「経営改革三本の矢」セミナー (新宮信用金庫 )
(公財)わかやま産業振興財団 和歌山県プロフェッショナル人材戦略拠点は26日、新宮市仲之町のCOLORsで「経営改革三本の矢」セミナー「生産性改善のための経営者の意識改革!」を開いた。アクティベイト㈱の海老一宏・代表取締役社長が「生産性改善のための経営者の意識改革」をテーマに講演。若き経営者ら約40人が聴講した。
同戦略は各道府県にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域の関係機関などと連携しながら、地域企業の「攻めの経営」への転身を後押しするとともに、それを実践していくプロフェッショナル人材の活用について、経営者の意欲を喚起し、民間人材ビジネス事業者などを通じてマッチングの実現をサポートする事業。この日のセミナーは、新宮信用金庫「しんぐう信金経営者塾100人会」が共催している。
海老社長は中央大学卒業後、東証一部上場企業に入社。人事、経理、営業に携わる。独立し、小売・サービスのFC本部経営を経験後、人材紹介業界へ。トップエージェントの実績を経て、2005年にアクティベイト設立。代表に就任し、全国主要都市で県依頼の「プロ人材活用セミナー」を実施している。
海老社長は内閣府が推奨するプロフェッショナル人材戦略事業について説明。国は東京一極集中を少子高齢化の原因の一つと考え、全国的に働き手が不足する地方の企業の底上げを図ることにより、東京で働く若い人材の地方分散を狙っているなどと話した。
20世紀型優秀者が終焉(しゅうえん)を迎えているとし▽正解を探す▽生産性を上げる▽ルールを守る▽綿密に計画し実行する▽奪い、独占する▽経験に頼る―などの「オールドタイプ」から▽問題を探す▽意味を与える▽遊びを盛り込む▽自らの道徳観に従う▽とりあえず試す▽与え、共有する―などの「ニュータイプ」に移行しているとし「現在は何が成功するのか正解なのか分からない。いい大学を出る必要もなく、どこに成功者が現れるかも分からない。自分のやりたいことを本気になって追求する時代」と話した。
人口減少や市場の縮小、VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)時代、人工知能(AI)などの台頭による第4次産業革命、人生100年時代など、企業と人間が置かれている環境について話し、働き方改革や戦略の転換によって「ブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓の)市場の創造と追求」「幸せと自己実現の追求」に結び付くと説明。「ナンバーワンである必要はもはやなくなった」とした。
開会に当たり、同信用金庫の浦木睦雄理事長があいさつ。新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息と、当地方の事業主の存続を願った。
(2020年2月28日付紙面より)
三原市と災害協定を締結 (新宮市 )
田岡実千年新宮市長や前田賢一市議会議長らは20日、姉妹都市の広島県三原市を訪れ、同市と災害時相互応援協定を締結した。締結を機に両市はさらなる交流を深め、いつ発生するか分からない災害に備えていく。
両市のつながりは約400年前から。初代新宮城主の浅野忠吉(ただよし)が、主君の浅野長晟(ながあきら)の広島藩への転封とともに、随行する形で備後国三原3万石を領する三原城の城代家老となり、転封に当たり、新宮城下三輪崎の熊野水軍水主(かこ)衆が水先案内人を務め、その一部が三原城下米田山麓(現在の三原市旭町)にとどまった。人々は熊野権現を勧請(かんじょう)し、熊野神社(現・籠恕=かごぬ=神社)を建立した。
1973(昭和48)年以降、相互に親善使節団を派遣するなどの交流を続けていたが、91(平成3)年を最後に途絶えていた。2016(平成28)年に亀井寿一郎・前副市長らが三原市を約25年ぶりに公式訪問。田岡市長の親書を天満・三原市長に手渡し、交流を約束していた経緯があり、昨年11月の姉妹都市提携へとつながった。
このたびの災害協定は姉妹都市提携の目的の一つ。災害における応援の種類や応援要請の手続き、費用負担などについて定めるとともに、市民ボランティアに対する情報提供など市民レベルでの活動も支援していくとしており、発災時の応急対策と復旧対策を円滑に遂行するために必要な事項を定めている。
両市は今後、それぞれが持つ災害対応に関しての経験やノウハウを共有し、職員の視察派遣を行うなどして顔の見える関係を築くことで相互理解を深めていくという。
(2020年2月28日付紙面より)
小松エミさんが講演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町築地の南紀くろしお商工会で26日、「Mam’s school」(本舘千子=もとだて・かづこ=代表)の勉強会があり、会員ら21人が参加した。声紋分析心理士の小松エミさんが講演し、参加者の声紋から潜在意識や自分の強みを診断した。
小松さんは結婚式などで司会を務める傍ら、声や言葉の持つ力に魅了され、ビジヴォ認定ボイストレーナーの資格を取得。相手の心を引きつける声の作り方を指導している。
声紋分析診断とは、声の周波数を数学的に分解・変換して12色で表現し、色彩心理学的な解釈を元に視覚化したもの。顕在意識、前意識、潜在意識の3階層を読み取り、強度分布から体調や強み、行動基準、ストレス具合などを解釈する。
小松さんは「声には心や身体の調子が現れる。こういう人になろうと無理をするのではなく、自分の強みをどんどん表に出して楽しむことが大切」とアドバイスした。
古座川町から友人と参加した女性は「すごく面白かった。当たっていると思うところも、そうでないところもあったが、自分について理解が深まった」と話していた。
同スクールは会員制で、昨年4月に開校した。「お母さんが今よりもっと元気に、賢く、美しくなる 一緒に素晴らしい未来(子ども)をつくる」というビジョンの下、月1回勉強会を開いている。
(2020年2月28日付紙面より)
塩﨑さん夫妻が手話教室 (紀宝町 )
手話はろう者(聴覚障害者)が操る言葉で、手指や体の動き、表情を使ってコミュニケーションを取る視覚的な言語だ。近年では全国的に「手話言語条例」の制定が進むなど、手話を使って安心して暮らすことができる地域社会を目指して普及啓発が進んでいる。
紀宝町では手話サークル「すいせん」が活動しており、塩﨑正司さん、美紀さん夫妻が各地で普及に努めている。
26日には同町立成川小学校(岩本直樹校長、児童54人)で手話教室が開かれ、4年生8人が塩﨑さんらから、ろう者の生活や手話のあいさつを学んだ。
総合的な学習、道徳の一環。2学期に国語で学習した点字の考案者ルイ・ブライユの内容とも関連している。授業には通訳として井奥つな子さんも協力した。
正司さんは和歌山県立和歌山ろう学校での学習内容や自動車運転免許の取得で苦労したこと、これまで経験した仕事などを語った。ろう者の日常について、振動して起床時間を知らせる枕や来客を知らせるライト、テレビの字幕機能を使っていると紹介し、「最近は便利になって生活が楽しくなった。年を取って耳が聞こえにくくなったら、あなたたちの役に立つかも」と語った。
児童は「おはよう」「こんにちは」「ごめんなさい」「ありがとう」などを習い、表情や相手の正面に立って話すことの大切さを学んだ。
「すいせん」は第1火曜日と祝日を除く毎週火曜日午後7時30分から9時まで、町生涯学習センターまなびの郷で開いている他、各種イベントでボランティア活動にも取り組んでいる。「初めての方も大歓迎」と参加を呼び掛けている。
(2020年2月28日付紙面より)
神倉神社で紀元祭 (新宮市 )
「建国記念の日」の11日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の摂社、神倉神社で「紀元祭」が営まれた。同大社役員や神倉神社奉賛会役員ら約20人が参列し、国の繁栄などを祈った。
2月11日は1872(明治5)年に、初代天皇とされる神武天皇が即位した日として「紀元節」となっていたが、第2次世界大戦後に廃止され、1966(昭和41)年の祝日法改正で「建国記念の日」として復活した。
この日の神事では、上野宮司の祝詞奏上に続いて、巫女(みこ)が「浦安の舞」を奉納、続いて鈴払いの儀。杉本義和・同大社崇敬会長、濱口太史県議、猪飼三雄・神倉神社奉賛会長ら参列者たちが神前に玉串を供え、「雲にそびゆる高千穂の」で始まる唱歌「紀元節」を斉唱した。
同神社には皇室の祖神・天照大神(あまてらすおおみかみ)と建国の功臣・高倉下命(たかくらじのみこと)が祭られている。「神武天皇紀」(日本書紀)には、紀元前3年6月に狭野(さの=佐野)を越えて「熊野神邑(くまのみわのむら、新宮の古称)に到り、旦(すなわち)天磐盾(あめのいわたて)に登りて」と記されており、この天磐盾が神倉山といわれている。同神社には90(平成2)年に、紀元2650年を奉祝し、神倉神社奉賛会が奉献した顕彰碑が建立されている。
神事を終え、上野宮司が今年は日本書紀編さんから1300年、皇紀では2680年の年であると述べ「科学技術などが最先端の時代に生まれ、流れの中で自分を見失うときもある。そんな中で節目を大事にするのが日本人の精神では」。
日本人として日本人を自覚する日としたいと話し「この国を立派にするために玉串を供え、この日を祝いたい」と呼び掛けた。
(2020年2月13日付紙面より)
活動報告会で米田惠美さんが講演 (新宮市魅力発信女子部 )
新宮市魅力発信女子部は11日、大橋通の新宮信用金庫本店で活動報告会を実施した。約60人が参加する中、同女子部による活動プレゼンテーションのほか、公認会計士で(公社)日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事の米田惠美さんの基調講演や、米田さんと同女子部サポーターでissue+designの小菅隆太さんとのトークセッションなどがあった。
同女子部は2015年より活動を開始。市内在住、在勤の女性と市職員が中心となり、豊かな観光資源など市の魅力を発信すべくワークショップの開催やウェブサイト「新宮人」の制作、地元事業者や団体などと連携して魅力発信のためのイベントやガイドツアーなどを企画し実施している。
報告会開催に当たり、市商工観光課の勢古口千賀子課長があいさつ。市の歴史や文化、同女子部設立の経緯などについて紹介し「これからも地域の皆さんと一緒に地域の活性化と新宮市の魅力発信のために頑張っていきたい」。小菅さんがサポーターとして市と関わってきた5年間を振り返り、「SDGs de 地方創生」公認ファシリテーターとしての立場からのJリーグとの関係性などについて説明した。
基調講演では米田さんが「ものがたりの先にあるもの」を題目に話した。米田さんは「なぜ女性が働きにくい世の中なのか。お金の流れが分かれば世の中の仕組みが分かるのでは」と会計士を目指した経緯を説明した。
監査法人勤務を経て「会計や戦略では物事は解決できない」と2013年に独立。人材開発、組織開発の会社を設立し、さらには保育士資格を取得し在宅診療所を立ち上げた。米田さんは「実験を繰り返しいろいろな学びを深めることができた」と述べ、現在は「世の中をより良いものへと願う人たちを増やし、その人たちが一歩前へ踏み出すことができる世の中をつくることに個人的に使命感を感じている」。
米田さんはJリーグフェローを経て18年より理事として社会連携(シャレン)や組織開発の分野を担っている。社会課題や教育、まちづくり、世代間交流などの共通のテーマに対し、地域住民や企業、団体、自治体、学校などとJリーグが連携して取り組む「Jリーグをつかおう!」プロジェクトについて「誰もが誰かを応援するために一歩踏み出すことができる装置をどうしたらつくれるだろうと思ってつくったのが同プロジェクト」と説明。Jリーグ理念や100年構想などについても紹介した。
会計士の立場からは、今後はパブリックセクター(公的機関)や医療の領域における情報の非対称性について研究を進めたいとし「財務には限界がある。非財務の価値の方が大きいと思う。数字だけで測れないものをどう表現するかに挑戦していきたい」。
学校生活や過去の人間関係などを振り返り「自分の人生は誰のものでもない。答えのない世界だからこそ問いを立てて信じた道を進んで。一度きりの人生を全力で」と呼び掛けた。
(2020年2月13日付紙面より)
石黒秀喜さんが講演 (まなびの郷 )
紀宝町生涯学習センターまなびの郷で10日、老い支度クリエーターの石黒秀喜さんによる「老い支度講座~上手に老いるために~」があった。62人が参加し、自らの老いや将来と向き合った。
紀南医師会、町地域包括支援センター共催。石黒さんは厚生労働省で介護保険制度などの運営を担当し、退職後は一般財団法人長寿社会開発センターで地域包括支援センターの職員研修に携わる。義母の認知症や義父のがん緩和病棟死に接したことから自らの老い支度を考えるようになった。
講演で石黒さんは長生きリスクとして▽持病の悪化▽役割喪失▽気力体力の低下▽下肢機能の低下▽認知機能の低下―を挙げた。老・病・死には亡くなる直前まで元気なケースと、要支援・要介護状態が長く続くケースがあると紹介。リスクの軽減策として社会性の維持が特に重要と話した。
「皆さんは長生きする。長生きすれば皆認知症になるかもしれない」と述べ「認知症の人は持って生まれた性格、これまでの人生で経験してきたこと、新しい情報、周囲を取り巻く人間関係などから、その人なりの状況認識をしている。間違いの指摘や命令でプライドを傷つけるのではなく、その人の思いを推定して『意思決定支援』をするという考え方が基本。エンディングノートに自分の人生や価値観、性格、誇りに思うことなどを記しておくと、『介護され上手』になれる」と締めくくった。
(2020年2月13日付紙面より)
「星に語りて」上映会 (那智勝浦町 )
和歌山県共同作業所連絡会は8日、那智勝浦町体育文化会館で東日本大震災後の障害者と支援者の物語を描いた映画「星に語りて~Starry Sky~」を上映した。昼と夜の部の2回で昼の部には約200人が訪れ、涙を流す来場者の姿も多く見られた。
同会が所属する「きょうされん」は1977年に障害者の願いをもとに16カ所の共同作業所により結成された。障害者が暮らしやすいシステムづくりなどのために活動し、現在では約1870カ所の障害者事業所が加盟している。
これまで4回の映画製作、上映活動を続けている「きょうされん」の40周年記念事業として今回の映画が制作されたという。
田中洋平・県共同作業所連絡会第5ブロック(新宮・東牟婁)長が「何かを感じていただける映画となっている。ぜひ最後まで鑑賞いただけましたら」とあいさつした。
映画は2011年3月に甚大な被害があった東日本大震災の被災地である岩手県陸前高田市と福島県南相馬市が舞台。同震災による死者・行方不明者が1万8000人を超える中、障害者の死亡率が全住民の2倍だったことが知られていない現状を踏まえ、当時の証言者たちへの取材に基づいて実情を描き出した群像劇。俳優陣に加え、障害当事者も出演している。
来場者は当時の障害者が直面する状況と、支援者の懸命な活動などが表現された人間味あふれるドラマに真剣な表情で見入っていた。
上映後、同ブロック事務局で、新宮・東牟婁障害者施設連絡協議会長を務める平澤学さんが「ルールを尊重し、存在を認め合える社会を構築し、皆さんがこの地域で生活できればうれしい。有事の際などにも支え合うことができるはず。そのためにもこの映画を届けたかった」と締めくくった。
なお、映画は4月18日(土)午後2時から串本町文化センターでも上映される。チケットは一般が1000円、中高生は800円、障害児者と子どもは500円。当日券はそれぞれ200円増しとなる。スポーツギア・アダチ、三由米穀店、山文和歌山串本SS、ファミリーマート串本町桟橋店、ワークショップゆう、いなほ作業所、エコ工房四季、通園くじらで販売している。
(2020年2月13日付紙面より)