スギやヒノキ次々と落札 (新宮市 )
新宮原木市場(谷口泰仁社長)は22日、新宮市あけぼのの同市場貯木場で「新春初市」を開いた。新宮周辺地域を中心に買い方が集まり、開始の合図とともにスギやヒノキが次々と競り落とされた。
同市で木材の市売(いちうり)販売が始まったのは1956(昭和31)年。当地の有力原木生産業者が共同事業体として「新宮電柱木材協同組合木材市売部」を創設した。その後、利用度の増大に伴い公共性が重視され、新宮木材協同組合が中核となり66(昭和41)年、現在の原木市場が設立した。
77(昭和52)年には全国植樹祭の一環行事として「第1回熊野木まつり」展示即売会を開催。以降、毎年4月の恒例記念行事となっており、熊野材のPRや需要開拓などに取り組むきっかけとしている。
今年の初市は、新宮紀宝道路事業に伴う道路拡幅工事のため昨年に引き続き上貯木場で開催。熊野川町や那智勝浦町、古座川町などから樹齢60年以上のスギやヒノキ約1200立方㍍(約7800本)が出荷された。
開催に当たり、谷口社長は「新型コロナウイルスの感染者数が毎日のように更新されており、あらゆる業種が大変厳しい状況に直面していると思う。皆さんも健康に留意し、この局面を乗り切ってほしい」とあいさつ。
「今年、新宮原木市場はお客さまに喜んでいただけるように基本に立ち返り、昨年以上に材の安定した出荷に努めてまいりたい。役職員一同、市場の運営にまい進していく所存」と誓いを新たにした。
(2022年1月23日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(布引伸幸校長)で18日、薬物乱用防止講座があった。3年生32人が同町にある、なごみ薬局の薬剤師で産業カウンセラーの小林仁さんから薬物の危険性などを教わった。
小林さんは日本と国外の大麻所持などについて、合法な国でも日本国籍者には罰則になると述べ「国外でも大麻をみだりに輸出や栽培、譲渡、所持の行為を行った者は大麻取締法による処罰の対象となる」と説明。「覚醒剤」「コカイン」「大麻」「危険ドラッグ」の特徴や実害などもスライドを使用して紹介した。
違法薬物では中学生の逮捕事例を取り上げ「薬物は皆さんのすぐそばまで来ています。インターネットではあたかも大麻は害が少ないなど、日本の法律が遅れているかのように書かれているサイトがある。実際は依存症に苦しんでいる人がたくさんいます」と語った。
薬物の使用や再犯防止の方法として▽薬物を使わなくてもいられる社会▽再犯しない立ち直れる社会▽依存しなくても生きていける自信―を挙げ「誰にでも失敗はあります。いつでも何度でもやり直すことができる。周囲が差別や偏見を決して持たず、それを認めチャンスをあげることが大事」と伝えた。
山本華子さん(14)は「小学校の時に受けた授業では分からなかったけど、薬物に手を出すと抜け出すことが難しいという恐怖を改めて感じました。若い女性が想像以上に使用していたことにも驚いた。少しでも薬に手を出さないきっかけにするためにも自分自身はもちろん、他の人たちを孤立させないような環境を意識していければ」と話していた。
(2022年1月23日付紙面より)
新宮・東牟婁地域のトップを切って22日、新宮市の近畿大学附属新宮高校(池上博基校長)で令和3年度(第57回)卒業証書授与式が挙行された。卒業生108人が感謝を胸に学びやを巣立ち、それぞれの道へ一歩を踏み出した。
本年度は新型コロナウイルス感染対策のため保護者・在校生の出席は取りやめ、オンラインで式の様子を中継した。
池上校長が4クラスの代表者に卒業証書、各賞受賞者に表彰状を授与。式辞では「人に愛される人、人に信頼される人、人に尊敬される人になろう」の校訓の下で喜びを分かち合い、人間関係を築いてきた生徒たちの学校生活に触れ、「愛し愛される、信じ信じられる、敬い敬われる。この表裏一体の関係を大切にすることで、自らの充実した素晴らしい人生につながり、社会に貢献できる人に成長することができる」とはなむけの言葉を贈った。
在校生を代表して濱田青葉君(2年)が送辞。卒業生を代表して岡地優希君が、個性豊かな同級生に囲まれた3年間の思い出を振り返り「この学校に入学して、みんなに出会えたことをうれしく思う」と語り、教職員、保護者、在校生へ感謝の気持ちを伝えた。
(2022年1月23日付紙面より)
なちかつGGCクラブ大会
近畿高校空手道大会で好成績
熊野那智大社で節分準備 (那智勝浦町 )
2月3日(木)の節分を前に那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)では9日から「鬼面札」や福升の準備が行われている。ピークを迎えた14日は神職や巫女(みこ)が真剣な表情で鬼面札作りの作業を進めていた。
災難よけのお札「鬼面札」と縁起の良い「福桝(ふくます)」を作っている。鬼面札はしめ縄の輪の中に赤鬼・青鬼を封じ込めた図柄で1969年に3代前となる篠原四郎元宮司が作成した木版画で翌70年から授与。独特の絵柄が人気で昨年末から予約が入るという。
神職が縦35㌢、横45㌢の画仙紙に那智の滝の水で溶いた墨を版木に付け1枚ずつ刷り出し、巫女が「那智宮印」を押して、2000枚を仕上げる。モミの木製の福升は5合升で1升の半分であることから「繁盛(半升)升」ともいわれ350個作るという。
𠮷田遥紀権禰宜(ごんねぎ)は「コロナ禍が続くと、多くの皆さまが気疲れしてしまい、これもまた厄災のきっかけとなってしまう。鬼面札は厄災よけ、家内安全の札。いま一度、用心していただき、新型コロナウイルス終息と皆さまが穏やかな一年をお過ごしいただけるように祈り、作成しております」と話した。
鬼面札はすでに社頭で授与されており、郵便授与の受け付けは15日から開始。鬼面札は1枚800円、福升は1500円、福豆が300円。郵送授与希望時は別に送料が必要で、申し込みはFAX(0735・55・0643)かメール(nachi@kumanonachitaisha.or.jp)で受け付けている。問い合わせは同大社(電話0735・55・0321)まで。
同社によると、来月3日の節分行事はコロナ対策を万全に施し、例年通り実施する予定だという。
□ □
西国三十三所第一番札所である那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)では例年多くの参拝者が訪れる「節分会」を新型コロナの感染拡大防止の観点から中止する。
同寺によると、節分で使用する祝升(いわいます)の作成や豆まき行事は実施せず、本尊の如意輪観世音菩薩の開帳と祈とうのみ執り行うという。
髙木住職は「節分の準備を進めていたが、コロナの感染拡大に伴い、急きょ中止といたしました。残念だが、来年こそは通常通りできることを祈願しております」と語った。
(2022年1月16日付紙面より)
那智勝浦町実行委員会が設立
那智勝浦町でこのほど、全国棚田(千枚田)サミット那智勝浦町実行委員会(会長=堀順一郎町長)が設立された。14日、同町天満の町体育文化会館で設立総会および第1回総会があり約20人が出席。規約制定や予算を承認したほか、役員選出では那智勝浦観光機構の清水貞吾理事長を副会長に、酒井清崇東牟婁振興局長とみくまの農業協同組合の漆畑繁生代表理事組合長を監事に選出した。
全国棚田サミットは、1次産業に対する意識の向上を図るとともに、棚田の魅力を再発見し、美しいふるさとの風景を次世代につなぐ契機とするために開催。令和5年度に同町で第28回サミットの開催が計画されており、全国から200~800人程度が参加する見込み。委員会は同サミットにおいて円滑な運営を図ることを目的に設立。サミットでは基調講演や交流会などを予定している。
同町では色川が指定棚田地域に指定されており、中でも小阪の棚田は「棚田を守ろう会」が30年以上休耕していた田を復活させ保全に取り組んでいる。また、県が指定する美しい棚田・段々畑として認定している色川南平野の棚田も存在。その他の区でも山間部の厳しい環境で耕作をしていたことが分かる。
なお、高津気地区に棚田の広がる地域はあるものの、2011年の紀伊半島大水害により農業用施設が被災され耕作できない状態が続いているが、しし垣といわれる施設もあり、獣害対策とともに棚田地域を有する里山の暮らしを残している。
19年12月に旧色川村地域が指定棚田地域に指定。20年6月に色川棚田地域振興協議会が設立。同年8月に活動計画が認定されており、同地区における棚田を活用した地域振興活動が展開されている。
開会に当たり、堀町長は「新型コロナウイルス感染症の影響もあるが、収束に向かうのではという気持ちを持ちつつサミットに備えたい」と成功に向けて協力を呼び掛け。
「町には素晴らしい棚田がある。しかし全国的には耕作放棄された棚田も多い。棚田を復活し伝統文化を残すために頑張っていきたい」とあいさつした。
委員会会議では▽規約の制定および改廃▽町棚田サミットの基本事項▽予算および決算▽その他町棚田サミットにおける重要事項―に関することを審議決定する。
(2022年1月16日付紙面より)
飛鳥神社でお弓神事 (太地町 )
太地町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で13日、航海安全や大漁などを祈願する「お弓祭り(お弓神事)」が営まれた。漁業関係者などの参列者が境内の的を目掛けて全力疾走し、「セミ」を取り合った。
髙橋宮司によると、以前は多くの漁師が祭りに参加していたため、漁から戻って作業を終える夕方に行われていたという。
セミクジラを模した木製のセミは毎年、手作りの縁起物で直径約1・2㍍の的に三つ取り付けられる。本来は的を松に固定する留め具として用いられていた。セミを手にした人は大漁と航海の安全に恵まれるといわれており、持ち帰って家の神棚や床の間、船などに祭られる。
髙橋宮司が矢を放つのと同時に参列者らが一斉に的まで駆け寄り、セミを奪い合った。「今年は取れた」「よし、取れた」とセミを手にした3人は笑顔で喜んだ。
その後、鬼と見立てた的は参列者らが手で破り、切り分けた。松や竹の枝と共に的を玄関に飾ると破魔矢同様に魔よけになるとされ、参列者がうれしそうに持ち帰る姿が見られた。
祭りを終え、髙橋宮司は「昔は町の大半が捕鯨に関わっていたため、海の安全や大漁を祈ったが、時代とともに働き方も変わっている。現在はそれらに加え、家内安全や商売繁盛の意味も込められている。一年の邪気を払うとともに、皆さまにとって良い一年であることを祈っています」と話した。
(2022年1月16日付紙面より)
近大新宮中で前期入試 (新宮市 )
新宮市の近畿大学附属新宮中学校(池上博基校長)は15日、中高一貫コースの前期入学試験を実施した。児童46人(男子17、女子29)が受験し、国語と算数の筆記試験や面接に臨んだ。
試験実施に当たり同校は▽試験室の机・椅子の消毒▽受け付けでの手指消毒と検温▽換気▽付き添いの保護者を1人に制限―などの新型コロナウイルス感染対策を取った。
緊張した表情で入室した児童たちは、教職員から受験に関する諸注意を受け、気を引き締めて試験の問題に向かった。合格発表は19日(水)に、本人宛てに試験結果通知書が郵送される。
後期入学試験の出願期間は2月2日(水)~7日(月)必着。試験日は12日(土)、合格発表は16日(水)を予定している。
□ □
■高校前期入試日程
近畿大学附属新宮高校の前期AO入学試験および一般入学試験の出願期間は1月19日(水)~25日(火)必着。試験日は29日(土)、合格発表は2月2日(水)に試験結果通知書を本人と出身中学校長宛てに発送する。
問い合わせは近畿大学附属新宮高校・中学校(電話0735・22・2005)まで。
(2022年1月16日付紙面より)
市内小学生の絵はがきを審査 (新宮市 )
新宮市野田の市福祉センターで12日、令和3年度赤い羽根絵はがきコンクール審査会があった。市共同募金委員会が主催。同委員会長の田岡実千年市長と社会福祉法人和歌山県共同募金会の髙瀨一郎常務理事、大谷和也副主査、市社会福祉協議会の大谷康央事務局長が審査員を務め、市内5小学校の児童から寄せられた作品を審査。県共同募金会会長賞などに6作品を選んだ。
赤い羽根共同募金は戦後復興の一助として1947年に始まった住民主体の活動。当初は戦後復興の一助として、被災した福祉施設を中心に支援が行われ、その後、法律(現在の「社会福祉法」)に基づき、地域福祉の推進のために活用されてきた。
現在は、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、さまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を応援する「じぶんの町を良くするしくみ」として取り組みを展開している。
10月からの運動期間に合わせ、市では市内の子どもたちに街頭募金への協力を呼び掛け運動を展開。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響でおととしの募金活動は中止となり、昨年は田岡市長や市社会福祉協議会職員らが市内で募金への協力を呼び掛けた。
そんな昨今のコロナ情勢を鑑み「活動が制限される中でも子どもたちに広く運動および活動の趣旨を伝えることができれば」と同コンクールを初企画。昨年秋に市社協職員らが市内小学校でオンラインを交えながら「赤い羽根共同募金」の授業を実施しつつ、「私たちの町でみつけた! 人のつながり」をテーマに定めたコンクールへの参加を呼び掛けていた。
第1回のコンクールには、短い募集期間(昨年10月1~31日)にもかかわらず196枚の作品が寄せられた。審査会では最終審査に残った109枚から田岡市長らが▽県共同募金会会長賞(1点)▽市共同募金委員会会長賞(同)▽市社会福祉協議会賞(同)▽審査員特別賞(3点)―を選定。「こういうふうに使われているというメッセージ性が高い」「絵から作品テーマである、人のつながりが感じられる」「共同募金の意味を理解してくれている」などと講評した。
審査を終え、田岡市長は「レベルの高さに驚いた。この取り組みが共同募金の理解につながっていくことを願います。たくさんの応募に感謝」と話していた。
応募作品は2月以降に市福祉センターで展示予定。入賞作品は市社協広報紙「Assist(アシスト)」3月号にて掲載されるほか、3月には表彰式も予定している。
(2022年1月14日付紙面より)
塩竈神社で「脊美祭り」神事斎行 (那智勝浦町 )
那智勝浦町浦神の塩竈(しおがま)神社(井谷正守宮司)で9日、伝統の「脊美(せみ)祭り」が営まれた。祭り関係者約10人が参列し、商売繁盛や船の安全などを祈願した。
脊美まつり保存会(会長=並川廣・浦神西区長)が祭りや歴史を継承し、古来捕鯨の歴史を持つ同区でセミクジラを模したわら製の「脊美」を縁起物として用いる祭り。過去には成人の儀式として行われていたとされている。長年、捕鯨文化を継承していることから2016年に日本遺産「鯨とともに生きる」に認定された。
例年は井谷宮司が「鬼」と書かれた的を矢で射抜くと同時に、3人の脊美子が取り付けられた脊美を一斉につかみ取り西区区民会館まで全力で駆け抜ける儀式や東区の勇義社(畑下圭喜社長)による勇壮な獅子舞奉納、脊美音頭などを披露しているが、新型コロナウイルス感染症の影響から昨年に続いて規模を縮小し、神事のみの斎行となった。
厳かな雰囲気の中、井谷宮司が神事を執り行い祝詞を奏上。参列者が玉串をささげていき、コロナ収束を願った。
並川区長は「無事に神事を終え安心した反面、2年連続の規模縮小はつらい。私たちはじめ、世話人の方々の高齢化も進んでくるため、伝統を引き継ぎながらも祭事の改善を考えなければならないのではと思っています。来年こそは通常の祭りができるよう、諦めずに信じていければ」と話していた。
(2022年1月14日付紙面より)
関係機関等と合同で訓練 (串本警察署 )
串本町上野山にある上野山防災広場で12日、串本警察署(泉政勝署長)とその関係機関等合同の災害警備訓練があった。大規模災害発生時の警察との連携を意識して関係機関等も救助訓練に臨む内容で、南海トラフを震源域とする大地震発生から6時間後という想定で態勢構築から救助まで一連の流れを実践した。
この訓練は、同署が阪神・淡路大震災の期日を踏まえて計画。同署現地本部を軸にして連携し人命救助の態勢を構築して実動する内容で関係機関等に合流を呼び掛けた。
当日は▽県警本部(警備部警備課・警備部機動隊・生活安全部地域指導課警察航空隊・串本警察署)▽航空自衛隊串本分屯基地▽串本町消防本部古座消防署▽串本海上保安署▽串本町役場▽株式会社POS▽県災害救助犬協会―の7機関42人が参加し、救助関係諸機関未踏の被災地に態勢を構築するところから訓練を始めた。
県警ヘリ「きのくに」と串本警察署配備のオフロードバイクで被害状況を確認し、得た情報を防災相互通信用無線機や衛星電話を用いて関係機関などと共有し応援を要請。株式会社POSと県災害救助犬協会が調査に協力して倒壊家屋と損壊車両に閉じ込められた要救助者を発見し、同家屋は消防が救出して海保が搬送、同車両は警察が救出し自衛隊が搬送する形で救助を実践した。
警察と消防が有するそれぞれの救出に秀でた資機材とその操作技術を被災地で最大限行使するために他の機関が調査や捜索、要救助者の搬送やがれき撤去などの支援をし、被災地における災害対処能力を効率的に引き出すのが今回の連携の全体像。
同基地の中津洋紀司令と共に訓練の始終を見届けた泉署長は同訓練の主眼を参加人員に改めて伝え「どの機関も真摯に取り組み、成果があったと思う」と講評。「訓練に終わりなし。要救助者を救える仕事に就いている自覚を持ち、自身や同僚、第三者を危険にさらさないため今後も向上を目指して(訓練を)継続してほしい」と呼び掛けて締めくくった。
(2022年1月14日付紙面より)
熊野那智大社にまりひめ奉納 (那智勝浦町 )
那智勝浦町苺(いちご)生産組合(桒野稔近(くわの・としちか)組合長)とJAみくまの農業協同組合が13日、熊野那智大社(男成洋三宮司)に和歌山県のオリジナル品種のイチゴ「まりひめ」約9㌔を奉納した。
那智勝浦町産のイチゴの振興と豊作を願い、この時季に毎年奉納している。今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、昨年に引き続き生産農家や町立市野々小学校児童、同生産組合のマスコットキャラクター「まりりん」、同町イメージキャラクターの「なっちー」らの参列をやめ、平安衣装によるイチゴの振る舞いも中止とした。
神事には桒野組合長と坂地安明副組合長、JAみくまの農業協同組合職員ら合わせて4人が参列。巫女(みこ)が「那智の瀧舞」を奉納し、代表して桒野組合長が玉串をささげた。
最盛期には、栽培面積4・5㌶で45人のイチゴ農家が生産に従事していた同組合。しかし生産者の高齢化などが原因で栽培が減少傾向となっていた。
現在は若者を中心に再建され、9軒の農家が約65㌃の農地でイチゴを栽培している。まりひめは紀州の伝統工芸品「紀州手まり」にちなみ、命名された東牟婁地方を代表する特産品。同町太田地区が主要産地で、果実は大きめで甘味が強く酸味もほどよいのが特徴だ。
神事後、男成宮司は「新型コロナの影響で厳しい状況にあるが、町を代表する果物を心待ちにしている人も多い。豊作と組合の発展、農家の皆さまのご健勝をお祈りしております」と感謝。
桒野組合長は「前年に比べて採れ出しも早く味も良かった。年末には観光客も多く売れ行きが良かった」としつつも「今年に入ってまた感染が拡大しつつある。観光客の減少はイチゴや農業にも関係してくる。早期のコロナ収束を願っています」と話した。
「まりひめ」は現在、出荷のピークを迎えている。
(2022年1月14日付紙面より)
バレーボール体験会 (新宮バレーボールスポーツ少年団 )
OBらも参加し伝統の寒稽古 (新宮剣友会 )
新宮高とトルベリーノが合同合宿
「ふるさとの田んぼと水」子ども絵画展 (北山小 )
全国水土里(みどり)ネットが主催する「ふるさとの田んぼと水」子ども絵画展2021の審査結果がこのほど発表され、北山村立北山小学校(松本広明校長)の岡こころさん(6年)が文部科学大臣賞、市村亜莉朱(ありす)さん(同)が日本政策金融公庫農林水産事業本部長賞を受賞した。11日には同村大沼の村民会館で表彰式が行われ、山口賢二村長から表彰状を受け取った。
絵画展は子どもたちに田んぼや農村に関心を持ってもらい、田んぼやため池、農業用水路などの風景、大切な水路を守っている人たちの姿を通して水の循環や環境保全への理解を促し、大人たちへのメッセージとして子どもたちのまなざしを届けることを目的に毎年開催している。
今年のテーマは「新発見!わたしたちのふるさと自慢」。全国4120点の中から入賞6点、企業賞27点、入選150点、地域団体賞45点が選出された。同校では初めての応募となり、2部門で受賞。2人の作品は昨年12月4日から11日まで東京都美術館に展示され、今後は今月末まで村民会館に飾られる。
表彰式では、松本校長が受賞までの経緯を説明し「北山小、中学校のみんなにとっても誇りであり、自信につながります」とあいさつ。山口村長が「報告を受け驚いたと同時に、大変うれしくなった。今後も応募を続け、再び素晴らしい賞が得られるよう頑張ってください」とたたえ、岡さんと市村さんに表彰状を伝達した。
岡さんは「こんなにいい賞を頂けてうれしいです。地域の特産物であるじゃばらを懸命に収穫している姿を伝えたいと思った。これからもいろんな作品で村のことを知ってもらいたい」。
市村さんは「まさか自分が受賞できるとは思っていなかったのでうれしい。私が大好きな牛を育てている牧場の人を考えました。この先も絵など、たくさん描いていければ」と話していた。
(2022年1月13日付紙面より)
南紀熊野ジオパーク探偵団
南紀熊野ジオパークをフィールドに中高生が自然や環境について調査研究をする「南紀熊野ジオパーク探偵団」(団長=東垣(あずま・わたる)・南紀熊野ジオパークセンター長)の活動発表会が8日、オンラインで開かれた。漂着海洋ごみの調査に参加した県立新宮高校、海南高校、田辺高校の生徒や研究者ら約20人がそれぞれの視点で意見を交わした。
昨年発足した同探偵団は「think locally, act globally(地域で考え、地球規模で行動)」をモットーに、地元が抱える問題解決に向けて生徒たちが自立的に考え、世界に情報発信していくことを目指している。本年度の研究テーマは「海洋環境を考える」で、昨年10月に有志の生徒らが新宮市の三輪崎海岸および白浜町の志原海岸で漂着海洋ごみの収集、分類、計量調査を実施した。
新宮高校の坂本美波さん(2年)は社会科学の視点から、リデュース(ごみの発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)に向けて個人・企業が取り組むべきことを発表。「身近にある海のことですら知らないことが多かった。今後、国際交流の場で研究成果を発表する予定で、自分の視点を大事にしながら結果を伝えていきたい」と語った。
寺地航琉君(同)と深瀬孔一朗君(同)は「生物に有害な環境ホルモンへの対策」と題し、両海岸で収集した環境ホルモンを含むと思われるごみの単位面積当たりの重さを算出して比較。「三輪崎海岸ではペットボトルが多かった」と言い、地域と協力してごみ収集に取り組む重要性を述べた。
調査をサポートした京都大学学際融合教育研究推進センターの島村道代さん(地球環境科学博士)は、最新の研究にも触れつつ「昔は瓶などのリユースできる容器が一般的だったが、なぜプラスチックに置き換わったのか。経済合理性や歴史的背景を考えることも重要。環境ホルモンは、プラスチックへの添加物と、環境中に排出された殺虫剤成分DDTなどの汚染物質をプラスチックが吸着する作用の両面から考える必要がある」と言及。
東団長は「とてもレベルが高かった。海洋ごみは漂着するものもあれば、太平洋で浮遊するもの、海底に沈降するものもある。世界規模の視野でも、ミクロの視点でも考える必要がある非常に面白い問題。皆さんの可能性は無限に広がっている。それぞれの視点を生かして研究を続けて」と講評した。
(2022年1月13日付紙面より)
串本古座高校で来年度から (和歌山県 )
和歌山県が12日、県立串本古座高校における普通科宇宙探究コース新設に向けた取り組みを来年度から始めることを発表した。
小型ロケットの打ち上げ開始をきっかけとした県南部活性化のための取り組み。県教育委員会県立学校教育課と要する関係先との接点を複数有する県産業技術政策課が両輪となり、宇宙に関心を持つ生徒を県内外から呼び込んで生徒数確保を図りつつ同校魅力化プロジェクトを通して培っている地域との連携も生かして目的の達成を目指す。
両課は2024年度に同コースを新設する着地点を見据えてロードマップを描いていて、22年度以降の全入学生を対象に総合的な探究の時間の単元として「宇宙関連学習」を導入し、併せて部活動における宇宙との接点の充実や関連イベントなどへの生徒参加を積極推進する。23年度普通科グローカルコース入学生を対象に選択科目「宇宙科目」〈2年生より選択可〉を暫定的に導入(コース新設に伴う再編の検討が今後あるため)し、24年度から普通科宇宙探究コースを選択できる筋書きとなっている。
これら段階的に進む同マップの実現に向け、受け入れ側は22年度から2カ年計画でカリキュラムや広報戦略の検討を始め▽宇宙教育の専門的知見を有する者を教員として採用▽有識者や企業などによる検討委員会運営▽受け入れ環境の整備―など要する素地の構築を進めるという。宇宙専門のコース設置は公立高校では全国初の事例という。
(2022年1月13日付紙面より)
宇久井ビジターセンターで (那智勝浦町 )
正月に飾る赤い実といえばセンリョウ・マンリョウ・アリドオシ。「千両万両有り通し」の語呂合わせで、三つを並べて金運アップや商売繁盛の願掛けをする縁起物だ。
アリドオシはとげのある見た目から別名「オニノメツキ」ともいい、一両に相当するのだが、実はその間の十両と百両に当たる植物もある。
十両はヤブコウジ、百両はカラタチバナという植物で、いずれも冬につややかな赤い実を付ける常緑低木である。より大きな赤い実を付けるミヤマシキミを「億両」と呼ぶ人もいる。豪華な名前は、色味の少ない冬の森で、枝いっぱいに付いた実を大金になぞらえたからだそう。
那智勝浦町の環境省宇久井ビジターセンターでは現在、一両、十両、百両、千両、万両の五つの縁起木を並べて展示している。カラタチバナ以外は全て園地内で採取したもので、同センターは「それぞれの植物の違いなどを見比べてもらえれば」と呼び掛けている。
開館時間は午前9時~午後5時で、水曜日休館。
(2022年1月13日付紙面より)
飛瀧神社で牛王神璽祭 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)の別宮飛瀧(ひろう)神社で8日、牛王神璽(ごおうしんじ)祭が営まれた。「牛王杖(ごおうづえ)」と呼ばれるヤナギの枝でカシの板を打ち鳴らし魔をはらい、霊験を高めて「牛王神符」を仕上げた。
牛王神符は熊野三山に伝わる特有の神札で魔よけ、災難よけのお守り。熊野の神の使いとされる八咫烏(やたがらす)の絵文字が描かれており、同大社では72羽のカラスで「那智瀧宝印」と記されている。
元日早朝に那智の滝からくみ上げた若水で墨を溶き、翌2日からの初刷りから毎日、本殿で祈とうが続けられてきた。満願を迎えたこの日は多くの参拝者が見守る中、神事が執り行われた。
男成宮司らが無病息災などを祈り、仕上がった100枚の神札をヤナギの枝に巻いて参列者に授与した。
男成宮司は「今年は寅(とら)年。虎にあやかり、力強く歩み進めることでおのずと穏やかな日々を迎えることができると思う。滝元で満願を迎えた霊験あらたかな守り札を多くの方々にお渡しして、新型コロナウイルス終息と今年一年の幸せを祈っています」と語った。
(2022年1月9日付紙面より)
今年最初の「紀の宝みなと市」 (紀宝町 )
今年最初の「紀の宝みなと市」が8日、紀宝町の鵜殿港で開かれた。町内外から多くの人が足を運び、活気にあふれた。
みなと市は2012年12月に初開催。毎月第2土曜日に開催してきたが、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止が続き、12月11日の「9周年記念市」で1年ぶりに復活した。
今回は会場でのマスク着用、手指消毒を呼び掛け、近海で水揚げされた鮮魚や地元産の野菜などが販売されたほか雑貨店も並んだ。
訪れた人たちは、お目当ての品々を買い求め、出品者ら来場者同士の会話も弾んでいた。
(2022年1月9日付紙面より)
「木の薫る店」にぎわう (新宮市高田 )
新宮市高田の雲取温泉高田グリーンランド敷地内にある「木の薫る店」で8日、「野菜市」があった。8人の生産者によるダイコンやハクサイ、サトイモなどの新鮮な野菜が並び、多くの地域住民でにぎわった。
和歌山県のモデル整備事業として県の補助を受けて2002年度に紀州材を使用し建設された同所。これまで無人市場などとして開所していたこともあるが、地域ではさらなる建物の有効利用方法を模索していた。
そんな中、おととしに五十数年ぶりのUターンを果たした石田千代さん(73)が、建物の活用ならびに、これまで近隣住民らで分け合うなどしていた野菜などを地域に広く循環させようと野菜市の開催を提案。昨年12月に第1回を開催し、午前中で完売するほどの盛況を博した。
1回目の開催に当たり、チラシを全戸配布した石田さん。市場開催の際には店番と両替を担う。「よそに出て帰ってきて、本当に良い所だと感じる。田舎暮らしを満喫している。地域活性化のために若い人やIターンの人たちも頑張ってくれているが、私も少しでも協力できたら」と思いを語る。
「高齢者が外に出るきっかけにもなれば。品物の循環だけでなく、地域のコミュニティーの場になればいいですね」。訪れた住民らに対し「ゆっくり休憩していってよ」などと声を掛ける。1本50円のダイコン、1玉100円のハクサイ、1袋80円のジャガイモなどを前に、住民らは献立や調理方法を相談するなどして買い物を楽しんだ。
野菜市は季節や野菜の収穫量などにもよるが、月に1、2回の頻度で実施していくという。
(2022年1月9日付紙面より)
恒例のマグロ初市 (那智勝浦町 )
はえ縄漁による生鮮マグロの水揚げ量が日本一の那智勝浦町の勝浦地方卸売市場で4日、初市が行われた。この日は高知、徳島、沖縄、宮崎、千葉、和歌山県みなべ町のはえ縄漁船7隻がメバチ、キハダ、ビンチョウの各マグロなど約52㌧を水揚げした。初市においては近年にない水揚げとなり、市場は50社約70人の仲買人が集まり活気づいた。クロマグロの水揚げはなかった。
初市開始前の午前6時50分ごろには式典が開かれ、堀順一郎町長はマグロの水揚げや町の水産振興に寄与する関係者らに感謝を述べ、「クロマグロの漁獲枠も増えたことは明るい兆し。町としてもさまざまな環境整備などにも尽力していきたい」と話した。
続いて、和歌山県漁業協同組合連合会の額田浩事務局長と勝浦魚商協同組合の木下勝之組合長があいさつ。同町議会の荒尾典男議長の音頭で乾杯後、初市が開始された。
県漁連勝浦市場の太田直久市場長は「初競りでの約52㌧は最近ではない漁獲量なので、上々の滑り出し。漁師の方によると、近海の漁場でビンチョウも釣れだしていると聞いている」と喜んだ。
資源の回復などから昨年12月の国際会議でクロマグロの漁獲枠が15%増となったことについては「各船に割り当てがあり、漁獲量としても増えると思う。昨年はコロナ禍で値段が下がっていたため、今年は落ち着いてほしい。勝浦で良いクロマグロが取れ、良い値が付くことを期待しています」と語った。
初市の水揚げ量はメバチが約300本、キハダ約200本、ビンチョウが約3000本の約52㌧だった。近畿や関東、東海地方へ出荷される。
(2022年1月5日付紙面より)
官公庁で仕事始め式
和歌山県庁や各市町村など官公庁で4日、仕事始め式があった。6日間の休業を終えた職員たちは首長らの訓示の下、気を引き締めて新しい一年のスタートを切った。
□ □
新宮市役所別館であった仕事始め式には、職員や来賓の榎本鉄也市議会議長や東原伸也副議長ら約70人が出席した。田岡実千年市長が「『市政は市民のために』を忘れることなく、公約の実行や諸課題の解決に向けた取り組みを誠心誠意進めていく」と所感表明。
新型コロナウイルス対策やワクチン追加接種、市内経済の回復、防災、エコ広場、子育て支援策、市文化複合施設「丹鶴ホール」を中心とした文化振興・事業展開などを掲げ「市民生活に密着したソフト事業を強く推進していく」。
また、福祉や教育、医療、医師確保などのさまざまな諸課題に対し「『市民の誰もが元気で心豊かに暮らせるまち』の実現を目指し、職員と共に渾身(こんしん)の力を込め取り組んでいく」と誓いを新たに。
職員に向け「コロナ禍3年目。今年はウィズコロナ、アフターコロナを見据えた準備も必要。市民のため、市のためにしっかりと職務に取り組んでほしい」と訓示した。
榎本議長は「行政の真価が問われる時代となってきた。まだまだコロナ禍ではあるが、一丸となりまちの活性化のために市政発展の期待に応えてほしい」とあいさつ。速水盛康教育長が「これから先の展望をしっかりと築いて見据えながら、市の発展にご協力を」と述べ、万歳三唱で士気を高めた。
□ □
那智勝浦町では、庁舎大会議室で仕事始め式を開いた。約50人の管理職の職員が出席し、今年一年の業務に取り組むに当たり、気持ちを新たにした。
町歌を斉唱後、堀順一郎町長は新型コロナウイルスの感染防止対策強化を提言。現在進める感染症関連の経済対策に触れ、「アンテナを張り巡らしていただき、町内で本当にお困りの方々を支援できるようにしたい。全国で実施するさまざまな取り組みの情報収集にも力を注いでほしい」。
新年度予算や若い職員への指導については「予算策定は何のために、誰のために行うのかを改めて考えてほしい。そして自分たちの仕事の意義についても考え、率先して若い職員の方々にも周知してほしい。今年も大変な一年になるかと思うが、奮起して取り組んでください」と呼び掛けた。
(2022年1月5日付紙面より)
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)、田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)の熊野三山で3日、皇室の弥栄(いやさか)や国家安泰、氏子、崇敬者の願望成就などを祈願する元始祭が厳かに執り行われた。
□ □
熊野速玉大社では、斎主を務めた上野潤権宮司が祝詞を奏上。巫女(みこ)たちが国の平穏無事を願い「浦安の舞」を奉納し神職らが玉串をささげた。
神事を終え、上野権宮司は1940(昭和15)年に皇紀2600年を祝って作られた神楽「浦安の舞」の歌詞「天地(あめつち)の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を」に言及。「波風が立たず平和であってほしいとの祈りが込められている。今年は皇紀2682年。新型コロナや自然災害など、避けることのできない災いもあるが戦争は人間が生んだ災い。一人一人が地球環境や世の中のことを真剣に考えて手を携えていかなければ。個々の幸せとともに平和な世の中のために祈る一年になれば」と思いを語った。
□ □
熊野那智大社では、本社と別宮・飛瀧(ひろう)神社で天皇の御位の大元始めをことほぎ、皇室の悠久と国運の隆昌(りゅうしょう)を祈った。
飛瀧神社では、那智の滝に向かい男成宮司が祝詞を奏上。巫女が「那智の瀧舞」を舞う姿を、参拝客がカメラや動画に収めるなどし見物した。
男成宮司は昨年と比較し年末年始の参拝客が増加したとし、「多くの方々にご参拝いただきありがたい。皇室の弥栄とともに皆さまの幸せや地域の繁栄をお祈りした。国民の一番の願いである新型コロナウイルスの終息も祈願いたしました」と語った。
□ □
熊野本宮大社では、関係者ら13人が参列。九鬼宮司が祝詞を奏上した後、参列者が玉串をささげていった。
神事を終えた九鬼宮司は参列者に対し「この約2年間、新型コロナウイルスや変異株などにより厳しい状況が続いている。『今』という時間を大切にし、前へと進んでいただきたい」とあいさつ。
毎年、元始祭に合わせて参拝を行っているという「まなご充敏後援会『真清会』」の竹中伸会長は「今年も滞りなく終えることができ安心した。今後の市の発展などを祈願した」と話していた。
(2022年1月5日付紙面より)
新宮建築組合が釿始式 (熊野速玉大社 )
新宮建築組合(廣田昌弘組合長)は4日、新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で鎌倉時代から伝わる「釿始式(ちょんなはじめしき)」を営んだ。
釿始式は同大社の宮大工、小野家に伝わる仕事始めの儀式で、建築業界の発展を願い現在は同組合が継承している。
この日は組合員約20人が参列。白装束に烏帽子(えぼし)姿の東友一郎さん(51)がヒノキの原木(樹齢約100年超、長さ約4・2㍍、直径約23㌢)をお神酒で清め、伊勢田宣延さん(48)と柚木芳文さん(48)が墨を打った後、東さんが鎌倉時代から同大社に伝わるカギ型の大工道具「釿」を「エイ、エイ」と3カ所に打ち付けていった。
神事後、上野宮司は参列者に釿始めの歴史を紹介し「自然の中にある温かみや慈しみ、素晴らしい聖なるものを大切にするのが日本の民族。今年も一年、建築業界の発展を願っています」と奉仕に対して感謝を述べた。
廣田組合長(60)は「コロナの影響もあり、厳しい状況ではありますが、例年通り斎行することができて安心しました。気持ちを新たに頑張り、伝統を絶やさないよう若い人たちに継承していければ」と話していた。
(2022年1月5日付紙面より)