2月3日(木)の節分を前に、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)では福豆と鬼面札の調製がピークを迎えている。同大社における鬼面札の調製は今年が初。新型コロナウイルス感染症の撲滅を願い、節分祭・追儺(ついな)式参列者や厄払い祈祷(きとう)を受けた人に授与される。
鬼面札は戦前から同大社に残る鬼面印を使用。版木は昨年に調製したもので、鬼面の左右には牛王(ごおう)宝印、そして災厄を払い、疫病を除いて福を招く神として信仰される蘇民将来にあやかり「七難即滅 本宮再生 蘇民将來子孫家」の印が押されている。
調製は1週間ほど前に開始。27日には神職らが、奉書紙に八咫烏(やたがらす)神事で調製した宝印を押すなどして鬼面札を完成させていった。来月3日までに約300体を仕上げる予定となっている。
節分祭・追儺式当日は、新型コロナウイルス感染拡大状況を鑑み、神事を縮小。撒豆は豆を奉書紙に納めて行うなど
の感染防止対策を講じる。
例年なら神職や神社役員らが豆をまきながら拝殿の回廊を3周し鬼を追い払うが、今年は神職のみで斎行。最後の豆まきは神職と厄年の人のみで行う。
福豆、鬼面札は当日に限り、参拝者と厄よけ・開運招福の祈祷を受けた人に授与する。また、鬼面札は2月28日(月)までに厄払い祈祷を受けた人にも授与される。
同大社の節分祭・追儺式は午後4時から。九鬼宮司は「新型コロナウイルス、オミクロン株の1日も早い撲滅を祈る限り。多くの人が困難を乗り越えられるよう、思いを込めて神事を執り行いたい」と話している。
(2022年1月28日付紙面より)
太地中学校で思春期講座
太地町立太地中学校(山田貴也校長)でこのほど、3年生11人を対象とした思春期講座があった。かづこ助産院の本舘千子(もとだて・かづこ)院長が「『いのち』が大切より『あなたが』大切」と題して講話した。
高校進学を控えた生徒に性に関する正しい知識を身に付けてもらうことが目的。本舘院長は串本町から紀宝町までのさまざまな教育現場に立ち、命の大切さや思春期に起こる体と心の変化、性の権利、科学的根拠に基づくさまざまな知識を学ぶ「包括的性教育」の必要性などについて伝えている。
本館院長は生徒たちに「高校生になったら、好きな人ができたり、恋をしたりすることもあると思う。恋愛で自分を傷つけないため、相手を傷つけないためには学習が必要です」と語り、性的マイノリティー(LGBTQ)や妊娠が起こる仕組み、性感染症などについて改めて知識を伝えた。
「紅茶と同意」の動画で性的同意について紹介し「デートDVやセクハラ、痴漢など、同意のないものは全て性暴力。水着で隠れるプライベートゾーンだけでなく、嫌な人には髪一本だって触れられたくない」と言及。
「だまされないよう、助けてと言えるよう、嫌なことは嫌と言うことができるように、皆さんには賢くなってほしい」と語り、「今後心配なこと、困ったことができたら相談に乗ります」と呼び掛けていた。
(2022年1月28日付紙面より)
御浜町長が模擬体験
所得税の確定申告が2月16日(水)から始まるのを前に、尾鷲税務署(柳生憲吾署長)は25日、御浜町役場でスマートフォンを使った申告をPRした。大畑覚町長が模擬体験し「スマホは初めてだが、思ったより簡単で、短時間でできる」と手軽さを伝えた。
国税庁では新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、会場の混雑を緩和するためスマホを使った確定申告書の作成、送信を呼び掛けている。今回からはスマホのカメラで源泉徴収票を撮影すれば、金額や支払者情報などが自動で入力されるようになった。
この日は大畑町長が国税電子申告・納税システム「e―Tax」による申告書の作成を模擬体験した。国税庁ホームページからスマホ専用画面を開き「確定申告書等作成コーナー」に必要事項を入力し、還付の確定申告書を5分程度で作成した。
2021(令和3)年分確定申告は、所得税・復興特別所得税・贈与税が3月15日(火)まで、消費税・地方消費税が同31日(木)まで。感染症対策のため、会場で申告する場合は、入場整理券が必要となり、各会場で当日先着順に配布、または、通信アプリ「LINE(ライン)」の国税庁公式アカウントから事前発行する。
国税庁は動画による確定申告書の作成方法(「動画で見る確定申告」で検索)をホームページ上で紹介している。
(2022年1月28日付紙面より)
物件「旧谷畑家住宅主屋」 (串本町 )
串本町西向、岩渕地内にある登録有形文化財〈第30―0316号〉「旧谷畑家住宅(こざがわ)主屋(おもや)」で26日、その登録証とプレートの伝達があった。所有する社会福祉法人和歌山県福祉事業団の佐武寛子・古座あさかぜ園園長は「改めて貴重な建物だと受け止め、これからも大事に使わせていただきます」と語り、登録証とプレートを預かった。
この物件は、1954年に材木商の谷畑家が建築した木造2階建て一部平屋建て家屋。良材を用い凝った造作に加え、2階の座敷が古座川の眺望に秀でる配置になっているなど立地を生かした設計も宿す近代和風建築の好例として国土の歴史的景観に寄与していると評価され、昨年6月24日付で国の文化財登録原簿に記載された。町内では「樫野埼灯台旧官舎」「旧神田家別邸(稲村(とうそん)亭)」に続き3件目、旧古座町域では初の登録有形文化財記載となっている。
現在は同事業団が谷畑家から譲り受け、同園が就労訓練を目的とした事業所〈飲食店〉「うどんとうなぎの古座川」などで運用中。同日現在、職員5人と入所者1人の6人チームで火曜日以外の午前11時~午後2時に営業していて、その一般利用を通して物件の内外に親しむことができる。
この日は町教育委員会教育課の鈴木一郎次長らが物件を訪ね、このほど文化庁から町教委へ届いた登録証と砲金製のプレートを佐武園長へ伝達した。併せて登録に伴う手続き事項の説明をし、今後の適切な管理と他の文化財登録制度より緩やかな制約下での鋭意活用を促した。
同事業団にとっては、御坊市にある物件「なかがわ(旧中川家住宅)主屋(しゅおく)」(現・事業所「そば&Cafeなかがわ」)に続き2件目となる登録有形文化財。佐武園長は、前例となるこの物件を参考にしつつ今後の管理に努めると話している。
(2022年1月28日付紙面より)
文化財愛護思想の高揚を目的に制定された「文化財防火デー」(1月26日)を前に、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で24日、同大社自衛消防団による防火訓練があった。神職や大社役員、消防関係者ら25人ほどが参加。訓練を通して防火意識の高揚を図った。
文化財防火デーの1月26日は1949(昭和24)年に法隆寺金堂壁画が焼損した日。55(昭和30)年からこの日を中心として全国的に防火運動が展開されており、今年で68回を数える。
今年の訓練は、新型コロナウイルス感染予防の観点から、昨年に引き続き規模を縮小し、同大社神職らからなる自衛消防団が中心となり実施。宝物殿奥の山林から出火し、境内を巡回中の神職が火事を発見したとの想定で行われた。参加者らは消火活動や119番通報など、それぞれ担当する活動に取り組み、最後に延焼防止のため社殿に向けて放水銃で一斉に放水した。
消防訓練に先立ち田辺消防署本宮分署による立ち入り検査や、神職らを対象にした消火器訓練も行われた。
訓練後、集合した参加者らを前に、田野直・田辺消防署本宮分署長が「昨年は初期消火に少し遅れが見られたことを指摘させていただいたが、今回はすぐに駆け付けていただきその他の活動も良好だった」と講評。
夜間や職員がそろっていない場合なども想定することが大事とし「被害を最小限にとどめられるよう、誰でも通報することができる、誰でも初期消火することができるといった、ワンランク上の体制を」と呼び掛けた。
九鬼宮司は「参拝者の方や地元の人が火災を発見する場合もある。いろんな状況でも対応できるよう、職員ともども意識を高めていきたい」と誓いを新たにした。
(2022年1月25日付紙面より)
武官や総領事らと共に視察 (駐日トルコ大使館 )
駐日トルコ共和国大使館のコルクット・ギュンゲン特命全権大使(53)ら一行が21日午後、串本町の樫野崎を訪ねた。
同館の歴代大使が着任序盤に取り組んでいる公務の一環。樫野崎は日本とトルコ共和国の友好発祥地という特別な場所で、ギュンゲン大使も昨年3月の着任以降早期訪問を目指してきたが新型コロナウイルスの情勢ですぐに時期が見いだせず、今回のタイミングでの遂行となった。
一行の内訳はギュンゲン大使、ハビブ・イゼット・ゾールオール武官、在名古屋トルコ共和国総領事館のウムット・リュトフィ・オズテュルク総領事と参事官2人らで、在大阪トルコ共和国名誉総領事館の梶山龍誠総領事らも同行。20日は和歌山市にある県立博物館でトルコ共和国の贈呈品も含まれる特別展「和歌山と皇室」を鑑賞し、来年のトルコ共和国建国100年、再来年の日本―トルコ国交樹立100年に向けた協力を仁坂吉伸知事に求めたという。
翌21日午後に樫野崎へ赴き、真っ先にトルコ軍艦遭難慰霊碑に眠る将士を訪ねて礼拝しゾールオール武官と共に献花。同碑の霊廟(れいびょう)へ入り、イスラム教に基づきこの場所で眠る将士をしのんだ。
以降はムスタファ・ケマル・アタテュルク像や樫野埼灯台、トルコ記念館などを順次視察し、同館の記名簿に来館の足跡を書き記した。ギュンゲン大使は人文社会学〈歴史専攻〉の修士で、同館そばにある日本赤十字社の平時国際活動発祥の地記念碑にも強い関心を示し、エルトゥールル号遭難事件の3年前に旧オスマン帝国を訪問した小松宮彰仁親王も設立に関わった同社にとってこの事件は初の国際救助だったと語って当時の人道援護に感謝と敬意を掲げた。
「エルトゥールル号の遭難は悲しい出来事だが、われわれにとっては誇れる事実でもある」と受け止めるギュンゲン大使は、その現地で改めて串本や日本への感謝を言葉にし「来年、再来年の節目に皆さんとも手を携えて何かができれば」と自身が築くこととなる両国友好への意欲を語った。
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樫野崎訪問と併せて田嶋勝正町長との面会も希望していたが、急拡大する同ウイルスの情勢により田嶋町長は直前で遠慮の要請をした。
ギュンゲン大使はいつもお世話になっている大切な方のコロナ禍を見据えた判断の心中を察して受け止め、田嶋町長は「町まで来ていただいたのに応対できず、本当に申し訳なく思う。感染の拡大が落ち着いたら必ずや、こちらから大使館へ赴いて大使に公式のごあいさつをさせていただきたい」とコメントした。
(2022年1月25日付紙面より)
まなびの郷を会場に (紀宝町 )
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、紀宝町は22日、町生涯学習センター「まなびの郷」で3回目の新型コロナワクチンの集団接種を開始した。
新たな変異株「オミクロン株」の発生状況を踏まえ、国の方針に沿って前倒しで実施。この日は、医療、高齢者施設、通所サービス事業所の各従事者と通所サービス事業所の利用者合わせて約180人が接種した。
集団接種は2月5日(土)以降、昨年6月末までに2回接種した65歳以上の高齢者を対象に行う。ワクチンはファイザー社製がなくなり次第、モデルナ社製に切り替える。
今月13日には、昨年7月末までに2回接種を終えた約4000人に接種券を送付。集団接種、個別接種ともに、6月末までの接種者は24日から受け付けを始めた。7月末までの人は31日(月)から開始する。
集団接種はインターネットとワクチン接種専用ダイヤル(電話0735・33・0363)で受け付ける。専用ダイヤルは午前9時からで、平日は午後7時まで、土日・祝日は午後4時まで。個別接種は各医療機関で受け付けている。
昨年末現在、町内で2回目接種が完了した人は8327人で対象者の接種率は85%。町では「ワクチン接種は自分のためだけでなく、家族や友人など自分の大切な人を守ることにつながります。ワクチン接種が可能な方は、接種していただきますようお願いします」と呼び掛けている。
(2022年1月25日付紙面より)
佐野区で防災用品配布 (新宮市 )
新宮市の佐野区(前田道春区長)は22日、同区加入の1150世帯を対象に、防災用袋やグッズを配布した。佐野会館に集まった代議員たちが世帯数の物資を仕分けし、各地区の班長へと届けた。
同区では、紀伊半島大水害から10年が経過したことを振り返り、昨今、頻発している自然災害や地震に備え防災意識を高めてもらおうと「本年度の区計画事業中止による予算」「市防災補助金」などを活用し配布を決定。新型コロナウイルス感染症第6波とされるオミクロン株などの拡大に対して区民への注意喚起の思いも込められている。昨年5月にはマスクと消毒液を配布した。
この日は代議員15人ほどが集合。前田区長をはじめ役員らが協力して作業に取り組み、災害時避難用に使用する区の名前が記されたリュック式「非常持出袋」(1世帯1袋)と「非常用給水バッグ」(3㍑入り1世帯2袋)を班ごとに用意された段ボールへ詰めていった。
前田区長は「代議員や多くの人の協力のおかげで今回の配布を迎えることができて安心し、感謝しています。コロナの状況はもちろんだが近年、頻繁に発生している地震などの災害に備えて改めて意識を高めてもらいたい。今後も住民のみんなが『佐野区に住んでいてよかった』と思ってもらえるよう、取り組んでいければ」と話していた。
(2022年1月25日付紙面より)
熊野那智大社で節分準備 (那智勝浦町 )
2月3日(木)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)では9日から「鬼面札」や福升の準備が行われている。ピークを迎えた14日は神職や巫女(みこ)が真剣な表情で鬼面札作りの作業を進めていた。
災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福桝(ふくます)」を作っている。鬼面札はしめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で1969年に3代前となる篠原四郎元宮司が作成した木版画で翌70年から授与。独特の絵柄が人気で昨年末から予約が入るという。
神職が縦35㌢、横45㌢の画仙紙に那智の滝の水で溶いた墨を版木に付け1枚ずつ刷り出し、巫女が「那智宮印」を押して、2000枚を仕上げる。モミの木製の福升は5合升で1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれ350個作るという。
𠮷田遥紀権禰宜(ごんねぎ)は「コロナ禍が続くと、多くの皆さまが気疲れしてしまい、これもまた厄災のきっかけとなってしまう。鬼面札は厄災よけ、家内安全の札。いま一度、用心していただき、新型コロナウイルス終息と皆さまが穏やかな一年をお過ごしいただけるように祈り、作成しております」と話した。
鬼面札はすでに社頭で授与されており、郵便授与の受け付けは15日から開始。鬼面札は1枚800円、福升は1500円、福豆が300円。郵送授与希望時は別に送料が必要で、申し込みはFAX(0735・55・0643)かメール(nachi@kumanonachitaisha.or.jp)で受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。
同社によると、来月3日の節分行事はコロナ対策を万全に施し、例年通り実施する予定だという。
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西国三十三所第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)では例年多くの参拝者が訪れる「節分会」を新型コロナの感染拡大防止の観点から中止する。
同寺によると、節分で使用する祝升(いわいます)の作成や豆まき行事は実施せず、本尊の如意輪観世音菩薩の開帳と祈とうのみ執り行うという。
髙木住職は「節分の準備を進めていたが、コロナの感染拡大に伴い、急きょ中止といたしました。残念だが、来年こそは通常通りできることを祈願しております」と語った。
(2022年1月16日付紙面より)
那智勝浦町実行委員会が設立
那智勝浦町でこのほど、全国棚田(千枚田)サミット那智勝浦町実行委員会(会長=堀順一郎町長)が設立された。14日、同町天満の町体育文化会館で設立総会および第1回総会があり約20人が出席。規約制定や予算を承認したほか、役員選出では那智勝浦観光機構の清水貞吾理事長を副会長に、酒井清崇東牟婁振興局長とみくまの農業協同組合の漆畑繁生代表理事組合長を監事に選出した。
全国棚田サミットは、1次産業に対する意識の向上を図るとともに、棚田の魅力を再発見し、美しいふるさとの風景を次世代につなぐ契機とするために開催。令和5年度に同町で第28回サミットの開催が計画されており、全国から200~800人程度が参加する見込み。委員会は同サミットにおいて円滑な運営を図ることを目的に設立。サミットでは基調講演や交流会などを予定している。
同町では色川が指定棚田地域に指定されており、中でも小阪の棚田は「棚田を守ろう会」が30年以上休耕していた田を復活させ保全に取り組んでいる。また、県が指定する美しい棚田・段々畑として認定している色川南平野の棚田も存在。その他の区でも山間部の厳しい環境で耕作をしていたことが分かる。
なお、高津気地区に棚田の広がる地域はあるものの、2011年の紀伊半島大水害により農業用施設が被災され耕作できない状態が続いているが、しし垣といわれる施設もあり、獣害対策とともに棚田地域を有する里山の暮らしを残している。
19年12月に旧色川村地域が指定棚田地域に指定。20年6月に色川棚田地域振興協議会が設立。同年8月に活動計画が認定されており、同地区における棚田を活用した地域振興活動が展開されている。
開会に当たり、堀町長は「新型コロナウイルス感染症の影響もあるが、収束に向かうのではという気持ちを持ちつつサミットに備えたい」と成功に向けて協力を呼び掛け。
「町には素晴らしい棚田がある。しかし全国的には耕作放棄された棚田も多い。棚田を復活し伝統文化を残すために頑張っていきたい」とあいさつした。
委員会会議では▽規約の制定および改廃▽町棚田サミットの基本事項▽予算および決算▽その他町棚田サミットにおける重要事項―に関することを審議決定する。
(2022年1月16日付紙面より)
飛鳥神社でお弓神事 (太地町 )
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で13日、航海安全や大漁などを祈願する「お弓祭り(お弓神事)」が営まれた。漁業関係者などの参列者が境内の的を目掛けて全力疾走し、「セミ」を取り合った。
髙橋宮司によると、以前は多くの漁師が祭りに参加していたため、漁から戻って作業を終える夕方に行われていたという。
セミクジラを模した木製のセミは毎年、手作りの縁起物で直径約1・2㍍の的に三つ取り付けられる。本来は的を松に固定する留め具として用いられていた。セミを手にした人は大漁と航海の安全に恵まれるといわれており、持ち帰って家の神棚や床の間、船などに祭られる。
髙橋宮司が矢を放つのと同時に参列者らが一斉に的まで駆け寄り、セミを奪い合った。「今年は取れた」「よし、取れた」とセミを手にした3人は笑顔で喜んだ。
その後、鬼と見立てた的は参列者らが手で破り、切り分けた。松や竹の枝と共に的を玄関に飾ると破魔矢同様に魔よけになるとされ、参列者がうれしそうに持ち帰る姿が見られた。
祭りを終え、髙橋宮司は「昔は町の大半が捕鯨に関わっていたため、海の安全や大漁を祈ったが、時代とともに働き方も変わっている。現在はそれらに加え、家内安全や商売繁盛の意味も込められている。一年の邪気を払うとともに、皆さまにとって良い一年であることを祈っています」と話した。
(2022年1月16日付紙面より)
近大新宮中で前期入試 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)は15日、中高一貫コースの前期入学試験を実施した。児童46人(男子17、女子29)が受験し、国語と算数の筆記試験や面接に臨んだ。
試験実施に当たり同校は▽試験室の机・椅子の消毒▽受け付けでの手指消毒と検温▽換気▽付き添いの保護者を1人に制限―などの新型コロナウイルス感染対策を取った。
緊張した表情で入室した児童たちは、教職員から受験に関する諸注意を受け、気を引き締めて試験の問題に向かった。合格発表は19日(水)に、本人宛てに試験結果通知書が郵送される。
後期入学試験の出願期間は2月2日(水)~7日(月)必着。試験日は12日(土)、合格発表は16日(水)を予定している。
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■高校前期入試日程
近畿大学附属新宮高校の前期AO入学試験および一般入学試験の出願期間は1月19日(水)~25日(火)必着。試験日は29日(土)、合格発表は2月2日(水)に試験結果通知書を本人と出身中学校長宛てに発送する。
問い合わせは近畿大学附属新宮高校・中学校(電話0735・22・2005)まで。
(2022年1月16日付紙面より)
「ふるさとの田んぼと水」子ども絵画展 (北山小 )
全国水土里(みどり)ネットが主催する「ふるさとの田んぼと水」子ども絵画展2021の審査結果がこのほど発表され、北山村立北山小学校(松本広明校長)の岡こころさん(6年)が文部科学大臣賞、市村亜莉朱(ありす)さん(同)が日本政策金融公庫農林水産事業本部長賞を受賞した。11日には同村大沼の村民会館で表彰式が行われ、山口賢二村長から表彰状を受け取った。
絵画展は子どもたちに田んぼや農村に関心を持ってもらい、田んぼやため池、農業用水路などの風景、大切な水路を守っている人たちの姿を通して水の循環や環境保全への理解を促し、大人たちへのメッセージとして子どもたちのまなざしを届けることを目的に毎年開催している。
今年のテーマは「新発見!わたしたちのふるさと自慢」。全国4120点の中から入賞6点、企業賞27点、入選150点、地域団体賞45点が選出された。同校では初めての応募となり、2部門で受賞。2人の作品は昨年12月4日から11日まで東京都美術館に展示され、今後は今月末まで村民会館に飾られる。
表彰式では、松本校長が受賞までの経緯を説明し「北山小、中学校のみんなにとっても誇りであり、自信につながります」とあいさつ。山口村長が「報告を受け驚いたと同時に、大変うれしくなった。今後も応募を続け、再び素晴らしい賞が得られるよう頑張ってください」とたたえ、岡さんと市村さんに表彰状を伝達した。
岡さんは「こんなにいい賞を頂けてうれしいです。地域の特産物であるじゃばらを懸命に収穫している姿を伝えたいと思った。これからもいろんな作品で村のことを知ってもらいたい」。
市村さんは「まさか自分が受賞できるとは思っていなかったのでうれしい。私が大好きな牛を育てている牧場の人を考えました。この先も絵など、たくさん描いていければ」と話していた。
(2022年1月13日付紙面より)
南紀熊野ジオパーク探偵団
南紀熊野ジオパークをフィールドに中高生が自然や環境について調査研究をする「南紀熊野ジオパーク探偵団」(団長=東垣(あずま・わたる)・南紀熊野ジオパークセンター長)の活動発表会が8日、オンラインで開かれた。漂着海洋ごみの調査に参加した県立新宮高校、海南高校、田辺高校の生徒や研究者ら約20人がそれぞれの視点で意見を交わした。
昨年発足した同探偵団は「think locally, act globally(地域で考え、地球規模で行動)」をモットーに、地元が抱える問題解決に向けて生徒たちが自立的に考え、世界に情報発信していくことを目指している。本年度の研究テーマは「海洋環境を考える」で、昨年10月に有志の生徒らが新宮市の三輪崎海岸および白浜町の志原海岸で漂着海洋ごみの収集、分類、計量調査を実施した。
新宮高校の坂本美波さん(2年)は社会科学の視点から、リデュース(ごみの発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)に向けて個人・企業が取り組むべきことを発表。「身近にある海のことですら知らないことが多かった。今後、国際交流の場で研究成果を発表する予定で、自分の視点を大事にしながら結果を伝えていきたい」と語った。
寺地航琉君(同)と深瀬孔一朗君(同)は「生物に有害な環境ホルモンへの対策」と題し、両海岸で収集した環境ホルモンを含むと思われるごみの単位面積当たりの重さを算出して比較。「三輪崎海岸ではペットボトルが多かった」と言い、地域と協力してごみ収集に取り組む重要性を述べた。
調査をサポートした京都大学学際融合教育研究推進センターの島村道代さん(地球環境科学博士)は、最新の研究にも触れつつ「昔は瓶などのリユースできる容器が一般的だったが、なぜプラスチックに置き換わったのか。経済合理性や歴史的背景を考えることも重要。環境ホルモンは、プラスチックへの添加物と、環境中に排出された殺虫剤成分DDTなどの汚染物質をプラスチックが吸着する作用の両面から考える必要がある」と言及。
東団長は「とてもレベルが高かった。海洋ごみは漂着するものもあれば、太平洋で浮遊するもの、海底に沈降するものもある。世界規模の視野でも、ミクロの視点でも考える必要がある非常に面白い問題。皆さんの可能性は無限に広がっている。それぞれの視点を生かして研究を続けて」と講評した。
(2022年1月13日付紙面より)
串本古座高校で来年度から (和歌山県 )
和歌山県が12日、県立串本古座高校における普通科宇宙探究コース新設に向けた取り組みを来年度から始めることを発表した。
小型ロケットの打ち上げ開始をきっかけとした県南部活性化のための取り組み。県教育委員会県立学校教育課と要する関係先との接点を複数有する県産業技術政策課が両輪となり、宇宙に関心を持つ生徒を県内外から呼び込んで生徒数確保を図りつつ同校魅力化プロジェクトを通して培っている地域との連携も生かして目的の達成を目指す。
両課は2024年度に同コースを新設する着地点を見据えてロードマップを描いていて、22年度以降の全入学生を対象に総合的な探究の時間の単元として「宇宙関連学習」を導入し、併せて部活動における宇宙との接点の充実や関連イベントなどへの生徒参加を積極推進する。23年度普通科グローカルコース入学生を対象に選択科目「宇宙科目」〈2年生より選択可〉を暫定的に導入(コース新設に伴う再編の検討が今後あるため)し、24年度から普通科宇宙探究コースを選択できる筋書きとなっている。
これら段階的に進む同マップの実現に向け、受け入れ側は22年度から2カ年計画でカリキュラムや広報戦略の検討を始め▽宇宙教育の専門的知見を有する者を教員として採用▽有識者や企業などによる検討委員会運営▽受け入れ環境の整備―など要する素地の構築を進めるという。宇宙専門のコース設置は公立高校では全国初の事例という。
(2022年1月13日付紙面より)
宇久井ビジターセンターで (那智勝浦町 )
正月に飾る赤い実といえばセンリョウ・マンリョウ・アリドオシ。「千両万両有り通し」の語呂合わせで、三つを並べて金運アップや商売繁盛の願掛けをする縁起物だ。
アリドオシはとげのある見た目から別名「オニノメツキ」ともいい、一両に相当するのだが、実はその間の十両と百両に当たる植物もある。
十両はヤブコウジ、百両はカラタチバナという植物で、いずれも冬につややかな赤い実を付ける常緑低木である。より大きな赤い実を付けるミヤマシキミを「億両」と呼ぶ人もいる。豪華な名前は、色味の少ない冬の森で、枝いっぱいに付いた実を大金になぞらえたからだそう。
那智勝浦町の環境省宇久井ビジターセンターでは現在、一両、十両、百両、千両、万両の五つの縁起木を並べて展示している。カラタチバナ以外は全て園地内で採取したもので、同センターは「それぞれの植物の違いなどを見比べてもらえれば」と呼び掛けている。
開館時間は午前9時~午後5時で、水曜日休館。
(2022年1月13日付紙面より)