丹鶴公民分館が防災訓練 (新宮市 )
新宮市の丹鶴公民分館(西孝分館長)は23日、丹鶴体育館で令和4年度防災訓練を開催した。市防災対策課による「地震に関する出前講座」があったほか、市消防団丹鶴分団が水消火器訓練を展開。市社会福祉協議会による福祉相談、認知症についてのパネル展示もあり、約70人の地域住民が防災意識を高めた。
市、市社協が協力し、地域住民の防災意識の向上を目的に行っている恒例の取り組み。
開催に当たり、西分館長は「ここ2年ほど、新型コロナウイルス感染症やロシアのウクライナ侵攻などがあり、意識が地震から少し離れていたように思う。地震発生は待ったなし。この機会に基本に立ち返り、頭を防災モードに戻していただければ」とあいさつした。
市防災対策課の下地優斗さんが▽過去の地震について▽新宮市に予想される地震▽地震への対策▽個人の対策―の項目に分けて講話を展開。
スライドを使って阪神・淡路大震災(1995年)、熊本地震(2016年)、大阪府北部地震(18年)の被害を振り返り、近い将来の発生が危惧されている東南海・南海地震にも言及。「自分の身を守る行動を」と呼びかけ、家具転倒防止器具の取り付け、住宅の耐震化の重要性を訴えた。
住宅耐震改修事業やブロック塀等耐震対策事業など、市が展開する防災関連支援制度を紹介し、個人の対策として「非常持ち出し袋、家庭内備蓄」「事前に災害リスクを確認する」などを挙げ、市ハザードマップの見方やウェブ版新宮市ハザードマップの使い方についても解説。
旅館等宿泊避難支援事業の活用を推進し、メール・電話・テレホンガイド・公式LINE(ライン)などを活用した防災情報取得への協力も呼びかけた。
(2022年10月25日付紙面より)
イベント「秋の実り笑来市」 (エコ工房四季 )
串本町古座にある社会福祉法人つばさ福祉会(北野好美理事長)の事業所「エコ工房四季」(平原正雄施設長)が22日、敷地内でイベント「秋の実り笑来市(えこいち)」を開き農福連携の関係先や地域からの来場でにぎわいを見せた。
このイベントは、新型コロナウイルスの情勢で以前開いていた地域交流行事「エコ祭り」が開けない中、農福連携で変わりゆく今を地域に知ってもらう方法はないかと考えて形にした企画。
株式会社天然との共催で本年度から始めた出店企画「串本古座四季彩まるしぇ」(現在は新型コロナウイルスの情勢により休止中)の形に「エコ祭り」の謝恩企画と農福連携の一端紹介を上積みした会場を形作り、実施へとこぎ着けた。
当日は「同まるしぇ」出店者と近畿農政局や和歌山県セルプセンターの各コーナーがコの字型に並び、その中央にテーブルとイスを置いて休憩場所を準備。農福連携のアピール要素として「エコ工房四季」と農福連携をしている古座川町の生産者らがトラクターなど愛用の農機具を持ち込んで体験展示し、子ども対象の農機具お絵描きコンテストを実施した。
「エコ工房四季」の利用者は駐車場整理などイベント運営に励みつつ、2コーナー以上利用した来場者を対象に電子レンジや農福連携で生産した米などを景品とした○×クイズを実施し、終盤でのステージ発表で来場や日頃の縁に感謝した。
「エコ祭り」より小規模を心がけたが来場の勢いは予想以上で、前半の午前中だけで約300人が集まったそう。北野理事長は「まずは楽しんでもらい、その中で農福連携に頑張っていることを伝えたくてこのイベントを計画した。大々的にしないよう意識したので、こんなに大勢の皆さんに来ていただけたのは本当に予想外。一人でも多くの皆さんに『エコ工房四季』の今の頑張りを感じてもらえれば」と反響の大きさに驚きつつ、イベントの成果を期待した。
(2022年10月25日付紙面より)
道の駅「たいじ」で物産展 (広域商工会東牟婁協議会 )
北山村、古座川町、南紀くろしお、串本町の各商工会で構成する広域商工会東牟婁協議会(上松也泰センター長)は23日、太地町森浦の道の駅「たいじ」で「熊野のいいもの集めました」と題した物産展を開いた。各地域の名物を目当てに県内外から来場した多くの人でにぎわった。
物産展は、伴走型小規模事業者支援推進事業の一環で2013年から実施する恒例の催し。同協議会では商談会への参加や地域内外の物産展開催を通して、事業者の学びや販路拡大などの支援に努めている。
今年は3町1村から5店舗が出店。じゃばら加工品やケーキ、ホルモン焼き、おまぜ、サーターアンダギーなど、地域色や個性豊かな商品が店先に並んだ。
上松センター長は「安定してお客さんが来てくれた。地元の人が多かった印象」。
「今回は勝浦からの出店がなかったが、マグロの珍しい部位やじゃばら加工品など、地域を表したラインナップになっていると思う。天候にも恵まれて良かった。いい日和だったと思います」と話していた。
(2022年10月25日付紙面より)
熊野修験の特別得度式 (那智山青岸渡寺 )
熊野修験特別得度式が22日、那智山青岸渡寺であった。熊野修験の34人が参加、戒律を守ることを誓い、髙木亮英正大先達(しょうだいせんだつ)(那智山青岸渡寺住職)より戒名を授かった。九字の切り方を教える、熊野修験特別九字伝法式も、同寺境内にある大黒堂に場所を移して行われた。
熊野修験再興35周年・那智山青岸渡寺第九世髙木亮英大僧正晋山記念として実施した。得度式は、仏門に入り僧侶になるための儀式。熊野修験の得度式では、髙木正大先達が戒律を守るかを問い、参加者がこれを守ることを誓って、戒名を授かった。参加者は、何度も頭を床に付け、一心に拝むなどしていた。
髙木正大先達は「熊野修験の皆さんが、今後より一層、精進されることを祈念する」と述べた。静岡県三島市から参加した佐々木和子さん(46)は「玉置山までだけど、奥駈に何度か参加していたら、誘われて参加することになった。戒名を授かったのは恐れ多く、感謝している。山に入るのは好きで自然信仰にも興味があったので、これがより深くつながる入り口かなと感じている」と話した。
九字伝達式では、髙木正大先達が一つずつ、印の結び方を教えた。参加者は正しい指の重ね方などを、苦心しながら学んでいた。
(2022年10月25日付紙面より)
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で11日夜、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」の神事の一つ「御船祭(みふねまつり)・早船競漕(きょうそう)」(16日)の旗番抽選会が行われた。上野宮司をはじめとする神職、審判委員、出船9地区のメンバーらが出席する中、地区の代表者らがくじを引いてスタート位置を決めた。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を回る「神輿渡御式」からなる祭り。2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける。
早船競漕の開催は実に3年ぶり。9隻の早船は9日早朝に蔵から出され、各出船区では本番に向けて練習が行われている。
抽選に先立ち、上野宮司は「日本には重要無形民俗文化財がたくさんあるが、速玉大社の例大祭は連綿とした気の遠くなるような歴史があり先人たちが守ってきた。われわれはそれを受け継いでいる。この重みをご理解いただき、神様のお供をできて良かったと思えるよう信仰心をあつくしてほしい」。
「祭りの本当の重要な部分を背負っていただきながら、コロナ感染防止、そして事故やけがのないように安全第一でお願いしたい」と呼びかけた。
審判委員が競漕時の注意事項などを説明した後、くじを引く順番を決める予備抽選、船番抽選、旗番抽選が行われ、各区ごとに13人分の検査キットが配布された。
神迎えの喜びを表す早船競漕は16日(予備日は23日)午後4時30分ごろ、旧丹鶴小学校下の熊野川河原に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。
3年前の2019年は、堤防区が15分2秒のタイムで優勝した。
(2022年10月13日付紙面より)
串本中1年ロケット講座で (県宇宙教育研究会 )
串本町立串本中学校(濱﨑和司校長)の1年生36人を対象にしたロケット講座が11日にあり、生徒はモデルロケット「アルファⅢ」を組み立てて打ち上げる体験をし、ロケット「カイロス」初号機打ち上げへの期待感を高めるなどした。
この講座は、県宇宙教育研究会(会長=笹井晋吾・県立桐蔭中学校・高校長)が学校教育における指導ノウハウを構築するため前年度から重ねている試行の一環。本年度も串本中1年生と串本西中2年生に協力を求め、昼休みを挟む改良を加える形で準備した。
当日はモデルロケットの指導講師ライセンス取得間もない串本中の太田昇教諭が初主導し、指導経験豊富な同研究会の藤木郁久事務局長らが補佐。本年度は2人一組でなく全員にモデルロケットを割り当て、生徒は4時間目に接着剤を使った工程を終えるまで組み立てを進め、昼休み中に接着剤を乾かしエンジンとパラシュートを詰めるなどして仕上げた。
以降は潮岬にある望楼の芝へ移動し、射点4カ所に分かれて順々に打ち上げ。ミスがあればその場で原因を考えつつ、全員が発射を体験した。
岡志(いっし)さん(13)は「接着するところがちょっと難しかったけど、何とか作れた。打ち上がったけれどパラシュートが最後まで開かなくて、ずっと『開け!』と思っていた」と感想を述べ、「今度こそ成功させたい」とリベンジに意欲。吉田美月(みづき)さん(13)は「モデルロケットを作るのは初めて。細かな作業が難しくてちゃんと飛ぶか心配したけど、1回で打ち上げに成功し、パラシュートもうまく開いてうれしかった」と話し「機会があればまたやってみたい」と興味を高めていた。
その後はドローンによる記念撮影なども体験して終了。藤木事務局長は「串本へは何度も来ている。会うことがあったらまた一緒に学ぼう」、太田教諭は「次は技術の時間で自作のロケットを作り、打ち上げにチャレンジできたらと思う」と今後の目標を生徒と共有して締めくくった。串本西中2年生は13日に協力する予定。
(2022年10月13日付紙面より)
三輪崎支所に防災出張窓口開設 (新宮市 )
新宮市三輪崎の市役所三輪崎支所で12日、防災出張窓口が開設された=写真。14日(金)までの3日間にわたって市防災対策課の職員1、2人が常駐。2011年の紀伊半島大水害のパネル展示や「紀伊半島大水害 豪雨」のDVD上映を行うほか、ハザードマップの見方や防災行政無線放送のメール配信サービスの登録方法、防災に向けた各種事業の説明などを行う。
大規模災害発生時においても、地域の防災拠点施設としての役割を十分に果たすことをコンセプトの一つに、7月19日に開所した三輪崎支所新庁舎。
新庁舎開設以降の防災出張窓口の開設は初めてで、これまで本庁舎で実施していた災害展示の一部を移設展示することで11年前の大水害を思い起こしてもらい、地域住民に防災意識を高めてもらうことを目的としている。
さらに、ハザードマップの正しい見方を周知することで自宅の災害リスクを認識してもらい、リスク軽減に向けた▽住宅耐震改修▽木造住宅耐震診断▽ブロック塀等耐震対策―の耐震事業や、避難のために宿泊した市民の宿泊料金を助成する「旅館等宿泊避難支援事業」の紹介も実施している。
なお、「旅館等宿泊避難支援事業」は本年度から実施期間を通年とし、割引額をこれまでの1泊上限2000円から3000円に増額して展開。市が「レベル3 高齢者等避難」「レベル4 避難指示」のいずれかを発令していることなどが要件となる。
出張窓口設置に当たり、同課の上田紘大さんは「大水害発生当時のことを思い出していただき、ハザードマップで災害リスクの把握を」。竹田和之課長は「防災への興味が高まっているように感じる。今後もこういった機会を設けていければ」と来庁を呼びかけている。
(2022年10月13日付紙面より)
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)の例大祭宵宮が8日夜に、本宮が9日に営まれた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、稚児行列や子ども神輿(みこし)を中止するなど、行事を縮小して斎行した。宵宮では、樽(たる)神輿の渡御(とぎょ)が行われ、行列が太地水産共同組合から出発し、同神社を目指した。
宵宮は水産共同組合で頭屋祭を終えた後、行列が出発。今年も神輿練りはなかったが、江戸時代初期に新宮市の阿須賀神社から分霊を受け、樽に入れて運んだ故事に由来する樽神輿や参列者が、暗くなった町内を歩いた。
沿道には渡御の様子を一目見ようと訪れた町民の姿も見られた。その後は宵宮本殿祭が行われた。
翌朝の本宮では雨天のため、寄水(きすい)地区へは行かず、行列は水産共同組合から飛鳥神社へ向かった。
到着後の本殿祭では髙橋宮司が豊漁や町の繁栄などを祈願して祝詞を奏上し、参列者らが玉串をささげた。
例大祭を終えると、雨脚が強くなったため、社務所内で記念撮影を実施。その後、寄水青年同志会と東新青年同志会が獅子神楽を奉納した。
祭典頭主の塩崎伸一さんは「滞りなく無事に宵宮を終え安心した。渡御の際、見学する町民の皆さんの姿を見て町の伝統ある祭りを待っていてくれたのだと感じた。翌日の本宮でも同じだが、地域の繁栄や平穏無事はもちろん、新型コロナが一日も早く終息し、来年こそは従来の祭りが斎行できることを祈りたい」。
髙橋宮司は「規模縮小やあいにくの天気となったが、無事に斎行できて良かった。来年こそは例年通り、明るくにぎやかに神輿の練りができればありがたいです」と語った。
(2022年10月13日付紙面より)