飛鳥神社で寅とクジラ描く (太地町 )
過疎地域神社活性化推進委員会、太地町赤十字奉仕団(和田千明委員長)、太地町地域連絡協議会(法花真左美会長)は28日、同町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で2回目となる大絵馬づくりを行った。同町在住で日本画家の土長けいさんと共に町内の4歳から12歳までの子どもたち17人が自由な発想で来年の干支(えと)である「寅(とら)」と共に「クジラ」と「イルカ」を力強く描いた。完成した2枚の大絵馬は正月に同神社と金刀比羅(ことひら)神社に掲げられる。
髙橋宮司によると、大絵馬づくりは「地域活性化」「子どもたちの思い出づくり」「郷土愛の育くみ」が目的。大絵馬は縦120㌢、横150㌢のヒノキ製。同町の坂下工務店が作成した。
この日は3密回避のために、子どもたちと同奉仕団は前半と後半の2部に分けて実施。奉仕団に所属する正看護師2人も待機した。常に換気を行い、体温測定やマスクの着用、作業に必要な水くみなどは奉仕団らが行うなどして、新型コロナウイルス感染症対策を徹底した。
日展や新日春展の会友である土長さんが大絵馬に下絵を施した。子どもたちはアクリル絵の具と筆、スポンジなどを持って定位置に。細かい作業に取り組む子や大胆に色を塗る児童など、各自が自由に描いて絵馬を完成させた。
昨年も参加した森田瑛斗(あきと)君(太地小4)は「楽しかった。自分が描いた部分は恥ずかしいけどいろんな人に見てほしいです」。
山本紡さん(太地小6)は「人数も少なかったので自由に絵が描けた。良い絵馬が完成したと思う。飾られるのが楽しみ」と笑顔で話した。
土長さんは「自由な発想で描いてくれたので良いものができた。大絵馬づくりが、いろんなことにチャレンジするきっかけになってもらえれば」とコメント。
法花会長は「良い絵馬ができた。過疎化が進む中でも、絵馬で神社が明るくなってくれればうれしい」。
和田委員長は「ほかの神社にはない絵馬。昨年は絵馬のおかげで両神社とも参拝客が増えた。子どもたちにとって、夏休み最後の良い思い出になってくれたら」と語った。
髙橋宮司は「昨年の経験を踏まえ、事前に構図の打ち合わせも行った。コロナを吹き飛ばすような元気いっぱいの大絵馬が完成して良かった」と述べた。
年末に大絵馬の除幕式を予定しており、古い絵馬は今後、飛鳥神社社務所の軒下裏と、金刀比羅神社の拝殿内に設置していくという。
(2021年8月31日付紙面より)
紀伊半島一周道路実現に一歩前進 (熊野尾鷲道路(Ⅱ期) )
自動車専用道路「熊野尾鷲道路」が29日、建設中だった尾鷲市坂場西町の尾鷲北インターチェンジ(IC)から同市南浦の尾鷲南ICを結ぶ5・4㌔がつながり、全線が開通した。
尾鷲市と熊野市を結ぶ熊野尾鷲道路の18・6㌔は2013年に開通し、尾鷲市と紀北町紀伊長島区を結ぶ紀勢自動車道21・2㌔も14年に開通している。尾鷲北ICから同南浦IC間は熊野尾鷲道路(Ⅱ期)として12年に新規着手し、未整備区間の解消に努めてきた。午後3時、両入り口に置かれたバリケードが業者によって取り除かれると双方向への車両通過が一斉に始まり、伊勢市や名古屋市から熊野市間が自動車専用道路で結ばれた。
新開通区間にはトンネル4本が掘られ、片側1車線。日曜とあって普段より多くの車が、信号や交差点のない快適な走行を楽しんだ。全体事業費は、当初予算を80億円上回る340億円だった。
整備効果としては道路ネットワークが強化され、尾鷲市内の津波浸水想定区域を避けるなど防災や観光アクセスの向上など地域活性化、救急医療活動への支援向上などが期待される。なお、尾鷲北と南両ICの通行方法はこれまで通り。尾鷲北は松阪市方面からの出口と尾鷲市から松阪市方面への入り口、尾鷲南は熊野市方面からの出口と尾鷲市から熊野市方面への入り口に限定される。
鈴木英敬三重県知事は「紀伊半島大水害から10年目の節目となる年に開通を迎えたのは、非常に感慨深い。近畿自動車道紀勢線の残る区間の工事が円滑に進み、紀伊半島一周道路が一日も早く実現しますように」と祝意を寄せ、それぞれの地域の発展を期待した。
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※近畿自動車道紀勢線=延長約335㌔の自動車専用道路。大阪府松原市を起点とし、紀伊半島沿岸を通って三重県多気町で近畿自動車道伊勢線とつながる。
(2021年8月31日付紙面より)
第7回東牟婁等氾濫減災協議会
第7回東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議会が27日午後にウェブ会議の形であり、構成員間で取り組みの現況を情報共有したほか、対象とする2級河川で唯一の洪水予報河川となっている古座川の流域治水プロジェクト(案)の内容を確かめ承認するなどした。
この協議会は、2017年水防法改正の趣旨に基づいて設立。水防災意識社会の再構築を趣旨とし、対象河川(古座川・すさみ川・太田川・那智川・佐野川など)に関係する自治体と気象庁和歌山地方気象台など国の諸機関が「流域治水」の発想で減災を推進するための情報共有や協議をする場として機能している。
新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮して今回も前回同様に同会議の形で実施した。当日は各構成機関の代表者や担当職員が出席し、酒井清崇・東牟婁振興局長が取り巻く環境を踏まえて同協議会の趣旨を振り返りつつあいさつ。議事は①規約改正②取り組み方針の見直し③地域内の減災に係る取り組み状況④流域治水による減災に関係する取り組み事例⑤古座川流域治水プロジェクト(案)―で、併せて特定都市河川浸水被害対策法や災害対策基本法など関係法令の改正や気象庁の情報提供方法の変化についての説明もあった。
②では18年度に掲げた同方針の期限が本年度となっているため、見直しをかけた新方針を次年度に掲げる準備を進めることを確認。③では関係各自治体の現方針に掲げる項目の達成状況を振り返った。
④は各構成機関による取り組みの報告で、本紙関係の新宮市はウェブ版ハザードマップの公開とQRコードを用いた活用推進の考え、那智勝浦町は多面的機能支払交付金などによる農地農業水利施設の質向上、太地町は防災機能を複合したJR太地駅舎の概要、古座川町は町独自の近年の砂利採取実績、串本町は避難情報の伝達や対応のタイムラインが庁内にもたらした効果を話題とした。
県は▽2級河川古座川河川整備計画に基づく河道掘削などの現況▽小規模河川の氾濫推定図作成の手引きの公表▽避難情報の判断・伝達マニュアルのモデル基準作成▽ダム事前放流の現況―など、紀伊山系砂防事務所は那智川流域における砂防えん堤など整備の現況(8支川で15基完成)と今後の計画や11年紀伊半島大水害から10年の節目を見据えたパネル広報の考え、近畿中国森林管理局は雨水貯留機能向上の考えなどを報告した。
⑤は前回の同協議会で確かめた素案をさらに固めた確定案で▽氾濫自体を抑える▽氾濫時の被害対象を減じる▽被害の軽減と早期復旧・復興―の3系統で対策を体系化した内容。対策の具体的手法と要する工期の目安などと併せて内容を確かめ、確定することを承認した。
同気象台の石井嘉司台長が構成機関相互の連携を期待し、県河川・下水道局の太田和良局長が閉会のあいさつを述べて締めくくった。同プロジェクト案は古座川以外に太田川、那智川、佐野川も素案を確認済みで、次回実施時に案を示し承認を求める見込み。
(2021年8月31日付紙面より)
宮坂厚希主将(太地町出身)が優勝に貢献 (全国高校野球選手権 )
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で29日、「第103回全国高校野球選手権大会」の決勝戦が行われ、智弁和歌山と智弁学園(奈良)が対戦。9―2で智弁和歌山が勝利し、優勝を飾った。太地町出身で智弁和歌山の主将・宮坂厚希君(3年)が1番・中堅で出場し、2安打1打点と活躍。同校の21年ぶり3度目の優勝に大きく貢献した。
宮坂君は保育園児から野球を始め、地元の少年野球チームの太地シータス、同町を拠点に活動する中学生硬式野球チーム・和歌山南紀ボーイズ(漁野尚登代表)出身で、走、攻、守と三拍子そろった外野手。昨年秋から智弁和歌山の主将としてチームをまとめ、同大会では1番打者として打率5割の成績を残した。中でも近江(滋賀)との準決勝では5打数4安打と活躍し、チームの勝利に貢献した。
決勝戦は第84回大会(2002年)の3回戦以来となる智弁学園との兄弟校対決となった。試合は、先攻の智弁和歌山が一回表に1番宮坂君が中二塁打、2番大仲勝海君が右安打で出塁すると、4番徳丸天晴君の犠飛、6番渡部海君と7番高嶋奨哉君の連続適時打などで4点を先制した。
二回裏には智弁学園に2点を返されるが六回表、1死一、三塁から宮坂君が適時打を放ち1点、七回1点、八回2点、九回にも1点を追加。最後は智弁学園打線を三者凡退に抑え、9―2で勝利し全国制覇を果たした。
優勝インタビューで中谷仁監督は「選手たちが甲子園を目指せない苦しい昨年を経て、真摯(しんし)に努力してきた結果。智弁学園さんと決勝で競うこと自体が幸せな時間でした。強力打線のため、打ち勝たなければ優勝はないと覚悟を決めていた。勝利への執念が日本一につながったと思います」と振り返った。
宮坂君は「優勝を目指してやってきたので素直にうれしいです。相手チームもおり『礼に始まり礼に終わる』という意味で、マウンドで歓喜するのはやめました。終わってからみんなで喜びを分かち合うことにしました。苦しいことも多かったですが、チーム全員で乗り越えようという気持ちで頑張ってきました。最高のチームでした」と喜びを語った。
宮坂君が中学生時代に指導した南紀ボーイズの太田尋文監督は「優勝は非常に安心しました。学校や関係者の皆さんのおかげで野球人として立派に成長させていただいたと感じています。中学生当時から何事にも自分から進んで納得するまで取り組み、態度で示していくタイプだった。大変なこともあったと思いますが、中谷監督の下、懸命にプレーしつかみ取った結果でうれしいです」と話していた。
(2021年8月31日付紙面より)
岩渕さんが風化防止講話 (新宮警察署 )
新宮警察署(山田守孝署長)で24日、紀伊半島大水害風化防止講話があった。那智谷大水害遺族会の岩渕三千生(みちお)代表が講師を務め「10年たとうが何十年たとうが気持ちは変わらない。災害で、自分たちのような遺族が出てほしくない」などと思いを語った。
2011年の紀伊半島大水害(台風12号災害)から10年の節目を迎えるに当たり、同水害の風化防止と災害から得た教訓を次世代に伝える目的で実施。検温や消毒など新型コロナウイルス感染防止対策が講じられる中、同署職員ほか、県警本部警備課、那智勝浦町役場、同町消防本部の職員ら約20人が参加した。
開催に当たり、同水害の犠牲者に対し、1分間の黙とうがささげられた。
岩渕代表は三重県紀宝町在住。同水害により那智勝浦町井関の実家に住んでいた、おいの紘明(ひろあき)君=当時(15)=を失った。また、水害後にボランティアで復旧作業に当たっていた父親の三邦(みくに)さん=当時(76)=が心不全で急死した。
水害の概要や当時の様子などについて説明した岩渕代表は「平成13(2001)年ごろに那智川が氾濫したことがあり、当時は床下浸水くらいだった。おやじはその当時くらいの被害だろうと、土のうなどを積んで2階に避難していたが、着替えのためにおやじ、おふくろ、紘明が1階に降りた時、鉄砲水に襲われた」。
「つかまっとけよ」。三邦さんは叫んだ。「分かった」。紘明君がそう応えた次の瞬間、「ドーン」という大きな音とともに姿は消えたという。
その1週間前、岩渕代表らは県の職員に対し那智川の大きな石の撤去や、老朽化していた堤防の修繕などを要望していたが、県の回答は「世界遺産だからできない」。岩渕代表は「人の命と世界遺産、どっちが大事なのか。1週間後、恐れていたことが現実になってしまった」と振り返った。
当時、警察署員の捜索活動の不備や、紘明君の捜索願いに対する処理に不手際があったことを指摘。発見された遺体の確認もままならなかった状況を説明し「警察に対しては不信感しかなかった」。
また、町に対しては「井関地区ではスピーカーが壊れており、給水車が来ていることが伝わっていなかった。町に公用車で放送しながら地区内を巡回してほしいと頼んだところ、クーラーを効かせた車が放送が聞こえないスピードで走っていた。町と那智谷の温度差がすごかった」などと回顧した。
那智谷を復興させるためのボランティアの会で避難路を造ったことや同遺族会の発足、災害写真集を発刊した経緯などを振り返り「写真集は忘れたらあかん、忘れさせたらあかんという思いで作った。忘れさせないためにも活動を続けていかなければ。それが(亡くなった)29のみ霊から託された使命だと思っている」。
「生きてたら何でもできる。死んだら何もならん。自分で判断して行動しなければ」と訴えた。
写真集の収益はこれまで13の地域に寄付しており、今年は静岡と九州に送る計画をしているという。
(2021年8月26日付紙面より)
明治安田生命と包括連携協定 (串本町 )
串本町と明治安田生命保険相互会社(永島英器・執行役社長)は24日、包括連携協定を結んだ。相互連携と協働での活動を推進し、地域のニーズに迅速かつ適切に対応して町民の健康増進やサービスの向上を図る。
同社は「ひとに健康を、まちに元気を。」をスローガンに、継続的な健康増進を応援する「みんなの健活」と豊かな地域づくりへの貢献を目指す「地元の元気」の2大プロジェクトを展開している。
協定は「地元の元気プロジェクト」の一環で、2020年度から全国の地方自治体や銀行などと結んでいる。県内ではこれまでに和歌山市、海南市、高野町、橋本市、紀の川市、紀美野町が締結しており、串本町は7例目。当地方では初となる。
連携事項は▽地域の安全・安心や健康づくり▽結婚・出産・子育て支援▽産業・観光振興および地域経済の支援▽交流人口の拡大・環境保全▽地域の活性化および町民サービスの向上―に関することの5項目。町役場で開かれた締結式には田嶋勝正町長と企画・産業・福祉の各課長、明治安田生命の松尾洋・和歌山支社長、小堂和彦・新宮営業所長、大谷力哉・顧問、市場開発担当の西棟真由美さん、坂本充寿・紀陽銀行串本支店長らが出席した。
田嶋町長は「コロナ禍で経済や住民の健康などの状況は厳しい。『ウィズコロナ』『アフターコロナ』を地域としてどう頑張っていくかが求められており、職域を超えた連携は今まで以上に大事になってくる。町や地域のため力を合わせて頑張りたい」。
松尾支社長は関係者に感謝を述べ「協定による取り組みが地域に広く認知され、地域住民の健康寿命の延伸や地域の活性化につながるよう、ネットワークと各方面の広範な関係を活用しつつ県内に勤務する従業員約300人が一緒に汗を流して取り組んでいく」とあいさつした。
締結式後、「私の地元応援募金」の贈呈式があり、松尾支社長が田嶋町長に目録を渡した。
(2021年8月26日付紙面より)
神内で延命地蔵の供養 (紀宝町 )
紀宝町神内の延命地蔵で24日、善光寺仏教婦人会による延命地蔵とオムラ不動明王の供養が営まれた。
毎年、1月24日に斎行される例祭後には餅ほりでにぎわいを見せ、8月24日夜には神内会館で延命地蔵盆踊り大会が開かれている。昨年からは新型コロナウイルスの影響で餅ほりや盆踊りが中止となった。
この日、供養を執り行った善光寺の一村桂晋住職は「地域の皆さんの幸せと健康、新型コロナウイルスの早期終息をお祈りしました」と話していた。
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■延命地蔵
この地蔵は別名「滝の地蔵」とも呼ばれ、奇岩(みさごの岩)の岩窟に祠(ほこら)があり、前方に「大洞の滝」が流れ落ちる。座像ではなく片膝をついた姿をしている。
「神内の伝承や昔話」によれば、祭り始めた当時は争い事が多かったため、いつでも立ち上がり、村の助勢ができるように身構えてくれていたとの言い伝えがある。
神内音頭の一節に「滝の地蔵」が歌われている。
(2021年8月26日付紙面より)
わたぼうし音楽祭で審査員会特別賞 (太地町 )
1日に開催された「~障害のある人たちの心を歌う~第46回わたぼうし音楽祭」において、審査員会特別賞を受賞した野澤大輔さん(36)の功績をたたえ24日、太地町役場で表彰式があった。三軒一高町長から野澤さんに名前入りのギターストラップや表彰状が贈呈された。
新宮市佐野の社会福祉法人いなほ福祉会ワークショップゆうの利用者で、同町のグループホームあたみハイツで暮らす野澤さん。フォークデュオ「ヤブシン」の藍田真一さんにギターを師事し、2013年に誕生したバンド「ハリケーン」でギターとボーカルを担当している。
新型コロナウイルス感染症の影響でインターネット上での開催となった同音楽祭には、全国から680点の作品が集まった。野澤さんは「僕の一日」で「作詩・作曲の部」において、初応募でファイナリストに選ばれ、今回の受賞に至った。
三軒町長は「町民としてうれしい。心がこもった歌詞に感動した。コロナ終息後は町の催しなどで歌っていただけたら」と話した。
この日、野澤さんと共に表彰式に出席したグループホームの同居人で友人の佐藤孝則さんは「前とは全然違う大ちゃんの姿が見られて本当にうれしかったです」。
あたみハイツを運営する特定非営利活動法人七彩会の平谷瑞樹理事長は「七彩会として誇りに思う。今後も野澤さんやハリケーンを応援、バックアップしていきたい」。
町社会福祉協議会の岡本研会長は「社会に感動を与えてくれた。うれしい」とコメントした。
野澤さんは今回の表彰について「うれしいです。いろんな人に聞いてもらえるように曲を作ります。12月のライブも楽しみ」と笑顔で語った。
なお、12月に今回の受賞を記念した野澤さんのライブが太地町地域福祉センター梛(なぎ)で開催される予定。
(2021年8月26日付紙面より)
県下高校野球新人戦
国際交流イベントin図書館 (那智勝浦町 )
那智勝浦町教育委員会は23日、町立図書館で国際交流イベントin図書館「オーストラリアについて知ろう!!」を初開催した。昨年12月から国際交流員(CIR)として同町で活動しているミャオミャオ・イェさん(26)が講師を務め、絵本の読み聞かせを行ったほか、参加した児童7人とクイズやゲームを楽しみ親睦を深めた。
中国出身のミャオさんはオーストラリアに移住し、日本語や日本文化を勉強したという。その後、JETプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)に参加。
英語、中国語、日本語が話せることから、同町に着任当時は町観光案内所で勤務。現在は役場観光企画課に席を置き、依頼があれば、町内飲食店の食事メニューなどの翻訳業務も行っている。
ミャオさんは「趣味は絵を描くことで、ラーメンが好き。将来は漫画を作りたい」と自己紹介。スライドを用いて、「オーストラリアの国土は世界で6番目に大きい」「国章はカンガルーとエミュー。どちらも前に進む動物なので国として前へ進みたいという思いからこの国章になったと伝えられている」「夏は12月~2月。日本と逆の季節になる。クリスマスは夏」などを説明した。
続いて、絵本「コアラのクリスマス」を日本語と英語で読み聞かせ、復習を兼ねたクイズでは積極的に解答する児童の姿が見られた。最後は動物の写真を模写し、グループ内で自身が描いた絵を見せ合い、動物を当てるゲームに取り組んだ。
イベントを終え、図書館からしおりが、サンタクロースに扮(ふん)した町職員から菓子などのプレゼント、ミャオさんから折り紙のカンガルーが贈られた。児童は「楽しかった」「もっと絵を描きたかった」と笑顔で感想を述べた。
ミャオさんは「楽しかった。オーストラリアを知ってもらえ、小学生の皆さんの知識や生活に触れることができて良かった。機会があればぜひやりたい」と語った。
(2021年8月24日付紙面より)
9月4日にワクチン接種 (串本町 )
串本町が20日、新型コロナワクチンの一般(12~15歳)対象集団接種を実施する判断に基づき初回の対象者332人(9月4日基準)に案内を送付した。ワクチンはファイザー社製で、集団接種の実施日は9月4日(土)と25日(土)の2回。くしもと町立病院を会場にして行うという。
同町は9月末完了を目標にして今月3日から一般(16~64歳)対象の集団接種を始めた。その時点でファイザー社製のワクチンの接種可能年齢は12歳に引き下げられていたが、同町は年長優先の方針により12~15歳の接種を行うにしても終盤となることから案内の送付を一端保留。先行事例の状況を観察した上で接種の可否を判断する慎重対応を選んでいた。
その判断の節目が19日で、同町は地元医師からも意見を受けるなどして可と判断し翌20日に案内と接種券を対象者へ発送した。集団接種日は前述した通りで、対象者からの接種希望の締め切りは8月31日(火)必着としている。
国の同ワクチン接種期間は来年2月28日(月)までの予定。9月5日(日)以降に12歳となった子も期間内であれば接種の対象となるため、誕生月の1カ月前に順次案内などを送付する考え。接種券は同期間内で有効であることから、同集団接種以降は世代を問わず締め切り後も可能な限り追加の接種希望を受け付けて集団もしくは小規模(極力6人単位)で接種する機会を作るとしている。
その延長線上で生じる3月問題について同町福祉課の中田匠課長は「同級生で3月生まれだけが接種できないのはありえない」とし、国が期間の予定を今後どうするかを注視しながら今後対応を考えたいと話している。
問い合わせは接種関係窓口として開設中の同町コールセンター(電話0735・62・1560、平日午前8時30分~午後5時15分)まで。
(2021年8月24日付紙面より)
紀宝町では採火式を行ったばかり
三重県の鈴木英敬知事は21日、国内をはじめ県内全域でも新型コロナウイルスの爆発的な感染が拡大しているとして、9月25日(土)に開幕を予定していた「三重とこわか国体」の中止を文部科学省などに申し入れると発表した。
すでに無観客での開催が決定していたが、県民の命を守り抜くことを最優先した結果、今回の決断に至った。鈴木知事は「断腸の思い、苦渋の決断」と述べ「アスリートの活躍を失わさせてしまう形になってしまったことに心からおわびを申し上げます」などとコメントした。
10月23日(土)に開幕を予定している「三重とこわか大会」も、中止に向けた協議を進めるという。
両大会のシンボルとなる炬火(きょか)の採火式が県内各市町で行われており、紀宝町では中止申し入れ発表前の21日午前、町ふるさと資料館で開催した。
同町では当初、地元の小学生20人を集めて火おこしとバターナイフ作り、竹トンボ体験を計画していたが、新型コロナウイルス感染拡大のため中止となり、MANABI☆ボランチ(千葉寛訓代表)のメンバー7人が採火した。
メンバーはマイギリを使った昔ながらの方法で火をおこした。火種をトーチに点火して炬火受け皿に移し、「紀宝町の火」を誕生させた。県内全29市町で採火された「炬火」は、国体総合開会式で一つに集火し、炬火台へ点火する予定で、中止申し入れを聞いたメンバーは「紀宝町の火をおこした後に中止の申し入れを聞いた。残念です」と話していた。
(2021年8月24日付紙面より)
紀伊半島大水害から10年 (新宮警察署 )
新宮市佐野のスーパーセンターオークワ南紀店で23日、新宮警察署(山田守孝署長)による災害パネルの展示が始まった=写真。展示は9月6日(月)まで。
台風12号により、紀伊半島の一部地域で雨量が2000㍉を超えるなど、記録的な豪雨をもたらした2011年の紀伊半島大水害。
豪雨により、当地域の各地で土砂災害、浸水害、河川の氾濫などが発生し、和歌山県、三重県、奈良県を中心に全国で死者82人、行方不明者16人を数えるなど、多くの尊い命が奪われた。
国土交通省のデータによると、土砂災害件数は106件に及び、崩壊土砂量は約1億立方㍍(京セラドーム大阪または東京ドームの約80倍の量に相当)と推測。地域経済にも大きな影響を与えた。
同署によるパネル展示は、同大水害の風化防止と地域住民の防災意識向上を目的として実施。新宮市や那智勝浦町などにおける、災害発生当時の警備活動の様子などを展示している。
(2021年8月24日付紙面より)
串本古座・有田中央は敗退 (県下高校野球新人戦 )
ボーイズリーグ和歌山大会
追い込み漁前に海保が訓練 (太地町 )
9月から始まる小型鯨類追い込み漁を前に第五管区海上保安本部は19日、太地町の畠尻湾で反捕鯨団体による違法行為を想定した11回目の事案対処訓練を実施した。田辺海上保安部、串本海上保安署、関西空港海上保安航空基地、太地町漁業協同組合などから約40人が参加。官民一体で訓練に取り組んだ。
同町へは2010年以降、過激な環境保護団体などが多く訪れ、港の無許可撮影などの嫌がらせ行為が続いていた。
例年は太地漁港周辺で実施しているが、今年は港内のいけすにイルカがいるため、同所に変更された。同保安部によると、2年間は目立った違法行為は確認されていないが、ドローンを使用した事例があったという。
この日は巡視船こうや巡視艇むろづきのほか、ゴムボート、ミニボート、カヤック、漁船、ヘリコプターを用いた。
ゴムボートによる操船や、ドローン操縦者に対する警備広報、カヤック乗艇者の転覆救助、違法行為者の海上追跡捕捉の訓練に取り組んだ。
田辺海上保安部の上野春一郎部長は「違法行為の未然防止や人命財産の保護を目的に訓練を実施している。失敗は許されないことを肝に刻んで警備を続けてまいりたい」とあいさつ。
海上追跡捕捉などの訓練では、追い込み漁を終えた漁業者に反捕鯨活動家が抗議活動や仕切り網のロープを切断するなどの妨害を行ったと想定。通報で駆け付けた海保に対し、活動家の一人がナイフを投げ付け泳いで逃げ、ボートのメンバーも逃走。ゴムボートとヘリが追跡し確保した。
訓練を終え、海上保安庁警備救難部警備課の筒井直樹課長が「狭い海域でも高い機動力を示すことが確認できた。追い込み漁の実施に向けた皆さま方の安心安全の確保ができることを示していきましょう」と講評した。
来月1日(水)から追い込み漁を控える太地いさな組合の田中清仁組合長は、今回の訓練や漁に向けて「コロナ禍で鯨類の流通も悪いため、厳しい一年になると思う。しかし、われわれは捕ることが仕事。町や海保、警察の協力をいただきながら、頑張っていきたい」と語った。
(2021年8月21日付紙面より)
新宮高校でオープンスクール (新宮市 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒541人)で20日、オープンスクールがあり、新宮・東牟婁郡内の16校から中学生が訪れた。生徒たちは前半・後半の2グループに分かれて学校紹介や体験授業を受け、クラブ体験を通じて高校生活に向けて期待を膨らませた。
体育館では、教職員が漫才や動画で学校の特色を紹介。「オカンが出身高校の名前を忘れてしまったらしいねん」と人気漫才コンビ・ミルクボーイ風のネタで笑いを取りつつ、今年創立120周年を迎えたことや部活動にも力を入れていること、電子黒板や図書館などの設備が充実していることを伝えた。
新型コロナウイルス感染拡大が続く中でも、電子黒板やタブレット型パソコンを積極的に活用して授業や講演会に取り組んでおり、学業面での遅れは心配ないと話し、「入学を待っています」と呼び掛けた。
体験授業を受けた中学生は「数学の授業で、見上げる角度で壁の高さが分かるということを学んだ」「まだ迷っているが、新宮高校もいいかもと思った」「ちょっと難しかった」などと話していた。
(2021年8月21日付紙面より)
陸上自衛隊の災害派遣写真展 (紀宝町役場 )
紀宝町役場1階ロビーで9月20日(月・祝)まで、陸上自衛隊の災害派遣写真展が開かれている。
10年前に発生した紀伊半島大水害時の自衛隊活動を写真で紹介し、今後の防災に役立ててもらうことが目的。自衛隊三重地方協力本部熊野地域事務所の松谷(まつや)実所長による取り組みで、同町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」でも開催している。
災害が発生した2011年9月4日、三重県知事から派遣要請を受けた第33普通科連隊の先着隊が同町鮒田地区で救出活動を開始。5日には増援部隊が加わり、航空機で孤立者76人を救出、救援物資の輸送、給水活動を開始した。この後も行方不明者の捜索、給水支援など延べ約2600人が活動した。
役場ロビーには、孤立地域から救出するヘリや倒壊家屋からの人命救助、行方不明者の捜索、夜間の給水活動などの写真パネル16枚を展示した。
松谷所長は「過去を振り返り、この災害を知らない子どもたち、住民の方々へ災害の恐ろしさについて再認識してもらい、いざというときの備えの一助になればと思い展示しております。この写真を通じて未来へつなぐメッセージになることを願います」と話している。
(2021年8月21日付紙面より)
海翁禅寺で灯籠焼き (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の海翁禅寺(武内宗隆住職)は19日夜、新型コロナウイルス感染拡大防止のために昨年に引き続いて規模を縮小し初盆行事を営んだ。初盆を迎えた檀家(だんか)や遺族らが切子ちょうちんや灯籠が飾られた本堂に集まり、手を合わせた。
コロナ以前は伝統の供養盆踊りに多くの大人や子どもでにぎわっていたが、2年連続で中止となった。
同寺ではコロナ対策のため、7日の迎えの供養と16日の初盆の送りは午前と午後の2回に分けて実施。マスクやアルコール消毒液などが用意され、3密にも注意が配られた。
武内住職の読経後、遺族らが随時焼香を行った。続いて、切子ちょうちんや灯籠が境内に積み上げられ、町民有志の協力のもと、灯籠焼きが営まれた。
遺族らは闇夜を照らす炎が消えるまでの間、手を合わせたり、その様子を静かに見守っていた。
武内住職は「灯籠焼きはこれまで一度も雨で中止になったことがない。昼間は天候が悪く、不安だったが無事に終えることができて良かった。コロナ禍の中でも皆さまにお集まりいただけることはありがたいことです」と話していた。
(2021年8月21日付紙面より)
勝小の高台造成進む (那智勝浦町 )
町内沿岸地域が「津波避難困難地域」の那智勝浦町は現在、町立勝浦小学校敷地内の造成工事に取り組んでいる。かさ上げと造成によって4000平方㍍の平地が確保できたため、完成後は災害時には多くの町民が避難できる高台となる。児童の登下校が行われない夏休み期間中に工事を完成させる予定。
工事は同校正門側の門柱から校舎やグラウンドへ続く坂道(通称・登校坂)までの区間に約8200立方㍍の土を入れ、2㍍かさ上げするもの。使用する土は紀伊半島大水害時に出たものと、同町の駿田山に建設中の消防・防災センター工事でできた残土を用いている。
昨年10月には勝浦4区の住民を対象に住民説明会を開催している。今年3月末までに大型車両が円滑に通行できるように、校舎のある大勝浦側の盛り土と舗装を実施。夏休み期間に入った7月21日から、今回の工事に取り掛かった。工事費は令和2年度予算で7950万円。国の緊急防災減災対策事業債も活用している。
消防・防災センターが完成するまでの間、町役場が被災した際には同校が災害対策本部となるため、広大な平地は避難生活を送る上で有効的に活用される。
平地の舗装区間は門柱から登校坂までの約130㍍と幅約6㍍間。町建設課によると、残土搬入は9割済んでいるという。しかし、8月に入り天候不良が続いていることから、残りの搬入や舗装には時間を要する可能性があるとしている。
夏休み期間後は雨水を排水するための側溝設置や横断溝の移設、敷地近くにある山側ののり面改修工事を行うという。
同課の井道則也副課長は「町内に高台は少ないため、町民の皆さまの安心・安全につながる避難場所。民家に近い箇所は振動対策などを丁寧に行いながら進めている。天候の関係もあるが、造成工事自体は夏休み中の完成を目指したい」と話している。
(2021年8月19日付紙面より)
ウミガメ類ふ化シーズンに (串本海中公園 )
串本海中公園センター水族館(森美枝館長)が今年も、飼育するウミガメ類が産んだ卵のふ化シーズンに差し掛かった。17日までに計17回の産卵があり、その回数は例年より多め。うち初産卵分が今、ふ化の時期を迎えている。
串本の海をコンセプトにして生き物を展示する同館。その象徴種としてウミガメ類を屋内外の各水槽で常時飼育していて、餌やり体験で来館者とのコミュニケーションも豊かに親しまれる存在となっている。
屋外水槽には後に増設したふ化場(砂場)が付帯。飼育担当の吉田徹副館長によると、今年は6月9日にアカウミガメが初産卵、次いで13日にアオウミガメが2年ぶりとなる初産卵をし、以降アカウミガメは5頭ほどで14回、アオウミガメは1頭で3回の産卵をしている。最終の産卵は7月28日。以降はふ化を待つ状況となっている。
要する日数は60日前後で、産卵の時期が遅いほどふ化が早まる傾向にある。必ずしも全ての卵がふ化するわけではなく、アカウミガメは初産卵分のふ化が今月14日から始まったが砂から這(は)い出た稚ガメの数は1桁とごく少数。同館では産卵の時期が早いほどふ化率が低くなる傾向があり、産卵数の約半数以上がふ化する状況は今後に期待するところとなっている。
今年の産卵分には、完全飼育第2世代「くしもトリオ」(クー、シー、モーの雌3頭で2010年生まれ)の卵も含まれているそう。モーの卵が昨年初めてふ化して同第3世代誕生となったが、今年も無事ふ化すればアカウミガメの成熟をさらに確信させる結果となる。
アオウミガメは2年前に1回産卵したがふ化しなかったため、今年ふ化すれば2017年以来となる。3回と回数が多く卵内での成長も順調で、20日ふ化予定の初産卵分が今年最初かつ4年ぶりの高いふ化率となることを願いつつ、その瞬間を待っている。
館内トピックス水槽の定番企画となっている卵の展示は、アカウミガメの7月7日産卵分から5個を取り出して実施中。砂中の環境を人工的につくって生かしていて、設定上で9月上旬ごろふ化予定という。
稚ガメはふ化後1週間ほど状態を観察し、餌を食べ出す段階になったら屋内水槽で来館者に紹介する。吉田副館長は「早ければ8月末ごろに今の1、2歳構成を0、1歳構成に戻して披露したい」と話している。
(2021年8月19日付紙面より)
「県民の皆さまへのお願い」変更 (和歌山県 )
和歌山県は17日、新型コロナウイルス感染症政府対策本部が「緊急事態措置」を実施すべき区域に、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県の追加、「まん延防止等重点措置」を実施すべき区域に、宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県の追加を決定したことを受け、また、県内の新規感染者数が過去最高となったことから、県民に対し不要不急の外出自粛を要請すると決定した。
「安全な生活・安全な外出を心掛ける」から「不要不急の外出を控える」へと切り替えた。また、帰省に関しては「できるだけ控える」とし、既に帰省している人は家族以外との会食を控えるよう呼び掛ける。
学校への部活動に関しては▽県外の学校との練習試合などは禁止▽県内の部活動は慎重に▽家族に発熱などの症状があれば参加は控える。
また、「県外への通勤・通学は直行直帰し会食は控える」「県外への観光は自粛。県内もリフレッシュプラン2ndの利用は新規予約を控えるとともに、できる限り延期を」の項目を新しく設けた。
県では、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は、33・8と政府分科会が示すステージ4(爆発的感染拡大)の水準で過去最多となり、病床は515床に積み増した。仁坂吉伸知事は、17日の会見で「感染が拡大し続けた場合、まん延防止等重点措置の適用要請もあり得る」と話した。
(2021年8月19日付紙面より)
天御中主神社で神事斎行 (新宮市 )
新宮市佐野の天御中主(あめのみなかぬし)神社(髙橋正樹宮司)で16日、新型コロナウイルスの収束などを祈る神事が営まれた。佐野柱松実行委員会(瀬古尊夫会長)の役員ら7人が参列し、神様をたたえて地域の平穏無事を願った。
同委員会は例年、8月16日に新宮港緑地公園で「佐野柱松」を実施しているが、感染症拡大の影響から昨年に続き今年も中止を決定した。
柱松は害虫駆除などを願い、元は江戸時代から続く伝統的な火祭り。戦時中に一時中断し、1948年に佐野青年会が再開させたものの58年に途絶えていた。佐野区の有志区民たちが「祭りをよみがえらせたい」との思いから93年に復活させて以来、27年連続で開催を続けてきた。かつては「木本の花火か佐野の柱松」と語られており、地区の夏の風物詩になっている。
神事では、髙橋宮司が祝詞を奏上した後、瀬古会長をはじめ参列者がコロナウイルス感染症の収束や五穀豊穣(ほうじょう)、地域住民の健康などを祈願し、玉串を供えていった。
瀬古会長は「2年連続で中止となり非常に残念ですが、当地方でも感染が見受けられるため今は行うべきではないと思います。いつ、どこで誰が陽性となるか分からない。来年こそは収束し、何の心配もなく開催できることを信じて会員一同、気持ちを新たに頑張っていきます」と話していた。
(2021年8月19日付紙面より)
愛知県犬山市の博物館明治村内に立地する「博物館明治村簡易郵便局」(重要文化財)は1909(明治42)年、三重県宇治山田市(当時)に建築。69(昭和44)年に現在地に移築されており、明治時代の木造郵便局舎として現存する唯一のものとされている。しかし、ここ新宮市にさらに古い木造郵便局舎があったとしたら?
新宮市丹鶴にある「丹鶴ダンス教室」は、郵便局として1905(明治38)年、現在の仲之町アーケード入り口(国道側)付近に建設。29(昭和4)年、丹鶴商店街にある「ホテルニューパレス」付近に郵便局が新設されたことに伴い現在地に移築され民間に払い下げられた。
「移築されたからこそ46(昭和21)年の昭和南海地震による火災焼失を免れた。近代の新宮のまちを語る上で貴重な明治建築では」と、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんは話す。戦後、そして震災後、同市では住宅が不足。同建物も一時アパートとして使用されていたという。
故・湯川運(はこぶ)さんが同建物を管理するようになったのは53(昭和28)年。建物の裏手部分はダンスホールとして増改築され、昭和30、40年代は多くのダンス愛好家や若者などでにぎわいを見せた。市出身の芥川賞作家・中上健次の小説にも度々登場する、いわばまちの「名所」だった。
現在、同建物に一人で居住する和子さん(87)は高知県出身。ダンスを通して運さんと出会い、結ばれた。「主人は1年ほど大工の仕事をしていたので建物の修繕はよくしていました」。今は手付かずで…と和子さんは言うが、ホールには運さんとの思い出や昭和のエッセンスが色あせることなくあふれている。
ホールの広さは約20坪。照明や運さん手書きのダンスのリズム表などもそのままだ。「当時は70人もの人がここでダンスを楽しみました」。
中瀬古さんは「近くには旧チャップマン邸や旧西村家住宅、新宮城の『日本一短いケーブルカー跡』などがあり、城の地下に鉄道があるのもここだけ。建物は明治期の建設を経て戦後の市民の生活を残している。増築部分は『昭和レトロ』も感じさせてくれる貴重な建物」と保存を訴える。
増築や修繕がなされてきた「丹鶴ダンスホール」。「明治時代の木造郵便局舎として現存する」の定義に当てはまるのかどうかは専門家が判断するところではあるが、例えば玄関ドアが「〒」モチーフになっているなど、建築当時の姿を色濃く残す「文化財」であり、近代新宮の歴史が凝縮された歴史的価値の高い建物であることに疑いの余地はない。
(2021年8月13日付紙面より)
コロナウイルス感染症緊急対策 (新宮市 )
新宮市が、新型コロナウイルス感染症緊急対策としての飲食店などに対する「休業協力のお願い」の事前登録期間が11日に終了し、市内312店が申請した。本来なら帰省客や観光客でにぎわい、繁忙期を迎える時季。今年はさみしいお盆休みとなりそうだ。
「休業協力のお願い」は、新宮保健所管内における感染拡大状況を鑑み、人流抑制やクラスター防止など、新型コロナウイルス感染拡大防止として市が打ち出した緊急対策。飲食店や喫茶店、居酒屋、カラオケボックスやバーなど、市内約500店舗を対象に、12日から16日(月)までの5日間の休業協力を呼び掛け(休業の実施は事業者判断)、協力店舗に10万円の協力金を支給する。
事前登録および協力金の支給には感染防止対策に取り組んでいることや、市が配布する「休業のお知らせ」チラシを店舗に掲示することなどが条件で、11、12日にはすでに店舗入り口などにチラシを掲示している飲食店が多く見受けられた。
休業を決めた居酒屋を経営する男性は「管内では飲食店から(新型コロナが)広がった。多くの飲食店が不安を抱えているのでは」。
休業に関しては「赤字は赤字でも多少なりとも補償があるなら。うちみたいに小さい店はいいが大きな店舗は本当に大変だと思う」。
一方、ほかの飲食店経営者は「お盆は前々から予約を頂いていたため協力はできなかった。しかしお盆休みがくることは誰でも分かっていたこと。協力したいが急すぎて対応できなかった店もたくさんあるのでは」と実情を語る。
「テークアウトといった売り方もある。個人的な意見だが、テークアウトのみ営業としてもらえる店は新聞紙面で特集を組んでもらい、協力金として費用を市が負担するなどの方法もあったのでは。スナックやバーなど仕方なく休もうと決断した店に、しっかりとした協力金を出すといった形も考えられたのではないかと思う」と話していた。
市は休業の実態確認のため、協力お願い期間中に見回り調査を実施。休業していないことが確認された場合には協力金の給付対象外となる場合もあるという。
(2021年8月13日付紙面より)
現庁舎完成後初の本会議で (串本町議会 )
串本町議会(鈴木幸夫議長、13人)の第2回臨時会が12日、役場議場であった。現庁舎完成後初となる本会議の実施で、くしもとこども園新園舎建設工事と菌床製造栽培大型共同作業場空調設備等改修工事の各工事請負契約案を承認した。
同園舎はJR串本駅の西にある海抜51・5㍍の高台に用地を確保し、許容園児数150人を想定した木造平屋建ての設計で建設を目指している。事業費は本年度と次年度に振り分けて予算計上する形としていて、6月実施の第2回定例会でまず4億2724万円が承認された状況にある。
入札は今月3日に実施し、16社による指名競争入札で町内の株式会社小森組が7億7860万円(税抜き)で落札。当局は税込みの8億5646万円で工事請負契約を結びたい旨を議案として上程し、議員は入札結果の分析状況、ウッドショックなど資材調達難や設計変更の見通しを質疑で探りつつ可決承認した。
工期は13日から2022年10月31日(月)まで。当局は23年1月の開園を予定していて、完成後の機能移転も含め余裕を持って目指せる状況となっている。
同作業場の空調設備等改修工事は老朽化に伴う更新整備で、第1回定例会で事業費3億2333万4千円を承認している。入札は今月3日に実施し、12社による指名競争入札で田辺市の株式会社第一テックが2億3400万円(税抜き)で落札。当局は税込みの2億5740万円で工事請負契約を結びたい旨を議案として上程し、議員は質疑、討論なく可決承認した。
同町産業課によると、資材調達難の影響が見込まれるが契約上は13日から来年3月25日(金)までを工期としているという。
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田嶋勝正町長は開会に先だって、新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした関係施設の臨時休業について、一部を除き今月31日(火)まで延長する考えを議員に説明した。
延長の対象は▽串本温泉浴場「サンゴの湯」▽串本町B&G海洋センターのトレーニングルーム(スポーツジム)▽大島プール▽トルコ記念館▽日米修交記念館▽樫野埼灯台旧官舎▽潮風の休憩所。同センターのプール(スクールを除く一般利用のみ)と串本町総合運動公園は運営委託するNAS株式会社との協議を経て、17日(火)から営業を再開するとした。
説明後、同町は12日付で前述した内容を公式ホームページなどで公表し、延長を確定した。
(2021年8月13日付紙面より)
土石流防ぎ、安全安心の確保を (紀宝町神内 )
熊野建設事務所は、紀宝町神内の2級水系神内川水系里地谷で通常砂防工事に取り組んでいる。2011年度から災害関連緊急砂防事業として着手し、本年度は3号えん堤の工事を進めており、9月末の完成を目指している。これまでにえん堤2基と渓流保全工195㍍が整備済みとなっている。
11年9月の紀伊半島大水害の際、渓流の浸食や土石流により家屋などに被害が発生するとともに、渓流の荒廃が進み、河床には不安定土砂が堆積した。下流の氾濫想定区域には人家19戸と町道があり、土石流による被害が懸念されるため、砂防えん堤と渓流保全工により土砂災害を防ぎ、地域住民の安全、安心の確保を図るための事業。
静岡県熱海市で発生したような土石流を防ぐために、砂防えん堤を築造しており、土石流が発生した際、一度に大量の土砂が下流に流れ出て、災害を起こさないよう土砂の流出をコントロールする役目を担う。
情報通信技術(ICT)を活用して、起工測量ではドローン撮影による3次元起工測量、設計データを3次元化した上で、衛星による位置情報を取得し、マシンコントロール機能を有した建設機械(バックホウ)で工事を進めている。
バックホウには3次元の設計データが入力されており、運転席では液晶モニターで設計データを確認しながら操作を行っている。
同事務所によると、県内のICT活用工事では土木工事にかかる延べ作業時間は全体で約3割削減されており、このような建設機械を使用することで、機械周辺の作業員との錯綜(さくそう)作業が大幅に短縮されていることから、作業の安全性が高まったとの意見が多数寄せられているという。
(2021年8月13日付紙面より)
緊急対策でワクチン前倒しも (新宮市 )
新宮市の田岡実千年市長は6日夜、市役所別館で会見を開き、新宮保健所管内における新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、飲食店などを対象とした休業お願いと協力金の支給、ワクチン接種の前倒しや個別接種の導入などを盛り込んだ「新宮市新型コロナウイルス感染症緊急対策」を発表した。
新宮保健所管内では、7月25日から今月6日にかけて57人の感染が確認されており、県内62例目のクラスター(感染者集団)は同管内で16人に上る。
市は、人流の抑制やクラスター防止など、新型コロナウイルス感染拡大防止の緊急対策として、お盆を挟む12日(木)から16日(月)までの5日間、市内に店舗がある飲食店などに休業を呼び掛ける。協力金の給付には事前登録が必須で、支給金額は1店舗当たり10万円、対象は約500店舗を想定しているという。
事前登録の受付期間は9日(月・振休)~11日(水)の午前9時から午後5時まで。登録書(市ホームページよりダウンロード可)に記入の上、別館1階の受付窓口へ持参するか、市企画調整課にメール(kikaku@city.shingu.lg.jp)で提出する。
登録後に配布される「休業のお知らせ」チラシを店舗の外側などに掲示すること。なお、見回り調査で休業していないことが確認された場合は協力金の給付対象外となる場合もある。
ワクチン接種については、14日(土)、15日(日)の集団接種を追加。各回600人に接種していく計画で、さらに16日(月)から七つの医療機関で900人程度を対象に個別接種を実施。9月に集団接種を予定していた40代を個別接種に振り分け、接種の前倒しを図っていくという。
追加した14、15日の集団接種対象者と47~42歳の個別接種対象者には6日に案内状を発送。21日(土)、22日(日)の対象者には来週火曜日の発送を予定しており、対象年齢は55~48歳になるとのこと。
8月中に64~42歳、9月には41~30歳、10月に29~19歳の接種を予定しており、18~12歳の接種時期については現在検討中。
田岡市長は会見に当たり「管内での感染拡大を『非常事態』と受け止めている」とあいさつ。
「この1~2週間が感染拡大防止には重要な期間。どうか市民の皆さまには『感染リスクを回避した慎重な行動』を」と呼び掛けるとともに「感染された方とそのご家族には心よりお見舞い申し上げる。また、感染者への誹謗(ひぼう)中傷は絶対に許されない」と述べた。
なお、市保健センターでは、県境を越える移動や不要不急の外出自粛などを盛り込んだ「市民の皆様へのお願い」を作成。感染対策徹底への協力を呼び掛けている。
休業に関する事前登録および協力金の申請についての問い合わせは企画調整課(電話0735・23・3339)、ワクチン接種に関する問い合わせはワクチン接種推進室(電話0735・22・5070)まで。
(2021年8月8日付紙面より)
関西広域連合が基礎研修 (那智勝浦町 )
和歌山県、滋賀県、兵庫県、京都府、大阪府などで構成される関西広域連合広域防災局は6日、那智勝浦町の県土砂災害啓発センターで各自治体の防災担当職員150人を対象に「令和3年度関西広域連合防災分野人材育成部門基礎研修」をオンラインで実施した。研修では同センターの坂口隆紀所長が2011年9月に発生した紀伊半島大水害の被害状況や土砂災害の概要などを説明し、同町井関在住の久保榮子さんが被災体験の紙芝居を行った。
関西広域連合はドクターヘリの一体的な運航体制の構築や自然災害でのカウンターパート方式による迅速な被災地支援、広域交通インフラの目標設定などに取り組んでいる組織。年に2回、防災に関連するさまざまな研修に取り組んでいるという。今年5月には神戸市が担当し、コロナ禍における避難所運営についての研修を実施した。
県総務部危機管理局の小川貴生総務計画班長が「土砂災害はいつどこで発生しても不思議ではない。今日の研修が皆さまの業務の一端を担うものになれば」とあいさつ。
坂口所長が土砂災害の種類や全国で毎年約1000件の土砂災害が発生していること、近年はそれを上回っていることなどを説明した。
発生から今年で10年目を迎える紀伊半島大水害については、各所で同時多発的に土石流が発生し、川に土砂が流入することで土砂洪水氾濫も起きるなどの特徴があったとした。犠牲者は那智勝浦町で死者28人、行方不明者1人の被害があったと報告した。
センター職員が土砂災害を防ぐ砂防えん堤の種類や特徴を土石流模型を用いて解説。続いて、大水害で夫を失い、自身も九死に一生を得た久保さんと交代。72歳で防災士を取得した久保さんが被災体験をまとめた紙芝居で当時の状況を解説し、自身で聞き集めた被災者の体験も紹介した。
久保さんは「この10年間の総括は世の中で最も価値があるのは『命』だということに気が付いた。これ以上価値のあるものはない。犠牲者をゼロにするには早めの避難が必要。そのためには事前の備えと防災教育が重要になる。家族でしっかりと話し合ってほしい」と語った。
(2021年8月8日付紙面より)
新宮市の阿須賀神社(西俊行宮司)で6日、扇立祭(おうぎたてまつり)と徐福祭が営まれた。新型コロナウイルスの感染が拡大している情勢を受け、神職のみで神事を斎行。西宮司が祝詞を奏上し、無病息災や豊作などを祈った。
彩絵檜扇(さいえひおうぎ)を神の宿り代とし、扇に宿る神霊を拝む祭礼。西宮司によると、拝殿に立てる檜扇は1972(昭和47)年に当時の熊野速玉大社・上野元(はじめ)宮司が阿須賀神社に伝わる檜扇を模写して献上したもの。檜扇の実物は55(昭和30)年に国宝「古神宝類(阿須賀神社伝来)」に指定され、現在は京都国立博物館蔵となっている。
この日は、秦の始皇帝の命を受け不老不死の霊薬を求めて日本に渡来したとされる徐福の御霊を祭る徐福の宮で、「徐福祭」も併せて執り行った。
西宮司は「新型コロナの終息、そして稲刈り作業が無事に行われるよう豊作を祈願させていただいた」と話していた。
(2021年8月8日付紙面より)
紀の国わかやま総文2021 (木本高校2年 )
第45回全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の囲碁部門に、三重県代表として出場した県立木本高校2年の堀和寿希君が優勝(文部科学大臣賞)し、高校日本一に輝いた。
「文化部のインターハイ」と呼ばれる高校生最大の文化の祭典で、囲碁部門は3、4日に那智勝浦町の体育文化会館で開かれた。地方予選を勝ち抜いた全国の高校生棋士たちが対局に臨んだ。
堀君は5月の三重県大会で優勝し、県代表の座を獲得。わかやま総文では高校生棋士同士の真剣勝負を制し、6連勝で全勝優勝を飾った。
熊野市久生屋町在住の堀君は、4歳から囲碁を始めた。「くしやこども囲碁教室」に通い、市が主催する囲碁教室にも参加しながら先輩棋士らと対局を重ねてきた。
全国優勝について「当初はベスト8を目指していたので、まさか自分が優勝できるとは思っていませんでした。4~6回戦は接戦が多く、苦しい戦いが続きましたが、それを勝ち切れたのは自信につながりました。次回の高校選手権も上位を目指して頑張りたい」と話していた。
(2021年8月8日付紙面より)
クロマグロ増枠に期待 (那智勝浦町 )
日米などが太平洋クロマグロの漁獲管理を話し合う国際会議で、日本近海を含む中西部太平洋で、2022年から大型魚(30㌔以上)の漁獲枠を一律15%増やすことに合意した。国内有数の生鮮マグロの水揚げ量を誇る那智勝浦町の漁業関係者からは「正式決定ではないがありがたいこと」と喜びの声が上がっている。
太平洋クロマグロは乱獲が問題視され、15年に中西部での大型魚の漁獲量は02~04年平均を上限とし、小型魚は同平均の半分にする規制が導入された。
現在の日本の漁獲枠は大型魚が4882㌧、30㌔未満の小型魚が4007㌧。このたびの会議では、大型・小型ともに20%の増枠を主張していた。
水産庁によると、日本の増加分は732㌧で、一時は激減した水産資源が回復傾向にあるとして拡大を求めた日本の提案が一部認められた形となった。成育途上で今後の資源に影響が出やすい小型魚は、現行規制を維持するという。
和歌山県漁業協同組合連合会勝浦市場の太田直久市場長は「全体枠が増えたことによる振り分けで、はえ縄船の枠も増加することを期待している。漁業者にとってうれしいこと」。
また、感染拡大が収まる気配が見えない新型コロナウイルス感染症の影響に対して「価格がどうなるか不安だが、高値が付いてくれたらありがたい。勝浦近海のマグロがたくさん取れることで町や地域が潤い、活気づいてもらえたら」と話している。
今年中に開く上部会合で承認されれば正式決定となる。昨年の会議まで退けられてきた日本の増枠提案。今後の規制の緩和に対して、同町や漁業関係者からも大きな期待が寄せられている。
(2021年8月4日付紙面より)
新宮管内は非常に高い値 (和歌山県 )
和歌山県では2日、新たに40人の新型コロナウイルスの新規陽性者を確認した。入院患者が236人で、230人以上となるのは5月10日以来、84日ぶり。病床数を同日より440床に増やし、感染者の対応に当たっている。
県によると、1週間の人口10万人当たりの指標は、県全体が25・0で、爆発的な感染拡大の指標である25と同じ。和歌山市では29・2でさらに上昇しており、クラスターの発生があった新宮保健所管内の数字は60・9で、非常に高い値となっている。
県全体が25以上となるのは4月26日の26・2以来98日ぶりで、第5波が確実に右肩上がりとなっている。
県では「若い世代、40代、50代で次第に重症者が増えてきている。特に基礎疾患がある人は重症化することがあり、感染者が増えてくると重症者が増える流れとなる。やはり感染拡大の防止を図ることが最も重要であるというふうに考える」としている。
(2021年8月4日付紙面より)
串本町役場本庁舎内に入居 (紀陽銀行 )
株式会社紀陽銀行の新しい串本支店(以下新店舗とする、串本町サンゴ台690番地5)が2日、串本町役場本庁舎内で移転開業した。旧串本支店(串本909番地)と旧紀陽古座コミュニティプラザ(元古座支店、中湊484番地)を統合した店舗で、旧2店舗は7月30日で営業を終了。この日はテープカットで移転開業の節目をつけ、営業を開始した。
同町の指定金融機関となっている同銀行は、現在の本庁舎建設に当たり支店規模での窓口入居を同町に希望。同町はその経費を15年間の賃料支払いで賄う(以降の賃料は町の収入となる)方向で契約を締結し、玄関に向かって右手に広さ約266平方㍍の入居スペースを増築確保して同支店を迎え入れた。
新店舗の営業開始に当たり原口裕之・取締役頭取と田嶋勝正町長があいさつを寄せ、坂本充寿支店長を加えた3人が他の行員一同が見守る中でテープカットに臨んだ。田嶋町長は指定金融機関が地震や津波を乗り越え復興に直結する点は町益だとし、住民も最初は戸惑うだろうが将来的によかったと思えるだろうと確信しつつ今後の地域活性化に向け力を合わせたい旨を伝えて祝ったという。
自治体の庁舎内に支店を構えるのは、県庁支店、和歌山市役所支店、九度山支店に続き4例目で、昨年10月に開業した宮北支店で採用する窓口業務受け付けシステム「まどのて」を導入し利用時記入の省力化を図る工夫も注いでいる。
移転開業の影響緩和として、旧2店舗の最寄りとなる串本郵便局局舎内とオークワ古座川店前に現金自動預払機(ATM)を新設。オークワ串本店のATMは従来通り継続としている。
旧2店舗はいずれも河川そばの低地に立地。旧串本支店は築60年で地震や津波による被災の不安も少なからずあった。移転開業で海抜約50㍍に拠点を得る形となり、坂本支店長は「お客さまにとってもわれわれにとっても安心感につながる移転。役場とのワンストップの関係でいっそうのサービス向上を目指し、良い支店となるよう行員一丸で頑張りたい」と心機一転の思いを語った。
店舗外ATMの増設などに伴い、新店舗内のATMは移転開業時点で1台。ブランチインブランチ方式による旧串本支店の営業形態(串本支店と古座支店の併設)は新店舗へ引き継がれている。串本町役場本庁舎はくしもと町立病院奥に位置。問い合わせは新店舗(電話0735・62・0666)まで。
(2021年8月4日付紙面より)
復興記念イベントに向け (新宮市 )
2011年の紀伊半島大水害後、新宮市熊野川町で復興に携わった全国の人々へ黄色いハンカチで感謝を伝える復興記念イベントに向け、準備が進んでいる。2日には市社会福祉協議会熊野川ステーションの大江真季さんが町内施設へハンカチ回収ボックスを託し、改めて協力を呼び掛けた。
復興記念イベントは町内約600世帯にハンカチを配布してメッセージを書いてもらい、9月4日(土)から期間限定で新宮市さつき公園(紀伊半島大水害復興祈念公園)に飾るもの。1977年に公開された映画「幸福の黄色いハンカチ」から着想を得ている。
ヒマワリなどが描かれた回収ボックスは、住民が訪れやすい熊野川行政局や三津ノ保育所、各地区の集会所などに設置。ボックスを受け取った特別養護老人ホーム「熊野川園」の宮本大施設長は「職員一同でもハンカチにメッセージを書き、取り組みに協力したい」と話した。
これまでに回収した黄色いハンカチには保育所に通う園児たちの手形と笑顔や「自分も元気に頑張りたい」と言ったメッセージが書かれていた。
(2021年8月4日付紙面より)
ダイワマルエス旗争奪選手権大会