自治会連合会が要望書提出 (新宮市 )
新宮市自治会連合会の榎本義清会長、西孝・貞宗孝史両副会長は24日、市役所を訪れ、田岡実千年市長と榎本鉄也議長に市立医療センター産婦人科常勤医師の早急な確保などを求める要望書を提出した。要望書を受け取った田岡市長は「一丸となって医師の確保に努めたい」と返答した。
地域の中核病院として、年間約300件の分娩(ぶんべん)を行ってきた市立医療センター産婦人科。常勤医師2人のうち1人が退職することが決定したことに伴い、「後任の医師が確定していない状況下では、安全で安心な医療の提供が担保できない」といった理由から、来年3月1日(火)以降の分娩予約休止を発表している。
要望書はそういった不測の事態に対し、早急な状況打開と必要とする医療の確実かつ持続的、効率的提供を求めるもの。
榎本会長は「地域の産婦人科医療の拠点病院としてなくてはならない医療機関。子どもを産める環境がなくなってしまえば、広範な地域の市民生活に大きな影響を及ぼすだけではなく、人口減に歯止めがかからなくなってしまう。分娩予約休止の事態は単に妊産婦だけの問題ではなく、この地域に住む住民の共通する問題である」と要望書の概要を説明。「常勤医師を早急に確保し、来年3月以降の分娩予約を早急に開始」するよう求めた。
さらに、榎本会長は「分娩予約の休止は市民として到底のむことはできない。医師確保に向けた尽力は重々承知しているが市民の生命に関わること。緊急課題として全庁挙げて取り組んでほしい」と伝えるとともに、協働する意志も見せた。なお、常勤医師は指導員の立場として、10年以上の経験を有することが条件になるという。
要望を受け、田岡市長は「事態を重く受け止めている。近隣町長も動いてくれている。地元選出の国会議員の方々の力もお借りし、あらゆる手を尽くしたい」と話した。
(2021年11月26日付紙面より)
田原川河口域などで海霧 (串本町 )
串本町田原でいよいよ、まちの冬の風物詩ともなっている海霧が見られるようになった。
町の観光カレンダーに登場することも多い海霧は、夜半から未明まで夜空が晴れ渡り風も弱く冷え込みが増す明け方に起こることが多い「神出鬼没」の自然現象。見られる場所はもっぱら河口域で、とりわけ田原川の河口域は国道42号沿いから見て東方向を眺める形となり朝日に照らされて輝き浮かぶ光景の荘厳さで撮影愛好家の定評を集めるところともなっている。
25日は東のかなたに雲がたなびき朝日が出るまで少し時間がかかったが、雲を越えて陽光が届き始めると海霧も灰色から一転して黄金色の輝きを増し明け方独特の群青色の海を覆い隠した。
スペースポート紀伊前の国道温度計が示していた午前7時前の気温は5度。今はシーズンインの時期で立ち上がる勢いはまだ鈍かったが、この日は河口域一帯を覆い尽くすほどに広がりを見せていた。町内ではこの日、田原川のほか古座川の河口域(九龍島=くろしま=前)でも同様に勢いは鈍いものの海霧が広く立ち上がる光景が見られた。
(2021年11月26日付紙面より)
烏止野神社、神内神社で例大祭 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の烏止野(うどの)神社(田中安弘宮司)と神内の神内神社(宮地秀直宮司)で23日、秋季例大祭があった。例年、例大祭に合わせて鵜殿地区は「うどのまつり」、神内地区は「神内まつり」を開催し、祭り一色に染まる。今年は昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で両地区とも中止としたが、例大祭は厳かに営まれた。
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烏止野神社では、五穀の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)と例大祭が営まれた。熊野水軍子供太鼓が演奏奉納した後、神社関係者ら少人数が参列し、田中宮司によって神事が進められた。
浦安の舞は、いずれも鵜殿小学校5年の井上琴音さん、長田結衣さん、芝鼻美唯菜さん、畑彩花さんが奉納。地域の平和や心の安寧を願い、境内に大輪の花を咲かせた。
神社総代会の中道渉会長は「境内には地区住民も集まってくれた。来年は餅ほりも再開したい」と述べ、新型コロナの早期終結と再び神社境内が地区の人たちであふれるにぎわいを祈念した。
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神内神社の例大祭には、下澤深総代会長、川原田規泰区長、浅田和江町議会議員、老人クラブ「福寿会」の瀧之上勝会長らが参列した。
宮地宮司による神事が執り行われ、満19~77歳の12人が厄払いを受けた。神事後、宮地宮司は干支(えと)や還暦の意味を伝え、「昨年、今年は新型コロナウイルスの心配事が多い年だったが、来年こそは明るい年になってほしい。神様は皆さんのことを見て下さっている。コロナや風邪に負けず、元気に過ごしてほしい」と述べた。
(2021年11月26日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(布引伸幸校長)で22日、県による出張減災教室が開かれた。3年生32人が4グループで「きいちゃんの災害避難ゲーム」に取り組み、津波からの避難や避難所運営について考えた。
「きいちゃんの災害避難ゲーム」は津波による犠牲者ゼロを目指し、災害時の迅速な避難行動や円滑な避難所運営について実践的に学べる防災学習ツールとして、今年3月に発表された。
ゲームの「津波から逃げきろう」編は、南海トラフ地震(M8・7)が発生し、津波が来るまでの30分以内に安全な場所へ逃げなければならない状況を想定。1回目、プレーヤーは事前準備をせず、家の中の必要そうな物をかき集めて町中を逃げるという設定で実施。津波から逃げ切れたのは1グループのみだった。
2回目は、事前に非常用持ち出し袋の準備や、訓練による避難場所の確認を実施している前提でゲームをし、状況を判断しながら全員が生き延びることができた。
この日は「避難所を運営しよう」編も実施。ライフラインが途絶えた小学校で避難所運営を担う立場になり、さまざまな問題が起こる中でどのような判断を下すかを考えた。
宮井聡子さんは「『地震後に家のブレーカーを落としていなくて火災が発生』などのことが次々に起こり、たくさんの状況を想定しておく必要があると感じた」。谷唯央(いお)君は「防災バッグの準備やブロック塀の補修、家具固定、住宅の耐震化などの事前準備をしておくことで、スムーズに逃げられることが分かった」と話していた。
(2021年11月26日付紙面より)
仲之町商店街で新翔マーケット (新宮市 )
新宮市の仲之町商店街で20日、「新翔マーケット」の販売実習が開催された。県立新翔高校のボランティア生徒9人が同校オリジナルの「新翔まぐろ缶」をはじめとする「なごみあきない商品」を販売。「まぐろ缶、おいしいですよ」と元気な声が響き、地元住民や保護者、同校卒業生らでにぎわった。
同商店街とのタイアップ企画。「新翔マーケット」はこれまで文化祭などで実施してきたが、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せる中、地域との連携・協働を模索する中で実施に至った。
「なごみあきない」は和歌山県商業教育研究会が設定する統一ブランドで、県内商業系高校が地元企業と連携して行う商品開発を支援。和歌山の「和」と商業の「商」を取って名付けられた。
「新翔まぐろ缶」は同校が勝浦漁業協同組合「まぐろ体験CAN」と協力して製造したビンチョウマグロのしょうゆ煮の缶詰。この日はその他にも、和歌山商業高校のあられ(7種類)、笠田高校のせんべい(4種類)、和歌山高校の「ぷるぷる娘キャンディ」、神島高校の梅あられ、南部高校の梅ジャムが販売された。同校吹奏楽部(太田誇音(かのん)部長)による演奏もあり、「学園天国」や「風になりたい」「宝島」などの軽快な楽曲で観客を盛り上げた。
商品を買い求めた70代の女性は「孫が吹奏楽部のメンバーで、大ファンなんです。販売されている商品も一通り全部買いましたが、あられなども上手に作ってあって、おいしそうです」。
販売をした小西なおさん(3年)は「生徒会で和歌山市でも販売をして楽しかったので、今回も参加しました」。山下心優羽さん(同)は「やっぱり地元なので『新翔のやから』と買ってくれる人が多く、うれしいです」と話していた。
(2021年11月23日付紙面より)
古座川筋各所で色づき進む (古座川町 )
古座川筋で木々の色づきが進んでいる。見頃の木が点々と見られる中、著名な子授けイチョウや地蔵モミジはこれからが見頃に差し掛かりそうな状況だ。
子授けイチョウは古座川町三尾川(みとがわ)の古傳山光泉寺に伝わる木。樹高約30㍍、幹回り約6㍍、推定樹齢約400年とされ、県内最大級であり枝から垂れ下がる複数の気根に触れると子宝に恵まれるという信心もあり、色づく時期には町内外から多くの鑑賞を集める。同町も天然記念物に指定し、周囲に駐車場や公衆トイレを整備し利便を図るところとなっている。
同寺は例年11月23日に法会「いちょう祭」を営んで鑑賞を促しているが、今年は新型コロナウイルス感染症予防のため休止。21日時点で色づき半ばに達し落葉が始まった段階で、例年ほど荒天にさらされておらず葉は多め。鑑賞に訪れた町民は青みも残る状態を見て「まだ少し早いか」と話し、まもなく見頃となる状況を期待していた。
地蔵モミジは同町田川にある清流山瀧川寺に伝わる木で、子授けイチョウとともに町の天然記念物に指定されている。推定樹齢は200年余りで、町内でも特に大株で境内から眺めるロケーションで安定評価を得ている。20日時点で枝先がようやく色づき始めた段階で、来週ごろに見頃を迎えそうな状況だった。
同寺は道の駅瀧ノ拝太郎から小森川方面へ約8・7㌔進んだ左手にあるが、同駅より先の道幅は1車線と狭く通行時は対向車への注意が必要となる。
(2021年11月23日付紙面より)
初の「生命のメッセージ展」 (新宮市 )
新宮市の王子公民分館は20日、市立王子ヶ浜小学校体育館で熊野地域で初となる「生命(いのち)のメッセージ展in新宮」を開催した。会場には遺族が制作した、理不尽に生命を奪われた犠牲者を型取りメッセージを託した30人分の「メッセンジャー」が展示され、NPO法人「KENTO」代表の児島早苗さんが「生命(いのち)を越すものはない」を演題に講話した。200人以上が来場し、メッセンジャーを見つめ、講演に耳を傾けることで命の尊さや重さについて、改めて理解を深めていた。
同展は殺人や悪質な交通事故、いじめ、医療過誤、一気飲ませなどの結果、理不尽に人生を断ち切られた犠牲者が主役のアート展。犠牲者一人一人の等身大の人型「メッセンジャー」(硬質発泡材)に遺品の靴、残された遺族がつづったメッセージが添えられているもので、向き合う者に命の重さや尊さを訴えている。
2018年に最愛の母・中尾叔子さん(享年85)を交通事故で亡くした紀南交通事故被害者の会代表の中岡貴恵さんは、(公社)紀の国被害者支援センターの紹介で児島さんと交流を持つことに。
この日は新宮警察署から職員5人ときしゅう君も参加。児島さんが会員のNPO法人「いのちのミュージアム」(鈴木共子代表理事)が開催する「生命のメッセージ展」に参加することが決まり、同市での開催に至ったいう。中岡さんは5日、同市佐野の自宅で同展に展示するための「メッセンジャー」を制作している。
当日、野尻和則分館長が「開催に当たり関係者の皆さまに感謝を述べたい。今後、地域から事故や犯罪が発生しないように取り組んでいきたい」とあいさつ。
児島さんは自身の息子を亡くした当時の状況と心境を振り返り▽交通事故が軽くとられがちであること▽18年間、無料で配布している「交通事故対応マニュアル」の冊子を息子の同級生らと作成した▽家族が交通事故に遭遇したことを想像する疑似体験▽国内では戦後74年間で交通事故による死者が約95万人を超えていること▽「生命のメッセージ展」を授業として取り上げてくれる学校が増えていること―などを話した。
犠牲者や来場者自身、その家族の一日の無事を祈って、黙とうがささげられた。児島さんは「交通事故をゼロにし、犠牲者も加害者もなくすことが私たちの願い。不可能じゃない。『ありがとう』や『ごめんね』が言えるのは自分自身が生きているからであり、言う相手が生きているから。先延ばしせずに、今日、大切な方に伝えてください」と涙を流し訴えた。
中岡さんは母のことやこれまでの経緯に触れ、「新宮市でも開催したい思いを(市議会議員の)濵田雅美さんに相談し、声を上げてくれたことで多くの方々の協力の下、開催に至った」と感謝。
交通事故について「事件・事故は人ごとではない。誰もが被害者にも加害者にもなりうることを知っていただきたい。奪ってしまうものの重みを考えるきっかけとなり、尊い命が一つでも守られていくことを願っています」と語った。
家族と共に会場に訪れていた近畿大学附属新宮中学校3年の𠮷良和子さんは「命について深く考える機会を頂いた。私自身、生活する中で、道を歩くときでも命の大切さなどを考える気持ちが欠けていたと思う。これからは事故防止など、自分自身にできる範囲で進めていきたい」と話していた。
(2021年11月23日付紙面より)
熊野初のレインボーフェスタ (那智勝浦町 )
レインボーフェスタ和歌山実行委員会は21日、那智勝浦町のブルービーチ那智で熊野地域で初となる「RAINBOWFESTA in wakayama NACHIKATSUURA(レインボーフェスタin和歌山那智勝浦)」を開催した。多様性を分かち合う場として開かれた催しには多くの来場者が訪れ、にぎわっていた。
レインボーフェスタとは性的少数者(セクシュアルマイノリティー)やLGBTQについて理解を広めるとともに、一人一人が持つ「性の多様性」を祝福し、分かち合う場として、全国各地で実施されている催し。
県内では5年前から和歌山市で開かれている。開催に声を上げたのはトランスジェンダー(性別越境者)当事者である丸山都(みやこ)さんだ。丸山さんは生まれ故郷である同町でのフェスタを企画。関係者の協力の下、今回に至ったという。
当日、入場時に検温と消毒を行い、配布のリストバンドを装着した人のみが会場内のサービスを受けられるなどの感染症対策にも取り組んだ。
フェスタでは楽器やバンド演奏、ダンス、歌などが会場を盛り上げた。また、地元商店などの飲食や販売ブースには行列ができたほか、輪投げやスーパーボールすくいなどを楽しむ子どもの姿も見られた。午後からは丸山さんと、トランスジェンダー当事者である乾菜月さんがトークショーを行った。二人は来場者から集めた質問について回答するなどした。
会場を訪れていた堀順一郎町長は「多くの方に町を訪れていただける催しに感謝している。町として人権研修などに力を入れていきたい」。
丸山さんは「予想以上にご来場いただきうれしい。熊野地域にも自身の性について悩みを持った方がいることや、多様性を知っていただけたら幸いです。今後も継続していきたい」と笑顔で語った。
(2021年11月23日付紙面より)
「和傘の灯り2021」 (新宮YEG )
コロナ禍で閉鎖的になっている気持ちを和らげてもらおうと新宮商工会議所青年部(新宮YEG、向井康博会長)の「和傘の灯(あか)り2021~人と場所、未来へ想(おも)いを繋(つな)ぐ~」が10日、新宮市の旧西村家住宅(西村伊作記念館)や徐福公園、新宮城跡公園入り口の3カ所で始まった。今回は旧西村家住宅で外壁に映像を投影するプロジェクションマッピングも行われ、来場者の目を楽しませていた。午後5時30分から9時(最終日は8時)、14日(日)まで。
市内3カ所で開催することで、各商店街を歩いてもらうきっかけをつくるとともに、市内で秋の夜を楽しんでもらう目的。
市内の文化財に目を向けてもらうことで文化的背景や歴史を広く発信し、歴史・文化への理解を深める狙いもある。過去にも新宮城跡公園で2回開催しており、昨年は旧西村家住宅で実施した。
この日、旧西村家住宅では親子連れなども多く訪れ、「かっこいい。もっと見たい」「きれいやね」と、スマートフォンなどで、和傘やプロジェクションマッピングを撮影する姿も見られた。
向井会長は「新型コロナウイルスも少し落ち着いてきた。皆さまに外に出てほしいという思いから今回、初の試みにも取り組ませていただいた。終息を願うとともに、今後も皆さまと新宮市を元気にしていきたい」と語った。
「和傘の灯り2021 フォトコンテスト」も同時開催しており、和傘の写真を撮影して「#バイローカル新宮」を付けてインスタグラムに投稿すると、バイローカル参加店舗の中から景品が当たる。
(2021年11月12日付紙面より)
中里いきいきサロン (那智勝浦町 )
那智勝浦町の中里会館で8日、中里いきいきサロン(岡本美智子代表)があった。一般社団法人和歌山県歯科衛生士会のメンバーで新宮市在住の歯科衛生士・玉置浩美さんが講師を務め、口の中の機能が低下する口腔(こうくう)機能低下症の詳細や予防のための運動を解説し、14人の会員は楽しみながら学びを深めた。
玉置さんは「口の中が乾きやすくなったか」「食べ物がかみづらい」「食べ物が飲み込みにくくなった」「口の中に食べ物が残ってしまう」「むせやすくなった」などの症状は、口の中の機能が低下したことなどが原因だと述べた。数点該当する場合は口腔機能低下症であるとし、症状が進行すると、食欲や心身機能の低下につながると話した。
防止対策として、歯磨きや舌の表面にある舌苔(ぜったい)の磨き方、入れ歯の手入れと管理方法、就寝前や起床後に行えば効果的なうがいなどについて説明。また、歯磨きのみでは口腔内を完全に清潔にできないとし、歯間をきれいにするデンタルフロスや液体歯磨き(デンタルリンス)などの活用も提案した。
唾液については、消化や粘膜の保護、洗浄、殺菌、緩衝、再石灰化などの作用があるとし、これによって口腔内が守られているとその重要性を解説した。
唇や舌に力を入れる「パ・タ・カ・ラ」の発声練習や、口の開閉、舌を動かす、唾液腺のマッサージなど「歯あわせ体操」にも取り組んだ。
会員らは「その用具はスーパーで購入できるか」「歯磨きは3食3度のほうが良いか」などの質問が上がり、玉置さんは「スーパーや薬局で手に入る物もある。歯磨きはできるなら、3度してもらう習慣を付けたほうがいい」と回答した。
玉置さんは「悪い所がなくても、予防や相談で歯医者を利用してほしい。歯医者との距離を縮めることで生活の改善にもつながると思います」と締めくくった。
岡本代表は「皆さんに多くの学びがあったと思う。今日習った体操などは毎日の生活やサロンごとに実施して、恒例にしていきたい」と語った。
(2021年11月12日付紙面より)
紀の国わかやま文化祭行事 (古座川町 )
古座川町中央公民館で7、8日に紀の国わかやま文化祭2021関係行事「古座川せせらぎ秋のコンサートウイーク」があり、2日間計で80人が来場し音楽を楽しみながら同文化祭の趣旨を実感する機会を得た。
同館リニューアル後の1階ロビー(住民交流を前提とするフリースペース)活用モデル策として定着している企画「古座川せせらぎミニコンサート」をベースにして同文化祭古座川町実行委員会が計画。いつも以上の来場を見越して舞台を大集会室へと変更し、同文化祭の趣旨に沿って7日に常連の「The JANK」、8日に初参加の「みぞやんず」が出演することを事前発表し、入場無料、子どもも大歓迎で来場を呼び掛けた。
初参加のみぞやんずは全盲のボーカリスト・溝本和彦さんがリーダーを務める軽音楽ユニット。新宮市熊野川町にある社会福祉法人美熊野福祉会障害者支援施設「杉の郷」から活動の輪を広げていて、同町初進出ともなった今回は歌謡や演歌、童謡など幅広い世代で親しめる歌唱を中心に披露し、時に手振りや合唱による共演も誘うなどして和やかに音楽を楽しむバリアフリーのひとときを来場者と共有した。
同実行委員会は6~8日に同館1階ロビーで障害者芸術作品展を開き、つばさ福祉会施設「エコ工房四季」と県福祉事業団施設「東牟婁生活総合支援センターふわり」の各利用者作品を紹介。同イベントの実施に当たり代表して教育委員会教育課の洞内宏文課長が国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を合わせたものが現在県内で開かれている紀の国わかやま文化祭2021(10月30日~11月21日)であるなど、実施の趣旨を来場者に伝えて同文化祭参加の実感を促した。
(2021年11月12日付紙面より)
新宮ユネスコ協会 (新宮市 )
「世界平和記念日」の11日、新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は新宮市薬師町の瑞泉寺(穴沢丈彦(あなざわ・じょうげん)住職)で「平和の鐘」を鳴らし、世界平和を祈願した。
1918(大正7)年11月11日は第1次世界大戦が終結した日。ヨーロッパ各国では祝日に制定されたり、戦没者追悼式典などが営まれたりするなど、重要な日とされている。
7年目の取り組みとなった「平和の鐘」では、8人の会員らが午前11時から順番に鐘を突き、手を合わせた。
穴沢住職は「技術の発展とともに心も広く伸びないと物の使い方を間違えてしまう。本日は平和への祈念を心にともしていただけましたら」とあいさつ。
中谷会長は鐘を鳴らすことには時間や危機を知らせるなどの意味があるとした上で「紛争なども含め、世界は現在、危機的な状況にあると思う。リアリスティックな政治の意味での戦争と平和ではなく、精神や心の中での平和の願いを込めて鐘を鳴らさせていただいた」。
今後については「定期的に実施していくことで、平和を強く願っている人がいることを、多くの人に知っていただければありがたい」と話していた。
なお、今月6、7日には、仲之町商店街のサンタウンホールで同協会の会員による写真展も開催された。
(2021年11月12日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で8日、来年のえと「壬寅(みずのえとら)」の大絵馬と小絵馬が完成した。大絵馬は12月2日(木)に、大しめ縄と共に大社神門に掲げられる。
スギ材などで作った大絵馬は、横232㌢、縦117㌢。九鬼宮司が8月半ばごろから構想を練り、制作に着手した。太陽を背にした白虎が、先を清眼として見据える構図で、全体を包み込む形で虹を描いた。
「人々が未来に向かって進み、皆にとって光指す一年であるように」と思いを込め、「一筋の道」と「光」の文字を揮毫(きごう)した。
新宮、白浜、紀伊田辺、周参見のJR各駅に掲げる小絵馬には、同じく太陽を背に先を見据える虎の姿。それぞれのまちのキャッチフレーズから印象的な単語を抜粋し、そこから着想を得た色で「蘇」の文字を書き入れた。
新宮駅には24日(水)、紀伊田辺、白浜、周参見駅には26日(金)に授与する。旅の安全を願い、南紀白浜空港にも大絵馬を贈る予定。
九鬼宮司は「新型コロナウイルス感染症の影響で多くの人の生活が一変した。今年もコロナ禍の中で年を越すが、来年こそは自分の歩む道が定まり、虹を浴びながら光輝く一年であってほしい」と絵馬に込めた思いを語った。
(2021年11月9日付紙面より)
新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で6日、市立図書館中上健次コーナー開設記念公開講座「佐藤春夫から中上健次へ―日本近代文学の百年」があった。熊野大学(松本巌理事長)主催。文芸評論家の高澤秀次さん、市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長、中上健次(1946~92年)の長女で作家の中上紀さんが、新宮が生んだ2人の文豪について講話した。
「試験もない、校舎もない、校則もない。誰でもいつでも入学でき、卒業は死ぬ時」という熊野大学は1990年、中上によって設立。中上の逝去後は、遺志を受け継いだ有志たちが中心となって活動を続けている。
中上が亡くなった月でもある8月のセミナーには例年、墓参りも兼ねて全国から多くの中上文学ファンが熊野地方を訪れるが、台風や新型コロナウイルスの影響で3年連続の中止に。
このたびは市文化複合施設の完成に伴い新図書館に「中上健次コーナー」が新設されたことを記念し開催に至った。
開催に当たり、松本理事長は生前の中上との交流や、熊野大学設立の経緯などを説明し「立派な施設と、立派な中上健次コーナーができた。健次のことを広く知ってもらえることをありがたく思っている」。
紀さんは同コーナーの概要を紹介。「コーナーに近づくと生前最後の映像といわれるビデオが流しっぱなしとなっており、誰でも映像で健次の姿を見て声を聞くことができる。健次も喜んでくれていると思う。今日はセミナーではないが、3年ぶりの熊野大学の発信。短い時間だが皆さんと一緒にどっぷりと空気に浸りたい」とあいさつした。
来年2022年は春夫(1892~1964年)が生誕して130年、中上が逝去して30年を迎える。辻本館長は「芥川賞を受賞する前、健次は『佐藤春夫のばい菌が満ちあふれている』と小説を書くきっかけについて話していた。文学的な風土がある、と。2人の文学は新宮と熊野の風土や歴史と深い関わりがあったのでは」と言及。
「健次が亡くなった時、『近代文学は終わった』という言い方を報道などでよく目にした。春夫と健次の間の100年は近代文学の100年にぴったり重なるが、健次は近代文学そのものを批判して物語を展開していたと思う」と見解を述べた。
高澤さんは「日本近代文学を2人に象徴させて語ることは決して奇抜な方法ではない」と述べ、日本近代文学の歴史について説明。中上の著書「枯木灘」について文学評論家の江藤淳(1932~99年)は「この作品によって自然主義文学の理想は達成された」と評価したと紹介した。
また、主人公が被差別部落出身であることを告白したのちテキサスに渡るまでを描いた島崎藤村の「破戒」に関して「中上はカミングアウトして逃げていると、新宮の地で批判を展開した。そのことは日本近代文学に放った第一の矢だと思っている。物語と小説の関係性を問いただした作家であった」。
春夫については「当時の日本文学の最前線だった。日本の自然主義文学から逸脱したモダンで実験的な小説を書いた」と評価。熊野地方から大石誠之助をはじめとする6人が連座した「大逆事件」(1911年)以降、日本文学は大きく方向転換したとし「(2人は)近代文学を問いただした作家であり、難関を突破し難関(『大逆事件』)を前にたじろいだ作家」であると述べた。
また、中上が春夫に対し「『大逆事件』を回避している。熊野を真正面から書いていない」と批判したことに対し「佐藤春夫というターゲットがいなければ展開されなかった」と言及。
対し辻本館長は、春夫の短編「砧(きぬた)」では直接「大逆事件」に触れてはいないものの、「大塩事件」(大塩平八郎の乱)の熊野に与えた影響が述べられているとし「『大逆事件』の後遺症の影が投影しているのでは」と話した。
(2021年11月9日付紙面より)
コロナで延期の成人式に75人 (熊野市 )
熊野市は7日、成人式を催した。対象の新成人は154人。うち75人が参列した。りりしい背広姿や華やかな振り袖姿で会場の熊野市民会館=木本町=に集い、旧知の友人たちとの再会を喜び合いながら、成人として恥じない行動とこれからの活躍を誓い合った。
紀北町から紀宝町までの2市3町の成人式は、コロナ禍の影響で全てが11月に延期。熊野市も例年なら1月3日に開催していたがこの日、感染拡大防止のために簡素化して東紀州地区トップの開催となった。中村天音(あまね)さん(21)=2015年、木本中卒=が司会を務め、倉本勝也教育長は式辞の中で、これまでとは違った形の式の開催に理解を求めながら、「自分や家族など大切な人や地域の人を守るため、コロナ感染防止の行動を」と注意を促した。
河上敢二市長は高校生時代に何度か熊野を訪れ、大リーグ・エンゼルスでも投打二刀流の大活躍で人気沸騰の大谷翔平選手を例に、「夢に向かって努力を。夢はかなうものではなく、かなえるもの。努力すれば夢が近づく」と述べ、人生の大海原にこぎ出す若者たちを激励した。
新成人を代表して濵中良輔さん(21)=15年、有馬中卒=が誓いの言葉。育ててくれた両親、家族、友人、先生方、地域の人々の温かい支えに感謝しながら、「将来は教師として、大好きな熊野市に恩返ししたい」と希望を語り、「新成人として感謝と思いやりの心を忘れず、平和な未来に向かって歩んでいく」と誓った。
式後は校区別に記念写真の撮影。市民会館前でも友人同士が互いに写真を撮りながら、話に花を咲かせていた。無事に司会を終えた中村さんは「緊張した。仲の良い友達が来られなくて残念だった」と振り返った。
(2021年11月9日付紙面より)
那智勝浦町で統一津波避難訓練
那智勝浦町は6日、「令和3年度町内統一津波避難訓練」を町内各地で実施した。今回は町内19地区が参加。発生が懸念される南海トラフ巨大地震を想定し、住民らは津波から身を守るため高台などに避難した。
2014年に和歌山県が発表した同町の被害想定の死者数は、南海トラフで1万1700人、三連動地震で5200人。さらに津波避難困難地域に指定される地区が多いことから町では避難路整備や津波避難タワーの建設などを進めてきた。
訓練は発災時に「必ず避難行動を取る」「情報の伝達」「避難所運営」などの行動を住民が実行できるように取り組んでいるという。八反田地区では自主訓練のみ行った。
訓練では南海トラフ巨大地震が発生し、震度6弱~7でマグニチュード9・1を想定。午前9時3分に訓練を告げるサイレンと放送が行われた。
参加した勝浦四区の住民は、町立勝浦小学校敷地内に造成された高台へ避難した。この高台はかさ上げと造成によって4000平方㍍の平地が確保されており、災害時には多くの町民が避難できる。今年7月から着工し、同校が夏休み期間中に工事が進められた。訓練での使用は今回が初めて。
この日は勝浦六区も同校敷地内で実施。町内3カ所に一時避難することになっている同区はその内の1カ所として避難を行った。
四区では避難した区民の受け付け後、発電機の使用訓練や町災害対策本部への情報伝達訓練に取り組んだ。区民にはハザードマップや非常用持ち出し袋に備蓄する必要物のリスト、避難カードなどが配布された。
同区防災部長を務める梶信隆さんは「災害はいつ発生するか分からないので心構えが必要。まずは避難することを念頭に置いてほしい」。
楠本修一区長は「常に防災意識を持って日常生活を送ってほしい。そのための訓練」と語った。
なお、この日は町民が964人、町職員6人、新宮警察署から3人が訓練に参加した。
(2021年11月9日付紙面より)