新宮市観光協会は29日、平成32年度完成を目指している文化複合施設を、建設予定地から出土した遺跡を生かした観光拠点として整備することを求める要望書を田岡実千年市長に提出した。田岡市長は「重要な遺構が次々と出土する中、遺構はそのまま残すべきと思っております。建てる場所は制約されますが、なるべく要望を取り入れるべく研究していきたい」と回答した。
要望活動には丹羽生会長、外濵道明副会長、森本祐司専務理事、提案者の隅地洋さんの4人が参加。要望書では、建設予定地の旧丹鶴小学校跡地は、熊野速玉大社、神倉神社、新宮城跡、阿須賀神社などをつなぐ「重要な歴史的結節点」であると説明。熊野学センターの建設を見送り、文化ホールと図書館の2棟案に落ち着いた現在の計画では、「観光交流の人口の増加=地域経済の活性化」の視点が抜け落ちていると指摘している。
丹羽会長は、時間や予算の制約があることは理解しているとした上で、「中心市街地の疲弊が顕著になる中、地域活性化のためにも、市民が本当に望む施設計画を推進してほしい」と訴えた。
隅地さんは建設計画の基本理念の一つは「新しい歴史文化を紡ぐ文化観光拠点」であると述べ、「せっかく観光客が来ているのに、ゆっくり休め、情報を得る場所がないと聞く。文化複合施設を市内の観光地をつなぐ拠点とし、日帰り客を宿泊につなげないとお金を落としてもらえない。今こそ行政が主導して学習効果を発揮し、知恵をしぼり出し、関係団体が一体となってプロジェクトを組んで、より良い文化複合施設の代案づくりを目指すべき」。
森本専務理事は「現状を見ると、観光交流人口は置き去りにされている感がある。遺跡は新宮のポジションが重要であることをクローズアップしている。あらためて考えていただきたい」。
丹羽会長は「新宮は熊野三山の中で一番観光体制が遅れている」と述べ、縄文時代から明治時代までの各年代から出土している珍しい遺跡を生かした観光拠点が整備できれば「熊野の都として復活できる」と訴えた。
同席した楠本秀一教育長は「おっしゃる通りだと思います。長く滞在してもらう受け皿として図書館の担う役割は大きい」と述べた。要望書は屋敷満雄市議会議長にも提出した。
(2017年8月31日付紙面より)
改修期成同盟会で国が説明 (新宮市 )
熊野川改修促進期成同盟会(会長・田岡実千年新宮市長)の通常総会が29日、新宮市井の沢の新宮ユーアイホテルであり、本年度事業計画など5議案を承認した。総会終了後に国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所の冠雅之副所長が熊野川の河川事業について説明した。
2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害では、国直轄区間(河口から5㌔)の熊野川本川7カ所で堤防から越水し、支川の相野谷川では輪中堤から水があふれ、一部の輪中堤が転倒した。直轄区間では、新宮市で2301戸(床上1293戸、床下1008戸)、紀宝町で1021戸(床上869戸、床下152戸)の浸水被害があった。
水害後に国が直轄区間で実施していた河道掘削、築堤などの熊野川激甚災害対策特別緊急事業(激特事業)は昨年度終了。本年度から引き続き5年間の緊急対策事業で90万平方㍍の河道掘削を実施している。事業費は約34億円。
冠副所長は、激特事業で掘削した土砂215万立方㍍のうち約60万平方㍍は七里御浜の海岸浸食対策として搬出したことや、紀宝町成川では本年度、竜光寺樋門の耐震対策工事を実施することなどを紹介した。
熊野川は延長183㌔、流域面積2360㌔平方㍍。管理者が国、和歌山県、三重県、奈良県と混在していることから、新宮市などは大水害後の土砂撤去などがスムーズに進んでいないとし、国直轄区間を宮井地点まで約20㌔延長することを要望している。
同会は1981(昭和56)年11月設立。会員は新宮市と紀宝町の首長や議員。国直轄区間河川の整備工事推進を目的に要望活動などを展開している。
(2017年8月31日付紙面より)
櫂伝馬の練習スタート (勝浦八幡神社例大祭へ向け )
那智勝浦町の勝浦八幡神社(髙橋正樹宮司)例大祭へ向け、櫂(かい)伝馬保存会(濱口起年会長)の中学生の練習が28日夜、勝浦港で始まった。
櫂伝馬船は全長約9㍍、幅は広い部分で約1・6㍍の木製の舟。祭り本番は、色とりどりのささ飾りを立てて港をこぎ回り、海上神事ではみこしを引き合うなど重要な役割を果たす。大人の愛友会、商工会の2隻に加え、中学生が乗り込む櫂伝馬保存会の3隻の計5隻が祭りに奉仕する。
午後7時に中学1年生が乗る「赤舟」、2年生の「白舟」、3年生の「黄舟」が勝浦港の船だまりを出発。太鼓のリズムに合わせて力強く港内をこぎ回った。この日、黄舟で練習をした小阪嚴護さん(15)は「今日一日で(手に)まめが10個できましたが、今年で最後の参加なので精いっぱい頑張ります」と意欲を見せた。
子どもが少なく人数を集めることが年々困難になっている中、練習を見守った副会長の立木憲さん(59)は「赤舟の1年生がどうにかそろったのでほっとしたところ。今後1隻1学年は難しくなってくると思う。今年も無事に祭りを渡せるよう頑張りたい」と話していた。
(2017年8月31日付紙面より)
串本町テニス協会(中地孝行会長)は26日、同町総合運動公園テニスコートで「ヨネックス小・中学生講習会」を開き選手54人に全国大会入賞経験者から直接指導を受ける機会を提供した。
この講習会は、串本ジュニアソフトテニスクラブと関係の深い田辺市のスポーツ店から紹介され、貴重な機会だと喜んで申し込んだことにより実現。全国大会入賞経験を持つヨネックス株式会社大阪支店の川口純吾さんと杉野優也さんが講師となり直接指導した。
参加した小中学生の内訳は同クラブの小学生25人と串本西中、大島中、串本中のソフトテニス部部員29人。リード役として同クラブ出身の高校生選手も講習に参加した。
両講師は序盤にウオーミングアップ、中盤以降はストロークやボレー、サーブなど基本となる技術を中心に指導。体の軸を動かしながら打つことやインパクト時のイメージをしっかり持つことなどを実践練習で経験させ、技術向上を後押しした。参加者の指導陣もつぶさに両講師の指導術を見学し、積極的に狙いを尋ね探るなどした。
参加者の一人、齋藤ひなさん(串本中2年)は「ラケットの握り方や打ち終わった後の面の位置が今までの自分のやり方と違っていて、そこを直してもらって力強い球を打てるようになった。腰を使うと力強い球が打てることも改めて確認できたので、今後の練習に生かしたい。このような機会があったらまた参加したい」とコメント。
両講師によると、現代のソフトテニス競技にも前・後衛があるが、どちらの選手も両方をこなさないと勝てない時代に差し掛かっている。そのため講習では、前後衛問わず全般の技術に触れる指導を意識しているという。
今回の指導に対し杉野さんは「一度にたくさんのことは覚えられないので、今日は何か一つでいいので持ち帰りしっかりとできるようになってほしい」、川口さんは「体をとにかく使って打つことを覚えれば、いろんなプレーがしやすくなる。そのあたりを今日の講習で教えたい」と込めた思いを語った。
(2017年8月31日付紙面より)
那智勝浦ゴルフ倶楽部8月度月例杯
秋季紀南バレーリーグ
ふるさとUターンフェア (新宮市 )
「ふるさとUターンフェア企業説明会2017」が15日、新宮市福祉センターであった。来春卒業予定の大学生、短大生を中心にUターン就職を考えている人が来場し、地元企業の人事担当者らから説明を受けた。
進学などで遠方へ出て行く人にとって地元での就職先の求人情報を得る機会が少ないことから、地元での就職先の情報を提供し、若者の地元雇用・就職を促進しようと帰省中の時期を狙って毎年盆に開いている。
新宮市、新宮商工会議所、那智勝浦町、南紀くろしお商工会、新宮地区職業安定協会からなる「ふるさとUターンフェア実行委員会」主催。25回目の今年は26社(募集枠135)と二つの相談コーナーが参加した。昨年は28社(募集枠151)が参加。38人が訪れ、5人が内定を決めている。
会場内に企業ごとのブースを設け、前半と後半で入れ替わった。それぞれ担当者が個別相談を受け付けた。リクルートスーツなどに身を包んだ参加者たちはパンフレットなどに目を通し、興味のある企業のスペースで話を聞いていた。
新宮市出身の湯川貴生さん(21)は「市消防本部に入りたいと思っており、説明会があると聞いて参加しました。知らないことがあったので、詳しく説明してくれて理解できました」。井戸正樹さん(21)は「いろいろと、職場の中のことを聞けて良かったです。説明を聞き、より一層消防本部に入り、市のために働きたいと思いました」と話していた。
(2017年8月17日付紙面より)
那智勝浦町湯川の日好荘デイサービスセンターで9日、施設利用者を対象に特殊詐欺防止の講話が開かれ、約10人が参加した。
講師は県警察特殊詐欺防止アドバイザーの大山擴さんと更谷正人さん。最初に特殊詐欺の手口が分かる啓発ビデオを見た。
被害者の70%以上が65歳以上の女性。手口で多いのは「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「還付金詐欺」の順で、新宮署でも還付金詐欺などが発生している。県内では7月末で57件、1億3400万円の被害が出ているが、実際には詐欺に遭っても届け出がされていないものもあるという。
特殊詐欺防止アドバイザーは啓発用のビラを配布したり、水際対策として銀行窓口での声掛けの徹底などを指導している。昨年県内では14件、4500万円の被害を防ぐことができた。アドバイザーの大山さんは「特殊詐欺の手口を覚えておいてください」と呼び掛け▽怪しいと思ったらすぐ警察に電話▽一人のとき、お金のことで不安になる電話があったら誰かに相談を▽届いたはがきの裏に裁判にかけるなどの記事が書かれている場合はほとんどがうそ▽怪しい電話は携帯へもかかる―などの注意事項を挙げた。
大山さんは「私たちは特殊詐欺被害ゼロを目指しています。皆さんも十分気を付けて今日の話をどこか頭の隅に入れておいてください」と講演を締めくくった。
(2017年8月17日付紙面より)
各地で盆踊り行事にぎわう (串本町・古座川町 )
盆の時期を迎え、串本町や古座川町の各地で初精霊を迎え送る盆踊り行事がにぎわいを見せた。
古座川町の池野山区(垣秀志区長)は道の駅虫喰岩駐車場にやぐらを組み、14、15の2日間にわたって夜半の盆踊り行事を営んだ。今年の区内の初精霊は17人。やぐら周りに初精霊の灯籠を掲げ、14日は適時休憩をはさみながら約一時間、区役員らの生歌や太鼓に合わせて地踊りなど盆踊りの輪を描いた。
会場の一角には子供向けに金魚すくいやくじ引きといった夜店コーナーもあり、景品がなくなるまで絶えず挑戦を集めた。この日の終盤では追善供養があり、翌15日の終盤は遺族らが灯籠焼きをして初精霊を送り出した。
串本町の中湊区(生熊和道区長)は14日夜、古座小運動場で盆踊り行事を営んだ。今年の区内の初精霊は3人と例年になく少なめで、生熊区長は故人への黙とうを求めつつ開会あいさつ。初精霊の灯籠が掲げられたやぐらを囲み、日の丸扇2本をかざして舞う地踊りを最初と最後の演目として約一時間、老若男女問わず踊り続けた。
会場の一角では青年会「英進社」が金魚・メダカ・ウナギすくいやヨーヨーつり、綿あめや焼きそば、フランクフルトなどの夜店を出し、浴衣や夏の軽装で訪れた子どもやその家族を歓迎した。行事終盤では福引抽選会も行い、一喜一憂のにぎわいを分かち合った。
(2017年8月17日付紙面より)
精霊送り「水辺の灯火」 (新宮市 )
環境保護に配慮した精霊送り「水辺の灯火(ともしび)」(同実行委員会主催)が15日夜、新宮市の熊野大橋下流の熊野川河川敷で開催され、300体の灯籠とちょうちんが並んだ。
盆は先祖の霊を敬い、感謝をささげる大切な行事で「精霊送り」は古くからの風習だが、供え物のトレーやラップなどの使用や有毒ガスを発生させる野焼きが環境汚染の原因になりつつある。同実行委員会では河川環境を守るため、供え物の量を少なくして持ち帰ることなどを市民に呼び掛ける目的で水辺の灯火を始めた。
午後7時30分から市内の遍照院の谷敏朗住職、清閑院の後藤大道住職、瑞泉寺の麻谷正彦住職による読経、焼香と位牌(いはい)のたき上げが行われた。参列者らは次々に焼香し手を合わせていた。
実行委員会の品田顕二郎さんは「皆さんの協力もあり、定着してきてうれしい。今後は高校生ら若い人たちにボランティアでの参加も呼び掛けていきたい。自然環境と伝統行事について考えてもらうきっかけになると思う」と話していた。
(2017年8月17日付紙面より)
新宮花火大会に5万人
熊野徐福万燈祭(第55回新宮花火大会)が13日夜、新宮市の熊野速玉大社下の熊野川河川敷であった。打ち上げ花火約5000発、仕掛け花火約20基が夜の熊野川を彩り、約5万人(主催者発表)の観客を魅了した。
新宮仏教会による初精霊供養、流し燈籠などの後、田岡実千年市長、丹羽生・市観光協会長、山口泰郎・新宮徐福協会代表理事、関康之・新宮商工会議所会頭、屋敷満雄・市議会議長の5人が導火線に点火し、仕掛け花火スターマインが夜空に一斉に打ち上がった。
熊野川河川敷には約150㍍にわたって夜店が並び、子どもらでにぎわった。
(2017年8月15日付紙面より)
那智勝浦町花火大会
那智勝浦町花火大会(大会長・寺本眞一町長)が12日夜、那智湾で開かれた。この日は盆の連休と重なったこともあり、約4万5000人(主催者発表)の観客が夜空に咲く約5000発の花火を楽しんだ。
町民の手作りを大会の基本理念に、同大会実行委員会(大江清一委員長)が中心となって開催しており、今年で11回目。プログラムは、海の章、追善供養、山の章、フィナーレの4部構成で、締めには音楽に合わせて大玉花火を連発した。
会場周辺には開催前から人だかりができ、浴衣姿の来場者も見られた。色とりどりの花火が打ち上がると、「どん」という音とともに衝撃波が伝わり、歓声が上がった。
初めて那智勝浦の花火大会を見たという京都府京都市から来た伊藤大輔さん(32)、久美さん(30)夫妻とその子どもの蒼輔君(2)、花ちゃん(0)は「曲に合わせて花火が打ち上がっていたのが印象的。最高の花火で、京都から来たかいがありました」と喜んでいた。
(2017年8月15日付紙面より)
古座川商店プロジェクト (古座川町 )
古座川町のあらゆるものを発信する「古座川商店」を立ち上げるプロジェクトがこのほど、クラウドファンディングの開始を機に公に動き出した。まちの情報発信力強化を目指す試みで、年内の同商店開設を目指して発起人3人が挑戦している。
町内にある全ての人や物産や事柄を情報発信し、多くの人々に古座川を伝えてファンを作り、究極的には移住推進を図ることまで視野に入れたプロジェクト。発起人はもりとよ商店を営む出身者・森武志さん(41)、農園を営む出身者・松林秀哲さん(42)、デザイン会社を営むIターン者・岩倉昂史さん(23)の3人で、日頃の商売で培った感覚で顧客と地域の架け橋になる仕掛けを思い描いている。
「古座川商店」は、メディアとショップの2機能を兼ね備えた運営形態。メディアとしては地域の日常や生活の知恵を紹介し、住民が観光客の興味をくんで地域情報を伝えるような温かみのある情報発信の仕組みを、物産販売では既存の物産品にとどまらずテナガエビや高齢者仕込みの漬け物、町民同士で分け合っている旬の味覚やアウトドアレジャー体験など、町内で得られるあらゆるものを商品として並べる仕組みを見据えている。
これら仕組みをまずはネットショップとして実現し、将来的には実店舗も構えて生み出したファンが町域を訪ねる筋道づけを目指している。
発起人代表の森さんが数年前に同プロジェクトの発端となる構想を持つようになり、同級生の松林さんやプランニングに秀でた岩倉さんと意気投合したことで「古座川商店」プロジェクトへと発展。内容周知を兼ねてクラウドファンディング(アドレスhttps://camp-fire.jp/projects/view/37281)による資金調達を試みるに至った。
調達期限は10月24日(火)。町域ならではの各種リターンを設定して不特定多数からの支援を求めていて、究極は空き家1軒のリターン(99万8000円、リフォーム必須)も掲げている。
構想加速の引き金は、インターネット上における同町のアピールの弱さに対する3人の共感。「現状は町外に優しくない」と評価した3人は、商売人視点で相手への優しさと運営を支える収益性を意識してこのプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディングは資金調達というよりも、事前にファンを作りその信頼や期待を力にして一緒に挑戦したいという思いで試みているという。
構想を公に打って出る段階に入り、森さんは「物より人に光を当て、古座川町に住む誰もが前を向いて生活する仕組みにしていきたい。そのことが町の価値を高め、生きがいや移住を増やす町の価値の高まりにつながると思う」と同プロジェクトに込める思いを語った。
(2017年8月15日付紙面より)
1年分約15㌧の納入目指す (串本町地産地消生産者組合 )
串本町地産地消生産者組合(山下敏文組合長、会員21人)の学校給食米収穫が12日から始まった。本年度は1年分約15㌧納入を目指し、会員一丸で収穫に励むという。
同組合は平成21年度から、学校給食における地産地消推進に協力し、町内産コシヒカリの納入に取り組んでいる。前年度は全町規模の学校給食が本格化し、年間需要は約4倍(約4㌧→約15㌧)に急増。さすがに即応は難しく、まずは2~3学期分の約11㌧の納入を目指した。
本年度は新たに4人を組合員として迎え21人体制で学校給食米の生産を始めた。新たに再興した休耕地はないが、組合員増強により耕作面積が3・5㌶増え、同組合全体で約22㌶まで拡大し、この体制で年間需要をまかなうことを目指している状況だ。
この日は組合員の坂本渡さん(64)が同町高富にある町営住宅そばの水田を稲刈り。収穫した米の全量を学校給食米に充てるそうで、「『子どもたちがおいしいと言ってくれている』と学校給食センターも喜んでいる。今年も2学期最初の給食から新米を味わってもらえるよう頑張りたい」と意気込んで、約30㌃分を同日中に収穫した。
今年は全体的に豊作傾向だそうで、同組合は約1カ月がかりで収穫の適期を迎えた水田から順次稲刈りを進める。収穫期を迎えて山下組合長(67)は「組合として目指しているのは、年々増える耕作放棄地を少しでも減らしながら安心安全でおいしい学校給食米を届けること。まずは一昨年までのように、年間の必要量を組合でまかなえるよう努めたい」と話した。
(2017年8月15日付紙面より)
日本水泳連盟主催泳力検定
新宮と向陽が第3回定期戦を開催
帰省ラッシュがピーク (熊野地方 )
盆をふるさとや行楽地で迎えようという家族連れなどのラッシュが「山の日」の11日、ピークを迎えた。熊野地方の幹線道路、国道42号では他府県ナンバーの車が増え始め、列車の乗車率も上がっている。帰省した熊野川町出身の60代女性は「墓参りに戻ってきました。孫を連れてきたので、実家の方に行ってみようと思います」と話していた。
JR新宮駅では、京都・大阪方面や名古屋方面からの特急列車に乗って帰省した人々が大きな荷物を抱えて続々と改札を通り、迎えに来た家族と手を振り合う様子が見られた。
改札付近には「お見送り&お迎えコーナー」が設置され、利用客らを出迎えた。盆や春の大型連休、年末年始などに設けており、家族らがホームをのぞき込むようにして列車から降りてくる家族などを捜す姿があった。
駅として地域を元気づけ、利用者に喜んでもらおうと、季節に合わせたさまざまな取り組みをしている。電車を降りた人を出迎えるのは「おかえりなさい!!」の温かな言葉。夏らしいデザインで、駅社員の石野恵美さんが制作した。
駅では「最も多く利用されるお盆の時期は、関西や関東から大勢のお客さまが新宮の故郷に見えられます。安全で安心して利用できる列車で来られるお客さまに、温かい雰囲気でお迎え、お見送りするためのコーナーを作りました。お客さまに『新宮駅に来てよかった』と感動していただければ、私どももうれしく思います」と話していた。
(2017年8月13日付紙面より)
体育文化会館で強化合宿 (那智勝浦町 )
きのくに和歌山国体での総合優勝を記念して県レスリング協会(森下正紀会長)と県高等学校レスリング専門部は9日、国体レスリング競技の会場にもなった那智勝浦町体育文化会館で強化合宿をスタートさせた。16日(水)まで行われ、最多で約350人が練習に参加する。
合宿は参加者の競技力向上と地域のスポーツ振興を図るのが目的。町体育文化会館は元国体会場であることに加え、マットが6面使用でき、旅館も近いといったメリットがあるため、全国の選手を集める強化合宿の会場として定着してきた。今回で8回目になる。
早稲田、専修、近畿、桃山学院などの大学をはじめ、近畿各府県や遠くは沖縄から高校レスリング部、社会人チーム、地元の小中学生チームが参加。中には各世代の日本チャンピオンもいる。アトランタ五輪銅メダリストで早稲田大レスリング部監督の太田拓弥さんら各参加団体のコーチが指導している。
練習開始前に太田さんは「練習も今年で8年目を迎えて、年々参加人数が増えてレベルも上がってきている。小中高校、全日本レベルの選手が一堂に会するのは日本でもここだけだと思う。レスラーとして模範となるような行動を心掛けて」と呼び掛けた。
1988年のソウル五輪で金メダルを獲得し、現在専修大学のレスリング部監督を務める佐藤満さんは「多くの人が環境を用意してくれたおかげで練習ができる。環境づくりをしてくれた人に感謝して自分をマネジメントし、強い選手、相手の難しい選手を見つけて練習をお願いして。考えて行動できる選手がチャンピオンになる」と選手たちを鼓舞した。
(2017年8月13日付紙面より)
第34回土と水と緑の学校 (新宮市 )
第34回「土と水と緑の学校」(新宮市など主催)の閉校式が12日、同市高田の高田グリーンランドであった。今年は台風の影響で日程を2日短縮し、新宮市の姉妹都市、宮城県名取市の小中学生10人は参加できなかったが、3泊4日の日程を無事終えた。
大自然の中、地球の基本である土、水、緑について学び、その役割、大切さに気付いてもらうことを目的に毎年この時季に開校している。閉校式では参加した児童生徒90人が4班に分かれ、共同生活で学んだ成果を替え歌などで発表。「ホエールウオッチングでは船酔いした人もいたけど楽しかった」「カヌーが楽しかった」「最初は仲間とあまり話せなかったけど、最後には仲良くなれた」などと話した。
参加者たちに修了証を手渡した校長の田岡実千年新宮市長は「自然の美しさ、海の雄大さ、自然の役割を感じてくれたと思います。学校で感じたことをこれからの生活に生かしてください。また来年もお会いできることを楽しみにしています」とあいさつした。
公益社団法人アジア協会アジア友の会の村上公彦事務局長は「台風の影響で2日間短縮しましたが、プログラムを良く組めたと思います。各活動を見て回りましたが、みんな元気によく頑張っているなあと思いました」と講評した。
(2017年8月13日付紙面より)
新宮サマーサッカーフェスティバル
創建1700年を祝い (熊野那智大社 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で6日、舞踊指導者で構成する「三踊(さんよう)の会」による創建1700年を祝う舞の奉納があった。
会のメンバーは西川友千恵さん(日舞)、川上邦子さん(現代舞踊)、竹中みどりさん(フラ)の3人。いずれもこの地方の先駆者的存在で、尾鷲市から串本町間で多くの踊り手を育ててきた。午後6時すぎのスタートにもかかわらず、拝殿には約100人の関係者や一般の人たちが集まり、3人の踊りに見入った。
奉納は竹中さんがフラの打楽器イプヘケで大王をたたえる曲「カラカウア」を演奏して始まり、川上さんが熊野の地で守られ、今があることにお礼の気持ちを込めて「熊野に生きる ありがとう」を静かに、時には躍動的に全身で生の喜びを表現した。竹中さんは笑顔を絶やさず、柔らかな動きで世界の平和を祈念しつつ、「ハナレイ・ムーン」を。西川さんは、神の前で踊れる光栄を胸に秘め、りんとした舞いで「四君子」をみやびに表現。三者三様の踊りで大社の歴史と存在に、改めて感謝を表現した。踊り終えた3人は「この年まで踊れ、本当に幸せ」「緊張したが神を感じた」「踊りがあったから、熊野が好きになった」などと、それぞれに思いを語った。
男成宮司は三踊の会に感謝状を授与。「素晴らしい踊りの奉納」とたたえながら「踊りは神にささげるところから始まったと思う。道を究められた先生方だが、さらに高みを目指してご精進を」と一層の活躍を願った。
(2017年8月9日付紙面より)
台風5号、紀伊半島通過
台風5号は7日午後3時30分ごろ和歌山県北部に上陸し、熊野地方にも激しい雨を降らせた。那智勝浦町では天満地区薬師谷付近の4世帯に避難勧告が発令され、田辺市本宮町では午後1時に大塔川の水位が上昇、川湯地区の30世帯に避難指示が出された。同日午後7時ごろまでには雨もやみ、避難発令も全て解除された。8日午前11時現在、大きな被害の情報は入っていない。
気象庁によると7日の雨量は三重県御浜町で206・5㍉を観測、古座川町西川276・0㍉、新宮市で165・5㍉だった。
那智勝浦町では7日午前8時40分に町内6地区に避難準備・高齢者等避難開始が発令され、市野々小学校に13人、福祉健康センターに9人、体育文化会館に7人の計29人が避難した。新宮市では旧新宮市内7カ所、旧熊野川町内に14カ所の避難所を開設。午後1時には33世帯47人が避難した。
古座川町では平井地区11人をはじめ、町内の10カ所の避難所に計28人が避難した。串本町では田原、古座、姫、串本、上田原の5地区で9世帯10人が避難した。
関西電力によると那智勝浦町で40戸、古座川町で20戸が停電した。
県の調べでは田辺市神子浜で80歳の女性が風にあおられ転倒して軽症、和歌山市西浜で76歳女性の原動機付き自転車が風にあおられ軽乗用車と接触して骨折するなど人的な被害が出ている。日高川高津尾の鳴滝歩道橋つり架線が断線するなど物的被害も県北部に集中している。
気象庁によると台風5号は8日午前8時現在、新潟県糸魚川市の北西約40㌔にあって、北北東へ1時間に25㌔のゆっくりした速さで進んでいる。
(2017年8月9日付紙面より)
にぎわった「紀和の火祭り」 (熊野市 )
熊野市紀和町小川口の北山川河川敷で5日、「紀和の火祭り」が催された。近づく台風の影響が心配されたが、主催者発表で約3500人が炎の祭典を楽しんだ。実行委員会(岡本尚委員長)が主催した。
午後6時には夜店がオープン。紀和特産のキジ肉の手羽焼きなど地元特産品が並び、ビアガーデンも人気を集めた。高さ20㍍の柱に取り付けた籠に燃えるたいまつを投げ込む「柱まつり」では、50人の若者がたいまつをくるくると回しながら籠をめがけ、次々に放り投げた。たいまつが命中すると、中に仕掛けられた花火が火を噴き、周囲を明るく照らし出して来場者から大きな拍手が送られた。
この行事は、あらゆる災害をたいまつとともに夜空に放つことで、いかだ流しのいかだ師たちの安全や無病息災、豊漁、五穀豊穣(ほうじょう)などを願う伝統行事。一時途絶えていたが、有志が復活させ、今年で29回目。ソーラン踊りや地元出身のプロ歌手紀の川良子さんのミニコンサートなどに続いて、幕末に住民が作った木製大砲「北山砲(づつ)」の発射や打ち上げ花火もあった。
河上敢二熊野市長は過疎高齢化が進む紀和町に「スポーツ人口が増えている」と喜び、岡本委員長は「今から本当の火祭り。見てね」と気勢を上げた。
(2017年8月9日付紙面より)
福竜丸歴史展関係イベント (串本町 )
串本町役場古座分庁舎で5、6の2日間、「第5福竜丸=第7事代丸建造70年歴史展」関係イベントが開かれた。6日の対談では東京都立第五福竜丸展示館の市田真理学芸員と同展を監修した仲江孝丸実行委員が語り合った。仲江実行委員は「国連の核兵器禁止条約採択のきっかけがビキニ事件であり、それを世界に知らしめたのが第五福竜丸。建造の地の一人として次の世代にそう語り継げるよう今後も取り組む」と思いを掲げた。
福竜丸の歴史展実行委員会(藤田勝彦会長)主催、同町教育委員会後援。同展は1日から6日まで同庁舎1階ロビーであり、マグロ漁船第五福竜丸の前身であるカツオ漁船第七事代丸を建造した古座造船所や立地・字中洲の歴史と第五福竜丸が被ばくしたビキニ事件から核兵器禁止条約採択までの経緯を並列させた構成で史実を伝えた。
併せて5日は同庁舎3階大会議室で映画上映があり、約80人がドキュメンタリー作品「放射線を浴びたX年後」を鑑賞。太平洋域における核実験の影響、とりわけ第五福竜丸以外の被ばく漁船や船員らがどのような扱いを受けその後を生きたかを遺族の心境談話も交えて知る機会を持った。
6日の講演と対談は約40人が聴講した。藤田会長のあいさつを経て始まった講演では、東京都立第五福竜丸展示館の市田学芸員が「第五福竜丸の航海はつづく」と題して登壇。
今年2月のマーシャル諸島(=実験場となったビキニ環礁を含む海域)における聞き取り調査の成果として現地の人々の実直な思いを伝達し、7月に国連交渉会議で採択された核兵器禁止条約との対比で「陸揚げされ海を進むことはもうないが、核兵器のない未来に向けて今も航海を続けている」と現在の第五福竜丸を位置づけた。
続く対談で仲江さんは字中洲の歴史や古座造船所がカツオ漁船第七事代丸を建造した経緯など、市田さんは第五福竜丸被ばく後の調査が打ち切られた時の状況やその後も続いた太平洋での核実験の経緯などを報告した。
会場からは大腸がんになる日本人が多いことと核実験の因果関係を問う質問などがあり、市田さんは「長期被ばくについては誰も責任が負えず、誰も評価できないのが現実」としつつ、後の調査で明らかになった放射性物質拡散状況を示す資料の一部を示し、当時はとんでもない環境汚染があったことを示唆するなどした。
一連のイベントを終えて藤田会長は「この地で第五福竜丸の前身、第七事代丸が建造され、原水爆禁止運動の礎になっているという経緯を改めて認識する機会になった。この成果をしっかりと次世代へつなぎ、一日も早く核のない世界を作る一端にできれば」と語った。
(2017年8月9日付紙面より)