少年少女発明クラブに20人 (新宮市 )
新宮市少年少女発明クラブ(瀧野秀二会長)は24日、和歌山県立新翔高校悠久館で「川原家を組み立てよう!」を開催した。市内の小学生の会員約20人が参加。同校の中岸速人教諭が講師を務め、川原家の組み立てや座学を通してその歴史を学んだ。
発明クラブは全国各地で活動をしており、県内でも10市町で行われている。新宮市では、市内の小学4~6年生を対象に年間を通して講座を開催。子どもたちに理科や科学、ものづくりに関心を持ってもらえるよう、さまざまな制作・野外活動に取り組んでいる。
熊野川の川原にはかつて、くぎを使用しない組み立て式住宅「川原家」からなる集落「川原町」が存在。洪水が迫ると解体され、水が引くと再び組み立てられた。
筏(いかだ)による木材輸送や川舟を使って交易をする多くの人が行き交い、最盛期には150軒を超える建物があったとされる。そのにぎわいは1935年ごろまで続いたといわれている。
中岸教諭は、スライドを使って川原家の歴史や組み立て方法などについて説明。「昔の新宮川原では大雨によって洪水が発生し、そこで暮らしていた人々はそれによって苦しめられていました。そんな中で生まれたのは川原家です」などと話し「川原家が記録として残っているのは新宮市だけ。新宮市に生まれたのだからぜひ覚えておいて」と呼びかけた。
座学後には、中岸教諭から具材の名称などの説明を受けながら組み立てを開始。学年ごとに役割を分担し、力を合わせて川原家を完成させた。組み立てた川原家はみんなで解体。かつて、いかに素早く解体する必要があったかを体験を通して学んだ。
峪悠都君(王子ヶ浜小4)は「川原家のことは今日初めて知りました。解体する時間が早かったのでびっくりした」と話していた。
(2022年9月25日付紙面より)
「修験ルネッサンス」完成披露 (新宮市 )
「『修験ルネッサンス』上映委員会」は22日夜、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で、長編ドキュメンタリー映画「修験ルネッサンス」(カラー/84分/2022年)の完成披露上映会を開催した。市内外から約300人が来場し、映画を通して熊野修験に対する理解を深める機会とした。
那智勝浦町の那智山青岸渡寺・髙木亮英住職が熊野修験を復興してから今年で35年。「熊野から」「熊野から ロマネスク」「熊野から イントゥ・ザ・新宮―明治の闇『大逆事件』を乗り越えて―」の3部作を手がけた田中千世子さんが制作・監督を手がけた。
田中さんが自ら修験に参加し、熊野修験の復興に尽力した「新宮山彦ぐるーぷ」や熊野修験の活動を数年にわたり撮影・取材した記録映像を軸に、ダンテの「神曲」のエッセンスを絡めた独自性豊かな作品に仕上がった。
上映会は熊野修験の髙木智英さんと成田佳子さんによるほら貝で幕開け。田中さんは「私の好きな熊野地方で栄え、そして復活した熊野修験に興味を持ち、参加しながら作品を作った」と制作に至った経緯を説明。
田中さんの友人で、絵画・アニメーション制作を担当した畔蒜(あびる)多恵子さんは「ダンテと詩と音楽と落語、そして修験をミックスして監督の世界が展開されていく。楽しんでください」と呼びかけた。
髙木住職は「いろいろな宗教が重なり合って形成されているのが熊野信仰であり熊野修験。そして熊野信仰は開放的であり、神・仏の前では全ての人が平等であると、上皇・法皇から貴族、武士、庶民に至るまでありとあらゆる人を受け入れてきた」。
修験者にとっては熊野という所は最高の霊場であり聖地であったとし、修験者が山に分け入ることによって精神的にいったん死に、そして修行を終えた後は仏となるといった「擬死再生」という概念から、「よみがえりの地」といわれるゆえんの一端であると説明した。
ロシアのウクライナ侵攻や、バス内への置き去りにより幼い子どもが命を落としているといった現状に触れ「世知辛い世の中だが、修行を通じて人に対する思いやり、優しさ、慈しみの心といった本来の人間性、人間らしさをよみがえらせ、また、そういう御心(みこころ)を知っていただき、平和で明るく、和やかな世の中であることを願うばかり」。
「35年間、山に分け入り『山林抖擻(さんりんとそう)』をしてきたが、多くの方からのお力添えとご加護を頂いて今日を迎えることができた。上映を通してそういう部分も見ていただければ」と述べ、田中さんや関係者、来場者らに対し感謝を伝えた。
(2022年9月25日付紙面より)
オミクロン株対応ワクチン (紀宝町 )
紀宝町は、新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチン接種を26日(月)から開始する。初回(1、2回目)接種が完了した12歳以上で、最終接種から5カ月以上経過している人が対象。1人1回接種できる。
使用するオミクロン株対応ワクチンは、12歳以上がファイザー社製、18歳以上はファイザー社製かモデルナ社製を選ぶことができる。町では接種期間を来年3月31日まで延長した。
現在は▽既に4回目接種の対象者(60歳以上、基礎疾患を有する人、医療従事者など)のうち、4回目を未接種の人▽3回目接種が終了し、5カ月以上が経過した12歳以上▽3回目接種券を持っている12歳以上▽4回目接種を従来型ワクチンで接種した人(5回目接種)―が対象となっている。
3回目接種が終了した18~59歳の対象者には順次、接種券を発送する予定で、町生涯学習センター「まなびの郷」での集団、町内医療機関での個別のいずれかで接種できる。
集団接種は10月9日(日)から始まる予定。集団・個別とも、町ワクチン接種専用ダイヤル(電話0735・33・0363)で予約を受け付ける。
町では「予約開始日は電話がつながりにくくなりますが、必ず予約ができるように予約枠を設定しています。ご理解をお願いします」としている。
(2022年9月25日付紙面より)
那智勝浦ロータリークラブ
那智勝浦ロータリークラブ(庵野了嗣会長)は22日、会員でもある後誠介・和歌山大学客員教授の著書「熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地」を、那智勝浦町と太地町の教育委員会に寄贈、役立ててもらえるよう呼びかけた。
かつて新宮市の教育長を務めた人物から「良い本だからぜひ寄贈を」と求められ、実施に至った。那智勝浦町には90冊、太地町には10冊を手渡した。庵野会長と森岡一朗幹事が両教育委員会に出向いた。
那智勝浦町教育委員会の岡田秀洋教育長は「地域のことを知る、ふるさと教育を進めるのは大切。こういうものを教材にするなどの取り組みを進めている。学校にも紹介し、子どもが見られるようにしたい。地域の成り立ちや生活を一冊にまとめ、分かりやすく書いた本は少ない。ありがたい」と感謝を伝えた。
森岡幹事は「郷土愛を培ってもらえるよう、頑張ってほしい。高齢の方で興味を持つ人もいる。高齢者向けの施設で置いてもいいかも」などと勧めた。同町教委は町内の小中学校に配布するほか、町全体で活用できそうな場所を検討して置きたいとの考えを示した。太地町教育委員会では、不在の宇佐川彰男教育長に代わり、漁野文俊教育次長が受け取った。
庵野会長は「地元のことが詳しく書いてある。子どもが喜んでくれることが一番ありがたい」などと述べた。
(2022年9月25日付紙面より)
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒562人)で22日、文化祭「第29回彩雲(あやぐも)祭」が開かれた。行事テーマは「今できることを全力で!~『協力』が成功と楽しさの源~SDGsとともに」。文化クラブによるステージなどがあり、生徒たちがさまざまな催しを楽しんだ。
昨年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響で規模を縮小し、文化祭と体育祭を1日で実施したため、文化祭を単独開催するのは2年ぶり。
学校行事にさまざまな規制がかかる中「一度きりの高校生活で、今できる最大限のことを全力でやり遂げたい。持続可能な開発目標(SDGs)の17のゴールに向け、自分たちにできることを考えたい」との思いを込めて開催した。
オープニングセレモニーでは、玉置七彩生徒会長が「1、2年生は初めての文化祭。手探りながら、全校生徒が一生懸命準備に携わってきた。思いっきり楽しみ、自己の成長の場にしましょう」とあいさつ。尾﨑玄多・行事企画運営委員長は「今年は文化祭を1日開催ができて本当にうれしい」と語り、動画を通じて文化祭を楽しむための七つのルール▽体調が悪いときは無理せず参加を見合わせる▽大声を出さず、3密を避ける▽教室は常に換気―などを呼びかけた。
文化部のステージでは、吹奏楽部が今年のコンクール曲「生命(いのち)のアマナ~ウインド・アンサンブルのために~」などを演奏。放送部による星新一の「ある夜の物語」、詩「道程」の朗読、琴部の「虹」「千本桜」の演奏、書道部のパフォーマンスなどが会場を盛り上げた。
午後には各クラス、生徒会、委員会によるアトラクションや展示があり、SDGsに関連した企画が多く見られた。
(2022年9月23日付紙面より)
すくすくワークショップ (那智勝浦町 )
那智勝浦町地域子育て支援センター(戸塚ゆう子センター長)は12、13の両日、同町福祉健康センターで「すくすくワークショップ」を開いた。町内で子育て中の親子らが参加し、センサリーボトルを作った。
センサリーボトルとは透明の瓶にオイルやビーズ、ラメ、カラーセロハンなどを入れ、ゆっくりと揺らめく様子を楽しむおもちゃ。「安らぎのジャー」「魔法のビン」とも呼ばれる。
この日はペットボトルと洗濯のり、カラフルなジェリービーズなどを使って工作。子どもたちは好きな色のフェルトボールを選んでペットボトルに入れ、浮いたり沈んだりする様子を不思議そうに眺めた。
南知希君(3)と参加した母親の準子さんは「色がきれいで、集中して作ってくれたと思う。最近はおもちゃだけではなく、他の子どもたちに興味を持ち始めたようで、遊んでいるところを近くに見に行ったりしています」と話していた。
ワークショップは未就園児と保護者を対象に、毎月実施している。10月は18日(火)と19日(水)にハロウイーンの工作をする予定だ。申し込みは同センター(電話0735・52・0224)まで。
(2022年9月23日付紙面より)
新宮警察署と串本海保署 (串本町・古座川町 )
新宮警察署(田原正士署長)と串本海上保安署(内海浩一署長)の合同による災害パネル展示が21日、串本町文化センターと古座川町中央公民館の2会場で始まった。いずれも30日(金)までの実施で、日々の防災意識を高める一助として目を通してもらえればとしている。
旧串本警察署と串本海上保安署の取り組みを継承しての実施で、地域住民のさらなる防災意識の向上を図ることが目的。展示物は写真や啓発ビラなどで、警察活動や海上保安活動の様子や同活動越しに見る被災地の状況を伝えて普段の防災意識を高める構成としている。
串本海上保安署のパネルの内容は阪神淡路大震災以降の主だった大規模災害における活動紹介で2会場ともほぼ共通。新宮署のパネルの内容は2会場で異なっていて、串本町会場は令和元年台風19号と平成30年西日本豪雨と平成23年紀伊半島大水害、古座川町会場は同大水害と東日本大震災となっている。
合同の災害パネル展実施は2018年に旧串本警察署と串本海上保安署が取り組んで以来約4年ぶり。趣旨が近しい連携として約2年前に合同で津波防災の街頭啓発をした経緯もあり、こちらも災害パネル展実施期間の初日にオークワ串本店前、29日(木)に同古座川店前で継承実施するとしている。物資は災害時の海上保安活動の概要と津波緊急避難時の確認事項や非常持ち出し品を伝える啓発ビラなど。ビラは100セットを準備し新宮警察署と串本海上保安署の各署員5人で手分けして住民へ配り、その説明で防災意識を促した。
新宮警察署警備課の谷英人課長は「防災週間から少し遅れてしまったが、今は台風シーズンに当たるので何とか9月中には実施し皆さんの防災意識を高めたかった」とこれら啓発活動実施の思いをコメント。同時に串本海上保安署との関係を幅広く深め、両署連携による災害対応力を強化していければと両署の内部的な狙いも見据えて語った。
(2022年9月23日付紙面より)
「農地バンク」の活用呼びかける (御浜町 )
高齢化や担い手不足で耕作放棄地が課題となる中、「年中みかんのとれるまち」がキャッチフレーズの御浜町は、町内でかんきつを栽培する新規就農者を募っている。
「農地バンク」への支援も行っており「現在、農地バンクには売りたい、貸したい農地がたくさん登録されており、これらの農地を耕作していただける方を募集しています。兼業などで農業をしたい方は、ぜひご活用ください。農地の売買や貸借の交渉も役場がお手伝いさせていただきますので、お気楽にご連絡ください」と呼びかけている。
農地バンクは、農地の売買、貸借を希望する所有者などから申請のあった情報をホームページや窓口で公開し、農業を営むことを目的として、農地の利用を希望する人に紹介する制度。
町ではホームページを開設し、登録されている農地や農地登録までの流れなどを紹介している。「御浜町農地バンク」で検索を。問い合わせは農林水産課(電話05979・3・0517)で受け付けている。
町では、みかん農家としての就農や移住希望者に向けた新しいパンフレットを作製。Iターン、Uターンでみかん農家になった就農者や、移住者の声を紹介した。
役場1階町民プラザではみかん農家のインタビュー映像を流し、町長室前にも紹介パネルを設置しており、農林水産課の担当職員は「かんきつ栽培に興味のある方はご相談ください」と話している。
(2022年9月23日付紙面より)
新宮ジュニアレスリングクラブ
抽選で参加者決定 (新宮市 )
新宮市役所で15日、JR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」車両見学会の抽選会があった。市職員らが厳正なる抽選を行い、見学者を決定した。抽選結果については、近日中に返信はがきにて通知される。
10月3日(月)から紀南コース2年目の運行を開始する同列車。運行開始初日は、午後9時15分に京都駅を出発。翌4日(火)午前9時37分に新宮駅に到着する。新宮駅発の初便は5日(水)午前9時50分。新型コロナウイルス感染症の状況により変更となる場合があるが、来年3月8日(水)までの間で夜・昼行それぞれ36本の運行を予定している。
運行開始に先立ち、JR西日本では試運転期間中の1日(土)にJR新宮駅で車両見学会を企画。100人の定員で希望者を募ったところ、県内外から201通565人(往復はがき1通につき4人まで申し込み可)の申し込みがあった。なお、同列車受入協議会構成自治体からの応募数と見学希望者数は▽新宮市98通297人▽那智勝浦町16通40人▽古座川町1通4人▽串本町8通21人▽すさみ町2通6人―となっている。
2年目の運行決定に当たり、津越紀宏・商工観光課長は「10月から来年3月にかけての約半年間、『銀河』が昨年に引き続き再度当地方に来
てくれる。当地方の魅力を発信し、多くの人に周遊してもらえることを期待しています」。
車内見学会の開催に関しては「地域の人に『銀河』を身近に感じて興味を持ってもらえれば。また、機会があればツアーにもご参加いただければ」と話していた。
(2022年9月17日付紙面より)
NHK「こころの時代」 (18日、Eテレで放送予定 )
NHK・Eテレの「こころの時代 宗教・人生」の第6回が18日(日)に放送される。シリーズ最終となる6回目は「慈悲の実践」をタイトル(テーマ)に放送。明治時代に「大逆事件」に連座し絶命した、新宮市大橋通の淨泉寺の12代住職・高木顕明(たかぎ・けんみょう)師が紹介される。
現在、放送中のシリーズ「歎異抄(たんにしょう)にであう 無宗教からの扉」は、日本人の多くが自らを「無宗教」だとする現代において、鎌倉時代後期に書かれた日本の仏教書「歎異抄」のメッセージを読み解く内容となっている。
顕明師は新宮出身の医師・大石誠之助(1867~1911年)らと共に非戦、平和を唱えて活動していたが、明治天皇暗殺を企てたとして1910(明治43)年に連座(「大逆事件」)。死刑判決に処されたが後に無期懲役となった。
事件を受け、同派から除籍の処分を付された顕明師は、無念の中、14(大正3)年6月24日に秋田監獄で自ら命を絶った。96(平成8)年に同派から処分が取り消され、名誉が回復されている。
番組制作に当たって、同市在住の郷土史家・中瀬古友夫さんが資料を提供。NHKの取材に応じた同寺の18代住職・山口範之さんは「師の非戦と平等といった思いに今こそ耳を傾けてほしい。番組を通して、顕明師の人生と願いに触れていただければ」と視聴を呼びかけている。
放送時間は午前5時から6時。再放送は土曜日の午後1時~2時を予定している。
□ □
■第6回「慈悲の実践」
「歎異抄」に流れる法然・親鸞の教えの核心である「慈悲」。それはどう実践されうるのか。明治学院大学名誉教授で宗教学者の阿満利麿(あま・としまろ)さんは、その思想を支えているのは第6条などに登場する絶対平等主義だとする。それゆえにその教えは、階級社会的秩序を求める政治権力と否応なく対じせざるを得ず、それが「歎異抄」の付録にある法然・親鸞の「流罪の記録」と結びつく。さらに明治期“大逆事件”に連座し絶命した和歌山新宮の僧侶・高木顕明の生き方を道標に考えてゆく(NHKホームページより)。
(2022年9月17日付紙面より)
文化セでデータ活用WS (串本町 )
串本町文化センターで15日、「衛星データ活用ワークショップ(WS)」が2回あり計39人が参加して昨今急拡大している衛星サービスの発想に触れるなどした。
7月27日~8月1日に和歌山市であった「南紀串本ロケットウイーク」で講師登壇した株式会社sorano me代表の城戸綾乃さん(30)によるWS。町企画課ロケット推進室を窓口にし、①午後3時~②午後6時30分~―のいずれかを選ぶ形で受講を呼びかけた。
序~中盤は講演で、城戸さんは宇宙産業の一角を占める衛星サービスにおける人工衛星の役割には大きく▽衛星測位▽地球観測▽衛星通信―の3系統があり、中でも地球観測系統でのビジネスが多彩に急拡大しているとした。
後押しとなっているのは人工衛星が搭載する観測機器の進歩に伴うデータの高品質化や多様化。実際に得られるデータをいくつか例示し、どのような形でビジネスに結びついているかを紹介して発想の筋道を伝えた。
終盤はWSで、気になる衛星データと持続可能な開発目標(SDGs)を結び付けて活用を考える過程を参加者それぞれに体験。城戸さんは衛星にできることと暮らしの中のニーズがマッチングするアイデアをいかにひねり出すかがポイントだとし、出せる限り出した先で見つけた良案の事業化を伴走型で支援するのが自社だとアピールした。
このWSを主管した株式会社USPジャパンの横澤武留エグゼクティブプロデューサーは10月12日(水)~16日(日)に実施する那智勝浦町と串本町の合同企画「宇宙ウイーク2022」を予告し、引き続きの参加を呼びかけてこの日の受講に感謝。城戸さんは「最初の一歩というところで、衛星データを使うとこんなことができるんだなーといったところや、もしかしたら自分が持つ課題が衛星データを使って解決できるかもというアイデアを持ち帰ってもらえたら」と受講した39人の今後に期待するところを語った。
同室によると今後のイベントは両町足並みをそろえて近日中に詳細を発表予定という。
(2022年9月17日付紙面より)
人気の超極早生温州ミカン (JA伊勢 )
御浜町下市木のJA伊勢統一柑橘(かんきつ)選果場で、超極早生(わせ)温州ミカン「味一号」の出荷が最盛期を迎えている。味一号は、熊野地方の露地温州ミカンの中でトップを切って出荷が始まる品種で、酸味の抜けが良く、爽やかな味が特長。極早生温州ミカンより2週間ほど早く出荷できる。
味一号の中でも外観や糖度、酸度などの基準を満たしたものを「みえの一番星」のブランド名で出荷。一番乗りで出荷するミカンにふさわしく、全てのミカンをけん引する力となるようにとの願いを込めて、鈴木英敬・前知事が命名した。
御浜町、熊野市、紀宝町から持ち込まれたミカンはセンサーで糖度やサイズ別に分けられ、県内、中京圏などに出荷される。みえの一番星は味一号の3~4割ほどで、15日に初売りを迎えた。
JA伊勢によると、今年の味一号は例年通りおいしく仕上がった。今月下旬までに約1050㌧の出荷を見込んでいる。味一号は都市部で人気を集め、熊野地域の園地では苗の切り替えも進んでいるという。
(2022年9月17日付紙面より)
【第53回】秋は魚を食べよう!
朝晩が過ごしやすい気候になり、秋の気配を感じるようになりましたね。わが家も長かった夏休みが終わり、子どもの昼食や留守番の心配がなくなって、ほっとしています。秋といえば、食欲の秋! 新米やキノコなど、おいしいものが沢山出てくる季節です。中でも、私の一押しは魚! 私は秋こそ魚を食べるべきだと思っています。秋の魚はおいしい上に、栄養満点だからです。
秋の魚といえば、サンマですよね! 他にも秋にはサバやイワシと、青魚が一斉に旬を迎えます。この時期は、脂ものっておいしいのはもちろんですが、この青魚の脂こそ、栄養満点なんです。魚の中でも、青魚には「ドコサヘキサエン酸(DHA)」や「エイコサペンタエン酸(EPA)」が多く含まれます。これは、不飽和脂肪酸と呼ばれるのですが、これが血中のコレステロールや中性脂肪を減らして、血液をサラサラにしてくれます。最近話題のオメガ3ですね。これが、さまざまな生活習慣病の予防や視力の向上など、まさにいいこと尽くしの成分なのです。しかも、この成分は体内では作ることができない必須脂肪酸なので、食事から取るしかありません。子どもからお年寄りまで、積極的に食べてほしい食材です。
カツオも秋の魚ですよね。春のあっさりとした「初ガツオ」もおいしいですが、栄養面でいくと断然秋の「戻りガツオ」がお勧めです。脂がのっているので、DHAやEPAも豊富ですし、ビタミンDも初ガツオの2倍といわれています。ビタミンDは、海外では重要性が見直され積極的に補給する人が多い栄養素ですが、日本では不足しがちです。骨や筋肉を丈夫にしたり、免疫力をアップしたりしてくれます。さらに、カツオは鉄分が豊富なのも魅力。貧血気味の方にはうってつけの食べ物です。
秋鮭もお勧めの魚です。こちらも、DHAとEPAが豊富なのはもちろん、ビタミンも充分含まれています。さらに注目すべき栄養は「アスタキサンチン」これは主に甲殻類が持つ色素なんですが、これをサケは豊富に含んでいるんです。
このアスタキサンチンはいわゆる抗酸化物質! 老化を防いだり、疲労回復、ストレスの軽減、認知機能の改善にも効果があるといわれています。
いかがですか? 秋は魚を食べた方がいい!ということがお分かりいただけたと思います。しかも、魚は実は究極の時短食材でもあります! 生のままお刺し身で出すだけ! 塩をかけて焼くだけ! 魚を主菜にすれば、手間はほとんどかかりません! 手間もかからない上に、体にもいい! そして何よりこの時期は脂がのってとってもおいしい! 三拍子そろった食材なのです。
子どもの魚離れは年々深刻化しています。日本人は2001年に1人当たり年間40・2㌔の水産物を食べていたとされますが、17年には24・4㌔となり4割も消費を減らしています。最近はタンパク質の重要性が叫ばれ、肉を積極的に食べる人が多いですが、魚にもタンパク質は豊富ですし、栄養もバランス良く取れるお勧めの食材です。ぜひこの秋はおいしい魚を味わってみてください!
(2022年9月17日付紙面より)
勝浦八幡神社例大祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)の例大祭・本宮が11日に営まれ、3年ぶりの神輿(みこし)渡御に港町である同町は活気づいた。晴天の秋空の下、奉納行事や神輿が海に飛び込む海中神事を一目見ようと、多くの観客が神社や港に集った。
おととし、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から規模を縮小し斎行された同例大祭。今年は「子供神輿」と「子供手踊」、大黒天輿以外は例年通り実施した。
例大祭式典には、熊野速玉大社の上野顯宮司や坂井與己祭典委員長など、祭り関係者らが参列した。
午後0時半から渡御祭式典が営まれた。餅つき、徒士(かち)山伏、獅子神楽、舟謡(ふなうた)の奉納後、威勢よい掛け声とともに、神輿が神社を出発。地区内を練り歩き、御旅所の勝浦市場で奉納行事を営んだ。
祭りのクライマックスを飾る神輿海中神事は夕暮れの迫った「いざかた船溜(ふなだまり)」で行われた。愛友会舟、商工会舟、赤舟、白舟、黄舟の櫂伝馬(かいでんま)が船溜を力強くこぎ回り、会場を盛り上げた。
大勢の人々が見守る中、勢いよく神輿が海中へ飛び込み、観客からは歓声や拍手が送られた。
神輿は「御神船」に乗せられて海路で神社へ還御。夕暮れの中、「舟謡」が響き渡り、勝浦港に連なる船の列が幻想的な光景を生み出した。その後、還御祭式典が行われた。
コロナ禍以前も例大祭を見物に訪れているという白浜町在住の40代女性は「この祭りは活気がある。色鮮やかなのも好きです。3年ぶりに来られて良かった」と話した。
例大祭を終えた髙橋宮司は「毎年やっている祭りができなくなるということを経験した。今年は例年通りできたことがありがたく、喜びを感じている。来年以降も感染症対策に注意しながら斎行したい」と話した。
□ □
前日の10日午後5時から宵宮祭があった。式典後は、舟謡勝謡会らが神輿会の宿(元新宮信用金庫)に出向き、舟謡を歌う「うたしらべ」が行われた。
各団体のそれぞれの宿も関係者らでにぎわった。その後、地回りを終えた勝浦獅子神楽保存会が神社で獅子神楽を奉納した。
(2022年9月13日付紙面より)
4年ぶりに「稲刈りの集い」 (丸山千枚田 )
日本の棚田百選に選ばれている熊野市紀和町の丸山千枚田で11日、4年ぶりに「稲刈りの集い」があった。オーナー224人をはじめ丸山千枚田保存会、一般ボランティアなど333人(主催者発表)が貴重な歴史的遺産で収穫の秋を満喫した。
丸山千枚田は1601年に2240枚の田があったと記録されるが、1990年ごろには530枚まで減少。93年に丸山千枚田保存会が結成され、保全活動により現在は1340枚まで復田した。日本一の棚田景観とも呼ばれ、農林水産省の「つなぐ棚田遺産」に認定され、ユネスコの「未来遺産」にも登録されている。
熊野市ふるさと振興公社が96年度からオーナー制度を採用し、今年は137組789人の応募があった。特典として新米10㌔と地域の特産品が贈られる。
稲刈りの集いは2019年以降、悪天候や新型コロナウイルスの影響で中止になっていた。この日、参加したオーナーは、これまでの雨でぬかるんだ田に足を取られながらも、鎌を使って今年から採用した三重県育成品種「なついろ」の稲穂を一束一束刈り取った。
相模女子大学の学生は「すごく大変だけど、絶景を見ながらの作業なので楽しい」と話し、慣れない手つきながらも黄金色に染まった田んぼで汗を流した。1時間ほどで刈り終え、束にした稲をさがりに掛けていった。同大は2009年度の「田舎で働き隊」をきっかけに毎年参加しているという。
(2022年9月13日付紙面より)
会員ら古座川食材ツアー (全日本・食学会 )
全日本・食学会(村田吉弘理事長)が9、10日の2日間、古座川町内で「古座川食材ツアー」に取り組み住民が日頃自然から得ている恵み(=食材)に注目するなどした。
この学会は、日本固有の食文化を世界に向けて一層発展・振興する趣旨で結成された団体。京都で老舗料亭「菊乃井」を営む村田理事長(株式会社菊の井代表取締役社長)をはじめとする国内の一流料理人らが役員を務め、大手食品メーカーの協賛を得て趣旨の達成を図っている。
その活動の一つにあるのが地域に根差す食文化をしっかりと受け継ぐそのまめまめしい生産者を顕彰する制度「bean47」で、2019年度に1回目の選定があり9個人1団体が認定を受けた。その1団体が古座川町で、顕彰委員会委員でもある同学会の木村周一郎理事(53)=株式会社ブーランジェリーエリックカイザージャポン代表取締役=の推薦により生産者賞を獲得。個人ではなくまち全体が固有の食文化を宿している観点からの選定で、同学会はその食材を「古座川ジビエ」と総称するがジビエ肉にとどまらず住民が自然から得る食材全般を指してそう捉えている。
同ツアーは総会における表彰を起点にした多角的な活性化支援の一環で、同学会関係者が生産状況も含めて食材をじかに知る機会。木村理事を世話役として11人が来町し、ジビエ肉、ウナギ、アユ、エビ・カニ類などの食材をどのように得ているかを見学し、他にニホンミツバチの蜂蜜(和蜜)やユズおよびその加工品などの紹介も受け、それらを取り入れた調理と試食に臨んだ。併せてこれら恵みをもたらす自然にも目を向けるきっかけとして滝の拝や一枚岩など象徴資源も視察した。
現地世話役は町地域振興課が主に対応し、生産者と同学会をつなぐ支援に努めた。木村理事は会員が直接的に認知することを同ツアーの狙いとして見据え①同学会の注目を通して現地に食文化への誇りを持ってもらうこと②同団体の広報力により現地の生活が豊かになること―の2点につながることを今後に期待。「大切なのは認知の先でレストランなどエンドユーザーと生産者をいかにつなぐか。その筋道で古座川町の関係人口や交流人口が増えればまちは潤うし、都会に求める刺激が届くことで住民はこの地域でやっていける。そのようなスパイラルへと持ち込めれば」と思い描く成果を語った。
(2022年9月13日付紙面より)
「丹鶴ホール」でコメディー・クラウン・サーカス (新宮市 )
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で11日、「プレジャーBのコメディー・クラウン・サーカス」があった。抽選により選ばれた親子連れなど約500人が来場。クラウン(道化師)たちが繰り広げる舞台に、来場者らは笑顔で大きな拍手を送った。
丹鶴ホールプロモーションチーム「ICOLE(いこれ)」(文化複合施設自主事業実行委員会、髙由香委員長)主催。「コロナ禍で気持ちも疲弊する中、明るいイベントで笑顔になってもらいたい」との思いからクラウンたちによるコメディーサーカスの開催を企画した。
プレジャーBの「クラウンK」さんは、病院で闘病中の子どもたちに「喜び・夢・笑い・希望・愛」を届ける「ホスピタルクラウン協会」の会長も務めている。
イベント参加に当たっては往復はがきでの事前申し込みを募ったところ、定員500人のショーに対し248通856人、ジャグリング・バルーンアート体験には30人の定員に対し67通108人の申し込みがあった。
サーカスショーでは、6人のクラウンたちが舞台上を所狭しと駆け巡り、ジャグリングやバランス芸、パントマイム、マジック、アクロバットなどを次々に披露。クラウン同士のコミカルなやりとりや派手なアクションに、観客席からは笑い声と手拍子、大きな拍手が起こった。
ジャグリング・バルーンアート体験では、抽選で参加の機会を得た子どもたちが、クラウンたちに教わりながら風船で犬や花を作ったり、ボールや箱などを用いたジャグリングを経験。会場は子どもたちと、子どもたちを見守る保護者らの笑顔で包まれた。
(2022年9月13日付紙面より)
那智谷大水害遺族会が追悼式 (紀伊半島大水害から11年 )
当地方に甚大な被害をもたらした紀伊半島大水害(2011年)から11年。各地で同水害の犠牲者を追悼するための慰霊祭や式典などが営まれた。本紙エリアでも新型コロナウイルス感染対策を講じつつ、遺族や関係者らが故人をしのび、防災への誓いを新たにした。
4日未明、那智勝浦町井関の紀伊半島大水害記念公園では那智谷大水害遺族会(岩渕三千生〈みちお〉代表)による追悼式があった。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から岩渕代表のみが参加し、死者・行方不明者数と同じ29個のLEDキャンドルに祈りを込めて明かりをともした。
午前1時、岩渕代表は慰霊碑と明かりがともされたキャンドルを前に、静かに祈りをささげた。
今年の追悼式は参列の呼びかけを行わなかったが、自発的に集まった遺族ら約30人は慰霊碑に手を合わせて故人をしのんだ。
水害で母と姉を失った新宮市の寺本圭太さん(33)は「何年たってもつらさは変わらない。各地での災害発生のニュースは他人事には思えません。今日は父と一緒に来た。昨年8月に誕生した長女が無事、1歳を迎えることができたことを母と姉に報告しました」と話した。
岩渕代表は追悼式やおいの故・紘明(ひろあき)さん=当時(15)=について「あの時の状況がフラッシュバックする。何年たとうが僕らの思いは変わらない。『見守っていてよ』という思いで毎年、追悼式を行っている」。
災害や今後については「災害を二度と起こさないためにも、この行事を続けていかないといけない。他人を当てにせず、自分の命は自分で守らなくてはいけない」と思いを語った。
(2022年9月6日付紙面より)
1年生がキャリアゼミ (新宮高校 )
新宮市神倉の県立新宮高校(東啓史校長)で8月31日、キャリアゼミナールがあった。近畿圏内のさまざまな大学や専門学校から講師を招き、19の講座を開講。1年生200人が興味のある学部・学科や希望の進路に合わせて、対面やオンラインで熱心に耳を傾けた。
理学・工学系講座では、三重大学工学研究科の林田祐樹教授が「ヒトの脳とコンピュータとをつなぐ」と題して講話。体内の電気信号を測り、応用することで筋ジストロフィーやてんかんによる症状の緩和や網膜神経模倣デバイスによる人工視覚が可能となるとし「医学で人を幸せにすることもできるが、景色などの情報を脳が分かる電気信号に変換する情報工学にしかできないこともある」と自身の研究分野の魅力を語った。
看護系講座では和歌山県立医科大学保健看護学部講師の辻あさみさんが、近代看護教育の母フローレンス・ナイチンゲールの功績や看護師の仕事について語った。受講した坂地壮さんは「母と兄が看護師なので、自分も後を追いかけたい」。江﨑颯さんは「自分も母親が看護師。進路についてはまだ悩んでいるが、今日の講義で、環境を整え、人としての関わりを大切にすることで患者さんの人生を変えることができるというところが印象に残った」と話していた。
(2022年9月6日付紙面より)
JCLツアー第7戦実施 (古座川町 )
三菱地所ジャパンサイクルリーグ(JCL)プロロードレースツアー2022第7戦「キナン古座川ロードレース」が3日に古座川町内であり、リーグ参加10チームの選手49人が町内設置の周回コースで熱戦を繰り広げた。
JCLは地域創生をキーワードにし2021年、地域密着型のプロチームが一丸となって始めたサイクルロードレースリーグ。今季は10チームの選手が全国各地に競技の舞台を求めて対戦を重ねている。
古座川町を競技の舞台とするのは今回が初で、地元団体で結成する古座川ロードレース実行委員会(須川陽介実行委員長)が受け皿となって大会を運営。母体のJCLは昨今の情勢を鑑みて地域創生要素の観戦エリアを設けずレース以外のイベントを見送る判断をし、代替としてインターネットによるライブ配信の視聴を呼びかけて実施へとこぎ着けた。
心配された台風の影響は届かず、ほどよく雲がただよう晴天の下で開会を迎え、会場地最寄りのキナンレーシングチームから順次紹介を受けて競技にエントリー。道の駅一枚岩前をスタート・ゴール地点とし、西前啓市町長による号砲で一斉に出走した。
舞台は下露~小川間の町道を経由する全長41・6㌔の周回コース。選手は3周(124・8㌔)で競い、「Team UKYO SAGAMIHARA」のアール・ネイサン選手が3時間11分45秒でゴールを駆け抜け1着となった。本紙関係ではキナンレーシングチームの山本大喜選手が宇都宮ブリッツェンの増田成幸選手とともにネイサン選手と終盤の接戦を繰り広げ、僅差で3着となった。リザルト(競技結果)の詳細はJCL公式ホームページを参照。
同リーグは昨年開始ながら目下、国際自転車競技連合(UCI)加盟を目指してまい進するさなか。古座川町内はロングコースが設定できる国内でもまれな環境と評価されていて、この加盟による格上げが成り今後も誘致が続けば世界規模の競技の舞台を宿すこととなる。西前町長は伴う通行規制への町民協力を見据えつつ、この誘致を形にした実行委員らの引き続きの頑張りを期待した。
(2022年9月6日付紙面より)
大水害献花式で誓い新た (新宮市 )
新宮市は4日、同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道 熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で犠牲者追悼献花式を営んだ。田岡実千年市長、向井雅男副市長、速水盛康教育長、榎本鉄也議長をはじめとした市議会議員、市幹部職員、地域住民ら関係者約30人が参列。犠牲者の冥福を祈るとともに、災害に強いまちづくりを誓った。
参列者たちは、同市で犠牲になった14人の名前が刻まれた慰霊碑の前で黙とうをささげ、白い菊を献花。故人をしのび、静かに手を合わせた。
田岡市長は「災害でお亡くなりになられた方々の無念の思いと、ご遺族の皆さまの深い悲しみを思うと今も哀惜の念に堪えない」と追悼。
市では災害後、国、県、市民からの多大な支援と励ましを得て復旧・復興を進めるとともに、防災対策を見直し、災害に強いまちづくりに努めてきたと述べ「これからも紀伊半島大水害を片時も忘れることなく、市民の皆さまが安心・安全に暮らすことができるまちを築いていく」と決意を新たにした。
同道の駅に隣接する「かあちゃんの店」は同水害で店が全壊。従業員だった女性が自宅で亡くなった。同店を経営する竹田愛子さん(81)は「亡くなった店のスタッフにみんな元気でやっているよと報告した。お店が続いていけるようにともお願いしました。若い人が続けてくれるとうれしい。災害の記憶も伝えていかなければ」と話していた。
(2022年9月6日付紙面より)
緑丘中学校で防災集会 (新宮市 )
新宮市立緑丘中学校(宮本雅史校長、生徒230人)で2日、防災集会があった。生徒たちは宮本校長の講話に耳を傾けるなどして防災意識を高めた。
2011年3月の東日本大震災、9月の紀伊半島大水害などでは、自然災害によって多くの命が奪われた。11年が経過し改めて災害を教訓に、残された者として「日々の生活への感謝」「防災」などについて考える機会にと毎年実施。新型コロナウイルス感染症対策として学年ごとに分かれて行われた。
3年生92人の集会では、宮本校長が地震の原因や、災害への備えについて語った。地球は高温の液体からできており、その上には流体と固体の中間となるマントル、陸地とつながるプレートの3地層からできているとされていると説明。マントルによって流され曲がった最上部のプレートが、跳ねるように動くことで地震が起こり、津波が発生する原因をつくりだすことを伝えた。
宮本校長は南海トラフ巨大地震にも触れ▽想定にとらわれるな▽最善を尽くせ▽率先避難者たれ―の津波避難3原則を挙げ「『自らの命は自ら守る』。一人一人が考えて行動できる人になってほしい」などと呼びかけた。
講話を聞いた生徒会長の松根瑠奈さんは「具体的な話が聞けて勉強になった。命を守ることを考え、他の人たちが自分の姿を見て避難してくれる行動ができるようになれれば」と話していた。
(2022年9月4日付紙面より)
大学生がマーケティングを企画 (武者修行プログラム™ )
大学生向けグローバル研修を展開する株式会社旅武者(遠藤まさみ代表取締役)=東京都=は1日、那智勝浦町内で「地方創生イノベーション武者修行プログラム™」を開始した。関西や関東方面などから集まった大学生20人が参加。14日(水)までの期間、「世界遺産×ビーチ×温泉×道の駅『ひと・もの・こと』がつながる新名所をつくれ!」をテーマに、同町の「道の駅なち」を活動拠点として、マーケティング施策を企画・実施する。
同社はこれまでにも、町内でプログラムを実施しており、町の目玉となる名産品や生マグロを利用した新商品開発、「紀の松島」乗船中の満足度向上や集客増を目指すプラン作成などにも取り組んできた。
今回は地元住民に人気の産直市場や世界遺産、ビーチ、温泉と直結する「道の駅なち」の「豊富なコンテンツがありながらも生かし切れていない」という課題に挑む。学生は誰もが立ち寄ることのできる新名所とすべく、取り組むという。
初日、学生はゲームで緊張をほぐし、自己紹介では2週間の意気込みや抱負なども発表した。同社人財紹介事業部の東条智子さんやファシリテーターの高野康さん、河野格さんがプログラムの説明などをして、その後は町内を散策した。
高野さんと河野さんは「ここまでたどり着き、この日を迎えることができたことは素晴らしい。まずは自分を認めてあげてほしい」と話した。
参加した佐藤暢輝さん(東北大2年)は「学生団体の先輩も参加していたので興味があった。今回のプログラムで人との関わり合いを持ち、自分の力を試したい。この2週間でできた一つの軸を今後の武器にして、広く活動したい」と語った。
学生らは4日に中間発表、10、11日に企画商品の販売などを行う効果測定を経て、12日に最終発表に挑む。また、5日には地域住民と共にSDGsゲームに取り組み交流する「SDGs de 地方創生+武者修行プログラム」も行う。
なお、同社によると、学生やスタッフらはアルコール消毒やマスク着用はもちろん、日々の検温や酸素濃度検査など、新型コロナウイルス感染拡大防止対策を講じている。
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■武者修行プログラムとは
株式会社旅武者のベトナム法人が運営する店舗で、全国から集まる大学生がチームを組み、新規ビジネス担当者として新商品・サービス開発やプロモーション企画を自らで考え、行動し形にして顧客に届けるリアルなビジネス体験学習プログラム。
日本国内でも実施し、地域や地域住民と関わる関係人口の増加や、武者修行修了生を中心とした関係人口ネットワークの構築を目指している。
さまざまな困難に直面する中、自分自身の成長課題に向き合い、自己変革(変態)などをしていくことで、主体的に自らの置かれた状況と向き合い、人生を切り開く力「自走式エンジン®」を積むことを目的・ゴールとしている。
同社は大学生向けの研修以外にも企業の若手向けグローバル研修や戦力人事・組織開発コンサルティング、採用支援などを行っている。
(2022年9月4日付紙面より)
くじらの博物館で防災訓練 (太地町 )
太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)で1日、防災訓練があった。稲森館長をはじめ職員36人が参加し、津波を想定した避難や誘導、火災を想定した防火訓練などに取り組み、防災意識を高めた。
訓練は「防災の日」(9月1日)に関連しての取り組みで地震や津波、火災などの災害に対する防災意識を高め、しかるべきときに取る行動の統一と情報の共有を図ることを目的に実施。避難器具の点検などは定期的に行われているが、大規模な防災訓練は昨年に続いて2回目となった。
集合した職員らを前に稲森館長が「昨年に和歌山県を震源地とする地震が起こった際には、冷静に対応することができた。この訓練でも緊張感を持って安全に取り組んでいきたい」とあいさつ。東海・東南海・南海の3連動地震による津波の発生を想定し、避難および誘導訓練に取り組んだ。
職員たちは来館者役と誘導役に分かれ、同施設裏手にある浅間山(せんげんやま、海抜約37㍍)へ。津波到達時間内の避難を最終目標に定めながら迅速に避難行動を行った。3連動地震による同町の想定は津波到達時間7分、最大津波高6㍍、平均浸水2・3㍍となっている。
同町役場総務課の山下真一企画員は「昨年も実施している中で、非常に落ち着いて誘導することができていました」と講評。「地震や津波はいつ起こるか分からない。悪天候などの状況を考え、時間を気にしながら今後の防災活動に生かしてください」と呼びかけた。
火災を想定した訓練では、新宮防災(新宮市三輪崎)、役場、同施設自衛防災隊長の築紫健児さんらが館内、屋外、水族館に分かれて屋上救助袋の開け方や消火器の使用方法、防火シャッターの取り扱いなどについて講義。参加者は真剣な表情で説明に耳を傾け、避難・消火器具についての知識を得る機会とした。
稲森館長は「所要時間や誘導方法などの動きを確認することができる貴重な機会でした。訓練は繰り返し行うことが大切。今後も継続して取り組み、対応を体得していければ」と話していた。
(2022年9月4日付紙面より)
荻田和秀医師を招いて講演会
産婦人科を舞台とした漫画「コウノドリ」の主人公、鴻鳥サクラのモデルとなった産婦人科医・荻田和秀さんを招いての講演会が熊野市民会館であった。「奇跡のすぐそばにいること」をテーマに、荻田さんは「妊婦さんに席を譲るだけで幸せな社会になる。皆さんも子育てに関わり、子どもに触れて幸せな人生を送ってほしい」と語りかけた。
紀南地域母子保健医療推進協議会が主催。りんくう総合医療センターに勤務する荻田さんは講演で「産婦人科医の理想像が鴻鳥先生。私はモデルでなく、設定の一部ですよ」と話した上で、協力したドラマ「コウノドリ」の舞台裏を交えながら話を進めた。
出産まで一度も産婦人科にかからない未受診妊婦(飛び込み出産)の調査で、「経済的問題」が3分の1以下に対し「知識の欠如」「妊婦に対する認識の甘さ」「家庭事情」などが6割を占めたことを挙げ、ドラマのセリフ「貧しいってのはお金がないだけじゃないから。教育が受けられない、情報が得られない、家族や仲間の縁に恵まれない。その結果が駆け込み出産だ」を紹介した。
第4話「小さな命 あなたを救うのは私」で取り上げた早産に関し「年々、早産が増え、今は8%ほどになっているが、日本は周産期死亡率が世界で一番低い」と語った。
第5話「未成年の妊婦と特別養子縁組」のシーンを基に里親制度を説明。「この回は神回との評価を受けた」と明かし「私たちの仕事は『おめでとう』と言える。産婦人科医は子どもの安全を考えて見えないところで努力している」と伝えた。
産後に分泌される「オキシトシン」について「社会性、多幸感、寛容性を増し、育児行動を促進する。赤ちゃんも子育てに反応し、愛情が注がれるとオキシトシンが増える。育児は、する側、される側も気持ち良く、オキシトシンを通して新たな社会性が構築される」と話した。
「分娩(ぶんべん)は育児の第一歩」。産科医・鴻鳥サクラの「出産という奇跡の後には現実が続いていく。赤ちゃんと一緒に現実を生きるのは僕たちではない」を紹介し、子育てには地域のおばあちゃん、おじいちゃんの力が必要と締めくくった。
(2022年9月4日付紙面より)
例大祭に向け事故防止協議会 (熊野速玉大社 )
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」=10月15日(土)、16日(日)=に向けた事故防止協議会が1日夜、同大社双鶴殿であった。大社・祭り関係者、新宮警察署職員ら約30人が出席。早船競漕(きょうそう)を含め、従来に近い規模で斎行していくことなどを確認した。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を回る「神輿渡御式」からなる祭り。
2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として2016年3月、国の重要無形民俗文化財(重文)に指定された。
例大祭は2020年以降、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑み、渡御式の参列規模を縮小し、御船渡御に伴う早船競漕を中止とするなどして斎行。
今年も大神輿の代わりに神幸船神輿を使用の上、神輿渡御のルートを昨年同様縮小し、神馬渡御式のルートも同様に縮小。直会(なおらい)を中止とするなどの感染対策を講じる計画としているが、早船競漕の実施は実に3年ぶりとなる。
なお、神輿奉仕員と御船出船区こぎ手は、16日に簡易検査キットを使用して検査を実施。万が一陽性者が出た区は出船を控えるとする。
上野宮司は「コロナ禍ではあるが、伝統ある神事をできる限り伝えていきたい」と述べ、感染拡大や事故防止に向けた万全の体制に対して協力を呼びかけた。
(2022年9月3日付紙面より)
全小中学校に「電子黒板」導入 (紀宝町 )
紀宝町は町内の全小学校に計34台、矢渕、相野谷両中学校に計13台の合わせて47台の電子黒板を導入。2学期が始まった1日から各教室で使用されるようになった。
町は2020年度、GIGAスクール構想により、全小中学校に高速大容量校内LAN、全児童生徒に計796台、教師用に計65台の学習用端末(ノートパソコン)を整備。さらなる学習意欲、理解力向上、授業効率化を図るため、本年度、全普通教室に電子黒板を導入した。
電子黒板は65型カラー液晶で、タッチパネルにも対応。児童生徒のノートパソコンとも連結し、指などで書いた文字や図形などを電子的に変換することができる。
従来の黒板では不可能だったパソコン画面、資料、写真などを映し出すことができ、それらを拡大して見せることも可能。書き込んだものをデータとしてパソコンに保存でき、授業の録音もできる。
2学期から運用できるよう夏休み期間中に整備し、2日間にわたり教職員の研修会も開いてきた。
町立鵜殿小学校(前田幸利校長、児童229人)は各教室に計10台あり、1日のオンライン始業式に続き、2日の授業から活用を開始した。4年生算数のそろばん授業では、計算の仕方を動画で解説。児童たちは映像を見ながら玉をはじいた。
西章教育長は「ICT(情報通信技術)を活用して主体的、対話的、協働的、深まりのある学びの授業が可能となった。電子黒板はノートパソコンに入力した最大9人の意見を映し出すことができ、他の人の意見も見ながら学習することが容易にできる。勉強に集中する環境が整い、授業の発展性も感じる。個々に応じた授業ができる大きなツール。今後も積極的に活用してもらいたい」と話していた。
(2022年9月3日付紙面より)
10月末まで体験提供継続 (南紀串本観光協会 )
南紀串本観光協会(島野利之会長)が2日、遊泳期間が終了した橋杭海水浴場の資材撤去に取り組んだ。これによりビーチハウス・ラパンで提供する各種アクティビティーは、橋杭ビーチ前の海域全面で広々と利用可に。この状態で10月末のシーズンオフまで提供を継続する。
今年は新型コロナウイルス感染症予防ガイドラインを明示するなど対策を講じつつ7月2日~8月31日を遊泳期間とし、遊泳区域を示すロープブイや利用時に取るべき間隔の目安とする幅くい、有料駐車場を設置。管理者の町によると対前年比11・2%増の8749人が利用したという。
9月2日は設置した資材を一通り撤去して現状復帰。同協会の会員や職員と町産業課の職員12人がその作業に当たった。島野会長は今夏の観光動態について、海水浴も含め全体的に横ばい~上向きと評価。「秋の行楽シーズンも感染予防の対策を心がけ、よりたくさんの皆さんにお越しいただけるよう、前のめりの姿勢で考えていきたい」とコメントした。
町産業課によると田原海水浴場も同じ遊泳期間で設置し、1900人(対前年比16・1%増)の利用があったという。
橋杭ビーチで利用できる各種アクティビティーの詳細は同ハウス公式ホームページ(アドレスhttps://beachhouse-la-lapin.com/)を参照。事前予約や問い合わせは同ハウス(電話090・3356・8305〈青木寛代表〉)か同協会(電話0735・62・3171)まで。
(2022年9月3日付紙面より)
新宮市役所で防災展示
新宮市役所1階ギャラリーで防災展示「あの日を忘れない~未来へつなげる防災・減災~」が始まった。時間は午前8時30分~午後5時15分で、同ギャラリーでの展示は5日(月)まで。6日(火)~9日(金)は4階エレベーター前で展示予定。
当地方に大きな爪痕を残した2011年の紀伊半島大水害から11年。新宮市では、熊野川町を中心に13人の尊い命が奪われ、1人が行方不明となっている。家屋被害は、全壊・大規模半壊・半壊合わせて320棟以上となるなど、甚大な被害を及ぼした。
展示会場では、市災害記録DVD「紀伊半島大水害 豪雨」を上映。災害当時の写真をパネルで紹介しているほか、実際に避難所で展開する避難スペース(段ボールパーティション、銀マット使用)を再現し、避難所生活が体験できる「新型コロナ対策避難所体験コーナー」を設置。災害用トイレや非常持ち出し袋も展示している。
また、和歌山工業高等専門学校専攻科エコシステム工学専攻の西萩一喜さんが「和歌山県土砂災害啓発センター」(那智勝浦町市野々)の助言を受けながら開発したRPGの公開や、紀南河川国道事務所が所有するジオラマも展示されている。
(2022年9月3日付紙面より)