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2021年08月19日
1 津波避難後に有効活用
 勝小の高台造成進む  (那智勝浦町 )

 町内沿岸地域が「津波避難困難地域」の那智勝浦町は現在、町立勝浦小学校敷地内の造成工事に取り組んでいる。かさ上げと造成によって4000平方㍍の平地が確保できたため、完成後は災害時には多くの町民が避難できる高台となる。児童の登下校が行われない夏休み期間中に工事を完成させる予定。

 工事は同校正門側の門柱から校舎やグラウンドへ続く坂道(通称・登校坂)までの区間に約8200立方㍍の土を入れ、2㍍かさ上げするもの。使用する土は紀伊半島大水害時に出たものと、同町の駿田山に建設中の消防・防災センター工事でできた残土を用いている。

 昨年10月には勝浦4区の住民を対象に住民説明会を開催している。今年3月末までに大型車両が円滑に通行できるように、校舎のある大勝浦側の盛り土と舗装を実施。夏休み期間に入った7月21日から、今回の工事に取り掛かった。工事費は令和2年度予算で7950万円。国の緊急防災減災対策事業債も活用している。

 消防・防災センターが完成するまでの間、町役場が被災した際には同校が災害対策本部となるため、広大な平地は避難生活を送る上で有効的に活用される。

 平地の舗装区間は門柱から登校坂までの約130㍍と幅約6㍍間。町建設課によると、残土搬入は9割済んでいるという。しかし、8月に入り天候不良が続いていることから、残りの搬入や舗装には時間を要する可能性があるとしている。

 夏休み期間後は雨水を排水するための側溝設置や横断溝の移設、敷地近くにある山側ののり面改修工事を行うという。

 同課の井道則也副課長は「町内に高台は少ないため、町民の皆さまの安心・安全につながる避難場所。民家に近い箇所は振動対策などを丁寧に行いながら進めている。天候の関係もあるが、造成工事自体は夏休み中の完成を目指したい」と話している。

(2021年8月19日付紙面より)

高台造成工事が進む那智勝浦町立勝浦小学校敷地内=16日、那智勝浦町立勝浦小学校
2021年08月19日
2 産卵回数は例年より多め
 ウミガメ類ふ化シーズンに  (串本海中公園 )

 串本海中公園センター水族館(森美枝館長)が今年も、飼育するウミガメ類が産んだ卵のふ化シーズンに差し掛かった。17日までに計17回の産卵があり、その回数は例年より多め。うち初産卵分が今、ふ化の時期を迎えている。

 串本の海をコンセプトにして生き物を展示する同館。その象徴種としてウミガメ類を屋内外の各水槽で常時飼育していて、餌やり体験で来館者とのコミュニケーションも豊かに親しまれる存在となっている。

 屋外水槽には後に増設したふ化場(砂場)が付帯。飼育担当の吉田徹副館長によると、今年は6月9日にアカウミガメが初産卵、次いで13日にアオウミガメが2年ぶりとなる初産卵をし、以降アカウミガメは5頭ほどで14回、アオウミガメは1頭で3回の産卵をしている。最終の産卵は7月28日。以降はふ化を待つ状況となっている。

 要する日数は60日前後で、産卵の時期が遅いほどふ化が早まる傾向にある。必ずしも全ての卵がふ化するわけではなく、アカウミガメは初産卵分のふ化が今月14日から始まったが砂から這(は)い出た稚ガメの数は1桁とごく少数。同館では産卵の時期が早いほどふ化率が低くなる傾向があり、産卵数の約半数以上がふ化する状況は今後に期待するところとなっている。

 今年の産卵分には、完全飼育第2世代「くしもトリオ」(クー、シー、モーの雌3頭で2010年生まれ)の卵も含まれているそう。モーの卵が昨年初めてふ化して同第3世代誕生となったが、今年も無事ふ化すればアカウミガメの成熟をさらに確信させる結果となる。

 アオウミガメは2年前に1回産卵したがふ化しなかったため、今年ふ化すれば2017年以来となる。3回と回数が多く卵内での成長も順調で、20日ふ化予定の初産卵分が今年最初かつ4年ぶりの高いふ化率となることを願いつつ、その瞬間を待っている。

 館内トピックス水槽の定番企画となっている卵の展示は、アカウミガメの7月7日産卵分から5個を取り出して実施中。砂中の環境を人工的につくって生かしていて、設定上で9月上旬ごろふ化予定という。

 稚ガメはふ化後1週間ほど状態を観察し、餌を食べ出す段階になったら屋内水槽で来館者に紹介する。吉田副館長は「早ければ8月末ごろに今の1、2歳構成を0、1歳構成に戻して披露したい」と話している。

(2021年8月19日付紙面より)

ウミガメ類を飼育しているふ化場付帯の屋外水槽=17日、串本海中公園センター水族館
館内トピックス水槽で展示中のアカウミガメの卵。「9月上旬ごろにふ化が見られるかも」という
2021年08月19日
3 不要不急の外出自粛を
 「県民の皆さまへのお願い」変更  (和歌山県 )

 和歌山県は17日、新型コロナウイルス感染症政府対策本部が「緊急事態措置」を実施すべき区域に、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県の追加、「まん延防止等重点措置」を実施すべき区域に、宮城県、富山県、山梨県、岐阜県、三重県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、鹿児島県の追加を決定したことを受け、また、県内の新規感染者数が過去最高となったことから、県民に対し不要不急の外出自粛を要請すると決定した。

 「安全な生活・安全な外出を心掛ける」から「不要不急の外出を控える」へと切り替えた。また、帰省に関しては「できるだけ控える」とし、既に帰省している人は家族以外との会食を控えるよう呼び掛ける。

 学校への部活動に関しては▽県外の学校との練習試合などは禁止▽県内の部活動は慎重に▽家族に発熱などの症状があれば参加は控える。

 また、「県外への通勤・通学は直行直帰し会食は控える」「県外への観光は自粛。県内もリフレッシュプラン2ndの利用は新規予約を控えるとともに、できる限り延期を」の項目を新しく設けた。

 県では、直近1週間の人口10万人当たりの感染者数は、33・8と政府分科会が示すステージ4(爆発的感染拡大)の水準で過去最多となり、病床は515床に積み増した。仁坂吉伸知事は、17日の会見で「感染が拡大し続けた場合、まん延防止等重点措置の適用要請もあり得る」と話した。

(2021年8月19日付紙面より)

2021年08月19日
4 コロナ収束を信じて
 天御中主神社で神事斎行  (新宮市 )

 新宮市佐野の天御中主(あめのみなかぬし)神社(髙橋正樹宮司)で16日、新型コロナウイルスの収束などを祈る神事が営まれた。佐野柱松実行委員会(瀬古尊夫会長)の役員ら7人が参列し、神様をたたえて地域の平穏無事を願った。

 同委員会は例年、8月16日に新宮港緑地公園で「佐野柱松」を実施しているが、感染症拡大の影響から昨年に続き今年も中止を決定した。

 柱松は害虫駆除などを願い、元は江戸時代から続く伝統的な火祭り。戦時中に一時中断し、1948年に佐野青年会が再開させたものの58年に途絶えていた。佐野区の有志区民たちが「祭りをよみがえらせたい」との思いから93年に復活させて以来、27年連続で開催を続けてきた。かつては「木本の花火か佐野の柱松」と語られており、地区の夏の風物詩になっている。

 神事では、髙橋宮司が祝詞を奏上した後、瀬古会長をはじめ参列者がコロナウイルス感染症の収束や五穀豊穣(ほうじょう)、地域住民の健康などを祈願し、玉串を供えていった。

 瀬古会長は「2年連続で中止となり非常に残念ですが、当地方でも感染が見受けられるため今は行うべきではないと思います。いつ、どこで誰が陽性となるか分からない。来年こそは収束し、何の心配もなく開催できることを信じて会員一同、気持ちを新たに頑張っていきます」と話していた。

(2021年8月19日付紙面より)

厳かに営まれた神事=16日、新宮市佐野の天御中主神社
神事に参列した皆さん(一時的にマスクを外して撮影)
2021年08月19日
5 状況変化願いコケ落とし  宮川沿いで住民美化奉仕  (串本町 )
2021年08月19日
6 コロナ禍でも供養の機会を  あすか斎苑で初精霊送り  (新宮市 )
2021年08月19日
7 栽培技術と指導員活動を評価  塩﨑一男さんに感謝状など  (那智勝浦町 )
2021年08月19日
8 時代を超え、災害を超え  日本第一熊野本宮三神尊像版木  (明治の大水害 )
2021年08月19日
9 お盆用食材ら買い求め  感染対策講じ「あさなぎ市」  (熊野市 )
2021年08月19日
10 今年も追善花火が夜空染める  熊野市で合同初精霊供養  
2021年08月19日
11 有志のみで伝統の踊りを奉納  平尾井薬師堂で「夏の大祭」  (紀宝町 )
2021年08月19日
12 市議会議員補選、執行へ  立候補予定者説明会は9月10日  (新宮市 )
2021年08月19日
13 お悔やみ情報
  
2021年08月18日
14 遺族ら初精霊船見守る
 各地区で盆行事営む  (那智勝浦町 )

 那智勝浦町の勝浦初精霊送り実行委員会(大嶽勝司委員長)は16日、同町築地の勝浦漁港で勝浦地区の初精霊送りを営んだ。参列した遺族らは手を合わせ、初精霊船を見送った。この日は天満地区など、町内各地でも初盆行事が営まれた。

 勝浦地区では1955(昭和30)年に当時の青年会が、海を汚さない配慮から合同での行事を始めたという。現在は同実行委員会が中心となり、勝浦6区の区長や運営委員が協力。海翁禅寺、正念寺、法泉寺の住職が出仕し、地域挙げての盆行事となっている。

 昨年に引き続き、アルコール消毒やマスクの着用に加え、各世帯最少人数での参列、一般焼香は行わないなど新型コロナウイルス感染症対策を呼び掛けた。

 今年の初精霊は44柱だった。住職らの読経が始まり、各世帯の代表者が焼香を行った。灯籠を乗せて進む初精霊船に遺族が静かに手を合わせ見守った。

 実行委員会の高齢化などに伴い、今年から追悼花火は業者に依頼。10分間の打ち上げ花火が町の夜空や海を照らした。

 大嶽委員長は「雨も降らず、天気がもってくれて良かった。無事に終えることができて安心しました」と語った。

(2021年8月18日付紙面より)

読経が流れる中、出港する初精霊船=16日、那智勝浦町の勝浦漁港
遺族らが初精霊船を見守る=同日、同町の天満の浜
2021年08月18日
15 思い込めた火を一つに
 パラリンピックの採火式  (熊野市・南郡 )

 24日(火)に開幕する東京2020パラリンピックの聖火の種火を採る三重県採火フェスティバル「採火式」が14日に紀宝町、15日に御浜町と熊野市で行われた。三重県内の各市町で採火された炎は15日に「三重県の火」として集火し、東京に向けて送り出された。

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■紀宝町



 紀宝町の採火式「きほうの火~絆・思いやりの灯(ともしび)~」は、町福祉センターで開催。就労継続支援B型事業アプローチの利用者6人と町社会福祉協議会の木下起査央会長、役場職員が参加した。

 火打石で火種をおこし、利用者6人のキャンドルにともした火をたき火台に移した。その火を木下会長がランタンに点火し、「すべての人の絆が深まれば」との思いを込めた「きほうの火」が誕生した。

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■御浜町



 御浜町は役場庁舎内でパラリンピックの「聖火」と三重とこわか国体・三重とこわか大会の「炬火(きょか)」を灯す採火式を行った。

 町身体障害者福祉会の蛇端恵会長、町社会福祉協議会の川本集一会長らが出席。大畑覚町長が、町パラリンピック聖火「みはま未来への火」のサブタイトル「挑戦への感動は、ぼくらの夢への一歩」を考えた村井孝徳君(阿田和中3年)に最優秀賞の賞状と記念品を送った。優秀賞、町長賞も表彰した。

 庁舎玄関前でミカンのバイオ燃料で点火した火を聖火と炬火にともし、庁舎内までリレーした。大畑町長は「パラリンピック、国体に出場する選手には最高の力を発揮してもらいたい。スポーツを通じて絆が結ばれることを期待する」と話していた。

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■熊野市



 熊野市では有馬町の「道の駅熊野・花の窟(いわや)」(お綱茶屋)で採火式があった。あいにくの雨とあって、敷地内にテントを張って会場を設営。市身体障がい者(児)連合会の森岡寛佳会長や市内10福祉サービス事業所の職員ら14人が出席した。

 一般観光客を含め約30人が見守る中、事業所の職員2人が火打ち石を使って麻の糸くずに着火。ランタンに移して記念写真撮影後、神々の故郷から思いを込めた「熊野の火」は、森岡会長らによって県総合文化センター(津市)へ運ばれた。

(2021年8月18日付紙面より)

「きほうの火」を託す木下起査央会長(左)=14日、紀宝町福祉センター
パラリンピックと国体の採火式=15日、御浜町役場
「熊野の火」を手にする前列の森岡寛佳会長=15日、熊野市の道の駅熊野・花の窟(熊野市福祉事務所提供)
2021年08月18日
16 中学・高校生快挙
 兄弟そろって予選突破  (日本クラシック音楽コンクール )

 新宮市在住の下古谷奏明(かなめ)君(近畿大学附属新宮中3)と律武(りつむ)君(同高2)兄弟が、14日に和歌山県民文化会館小ホールで開催された「第31回日本クラシック音楽コンクール」において、2人そろって予選突破の快挙を果たした。2人は10月に大阪府で開催される本選に出場する。

 同コンクールは、日本クラシック音楽協会が1991年から主催している、クラシック音楽のソロ、アンサンブルのコンサート。予選会、本選会は47都道府県のホールで開催しており、任意の自由曲で参加することができる。予選では部門は学生、一般関係なく審査され、その中で高得点を得た出場者だけが本選に進むことができる。

 律武君は中学3年の時、得意のユーフォニアムで同コンクールに初めて出場して以来、3年連続の予選突破。奏明君は今年初めての挑戦で、兄・律武君のピアノ伴奏に合わせて奥深いチューバの音色を響かせた。

 2人とも父・智久さんの影響で那智勝浦吹奏楽団に所属。今月10日に和歌山市で開催された第57回和歌山県吹奏楽コンクール高校小編成部門で金賞を受賞し県代表に選ばれた近大附属新宮中高吹奏楽部にも在籍しており、クラブ活動と両立して練習を重ねてきた。

 新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から関係者のみの無観客で開催されたクラシック音楽コンクールには、中学2年から一般の13人が出場。奏明君は「正確な音程感、重厚な音色、素晴らしい」「丁寧な良い演奏」、律武君は「美しい音色」「フレージング、ダイナミクスのコントロール、いずれも高い技術を持っている」などと講評を受け、それぞれ高得点を得た。

 結果を受け、奏明君は「楽しく演奏できた。いつでも練習できたのは父と兄のおかげ」。律武君は「無事に突破できてほっとしている。審査講評で頂いた課題を見直し、本選につなげていきたい」と力を込める。

 コンクールの前日に誕生日を迎えたという智久さんは「いいプレゼントになりました。本選でもいい演奏をしてほしい」と期待を込めた。

(2021年8月18日付紙面より)

見事予選突破を果たした下古谷律武君(左)と奏明君
2021年08月18日
17 民法改正後も20歳対象で
 成人式実施の考えを公表  (串本町 )

 串本町が16日、来春の民法改正後も20歳を対象にして成人式を実施する考えを公表した。

 成年年齢を現行の20歳から18歳へと引き下げる民法の改正は2022年4月に施行される。これにより在り方が変わる慣習の一つが成人式で、改正が決まって以降、各市町村単位で現行の形をどうするかで議論が進む状況にある。

 串本町は現行で1月3日を期日とし、その年度に20歳を迎える世代(同級生が2カ年に分かれないよう4月2日から翌年4月1日までの枠組みで対象を選んでいる)を招いて開く形を取っている。民法改正後も20歳を対象に実施する主な理由として▽18歳の大半が高校生であり進学や就職など人生選択の極めて多忙な時期にあたる▽飲酒や喫煙などの年齢制限は引き下げとならず引き続き20歳が重要な節目となる▽18歳に改めると初年度に限り18~20歳が招待の対象となるがそのための会場の確保や運営が困難―を挙げている。

 4カ月半後に実施予定の「令和4年成人式」は改正前となるため、現行の形とする。同町教育委員会教育課によると対象は01年4月2日から02年4月1日に生まれた男女で、住民基本台帳に基づき139人(男74、女65)へ案内を送付する予定。他に送付の枠から外れたが同町にゆかりがある対象者の出席希望も受け付けるという。

 「令和3年成人式」は新型コロナウイルス感染症の影響で延期するも式典挙行のタイミングを見いだせず、最終的に記念品の送付や貸衣装などのキャンセル料補助などの対応を取った。「令和4年成人式」は現状、実施する前提で準備を進めているが挙行は期日直前の同感染症の情勢を見ての判断となりそうな状況だ。

 令和5年の成人式は改正後となるため、公表した考えに基づき期日を変えず実施する見込み。法律上の成年年齢が変わるため、式名を20歳の節目にふさわしい名称に改める予定としている。

(2021年8月18日付紙面より)

串本町の過去の成人式〈式典〉の様子。民法改正後も20歳対象で実施するとしている
2021年08月18日
18 趣向を凝らし収穫を待つ  丸山千枚田で「案山子作り教室」  (熊野市 )
2021年08月18日
19 町立図書館の利用再開  町内在住・在勤者のみに限定  (紀宝町 )
2021年08月18日
20 近大新宮が初戦突破  串本古座・有田中央合同も快勝  (県下高校野球新人戦 )
2021年08月18日
21 残工事は来年度中に終了  日足地区の堤防整備  (新宮市熊野川町 )
2021年08月18日
22 にっぽん丸が入港  歓送迎イベントなど見合わせ  (新宮市 )
2021年08月18日
23 来月にエ号遭難131周年の節目  大祭の有無はいまだ未定  (串本町 )
2021年08月18日
24 昨年同規模で斎行 熊野速玉大社例大祭 (新宮市)
2021年08月13日
25 現存する最古の木造郵便局? 近代新宮のシンボル「丹鶴ダンス教室」 (新宮市)

 愛知県犬山市の博物館明治村内に立地する「博物館明治村簡易郵便局」(重要文化財)は1909(明治42)年、三重県宇治山田市(当時)に建築。69(昭和44)年に現在地に移築されており、明治時代の木造郵便局舎として現存する唯一のものとされている。しかし、ここ新宮市にさらに古い木造郵便局舎があったとしたら?

 新宮市丹鶴にある「丹鶴ダンス教室」は、郵便局として1905(明治38)年、現在の仲之町アーケード入り口(国道側)付近に建設。29(昭和4)年、丹鶴商店街にある「ホテルニューパレス」付近に郵便局が新設されたことに伴い現在地に移築され民間に払い下げられた。

 「移築されたからこそ46(昭和21)年の昭和南海地震による火災焼失を免れた。近代の新宮のまちを語る上で貴重な明治建築では」と、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんは話す。戦後、そして震災後、同市では住宅が不足。同建物も一時アパートとして使用されていたという。

 故・湯川運(はこぶ)さんが同建物を管理するようになったのは53(昭和28)年。建物の裏手部分はダンスホールとして増改築され、昭和30、40年代は多くのダンス愛好家や若者などでにぎわいを見せた。市出身の芥川賞作家・中上健次の小説にも度々登場する、いわばまちの「名所」だった。

 現在、同建物に一人で居住する和子さん(87)は高知県出身。ダンスを通して運さんと出会い、結ばれた。「主人は1年ほど大工の仕事をしていたので建物の修繕はよくしていました」。今は手付かずで…と和子さんは言うが、ホールには運さんとの思い出や昭和のエッセンスが色あせることなくあふれている。

 ホールの広さは約20坪。照明や運さん手書きのダンスのリズム表などもそのままだ。「当時は70人もの人がここでダンスを楽しみました」。

 中瀬古さんは「近くには旧チャップマン邸や旧西村家住宅、新宮城の『日本一短いケーブルカー跡』などがあり、城の地下に鉄道があるのもここだけ。建物は明治期の建設を経て戦後の市民の生活を残している。増築部分は『昭和レトロ』も感じさせてくれる貴重な建物」と保存を訴える。

 増築や修繕がなされてきた「丹鶴ダンスホール」。「明治時代の木造郵便局舎として現存する」の定義に当てはまるのかどうかは専門家が判断するところではあるが、例えば玄関ドアが「〒」モチーフになっているなど、建築当時の姿を色濃く残す「文化財」であり、近代新宮の歴史が凝縮された歴史的価値の高い建物であることに疑いの余地はない。

(2021年8月13日付紙面より)

「丹鶴ダンスホール」。玄関ドアに「〒」のモチーフ=11日、新宮市丹鶴
昭和期に増築されたダンスホール。多くの若者たちでにぎわった
移築前の建物(左)。前に郵便ポストが見える(中瀬古友夫さん提供)
2021年08月13日
26 「休業協力」事前登録に312件
 コロナウイルス感染症緊急対策  (新宮市 )

 新宮市が、新型コロナウイルス感染症緊急対策としての飲食店などに対する「休業協力のお願い」の事前登録期間が11日に終了し、市内312店が申請した。本来なら帰省客や観光客でにぎわい、繁忙期を迎える時季。今年はさみしいお盆休みとなりそうだ。

 「休業協力のお願い」は、新宮保健所管内における感染拡大状況を鑑み、人流抑制やクラスター防止など、新型コロナウイルス感染拡大防止として市が打ち出した緊急対策。飲食店や喫茶店、居酒屋、カラオケボックスやバーなど、市内約500店舗を対象に、12日から16日(月)までの5日間の休業協力を呼び掛け(休業の実施は事業者判断)、協力店舗に10万円の協力金を支給する。

 事前登録および協力金の支給には感染防止対策に取り組んでいることや、市が配布する「休業のお知らせ」チラシを店舗に掲示することなどが条件で、11、12日にはすでに店舗入り口などにチラシを掲示している飲食店が多く見受けられた。

 休業を決めた居酒屋を経営する男性は「管内では飲食店から(新型コロナが)広がった。多くの飲食店が不安を抱えているのでは」。

 休業に関しては「赤字は赤字でも多少なりとも補償があるなら。うちみたいに小さい店はいいが大きな店舗は本当に大変だと思う」。

 一方、ほかの飲食店経営者は「お盆は前々から予約を頂いていたため協力はできなかった。しかしお盆休みがくることは誰でも分かっていたこと。協力したいが急すぎて対応できなかった店もたくさんあるのでは」と実情を語る。

 「テークアウトといった売り方もある。個人的な意見だが、テークアウトのみ営業としてもらえる店は新聞紙面で特集を組んでもらい、協力金として費用を市が負担するなどの方法もあったのでは。スナックやバーなど仕方なく休もうと決断した店に、しっかりとした協力金を出すといった形も考えられたのではないかと思う」と話していた。

 市は休業の実態確認のため、協力お願い期間中に見回り調査を実施。休業していないことが確認された場合には協力金の給付対象外となる場合もあるという。

(2021年8月13日付紙面より)

休業を知らせるチラシを掲示する店舗(イメージ)=12日、新宮市
2021年08月13日
27 新園舎など工事契約を承認
 現庁舎完成後初の本会議で  (串本町議会 )

 串本町議会(鈴木幸夫議長、13人)の第2回臨時会が12日、役場議場であった。現庁舎完成後初となる本会議の実施で、くしもとこども園新園舎建設工事と菌床製造栽培大型共同作業場空調設備等改修工事の各工事請負契約案を承認した。

 同園舎はJR串本駅の西にある海抜51・5㍍の高台に用地を確保し、許容園児数150人を想定した木造平屋建ての設計で建設を目指している。事業費は本年度と次年度に振り分けて予算計上する形としていて、6月実施の第2回定例会でまず4億2724万円が承認された状況にある。

 入札は今月3日に実施し、16社による指名競争入札で町内の株式会社小森組が7億7860万円(税抜き)で落札。当局は税込みの8億5646万円で工事請負契約を結びたい旨を議案として上程し、議員は入札結果の分析状況、ウッドショックなど資材調達難や設計変更の見通しを質疑で探りつつ可決承認した。

 工期は13日から2022年10月31日(月)まで。当局は23年1月の開園を予定していて、完成後の機能移転も含め余裕を持って目指せる状況となっている。

 同作業場の空調設備等改修工事は老朽化に伴う更新整備で、第1回定例会で事業費3億2333万4千円を承認している。入札は今月3日に実施し、12社による指名競争入札で田辺市の株式会社第一テックが2億3400万円(税抜き)で落札。当局は税込みの2億5740万円で工事請負契約を結びたい旨を議案として上程し、議員は質疑、討論なく可決承認した。

 同町産業課によると、資材調達難の影響が見込まれるが契約上は13日から来年3月25日(金)までを工期としているという。

  □     □

コロナに伴う臨時休業延長



 田嶋勝正町長は開会に先だって、新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした関係施設の臨時休業について、一部を除き今月31日(火)まで延長する考えを議員に説明した。

 延長の対象は▽串本温泉浴場「サンゴの湯」▽串本町B&G海洋センターのトレーニングルーム(スポーツジム)▽大島プール▽トルコ記念館▽日米修交記念館▽樫野埼灯台旧官舎▽潮風の休憩所。同センターのプール(スクールを除く一般利用のみ)と串本町総合運動公園は運営委託するNAS株式会社との協議を経て、17日(火)から営業を再開するとした。

 説明後、同町は12日付で前述した内容を公式ホームページなどで公表し、延長を確定した。

(2021年8月13日付紙面より)

真新しい議場で議案説明に臨む田嶋勝正町長=12日、串本町役場
2021年08月13日
28 3基目のえん堤工事進む
 土石流防ぎ、安全安心の確保を  (紀宝町神内 )

 熊野建設事務所は、紀宝町神内の2級水系神内川水系里地谷で通常砂防工事に取り組んでいる。2011年度から災害関連緊急砂防事業として着手し、本年度は3号えん堤の工事を進めており、9月末の完成を目指している。これまでにえん堤2基と渓流保全工195㍍が整備済みとなっている。

 11年9月の紀伊半島大水害の際、渓流の浸食や土石流により家屋などに被害が発生するとともに、渓流の荒廃が進み、河床には不安定土砂が堆積した。下流の氾濫想定区域には人家19戸と町道があり、土石流による被害が懸念されるため、砂防えん堤と渓流保全工により土砂災害を防ぎ、地域住民の安全、安心の確保を図るための事業。

 静岡県熱海市で発生したような土石流を防ぐために、砂防えん堤を築造しており、土石流が発生した際、一度に大量の土砂が下流に流れ出て、災害を起こさないよう土砂の流出をコントロールする役目を担う。

 情報通信技術(ICT)を活用して、起工測量ではドローン撮影による3次元起工測量、設計データを3次元化した上で、衛星による位置情報を取得し、マシンコントロール機能を有した建設機械(バックホウ)で工事を進めている。

 バックホウには3次元の設計データが入力されており、運転席では液晶モニターで設計データを確認しながら操作を行っている。

 同事務所によると、県内のICT活用工事では土木工事にかかる延べ作業時間は全体で約3割削減されており、このような建設機械を使用することで、機械周辺の作業員との錯綜(さくそう)作業が大幅に短縮されていることから、作業の安全性が高まったとの意見が多数寄せられているという。

(2021年8月13日付紙面より)

紀宝町神内で進むえん堤整備工事
2021年08月13日
29 タカサゴユリが咲く  熊野地域で分布拡大  
2021年08月13日
30 屋台やお化け屋敷楽しむ  三津ノ保育所で夏祭り  (新宮市熊野川町 )
2021年08月13日
31 一体活動で資質を高め合う  潮岬でリーダー養成キャンプ  (串本町 )
2021年08月13日
32 巨大地震想定し高台に避難  紀宝町社協が防災訓練  
2021年08月13日
33 今年も井田観音を開帳  伝統のほうき踊りは中止に  (紀宝町 )
2021年08月13日
34 雨に備えて急ぎ収穫  新宮市熊野川町で稲刈り