コロナ禍前の状況に近づく (新宮市 )
新宮市の高田や熊野川町で、ゴールデンウイーク(GW)の宿泊予約が好調となっている。高田グリーンランドは、コロナ禍前には至らないものの、だいぶ増えていると説明。小口自然の家は予約でいっぱいの状況という。
両施設は、新宮市が所有。高田グリーンランドは(一財)新熊野体験研修協会が、小口自然の家は(一財)熊野川町ふれあい公社が、指定管理者となり運営している。以前はスポーツ合宿の誘致やインバウンド(訪日外国人旅行)の盛り上がりなどを受け、両施設ともに多くが宿泊していたが、コロナ禍に伴い3年ほど減少していた。
高田グリーンランドの状況について、同協会の葛薮忠事務局長は「だいぶ戻ってきた」とほほ笑む。「3月、4月は外国人が増えた。オーストラリアからが多かった」と明かす。反面、国内旅行者には一抹の不安もあるという。「国の全国旅行割が6月末までだったが、4月半ばで予算が終わってしまった。今後、国内がどうなるか」と話す。「国内がそのままで、外国人も増えてくれると一番いいが」と祈るように述べた。
小口自然の家について、丸石輝三支配人は「GWは満室。コロナ禍前と同じようなところまできた」と喜ぶ。日本人と外国人の割合については「半々というところか。外国人は、オーストラリアやヨーロッパ、アメリカからが多い。東南アジアからはちょっと少ないかな。ほぼ全員が、熊野古道歩き」と語る。「コロナ禍で3年は苦しんだので、戻ってきて良かった。今後は安定してお客さんが来てくれたら」と結んだ。
(2023年4月29日付紙面より)
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男成宮司が記念講演 (那智勝浦町 )
那智勝浦町勝浦の「熊野カフェ」は22日、オープン10周年の締めくくりとして記念講演「熊野那智大社宮司が語る熊野・那智の魅力」を開催した。男成洋三宮司が、熊野・那智の魅力などについて講話し、町内外から訪れた来場者らは耳を傾けていた。
これまで、さまざまな10周年企画を実施。今回の講演は、オーナーの畑中卓也さんが、長年実現を望んできた企画だ。
講話では、男成宮司と畑中さん、南紀くろしお商工会観光振興部会長の明慶勝義さんも加わって進められた。
熊本県の社家に生まれた男成宮司。国学院大学神道科に入学し、昼間は明治神宮の実習生として研さんを積み、夜間は大学に通ったと振り返る。卒業後、昭和51年に明治神宮に奉職し、平成23年から権宮司を務めた。40年務め上げた後、熊野那智大社の前宮司退職に伴い、28年に熊野那智大社の宮司に就任した。
男成宮司は「参拝旅行やお祭りへの参列で大社を訪れたことはあるが、和歌山県とはゆかりがなかった」と振り返る。
飛瀧(ひろう)神社鳥居前の安倍晴明にまつわる看板設置と記念フレーム切手作成に尽力した明慶さんは「お世話になりました。那智山に晴明が滞在していたという文献もあるため、看板や切手に至った」と感謝した。
男成宮司は「映画や小説でご存じの方も多い。看板や切手も素晴らしい絵を描いていただき、ありがたい」と述べた。
畑中さんは京都橘大学の学生が学生証を提示すれば、町内の各店舗で割引が受けられる仕組みを整備し、未来の観光につなげる「学生版蟻の熊野詣」について「町に学生が訪れた際に、大社や熊野について、宮司から話を聞くことができれば素晴らしい」と話した。
熊野の魅力について男成宮司は「熊野信仰は現在も続いている。昔も今も熊野は遠い。遠いからこそ信仰が守られている。人気番組で大社が取り上げられるなど近年、取材が多い。外国人が来訪に刺激され、日本人が熊野の魅力を再発見しているのでは」と語った。
明慶さんは「西国三十三所一番の青岸渡寺と那智大社、滝がある。熊野参詣曼荼羅(まんだら)が最初からあるのも那智山だけ。熊野三山の中でも、那智山は憧れの場所では」。
畑中さんは「僕らはすごい場所に住んでいる。文化は人の息遣い。そんな気持ちでいないといけない」と評した。
男成宮司は「上皇が難行苦行し、何度も熊野に来たのか。現世の幸せと来世の浄土に行けるという願いを込めて来られた。それだけのものが熊野にはある」。
同町については「この町は山も海もマグロも温泉もある。滝や熊野信仰があり、大社や青岸渡寺がある。こんな町はそうそうない。いかに素晴らしいふるさとであるかを、皆さまにも知ってほしい」と締めくくった。
来場していた和歌山県観光振興課の林正尚課長は「来年は世界遺産20周年。多くの方々に、自然崇拝のこの地に足を運んでいただけるように、取り組んでいきたい」と話していた。
(2023年4月29日付紙面より)
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住崎に水中こいのぼり設置 (串本ダイビング事業組合 )
串本ダイビング事業組合(谷口勝政会長、会員24店舗)が27日、袋港沖のダイビングポイント「住崎」に水中こいのぼりを設置した。
冬の小康を経てダイビング需要が大きく弾むゴールデンウイーク期間の旬な話題として定着させている、認知度が極めて高いこどもの日にちなんだ取り組み。今年も吹流し1本とこいのぼり9本、さらに地域色としてカツオのぼり(ケンケン漁発祥地)やマグロのぼり(クロマグロ養殖地)を2㍍間隔でつないだ親ひもを準備し、この日はダイバー7人がかりで「住崎」の水深約15㍍に横一線で張り掲げた。
陸上で風を受けてたなびくように、海中で潮流を受けてたなびく様子をダイビング客に楽しんでもらい、ひいては串本町を盛り上げるきっかけとすることを狙いとしている。設置期間は5月7日(日)までで、人工物のため期間終了後は速やかに回収するという。
この取り組みを担当する谷口会長は、新型コロナウイルスに伴う規制が緩み人々の動きの活発化がこれまで以上に期待できる中、串本町への関心にいっそうの弾みをつける話題性にもなればと願いこの日の全体指揮に当たっていた。
(2023年4月29日付紙面より)
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近大新宮中が田植え体験 (新宮市熊野川町 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)の1年生33人が27日、同市熊野川町の国道168号「日足道路」下の水田を訪れ、田植え体験をした。生徒たちは丁寧にコシヒカリの苗を植え、紀伊半島大水害(2011年)からの復興・地域活性化に向けた地域住民の思いにも触れた。
郷土への誇りと愛着を育み、農家への感謝や米を大切にする心を養う「ふるさと教育」の一環で16年にスタート。地域の休耕田を減らす活動を行う「MYNS(マインズ)」を中心に、和歌山県やJAみくまのも協力している。
生徒たちは田んぼに足を踏み入れ「気持ちいい」「キャー」「足が重い」と叫びながら、泥だらけになって作業に励み、10㌃の水田一面に苗を植えた。
高見杏さん(1年)は「今日までたくさんの準備をしていただいてありがたい。幼稚園の頃から丸山千枚田で田植えをしているが、新型コロナの影響で4年ぶり。楽しかった」と笑顔で語った。
MYNSの下阪殖保さんは「良い米ができるかは天候次第だが、一生懸命世話をさせてもらう。今揚がっているこいのぼりは水害からの復興のシンボル。9月にはひまわり祭りや花火も計画しているので、また熊野川町へ来て」と呼びかけた。
8月下旬に稲刈りを行い、米は文化祭「近大新宮祭」で販売する予定だ。
(2023年4月29日付紙面より)
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第189回職場対抗ボウリング大会
ヤマドリゼンマイ見頃に (新宮市「浮島の森」 )
放送中のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公モデルは、植物学者の牧野富太郎氏(1862~1957年)。新宮市には、牧野氏が国の天然記念物指定に関わった「新宮藺沢(いのさわ)浮島植物群落」(浮島の森)があり、島のシンボルとも言える「ヤマドリゼンマイ」が現在見頃を迎えている。
牧野氏は1920~31年の間に5回新宮市を訪れており、浮島の森の調査を行ったのは24(大正13)年8月のこと。浮島の森はもともと南北1㌔、中央部の最大幅300㍍におよぶ広大な池沼内にあったが、調査当時には周囲の埋め立てで道路や住宅地に接し、急激な環境の変化による荒廃が懸念されていた。
郷土資料の「藺澤浮島」(新宮保勝会、1934年発行)によれば、同所を訪れた牧野氏は「島内に叢生せる赤松、ヤマドリシダ、トガリバ、ミヅコケは本州北部の植物にしてテツホシダの如きは本州南部に稀に見る植物なり。以上植物の島内に混生せるは植物フロラ上の一奇観というべく学術上大に研究に値すべきものにして同地は充分保護すべき価値あるものと認む」と語ったという。
その後の経緯について牧野氏は「植物研究雑誌」(1926年3巻11号)で言及。新宮高等女学校教員の太田馬太郎氏に浮島の森の写真を撮影して送付してもらい、内務省の史跡名勝天然記念物会の評議員であった中野治房博士に保護の必要を力説したところ、26(昭和元)年に同評議員の三好學博士が調査へ赴くこととなった旨を記している。天然記念物に指定されたのは翌27(昭和2)年だった。
植物への「好き」を追求し、生涯研究に情熱を注いだ牧野氏。熊野地方に生育する植物にも、牧野氏が発見・命名したものが少なくない。春らんまんの言葉通り、さまざまな花が咲き乱れるこの季節に、その足跡を訪ねてみてはいかがだろうか。
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■浮島の森
浮島の森は、沼地に浮かぶ泥炭でできた島で、面積は約5000平方㍍。寒地の植物であるオオミズゴケやヤマドリゼンマイと、暖地のテツホシダなどが島上に混生していることが特徴。天然記念物指定当時は300本以上のスギ林があり、幹回り180㌢を超えるものもあった。現在も保全活動が続けられている。
(2023年4月20日付紙面より)
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ALT着任に当たり市長表敬 (新宮市 )
「語学指導等を行う外国青年招致事業(JETプログラム)」により来日し、外国語指導助手(ALT)として新宮市が任用した、セージ・マリー・ハインズリーさん(23)が17日、市役所を訪れ、田岡実千年市長を表敬訪問した。セージさんは市教育委員会教育政策課で勤務するほか、神倉・王子ヶ浜・三輪崎の各小学校と丹鶴幼稚園で、英会話指導を行う。
セージさんは米国カリフォルニア州出身。昨年カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業した。ジブリ作品がきっかけで日本に興味を持ち、5年ほど日本語を学んだ。外国も1人暮らしも今回が初めてで「夏の暑さと虫だけが心配です」と笑顔を見せる。
「(新宮市について)特にイメージはしていなかったけど、人が温かくて安心しました。美しくてすごく好き」「しぐれのおにぎりとめはりずしなどを食べた。とてもおいしかった」と話し「新宮市にいる間は、できる限りいろいろな所を冒険したい。いろいろなことにトライしてみたい」と抱負。田岡市長に「新宮での生活が楽しみです」と伝えた。
田岡市長は「子どもたちに本場の英語、発音を教えてあげてほしい。滞在中に新宮・熊野の魅力も知っていただければ」と歓迎した。
(2023年4月20日付紙面より)
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町長希望に応え串本椎茸㈱ (串本町 )
串本町出雲にある串本椎茸株式会社(松末繁治代表取締役)で励んでいる外国人実習生16人が18日、田嶋勝正町長の希望に応えて表敬訪問し懇談に臨むなどした。
この訪問は、同社が2月に町のトルコ南東部地震災害義援金の寄託を申し出た折に働きながら商材管理の技能を学ぶ外国人実習生が頑張ってくれていることを報告し、田嶋町長が感心して「一度会ってみたい」と希望したことで実現した機会。
同社は協同組合ビジネスナビ=大阪府大阪市=と連携して国外から技能実習生を受け入れていて、現在はベトナム出身者13人とインドネシア出身者3人が期間3~5年の設定で実習中。町長じきじきの招きを喜んだ同社、同組合と実習生16人はその希望に応え、この日表敬訪問するに至った。
代表して同社の久保和雅生産部長があいさつし、田嶋町長は面会希望のいきさつや町の魅力などを伝えて歓迎。16人は持参した町職員160人分の生シイタケの贈呈を申し出て、以降の懇談に臨んだ。
田嶋町長は町や町民の印象を尋ね、あいさつの中で触れた花火や獅子舞はコロナ禍で見られない状況が続いているが今後は見られると思うと紹介。技能を学ぶだけでなく、観光地としての串本の良さも感じて母国へ戻ってほしいと願った。
実習生からはロケットも見たいがいつ打ち上げるのかと質問があり、田嶋町長はロケット「カイロス」初号機が直面している課題を説明し「夏を予定しているが今まで3回延期となっているので4回目があるかも、といった状況だ」と応答。その他、実習生によるイベント出店の相談も寄せるなどした。
懇談はくしもとぽんかんジュースと洋菓子店「セ・ラ・セゾン」のマドレーヌ「エルトゥールル」などを交えて実施。田嶋町長は記念品として日本トルコ友好マスコットキャラクター「まぐトル」のストラップ人形を贈り、懇談後は産業課の島野淳課長が町長室や議場、執務エリアを案内するなどして16人の実習がより豊かになるよう後押しをした。
(2023年4月20日付紙面より)
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三尾川小が大柳の竹林で (古座川町 )
古座川町立三尾川(みとがわ)小学校(海野富士子校長、児童3人)が18日、大柳地内の竹林でタケノコ掘りに取り組んだ。
同校は前年度に2人が卒業し、本年度は新入生なし。児童は気心通じる矢倉木鷄君(5年)と妹・いちえさん(2年)、田堀まつりさん(4年)の3人で新しい一年を歩み出している。
今回のタケノコ掘りは、3人でも仲良く元気に頑張ってほしいと願う矢倉きょうだいの家族が、そのための団結のきっかけになればという思いで仲立ちの世話をして実現した全校行事。所有者の承諾を得て児童と教職員を朝一番で竹林へ迎え、タイミングが良いとされる朝採りに挑戦した。
3人は担任とペアになりシャベルや細く厚みがある鍬(くわ)で程よい大きさのタケノコの周りを掘り進め、できるだけ根元から切り出すよう心がけて収穫した。最年長の矢倉木鷄君は今年2回目のタケノコ掘りだそうで、「1回目は家族で掘った。周りをできるだけ深く掘るのがこつだけど、タケノコは長すぎると下の方はおいしくない(あくが強い)から途中で切っちゃうぐらいの方がいい。今日は結構気持ちよく抜けるので掘っていて楽しいし、学校で掘るのも初めてでみんなと一緒に食べるのも楽しみ」と話し、次々に食べ頃のタケノコを見つけては掘り集めていた。
朝採りの良さが生かせるよう収穫は1時間ほどで終え、すぐに学校へ戻って収穫したタケノコをゆでてあく抜き。20日(木)にみんなで調理して味わう予定という。
(2023年4月20日付紙面より)
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新宮弓友会主催の月例射会
軟式野球部「第1回大会」 (那智勝浦町体育協会 )
県クラブユースU―15サッカー選手権
JR西と東海がイベント
JR西日本とJR東海の合同ハイキングイベントとして、「世界遺産のまち新宮・熊野のまちなみめぐり」が15日、新宮市であった。雨天の中、参加者が順次、JR新宮駅に降り立ち、新宮市内の観光名所を歩いて巡った。
JR西日本は「ふれあいハイキング」、JR東海は「さわやかウォーキング」の名称で、同様のハイキングイベントを沿線各所で実施しており、今回は合同実施することになった。双方ともに参加者カード(アプリ)があり、参加するとポイントが付与される。たまると景品と引き換えてもらえる。
今回は、スタート、ゴールともに新宮駅とするコースで、距離は約5㌔。徐福公園、阿須賀神社、新宮城跡、仲之町商店街、香梅堂、熊野速玉大社、神倉神社、浮島の森を巡って新宮駅へと戻る。所要時間は約2時間20分を見込んだ。
合同企画ということもあり、通常より多めの参加ポイントが付与された。名古屋方面、大阪方面の両方面からの参加を見越して、受付時間は午前8時50分から午後0時10分までとなっていた。両方面からの特急到着時間を念頭にした時間設定だった。配布する記念品も用意されていた。
雨天ということもあり、参加者は分散して訪れた。受付でマップを受け取り、コースへと出発した。愛知県名古屋市から参加した、会社員の瀬王清隆さん(44)は「この(さわやかウォーキング)イベントにはよく参加している。今回は、せっかく世界遺産の場所に来たので、神社をゆっくりと参拝しながら巡ろうかな」と話した。
また、新宮駅のホームでは「子供制服体験」も行われた。JR西日本とJR東海の両方の制服が用意され、子どもが試着を、保護者が撮影を楽しめるようになっていた。
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イベントの実施に合わせ、新宮市観光協会による「しんぐう駅マルシェ」も開かれた。柏堂切畑屋、観光協会と徐福公園、瀞峡めぐりの里熊野川、エンゼルが出店し、菓子や軽食、地域特産品などを販売してにぎわせた。
(2023年4月18日付紙面より)
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田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の例大祭「本宮祭」が16日、渡御祭(とぎょさい)で締めくくられた。晴天に恵まれ、神を移した神輿(みこし)と時代行列が社殿から旧社地の大斎原(おおゆのはら)まで練り歩き、斎庭(さいてい)神事が営まれた。
主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)(スサノオノミコト)などを祭り、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る祭り。主祭神が「我を祀(まつ)るに母神(イザナミノミコト)をも祀れ」と命じたという故事から、熊野市の花の窟(いわや)から母神を迎え、挑花(ちょうばな)と呼ぶチョウを付けた菊の造花を奉じて鼓・笛・旗をもって祭りを行うようになった。
今年は、新型コロナウイルス感染対策を講じつつも、4年ぶりに従来の規模で斎行。なお、渡御祭は15日に斎行予定だったが、雨天のため日程を変更して執り行われた。
神木の榊(さかき)を手にした神職を先頭に、天狗(てんぐ)や修験者、稚児など約200人の行列が続いた。ほら貝や笛の音が響く中、4年ぶりとなる子ども神輿、桜神輿、本神輿が「わっしょい」の掛け声とともに渡御。参道やまちなかには、地域住民や観光客らの笑顔が広がった。
大斎原では地元小中学生が「大和舞」「八咫烏(やたがらす)舞」を奉納し、子どもたちによる御田植神事、父と子の八撥神事が行われた。熊野修験道の採燈大護摩、餅ほりもあり、多くの人でにぎわった。
斎庭神事を終え、九鬼宮司は「多くの方々に協力いただき、コロナ禍以前の形で斎行することができた」と関係者や地域住民、参列者らに感謝。
「全国的に少子化が進むが、本祭は子どもの協力がないと成り立たない。子どもたちには改めて感謝を伝えたい」と拍手を送った。
(2023年4月18日付紙面より)
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飛雪の滝キャンプ場で体験会 (紀宝町 )
サウナテントの聖地、紀宝町浅里の飛雪の滝キャンプ場で16日、サウナ体験会「Hisetsu Sauna Festival」が開かれた。サウナ初体験の来場者らが、深いリラックス状態になることを意味する〝整う〟を堪能した。
春の二大イベントの第2弾。高温のロシア式サウナ「モルジュ」、フィンランド式サウナ「サボッタ」など3種類のテントサウナを無料で体験できる催し。お菓子と飲料水のプレゼントもあった。
キャンプ場は2019年2月からフィンランド製のテントサウナを導入し、大自然の中で体験できるサウナとして注目を集めている。
この日は晴天に恵まれ、訪れた人たちは30分ほどのテントサウナで汗を流し、水風呂代わりの滝つぼに入り、ここでしかできない体験を満喫した。体験した男性は「テントサウナも滝つぼも初めて。最高に気持ち良かった」と話していた。
キャンプ場では、29日(祝・土)~5月6日(土)のゴールデンウイーク期間中、千葉、東京、京都、大阪、兵庫などからの宿泊客でコテージやテントサイト、研修室の宿泊施設、テントサウナの予約が全て埋まっているという。
(2023年4月18日付紙面より)
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七川漁協が稚アユ放流 (古座川町 )
古座川町の七川漁業協同組合(中田善和組合長)が14日、管内流域で稚アユ800㌔の放流に取り組んだ。
県内水面漁業協同組合連合会が事業委託する、資源増強を目的とした取り組み。七川漁協は600㌔を標準としてその年の放流量を計画しているが、今年も大手釣り具メーカー「株式会社シマノ」が協賛し200㌔分を上積みして稚アユを調達した。
この日は組合員ら約30人が集合。届いた稚アユを▽古座川本流400㌔▽古座川支流平井川300㌔▽同支流添野川100㌔―と割り当て、手分けして放流用ホースやバケツリレーでそれぞれの河川各所へ分散放流した。
県内水面漁連によると、今回の稚アユは海産と人工産が半々で、おおむね体長約10㌢、体重8㌘強、匹数に換算して10万匹弱。中田組合長は海産を本流、人工産を支流に充てて様子を観察し、必要であれば冷水病対策アユの追加放流も検討するとしている。
七川漁協管内のアユはアマゴと並ぶ管理対象魚で、今年の漁(友釣り)の解禁日は6月3日(土)と設定。中田組合長は「ここ最近の取り組みで本漁協の認知も年々広まってきている。伴って増える釣り客の皆さまのための環境を保つことは並大抵の努力ではないが、組合員一同で頑張っている。今年も管内流域へご来場いただき、満足していただければ何より」と話し、この日の放流の指揮に励んでいた。
七川漁協管内でアユ漁をする場合は、七川漁協が発行する鑑札が必要(日券2000円など、18歳以下は年齢が確認できる書類提示で無料)。問い合わせは管内の赤いのぼりを立てたおとり店や七川漁協(電話0735・77・0063)まで。
(2023年4月18日付紙面より)
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近大新宮は初戦敗退 (春季高校野球和歌山県予選 )
スポ少野球東牟婁大会が開幕
第24回三輪崎少年剣道大会
那智山青岸渡寺で開山祭 (那智勝浦町 )
西国第一番の観音札所である那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)で9日、開山祭献茶法要会が営まれた。本尊の如意輪観世音菩薩(ぼさつ)を開帳し、同寺の開祖とされる裸形上人(らぎょうしょうにん)をしのび、髙木住職や髙木智英副住職らが読経し茶が供えられた。コロナ禍だった近年は、感染防止の観点から役員のみの参列となっていたが、今年は会員や一般の参列もあった。また、茶席も設けた。
開山祭は約1600年前にインドから渡来し、那智の滝で修行したと伝えられる裸形上人の遺徳をたたえるため、1949年に始まった。
献茶式は表千家と裏千家が1年交代で奉仕しており、今年は一般社団法人茶道裏千家淡交会南紀支部が行った。献炭は湊宗巳さんが、献茶は大江宗恵さんが務めた。
法要後、関宗重幹事長は「無事に献茶法要を終えることができて、感謝しています。2年前にも規模を縮小してお茶席を設けましたが、今年は感染症対策に努めながら、正式な形としてのお茶席を6年ぶりに設けることができました。皆さまに春のひとときをお過ごしいただければ幸いです」と話した。
髙木住職は開山祭や献茶の歴史について解説し「仏道も茶道も、日々怠ることなく、心の研さんに努めていくもの。新緑の芽が出る季節の中、茶道裏千家淡交会南紀支部の皆さまに献茶を執り行っていただいた。本日はありがとうございました」と語った。
その後、同寺の信徒会館に場所を移し、茶席が設けられた。
(2023年4月13日付紙面より)
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高橋尚子さんが走り方を指導 (熊野市 )
シドニー五輪女子マラソン金メダリストで国民栄誉賞を受賞した高橋尚子さんによる「ランニングクリニック」が9日、熊野市営陸上競技場であった。地元中学生ら約50人を指導し「オリンピックは手に届かないものではない。『こんなに近くにあるもの』と現実に感じて、これからも頑張って」と激励した。
熊野ロータリークラブ(齋藤友紀会長)の50周年記念事業。青少年の健全育成と地域の子どもたちに喜んでもらおうと開催。参加者を前に齋藤会長が「高橋さんがシドニーで金メダルを取った時は、先日のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)と同じくらい日本中が盛り上がった。高橋さんはその後もQちゃんスマイルで全国に笑顔と元気を広げてくれた。今日は皆さんの笑顔を熊野から全国へ広げてください」とあいさつした。
高橋さんは「熊野は初めて。海も山もあって本当にすてきな所。スポーツ選手が強くなる秘訣(ひけつ)は環境が大切で、自然があって食べ物がおいしくて、人が温かいところ。まさに熊野が当てはまると感じる」と話し、動的ストレッチやコーディネーショントレーニングなどのウオーミングアップを紹介した。
走り方について「教科書のようなフォームでなくてもいい。骨格もそれぞれ違うので自分に合った走り方をすることがポイント。私と三重県出身の金メダリスト・野口みずきさんのフォームも違う」などと伝えた。
トップ選手の共通点として▽目線は少し下▽しっかりした腕振り▽腰をなるべく高く保つ―を挙げ、ウオーキングとジョギングで確認してほしいと呼びかけた。
専門的な動きやトレーニングも指導し、参加した中学生らは金メダリストから直接アドバイスを受けるなど、実践的な練習を意欲的にこなした。
(2023年4月13日付紙面より)
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奈良南部・和歌山那智勝浦エリア (那智勝浦観光機構 )
観光庁が高付加価値旅行者の誘客に向けて集中的な支援を行う「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりモデル観光地公募事業」にこのほど、モデル観光地として「奈良南部・和歌山那智勝浦エリア」が選定された。全国から11カ所の地域が選ばれ、那智勝浦町は奈良県南部とともに一つの地域として選定された。
観光庁では昨年5月に、高付加価値旅行者の地方への誘客に必要な課題や取り組みを、ウリ(高付加価値旅行者のニーズを満たす滞在価値)、ヤド、ヒト(地方への送客、ガイド、ホスピタリティ)、コネ(海外高付加価値層とのネットワーク、情報発信)とアシの五つの観点から、「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりアクションプラン」として取りまとめた。
インバウンドの本格的な回復を見据え、消費額増加、地方への誘客をより重視することに観点を置きこのたび、総合的な施策を集中的に講じるモデル観光地の選定に至った。
観光庁によると、高付加価値旅行者は訪日外国人旅行者全体の約1%(29万人)にすぎないものの、消費額の約11・5%(5523億円)を占めていたという。しかし、大都市圏での買い物消費が多く、地方での消費が少なかったことを受け、地方への誘客を促進することで、地方創生への貢献につなげることとしている。
今回の公募は、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)が事業の代表として申請を行った。今後は、奈良南部の代表主体である「奈良県ビジターズビューロー」をはじめ、和歌山県、同町役場やその他連携先事業者と共に、県を超えて広域に連携を図り、事業を進めていくという。
清水貞吾理事長は「紀南・熊野エリアには、世界遺産の『紀伊山地の霊場と参詣道』、はえ縄漁法による水揚げ日本有数の『紀州勝浦産生まぐろ』、豊富な泉質を誇る『温泉』がある。ワールドクラスのポテンシャルを秘めた観光素材の魅力を発信し、世界中の旅行者から選ばれる観光地を目指すために『地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりアクションプラン』で観光地戦略を描き、持続可能な観光地づくりを目指して当地域の観光による発展に取り組んでまいります」と話している。
(2023年4月13日付紙面より)
カヤックフィッシングT (串本町 )
串本町くじ野川にある橋杭ビーチで9日、釣り大会「第3回全日本カヤックフィッシングトーナメント」があり65艇67人が周辺海域での釣果を競い合った。
この大会は、主に串本町や日本海~瀬戸内海一帯で活動するプロアングラー・山岡一信(ファンキー山岡)さんが同トーナメント実行委員長を務める形で主催。友人でありカヤックフィッシングの普及と活発化に力を入れる南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長に共感し、プロとして活躍するきっかけの多くをくれた同町への恩返しの思いで回を重ねている。
おととし9月に第1回実施を目指したが荒天中止となり、昨年4月に第2回を計画し初実施。その実績を素地にして第3回を計画し、前回より2割増しのエントリーを得て実施へとこぎ着けた。
当日は橋杭岩越しに昇る朝日を見届けつつ開会式を挙行し、午前6時に山岡実行員長によるホーン吹鳴で一斉に出艇。参加者は指定された海域内でポイントを見定め釣りに臨んだ。
10時~11時20分を帰着・検量時間とし、今回は強風に伴う苦戦を強いられる状況ながら参加者の半数(33人)が最大2尾まで釣果を申告。重量制による集計の結果、大阪府堺市から初参加した柑本哲志さんが第3回優勝の栄冠をつかみ取った。申告魚はヒラメ(長寸57㌢、重量1・7㌔)とエソ(長寸64㌢、重量2・18㌔)で、総重量は3・88㌔。「今日は波が荒く大変だったが、思いにも寄らなかった大物が釣れて驚いた」と串本の海で競技に臨んだ印象を語った。
釣果上位5人の表彰に加え、レディース賞や串本賞など特別賞の贈呈や協賛品争奪じゃんけん大会も実施。集計中は昼食休憩を経て山岡実行委員長やその仲間によるトークショーもあり、山岡実行委員長はこのトーナメントを始めたいきさつと実際に運営をして感じている大変さ、その大変さを乗り越える上で仲間の支えや協賛がいかにありがたく感謝しているかを明かしつつ、第4回以降の継続の思いを掲げて引き続きの支持と参加を求めるなどした。
(2023年4月13日付紙面より)
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田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の春の例大祭「本宮祭」を間近に控え、同大社の敬神婦人会が3日、同大社の瑞鳳殿で行っていた「挑花(ちょうばな)」作りを終えた。祭典で使用する無病息災などを願う縁起物で、約600本を用意した。
同大社の氏子総代会(榎本隆文・総代会長)の依頼を受けて毎年、敬神婦人会が手作りしている。菊を模した造花「挑花」は、直径約15㌢、高さ約60~90㌢。昨年の11月に、氏子総代会が材料となる竹を本宮町内から切り出して集め、12月から敬神婦人会の有志5人が作り始めた。赤、白、黄などの紙を花びらや葉の形に切り、接着剤などで貼り付ける。
この日は、4人が作業を行った。慣れた手つきながらも慎重に、黙々と作っていた。本宮町請川の岸谷和代さん(86)は「新型コロナも収まりつつあり、元の生活に戻りつつある。(本宮祭の)15日は、また皆さんが熊野本宮大社へお参りいただければ。皆さんの健康を願い、一本一本丁寧に作らせていただいています」と話した。
本宮祭は、13日(木)から15日(土)にかけて行われる。コロナ禍の影響でこれまで規模を縮小していたが、今年はコロナ禍前の規模に戻しての実施を予定している。挑花は6基の木箱に入れられ、15日の午後からの渡御祭で旧社地の大斎原(おおゆのはら)へと渡る。
かつては大斎原で、氏子が挑花を奪い合ったが、現在は餅まきの赤餅と引き換えている。昨年はコロナ禍の影響で渡すだけだった餅も、今年はまく。授与する挑花は300本で、残る300本は同大社へと還御する。九鬼宮司は「敬神婦人会の皆さんのおかげで、多くの方に挑花をお渡しできることを感謝しています」と述べた。
同大社の例大祭は、主祭神の家津美御子大神(けつみみこのおおかみ)(スサノオノミコト)が本宮に鎮座する際に「我を祀(まつ)るに母神(イザナミノミコト)をも同じく祀れ」と言ったという故事が起源。熊野市の花の窟(いわや)から母神を迎え、花を奉じて鼓、笛、旗をもって祭りを営むようになったと社伝に記されている。
(2023年4月5日付紙面より)
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Go Kuma Base 2023
野外音楽フェスティバル「Go Kuma Base 2023」が1、2の両日、那智勝浦町天満のホテル浦島駐車場であった。両日ともに県内外から多数が来場し、有名アーティストのステージを楽しんだ。
「Go Kumano」(福本友樹代表)の主催。昨年3月の太地町森浦の旧グリーンピア南紀南側での開催に続き、2回目となった。
1日目は、来場者がステージ前で演奏を聞いたり、椅子に腰かけて飲食を楽しんだりしていた。会場には、飲食やグッズのブースが多数出店していた。那智勝浦町のギタリストの濱口祐自さんが出演の際は、地元ということもあり、より多くがステージ前に参集。濱口さんの演奏と語りを堪能し、盛んな拍手を送っていた。
福本代表は「音楽イベントの開催で、新しい観光の形として、今までは来るはずのなかった人たちを呼び込むことができ、大きな経済効果を生み、地域振興に役立っていると思う。そこを理解して、応援してもらえたら」と話した。
(2023年4月5日付紙面より)
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さくら祭りで「今様」奉納も (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で3日、境内にある新宮神社の例祭(さくら祭り)が執り行われた。大社関係者ら約30人が参列。多くの観光客が見守る中、参列者らは桜の枝を玉串として奉奠(ほうてん)。併せて楽人・大谷ちえこさんと、令和の白拍子・智野莉慧さんによる「今様」(平安時代中期から鎌倉時代にかけて宮廷で流行した歌謡)の奉納も行われた。
新宮神社は1907(明治40)年、神社合祀(ごうし)令により、新宮町内にあった18社18柱の祭神を大社境内の金刀比羅(ことひら)宮に合祀したのが始まり。中でも最も位の高い渡御前(わたりごぜん)社の主祭神・神武天皇の例祭に合わせて、毎年4月3日に営まれている。
この日は天候不順により、祭典は本殿で斎行された。上野潤権宮司が祝詞をささげ、巫女(みこ)が「浦安の舞」を舞った。
「今様」奉納では、34回もの熊野詣でを行った後白河法皇が編さんした「梁塵秘抄(りょうじんひしょう)」から、熊野にゆかりのある歌や、市名誉市民の文豪・佐藤春夫の「今様」も披露。智野さんは、梁塵秘抄や熊野との縁、自身が大学の論文のテーマに佐藤春夫を選んだことなどについて紹介していた。
上野宮司は「熊野にゆかり深い歌と、そして春夫先生の歌もご披露いただき、時代を超えた今様を創っていただいた」と感謝。
参拝者らに対し「今日は天候の関係で本殿での斎行となったが、新宮神社にもお参りいただければ」と呼びかけた。
神事後には、大社関係者らによって参拝者や地域住民らに厄払いの餅が配られた。
(2023年4月5日付紙面より)
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文豪・佐藤春夫の詩を現代音楽と融合して発信する活動を支援するグループ「秋刀魚の会」(東芳史会長)が2日、串本町サンゴ台にある旧ホテル施設で発足記念パーティーを開いて今後の展開への弾みをつけた。
春夫の旧制新宮中学校時代の同級生であり作家人生を支えた盟友・東凞市。その孫に当たるミュージシャン・東哲一郎さんと春夫研究に打ち込む東京大学の河野龍也准教授が対で試みるのが前述した活動で、それを生誕の地から応援する実動体として昨年11月、春夫生誕130年記念行事で気持ちが高まった東会長(凞市の父・常三郎〈三男〉の兄・芳太郎〈次男〉の子孫)ら有志が同会を立ち上げた。
同日現在の会員数は、発起した有志3人。今年10月8日(日)に新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」でイベントを開くことを目標にして実働を始めていて、そのために会員の裾野を大きく広げるため同パーティーを開いた。
当日は新宮市の田岡実千年市長や佐藤春夫記念館の辻本雄一館長、新宮商工会議所の関康之会頭ら約40人が来場。東さんが前述した活動の趣旨、東会長が「秋刀魚の会」発足の趣旨をそれぞれ伝えて歓迎し、辻本館長は「必要な資料提供などで協力する」と応えて同会の実働へ歩み寄った。
以降は講演とライブの2部構成。講演は河野准教授が「秋刀魚の会に寄せて―佐藤春夫と東凞市―」と題して登壇し、台湾で歯科医として歩み出した凞市がスランプに苦しむ春夫を約2カ月にわたり招いた時期の状況などを解説し、盟友としてのつながりを明瞭にした。
ライブは東さんが実の姉を含むコーラス隊を連れて出演した。春夫の詩が現代音楽にも通じることを▽犬吠崎の歌▽海邊の戀▽こころ通はざる日に▽ためいき―の各楽曲発表で伝え、間の2曲は東さんのこだわりに応えて東会長がリードボーカルを担当。さらに2017年4月発表の楽曲「秋刀魚の歌」を熱唱し、河野准教授もそれら詩の解説をして今後の展開への弾みをつけた。
東さんは「地元に強力な応援体制ができた」と同会の発足を喜び、この日発表した楽曲について「自分以上に皆さんに歌っていただく形にしていきたい」と今後の展開に思うところを語った。
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入会希望はLINE(ライン)やメール、電話などで受け付け中。問い合わせは同会事務局(電話0735・62・0888、平日午前10時~午後4時、担当は潮岬病院の北野さん)まで。
(2023年4月5日付紙面より)
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