。その状況下で利用増となった有料駐車場、ビーチハウス・ラパンや同レンタル事業は、数字以上に利用の勢いが増しているとの見方もしている。来年は旧浦島ハーバーホテル施設が大江戸温泉物語グループの一つとして営業再開している見込みで、その動線をいかに利用に結び付けるかが関心事となっている。
撤収作業は同町観光協会(島野利之会長)が観光関係者に呼び掛けて実施。16人が参加し、中村洋介副会長から安全留意の呼び掛けを受け海上遊具や遊泳区域指定ブイを陸へ引き揚げ、有料駐車場資材を片付けるなどした。
同課調べによる串本町田原にある田原海水浴場の遊泳期間(7月1日~8月31日)の利用者数は2229人で、昨年に比べ25・55%(765人)減。天候不順に加え、相次ぎ打ち上がった流木の処理が追い付かなかった点も要因と見ている。
(2017年9月6日付紙面より)
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭=10月15日(日)、16日(月)=に向けた事故防止協議会が4日、同大社双鶴殿で開かれた。関係者らが集まり、けがや事故なく安全に例大祭が執り行われるようにと注意事項の確認や当日までの準備の日程などを話し合った。早船競漕(そう)の審判委員の交代があり、審判委員長を下地昌宏さん、副審判委員長を野尻政典さんが務めることになった。
例大祭は同大社の主神、速玉大神(はやたまのおおかみ)のご神霊が神馬で阿須賀神社へ渡御し、熊野川河原の乙基(おとも)のお旅所へ渡る「神馬渡御式」と、夫須美大神(ふすみのおおかみ)のご神霊が神輿(みこし)で街を練り、神幸船で御船島を回る「神輿渡御式」からなる祭り。
会議では各渡御式のコースや行列順序を確認。事故防止のために供奉員による自主警備を行うことや、飲酒厳禁、交通法規の厳守などを話し合った。早船の上り競漕スタート後に下札場から上札場を目指し自家用車で移動する人たちのマナーの悪さを問題視する声も上がり、事故が起きる前に対策が必要との意見が出た。
御船祭に関しては当日までの日程を話し合い、本番船の蔵出し・点検は10月5日(木)午前6時、御船島清掃、市内のぼり立てを8日(日)、各地区への早船引き渡しは8日と9日(月・祝)に、旗番抽選と来年度以降の本番船の抽選を11日(水)に行うことが決まった。
上野宮司は「国の重要無形民俗文化財に指定されて2年目を迎えます。皆さんにも伝統神事を担っておられることをさらに再認識していただきながら、事故なく、けがなく、にぎにぎしく喜びの祭りとしてご奉仕いただけるようにお願いしたい」とあいさつ。昨年審判委員長に就任後に急逝した山塚公晴さんを紹介し、「心の痛いこともございますけども、それを心に船をこいでほしい」と呼び掛けた。上り競漕の優勝区が優勝旗を持って御船島を周回する前に、山塚さんの功績をたたえ、特例で丹鶴区が遺影を掲げて御船島を1周することが満場一致で快諾された。
(2017年9月6日付紙面より)
那智勝浦町総体陸上兼陸協記録会
古道歩きや外来植物除去 (新宮市 )
東京大学の学生たちが8月31日から、「聖地熊野の歴史文化と自然を体験しつつ新宮市の文化行政を学ぶ」をテーマに新宮市内の熊野古道などを巡っている。9月3日(日)までに大峰奥駈道、小雲取越などを歩く予定。
東大の濱田純一前総長が提唱した「よりタフによりグローバルに」を元に2012年度から始まったプログラムの一つ。新しい考え方や生活様式を学び、新しいアイデアを生み出す力を身に付けることが狙いで、社会貢献活動、国際交流、自然体験、地域体験など全76種類ある。
参加者は学生9人、大学院生2人のほか、企画責任者の秋山聰・東大人文社会系研究科教授、鐸木道剛・東北学院大学キリスト教文化研究所長、建築家のマヌエル・タルディッツさん、濱田東大前総長ら計27人。
一行は8月31日、新宮市文化財保護審議会の瀧野秀二副委員長(71)の案内で市内の世界遺産熊野古道「高野坂」を歩き、外来植物ノハカタカラクサをゴミ袋9袋分除去した。その後、市役所で「熊野地方の自然」をテーマにした瀧野副委員長の話を聴いた。
秋山教授(54)は13年9月、台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したことがきっかけで熊野に興味を持つようになった。昨年5月に市内で講演し、楠本秀一教育長との話し合いの中で同プログラムを企画した。「初めての取り組みですが、できれば来年からも続けていきたい」と話していた。
初めて熊野を訪れた薬学部3年の伊藤慶さん(20)は「寺社巡りが趣味で熊野へ行きたいと思っていました。高野坂を歩いて海岸がとてもきれいだと思いました」と感動していた。
(2017年9月2日付紙面より)
京都橘大学インターンシップ報告会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と地域活性化に関する連携協定を結ぶ京都橘大学のインターンシップ(企業実習)終了報告会が8月31日、町体育文化会館であった。2年生10人が関係者約20人の前で、11日間の就業体験とフィールドワークのまとめを発表した。
このインターンシップは、連携協定の一環として、積み上げ方式の3カ年計画で今年から始められた。就業体験に地域の課題解決に向けたフィールドワークを組み合わせることで、教育効果が高まるという。
学生一行は21日に来町し、22~26日まで宿泊施設や関係各団体で研修を受け、28日に中間報告を行った。
29、30日のフィールドワークでは、歴史や文化への関心が高い欧米人観光客と町に漁師町文化と歴史ある寺社が多いことから、「欧米人観光客と受け入れ調査」をテーマにし、2班に分かれて商店街の22店舗で聞き込み調査を行った。
調査の結果、「外国人観光客に駅やコンビニ、銀行の場所がすぐ分かるようにしてほしい」、「外国人観光客を案内する指さし表を実際に使用した店舗がほとんど無かった。日本人と欧米人でイラストの認識に相違がある」などの意見があった。アンケートも実施し▽「英語のメニューあり」53%▽「指さし表あり」39%▽「英語でのコミュニケーションが可能」58%▽「外国人が来ることはいいと思う」100%―という結果だった。
学生代表の現代ビジネス学部経営学科2年、海東拓実さんは「那智勝浦町が大好きになりました。研修先の中の島でも、社員や先輩たちにかわいがってもらい、親身に話も聞いてくれました。別れるのがとてもさみしい。次こそはお世話になった人たちに恩返しできるよう、成長したいです」と涙ながらに思い出を語り、感謝を述べた。
浦島観光ホテル株式会社取締役・総合企画担当の西川正修さんは「よそから来た若い人の視点で調査してくれた。町に住む者が今日の報告を生かしていけたら」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
養生期間を経て一面緑に (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)は1日、芝生化した校庭の利用を再開した。来る中体連新人戦に向けてサッカー部などが練習を始めたほか、同町立潮岬幼稚園(南君子園長)の園児も訪れてさっそく駆け初め。晩秋に冬芝のタネをまいて再度養生期間を設けるが、それまでの間は社会教育利用も含めて活用を図るとしている。
同校校庭の芝生化は、旧来の芝が減り近隣に舞い上がるようになった砂の飛散抑止が主目的。日本サッカー協会(JFA)事業「グリーンプロジェクト」の支援が得られることになり6月下旬、地域の協力も得ながら無償提供された苗2万株弱を植え込んだ。
苗は国立競技場でも採用されているティフトン芝で、旺盛な生育力が特徴。JFAから「2カ月ほどで一面を覆う」と紹介を受けた同校は、夏休みの終わりまでを養生期間とし、本来の養生期間(約1カ月)以降は暑さが厳しい中で毎朝の散水に加え、同町教育委員会が配備した乗用芝刈り機による週3回の芝刈りや手押し式による月2回の追肥―と手間をかけて着実な根付きを図ってきた。
当初は50㌢間隔でまばらだった500円玉大のポット苗の成長は驚異的で、8月31日現在で外縁を除く校庭全面をほぼ覆い尽くした状況。厚みが増すのはこれからといった段階だが、ティフトン芝は踏むなどの刺激を与えた方が育ちがいいため予定通り今月1日から利用を再開した。
授業やクラブ活動のほか、社会教育関係で少年サッカーやシニア野球、ソフトボールなどの団体利用、幼稚園のチャレンジランキングに向けた練習や住民の利用もあり、関係各者には利用再開を事前に伝えている。
藤本校長は「皆さまの協力と先生方の尽力のおかげで、無事に芝生化が進んだ。特にサッカー部には10月の新人戦に向け、今まで使えなかった分も含めてこれから練習に頑張ってほしい。地域の皆さまにもこれまで通り活用していただければ」とコメント。
井口英夫教頭によると、この夏は着実な根付きを図るという狙いもあり教員のみで管理にあたったが、教員だけでは大変な労力規模で今後は省力化や労力の分散も考えたいとした。
(2017年9月2日付紙面より)
台風の影響、初日は漁獲なし (太地町 )
太地町で1日、イルカや小型クジラの追い込み漁が解禁された。午前5時すぎ、町漁業協同組合所属の太地いさな組合(小畑充規組合長)の12隻が太地漁港を出港した。反捕鯨団体の目立った活動はなく、静かな出漁となった。この日は台風の影響で波が高く、すぐに引き返し漁獲はなかった。
国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の漁で和歌山県知事の許可を得て来年春まで漁獲制限を設けて行われる。今年からカズハゴンドウとシワイルカ2種が捕獲対象になった。漁をめぐっては反捕鯨団体の活動家とのトラブルが絶えず、漁期中は県警本部が町内に臨時交番を設け、第5管区海上保安本部も職員を派遣して妨害活動を監視している。この日は、外国人2人が東の浜でスマートフォンを使って出港風景を撮影していた。
小畑組合長は「初日なので、できるだけ状況を見てみたかった。9月は最初の月で今年一年を占える。この月がよければ安心感が持てる。いい漁ができればいいなと思っている」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
全日本ジュニアバド和歌山県予選