周辺地域協の臨時総会で発表 (スペースワン株式会社 )
串本町田原~那智勝浦町浦神にまたがる民間ロケット射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン株式会社(豊田正和代表取締役社長)=東京都=が19日、ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを来年2月末ごろに再延期することを公式発表した。
同日、串本町サンゴ台のホテル&リゾーツ和歌山串本で開催のスペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)臨時総会に出席した同社の阿部耕三取締役が事業の経緯や現時点での進捗(しんちょく)と併せて報告したもので、国際情勢に伴う物流の停滞が想定以上で期待する時期に必要な部品が届かないなどの諸課題に苦慮し、それらの対処をすると今年12月末ごろの打ち上げは厳しいとの判断に至ったとして理解を求めた。
同総会では初号機打ち上げ時の公式見学場の全体管理を担う株式会社JTBも報告に臨み、会場運営の概要や集客窓口とするホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」の事前登録状況やオフィシャルツアーに伴う宿泊施設の配分などを伝えた。
今回の議事は2社の報告のみ。下副知事は「残念だが、現在の状況などを考えるとやむを得ないと思う。引き続き支援をし、ぜひとも初号機の打ち上げを成功させていただきたい」と総括した。
当初の2021年度内から今年12月末ごろ目標、さらに来年2月末ごろ目標と再延期したことについて阿部取締役は「楽しみにしていただいた地元の皆さまには大変申し訳ないと思っています。引き続きご支援ご声援をお願いしたい」とコメント。来年2月末ごろという期日は関係各者と話し合う中で総合的に判断し示した目標で、実現に向け全力で取り組むとしている。
発表を受け副会長の田嶋勝正・串本町長は「来年2月の閑散期にずれ、商売人は助かりファンも来やすい状況になると思う。渋滞対策などよりいっそう充実し、多くの方を迎える状況をつくっていきたい」。
副会長の堀順一郎・那智勝浦町長は「期間が少し延びたところをうまく活用し、もっと盛り上げて多くの方々に喜んでいただけるような地域振興につなげる期間として前向きに捉えたい」とそれぞれ語った。
(2022年10月21日付紙面より)
笑福亭鶴笑さんが講話 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で19日、全校生徒561人を対象に人権全体鑑賞会が開かれた。落語家でNPO法人「国境なき芸能団」代表の笑福亭鶴笑さんが、パペット落語などを通じて笑いを届け、難民キャンプで暮らす子どもたちや戦争、平和に対する思いを語った。
鶴笑さんは笑福亭一門の落語家で、世代や国境、言語の壁を超えて世界中の人々が楽しめる新型落語「パペット落語」を考案。戦争や内乱、災害、疫病によって生活を破壊された人々や、紛争地で生まれ育った子どもたちに励ましの「笑い」を届けるためNPO法人を設立し、アフガニスタンやイラク、カンボジアといった国々へ赴いている。
鶴笑さんは、枕として難民キャンプを訪れた経験を紹介し「最初は外国人への不信感からキャンプ内への立ち入りを拒否されたが、芸で子どもたちを笑わせたことがきっかけとなってコメディアンとして認めてもらえた」と語った。戦争の絶えない世界の現状を憂い「なぜ戦争が起きてしまうのか。いろんな人の意見を聞いて視野を広げて。人間らしさを取り戻すためにも笑いが大切。皆さんの家庭や学校生活に楽しい笑いがあふれるように」と語りかけた。
手作りのパペットで1人4役を演じるオリジナルの落語「立体西遊記」では、登場人物たちの軽妙な掛け合いに、生徒たちに笑いが広がった。
弟子の笑音(しょうと)さんも登場し、灯油シュポシュポやパイプ椅子、熊手、クレンザーボトルなど身近な素材を改造した手作りの笛を披露。塩ビパイプで作ったトロンボーンでは「ぞうさん」を演奏した。
山田倫加さん(3年)は「初めて落語を聞いたが、面白かった。大学で海外のことを学びたいという思いが強くなった」。松下穂乃果さん(同)は「難民キャンプの話を聞き、海外でも落語が受け入れられて、笑ってもらえること、人と仲良くなれることを聞いて感動した」と話していた。
(2022年10月21日付紙面より)
紀伊半島沖で採集の2種 (串本海中公園 )
紀伊半島西南沖で採集されたイバラスナヒトデとケムシヒトデが標本に基づく記録として国内2例目となることがこのほど判明し、その報告論文が先月20日発行の学術誌「Biogeography」24号に掲載された。
イバラスナヒトデは、串本海中公園センター水族館の平林勲係長が2019年12月30日に有田沖で展示生物の採集をしていた時に発見。見慣れないヒトデ類だったため水産研究・教育機構の木暮陽一主幹研究員に精査を求めたところ、沖縄県の1標本のみ記録されているイバラスナヒトデだと判明した。
木暮主幹研究員は生体調査に加え過去に採集され標本として収蔵されている未同定種も対象として研究をしている専門家。1975年にすさみ町沖で採集され大阪市立自然史博物館に未同定種として収蔵されていた標本を昨年に見つけ、形態観察をした末に小笠原諸島兄島でのみ記録されるケムシヒトデだと判断。紀伊半島西南沖で採集されたこれらヒトデ類は貴重な標本と感じ、平林係長と連名で論文を書き学術誌掲載で公表するに至った。
平林係長によるといずれも南方系に分布するヒトデ類で、公表により分布北限が紀伊半島へと更新される結果になったそう。木暮主幹研究員はこれら2種が採集される背景に越冬を含め生息可能な環境が紀伊半島沖で成り立っている状況を洞察し、いずれもこれまで本州には記録がなく貴重な標本だと評価している。
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以降、平林係長は今月3日に田並沖でのイセエビ刺し網漁で混獲された生物を調査中にケムシヒトデと思われる個体を見つけ、その場で交渉し譲り受けた。
後に確かめたところ間違いなく、希少なヒトデ類として17日から館内Aゾーンで生体展示を始めている。平林係長は「木暮さんが論文で公表した直後に生きた状態で見つかったのはまさに奇跡。国内ではほぼ目にすることがないケムシヒトデを生体展示でじかに知ってもらいつつ、生態の解明にもつなげていきたい」と意気込んでいる。
串本町沖での採集は初で、すさみ町沖で採集されて以来47年ぶりとなる標本記録。木暮主幹研究員は「生体展示をしているのは、自分が持つ情報の中では世界でも同館だけ。何を食べるかさえ分からないほど知見が乏しいが、餌が分かり飼育ストレスを小さくすれば長生きできると思う。ヒトデ類は脚光を浴びることが少ないが、海を描くとほぼ登場するほど意識されている生き物。うまく飼育できたら目玉の一つになると思う」と長期飼育の成功を期待して語った。
(2022年10月21日付紙面より)
新宮保健所による「薬物乱用防止等を目的とした校舎校門前早朝啓発活動」が19日、那智勝浦町立那智中学校であった。新宮保健所職員、新宮地区協議会所属の薬物乱用防止指導員、関係機関職員8人のほか、那智中生徒会の役員5人が参加。登校する生徒に啓発物資を手渡し、乱用防止を呼びかけた。
近年、青少年による薬物乱用、特に大麻乱用が増加しており、令和3年の全国における、大麻事犯の20歳未満の検挙人員が994人、うち高校生が159人、中学生が8人となっている。「大麻は安全で依存性がない」などの誤情報も流れている。
また、10月は「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」および「薬と健康の週間」に関連する運動月となっている。これらのことから新宮保健所は昨年、下里中学校と新宮高校で啓発活動を実施、今回は2年目となる。那智中のほか、21日に新翔高校でも実施を予定している。
那智中では、薬物乱用防止の啓発標語が書かれたポケットティッシュやばんそうこうのほか、薬と健康の週間の啓発ボールペンなどを配布。登校する生徒に対して「薬物乱用防止の啓発です」と伝えながら、啓発物資を手渡していた。受け取った生徒は標語を眺めるなどしながら、校舎へと入っていった。
生徒会長を務める、2年生の小井谷美央さんは「麻薬を使ったり、犯罪に手を出したりしないよう、啓発活動を通して知ってほしい」と語った。新宮保健所衛生環境課の勝山亮さんは「薬物乱用は遠い世界、都会の出来事として捉えがちだが、インターネットなどで身近に危険があることを感じてもらえれば」と述べた。
(2022年10月21日付紙面より)
初の近畿大会に向け練習に励む (近大新宮 )
とちぎ国体レスリング競技 (新宮高校 )
新熊野少年野球大会など
ライドオンすさみ実施 (古座川町 )
スポーツフェスティバル「サイクルアドベンチャー南紀ライドオンすさみ2022~古座川ラウンド」が16日にあり、参加者約600人(主催者発表)がすさみ町~古座川町~串本町にまたがるコースを順次通過し沿道の注目を浴びた。
この祭典は、すさみ町サイクリング大会実行委員会が主催。南紀が誇る山~川~海を網羅するロングコース(全長約140㌔)とミドルコース(全長約100㌔)のいずれかを20人前後のグループを結成して走るファンライドで、新型コロナウイルスの情勢によりおととし、昨年と中止を余儀なくされたためこの日は3年ぶりの実施となった。
サブタイトルにあるように、コース距離を確保するため今回も古座川町内を経由(添野川より入り南平から出るルートを設定)。道の駅一枚岩、同瀧之拝太郎(ロングのみ)、虫喰岩(むしくいいわ)に設けたエイドステーション(AS)を巡る流れで参加者が順次通過した。
ASでは給水に加え、小規模だが同町からのもてなしも実施。その運営には古座川町職員や町産品関係の住民、摂南大学の学生らも協力した。他方、スポーツ自転車ならではの多彩さに加えチームユニホームで一丸をアピールし人気アニメキャラクターの仮装でにぎやかすなど華やかに通過した。すさみ町の岩田勉町長は愛用の自動二輪車「町長号」でロングコースの参加者に追従し、古座川町の西前啓市町長と仲本耕士副町長もASで参加者を歓迎。気さくに交流を重ねて目の当たりにするサイクリストの大きな盛り上がりを受け止める町内環境の充実が必要と思いを巡らせつつ、送り出すなどした。
(2022年10月20日付紙面より)
ウミガメ公園がモニターツアー (紀宝町 )
紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」で15日、ウミガメ飼育員体験のモニターツアーがあり、県内と愛知県からの参加者が餌やりや甲羅磨きなどを体験した。
7月に県が取り組む「拠点滞在型観光×三重」ブランディング事業の採択を受け、今月までの3カ月間、旅行会社と7回のミーティングを重ね、体験ツアーを企画してきた。
モニターツアーは、9~15歳の参加対象者の意見を聞き、今後実施する予定のツアーに生かすことが狙い。
この日、参加者は公園内で飼育されているカメの餌作り、餌やり、甲羅磨き、プール清掃などに取り組み、ウミガメ保護活動も学んだ。
終了後、ウミガメ公園の竹鼻歩駅長は「参加者の皆さんが楽しんでくれてうれしかった。ツアーの時間配分は良かったが、他の来館者さんとの区別が必要だと感じた。今後のツアーに向けて改善していく」と話していた。
(2022年10月20日付紙面より)
くまのワーク&カレッジ (太地町 )
一般社団法人ネクストは10日、太地町太地(平見地区)の多機能型事業所「くまのワーク&カレッジ」のオープニング見学会を開催した。宇佐川彰男教育長や町職員、和歌山県立みくまの支援学校、保護者や関係者などが出席する中、管理者でサービス責任者の牧戸範彦さんが同施設の特徴や取り組みなどを紹介した。
同施設は就労継続支援B型事業である「くまのワーク」と自立訓練(生活)事業の「くまのカレッジ」が合わさった多機能型の事業を展開している。
くまのワークでは青年の働く場をコンセプトに、すしのラベル貼りや割り箸の組み立て、材料の加工、ミカンの袋掛けで使用する袋を伸ばすなどに取り組む。
くまのカレッジでは、自立に向けて、生活に必要な力を身に付ける青年の学びの場で、利用期間は2年間としている。
なお、現在、自立訓練事業所は新宮・東牟婁地域では同施設のみとなる。今後、カフェも開き、地域との交流を深めることなどを目標として掲げているという。
見学会は元々、9月23日に実施予定だったが、荒天のため延期となっていた。この日は利用者による太鼓演奏で幕を開け、牧戸さんが施設の概要や活動などを説明・報告した。みくまの支援学校の職員らによる演奏や歌が披露され、その後は施設の見学も行われた。
来賓の宇佐川教育長は「おめでとうございます。皆さまの力を合わせて立派な施設にしてください」とあいさつ。
利用者らは「新しい建物ができて良かった。行事や今できないことも、一生懸命に頑張るぞ」と抱負を述べた。
牧戸さんは「利用者の皆さんや職員と共に頑張っていく。今後は地域の方々と交流していきたいです」と語った。
問い合わせなどは「くまのワーク&カレッジ」(電話0735・29・7551)まで。
(2022年10月20日付紙面より)
レザークラフト教室 (新宮市 )
新宮市教育委員会の主催する教養講座として、レザークラフト教室が18日、新宮市の春日隣保館であった。市内外から10人が参加、皮革を縫い合わせ、ミニ巾着ポーチを作った。
太田惠造さんが講師を務める人気講座で、これまでにも何度か行われている。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、例年は15人ほどで行っていたが、今回は定員を10人とした。
皮革は、赤茶と焦げ茶の2種類があった。すでに裁断され、糸を通す穴が開けられており、参加者は太田さんの指導を受けながら、側面同士や側面と底面を縫い合わせていった。
糸を通す針は2本あり、これを交互に刺して縫っていた。交互に縫うことで、糸がすり切れたりしても、ほどけていかないという。太田さんは「穴を見落としてとばさないよう、注意して」と指導。参加者は見逃さないよう目を凝らしながら、慎重に縫っていた。
この日唯一の男性の参加者だった、那智勝浦町天満の井関英之さん(38)は「初めて参加した。難しいけど面白い。普段は針仕事をすることはなく、子どもの縫いぐるみのほつれを直すぐらい。完成したら子どものおやつを入れて、お出かけのときに持ち歩きたい」と話した。
なお講座に先立ち、人権学習の映像上映があった。参加者は視聴を通し、人権尊重の意識を高めた。
(2022年10月20日付紙面より)
3年ぶり「新宮秋まつり」 (新宮市 )
新宮市各所で10日、3年ぶりの「新宮秋まつり」が開かれた。荒天の影響で1日延期しての開催だったが、熊野地方各地から大勢の踊り子たちが参加し、フラダンスやよさこい、ヒップホップなど多彩な踊りでまちを活気づけた。
市、新宮商工会議所、市観光協会で組織する新宮秋まつり開催運営委員会(実行委員長=関康之・新宮商工会議所会頭)が主催。熊野速玉大社例大祭を盛り上げる「商工祭」が前身となって始まった祭りで、コロナ禍を経て3年ぶりに再スタートを切った。
昼の部では新宮駅前広場会場に各団体が出演し、道行く人々を楽しませた。夜の部の創作踊りは中央通りの3会場で行われ、沿道に多くの観客が集まった。ダンスコンテストでは、「Team雅龍」が3度目の最優秀賞、「F.S.P.A」が優秀賞、「AniAni Hula Studio」がフラダンスの部優秀賞に輝いた。Team雅龍の北道江利さんは「この3年間、新型コロナの影響で人数が減り、イベント出演がキャンセルになって涙を流したことも。楽しく笑顔いっぱいに踊ることができた」と喜びを語った。
お祭り新宮節では、地元の15団体と飛び入り参加の人々が、熊野曼荼羅(まんだら)太鼓の祭り囃子(ばやし)に合わせ輪になって踊った。
関実行委員長は「開始時点では沿道のお客さんが少なく、やはり新型コロナの影響があるのかと心配したが、夜の部では大勢の方に来ていただいた。年に1度の新宮秋まつり、また来年も開催したい」と話していた。
(2022年10月12日付紙面より)
潮﨑本之宮神社で例大祭 (串本町 )
串本町串本にある潮﨑本之宮神社が9日、例大祭の本祭日を迎えた。今年は南氏子会(松本誠会長)が発起して奉納を試行。例年には届かないが3年ぶりの獅子舞奉納が参列者や拝観者の見物を集めた。
この神社は現在、大字串本と同サンゴ台が氏子区域となり、その代表者で総代会(吉村健三総代長)を結成して護持している。例大祭は10月第2日曜日を本祭日として執行していて、平年は東西南北の各氏子会がそれぞれに受け継ぐ獅子舞の道行きをして区域内に祭りの活気を添えるが、おととし以降は新型コロナウイルスの情勢により自粛が続いている。
うち南氏子会は長引く自粛に伴う地域の祭り離れを懸念し、総代会に獅子舞奉納の試行を申し出。考えつく限りの感染予防策を講じて先月下旬から南青年会館を宿にして稽古を積み、奉納を目指してきた。
当日午前10時に本殿大前の儀があり、吉村総代長ら総代会一同と田嶋勝正町長ら来賓が参列。山本貞夫宮司が神事を進め、祝詞の奏上を経て玉串と二礼二拍手一礼の所作をささげ祭神への信仰を注いだ。
奏上を合図に境内鈴門前に座を得た南氏子会も奉納を始め、幣の舞、神宮舞、神明讃、扇の舞、剣の舞、乱獅子、花掛かり、寝獅子など受け継ぐ演目をできる限り舞わし、過去にてんぐ役を担った中井美結さん(15)も家族ぐるみで稽古を積んで協力。半ばから雨脚が強まる状況だったが、てんぐ舞まで納めきった。
松本会長(39)は「天候が悪い中でも皆さんに集まっていただけたのがうれしく、やはりみんな祭りが好きなんだなと感じた。来年は4会集まって奉納できたらと思うし、自分らも精いっぱい頑張っていきたい」とコメント。吉村総代長は「コロナで多くが尻込みをする中、対策をして練習し奉納をしてくれた南氏子会には心から感謝している。稽古で太鼓や笛が響くのを聞いてビールを差し入れてくれた方もいて、やはり祭りはこうでなければと思った」と話し、新型コロナがインフルエンザのような状況になり来年こそいつも通りの祭りが再開できることを今後に期待した。
(2022年10月12日付紙面より)
ふるさと自慢写真コンクール (南紀くろしお商工会 )
南紀くろしお商工会(森川起安会長)の商業振興部会(須川晴夫部会長)が那智勝浦町と太地町の小・中学生から募集していた「ふるさと自慢写真コンクール」の表彰式が8日、那智勝浦町のJR紀伊勝浦駅であった。
コンクールは地域の子どもたちにふるさとの良さを写真によって再認識してもらおうと始まった。今年で18回目。76作品が集まった。特選には亀田清太郎君(勝浦小4)の「さぁ、学校だ!仕事もがんばれ!」、山田真央君(色川小5)の「仙人場への道程」、村井芹さん(市野々小5年)の「よいよいよいやっさ」が選ばれた。
表彰式では、森川会長とJR新宮駅の大市貴明副駅長が、出席した3人に、賞状と記念品を手渡した。
森川会長は保護者や場所の提供を受けているJR西日本に対し感謝を述べ、「知られていない普段目にしている場所でも新しい視点で撮影することで、その場所へ行きたくなる。そんな写真が多くあった。地域の人が地域の良いところを知ってくれることが地域の力にもつながる。ありがとうございました」。
商業振興部会の須川部会長が「素晴らしいふるさと自慢を紹介いただいた。コンクールへの期待も高まっている。商工会としても、地域のある物探しのため、一生懸命努力いたします」など祝いの言葉を贈った。
表彰式後、亀田君は「前にも賞を取ったけどうれしい。夕日が入るように撮影した。次も特選取れるように頑張ります」。
山田君は「日が差しているところを入れたりして工夫した。特選が取れたのでとてもうれしかった。次も参加したい」。
村井さんは「写真は好き。2回目の受賞だけどうれしい。お父さんのカメラを使った。勝浦八幡神社のお祭りの櫂伝馬(かいでんま)にお兄ちゃんが乗っていて、格好良かったので撮影しました」と語った。
特選には賞状と記念品に加え、JR新宮駅、和歌山県漁連勝浦市場、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、南紀勝浦温泉旅館組合、株式会社那智黒総本舗から副賞が贈られた。
入賞作品17点はJR紀伊勝浦駅舎2階に展示中。那智勝浦ロータリークラブのカレンダーにも掲載される予定。
(2022年10月12日付紙面より)
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で9日早朝、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」早船競漕(きょうそう)で使用する早船9隻が、各地区のこぎ手や関係者らの手によって蔵から出された。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を廻(まわ)る「神輿渡御式(御船祭)」からなる祭りで、2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として2016年3月に国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。
新型コロナウイルス感染症の影響でおととし、昨年と2年連続で早船競漕は中止となっていたが、昨年11月からコロナ禍を利用して紀宝町にある船大工・谷上嘉一さんの工房で早船の修理を実施。主に櫂(かい)が当たる縁(へり)部分の修繕を行っていた。併せて早船倉庫扉部分の修理・修繕作業も実施され、15年前に舟と倉庫を一新して以来、大規模な修理・修繕は初となっていた。なお、修理・修繕に当たっては㈱R.LinkCorporationの椋野玲史・代表取締役会長が奉賛した。
早船競漕は16日(日)の午後4時30分ごろ、熊野川河原で御神霊が神輿から神幸船に遷御された後、旧丹鶴小学校下の河原に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。
11日午後7時からは、上野宮司や審判委員、阿須賀、王子、春日、神倉、丹鶴、千穂、堤防、相筋、明神の出船9地区のとも取りやこぎ手らが出席し、当日のスタート位置を決める旗番抽選会が実施される。
19年の競漕では、上りは堤防区が優勝し、2位は王子区、3位に阿須賀区が入った。下りは、1位に王子区、2位は御幸区、3位は丹鶴区だった。
(2022年10月12日付紙面より)
奥瀞道路(Ⅲ期) (北山村 )
現在、開通に向けて工事が進む奥瀞道路(Ⅲ期)の1号トンネル(同村下尾井)で7日、貫通見学会があった。北山村立北山小学校(松本広明校長)の1~4年生19人が参加し、掘削が完了したトンネル内を見学。大型ブレーカによる貫通の瞬間を目撃した児童らは、万歳をして掘削完了に喜びを表現した。
延長3・4㌔の奥瀞道路(Ⅲ期)は、開通した奥瀞道路(2008年開通)と奥瀞道路(Ⅱ期、15年開通)の延伸区間となる道路で、16年度に事業化。両区間とも災害時や緊急時における交通機能を確保するとともに、沿線地域の活性化と交流促進を図るために計画された道路で、奥瀞道路(Ⅲ期)の完成によって、これらの機能や効果をさらに高め、災害に対する強靱(きょうじん)な道路ネットワークを確保し、救急医療活動の支援や地域などの発展に寄与するものと期待されている。
全長481㍍の1号トンネルの掘削は、佐藤工業(株)奥瀞1号トンネル作業所が施工。5月から準備を行い6月上旬から本格的に掘削を開始。約4カ月半の作業を経て、晴れて貫通の日を迎えた。
各自ヘルメットと長靴を装着した児童らは貫通発破の後、トンネル内に進入。同社職員や国土交通省近畿地方整備局紀南河川国道事務所職員らの案内を受け「コンクリートロボット」「タイヤショベル」「ドリルジャンボ」などの重機を間近で見学。トンネルが貫通される様子を目の当たりにし「貫通した」などと感嘆の声を上げて拍手を送った。
見学会を企画した同社の東田研次・奥瀞1号トンネル作業所長は「作業に当たり、地元の人にご迷惑をおかけした。見学会に参加いただくことで、少しでも地元の方々に貢献できると思った。皆さんに喜んでいただけてやりがいに結び付きました」と話していた。
今後、覆工などの作業を経て完成に至る。なお、奥瀞道路(Ⅲ期)の全体の完成時期は現在未定となっている。
(2022年10月9日付紙面より)
もとだてかづこさんが講話 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校で7日夜、同校育友会(加味根央人会長)主催の講演会「今どきの性教育~子ども達に伝えてほしい性の話~」が開かれた。児童の保護者や教職員ら約40人が参加し、同町でかづこ助産院を営むもとだてかづこさんから近年の性教育に関する動向を学んだ。
もとだてさんは思春期保健相談士、性情報リテラシー教育協会認定講師などの資格を持ち、科学的根拠に基づいて性や人権、ジェンダー観、幸福などについて学ぶ「包括的性教育」の重要性について教育現場で発信を続けている。
この日は「なぜ子どもと性について話すのに抵抗があるのかというと、大人も正しい性についての教育を受けてこなかったからでは?」と問いかけ、日本の性教育の歴史を解説。2023年から全国の小中高校で「生命の安全教育事業」が展開されるなど、性教育の機運が高まっている現状を述べた。
子どもたちを性に関する知識から遠ざける従来の性教育を「大人世代が、人間と性の関係を履き違えている」と批判。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の国際セクシュアリティ教育ガイダンスなどを示しつつ「正しい知識を教わった子どもたちは、自分を守る行動を取ることができる。性教育の基本は家庭であり『自分の疑問に答えてくれる』という信頼関係が重要。子どもから性について聞かれたときは、うそをつかず、ごまかさず、正直に話しましょう」と呼びかけた。インターネット上のゲームや交流サイト(SNS)を介した犯罪が増えていることにも言及し、大人世代が知識をアップデートしていく必要性を訴えた。
性教育に関連するお薦めの本の展示もあり、保護者たちが手に取って目を通していた。
(2022年10月9日付紙面より)
紀宝町立鵜殿小学校(前田幸利校長)は6日、3年生の学年活動の一環として「防災学習」を実施。3年生38人と保護者が地震から命を守るすべを学び、防災かるたに取り組んだ。
学年活動は新型コロナウイルスの影響で2年間中止となっていたが、3年ぶりに再開。新たな取り組みとして、対象学年の保護者を招き、子どもと一緒に学ぶ機会を設けた。年度末までに各学年でそれぞれの学習授業を行う。
3年生の学年活動は体育館で行い、県教育委員会の学校防災アドバイザー、渡邊喜内さんが防災講話。「南海トラフ地震は県内で震度5以上、熊野地域で6以上と想定されている。津波は伝わる速度が速く、繰り返し襲ってくる。揺れの大きさに関係なく地震が起きたら高台に逃げることが大事。普段から家族と避難場所などを話し合おう」と述べた。
「保護者が教えるのではなく、子ども自身が気付くことが大切。子どもと一緒に通学ルートを下見し、避難する場所や危険箇所などを調べ、危険回避能力を高めてマイ防災マップを作ってほしい」と呼びかけた。
日頃の備えが重要とし「自分の命は自分で守れる人、周りの人を助けられる人、早く正しい判断ができる人になってほしい」と求めた。
講話後、児童と保護者が一緒に防災かるたに取り組み、「あなどるな自然の猛威、破壊力」「海からの距離より高さ逃げる基準」「過去で得た防災知識未来を守る」などのかるたを取り合い、楽しく知識を増やした。
(2022年10月9日付紙面より)
近大新宮吹奏楽部がJR新宮駅で
新宮市の近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部(大川夢乃部長、部員28人)が8日、JR新宮駅で特別急行列車「WEST EXPRESS 銀河」を出迎え、ウエルカム演奏を披露した。
「銀河」は西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が期間限定で運行する長距離列車で、鉄道の旅と当地方の魅力のPRを図っている。同校は「ふるさと学習」や希望生による「地域ゼミ」など、教育活動の中で観光や地域活性化について学ぶ場を提供しており、学校側からおもてなしへの協力を打診したという。
部員たちは「銀河」到着に合わせて「銀河鉄道999」の演奏をスタート。パフォーマンスも交えて「Let’s Swing!!」を披露し、駅員や市民らと共に乗客をもてなした。
大阪府から乗車した北野登志寛さん(26)と目黒佳奈さん(24)は「電車が好きで、やっとチケットが取れた。橋杭岩を見たり、この地域のお弁当で朝食を取ったり演奏をしていただいたりと、列車の旅はすごくよかった。那智の滝や熊野古道を巡る予定」と話していた。
(2022年10月9日付紙面より)
熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」=15日(土)、16日(日)=に向け、巫女(みこ)役による神鎮めの舞「鈴剣(すずけん)の舞」の練習が進んでいる。4日、同大社双鶴殿で行われた練習では神楽人の津越宏之さん(78)から指導を受け、巫女役の2人の少女が足運びを確認するなどした。
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける同祭は、同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を回る「神輿渡御式」からなる祭り。
渡御式では、新宮の鍛冶職の末裔(まつえい)が神楽人を務め、巫女役の童女2人が神鎮めとして「鈴剣の舞」を舞う。
今年、巫女役を務めるのは野尻帆夏さん(神倉小4)と濵中千颯さん(同)。「昨年の舞を見て自分もやってみたいと思った」と巫女役を引き受け、9月13日に練習を開始した。
2回目の練習日となったこの日、2人は初めて衣装を身に着け、本番さながらの稽古に励んだ。
衣装を身にまとった2人は「きれい」と感想。「足の運びが難しい。本番は緊張すると思うけど頑張る」と意気込みを見せ、祭り当日に向けて真剣な表情で動作を確認するなどした。
津越さんは「きれいに舞えている。タイミングも合っている」と太鼓判を押し「祭りはまち全体で支えていかないといけない。巫女役はなかなかない機会。本番は頑張ってほしい」と期待を寄せた。
(2022年10月6日付紙面より)
大杉谷自然学校が講演会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町体育文化会館で1日夜、NPO法人大杉谷自然学校(大西かおり学校長)主催の講演会があった。「熊野古道伊勢路巡礼旅復活プロジェクト」で伊勢から那智勝浦町の熊野那智大社・那智山青岸渡寺まで200㌔を旅している4人の女性たちが、旅で得た感動や気付きを語った。
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」未登録エリアである伊勢路北部の追加登録を応援し、その可能性を探ることを目的とするプロジェクト。同学校の大西学校長、張暁玲(ちょう・しゃおりん)さん、熊野那智ガイドの会の生熊みどりさん、アトリエちきゅうの道の絵地図作家・植野めぐみさんの4人が中心となって歩き、多くの人々がサポートしている。
一行は台風の影響を受けつつも、9月20日に伊勢路の起点である玉城町田丸を出発。10月1日に那智勝浦町へ到着した。
大西学校長は、旅で出合った景観や泊まった宿、ハプニングなどについて講話。新宮市のまち並みについて「車で通ったことはあったけれど、歩いた印象は全く違う。歩いてこそ、町が醸し出す文化的な雰囲気を感じることができる」と振り返った。
パネルディスカッションではイコモス文化の道国際学術委員博士の伊藤文彦さんが加わり、巡礼旅の魅力について深めた。伊藤さんは「旅をした4人の感想を聞くと、巡礼路そのものではなく、宿での食事や峠での声のかけ合い、地域の人々との出会いついて語っていた。歩くことをベースとしたさまざまな人との出会いやそこで得る気付きこそが重要。同じく道の世界遺産であるスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路では、スポーツの一種として歩き始める人が多いが、長い距離を歩き、旅の仲間と会話をする中で心境に変化が生まれ『巡礼者』となっていく」と述べた。
(2022年10月6日付紙面より)
新宮駅で出発式 (JR西日本 )
新宮市徐福のJR新宮駅で5日、JR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の一般運行出発式があった。同列車は同日午前9時50分、乗客を乗せて京都駅に向けて出発した。
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する長距離列車。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置している。
2年目となる紀南コースは3日から運行を開始。海側座席を倍増するなど進化。停車駅でのお出迎えや特産品の販売、観光パスポート進呈など「おもてなし」を充実させ、さらに鉄道の旅と当地方の魅力のPRを図っていく予定としている。
運転開始初日は京都駅を午後9時15分に出発。多くの観光客を乗せ、翌4日の午前9時37分に新宮駅に到着した。昨年は7月16日に運行を開始し、12月22日までの約5カ月間で延べ3000人が乗車。今回は来年3月8日(水)までの間で、夜・昼行それぞれ36本の運行を予定している。
出発式では、白手袋を装着した田岡実千年市長、酒井清崇・東牟婁振興局長、坂本純一・新宮駅長、三浦俊夫・北山村観光課長が見送りに臨んだ。列車は、旗やカメラを手にした関係者や地元住民、「きいちゃん」「めはりさん」らに見送られながら新宮駅を後にした。
田岡市長は「昨年に引き続き、今年も多くの人を熊野・新宮にお運びいただけることになりありがたい。地域を気に入っていただき二度三度と訪れていただけることを願っています」。
JR西日本の金岡裕之・和歌山支社長は「昨年は地元のおもてなしも好評だった。今年は車内で紀中エリアの特産品販売を追加するなどバージョンアップを図った。紀南地方は熊野三山や特異な景勝地があり魅力的な場所。海や山など、自然の魅力を全面に出してPRしていけたら」と述べ、同列車への乗車を呼びかけていた。
次回の運行日は7日(金)。午後9時15分に京都を出発し、8日(土)午前に当地方入りする。
(2022年10月6日付紙面より)
消防防災セで町長特別点検 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(寺島正彦消防長)が3日、サンゴ台にある消防防災センターで町長特別点検を受け士気の向上を図った。
消防職員としてふさわしい厳格さや端正さ、気力の充実に努めていかなる号令にも即応するため、同本部の職員は日々姿勢、服装、消防手帳を点検し気持ちを引き締めて業務に当たっている。
職員間で点検者を立てて毎日実践し、月1回は署長や分註所長、年2回(4月と10月の最初の平日)は消防長が点検者を務めてその緊張感を一層高めている。その取り組みを知った田嶋勝正町長は2016年4月に消防長点検を初観閲。17年4月には着任まもない消防団の稲田賢団長と共に、当時の北地稔消防長に続いて点検を後押しした経緯もある。
寺島消防長によると、新型コロナウイルスにより消防行政が止まることはないにしても専科教育や研修会など消防力向上の機会の多くが停滞し、出動待機・緊急出動中の職員を除いて全員が参加する消防長点検も感染予防の観点で実施し難い状況が続いた。新型コロナワクチン接種が進み社会情勢が徐々にウィズコロナへ移ろう中、同本部も変革の起点を得るため本来の消防長点検の実施を決断。消防職員が一丸となってその第一歩を踏み出すため、消防長の任命権を持つ町長に特別点検を求めるに至ったという。
同センターへ招かれた田嶋町長は過去の経験を思い起こし、同本部の段取りに沿って参加した職員一人一人の姿勢や服装、消防手帳を点検。「消防はチームや組織で業務に臨むことが大半。一人の乱れが全体を乱し、時に同僚の命を危険にさらすことさえある」と述べ、常に自分を律し緊張感を持って日々の業務に当たるよう求めた。
併せて今後の大きな転機として古座消防署の高台移転を挙げ、住民の安全安心を確保し地域の防災力を向上する上で必要という判断で町議会も予算を承認したと報告。「久し振りの町長点検に来たが、皆さん規律良く受けていただきうれしく思う。これからもいっそう頑張ってほしい」と講評して今後の前進を後押しした。
(2022年10月6日付紙面より)
日本一周の福浪弘和さん、熊野へ
「人力車を通して笑顔をつなぎたい」―。兵庫県明石市の福浪弘和さんは、人力車を走らせて日本一周を目指している。3月13日に兵庫県を出発。大阪、京都、滋賀、奈良を巡り、7月20日に和歌山県に到着。9月下旬に熊野地方入りした福浪さんは10月2日、新宮市の熊野速玉大社境内にある新宮道場に立ち寄り、新宮剣友会(宮戸伸之会長)の剣士たちを人力車に乗せ、交流を図った。
福浪さんと人力車との出会いは2019年。観光で訪れた東京は浅草で初めて人力車に乗り、その目線の高さや車夫との会話を楽しんだ経験から人力車に心を奪われた。
「地元の人にも感動を味わってほしい」との思いから、地元に戻って約190万円で人力車を購入。明石市内で無料で引き始めたところ、全国から多くの人が人力車を経験しようと福浪さんの元を訪れた。
多くの人との出会いから「人力車でつなぐ笑顔の輪」をテーマに旅を計画。元々、旅が好きだったことから当初は3年半ほどの予定で日本一周を企てた。
行く先々で、出会った子どもたちを人力車に乗せ、地域の人たちとの交流を深める福浪さん。「予定では今頃、東北地方にいるはずなのですが」と笑顔を見せる。
和歌山県入りしてからは、約1000人の人を人力車に乗せた。夏休み期間だったこともあり、1日に複数回、福浪さんを訪ねてくる子どももいた。「予定通りいかなくても、人との出会いが旅の醍醐味(だいごみ)。さっきも(川原家横丁の店舗の主人から)ミカン持ってけ、って。人の温かさを感じる。本当に楽しい」。
ちなみに、げた履きのフルマラソンで3時間58分43秒のギネス記録も所持する福浪さん。新宮市で子どもたちと触れ合った後、数日後に人力車を引いて三重県入りする予定で「ワクワクする。毎日が修学旅行。人力車で笑顔になってほしい。姿を見かけたら声をかけて」と呼びかけている。
(2022年10月5日付紙面より)
体育文化会館の休憩スペース (那智勝浦町 )
那智勝浦町はこのほど、体育文化会館1階ロビーの「休憩スペース」に本棚を設置した。本棚には図書館の廃棄本が並べられており、休憩時などに読書が楽しめる配慮となった。
今年3月末に内装改修を終えた同館。研修室を改修した「アクア」と「ウエーブ」の2室も完備。体を動かしたり、ストレッチマシンを使用するための部屋となった。
「高齢者を中心とした町民健康増進事業」の一環であり、堀順一郎町長が掲げる同会館周辺の公園化構想も含め、さまざまな年齢層が集える場所を目指す第一歩として行われたという。
休憩スペースは勉強や会話などを楽しむことができる憩いの場として整備。テーブルといすが設置され、誰もが利用できる。
そのほか、同町出身でロサンゼルス、ベルリンの両オリンピックの棒高跳びで銀メダルを獲得した西田修平氏と同町出身で日本サッカーの開祖・中村覚之助氏らの功績をたたえる名誉町民ブースもある。さらには佐藤春夫の「秋刀魚の歌」や町歌が展示されている。
同町教育委員会によると家族連れなどの幅広い利用も目指しているという。設置した本棚には今後、児童図書も並べて、和室の開放も予定しているという。
担当者は「大人から子どもまで、さまざまな年齢層、家族連れ、多くの方々に広く利用していただけたら。今後は地域ふれあいネットワークの活動や、子どもの居場所づくりの場などにも使用できないかも検討しています」と話していた。
(2022年10月5日付紙面より)
「特急くろしおサイクル」 (JRきのくに線 )
JRきのくに線白浜―新宮間で1日、特急「くろしおサイクル」の運行が始まった。6号車をサイクリスト専用車両とする新たなサービスで、西日本旅客鉄道株式会社和歌山支社の松田彰久副支社長は「普通列車以上の快適性と利便性で利用を伸ばしていきたい」と意気込んでいる。
「きのくに線サイクルトレイン」は昨年9月に御坊―新宮間で導入した、追加料金不要で普通列車に自転車をそのまま持ち込めるサービス。以来6000人を超える利用を集めるなど好評を得る一方で▽本数が少ない▽混んでいるときに気兼ねする―といった声もあり、検討した末に空いている資源を有効活用する意味も込め「特急くろしおサイクル」の運行を始めることにしたという。
特急くろしおは京都・新大阪―白浜間の乗車率が高いため普通列車より区間が短くなるが、6号車をサイクリスト専用車両とすることで他の乗客への気兼ねの課題は解消。1人分の料金で横並び4席(伴い1車両の定員は15人となる)を使用でき、普通列車利用時にはない専用カバーを乗車駅改札で借りてつけ座席に立てかけて固定する手間が加わるが特急列車の持ち味である快速さや快適さで利便性は一段と向上している。
同日の特急「くろしおサイクル1号」は7人が利用し、うち6人が串本駅で降車し改札へ専用カバーを返却してツーリングへと出発した。6人と同乗し駅舎外まで送り出した松田副支社長は「普段電車に乗らない方に乗っていただくのが大切だと思っています。例えば普通電車のサイクルトレインで40年ぶりに列車に乗ったというお声もあり、需要を掘り起こすことができたと私たちもうれしく思うところ。この特急も同じようにより多くの方に使っていただけるよう活性化できれば」と今後を見据えて語った。
「特急くろしおサイクル」の利用可能駅は白浜駅、串本駅、紀伊勝浦駅、新宮駅の四つ。最繁忙期(正月やゴールデンウイーク)に運行しない日があり、まれに1号車へ変更する場合がある。詳細はきのくに線サイクルトレイン公式サイトで確認してほしいという。
(2022年10月5日付紙面より)
企業版ふるさと納税で寄付 (那智勝浦町 )
大阪市に本社を置く機械部品メーカーの株式会社サントウが、企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)で那智勝浦町に500万円の寄付をした。同制度を利用した町への寄付は今回が初で、3日には那智勝浦町役場で同社代表取締役の瀬田令二さん(67)へ感謝状の贈呈式が開かれた。
企業版ふるさと納税とは、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに企業が寄付をした場合に、税制上の優遇措置を受けられる仕組み。
瀬田さんは同町北浜出身で、県立新宮商業高校(現・新翔高校)を卒業後、第三銀行(現・三十三銀行)へ就職。勝浦支店、大阪支店で10年ほど勤めた後、鉄工所の経理職を経て、1988年に独立して歯車などを製造する有限会社三頭産業を創業した。
新型コロナウイルス感染拡大によって全国的にマスク不足が深刻だった2020年5月には、町に不織布マスク1万枚を寄贈するなど、ふるさとへの貢献を行ってきた。
瀬田さんは児童・生徒数の減少が進む町の現状を憂い「那智勝浦町まち・ひと・しごと創生推進計画」の「活気ある産業で雇用が生まれるまちづくり」に使途を指定して寄付。「これからも仕事を頑張り、また寄付や支援をさせていただきたい」と語った。
堀順一郎町長は「大変ありがたい。町が元気になるよう大切に活用していく。会社設立から今まで、大変なご苦労をされてきたと伺い、私自身も励みになった」と感謝を述べた。
(2022年10月5日付紙面より)