新宮市観光振興計画策定等委員会(委員10人)が26日に発足した。市役所であった第1回目の会合で、委員長に選ばれた森本祐司さん(市観光協会専務理事)は交流人口を増やし、経済を活性化させるには世界遺産に登録されている熊野速玉大社、神倉神社、阿須賀神社の「三社巡り」が鍵を握ると述べ、委員たちに協力を呼び掛けた。
市は来年度から5年間の観光振興の方向性を示す計画を初めて策定する。委員会3回、市民ワークショップ3~4回を経て計画をまとめる。
第1回委員会では、コーディネーターを務める楽天トラベル事業地域振興部の高橋俊介さんが、8月に開かれた第1回ワークショップの参加者の意見を報告。▽新宮の観光の強みは多いが資源の状態であるのが多く「観光商品」として磨かれていない▽情報の打ち出し方が決まっていない▽情報の集積、発信拠点が強く望まれている―などとまとめた。
尾畑洋一副委員長(新宮商工会議所事務局長)は「新宮には日々観光客が来ているが、お金を落としてもらう仕組みができていない。人口が減り、少子高齢化が進む中、地域内だけで経済循環していくのは難しい」と指摘。西浦康代委員(市観光ガイドの会)は「滞在時間を延ばしてもらうために2泊、3泊と安くできないか。新宮のビジネスホテルに宿泊したら雲取温泉を使えるようできないか」などと提案した。
向井雅男委員(市企画政策部長)はクルーズ客船の入港を例に挙げ、「新宮市だけをセールすると頭打ちになる。広域でセールスしていかねばならない。情報を一つにまとめないと相手に伝わらない」。畑尻賢三委員(市商工観光課長)は「広域化の受け皿づくりが必要」。尾畑副委員長も「新宮だけで完結することは難しい」と述べた。
山本將人委員(新宮信用金庫地域サービス部課長代理)は「全国どこの自治体も観光客を誘致している。これまでのようでは、なかなか来てくれない」と指摘。
原洋三委員(熊野交通営業部長)は「新宮城跡のサクラが素晴らしい。ツアー企画を提案できないか」。日比野雅子委員(仲之町商店街・土佐屋)は「地元の人でも新宮の良さが分かっていないと思う。門前町をもう少しどうにかしてほしいという意見が多い」。西浦委員は「那智は『あげいん熊野詣』、本宮は『八咫(やた)の火祭り』と全国から観光客が来るイベントがある。新宮でも新宮城跡でタイムスリップできるようなイベントはできないか」と提案した。
森本委員長は「新宮市は圧倒的に本宮への通過点になっている。本宮が熊野神社と感じている人も多い。通過型から宿泊してもらい、三山へ行ってもらうようにしないといけない。宿泊施設など課題は多いが、詰めて考えたい」と述べた。
中村晃委員(駅前本通り商店街・ナカムラ電気)と上野潤委員(熊野速玉大社権宮司)はこの日、欠席した。第2回の委員会は11月に開かれる予定。
(2017年9月28日付紙面より)
那智中吹奏楽が定期演奏会
那智勝浦町立那智中学校の吹奏楽部は24日、町立勝浦小学校で第52回定期演奏会を催した。多くの町民が来場し、部員29人が織りなす演奏に聴き入った。
この演奏会は3年生部員が部活動の集大成を発表する場として設けられており、今年は3年部員7人がこの日をもって引退した。例年、那智中の体育館で開かれていたが、中学の体育館が工事中のため、勝浦小に会場を移した。
プログラムは3部構成で、那智中の校歌をはじめ、「風になりたい」や「アフリカン・シンフォニー」、「花は咲く」などを合奏した。一部楽曲は本番前日に世界的指揮者の佐渡裕さんから指導を受けた。
パーカッションを担当した本舘愛果部長(3年)は「『フェリスタス』は夏に3年生が中心となってコンクールで演奏した楽曲なので、思い出深いです。最後の部活動なので、悔いの残らないよう頑張りました。緊張しましたけど、楽しく演奏できました」と話した。
(2017年9月28日付紙面より)
10月から赤い羽根運動 (新宮市 )
10月1日(日)から全国一斉にスタートする「赤い羽根共同募金運動」を前に、新宮市共同募金委員会(会長・田岡実千年市長)は26日、市福祉センターで協力委員会を開いた。約50人が出席し、本年度共同募金目標額を450万円にすることなどを決めた。1日は市内のスーパーで街頭募金を予定している。
榎本義清副会長が議長を務め議事を進行した。事務局から昨年度実績額が目標額を11万8555円上回る462万3555円だったことなどが報告された。内訳は▽戸別募金200万218円▽法人(大口)募金137万9000円▽街頭募金39万6906円▽職域募金6万6135円▽募金箱19万4629円▽その他58万6667円。
平成29年度の配分の内訳は広域福祉事業(県内の福祉施設など)へ171万4000円。地域福祉事業(3つの活動募金)へ290万9555円。市では赤い羽根共同募金を「ささえ愛募金」「MACHI(まち)サポート募金」「新宮いのちの募金」の「3つの活動募金」として呼び掛けている。
畑尻英雄・市民福祉部長は「赤い羽根共同募金の活動は町の人たちの優しい気持ちを集める活動。皆さまの優しさ、声掛け、行動が町を変えていく一歩となる。皆さま方から寄せられた募金は私たちの町のさまざまな福祉活動、その支援に役立てられており、災害時の被災地支援にも役立てられている」と田岡市長のあいさつを代読。和歌山県共同募金会の大谷和也副主査が来賓として出席した。
(2017年9月28日付紙面より)
家庭料理教室始まる (串本町トルコ文化協会 )
串本町トルコ文化協会(丸石恵子代表)主催の「トルコの家庭料理教室」が24日、同町文化センターで始まった。月1回の頻度で12月まで全4回開く予定。この日は定員いっぱいの16人が参加し、トルコのパンの作り方を教わり実践するなどした。
トルコ語講座と並行する形で本年度から取り組み始めた新規事業。『語学には抵抗があるが、日頃から慣れ親しんでいる料理なら』という人向けに考えたそうで、講師には地域おこし協力隊着任当時から語学と共に食文化を伝える機会も模索してきたトルコ人女性アイシェギュル・アルカンさんを起用している。
この日のテーマはパン『アイシェのアチュマ』。アチュマは移動式屋台で売られている身近なパン『シミット』の一種で、生地にヨーグルトを含んでいるのが特色だという。参加者は4組に分かれて、生地作りから焼き上げまで一連の調理工程をアルカンさんや会員と一緒に体験。併せてトルコの紅茶「チャイ」の本来の入れ方も教わり、焼き上がったアチュマ一個と一緒に試食した。
アルカンさんは各工程のほか、ヨーグルトはトルコ共和国が発祥地でマヨネーズやケチャップと同格で料理に多用しているなどトルコの食文化の特色も紹介。参加者はオリーブ入りとカマンベールチーズ入りの各アチュマ計5個を焼き上げ、試食後の残り4個をお土産として持ち帰った。
この教室は回ごとに先着16人で受講希望を受け付ける。地元の食文化の一端としてトルコ食の裾野拡大を図るという重要な目的があり、各回の告知は同町が発行する広報誌「広報くしもと」などで行うとしている。
初の教室開講を迎え、丸石代表は「トルコ料理には、同じ料理なのに地域や家庭によって味わいが異なるという特色がある。まずはアイシェが育った地域の食文化に親しみ、そこからほかの地域はどうかと興味を広げてもらえたら」とコメント。
今後について「特別な料理ではなく日々のメニューの一つとして取り入れられる料理を紹介する。トルコの方が来た時に『こんな料理知っているよ』とか『この料理を作って食べているよ』と町民から話題を持ち掛け、自然と交流が広がる状況を目指したい」と語った。
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■次回は10月22日実施
次回の同教室は10月22日(日)午前11時~午後2時ごろ、同センターで開く。テーマは「赤レンズ豆のスープとギョズレメ」。参加費は1500円。同月2日(月)~13日(金)に先着16人まで受け付けるという。申し込みや問い合わせは役場総務課のアルカンさん(電話0735・62・0555)まで。
(2017年9月28日付紙面より)
秋季近畿地区高校野球県二次予選
県の産業・文化を学ぶ (太地町 )
太地町立くじらの博物館に25日、「ABEイニシアティブ」でアフリカからきた留学生6人が訪れた。館内の展示やショーを見学し、捕鯨文化について学んだ。
「ABEイニシアティブ」とは2013年6月に開かれた第5回アフリカ開発会議(TICADV)で安倍晋三首相が打ち出した「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ」の略称。アフリカの若者に日本の大学教育や産業でのインターンシップの機会を提供し、日本の技術や産業の認知を深化させ、アフリカ大陸の開発に資する人脈形成などを目的としている。
和歌山県では、株式会社紀陽銀行が主導し、県と協力して受け入れた。留学生6人はウガンダ、エリトリア、ナイジェリア、ニジェール、南アフリカ出身。
博物館では、町歴史資料室の櫻井敬人学芸員が案内した。
国立京都工芸繊維大学の工芸科学研究科で学ぶ南アフリカ出身のマリレット・ファン・ヤルスフェルドゥさんは「捕鯨がいかに地域に貢献してきたか、クジラ肉をとることがいかに必要で世界的なことかを学べた。鯨類のショーを見て、触れたのも楽しかった。南アフリカでも陸上生物の保護が進められている。海の動物の保護を陸にも応用できそう」と語った。
(2017年9月27日付紙面より)
熊野那智大社で献湯祭 (南紀勝浦温泉旅館組合 )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で24日、南紀勝浦温泉旅館組合(中定俊会長、組合員10社)が献湯祭を営んだ。各旅館の16源泉から一番湯が納められ、町の発展を願った。
同例祭は、秋の行楽シーズンを迎えるにあたって朝一番で源泉からくみ上げた温泉水を奉納し、気持ちの一新を図るとともに自然の恵みに感謝をささげ、業界の発展を祈る。40回目を迎える。
例年11月に催されているが、熊野那智大社創建1700年、那智山青岸渡寺西国三十三所草創1300年のイベントで予定が埋まっており、9月に前倒しとなった。
神事では、裃(かみしも)姿の組合員と各旅館の代表者らが参列し、神前に一番湯を納めた。中組合長が祭文を読み上げて自然の恵みへの感謝と業界繁栄を祈願し、神事後には温泉水でつきあげた「温泉もち」とお菓子を居合わせた参拝者らにまいた。
中組合長は「旅館、民宿ともに頑張っている」とコメント。男成宮司は「長い年月が南紀の自然を作っている。祖先が大切にしてきた自然の恵みと神々への畏敬の念を大切にしていかなければならない」と熊野の歴史と自然の重みを改めてかみしめた。
(2017年9月27日付紙面より)
田並天満神社の御祭礼 (串本町 )
串本町田並にある天満神社(坂成正人宮司)の御祭礼が23日に宵宮、24日に本祭を迎えた。本祭日は主祭神・菅原道真公の神輿渡御(みこしとぎょ)があり、行く手を阻む5本の大幟(のぼり)との駆け引きなどが多くの拝観を集めた。
田並の坂成家鎮守として祭祀(さいし)されたのが始まりとされる同神社。江戸期に田並二カ村の氏神社、明治期に旧田並村の村社となり、周辺諸神社を合祀(ごうし)した形で現在に伝わる。
例大祭にあたる御祭礼は今日、上地、下地、前地、灰地、向地の5区と宮総代が結成する祭礼委員会(松原彰祭礼委員長)により9月25日に近い日曜日を本祭日として営んでいる。主祭神・菅原道真の大宰府流刑を阻む民の心意気を再現して当代の信仰とする神輿渡御や獅子舞奉納が受け継がれていて、今年は23日を宵宮、24日を本祭として諸奉仕を重ねた。
本祭日は式典後、5区の大幟と幟衆、神輿と旅装束の神輿衆、坂成宮司、獅子屋台と獅子連中が御旅所のある田並海岸を目指して順次出御。先頭を行く大幟は道中ところどころで立ちはだかり、神輿の進行を阻止した。同町公民館田並支館そばでは2時間にわたって阻止が続き、その間に獅子舞の余興や子ども向けの菓子まき、大幟を揺さぶり突いたりよじ登って勇を示す祭員も注目を集めた。
田並海岸へ到着した神輿は旅装束の神輿衆と共に海に入って潮垢離(しおごり)し、幟衆は最後の抵抗として神輿を荒々しく海へと押し返し、神輿が振り切って御旅所に入ったところで神事や獅子舞奉納を営み、餅まきやパンまきで民の活気もささげられた。
大幟の大きさは約10㍍。松下家の虎幟を加えた6本が伝わっているが、幟差し衆の人員不足で今年も虎幟は境内に残された。他方では若い奉仕者が中心になり、初めて御旅所周辺にちょうちんを飾り付け祭りを盛り上げた。今年就任した松原祭礼委員長(47)は「地元はもちろん、よその人も集まる祭りにしたい。そのような思いで今年は、若い者が特に頑張ってくれた。新たに飾り付けたちょうちんは、その挑戦の第一歩でもある。すでに引退された先輩方にももう一頑張りの参加をお願いし、地域を挙げて支える御祭礼にしていきたい」と意気込みを交えて今年の御祭礼を語った。
(2017年9月27日付紙面より)
落ちアユ狙い赤木川で
新宮市熊野川町の赤木川など熊野地方各地で落ちアユを狙ったセギ漁が始まっている。ササなどでせき止めた川で、地域住民たちが朝から夕方まで、アユの群れを目掛けて網を投げている。
水温が下がりアユが河口近くまで下り産卵する習性を利用した漁。漁期は9月1日から12月25日(月)まで。川の浅瀬に等間隔に木や竹でくいを打ち、そこにササなどを置いてアユの下降を一時的に止め、小鷹(こだか)と呼ばれる網を投げて捕まえる。網の投げ方はもちろん、網にかかったアユを取り外すのも技術がいる。
熊野川町能城山本の赤木川下流では25日午前8時から午後5時ごろまで、男性二人が出漁していた。一人は「今年はけっこう数はあるけど、まだ小さいのが多いね」と話していた。
(2017年9月27日付紙面より)
記録会兼県小学生秋季陸上競技選手権
近畿地区都市軟式野球大会(一部)県予選
マクドナルド杯サッカー2017
犠牲者の友人ら七回忌で (紀伊半島大水害から6年 )
紀伊半島大水害で犠牲となった中平幸喜さん(当時45歳)の冥福を祈り、友人ら5人が10日、新宮市熊野川町上長井の小口自然の家広場に高さ24㍍の慰霊塔を設置した。被災現場の復旧工事で伐採した熊野杉を使用していて、友人だった中川悟さん(58)=同市新宮=は「七回忌ということで建てました。あの水害を忘れないでほしい」と話した。
塔に使った木は、幸喜さんの遺体発見現場で伐採した杉。2本を鉄板でつなぎ合わせていて、「繋(つな)がる絆で笑顔あふれる元気な町」などのメッセージを書き込んでいる。同広場で毎年開催されるクリスマスイベントでは電飾を取り付ける予定で、来年1月中旬まで建てている。
塔の設置作業には中川さんのほか、同じく友人で、那智谷大水害遺族会代表を務める岩渕三千生さん(56)=紀宝町=らが参加。幸喜さんの長男・中平史都さん(29)=同市王子町=と田岡実千年市長も駆け付けた。
クレーンやロープを使って塔を設置した後、菊の花と幸喜さんが好きだったコーヒーとタバコを塔前に供えた中川さんは「子どもの頃から知り合いで、仲が良かったので、今でも悲しみは強いです。天国から『またアホなことして』と言っていると思います」
幸喜さんが熊野川町内で営んでいた中古車販売店で一番に車を買ったという岩渕さんは「悟さんから7回忌の節目に塔を建てたいという話があり即決しました。お酒が飲めず、いつもジュースでしたが、場を明るくしてくれるとてもいいやつでした。天国から塔を見て喜んでいると思います」
『姿形は見えなくても心は共にあります』と塔にメッセージを書き込んだ史都さんは、この水害で父を含め家族5人を亡くした。「慰霊塔を建ててももらい、大変ありがたく感謝の気持ちです。父は友人に恵まれていたんだな、と思います。私にとってもみんなに好かれる自慢の父でした」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
土砂災害シンポジウム (那智勝浦町 )
国土交通省近畿地方整備局の大規模土砂災害対策技術センターは9日、那智勝浦町体育文化会館でシンポジウム「改めて土砂災害を知り、備える~紀伊半島大水害から6年~」を開催した。200人を超える住民らが詰め掛け、近年の研究成果の発表や今後の対策に関する提言に耳を傾けた。
センター長で近畿地方整備局河川部長の中込淳さんは「研究成果がより多くの人の命を守ることにつながってほしい」とあいさつ。副センター長で紀伊山系砂防事務所長の吉村元吾さんは近年の土砂災害を振り返った。吉村さんは土砂災害に関しては危険度の高まりが目視で判断しにくいことから、家屋の中にいて巻き込まれる例が多く、人命被害の多い災害と解説。全国的な土砂災害の増加や、流木による被害の拡大が目立つことを指摘し、日頃の訓練と情報収集の重要性を呼び掛けた。
センター主任研究官の木下篤彦さんは那智川での調査研究を報告した。本流、支流に巨礫(きょれき)が堆積して流れをせき止め、氾濫につながった状況などを話した。雨が降る度に川からペットボトルに水をくんで調べ、「濁りがきつくなると危険」と述べ、流域の地質や木の根の張り方など細かな調査結果なども説明した。センター員の田中健貴さんは被災した人たちから聞き取り調査を実施した。那智川流域では過去にも土砂災害はあったが、災害経験の伝承が難しかった。今後は経験や知識を集めて防災学習を推進し、子どもたちに伝えていく重要性を語った。副センター長の桜井亘さんは全国の研究調査を紹介。土砂災害の予測の難しさを説明した上で「警戒情報が出たらすぐに避難を考えて」と訴えた。
パネルディスカッションでは那智勝浦町の寺本眞一町長、和歌山県砂防課副課長の森川智さんも加わって避難の在り方などを議論した。
寺本眞一町長は「砂防施設の整備が進んでいるが、警戒を怠らず、避難所の開設を早めてすぐに避難できる態勢をつくりたい」と述べた。研究成果の学校教育への活用を提案し、同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センターは観光客が多く訪れる場所であり、修学旅行の生徒らを立ち寄らせ、防災学習に役立ててほしいと求めた。
(2017年9月12日付紙面より)
吹奏楽部第5回定期演奏会 (潮岬中 )
串本町立潮岬中学校吹奏楽部(石川朝香部長、部員13人)の第5回演奏会が10日、同校体育館であった。本年度結成したユニットの集大成となるステージで、一般約80人が鑑賞し喝采を送り、努力をたたえた。
部員は5月の体育祭以降、定演を意識して練習を開始。どの世代にも楽しんでもらえるよう、唱歌や歌謡曲、前年度アンサンブルコンテスト紀南大会で披露した楽曲などさまざまなジャンルから選曲をし、夏休みも週5の活動に励んでこの日を目指してきた。
開演にあたり藤本弘子校長は「一人一人がそれぞれの役割を果たして心を通わせれば、自分たちの音楽で皆さんの心を潤わせることができるという思いで励んできた。みんなの気持ちを一つにして音楽を届ければ、音楽に乗って心も届くと思う」と激励。石川部長は「私たちのいい思い出になり皆さんの記憶に残るよう一生懸命頑張ります」とあいさつし、3部構成で練習の成果を披露した。
第一部では4曲を奏で、唱歌「山の音楽家」ではパートごとに音色の披露も。第二部は2、3年生が同大会で披露した重奏3曲、第三部は3曲を奏で最後は日本の愛唱歌をメドレーで締めくくった。
小道具を交えたパフォーマンスはなかったが、開演に先立ってプレ演奏1曲を披露した同ユニット。演奏を終えて沖早織副部長(3年)は「最高の演奏会ができました。3年生が引退すると部員が少なくなりますが、これからも応援をよろしくお願いします」とあいさつして締めくくった。
同ユニットでの演奏はあと1回、潮岬小でのミニ演奏会があるが大舞台はこの日が最終の機会。石川部長は「私自身はちょっと間違いもあったけど、13人がそろって演奏できて良かった。今日はみんなで全力を出し切れて楽しかった」と振り返った。
(2017年9月12日付紙面より)
ひまわりまつり (熊野川町 )
熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)は10日、新宮市熊野川町能城(のき)山本の日足バイパス下で「ひまわりまつり」を開催した。新米争奪ビンゴ大会、スイカ早食い競争など盛りだくさんの催しがあり、約2000人(主催者発表)でにぎわった。
同協議会は2011(平成23)年9月の紀伊半島大水害で被災した町を花の名所にして元気づけようと、休耕田や耕作放棄地にヒマワリやコスモスなどの種をまいている。今年は町内約5㌶に約40万本分のヒマワリの種をまいた。「ひまわりまつり」は市制施行10周年記念で一昨年初めて開催し、今年で3回目になる。
今年はステージで6団体がフラダンスなどを披露したほか、地元物産や飲食など約14店が並んだ。来場者たちには無料で風船と綿菓子を配り、最後に約120㌔分の餅をまいた。
会場に駆け付けた田岡実千年市長は、祭り関係者たちの活動に感謝し、「身近な農地を守り活用し、活性化を図ろうとする地域の皆さまの活動には頭の下がる思い」
下阪会長(71)は「前日から雨を心配していましたが、もってくれ、このようににぎわって良かったです。来年も開催したいと思っています」と話していた。
(2017年9月12日付紙面より)
高校野球秋季近畿大会県一次予選
第48回全国中学校柔道大会
熊野BBC・武田君が国際大会に出場
県高校卓球選手権大会兼1年生大会
来年の大絵馬が完成 (速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社で7日、来年のえと「戊戌(つちのえいぬ)」の大絵馬が完成した。白い紀州犬と3匹の子犬を描いた上野顯宮司は「子どもを守り、しっかりと育ててもらいたいとの願いを込めました」と話した。12月から大社拝殿に掲げる。
大絵馬はヒノキ製で、大きさは縦1・5㍍、横2・1㍍。毅然(きぜん)とした父犬が、無邪気な子犬たちを守っている姿が描かれている。父犬の首には、大社のご神木で平和の象徴であるナギの葉をあしらったしめ縄が巻かれている。
上野宮司は2000(平成12)年から毎年大絵馬を描いている。今年は6色のアクリル絵の具を使い、約1カ月で完成させた。仕上げに「浄心愛徳」の文字を書き添えた上野宮司は「子どもが巻き込まれる事件が多く報道され、心を痛めています。清い心を持って、愛と徳を子どもたちに授けてほしいという思いを込めました」と話していた。犬のモデルはかつて自宅で飼っていた紀州犬で、親犬の慈愛に満ちた目を描くのに苦労したという。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬(縦75㌢、横110㌢)も完成した。3匹の子犬を守る母犬が描かれている。
(2017年9月8日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(前正則校長)は5日、3年生21人を対象に平和学習を実施した。1954年にマーシャル諸島のビキニ環礁近くでアメリカの水爆実験により被爆したマグロ漁船「第五福竜丸」について、紀州語り部・仲江孝丸さんが講演した。
3年生の修学旅行の行程に東京都立第五福竜丸展示館が含まれていることもあり、同船の歴史に詳しい仲江さんを招いた。生徒らはこれまでにも、NHKのドキュメンタリーや絵本の読み聞かせなどでビキニ事件について学んでいる。
第五福竜丸はもともとカツオ漁船「第七事代丸」として旧古座町の造船所で作られた。4年間カツオの水揚げ日本一を誇り、51年にマグロ漁船として改造、53年に改名された。被災してからの福竜丸は56年に東京水産大学の練習船「はやぶさ丸」となり、67年に廃船となってからは東京都の夢の島に捨てられていた。
やがて保存運動が始まり、76年6月、東京都の施設として展示館が開館。別の貨物船に移されていた福竜丸のエンジンが68年に三重県御浜町沖で貨物船と共に沈没し、96年に引き揚げられて福竜丸の横に展示された。
仲江さんは、初めにサンゴでできた美しい島々の映像を紹介。この島々で46年から58年にかけて67回もの核実験が行われたと述べ、第五福竜丸が造られてから被ばくするまでの経緯、魚や環境への汚染などを語った。
福竜丸が被ばくした水爆実験の名は「ブラボー」。実験当事者らの予想を上回る破壊力で、実験を行った島は消え去り深さ120㍍、直径1・8㌔のクレーターができたという。爆発によりサンゴ礁が蒸発、細かいちり(死の灰)となって降り、乗組員や近くの島の住人が被ばくした。
ビキニ事件後、日本各地に水揚げされた魚は放射能汚染魚として次々と廃棄された。仲江さんは事件をきっかけに反核世論が高まり、55年、広島で第1回原水爆禁止世界大会が開かれたことを説明し、今年7月に核兵器禁止条約が国連で採択されたことも紹介した。
授業の後、清原楓雅さん(14)は「ドキュメンタリーなどを見たが、今日は知らないことがたくさんあった。第五福竜丸のことを世界に知ってもらい核兵器をなくしてほしい」と話していた。
(2017年9月8日付紙面より)
県内の母子保健推進員ら (串本町 )
串本町文化センターで6日、母子保健・健全育成住民会議があり県内の母子保健推進員や子育て支援関係者ら約400人が安心して生き生きと子育てできるまちづくりを目指して研さんした。
この会議は、県母と子の健康づくり運動協議会(狭間歌子会長)が全体研修として年1回、県や母子保健推進会議と共に主催。会場は同協議会7支部で持ち回っていて、本年度は新宮・東牟婁支部(井野千代支部長)が主体になって計画した。
同協議会のスローガン「社会が子育て、地域で子育て、環境づくり」を掲げ、同支部管内各市町村単位での活動状況紹介や実践発表、特別講演といった講演を準備。新宮市~三重県紀宝町で活動するユニット「ベリル」による演奏と管内の主な見どころの低空撮影映像上映といったオープニングを経て開会した。
主催者を代表して井野支部長は母子保健推進員の意義や抱負を語り、「困っているお母さんや子どものために共に学びつながり、子育てを地域で応援しよう」、児玉征也東牟婁振興局長は県内の状況や取り組みを紹介し「地域のつながりが弱まった時代だからこそ、子育て支援包括支援センターで切れ目のない支援を行う必要があり、そのために地域に根付いたつながりが重要になる。常日頃から切れ目のない支援体制の充実を各市町村の皆さまと共に図りたい」とあいさつ。
会場地を代表して串本町福祉課の瓜田真理子副課長が町長メッセージを代読。「皆さまが母子保健向上のために活動されていることに敬意と感謝を申し上げる。今後も支援の輪を広げ、地域の中で気軽に相談できる存在として子育て世代に寄り添ってほしい」という期待を参加一同に寄せた。
実践報告では那智勝浦町北浜にあるかづこ助産院の本舘千子院長が登壇。「子ども達のために」と題して同院設立の経緯や実践として取り組んでいる各ライフステージの世代に命の大切さを伝える地域活動の体系を説明し、「いい母ではなく幸せな母が幸せな子をもたらす。その世代循環を生むために今後も活動する」と目指すところを掲げた。
特別講演では梅花女子大学心理こども学部の伊丹昌一教授が「発達障害の理解と親子への支援」と題して登壇。子どもが何に困っているかを見抜き、周囲はどのように関わればよいかといった点で持論を展開し、参加者はヒントとなる事柄を探りながら聴講した。
(2017年9月8日付紙面より)
女性たちが「三輪崎の鯨踊り」 (新宮市 )
1960年代に三輪崎の女性たちが踊っていた『三輪崎の鯨踊り』が復活しようとしている。踊るのは三輪崎老人クラブ連合会(江川守会長)の女性部員たち。22日(金)の舞込芸能大会で披露する予定で、1日には11人が老人憩の家はまゆうで練習に励んだ。
『三輪崎の鯨踊り』は鯨を捕る様子を踊りに仕立てており、三輪崎郷土芸能保存会(濱口仁史会長)が伝承している踊りは県の無形民俗文化財の指定を受けている。
今回復活するのは手踊りで、江川会長は「僕が25歳くらいの頃、この地方を訪れた歌手が鯨踊りを『素晴らしい』と持ち帰ったと聞いた。その後、民謡集の中に手踊りとともに収められていたのを三輪崎青年会女子部が祭りの際に数年披露していました。波や網を投げる様子などが表現されています」と振り返る。
当時踊っていたことのある、地域の70代の女性が教えており「先輩に教わったのを覚えていました。皆さん踊りたいという意欲があるのはいいこと」と話していた。
江川会長は「当日は8人で踊る予定。踊りの復活は大変いいこと。協力も頂き、うれしく思う。懐かしく思う人もいるのではないでしょうか」と話していた。
(2017年9月8日付紙面より)
選抜出場目指し、9日開幕
船大工の谷上嘉一さん宅 (「御船祭」に向け )
新宮市の熊野速玉大社の例大祭「御船祭」(10月16日)を約1カ月後に控え、熊野川流域で唯一の船大工、谷上嘉一さん(75)宅=紀宝町北桧杖=の作業場では早船競漕(きょうそう)で使う櫂(かい)の製作が追い込み期を迎えている。今年は約100本作る予定で、半分完成している。
シイの木で作る櫂の長さは約1・85~1・95㍍。“ヒナ”と呼ばれる水かき部分は幅約21㌢。練習で舟と接触する部分が傷み、折れてしまうこともあることから、祭り本番はほとんどのチームが新品で出場する。
谷上さんは櫂を20年以上前から製作している。木によって堅さが違うことから、しなりが必要な“ヒナ”の厚さに一番気を使うという。
神迎えの喜びを表している御船祭は昨年3月、国の重要無形民俗文化財に指定された「新宮の速玉祭(はやたまさい)・御燈祭(おとうまつ)り」に含まれている。「速玉祭」は神霊を載せた馬が大社や御旅所(おたびしょ)を巡る10月15日の神馬渡御式(しんめとぎょしき)と、神霊を神輿から御神幸船(ごしんこうせん)に遷(うつ)して熊野川を遡上(そじょう)し、早舟競漕とともに御船島を回る翌16日の神輿渡御式(みこしとぎょしき)からなる。
早船競漕は、全長8・9㍍、幅1・4㍍の木造船9隻に各11人が乗り込み順位を競う。3回の優勝経験がある谷上さんは「輝かしい歴史と伝統のある祭りですが、昔に比べると観客がだいぶ減っている。祭り関係者と地域が一体となって盛り上げていくことができれば」と話していた。
(2017年9月7日付紙面より)
近大工学部空手部が合宿 (那智勝浦町 )
広島県にキャンパスを構える近畿大学工学部の空手道部(有貞涼主将、20人)が3日、那智勝浦町体育文化会館へ合宿に訪れた。11月19日(日)に日本武道館で催される全日本大学選手権大会に向けて練習に励んだ。
地元のサポートを受けて練習に集中できることから、約5年前から同町で合宿を行っている。基礎体力や攻撃の強化を目的とした7泊8日の行程で、8月30日にみなべ町清川の本誓寺ふるさと道場で稽古を積み、3日午前に那智勝浦町入り。5日午後に白浜へ向かった。
合宿に参加した選手20人のうち10人は10月7日(土)から9日(月・祝)まで愛媛県四国中央市の伊予三島運動公園体育館で開かれる「えひめ国体」の空手道の部に出場する。中には、スペイン・テネリフェで10月末に開かれる「第10回世界ジュニア&カデット、21アンダー空手道選手権大会」に出場する選手もいる。
4日、寺本眞一町長が選手らと面会し「この合宿が皆さんにとって実りあるものになり、全国で頑張っていただけたら」と激励し、スポーツドリンクを差し入れた。
同部情報学科4年の有貞主将(22)は「1~3年で同じ大学に負けているので、4年の最後の大会で勢いづけて、優勝まで駆け抜けたい」と意気込みを語った。
(2017年9月7日付紙面より)
消防や警察航空隊と連携も (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)は5日、南海トラフ巨大地震の発生を想定した総合災害警備訓練に取り組んだ。終盤では和歌山県警察航空隊や串本町消防本部と連携し警察ヘリ「きのくに」による負傷者搬送訓練も実施。ドクターヘリ以外の空路搬送の手法を探るなどした。
同署が毎月5日に取り組んでいる災害に備える日訓練の一環。今月は防災週間(9月1~7日)中の実施となることから特に規模を大きくし、①初動対応訓練(災害警備本部立ち上げ訓練など)②信号機滅灯対策訓練③警察ヘリによる負傷者搬送訓練―の各訓練を計画した。
①は署員が必要な資機材などを持って串本町サンゴ台にある代替指揮所へ車両移動し、速やかに災害警備本部を立ち上げる内容。6月に配備された捜索用ドローンで撮影した映像データをモニターに表示する段取りも合わせて実践した。
②は国道42号潮岬東信号交差点の電源を落とし、手信号で車両誘導をしながら発電機を信号機の電源付加装置につないで復旧させる内容。同装置は限りある人員を捜索や情報収集に充てるために導入されていて、署員全員が手信号と復旧操作をこなせる状況を見据えて実践した。
③は同署初の取り組みで、同本部が陸路搬送した重傷者を警察ヘリが引き継いで空路搬送する内容。今回は倒壊家屋から救出した重傷者を想定し、バックボードに固定した状態で救急隊員が警察ヘリへ運び込む流れを実践して手法を探った。
捜索用ドローン運用を除く①と②の訓練は過去にも取り組んだ内容で、練度向上が目的。③はドクターヘリのような救命装置はないが警察ヘリも空路搬送ができ、特に広域災害発生時には警察ヘリによる負傷者搬送の必要性も十分考えられることから、その手法を探ったという。
同訓練について津田署長は「こういった訓練の目的は、実際に起こった時にいかに動けるかにある。訓練を通して互いを理解すれば自分が取るべき行動をイメージできるようになる。問題点があれば解消して次の訓練をする。そうやって徐々に自分のやるべきことを理解し、いざという時に連携して動ける状況につながっていけば」と効果を期待した。
(2017年9月7日付紙面より)
赤木川などで漁始まる
新宮市熊野川町の熊野川支流赤木川など各地で秋の味覚、モクズガニ(藻屑蟹、別名ズガニ)漁が始まっている。熊野川上流域では10月ごろまで漁が続く。
海で産卵し一時期を過ごしてから川に遡上(そじょう)して育つカニで、産卵のため川を下る秋ごろから本格的な漁が行われている。一般的な漁は、川底に魚のあらなどを入れた籠を沈めておき、朝に引き上げる。捕れたカニは塩ゆでやみそ汁に入れて食べる人が多い。お酒が好きな人はカニみそが入った甲羅に日本酒を入れて飲む。
同町西の民宿業、中澤秀昭さん(72)は自宅近くの川で毎年漁をしている。今季は8月20日ごろから漁を始めた。
6年前の紀伊半島大水害の影響で一時は捕獲量が減っていたが、大きさも量も水害前と同じくらいに回復してきているという。
「8月は全然だめでしたが、9月に入ってから入り出しました。多い時で一籠に15匹ぐらい入ります。捕ったカニは自分ではほとんど食べず、友人らにあげています」と話していた。
モクズガニは甲幅7~8㌢、重さ180㌘ほどに成長する川では大型のカニ。はさみに濃い毛が生えているのが特徴で、日本全国のほか、朝鮮半島東岸、台湾などの川、水田、用水路、河口などで生息している。淡水域にいる時は基本的に夜行性で、カワニナなどの貝類、小魚、水生昆虫を食べる。
(2017年9月7日付紙面より)
JAみくまの旗学童軟式野球大会
大水害記念公園で慰霊祭 (那智勝浦町 )
2011年9月の紀伊半島大水害から6年を迎えて那智勝浦町は4日、同町井関の紀伊半島大水害記念公園で慰霊祭を営んだ。遺族や住民、町関係者ら130人が参列し、死者・行方不明者29人をしのんで慰霊碑前で献花した。
午後1時30分に町内全域にサイレンを鳴らし、出席者らは黙とうをささげた後に一人ずつ白いカーネーションを献花した。寺本眞一町長は「犠牲となられた皆さまの気持ちを思うと今でも胸が張り裂けそうになる。ふるさと『那智勝浦』が安全で安心して暮らせる笑顔いっぱいの町になるよう、全身全霊で復旧復興し、防災に取り組んでいきたい」と記念碑の前で固く誓った。
中岩和子議長は「未曽有の被害から6年たつが、昨日のことのように思い出される。町と協力し、防災に取り組んでいきたい」と語った。那智谷大水害遺族会の岩渕三千生代表は「何年過ぎようと、当時の悲惨な光景を思い出し、いまだに心の傷は癒えない。灯籠供養で29個の灯籠に火をともし、その数の多さに改めて被害の大きさと尊い命の犠牲を痛感した。諸霊には安らかにお眠りいただき、住民が安心して住める那智谷になるよう見守ってください」と冥福を祈った。
水害で父母と妹2人弟1人を亡くした新宮市王子町に住む会社員・中平史都さん(29)は「笑顔が絶えない理想の家族だった。当時は東京に住んでいて帰ってくるのがつらかったが、祖父母らを守らなければという思いで戻った。地域のため何かしたいので消防団に入るつもり」と話した。
(2017年9月6日付紙面より)
福祉センターで避難訓練 (新宮市 )
新宮市社会福祉協議会は4日、同市福祉センターで火災を想定した避難訓練を実施した。同協議会職員とセンター利用者、児童館で遊んでいた子どもたちが参加し、屋内から玄関前に逃げた。
福祉センターでは年に2回、津波と火災を想定した避難訓練を各1回ずつ実施している。この日は1階の湯沸室からの出火を想定し、火災を発見した職員が大声で周りに知らせ、消火班が近くにある消火器を使って初期消火を試みた。
通報連絡班が消防署への通報と館内放送で火災発生を知らせるなど役割に沿って行動した。利用者らは職員の指示と誘導に従い、鼻や口をハンカチや手、服の袖などで覆い、速やかに避難した。
市消防本部職員は「火災を発見した際に初期消火をしてもらうが、煙などが充満するのを防ぎ、避難誘導をしやすくするため成功しても失敗しても扉を閉めてほしい」と話した。
消火器の使用訓練では、特徴や使い方の説明を受けた職員らが2人ずつ交代で練習した。消防職員は逃げ道を確保して消火器を使うことや天井まで燃えている場合は初期消火よりも避難誘導を優先するよう呼び掛けた。
大谷康央事務局長は「児童館の子どもたちがいるので慎重に素早く行動する必要がある。毎年訓練を実施しなければならないと感じます。火事になった場合、手順を踏んでできるか分からないので毎年していかなければならないと思います」と話していた。
(2017年9月6日付紙面より)
橋杭海水浴場遊泳期間終了 (串本町 )
串本町くじ野川の橋杭海水浴場で4日、遊泳期間(7月1日~8月31日)終了に伴う海上遊具など資材の撤収作業があった。役場産業課調べによる期間中の利用者数は8525人で、台風など天候不順で昨年に比べ約1割減。他方、駐車場やビーチハウス・ラパンの収益は向上していて、利用の勢いは増したという見方をしている。
同浴場は環境省「快水浴場百選」の一つに数えられ、橋杭岩や紀伊大島などに囲まれたロケーションの良さときめ細やかな砂浜などを特色とする。今季は春~秋3シーズン活用の本格化により各種マリンアクティビティーレンタル事業や海上遊具(滑り台)の増設など、魅力を増した状況で海開きを迎えてひと夏の利用を集めた。
期間中は台風5号が迷走した8月上旬や天候不順の盆以降で利用が伸び悩み、全体実績を下げる要因となった。昨年の利用者数は9436人で、今年は911人減。その状況下で利用増となった有料駐車場、ビーチハウス・ラパンや同レンタル事業は、数字以上に利用の勢いが増しているとの見方もしている。来年は旧浦島ハーバーホテル施設が大江戸温泉物語グループの一つとして営業再開している見込みで、その動線をいかに利用に結び付けるかが関心事となっている。
撤収作業は同町観光協会(島野利之会長)が観光関係者に呼び掛けて実施。16人が参加し、中村洋介副会長から安全留意の呼び掛けを受け海上遊具や遊泳区域指定ブイを陸へ引き揚げ、有料駐車場資材を片付けるなどした。
同課調べによる串本町田原にある田原海水浴場の遊泳期間(7月1日~8月31日)の利用者数は2229人で、昨年に比べ25・55%(765人)減。天候不順に加え、相次ぎ打ち上がった流木の処理が追い付かなかった点も要因と見ている。
(2017年9月6日付紙面より)
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭=10月15日(日)、16日(月)=に向けた事故防止協議会が4日、同大社双鶴殿で開かれた。関係者らが集まり、けがや事故なく安全に例大祭が執り行われるようにと注意事項の確認や当日までの準備の日程などを話し合った。早船競漕(そう)の審判委員の交代があり、審判委員長を下地昌宏さん、副審判委員長を野尻政典さんが務めることになった。
例大祭は同大社の主神、速玉大神(はやたまのおおかみ)のご神霊が神馬で阿須賀神社へ渡御し、熊野川河原の乙基(おとも)のお旅所へ渡る「神馬渡御式」と、夫須美大神(ふすみのおおかみ)のご神霊が神輿(みこし)で街を練り、神幸船で御船島を回る「神輿渡御式」からなる祭り。
会議では各渡御式のコースや行列順序を確認。事故防止のために供奉員による自主警備を行うことや、飲酒厳禁、交通法規の厳守などを話し合った。早船の上り競漕スタート後に下札場から上札場を目指し自家用車で移動する人たちのマナーの悪さを問題視する声も上がり、事故が起きる前に対策が必要との意見が出た。
御船祭に関しては当日までの日程を話し合い、本番船の蔵出し・点検は10月5日(木)午前6時、御船島清掃、市内のぼり立てを8日(日)、各地区への早船引き渡しは8日と9日(月・祝)に、旗番抽選と来年度以降の本番船の抽選を11日(水)に行うことが決まった。
上野宮司は「国の重要無形民俗文化財に指定されて2年目を迎えます。皆さんにも伝統神事を担っておられることをさらに再認識していただきながら、事故なく、けがなく、にぎにぎしく喜びの祭りとしてご奉仕いただけるようにお願いしたい」とあいさつ。昨年審判委員長に就任後に急逝した山塚公晴さんを紹介し、「心の痛いこともございますけども、それを心に船をこいでほしい」と呼び掛けた。上り競漕の優勝区が優勝旗を持って御船島を周回する前に、山塚さんの功績をたたえ、特例で丹鶴区が遺影を掲げて御船島を1周することが満場一致で快諾された。
(2017年9月6日付紙面より)
那智勝浦町総体陸上兼陸協記録会
古道歩きや外来植物除去 (新宮市 )
東京大学の学生たちが8月31日から、「聖地熊野の歴史文化と自然を体験しつつ新宮市の文化行政を学ぶ」をテーマに新宮市内の熊野古道などを巡っている。9月3日(日)までに大峰奥駈道、小雲取越などを歩く予定。
東大の濱田純一前総長が提唱した「よりタフによりグローバルに」を元に2012年度から始まったプログラムの一つ。新しい考え方や生活様式を学び、新しいアイデアを生み出す力を身に付けることが狙いで、社会貢献活動、国際交流、自然体験、地域体験など全76種類ある。
参加者は学生9人、大学院生2人のほか、企画責任者の秋山聰・東大人文社会系研究科教授、鐸木道剛・東北学院大学キリスト教文化研究所長、建築家のマヌエル・タルディッツさん、濱田東大前総長ら計27人。
一行は8月31日、新宮市文化財保護審議会の瀧野秀二副委員長(71)の案内で市内の世界遺産熊野古道「高野坂」を歩き、外来植物ノハカタカラクサをゴミ袋9袋分除去した。その後、市役所で「熊野地方の自然」をテーマにした瀧野副委員長の話を聴いた。
秋山教授(54)は13年9月、台風の中、熊野古道「大雲取越」を歩いた際、「円座石(わろうだいし)」から見上げた丸い空に感動したことがきっかけで熊野に興味を持つようになった。昨年5月に市内で講演し、楠本秀一教育長との話し合いの中で同プログラムを企画した。「初めての取り組みですが、できれば来年からも続けていきたい」と話していた。
初めて熊野を訪れた薬学部3年の伊藤慶さん(20)は「寺社巡りが趣味で熊野へ行きたいと思っていました。高野坂を歩いて海岸がとてもきれいだと思いました」と感動していた。
(2017年9月2日付紙面より)
京都橘大学インターンシップ報告会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町と地域活性化に関する連携協定を結ぶ京都橘大学のインターンシップ(企業実習)終了報告会が8月31日、町体育文化会館であった。2年生10人が関係者約20人の前で、11日間の就業体験とフィールドワークのまとめを発表した。
このインターンシップは、連携協定の一環として、積み上げ方式の3カ年計画で今年から始められた。就業体験に地域の課題解決に向けたフィールドワークを組み合わせることで、教育効果が高まるという。
学生一行は21日に来町し、22~26日まで宿泊施設や関係各団体で研修を受け、28日に中間報告を行った。
29、30日のフィールドワークでは、歴史や文化への関心が高い欧米人観光客と町に漁師町文化と歴史ある寺社が多いことから、「欧米人観光客と受け入れ調査」をテーマにし、2班に分かれて商店街の22店舗で聞き込み調査を行った。
調査の結果、「外国人観光客に駅やコンビニ、銀行の場所がすぐ分かるようにしてほしい」、「外国人観光客を案内する指さし表を実際に使用した店舗がほとんど無かった。日本人と欧米人でイラストの認識に相違がある」などの意見があった。アンケートも実施し▽「英語のメニューあり」53%▽「指さし表あり」39%▽「英語でのコミュニケーションが可能」58%▽「外国人が来ることはいいと思う」100%―という結果だった。
学生代表の現代ビジネス学部経営学科2年、海東拓実さんは「那智勝浦町が大好きになりました。研修先の中の島でも、社員や先輩たちにかわいがってもらい、親身に話も聞いてくれました。別れるのがとてもさみしい。次こそはお世話になった人たちに恩返しできるよう、成長したいです」と涙ながらに思い出を語り、感謝を述べた。
浦島観光ホテル株式会社取締役・総合企画担当の西川正修さんは「よそから来た若い人の視点で調査してくれた。町に住む者が今日の報告を生かしていけたら」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
養生期間を経て一面緑に (串本町 )
串本町立潮岬中学校(藤本弘子校長)は1日、芝生化した校庭の利用を再開した。来る中体連新人戦に向けてサッカー部などが練習を始めたほか、同町立潮岬幼稚園(南君子園長)の園児も訪れてさっそく駆け初め。晩秋に冬芝のタネをまいて再度養生期間を設けるが、それまでの間は社会教育利用も含めて活用を図るとしている。
同校校庭の芝生化は、旧来の芝が減り近隣に舞い上がるようになった砂の飛散抑止が主目的。日本サッカー協会(JFA)事業「グリーンプロジェクト」の支援が得られることになり6月下旬、地域の協力も得ながら無償提供された苗2万株弱を植え込んだ。
苗は国立競技場でも採用されているティフトン芝で、旺盛な生育力が特徴。JFAから「2カ月ほどで一面を覆う」と紹介を受けた同校は、夏休みの終わりまでを養生期間とし、本来の養生期間(約1カ月)以降は暑さが厳しい中で毎朝の散水に加え、同町教育委員会が配備した乗用芝刈り機による週3回の芝刈りや手押し式による月2回の追肥―と手間をかけて着実な根付きを図ってきた。
当初は50㌢間隔でまばらだった500円玉大のポット苗の成長は驚異的で、8月31日現在で外縁を除く校庭全面をほぼ覆い尽くした状況。厚みが増すのはこれからといった段階だが、ティフトン芝は踏むなどの刺激を与えた方が育ちがいいため予定通り今月1日から利用を再開した。
授業やクラブ活動のほか、社会教育関係で少年サッカーやシニア野球、ソフトボールなどの団体利用、幼稚園のチャレンジランキングに向けた練習や住民の利用もあり、関係各者には利用再開を事前に伝えている。
藤本校長は「皆さまの協力と先生方の尽力のおかげで、無事に芝生化が進んだ。特にサッカー部には10月の新人戦に向け、今まで使えなかった分も含めてこれから練習に頑張ってほしい。地域の皆さまにもこれまで通り活用していただければ」とコメント。
井口英夫教頭によると、この夏は着実な根付きを図るという狙いもあり教員のみで管理にあたったが、教員だけでは大変な労力規模で今後は省力化や労力の分散も考えたいとした。
(2017年9月2日付紙面より)
台風の影響、初日は漁獲なし (太地町 )
太地町で1日、イルカや小型クジラの追い込み漁が解禁された。午前5時すぎ、町漁業協同組合所属の太地いさな組合(小畑充規組合長)の12隻が太地漁港を出港した。反捕鯨団体の目立った活動はなく、静かな出漁となった。この日は台風の影響で波が高く、すぐに引き返し漁獲はなかった。
国際捕鯨委員会(IWC)の規制対象外の漁で和歌山県知事の許可を得て来年春まで漁獲制限を設けて行われる。今年からカズハゴンドウとシワイルカ2種が捕獲対象になった。漁をめぐっては反捕鯨団体の活動家とのトラブルが絶えず、漁期中は県警本部が町内に臨時交番を設け、第5管区海上保安本部も職員を派遣して妨害活動を監視している。この日は、外国人2人が東の浜でスマートフォンを使って出港風景を撮影していた。
小畑組合長は「初日なので、できるだけ状況を見てみたかった。9月は最初の月で今年一年を占える。この月がよければ安心感が持てる。いい漁ができればいいなと思っている」と話した。
(2017年9月2日付紙面より)
全日本ジュニアバド和歌山県予選