熊野神社・百姓会が大しめ縄奉納 (熊野速玉大社 )
山口県山陽小野田市の熊野神社(松田正寛宮司)で各種祭事の準備などを奉賛する「熊野神社・百姓(おほみたから)会」(会長・松田宮司)は15日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)に大しめ縄2本を奉納。コロナ禍の終息などを祈願した。
50年以上にもわたり当地方へ熊野詣でを続けている同会。平均年齢80歳代の会員ら約20人は、同神社の田んぼで収穫した稲わらを使用し、今年1月から3月にかけて、わらのはかま取りやこも編みなどの制作に励んだ。
仕上げの撚(よ)り合わせ作業には、出雲大社神楽殿の大しめ縄制作で知られる「大しめ縄創作館」(島根県飯南町)棟梁(とうりょう)の石橋真治さんが協力したという。
熊野速玉大社が大しめ縄を掛け替えるのは14年ぶりで、当時のしめ縄は同神社が創作館に依頼したもの。今回は松田宮司の就任に当たり、またコロナの終息を願って会員が力を合わせて制作するに至った。
この日は神倉青年団有志と同大社神職らが、創作館の石橋さんの指示の下、拝殿と神門の大しめ縄の取り外しおよび取り付け作業を行った。最後に神職が紙垂(しで)を取り付け、幅約4㍍、重さ約100㌔の新しめ縄が設置された。
大しめ縄奉納のため同大社参拝の機会を探りつつも、日々変化するコロナ情勢を考慮し幾度となく来熊を中断。全員が2回のワクチン接種を済ませたこの機会にと参拝がかなった。取り付けが済んだ大しめ縄を前に、会員らは「うれしいね」などと口にし笑顔を見せた。
上野宮司は「真心のこもったしめ縄を奉納いただきありがたい限り。奉納奉告祭に当たり、百姓会の方々への感謝と、平穏でコロナのない世の中をお祈りしたい。素晴らしいしめ縄をぜひご覧になっていただければ」。
同神社の河崎真(まき)権宮司は「高齢の会員たちがコロナの終息を願い、真心込めて制作した。良き日を迎えることができ、祈りは実現すると思った。(同大社に)上げていただけることはありがたいことです」と話していた。
(2021年7月17日付紙面より)
総務省事業で実施主体に (串本町 )
串本町の潮岬・大島生活圏における取り組み「地域の宝『なんたん蜜姫』復活からはじまる本州最南端地域活性化プロジェクト」がこのほど、総務省「過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業」の対象に選ばれた。
この事業は、複数集落で構成する集落ネットワーク圏の地域運営組織等が行う生活支援やなりわい創出の活動などを資金交付により支援する目的で年次実施。本年度は9件の取り組みを交付対象としている。
その一つに選ばれた潮岬・大島生活圏の取り組みは、サツマイモ「なんたん蜜姫」の生産振興や新商品開発、農業体験等を通した関係や交流人口の創出による担い手の確保により活力ある地域社会の実現を図る内容。事業実施主体はなんたん地域活性化協議会(柴田明夫会長)で、交付額は1165万5000円となっている。
総務省は12日付で交付対象の取り組みとその概要を公表。実施時は新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を踏まえ、適切な対策を講じるよう要請をしている。
この事業は和歌山県が生活圏の過疎地域再生・活性化支援の制度創設を国に提案し総務省で制度化された経緯があり、県内では国事業と県事業の2系統で支援が受けられる状況となっている。東牟婁振興局企画産業課によると、同協議会への支援は両事業合わせて今回が初になるという。
(2021年7月17日付紙面より)
紀宝、御浜両町で啓発活動
「特殊詐欺撲滅の日」の15日、紀宝町と御浜町で啓発活動があった。両町のスーパーで啓発チラシを配布し、来店者に声掛けするなどして地域ぐるみで詐欺被害撲滅を呼び掛けた。
紀宝町では、高齢者地域見守り隊(小田原徳子代表)が同町鵜殿の主婦の店で紀宝警察署と合同啓発活動を展開した。
高齢者を詐欺被害から守る取り組みで、毎月1回実施。今月は「クーリングオフ制度」を紹介するチラシを来店者に配った。
この制度は、消費者が訪問販売など特定の取引形態で契約した場合、一定期間内であれば無条件で契約を解除できるもの。チラシには、クーリングオフの効果や手続き方法などを記載した。
御浜町では、紀南高校生徒会(大西輝人(きらと)会長)、同町防犯委員、紀宝署の署員が参加し、パーク七里御浜ピネで実施した。
生徒らは「詐欺に注意してください」などと来店者に話し掛け、新型コロナワクチン詐欺、サポート詐欺、還付金詐欺の手口などを記したチラシ3枚を配布した。
ワクチン接種詐欺は「○万円払えば優先的に接種でき、お金は後で返金される」「接種に必要なので口座情報を教えてください」などと電話やメールで金銭をだまし取る手口。接種は無料で、電話やメールで個人情報を求めることもないため、行政機関などをかたる「なりすまし」に注意するよう求めている。
(2021年7月17日付紙面より)
下里とも子ガーデン (那智勝浦町 )
那智勝浦町下里の「下里とも子ガーデン」(岩本カナエ代表、会員7人)で夏の花たちが元気いっぱいに花を咲かせている。カサブランカやヒマワリ、一年草のアマランサスなどがガーデンに彩りを添え、住民や見物人の目を楽しませている。
同ガーデンは花壇の所有者であった故・笠松朝子さんの遺志を受け継いだ会員や住民らがボランティアで管理している。
花壇には前述の花のほか、白色が強いヒマワリ、ジニア、コキア、マリーゴールド、ケイトウ、ハツユキソウ、ヒャクニチソウなども開花している。
ガーデン内にはテーブルやベンチを設置しており、花を見物しながら休憩や昼食ができる。
会員によると、メンバーも高齢化してきているため、今後の維持・管理がしやすいようなレイアウトを進めているという。8月ごろは葉ボタンの種を植え、正月用の花の準備をしていくと話した。
また、「和歌山県花を愛する県民の集い」の事務局を通して、「第31回全国花のまちづくりコンクール」への応募も行っている。
岩本代表は「メンバー以外の方でも笠松さんと仲が良かった方が集まってきてくれる。毎年、もってくれる宿根草も増やしていきたい」。来場者に対しては「近くにはハマボウの郷もあり、きれいな花を咲かせています。近くに来られた際はお気軽にガーデンにお立ち寄りいただければ」と語った。
(2021年7月17日付紙面より)
【第37回】食育の目的を決めよう②
一気に夏になりましたね。今回は、前回に引き続き、食育の目的についてお伝えしたいと思います。
まずは「子どもを健やかに育てたい」。これは多くの方が願うことですね。子どもを健康で、前向きな子にしたい。その気持ちはよく分かります。これも、食べるものを安心安全なものに!と神経質になる必要はありません。バランスを考えて献立を作ったり、外食したりすればそれで十分です。大切なのは、ちゃんと考えているということを伝えることです。
子どもは食について、親が自分のために考えて用意してくれているということを敏感に感じ取ります。そういうことで、受け入れられている大切にされていると感じて、自己肯定感を高めます。また、どういったところに注力しているか、を伝えることで、自身の食意識を高めます。何を食べるか、よりもどう食べるか。家族と楽しい食卓を囲むことこそが、子どもを健やかにするのです。無理して頑張って手作りをする必要もありません。
続いて「食の知識を付けてほしい」場合。これはさすがに、親に知識がないと無理と思いますか? 果たしてそうでしょうか? 私は、一緒に調べることをお勧めします。今はスマホ一つで、いろんな情報が手に入る時代です。「きゅうりにはどんな栄養があるかな?」と一緒に調べてみてはどうでしょう? わが家ではよく、食事中に、「OK Google! ズッキーニについて教えて!」などと、質問します(笑)。食卓での会話のきっかけになりますし、とってもお勧めです。
これは「食事のマナーを教えたい」もそうですよね。正しいマナーを一緒に調べて実践してみるのも楽しいと思います。親にガミガミ言われるよりも、正しい配膳やマナーを一緒に調べた方が身に付くかもしれません。
最後は「一流の味覚を育てたい」。ここでいう一流とはどんなものでしょうか? ミシュラン三つ星の味? そうではないですよね。私が考える一流の味覚は、例えば、顆粒(かりゅう)だしとカツオだしの違いが分かるとか丁寧な仕事で作られた素材や料理をおいしいと感じるとか、そういうことです。
では、これを育てるために、私たちは毎日丁寧な仕事をして手作りのお料理を作らなければいけないと思いますか? そんな必要はありません。日頃は顆粒だしを使っても、たまにだしをとって、「これはカツオで取っただしだよ」とその違いを認識させること。それで十分だと思います。「おいしいでしょ?」と。
大切なのは、素材の味を知ることだと思うのです。食育は意識するだけでいいんです。知識も、お金も必要ありません。食について、子どもに教えたいという気持ち。その気持ちがあれば誰でも、今すぐに最高の食育ができます。そして、食育より大切なのは、お母さんやお父さんがニコニコ楽しそうにしていることです。
どうか気負わずに、できることから食育を意識してみてください。この記事を読んでくれているだけで、すでにあなたは食育ができていると私は思います。
(2021年7月17日付紙面より)
わかやま夏の交通安全運動 (新宮市 )
和歌山県、交通事故をなくする県民運動推進協議会など主催の「わかやま夏の交通安全運動」が11日から始まった。20日(火)まで▽子どもと高齢者をはじめとする歩行者の安全の確保▽自転車の安全利用の推進▽歩行者などの保護をはじめとする安全運転意識の向上▽飲酒運転の根絶―を重点とし、県民に注意を呼び掛ける。
夏季の行楽などによる交通量の増加、暑さからくる疲れや気の緩みなどによる夏特有の交通事故が多発する時期を捉え、交通ルールの遵守(じゅんしゅ)と正しい交通マナーの実践を習慣づけることにより交通事故の防止を図ることを目的に、県内各地で啓発活動などが展開される。
期間中の12日、新宮市橋本のイオン新宮店で行われた決起集会では、市交通事故をなくする市民運動推進協議会、市交通指導員会協議会、新宮警察署、市交通安全母の会などの関係団体から約50人が参加。新型コロナウイルス感染症対策のため手袋着用の上、買い物客らに物資を配布。交通安全を呼び掛けた。
市交通事故をなくする市民運動推進協議会副会長の清岡幸子・市交通指導員協議会長は「誰もが安全に安心して暮らせる交通事故のない社会を目指し、今後もあらゆる機会を通じて交通ルールとマナーの遵守を訴えていきたい」とあいさつ。
楠間慎也交通課長は「管内では交通事故件数は減少しているが死亡事故が1件発生している。飲酒運転が絡む事故も3件発生しており厳しい状況にある」と説明し、横断歩行者優先の意識付けの推進と、飲酒運転をさせない環境づくりへの協力を呼び掛けた。
管内では今年に入って26件の人身事故が発生しており(前年比10件減)、うち死者1人、傷者31人。また6、7月で計4件の飲酒運転を検挙した(いずれも11日現在)。
(2021年7月13日付紙面より)
補陀洛山寺で土用護摩祈とう (那智勝浦町 )
那智勝浦町浜ノ宮の補陀洛山寺(故・髙木亮享住職)で10日、土用護摩祈とうがあった。例年、多くの参拝者が集まるが、昨年と同様に新型コロナウイルス感染拡大予防の観点から規模を縮小し僧侶のみで営んだ。髙木亮英副住職らが護摩をたき上げ、人々の幸せや無病息災、コロナ終息を祈った。
世界遺産に登録されている本堂では、国重要文化財の本尊「三貌十一面千手千眼観世音菩薩」が開帳され、髙木副住職らが読経し、護摩壇で祈とうが行われた。
開帳法要はこの日も含め、1月27日の立春大護摩供星祭祈祷会(きとうえ)、5月17日の渡海上人供養の春まつりの年3回営まれている。
髙木副住職は「今日お参りするとご本尊の御利益を頂き、4万6000日参ったことになる功徳の高いありがたい日。皆さまの幸せと安寧、コロナ終息、世の中の平穏無事を祈りました」と語った。
(2021年7月13日付紙面より)
先月17日時点の町民対象に (串本町 )
串本町が9日、町民1万5326人を対象にして生活支援商品券の交付を始めた。1人につき7000円分(100円券70枚)を託す内容で、担当の役場産業課は積極活用を呼び掛けている。
この商品券は、コロナ禍の影響を受ける住民生活と地域経済をともに支援する目的で交付。国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を原資にして計画し、町議会第2回定例会で予算承認を得て準備を進めてきた。
対象者にはあらかじめ引き替えはがきを送って通知し、同日から8月9日(月・振休)までの間に最寄りの郵便局(初日のみ江田、田子、樫野の各集会所と旧養春小で臨時交付窓口を開設)で同商品券と引き換えるよう求めている。引き替え方法は同はがきを参照。
同商品券の有効期限は11月30日(火)で、取扱参加店舗約280店舗で利用でき内訳は交付時に一覧表を併せて配る形で伝えている。店舗まで赴きやすいよう、前回同様にコミュニティバスの運賃としても使える仕組みとしている。
同商品券の交付は3回目で、今回の対象となる町民決定の基準日は6月17日。交付総額は1億728万2000円相当で、同課はこの規模で目的を達成できるよう、過去2回(約99%利用)同様の協力を求めている。問い合わせは同課(電話0735・62・0558)まで。
(2021年7月13日付紙面より)
「那智の扇祭り」前に氏子が奉仕 (熊野那智大社 )
熊野那智大社(男成洋三宮司)の例大祭「那智の扇祭り(火祭)」(国重要無形民俗文化財)が13日に宵宮(よいみや)、14日(水)に本祭を迎える。祭りを目前に控えた11日、同大社で扇神輿(みこし)2体と馬扇の張り替え作業が行われ、氏子ら16人が奉仕した。
熊野十二所権現の神霊をうつす扇神輿は高さ約6㍍、幅約1㍍の細長い形で「那智の大滝」を表しており、例年祭り前に張り替えられる。昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から扇神輿は取りやめとなったが、今年は2体のみ出されることとなった。
当日は本殿で奉告祭を営んだ後、口伝で残された伝統の製法で張り替え作業に取り掛かった。扇神輿は細長い木の枠に赤い緞子(どんす)を365本の竹くぎで止め、32本の日の丸が描かれた扇や8面の白銅鏡などを飾り付ける。
8面の白銅鏡は「神威八弦絃(あまねく広く輝かすの意)」といわれている。扇神輿は1カ月を意味し、12体で1年を、32本の扇は1カ月の30日と残る2本は月の満ち欠けを、365本の竹くぎは1年の日数を表しているという。
氏子らは声を掛け合いながら協力して扇神輿や馬扇を仕上げていった。
男成宮司は「2年ぶりに2体だけだが、扇神輿を出すことができ、良かった。意義を感じる」。
来年の例大祭については「本来は12体全て出して斎行したい。来年はこれまで通りのお祭りができれば」と語った。
(2021年7月13日付紙面より)
熊野川地域フラワーツーリズム協議会 (新宮市 )
熊野川地域フラワーツーリズム協議会(下阪殖保会長)のメンバーら約10人は7日、新宮市熊野川町日足のバイパス近くの休耕田約0・5㌶にヒマワリの種約15㌔を植えた。
同協議会は、2011年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所として活性化し町民らを元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモス、菜の花などの種をまいている。今年で9回目の取り組みとなる。
他にもこいのぼりの設置やさまざまなイベントを企画・実施し、復興を祈念するとともに水害当時に思いを寄せる機会としている。
市制施行10周年記念として15年から開催されている「ひまわりまつり」では一帯を大輪のヒマワリが彩るが、今年は新型コロナウイルスの感染状況を考慮し、昨年に引き続きまつりは中止に。
そんな状況下でも協議会メンバーらは「町の活性化につながれば」と思いを込め、一つ一つ丁寧に大輪花で耐倒伏性が強いヒマワリの品種「ハイブリッドサンフラワー」の種を植えていった。
先月30日には約1・5㌶の休耕田に約20㌔のコスモスの種をまいた協議会メンバー。種をまいた後は発芽しやすいように土をかけ、肥料の散布も実施した。今年のコスモスは約3カ月で開花する早咲き種で花径約7、8㌢の大輪になるものもあるという。
「秋には花畑があふれ、町を訪れる人たちに楽しんでもらうとともに、復興を祈念できれば」。大水害以降も幾多の風水害を乗り越えてきた熊野川町。町を彩るヒマワリとコスモスの開花は9月ごろを予定している。
(2021年7月8日付紙面より)
図書館が引き継いで所蔵へ (串本町 )
串本町教育委員会(潮﨑伸彦教育長)がこのほど、ケンケン漁ゆかりの漁具・工具や研究資料一式の寄贈を受けた。串本町図書館(池田三明館長)へ引き継ぐ方向で段取りを進めていて、池田館長は閲覧できる状態にある研究資料は7月中旬をめどに郷土資料として蔵書登録し閲覧公開、漁具は年末をめどに展示公開を目指すとしている。
町教委によると、一式は田並の故・雑賀徹也さんが生前の研究でそろえたもの。遺品整理をする中で「貴重では」と感じた家族が知り合いの役場職員の仲介で町教委に相談し、寄贈するに至ったという。
内訳は漁具が▽潜行板7個▽飛行機6個〈大2、小4〉▽爆弾3個▽ウキ1個▽手釣り用木枠〈釣り糸つき〉1個▽疑似餌複数個―、工具は木製の潜行板、飛行機、爆弾を作る道具など11個。研究資料がファイル4冊(写真や新聞記事の切り抜き、独自考察など)と未整理の文書・図面・写真で数量不詳となっている。
潜行板、飛行機、爆弾は漁業従事者が漁具の形状や用途を見て用いていた呼称。研究資料は故・雑賀さんが生前に和歌山東漁業協同組合へ寄稿したケンケン漁推察の出典元となるさまざまな文書資料や独自考察、写真などで「天馬船」の設計図面〈実物〉も含まれている。
一式全体として整理が追いついていない状態にあり、その作業を進めてできる限り所蔵していくという。池田館長は「本館は農業関係に比べて漁業関係の民具が少ない。(同町の代表的な漁業の一つである)田並発祥のケンケン漁にまつわる内容ともあってとてもありがたい寄贈だ」と喜び、今後の公開に意気込んでいる。
ケンケン漁は、田並からハワイへ渡った移民者が現地の漁法を洗練して持ち帰り全国へと広めたとされるカツオ漁法。現在は長さおを漁船の両舷へ羽のように伸ばして仕掛けを引く形へと発展し、代表的なカツオ漁法の一つとして浸透している。
(2021年7月8日付紙面より)
宇久井中で海洋教育 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)で6日、地元漁師の東信義さんによる漁業学習があった。2年生29人が地元の漁業について学び、理解を深めた。
同校で20年以上続く海洋教育の一環で、ふるさとの漁業の歴史や取り組みを学ぶとともに、将来的な漁業後継者を育てることも目的の一つとしている。
東さんは宇久井漁業協同組合に所属し、引き縄(ケンケン)漁とイセエビの刺し網漁を営む傍ら、ホエールウオッチング業にも従事している。
授業では東さんの経験を基に、地元の主な漁法としてマグロやカツオを取る「はえ縄」「引き縄」「一本釣り」、アジやサバ、サンマなどの「棒受け網」、ブリを中心に季節の魚を取る「定置網」、「養殖」などの仕組み、クジラの種類や生態についても解説した。
生徒からは「クジラが見える確率は」「宇久井漁協はどういった組織なのか」「難しい漁法は」「漁に出ないときは何をしているのか」などの質問があった。
東さんは「ウオッチングは5月のシーズンなら90%以上見ることができる」「組合がないと僕らは魚を持って行くことができない。漁師のまとめ役」「どの漁法も慣れるまで難しいが、棒受け網は難しい」「漁以外では網の修理などをしている」と答えた。
この日の朝に定置網で取れたイワシやイカ、サバ、カツオ、シイラ、タチウオなどを直接見せながら特徴や種類を説明した。
学級委員の田原まなさんは「漁法の説明や実際に魚を見せていただき、ありがとうございました。宇久井の漁業について学ぶことができました」と感謝を述べた。
坊校長は「発展した漁業がこの地域を支えてきた。その歴史などを学んでほしい」と述べた。
同校によると、2年生は3学期、船に乗って定置網の見学を実施するほか、3年生は漁協女性部の協力の下、魚食体験を行うという。
(2021年7月8日付紙面より)
区長会で各種事業を報告 (紀宝町 )
町内14地区と町で組織する紀宝町区長会(会長・辰巳尚鵜殿区長)は6日、同町役場大会議室で定例会を開催。役員改選に伴い、会長に辰巳区長、副会長に鮒田区の東口高士区長を再任した。
各区の区長、役場職員が出席し、西田健町長は「町内でこれまで新型コロナウイルスの感染者がないものの、地域経済にとっても厳しい状況にあり、町としてもできる限り支援をしたい。全国学力テストで、小中学校5教科中3教科で全国平均を超えた。子どもたちは学力やスポーツも頑張ってくれている」とあいさつ。各課の担当職員が町の関連事業などを説明した。
65歳以上の新型コロナウイルスワクチン接種は1日現在、1回目が2701人、2回目は1769人が済ませた。3、4日に720人が集団接種し、1回目接種率は約85%だという。
担当課長は「8月も土、日曜日に集団接種を計画しているが、ワクチン供給量によって設定できないかもしれない」と報告。「接種した人は新型コロナの発症を予防できるとされているが、接種を受けた人から他の人への感染をどの程度予防できるか分からない。接種後も引き続き、手洗い・マスク着用・3密回避などの対策徹底を」と呼び掛けた。
新型コロナウイルス感染症支援事業や第15回紀宝町花火大会の打ち上げ花火中止、町空き家バンク事業、第2次町総合計画、鵜殿保育所建設工事、矢渕中学校大規模改修工事の概要なども伝えた。
(2021年7月8日付紙面より)