新宮市は26日、総額348億3860万8000円(前年度比7・5%減)の令和3年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度に比べて13・3%減の165億8633万3000円となった。3月2日(火)開会の市議会3月定例会に提出する。
新型コロナウイルスワクチン接種推進事業をはじめ、プレミアム付商品券発行事業、住宅リフォーム助成事業など、経済対策も含めた感染症対策を実施。誰一人取り残されない「安心・安全なまちづくり」を目指す予算編成となった。
また、文化複合施設「丹鶴ホール」オープニングイヤーの前期となる当年度においては、商店街と一体となったイベントの実施や、佐藤春夫記念館移転のための用地を取得し、歴史的建造物の集約化を図る。なお、事業推進に当たっては、国費などの財源確保を第一に、財源措置に有利な起債を活用するとともに、一部起債の繰上償還により将来負担の軽減を図る。
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市税は、市民税では法人市民税の税割で税率変更などの影響により1・8%の減、固定資産税では家屋が3年に1度の評価替の影響で6・4%の減。総額で1・8%の減を見込んでいる。
地方特例交付金は、住宅ローン減税分は前年度同額。軽・普通自動車に係る環境性能割の消費増税に伴う臨時的軽減による減収補塡(ほてん)分の増、新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補填特別交付金の皆増を見込む。
地方交付税は地財計画の一般財源総額が増となることや、前年度実績からの算定見込みなどにより0・8%の増を見込む。
国庫支出金では、新型コロナウイルスワクチン接種に係る負担金などが増となる一方、文化複合施設整備事業および観光看板等整備事業の都市再構築戦略事業に係る交付金が皆減となったことなどから、総額で27・1%の減。
繰入金は、熊野川関連施設整備基金繰入金、合併市町村振興基金が減となる一方で、退職手当基金繰入金、第三セクター改革推進債の繰上償還に伴う減債基金繰入金が増となったことなどから、総額で102・5%の増。
市債は文化複合施設整備事業に充当していた過疎対策事業債、合併特例事業債の減などにより、総額で51・1%の大幅減となった。
歳入の構成比率は、自主財源27・5%、依存財源72・5%。
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投資的経費では、三輪崎庁舎整備事業や敷屋大橋補修工事が増となる一方で、文化複合施設整備事業の減や高田テニス場・若もの広場整備事業や丹鶴体育館改修事業の皆減などにより、総額で68・8%の減。
義務的経費では、人件費で退職者数の増により退職手当が増となったことなどから総額で6・5%の増、公債費では、平成24年度に借り入れた第三セクター改革推進債の繰上償還などにより、総額で24・8%増。扶助費では生活保護扶助費や児童手当の減などにより総額で1・4%の減となった。
(2021年2月27日付紙面より)
令和3年度会計予算など承認 (紀南環境衛生施設事務組合定例会議 )
紀南環境衛生施設事務組合(管理者・田岡実千年新宮市長)は25日、新宮市役所別館で定例会議(議長・松本光生新宮市議会議員)を開催した。条例の一部改正や令和2年度の会計補正予算、令和3年度の会計予算などが審議され、全て承認された。
2市4町1村の加盟自治体(和歌山県新宮市、田辺市、那智勝浦町、太地町、北山村、三重県紀宝町、御浜町)で構成され、南清園と火葬場(清浄苑)を運営する同組合。
昨年3月に那智勝浦町からの組合加入の申し出があったことを受け、これを承認。12月7日に規約の一部を改正する規約が総務大臣より許可・施行されたことを受け、同日付で加入となった。
会議開催に先立ち、管理者の田岡市長があいさつを述べたほか、新規加入を果たした那智勝浦町の堀順一郎町長が「加盟組合として職責を全うしていく」と加入承認に対する感謝を伝えた。
同町の火葬場は、竣工(しゅんこう)から36年が経過したことを受け、延命工事を計画したが延命化後の新築建設費が約5億円かかる見込みだった。そういった状況を鑑み、同町は住民サービスの向上や負担軽減を図ることを目的に加入の申し出を決定した。
同町加入により稼働率が上がることなどから、清浄苑では火葬炉を1炉増設するなどの整備を行う。同町の火葬を受け入れる(管内扱いとする)のは増改築終了後で、最短で令和5年秋ごろになる予定。火葬炉建築事業費はコンサル委託業務一式、火葬炉工事費、施設整備費など合わせて約2億7600万円を見込んでいる。
令和3年度会計予算は、歳入歳出予算の総額を、歳入歳出それぞれ1億6936万3000円とするもの。
「紀南環境衛生施設事務組合の維持運営に要する経費の算定基準に関する条例の一部を改正する条例」では、那智勝浦町加入に伴う維持運営に要する経費の算定基準などが審議された。
(2021年2月27日付紙面より)
下里小で中瀬古友夫さん講話 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立下里小学校(泉一代校長、児童86人)で25日、中瀬古友夫さんをゲストティーチャーに迎えた特別授業が開かれた。3年生19人が古写真を見ながら地域の歴史をたどり、昔の下里・浦神の暮らしを学んだ。
中瀬古さんは、城南中学校の社会科非常勤講師や熊野学研究委員会委員、新宮市文化財保護審議会委員を務める傍ら、新宮市を中心とした各地の小学校で授業を開催。各校の教諭に写真データを渡し、独自教材づくりも支援している。
授業では最初に、子どもの頃に汽車で浦神の磯を訪れ、貝を取った思い出を紹介。1935(昭和10)年に下里まで延長された紀勢中線の終点として旅行客や貨物でにぎわう町や、人力車が止まる古座屋旅館、和装の児童生徒が通う下里尋常高等小学校の様子をモノクロ写真で振り返った。
玉の浦でふんどし姿の子どもたちが潮浴びをしている写真では、児童から思わず笑い声が上がり、中瀬古さんは「この後に皆さんがよく知る日本一短い河川『ぶつぶつ川』で体を洗っていた」と語った。
大石悠生君は「社会の勉強も合わせて、昔の人たちの生き方が分かった。家も川も同じようで少し違う」。城本紗里さんは「浦神の写真では、今よりも家が少なくて、海が大きく見えた」と話していた。
(2021年2月27日付紙面より)
令和3年度当初予算案発表 (古座川町 )
古座川町が25日、令和3年度各種会計当初予算案の概要を報道発表した。一般会計の歳入歳出総額は30億6070万円(対前年度比5%増)、特別会計は7会計計13億492万円(同0・6%減)。全体の予算案規模は43億6552万円(同3・3%増)となっている。
一般会計当初予算案の歳入に占める財源の構成比は自主が12・4%、依存が87・6%で、町税収入は1億9397万円を見込む。歳出に占める経費の構成比は消費的経費が68・2%、投資的経費が9・7%、その他の経費が22・1%。投資的経費は額で2億9674万円(対前年度比1億2253万円増)を見込み、増額の主な要因は集会所新築整備や森林環境譲与税に伴う事業費だという。歳入歳出の区分ごとの割合は別図に示した通り。
同案に盛り込む主な新規事業は▽可燃物収集車整備事業(1360万円)▽観光施設関係事業(1439万5000円)▽集落支援事業(430万円)▽新型コロナウイルスワクチン接種事業(914万3000円)▽介護人材育成支援事業(100万円)▽電動カート購入補助事業(100万円)▽百歳祝金事業(15万円)▽エアコン購入補助事業(60万円)▽いきいき健康ポイント事業(30万円)▽集会所新築整備事業(9879万円)▽町立小学校トイレ改修事業(1497万円)―で、拡充事業は▽町道改良事業(2000万円)▽森林環境譲与税事業(6105万円)。
観光施設関係事業は、ぼたん荘いろり館改修事業〈屋根の葺(ふ)き替え〉とキャンプ場等整備検討事業〈検討委員会の設置〉の2事業を包括。町民に直結する部分で電動カート購入補助事業は対象額の上限を30万円として3分の2を補助、百歳祝金事業は現行の1万円を5万円に変更、エアコン購入補助事業は未設置・故障世帯の熱中症対策を進める目的で対象条件を定め対象額の上限を12万円として2分の1を補助、いきいき健康ポイント事業は特定健診の受診率向上や健康づくり事業への新規参加を促すためにポイント制を導入し町内施設などで使える食事券を贈呈する。町立小学校トイレ改修事業の対象は高池小で、洋式化と多目的トイレ整備を進める内容。他2校および中学校2校も順次同様に手掛けていきたいという。
集会所新築整備事業は池野山集会所の更新整備で、避難所としての環境を備えた形で完成を目指す。森林環境譲与税事業は森林機能等回復整備事業、意向調査業務委託事業、森林環境保全事業の3事業を包括する形で計上している。
これら予算案は3月2日(火)から始まる第1回定例会に上程。3日(水)の本会議で施政方針演説を交えて説明し、10日(水)と11日(木)の本会議で同方針の質疑後に審議予定となっている。
(2021年2月27日付紙面より)
新翔高校3年・角勇海君
未来を見据えた農業改革とは (新宮市 )
今後、地元の経済を支えるのは“ネギ”かもしれない―。そんな、にわかには信じがたいことがもしも現実になったら?
新宮市木ノ川の道阪耕一さんは、自身が所有する畑で青ネギの栽培を始めた。昨年11月に約15㌃の畑にネギの苗を定植。5月に初収穫を予定している。
「(道阪さんの)ネギの収穫が成功すれば、新宮にとってのイノベーション(新機軸)になるのでは」。“ネギ”に新宮の未来の活路を見いだし、道阪さんと共にネギ畑を見守る井上訓さんはそう話す。そう、全ては「ネギ=イノベーション」のモデルを示すための取り組みなのだ。奈良県五條市の通称「ネギ博士」からの助言を受けつつ、2人は今日もネギ畑と将来の新宮市に思いをはせる。
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新宮市の農業産出額は2億2000万円で、全国順位1557位、県内では30市町村中27位となっている(2016年度産対象)。
強みとなっているのは市の耕種農業の農業産出額全体の50%を占める「米」だが、「米」に焦点を当てるも県内順位は20位にとどまり、また高齢化や後継者不足などの問題から耕作放棄地や休耕田も増え続けている現状にある。
「ネギは休耕田を利用して育てることができる。手間も掛からない上に年間通して寒暖差が小さいこの土地はネギの生産に向いている」。道阪さんと井上さんは声をそろえる。
さらに2人は、ネギ栽培を推進する最大の理由を打ち明ける。「販路が確保できている。われわれはネギを生産するだけ」。
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サクセム株式会社(中里輝茂代表取締役社長、本社=大阪府熊取町)は、紀の川市に工場を置く菓子製造会社だ。
世界の食糧飢餓に苦しむ子どもたちに無償で配布し救援・救済することを目的として備蓄保存パン「ライフブレッド」を開発。先日、新宮市に1000本を寄贈した。
実は洋菓子の製造を始めたのは2014(平成26)年から。08(平成20)年に大阪府堺市で青果販売業として創業したのが始まりだ。
現在、中国産が販売数のほとんどを占めるカットネギ。同社は国産カットネギ市場を構築しようと、16(平成28)年に自社農場で青ネギの栽培を開始。和歌山県全域で地元農家、JAなどの協力のもと、青ネギの委託栽培とカット用青ネギの出荷を始めた。
同社と縁のあった井上さんは、道阪さんと共に国内におけるカットネギの需要に着目。木ノ川や佐野、蜂伏周辺の土壌や気候は「ネギの栽培にうってつけ」と、ネギ博士のお墨付きだ。
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少子高齢化、耕作放棄地や休耕田の増加などの「弱み」を「強み」に―。道阪さんと井上さんはネギを通した「持続可能な農業」の形を模索する。いつの日か生産したネギをカットするプラント工場の建設も視野に入れている。道阪さんは初めてネギを作りたい人や休耕田などを借りたい人に対して相談にも乗っていくという。
「ネギの生産地となれば雇用も生まれる。若い人が農業を職業としてやっていける道筋をつくりたい。ネギを通して地元に誇りを持つ子どもたちが増えてくれる未来を創ることができたら」。若いながらも青々と畑を彩るネギを見つめながら、道阪さんと井上さんは笑顔で語った。
(2021年2月21日付紙面より)
津村雅稔さんが講演 (太地町 )
新宮・東牟婁圏域自立支援協議会は19日、太地町の多目的センターで「LGBTQと人権について考えよう『多様な性を知ろう~和歌山で自分らしく生きる~』」を開催した。NPO法人「チーム紀伊水道」副理事長の津村雅稔さんが講師を務め、自身の体験を踏まえながらセクシュアルマイノリティーや当事者の考え方、取り巻く環境などを講演。会場で17人、ウェブで60人が参加した。
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和歌山県を中心に活動する性的少数者(セクシュアルマイノリティー)と、セクシュアルマイノリティーを理解したいメンバーで構成。セクシュアルマイノリティーへの理解を深めるために和歌山市や橋本市、田辺市を主に、県内各地域で「自分らしさを出せる場」を提供すべく交流会を開催している。
そのほか、人権啓発イベントへのブース出展や講演会、学校や行政、企業、団体への講師派遣、会員制交流サイト(SNS)やホームページの運営、性に関する相談をメールで受け付けている。
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幼い頃に男性が好きであることに気付いた津村さん。周囲との違いに戸惑い、相談相手もおらず、事実を打ち明けられない日々を過ごしていた。
その後、自身以外のセクシュアルマイノリティーの人々と出会い、自分らしく生きることを決意。友人や家族にカミングアウトし、先進地との差に翻弄(ほんろう)されながらも本当の自分を受け止める作業を続け、「自分自身が学び続けること」が自身の人生だと思えるようになったという。
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講演会で津村さんは、性(セクシュアリティー)は男性と女性の二つだけではないと指摘し、性の在り方は人の数だけ多様であると述べ、「生物学的性」(身体の性)「性自認」(自認している性の在り方)「社会的性」(服装や言葉遣い、生活スタイルなど表現する性)「性的指向」(恋愛感情や性的な欲求を持つ相手)の四つを構成要素として上げた。
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取った「LGBT」に触れ、この四つがセクシュアルマイノリティーの全てではないと主張。四つ以外の「Q」というセクシュアリティーが存在するとし、セクシュアリティーが揺れ動いている「クエスチョニング」と、あらゆるセクシュアルマイノリティーを包括的に指す「クィア」があると解説した。
津村さんはセクシュアルマイノリティーの国内統計調査では3~8%であると報告。「あなたの町にもいることを知ってほしい。『いない、知らん、なにもしない』と言う人もいるが、言わせないとする社会があるのは事実」と課題を挙げた。
続いて▽トランスジェンダーの多様性▽性同一性障害者や関する法律▽当事者を傷つける言葉や差別用語▽本人の意志で明らかにするカミングアウト▽無断で第三者に暴露するアウティング▽それぞれのセクシュアリティーを表し、誰もが共通して使える「SOGIE」(ソジ)について▽同性婚▽証明書を発行することで、社会的サービスを受けられる同性パートナーシップ宣誓証明制度―などの詳細を話した。
津村さんは「見た目などで性を決めつけず、いろんな情報を知ってほしい。話しを聴いて、自分らしさを大切にしてほしい。嫌なことにはノーを言い、ノーと言われたら諦めることも大切です」。
今後については「積み重ねていくことが大事。たくさんの選択肢を持っていただきたい」と締めくくった。
(2021年2月21日付紙面より)
ジュニア駅伝に向け壮行会 (那智勝浦町 )
21日(日)に和歌山市内で開催される「第20回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会」を前に19日、那智勝浦町選手団が同町役場で壮行会を開いた。
大会は、各出場チームの選手10人が午前11時に紀三井寺公園陸上競技場をスタート。仲間との絆をたすきでつなぎ、県庁前をゴールとする10区間21・1㌔のコースで競い合う。
壮行会では、団長を務める堀順一郎町長が練習を重ねてきた選手たちに「30人の選手の皆さんはそれぞれの学年、学校、何より那智勝浦町の代表。自信と誇りを持ってください。昨年は過去最高の順位でした。今年はその記録を塗り替えるような走りをしてもらいたい。健康や体調管理などに尽力いただいた監督やコーチ、各学校の先生、保護者の方々に感謝の気持ちを持って最後までたすきをつないで頑張ってください」と激励した。
寺本尚史監督は「コロナの影響で例年参加している駅伝やマラソン大会、合同練習の中止など、困難な状況の中、しっかりと頑張ってくれました。皆さんにお願いした『あいさつ』『自分で考えてベストを尽くす』『休憩』も積み重ねてくれた。みんなの心と働きが一つになったとき、素晴らしい力を発揮することができます。試合当日は普段の走りをしましょう」とあいさつ。
元マラソン日本記録保持者で、カネボウ化粧品陸上競技部監督を務める高岡寿成さんからメッセージが届いたことを紹介し「一人で走っていると、つらさに我慢ができなくなるが、みんなと一緒に工夫して練習したことを思い出し走り切ってほしいです。諦めずに頑張ってください」と読み上げ士気を高めた。
選手団代表の速水健君(那智中3年)は「選手一同はチームワークを大切にし、一本のたすきを全員でつないで精いっぱい走ることを誓います」と決意を表明していた。
大会の模様は動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でライブ放送され、テレビ和歌山でも午後7時54分から録画放映される。
(2021年2月21日付紙面より)
「カフェいっぷく亭」で (紀宝町 )
毎月1回、日頃の思いを話し合い、交流を深める「カフェいっぷく亭」が17日、紀宝町の鵜殿地域交流センターであった。今回は町みらい健康課の保健師2人が訪問し、新型コロナウイルスの感染防止対策や日常生活で気を付けたいポイントなどを紹介した。
参加者、スタッフ計13人を前に「新型コロナウイルス感染症を防ごう」をテーマに話を進めた。ウイルスは粘膜などの細胞に付着して増えるが、健康な皮膚に入り込むことができず表面に付着するだけのため、手洗いで流すことができると説明した。
感染防止対策として▽手洗い▽マスク着用▽せきエチケット▽人混みを避ける▽定期的に換気する―を挙げた。日常生活では生活リズムを保ち、近所付き合いやサロンなど今まで通り交流を続けることや、散歩、運動を勧めた。
手洗いは①流水でよく手をぬらし石けんを付けて手のひらをよくこする②手の甲を伸ばすようにこする③指先、爪の間を念入りにこする④指の間を洗う⑤親指と手のひらをねじり洗いする⑥手首も忘れず洗う―と手順を紹介。参加者は「手洗いの歌」の歌詞に合わせて正しい手の洗い方を実践した。
(2021年2月21日付紙面より)
13団体が市長に要望 (新宮市 )
新宮市自治会連合会をはじめとした市内の13団体は18日、連名で田岡実千年市長に新宮城復元の早期着手を求める要望書を提出した。榎本義清・自治会連合会長ら13団体の代表が市役所を訪れ、「市民に夢と希望を与えるまちづくりの推進を」と求めた。
新宮城は1633(寛永10)年、紀州藩付家老水野氏により完成。建造物は1873(明治6)年の廃城令を受け、75(同8)年までに取り壊されている。現在では、幾多の自然災害の影響による石垣の崩壊や、樹木の成長による天守台の崩落や城跡の劣化も進んでいる。
市は1980(昭和55)年に新宮城跡を公有地化し都市公園として整備を開始。発掘調査や水ノ手側の石垣修復、炭納屋遺構群の保存工事を実施。2003(平成15)年には城郭跡が国史跡指定を受けた。
17(平成29)年に(公財)日本城郭協会より「続日本100名城」に選定され、19(令和元)年には水野家入部400年記念事業が開催されるなど、他地方から訪れる観光人口も増加している。
復元に当たっては、戦後間もない1946(昭和21)年に発生した南海道大地震で市内中心部が焼失しており国内での資料の発見は難しいとされている中、市では復元調査委員会などを組織し、本年度末を期限に「新宮城復元資料収集懸賞事業」を実施。懸賞金を懸けて天守や大手門、やぐらの復元につながる古写真や設計図などの資料を募っているが、今に至るまで復元の足掛かりとなる資料などは見つかっていない。
提出された要望書は▽市自治会連合会▽市婦人団体連絡協議会▽新宮商工会議所▽市観光協会▽市商店街振興組合連合会▽新宮ライオンズクラブ▽新宮ロータリークラブ▽市仲之町商店街振興組合▽丹鶴商店街振興組合▽市駅前本通り商店街振興組合▽新宮商工会議所女性会▽新宮商工会議所青年部▽子育てサポートキッズクラブ―の連名。
19(平成31)年に施行された「文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」、昨年に文化審議会が定めた「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」(以下新基準)などに言及し、「今こそ時機を逸することなく、早急に官民一体となった『新宮城再建委員会』などを組織するなど、『新宮城復元』に向けての取り組みを」と要望した。
要望を受け、文化振興課は「大手門がどこにあったかも分かっておらず、想像される場所は民有地となっている」「史跡として整備していくとなれば保存活用計画を策定する必要がある」などと現状を説明。新基準については「往時の規模や構造、形式などや材料、工法を検証し、それを採用しない部分については史跡などの理解促進や保存・活用の効果と比較衡量する必要がある」と理解を求めた。
榎本自治会連合会長は「早急に委員会などをつくり進めていかないと、未計画では中ぶらりんと取る市民も多いのでは」。対し田岡市長は「復元整備に向けてしっかりと検討していきたい。早いうちに何らかの返答をさせていただきたい」とした。
(2021年2月20日付紙面より)
大規模氾濫減災協議会 (和歌山県 )
東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議会の第6回会議が18日、ウェブ上で実施された。和歌山県や各市町村が参加。各地域の流域治水を計画的に推進するためのプロジェクトの素案などを議論した。
2015年9月の関東・東北豪雨などによる甚大な被害を踏まえ、17年5月、国は多様な主体が連携して社会全体で洪水に備える取り組みなどを推進するために大規模氾濫減災協議会制度を創設。県内においても各地域で同協議会を組織し、さらなる連携・協力体制の構築を図っている。
この日は2日に閣議決定された「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律案」(流域治水関連法案)についても説明があった。
法案は近年、全国各地で激甚化・頻発する水災害や、気候変動による今後の降雨量や洪水発生頻度の増加に対応するために流域全体を俯瞰(ふかん)し、あらゆる関係者が協働して流域治水の実現を図ることを目的としている。
改正案の概要は「流域治水の計画・体制の強化」「氾濫をできるだけ防ぐための対策」「被害対象を減少させるための対策」「被害の軽減、早期復旧、復興のための対策」となり、同協議会の対策に関連するところも多いことから加えて取り組んでいくという。
ウェブ会議で井口好晴東牟婁振興局長は「協議会を通じて流域治水の取り組みが進み、地域にとって水防災がより高いレベルになることを目指していきたい」とあいさつ。
事務局は「被害の軽減」「早期復旧」「復興のための対策」を三つの柱として▽河川や堤防、砂防えん堤の整備▽浸水が頻発する場所に住宅を建築させない▽危険地域の住宅の移転促進▽浸水想定図の作成▽避難のためのタイムラインの作成継続や強化▽被害の最小化のための事業継続計画(BCP)策定―などを推進していくとした。
古座川、太田川、那智川、佐野川の四つの水系のこれまでの事業の進捗(しんちょく)状況や治水プロジェクトについての素案を説明。次年度は各地域に出向いて課題などのヒアリングを行い、今後の流域治水のプロジェクトに反映させていくと方針を示した。
中家章夫河川・下水道局長が「この素案は住民の皆さまに理解していただけるように県のホームページに掲載する予定。今後もあらゆる関係者が協力し、議論していく。各市町でも取り組んでいただけたら」と締めくくった。
(2021年2月20日付紙面より)
紀宝熊野道路の事業説明会 (紀宝町 )
平成31年度に事業化された「国道42号紀宝熊野道路」の事業説明会が18日、紀宝町の井田公民館であった。国土交通省中部地方整備局紀勢国道事務所が測量、地質などの現地作業の内容やスケジュールを説明した。
紀宝熊野道路は紀勢自動車道、国道42号熊野尾鷲道路、熊野道路などと一体となって道路ネットワーク強化を目的に計画され、熊野市久生屋(くしや)町から紀宝インターに至る延長15・6㌔の一般国道の自動車専用道路。新宮紀宝道路の紀宝町鵜殿から成川、神内、井田の各地区を通過して、御浜町阿田和、志原両地区を経て久生屋町につながる計画だ。
説明会には約30人が訪れ、紀勢国道事務所紀勢線推進室の佐溝健治・事業対策官が説明した。現地調査、予備設計、地元説明、幅杭打設、用地測量、用地補償、工事着手などを経て完成・開通に至る計画で「今後、詳細な設計を行うため現地で測量・地質調査を行う予定です」と述べ、協力を求めた。
調査結果を基に設計を行い、後日、詳細な計画ルートや構造について説明会を開く予定で、出席者からは「ルート変更がないようお願いしたい」「雨量も考えて設計を」などの意見、要望があった。
(2021年2月20日付紙面より)
6施設に寄付金手渡す (新宮東牟婁労福協 )
新宮東牟婁地域労働者福祉協議会(關(せき)勝行会長)は18日、新宮市と那智勝浦町の福祉施設6カ所に寄付金計12万円を贈った。
協議会は子どもたちの健全育成を目的に毎年、入場無料の映画まつりを開催。その際に集まったチャリティー募金と加盟団体からの寄付金を贈呈しているが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から3密を避けるため上映を中止した。今回は活動費の一部が活用された。
寄付金は▽美熊野福祉会▽なぎの木園作業所▽わかば園作業所▽どんぐりの家▽南紀ひまわり作業所▽いなほ作業所―の6施設に均等に分配され、各2万円が贈られた。
美熊野福祉会(森常夫理事長)には關会長と谷口晃一事務局次長が訪問。森理事長に寄付金を手渡した。
關会長は「残念ながら映画の上映は中止となってしまったが、コロナ禍だからといって皆さんからの善意の気持ちは変わらない。感染症に負けずに継続して活動し、少しでも役に立てていければ」。
森理事長は「このご時世にもかかわらず、気に掛けていただいて本当にありがたい。乳幼児向けのリハビリ用のおもちゃを購入するなど、有効的に使わせていただきます」と感謝を述べていた。
(2021年2月20日付紙面より)
テキサスヒットグラブ工房・須川幸太さん
【第30回】調理体験が子どもを育てる!
子どもはかわいくて、手が掛かるものですが、いつかは自立して独り立ちしてもらわないといけません。私も子育ての目標は、一人で生きていける人間に育てることだと思っています。そのために今できること、それは、ズバリ「お手伝い」です。日々の家事のお手伝いももちろんですが、私の一押しは「調理のお手伝い」です。お手伝いがしたい!と言う3~4歳ごろ、私も「今日は時間がないから、また今度ね」とよく言っていました。親がやった方が早い・見ていないと危ない・やりたいことしかやらない。こうなると、やらせるのはかなりハードルが高いですよね。でも、お休みのときなど、ゆとりのあるときに一緒に調理をするだけで十分なんです。調理のお手伝いは、子どもにとってたくさんのメリットがあります。
調理経験は、子どもの自尊心や自己肯定感を高めるという研究結果があります。「調理経験は自尊感情のうち『他者への思いやり』に最も強く影響を及ぼすと考えられた」(栄養学雑誌「小学生の家庭での調理経験が食事観・自尊感情・教科に対する関心に及ぼす影響」、2018年)。子どもにとって、調理体験は、単純に「できた!」という成功体験の喜びを与えるだけではありません。家族に褒めてもらうことで「自分は大切な存在である」ということを認識することができますし、作ることの大変さを通じて、作ってくれる人への思いやりや感謝も学ぶことができるわけです。
さらに、調理の手伝いは学習意欲も向上させます。先ほどの論文にも、こんな記述があります。「調理経験が食事観や自尊感情を介し、教科に対する関心に影響を及ぼすという結果が得られ、児童の調理経験を増やすことが教科に対する関心を高める可能性が示唆された」(同論文)。さらに海外の研究では、調理の体験の食育で、理科や算数などの理解度が高まったという論文もあります。ここには、自尊心や自己肯定感が大きく影響していると私は考えています。ただ、調理をさせるだけではなくとにかく褒めてあげることが大切です。誰かのために作るという姿勢や、やろうとする好奇心、そしてやり切ったこと、出来上がったものを全力で褒めてあげましょう!
他にも、「好き嫌いなどの偏食の改善につながる」というメリットもあります。自分で作ったことによって、食べたいという気持ちや食べてみようという気持ちにつながるからです。そして、調理の手伝いは、将来への食意識に作用します。調理を手伝えば手伝うほど、健康的な食生活への意識が高まるといわれています。親元を離れた後でも、食生活に気を使って、健康的な生活が送れるようになるということです。お料理を一緒にするということは、子どもたちに良いことずくめなんです。忙しい毎日の中で、ふと時間があるとき、ぜひ一緒にお料理を楽しんでみてください。やりたいということをやらせてあげてみてください。子どもたちは、お料理のお手伝いを通して、大人が思っているよりも、たくさんのことを吸収してくれると思います。
(2021年2月20日付紙面より)
県産農産物利用拡大に向け (太地町 )
学校給食へ地場産食材を供給する取り組みが太地町(太地町学校給食推進協議会)でスタートした。17日には町立太地小・中学校で、新宮市産の小松菜などが給食の献立に登場。児童・生徒らは地元産の野菜や魚に舌鼓を打った。
和歌山県では、学校給食献立の早期作成や入札方式導入の働き掛けにより「必ず作ります・売ります・買いますシステム」を確立することで県産野菜などの利用拡大を推進。市町村協議会で学校給食関係者が「購入希望リスト」、生産者が「供給可能リスト」を作成し需要と供給のマッチングを図る。
取り組みは2019(令和元)年に広川町でスタートし、すさみ町、新宮市に続いて県内4地域目。新宮広域圏公設地方卸売市場を核として実施する新宮・東牟婁地域では2地域目となる。
取り組みを進めるに当たり、太地町では1月に町教育委員会、太地小・中学校、新宮周辺地場産青果物対策協議会、県東牟婁振興局農業水産振興課で構成する「太地町学校給食推進協議会」を立ち上げた。太地小・中学校では今後、年に3回ほど地元農水産物を使用した給食が提供される見通しだ。
この日、給食に登場したのは新宮市産小松菜を使った三色ごまあえをはじめ、那智勝浦町太田産の米で炊いたご飯、県産サバのカレー焼き、けんちん煮、牛乳。
太地小学校(宮本礼子校長)では、教諭から「今日の給食には和歌山県の食材がたくさん使われています」と説明を受けた児童たちが、大きな口を開けて地元の味を堪能。長尾彩羽さん(2年)は「野菜も魚もおいしい」と笑顔で話した。
公設市場の出前授業で学びを深めるほか、実際に小松菜や大根を植えて収穫するなどして、普段から野菜に触れる機会を設けている同小学校。取り組みを通して野菜に抵抗がなくなった児童も多いという。
宮本校長は「今日の給食は、いつも以上に食が進んでいるように思います」と話し、児童の給食を見守っていた。
(2021年2月19日付紙面より)
三輪崎小3年生が学習
新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)で16日、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんによる講話があり、3年生60人が昔の市内の風景や人々の暮らしを学んだ。
3年生の社会科では通年で地域学習に取り組んでいるが、教科書の例として紹介されている都市が他府県のため、児童が自身の住む市についてより具体的にイメージできるようにと講話を依頼した。
中瀬古さんは、市の昔と現在の写真を並べ、そこに写った人々の生活を解説。佐野駅近くの踏切を蒸気機関車が走る様子や、三輪崎にある久嶋(孔島)近くに停泊した客船から小舟で運ばれた乗客たちが背負われながら浜に上がる様子を語った。
三輪崎小学校について、「オーストラリアに出稼ぎに行った潜水夫らの寄付によって、和歌山県で初の鉄筋コンクリート校舎として1927(昭和2)年に建設された」と話し、校舎の完成記念として開かれた運動会の写真も見せた。
児童は「全然違う」「山の形は一緒だから同じ場所なのかな」と話しながら写真を見比べ、普段何気なく見ている場所に秘められた歴史に興味を引かれた様子だった。
(2021年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」 ( )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。同大社責任役員の塩﨑巍朗(たかお)さんや献穀講員らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。新型コロナウイルスの早期終息も祈願した。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「那智勝浦町では幸いにも新型コロナは拡大していないが、地域経済は厳しい状況にある」と現状に触れ、同日から医療従事者を対象に始まったワクチン接種に対して「大きな期待をしている」と述べあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2021年2月19日付紙面より)
海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会が18日、稲村(とうそん)亭の民話を原作としたアニメーション作品「お屋敷になったクジラ」の完成を串本町へ報告した。
同実行委員会は、次代を担う子どもへ海を語り継ぐ日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で2018(平成30)年度に発足。以降毎年「海ノ民話のまち」を認定していて、本年度は同町など7自治体を選定し、同町には昨年7月実施の認定証贈呈時に民話アニメの制作と関係フィールドワークへの協力を求めていた。
「お屋敷になったクジラ」は町内にある古民家・稲村亭に伝わる民話の一つ「恩返しの家」を原作とした上映時間5分強の短編作品。同実行委の沼田心之介認定委員長が取締役を務める制作会社「株式会社トマソン」が同町・海ノ民話のまち実行委員会事務局の吉川公一さん(テレビ和歌山東京支社長)の仲介を得ながら制作を進めた。
収束しない新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、東京を拠点とする同プロジェクト実行委員会と同町をウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで完成報告の場を整えた。東京からは同実行委員会の沼田委員長と柴田英知さんや吉川支社長、同町からは田嶋勝正町長や稲村亭を預かる株式会社一樹の蔭の博多敏希代表取締役、制作を支援した南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が出席。作品を鑑賞して、串本儀平が作品に登場するクジラと巨木をモチーフにした和菓子の取り扱いを目指し、同協会が作品視聴QRコード付きPRシールを作成配布するなど、今後の利活用を話し合った。
フィールドワーク(上映会込み)は26日(金)に串本西小学校4~6年生を対象に実施する予定。報告を受けた田嶋町長は「本を読む機会が少ない中、5分間にまとめたアニメを見るのはいいことだと思う。串本は捕鯨で栄えたまちで、地震や飢饉(ききん)もうたわれたこの民話から歴史を知り、次の世代へ受け継いでくれれば」と展望を期待した。
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■「お屋敷になったクジラ」視聴方法
作品「お屋敷になったクジラ」は先行して同協会の公式動画チャンネル「くしもと珍魚ちゃんねる」で同日午後1時から公開を開始。同チャンネルは同協会公式ホームページにあるリンクや前述したコードを使って開くこともできる。
同プロジェクト実行委員会と同町の架け橋となっている株式会社テレビ和歌山は、一連の様子も含めて番組を制作し作品と合わせて3月中の放送を目指すほか、最寄りの道の駅へも上映の相談をする予定という。
(2021年2月19日付紙面より)
長年にわたり交通安全に尽力 (那智勝浦町 )
那智勝浦町川関の新宅正さん(68)がこのほど、長年の無事故無違反の継続などの功績に対して贈られる令和2年度交通栄誉章「緑十字金章」(優良運転者)を受章した。2日には新宮警察署から新宅さんに表彰状が伝達された。
同栄誉章は、(一財)全日本交通安全協会が、多年にわたり交通安全活動に尽力し、抜群な功績などがあった交通安全功労者、優良安全運転管理者および優良運転者に対し、功績に応じて「緑十字金章」「同銀章」「同銅章」を贈っている。
同協会長と警察庁長官の連名で贈られる金章、銀章に関しては、毎年1月に開催される交通安全国民運動中央大会で表彰が行われるが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で大会での表彰は中止となった。
優良運転者部門金章は新宅さんを含め全国でわずか34人。県内では新宅さんを含め2人(団体)が金章、5人(同)が銀章に選ばれている。金章受章には▽銀章を受けて3年以上が経過▽30年以上無事故・15年以上無違反―などの条件を満たす必要がある。
新宅さんは運転免許証を取得して約50年。長年にわたりガス会社に勤務しながら配達などで運搬車の運転に従事し、2010(平成22)年に緑十字銀章を受章。その後も13(平成25)年に退職するまで無事故無違反を貫いた。
退職後も無事故無違反を継続。地域の模範運転手として交通安全に大きく寄与したとしてこのたびの受章に至った。現在も趣味の農業のため、毎日のように同町色川や新宮市高田まで車を走らせており、距離は年間約2万㌔に及ぶという。
新宅さんは、慎重でのんびりした性格が受章を後押ししたのでは、と自身を分析しながらも「接触や追突などのもらい事故もなく鹿などの動物もひかずに済んだ。運が良かっただけでは」と謙遜。
受章に当たっては「名誉ある表彰。ありがたいこと」と述べ「章を受けたから、ということではなく、今まで通り安全に気を付けて運転していけたら」と話していた。
(2021年2月5日付紙面より)
ロングハイキングに向け
新宮市の県立新宮高校(前田成穂校長、生徒547人)で3日、新宮ユネスコ協会の中谷剛会長による講話「ユネスコについて~平和・世界遺産・アウシュビッツ・熊野古道~」があった。1年生173人が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の理念や活動、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について学んだ。
10日(水)の熊野古道ロングハイキングに向けた事前学習。例年は保護者や同窓会員、一般の参加も募って小雲取越コースを歩くが、本年度は新型コロナウイルス感染対策のため、生徒と教職員のみで実施する予定だ。
中谷さんはユネスコについて「第2次世界大戦後、人類が二度と戦争の惨禍を繰り返さないようにとの願いを込めて国際連合の専門機関として創設された」と説明。同協会も、文化講演会やピースウオーク、平和の集いといった教育・科学・文化の普及啓発活動によって、世界平和実現に向けて取り組んでいることを伝えた。
ユネスコの活動の一つである世界遺産の登録と保護に触れ「その端緒となったアブシンベル宮殿の移築は、世界中の人々の知恵と技術を結集して実現した。世界遺産は一つの国のものではなく、人類共通の財産」と解説。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について「神様は下りてきて木や森、山、岩、滝に宿るという『神奈備(かんなび)の思想』が根にあり、そこに神道や仏教、山岳信仰・修験道が融合して神仏習合の思想が生まれた。それにより、吉野・大峯、熊野三山、高野山の三つの霊場が密接な関わりを持ち、道が整備されていった」と述べ、「ロングハイキングでその信仰を感じてほしい」と呼び掛けていた。
(2021年2月5日付紙面より)
ライト投光の事前確認作業 (串本町 )
串本町が3日、民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」の射点付近からの実施を目指すサーチライトによる投光の事前確認作業に取り組んだ。
この投光は、12日(金)から14日(日)までの3日間で展開するロケット事業「宇宙ウイーク」の一企画として実施予定。サーチライトの光の筋をたどることで射点のおおよその位置を示す趣向で、同町は将来的に必要な資機材を取得し、ロケットのまち串本の名物の一つとして定着させることを検討している。
その足掛かりとなるのが同事業における投光で、12日と13日(土)に実施する。時間は当初午後6時から10分間程度と発表したがこの時間帯はまだ空が明るく空気が澄み渡ると光の筋が見えにくいなどの課題が今回の作業でわかり、30~40分程度に延長することを4日に決めた。
この作業のため取り扱い業者が射点付近へ持ち込んだサーチライトは、全光量約48万ルーメンの製品。作業の前半は南西に固定、半ばで南西~南東の範囲で光の筋を揺さぶり後半は南東に固定して投光した。半ばまでの投光方向について同町企画課ロケット推進グループは、大字串本~サンゴ台方面から視認できるかを確かめるためで、後半の投光方向が同事業で実施する本番に近いとしている。
作業中は同町企画課職員が町内数カ所で定点確認をし、加えて他課職員も任意の場所で撮影するなど確認に協力して見学場所などを考える検討材料の収集に努めた。同事業における投光は小雨決行で実施するという。問い合わせは同グループ(電話0735・67・7004)まで。
(2021年2月5日付紙面より)
各神社で「どんど焼き」 (紀宝町 )
紀宝町の神社で3日、正月飾りやお札などを焼く「どんど焼き」が営まれた。各地区の住民から持ち込まれた古いしめ縄やお守り、破魔矢などを火にくべて、昨年一年間の無事に感謝し、今年の無病息災を祈願した。
鵜殿の烏止野(うどの)神社(田中安弘宮司)では、初午(はつうま)に合わせた「節分祭」で田中宮司による神事、厄払いとどんど焼きを行った。
厄払いには古希、還暦、本厄などの18人が参列した。どんど焼きは前日から受け付け、烏止野神社総代会(中道渉会長)の役員らが燃え盛る炎に飾りを投げ入れた。参拝者は今年一年の健康を祈った。
中道会長は「新型コロナウイルス対策として、今年は厄払いの餅ほりを中止にし、厄年の方に各自で配ってもらった。来年は、通常通りの節分祭にしたい」と話していた。
井田の井田神社(塩野真宮司)では「古札炊上祭(こさつたきあげさい)」があり、訪れた地元住民らが炎を見守った。
井田神社では1月1日の歳旦祭、11月3日の例大祭、23日の新嘗(にいなめ)祭、12月31日の除夜祭など年に6回、祭りが行われている。
古札炊上祭は午後6時前から神事を行い、地元消防団の協力でしめ縄や破魔矢、お札、お守りなどに火が入れられた。
塩野宮司は「今年は新型コロナウイルスが収まり、お祭りなどの行事がにぎわうことと、地域の人が一年間、健康で過ごせますようにとお祈りした」と語っていた。
(2021年2月5日付紙面より)
チビリンピック県大会
久保さんの紙芝居が英語訳に (和歌山県土砂災害啓発センター )
「As I looked around,I saw an unbelievable sight in the dusk.(うす暗がりの周りをよく見ると、何という光景だろうか。)」
上記の一文は那智勝浦町井関の防災士で2011(平成23)年の紀伊半島大水害で夫を失い、自身も九死に一生を得た久保榮子さんが当時の体験を記した紙芝居の一部の抜粋だ。この紙芝居が英訳され、先月末より同町市野々の和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)で展示されている。
同センターによると、新型コロナウイルス感染症流行以前はこの地を訪れる訪日外国人(インバウンド)が多かったことから、コロナ終息後の回復を見込み、世界各地の人々に同水害の詳細や災害の脅威を広く知ってもらうツールとして紙芝居の英訳を検討。県国際交流課の職員らが昨年英訳に取り掛かり、年明けに完成したという。
さらに各所で防災講話を行う久保さんの様子を収めた動画にも英語字幕を付け、現在公開している。
坂口所長は「大門坂は世界遺産なので毎年、海外の方も多くセンターに足を運んでくれている。観光客や日本に滞在する外国人の方々にも紀伊半島大水害があったことや、久保さんがいつも呼び掛けている『早めの避難』を知ってもらえたら」。
久保さんの紙芝居を用いた防災講話については「講話に興味のある方や聴講したい方はセンターまでご連絡ください」と話している。
久保さんは発生から今年9月で10年を迎える同水害に触れ、「近年発生している各地の災害から見れば紀伊半島大水害の規模は小さいかもしれないが人の命の尊さは変わらず大きい。早く避難すれば助かる命だったが当時は知る由もなかった。なくして初めてその大切さに気付く」と当時を回顧。
英訳については「本当にありがたいこと。地球温暖化による災害も大きな問題となっている。この土地でこういった災害があったことを世界に発信していただくことは重要な意味があると思う」。
13(平成25)年から始まった講話は昨年11月で65回を数えた。現在78歳の久保さんは「一人でも多くの犠牲者を出さないためにもあと10年を自分の最終章としてぼけずに、けがや病気なく100回目の講話を目指します」と笑顔で語った。
(2021年2月3日付紙面より)
津波想定して避難場所も確認 (津本自主防 )
今年は紀伊半島大水害と東日本大震災から10年の節目を迎える。「あれから10年」。今後は、当時の記憶や災害から得た教訓を後世に伝え、風化させないための取り組みが重要だ。
紀宝町では紀伊半島大水害で1人が亡くなり、1人が行方不明となった。床上・床下浸水は2845棟に上るなど、甚大な被害があった。
2011(平成23)年に発生した二つの大災害を教訓にしようと、紀宝町大里の津本地区自主防災会(谷口昌宏会長)は1月31日、大水害の記録を改めて確認し、津波に備える防災訓練を行った。
同地区の深田運動場近くには、これまでの水害の最高(痕跡)水位を色分けして記録ポールに記している。ただ、数値が記入されていないことから、訓練の一つとして水没した高さを測った。
保育園児から高齢者まで50人近くが参加。竹ざおで大水害時の水位を計測した結果、道路から7・71㍍まで浸水したことが分かった。台風や豪雨などで浸水被害が発生しそうな際は、その高さ以上に避難することを一つの目標にした。
また、児童生徒の登下校時に地震が発生したと想定し、津波から逃げる避難場所を確認した。参加者は町防災マップ(津波編)を手に地区内を歩き、海抜20㍍以上で避難できそうな場所には目印として赤い旗を掲げた。
防災マップによると、海抜6・8㍍の同運動場付近も津波の浸水が予測されている。
谷口会長は「過去の事例から南海トラフを震源とする巨大地震は、いつか必ず発生する。地震が発生したら、子どもたちもいち早く逃げられるよう、安全な高台を見つけた。自分の命を守るために、自分の目で地区内を確かめてもらった」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)
集会開いて節分に親しむ (くしもとこども園 )
豆まきなどをして邪気を払う慣習が根強く親しまれている立春前の節分。今年は2日がその期日に当たり、串本町や古座川町の多くのこども園や保育所で「鬼は外、福は内」の元気な声が響き渡った。
近年は2月3日で続いてきた節分だが、今年は暦の加減で立春が1日早まったため、連動して節分も2日にずれ込んだ。国立天文台の発表によると、3日でなくなったのは1984(昭和59)年以来37年ぶりで前倒しになったのは1897(明治30)年以来124年ぶりという。
串本町立くしもとこども園(美代取初美園長)は0~2歳児は各教室で、3~5歳児はさくら園舎のホールで節分の集会を実施。手作りした鬼の面をかぶって集まった3~5歳児は先生から節分のお話を聞き、鬼が嫌いな物としてヒイラギ・イワシの頭・豆があることや豆は年齢に1を足した数を食べること、恵方巻きは節分の神様がいる方を向いて食べることなどを教わった。
その後は裃(かみしも)を羽織った美代取園長による豆まきを「鬼は外、福は内」の掛け声で応援。折り紙で作った豆を投げて鬼の人形を倒すミニゲームで気持ちを高めている時に鬼が乱入し、102人一丸で捕まらないよう逃げ回りつつ折り紙の豆を投げつけて追い払った。鬼がいなくなったところへ福娘が登場し、鬼退治を頑張った3~5歳児にお菓子を分けてたたえた。
美代取園長は「今日はみんなの心の中の鬼も払って福ももらった。明日からも元気にこども園に来てね」とすがすがしい気持ちを後押しして締めくくった。
(2021年2月3日付紙面より)
神倉小で福祉体験講座 (新宮市 )
新宮市立神倉小学校(藪中秀樹校長)で1日、同市社会福祉協議会による「福祉体験講座」があった。6年生83人が市民ボランティアの宮本実さん(65)から車いすの使用方法などの説明を受けたほか、乗車体験を通して福祉を考える一助とした。
車いす利用者の気持ちを理解し「自分たちにできることは何か」といった思考を醸成するとともに、体験を通して普段の生活における気付きや福祉に対する意識付けを目的に市内の小・中・高等学校を中心に講座を開いている。
宮本さんは児童らに「車いすは足の不自由な人のほか、体全体に障害のある人、体幹障害のある人、そしてお年寄りの方も使用します」と話し、車いすの開き方や閉じ方をはじめとした使い方を紹介。段差の降り方や溝の越え方、方向転換の方法やスロープの降り方などを細かく説明した。
3人組になった児童らは、「押す人」「乗る人」を交代しながら車いす体験。宮本さんの指導を受けながら体育館内に設置されたポールや段差に挑み「怖い」「(車いすが)重たい」などと感想を口にしながらその困難さを実感した。
1組の小笠原煌貴(こうき)君(12)は「最初は不安で怖かったけど、最後は押してくれる人に対して信頼感が出てきた。車いすに乗る人も押す人も大変だと改めて感じました」。
講座を終え、宮本さんは「困難を抱えている人に会ったときは声を掛けてあげてほしい。本当に大変だということを知ってもらえたら」と話していた。
(2021年2月3日付紙面より)