那智大社で献湯祭 (南紀勝浦温泉旅館組合 )
南紀勝浦温泉旅館組合(清水貞吾組合長、組合員10館)は29日、那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で「献湯祭(けんとうさい)」を営んだ。組合員らが参列し、朝一番に源泉からくみ上げた温泉水を神前に奉納した。
おととし、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から宿泊客の参列参加や餅投げを行わず、規模を縮小して実施した。
神事では各旅館の代表者らが15個のたるに入れた源泉の一番湯を順に神職に手渡し供えた。
清水組合長が組合員を代表して玉串をささげた。一同は自然の恵みに感謝し、業界の繁栄とコロナ終息を祈願した。
神事を終え、男成宮司は「コロナ禍の厳しい状況は続いているが、大神様のご神徳、ご加護を頂き、それぞれの旅館のご繁栄と組合の発展をお祈りしております」と話した。
清水組合長は「全国旅行支援が始まり、観光にとって追い風が吹いている。温泉は持続可能な資源。コロナ終息と、一人でも多くのお客さまに来ていただけるよう大神様に祈願いたしました」。
今後については「コロナ禍前と比較して宿泊客は減少している。しかし、行動制限や入国制限の緩和、県内での行事や道路の完成などもあり、国内外からの多くの来町に期待している。世界遺産と勝浦温泉、生マグロを全国的に広めて町の発展に努めたい」と抱負を述べた。
同組合によると、組合員10館の収容力は840室で、3400人だという。
□ □
献湯祭を終えた一同は那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)に向かい、物故者追善法要を営んだ。
45回目を迎えた法要は南紀勝浦温泉の礎を築き上げ故人となった経営者や従業員などの功績に感謝し、冥福を祈るもので髙木住職と髙木智英副住職らが読経を行った。
清水組合長が「礎を築かれた皆さまに感謝するとともに、組合員一同、創意工夫をもって業績の向上に励み、観光産業の発展に努力します」と追悼の言葉を述べた。
(2022年10月30日付紙面より)
マイナンバーカード (新宮市 )
新宮市、新宮税務署(河野武署長)、新宮納税協会(横手章郎会長)は合同で29日、新宮市橋本のイオン新宮店に、マイナンバーカード出張申請所を開設した。市民が多数訪れ、協力を得て申請を行った。
交付率向上を目指した取り組み。新宮市の交付率は9月30日現在で、42・3%となっている。同店の一角にブースが設けられ、新宮市の職員が申請に協力した。顔写真の無料撮影や、条件を満たす場合はカードを郵送で受け取れる手続きも行えるようになっていた。申請希望者が開設時間前から並ぶような状況だった。
新宮税務署と新宮納税協会は、買い物客に啓発物資を手渡して周知した。マイナンバーカードのほか、納税などのオンラインサービスであるe―Taxの案内も行った。「マイナンバーカードはお持ちですか。今、出張申請を行っています」などと呼びかけていた。
田岡実千年市長は「市としても、マイナンバーカードの普及に力を入れている。いろんな使い方ができるようになるので、早めの取得をお願いします」。河野署長は「今ならマイナポイントももらえるほか、取得すればe―Taxで、確定申告がスマートフォンなどで簡単に行えるようになる。この機会にぜひ」などと話した。
三輪崎から訪れて申請した山本八千代さんは「今ならポイントも付くし、保険証も兼ねるようになるというので来た。写真も撮ってくれるし、手続きも簡単だった」と語った。
新宮市は他にも、夜間や日曜の窓口開設、企業や団体向けの予約制出張申請所開設にも取り組んでいる。問い合わせは、新宮市市民窓口課(電話0735・23・3333)。
(2022年10月30日付紙面より)
リカ・ハマグチさんが講演 (太地町 )
太地町公民館は26日、文化講演会「ブルームと紀南―現代アボリジニー舞踊表現について―」を開催した。同町と姉妹都市であるオーストラリア・ブルーム出身でダンサーとして活躍するリカ・ハマグチさん(29)が講師を務め、真珠漁業がつなぐブルームと紀南の関係やつながり、自身が取り組むアボリジニ文化を現代的な舞踊で表現するダンスパフォーマンスなどについて講演した。
リカさんはオーストラリアを代表する現代舞踊グループ「バンガラ舞踊団」の主役ダンサーを務めたほか、今年の西オーストラリア州観光キャンペーン映像に出演するなど、幅広い活動を展開している。
これまでにも舞踊グループとして日本を訪れたことはあるが、個人での来日や自身のルーツに当たる那智勝浦町下里出身の祖父、故・浜口博司さんの故郷を訪ねるのは初だという。
真珠漁業に参加するため、日本人を含むアジアやヨーロッパの多くの人々がブルームを訪れたことについてリカさんは「さまざまな民族が交じってブルームはユニークな場所になった。先住民のアボリジニやアジア、ヨーロッパの人々の子孫がたくさん住んでいる」と話した。
過酷な真珠漁において、長年ダイバーとして活躍していた寡黙な祖父に触れ、ダイバー引退後はアジア人初の真珠養殖業のオーナーになったことや、日本語を教えてくれたことなどを振り返った。
太地町とブルームの姉妹都市交流事業ではリカさんのいとこも同町を訪れ、ホストファミリーとして同町の子どもたちを迎え入れたことを挙げ、「私は参加していないが、交流事業が今も続いていることがうれしい」と笑顔を浮かべた。
今回、祖父の故郷や親族とも会ったリカさん。紀南の地や海に自身が生まれ育ったブルームを感じ、ふるさとのような感覚を持ったと話す。
家族や親戚らと過ごした様子や歴史ある舞踊グループの詳細、ダンサーとしての活動、ダンスについて、写真をスライドに映し出し解説。
毎年観光客でにぎわう祭りの様子やオーストラリアの自然、多くの文化が混じり合っているブルームにおいて、日本との共通点やアボリジニの文化の影響が非常に強いことなどを紹介した。
リカさんは「祖父の故郷を訪ね、親族にも会うことができた。皆さまに歓迎していただき、心が温まった。今後、交流の機会があれば、踊りの披露もしたい」と締めくくった。
26年前、実際に博司さんとも面識がある江﨑隆司公民館長は「リカさんのような若い方々が紀南とブルームの架け橋になってくれたらうれしい」と話していた。
(2022年10月30日付紙面より)
相野谷診療所に研修センター開設 (紀宝町 )
紀宝町が町立相野谷診療所に設置した紀宝町地域医療研修センター「KITCHEN(キッチン)」の開設式が28日、同町役場であった。「地域医療を学べるまち紀宝町」をスローガンに、医学生・研修医の受け入れ、地域医療講演会や研修会、町民への学びの普及を通して、町全体で地域医療と地域包括ケアシステムを充実させていく。
県地域医療研修センター(鈴木孝明センター長)と連携して、県内の総合診療医育成、町内事業所のスタッフ育成、町民教育・健康普及活動に貢献し▽安心できる▽実践できる▽継続できる▽成長できる▽共有できる―学びを提供する。
相野谷診療所の森本真之助所長がセンター長、くまのなる在宅診療所の濱口政也院長、町遠隔業務支援医(リモート医)で脳神経外科医・脳卒中専門医の角谷美帆医師が副センター長を務める。
開設式には協力連携事業所、町の関係者30人が出席し、西田健町長が「町の未来のため、皆さんと一緒に事業を進め『住んで良かった』と思ってもらえる町を目指していきたい」とあいさつ。
森本センター長は「紀宝町の地域医療は介護、教育にも貢献できる。教育環境の整備を皆さまへの感謝としたい。一緒に勉強する組織を目指していきたい」と述べ、「無限の〝楽しい〟を育む学びの台所」との意味を込めて「KITCHEN」と名付けたと伝えた。
今後、町が主体となってポストコロナ時代に求められる優秀な医療人材を育成し、研修センターを通して地域包括ケアシステムの発展と充実、在宅医療の推進などを目指していくという。
(2022年10月30日付紙面より)
周辺地域協の臨時総会で発表 (スペースワン株式会社 )
串本町田原~那智勝浦町浦神にまたがる民間ロケット射場「スペースポート紀伊」を運営するスペースワン株式会社(豊田正和代表取締役社長)=東京都=が19日、ロケット「カイロス」初号機の打ち上げを来年2月末ごろに再延期することを公式発表した。
同日、串本町サンゴ台のホテル&リゾーツ和歌山串本で開催のスペースポート紀伊周辺地域協議会(会長=下宏・和歌山県副知事)臨時総会に出席した同社の阿部耕三取締役が事業の経緯や現時点での進捗(しんちょく)と併せて報告したもので、国際情勢に伴う物流の停滞が想定以上で期待する時期に必要な部品が届かないなどの諸課題に苦慮し、それらの対処をすると今年12月末ごろの打ち上げは厳しいとの判断に至ったとして理解を求めた。
同総会では初号機打ち上げ時の公式見学場の全体管理を担う株式会社JTBも報告に臨み、会場運営の概要や集客窓口とするホームページ「ロケット『カイロス』初号機打ち上げ応援サイト」の事前登録状況やオフィシャルツアーに伴う宿泊施設の配分などを伝えた。
今回の議事は2社の報告のみ。下副知事は「残念だが、現在の状況などを考えるとやむを得ないと思う。引き続き支援をし、ぜひとも初号機の打ち上げを成功させていただきたい」と総括した。
当初の2021年度内から今年12月末ごろ目標、さらに来年2月末ごろ目標と再延期したことについて阿部取締役は「楽しみにしていただいた地元の皆さまには大変申し訳ないと思っています。引き続きご支援ご声援をお願いしたい」とコメント。来年2月末ごろという期日は関係各者と話し合う中で総合的に判断し示した目標で、実現に向け全力で取り組むとしている。
発表を受け副会長の田嶋勝正・串本町長は「来年2月の閑散期にずれ、商売人は助かりファンも来やすい状況になると思う。渋滞対策などよりいっそう充実し、多くの方を迎える状況をつくっていきたい」。
副会長の堀順一郎・那智勝浦町長は「期間が少し延びたところをうまく活用し、もっと盛り上げて多くの方々に喜んでいただけるような地域振興につなげる期間として前向きに捉えたい」とそれぞれ語った。
(2022年10月21日付紙面より)
笑福亭鶴笑さんが講話 (新宮高校 )
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で19日、全校生徒561人を対象に人権全体鑑賞会が開かれた。落語家でNPO法人「国境なき芸能団」代表の笑福亭鶴笑さんが、パペット落語などを通じて笑いを届け、難民キャンプで暮らす子どもたちや戦争、平和に対する思いを語った。
鶴笑さんは笑福亭一門の落語家で、世代や国境、言語の壁を超えて世界中の人々が楽しめる新型落語「パペット落語」を考案。戦争や内乱、災害、疫病によって生活を破壊された人々や、紛争地で生まれ育った子どもたちに励ましの「笑い」を届けるためNPO法人を設立し、アフガニスタンやイラク、カンボジアといった国々へ赴いている。
鶴笑さんは、枕として難民キャンプを訪れた経験を紹介し「最初は外国人への不信感からキャンプ内への立ち入りを拒否されたが、芸で子どもたちを笑わせたことがきっかけとなってコメディアンとして認めてもらえた」と語った。戦争の絶えない世界の現状を憂い「なぜ戦争が起きてしまうのか。いろんな人の意見を聞いて視野を広げて。人間らしさを取り戻すためにも笑いが大切。皆さんの家庭や学校生活に楽しい笑いがあふれるように」と語りかけた。
手作りのパペットで1人4役を演じるオリジナルの落語「立体西遊記」では、登場人物たちの軽妙な掛け合いに、生徒たちに笑いが広がった。
弟子の笑音(しょうと)さんも登場し、灯油シュポシュポやパイプ椅子、熊手、クレンザーボトルなど身近な素材を改造した手作りの笛を披露。塩ビパイプで作ったトロンボーンでは「ぞうさん」を演奏した。
山田倫加さん(3年)は「初めて落語を聞いたが、面白かった。大学で海外のことを学びたいという思いが強くなった」。松下穂乃果さん(同)は「難民キャンプの話を聞き、海外でも落語が受け入れられて、笑ってもらえること、人と仲良くなれることを聞いて感動した」と話していた。
(2022年10月21日付紙面より)
紀伊半島沖で採集の2種 (串本海中公園 )
紀伊半島西南沖で採集されたイバラスナヒトデとケムシヒトデが標本に基づく記録として国内2例目となることがこのほど判明し、その報告論文が先月20日発行の学術誌「Biogeography」24号に掲載された。
イバラスナヒトデは、串本海中公園センター水族館の平林勲係長が2019年12月30日に有田沖で展示生物の採集をしていた時に発見。見慣れないヒトデ類だったため水産研究・教育機構の木暮陽一主幹研究員に精査を求めたところ、沖縄県の1標本のみ記録されているイバラスナヒトデだと判明した。
木暮主幹研究員は生体調査に加え過去に採集され標本として収蔵されている未同定種も対象として研究をしている専門家。1975年にすさみ町沖で採集され大阪市立自然史博物館に未同定種として収蔵されていた標本を昨年に見つけ、形態観察をした末に小笠原諸島兄島でのみ記録されるケムシヒトデだと判断。紀伊半島西南沖で採集されたこれらヒトデ類は貴重な標本と感じ、平林係長と連名で論文を書き学術誌掲載で公表するに至った。
平林係長によるといずれも南方系に分布するヒトデ類で、公表により分布北限が紀伊半島へと更新される結果になったそう。木暮主幹研究員はこれら2種が採集される背景に越冬を含め生息可能な環境が紀伊半島沖で成り立っている状況を洞察し、いずれもこれまで本州には記録がなく貴重な標本だと評価している。
□ □
以降、平林係長は今月3日に田並沖でのイセエビ刺し網漁で混獲された生物を調査中にケムシヒトデと思われる個体を見つけ、その場で交渉し譲り受けた。
後に確かめたところ間違いなく、希少なヒトデ類として17日から館内Aゾーンで生体展示を始めている。平林係長は「木暮さんが論文で公表した直後に生きた状態で見つかったのはまさに奇跡。国内ではほぼ目にすることがないケムシヒトデを生体展示でじかに知ってもらいつつ、生態の解明にもつなげていきたい」と意気込んでいる。
串本町沖での採集は初で、すさみ町沖で採集されて以来47年ぶりとなる標本記録。木暮主幹研究員は「生体展示をしているのは、自分が持つ情報の中では世界でも同館だけ。何を食べるかさえ分からないほど知見が乏しいが、餌が分かり飼育ストレスを小さくすれば長生きできると思う。ヒトデ類は脚光を浴びることが少ないが、海を描くとほぼ登場するほど意識されている生き物。うまく飼育できたら目玉の一つになると思う」と長期飼育の成功を期待して語った。
(2022年10月21日付紙面より)
新宮保健所による「薬物乱用防止等を目的とした校舎校門前早朝啓発活動」が19日、那智勝浦町立那智中学校であった。新宮保健所職員、新宮地区協議会所属の薬物乱用防止指導員、関係機関職員8人のほか、那智中生徒会の役員5人が参加。登校する生徒に啓発物資を手渡し、乱用防止を呼びかけた。
近年、青少年による薬物乱用、特に大麻乱用が増加しており、令和3年の全国における、大麻事犯の20歳未満の検挙人員が994人、うち高校生が159人、中学生が8人となっている。「大麻は安全で依存性がない」などの誤情報も流れている。
また、10月は「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」および「薬と健康の週間」に関連する運動月となっている。これらのことから新宮保健所は昨年、下里中学校と新宮高校で啓発活動を実施、今回は2年目となる。那智中のほか、21日に新翔高校でも実施を予定している。
那智中では、薬物乱用防止の啓発標語が書かれたポケットティッシュやばんそうこうのほか、薬と健康の週間の啓発ボールペンなどを配布。登校する生徒に対して「薬物乱用防止の啓発です」と伝えながら、啓発物資を手渡していた。受け取った生徒は標語を眺めるなどしながら、校舎へと入っていった。
生徒会長を務める、2年生の小井谷美央さんは「麻薬を使ったり、犯罪に手を出したりしないよう、啓発活動を通して知ってほしい」と語った。新宮保健所衛生環境課の勝山亮さんは「薬物乱用は遠い世界、都会の出来事として捉えがちだが、インターネットなどで身近に危険があることを感じてもらえれば」と述べた。
(2022年10月21日付紙面より)
初の近畿大会に向け練習に励む (近大新宮 )
とちぎ国体レスリング競技 (新宮高校 )
新熊野少年野球大会など
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」が15日午前、秋晴れの空の下で約170人の参列者に見守られながら「本殿大前ノ儀」で厳かに幕を開けた。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島(みふねじま)を廻(まわ)る「神輿渡御式」からなる。
おととし、昨年は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、一般参列を呼びかけず神職と神社関係者のみで執り行った大前ノ儀だが、今年は3年ぶりに広く参列を呼びかけ。感染対策に万全を期した状態で斎行された。
上野宮司の祝詞奏上の後、2人の巫女(みこ)が世界遺産登録記念御神楽の「神なぎの舞」を奉奏。参列者が玉串を奉奠(ほうてん)した。午後からは神馬渡御式が営まれ、神馬と一行が阿須賀神社までの道のりを渡御した。
大前ノ儀を終えた上野宮司は「苦しく、厳しい世の中ではあるが、秋晴れの下でこうして例大祭を斎行できることに感謝したい」などとあいさつ。参列者に感謝を伝えた。
16日の神輿渡御出立は午後3時30分から。4時30分ごろから、神幸用船(しんこうようせん)、諸手船(もろとぶね)、斎主船がゆかしく御船島を廻る御船祭(みふねまつり)を斎行。9地区による勇壮な早船競漕(きょうそう)も3年ぶりに行われる。
(2022年10月16日付紙面より)
那智勝浦ロータリークラブ (那智勝浦町 )
那智勝浦ロータリークラブ(那智勝浦RC、庵野了嗣会長)は13日、那智勝浦町天満のホテルサンライズ勝浦で第2921回例会を開催。韓国出身で米山奨学生のイ・チャングンさん(30)が卓話し、「自分の道」と題して自身の現況やロータリークラブとの出会いなどを語った。
この日は、那智勝浦RCの会員に加え、新宮ロータリークラブ(新宮RC)から福田一郎会長と幹事の瀬古伸一郎さん、イさん、堺おおいずみロータリークラブで米山学友小委員会委員長などを務める新本憲一さんら16人が出席した。
米山奨学生は日本のロータリアン(会員)の寄付金を財源に国内の大学・大学院で学ぶ私費外国人留学生に対して奨学金を支給する制度。本年度は全国で898人、累計で2万2878人を受け入れているという。
庵野会長が「本来ならこれまでと同様、米山奨学生のイさんには学校で講話をしていただきたかったが、コロナ禍のため、会員のみの卓話となった」とし、出席者に感謝を述べた。
現在、大阪芸術大学工芸学科に通うイさんは、自身が生まれ育った韓国を紹介し、拾った光学ガラスを通した光に感動したことがガラスへの興味の始まりだったと説明。
その後、長崎県の平和公園にある母子像に感銘を受け、日本の美を学びたいと思ったことが来日のきっかけだと話した。
世界最高峰のガラス工芸大賞「ラコウ賞」を受賞するガラス工芸作家の山野浩さんを尊敬するイさんは「山野さんもアメリカで学び、日本のアイデンティティーを大切にし作品を作っている。私も韓国的なアイデンティティーと日本の美を合わせたいと思った」と作品づくりへの思いを述べた。
大学で学ぶ焼き物や加工、接着などの用法や自身の作品について解説。自らの仮面(ペルソナ)を脱いで、日本と完全に融合できていなかったことに苦しんだこともあったと告白した。
イさんはロータリークラブとの出会いによって、時間や心のゆとりができたとし、多くの先入観も次第になくなっていったと振り返った。
その後、原点であるガラスや光、影などに改めて立ち返り、作品づくりに没頭したとし「ガラスという素材の魅力を生かし、皆さんにポジティブな影響を与えることのできるパブリックアートを作っていきたい」と意気込みを語った。
最後は福田会長のあいさつで締めくくった。
(2022年10月16日付紙面より)
「新宮白浜区間部会」を設置 (紀勢本線活性化促進協議会 )
新宮市役所別館で「鉄道の日」の14日、紀勢本線活性化促進協議会「新宮白浜区間部会」の設置および第1回部会が開催された。新宮市~白浜町の沿線自治体や和歌山県、JR西日本和歌山支社などから約20人が出席。沿線の活性化に向けて課題を共有するなどした。
JR西日本は今年4月、1日の輸送密度2000人未満の区間として、紀勢本線新宮―白浜間の収支状況などを公表。同区間の輸送密度は1日当たり1085人(令和元年度)、平均収支率は19・0%(平成29年度~令和元年度)と、コロナ禍前においても厳しい利用状況であったことが明らかになった。
さらに将来的にもさらなる厳しい状況が見込まれる中、路線の維持に向けて沿線市町村、県、JR西日本が課題を共有し、地域全体の移動特性やニーズを踏まえた、沿線地域や駅周辺の活性化、利用促進などを行うため、9月22日に部会を設置するに至った。
構成団体は▽新宮市▽白浜町▽すさみ町▽那智勝浦町▽太地町▽古座川町▽北山村▽串本町▽和歌山県▽JR西日本和歌山支社▽和歌山大学紀伊半島価値共創基幹―で、事務局は白浜町総務課内。
①鉄道の利用実態の推移と今後の環境変化の共有②地域全体の移動特性やニーズの把握③鉄道の必要性・持続性の確認・合意④路線維持のための地域や駅周辺の活性化、利用促進などの具体的方策⑤県、各市町村の法定協議会などへの報告―を協議していく。
この日は現状と課題の共有や部会の運営方法、事業計画などが議題となった。開会に当たり、開催地となった新宮市の向井雅男副市長が、部会設立は沿線自治体にとって意義深いことであるとし「沿線人口の減少、少子高齢化、道路整備の進展、コロナ禍の影響など、公共交通機関を取り巻く環境は大変厳しいものがある。地域住民の生活道路として、また他に類を見ない豊富な観光地への誘客促進について課題を共有し、幅広い議論と検討を行っていければ」とあいさつした。
続いて、JR西日本和歌山支社の松田彰久副支社長が、平均通過人員(輸送密度)、乗車人員、列車本数の推移やこれまでの取り組みなどを説明。「自動車に比べてきめ細かな移動ニーズにお応えできていない。大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていないことから地域のお役に十分に立てていない」などと課題に触れ「今よりも利用しやすい最適な地域交通を地域の皆さまと共に創りあげていきたい」と話した。
事務局は、利用促進に向けた各市町村や県の取り組みなどを紹介。和歌山大学紀伊半島価値共創基幹の西川一弘准教授が「地方のローカル鉄道を考えるために」と題して、現状や鉄道の目的、役割などについて話し「大ピンチを大チャンスに変えるためには目的指向の議論と実践を丁寧にかつ急いでやらなければならない」と提起した。
同部会は今後、より詳細な利用状況などのデータを基にニーズの確認や分析などを行い、協議や取り組みを進めていく。
(2022年10月16日付紙面より)
見守り隊と紀南高生が街頭啓発 (紀宝、御浜町 )
「全国地域安全運動」(11~20日)期間中の14日、紀宝町と御浜町で街頭啓発活動があった。両町のスーパーなどで啓発チラシを配布し、来店者に声かけするなどして地域ぐるみで詐欺被害撲滅を呼びかけた。
運動は、安心して暮らせる地域社会の実現を図ることが目的で、「特殊詐欺の被害防止」など三つを重点に掲げている。
紀宝町高齢者地域見守り隊(伊藤俊介代表)は、13人が鵜殿郵便局や主婦の店など町内4カ所に分かれて啓発活動した。
高齢者を被害から守る取り組みで、毎月15日に実施。偶数月の15日に年金が振り込まれるため、特に注意を促す狙いがある。この日は、強引な勧誘や内容を確認してから契約することなどを記したチラシを配った。
御浜町では、防犯ボランティア団体の紀南高校生徒会(東涼会長)の役員7人、紀宝警察署の署員が参加し、パーク七里御浜ピネで実施した。
生徒たちは「特殊詐欺に気を付けてください」などと来店者に呼びかけ、全国地域安全運動、特殊詐欺の手口などを記したチラシと啓発物品を配布した。
同署によると、9月末現在、県内で87件(前年同期比3件減)の特殊詐欺が発生、被害総額は約2億8990万円(同1億6150万円増)に上った。このうち、架空請求詐欺が36件で最も多く、被害総額は約2億1610万円となった。管内では5月13日に架空請求詐欺が1件あり、被害額は10万円だった。
(2022年10月16日付紙面より)
3年ぶり「新宮秋まつり」 (新宮市 )
新宮市各所で10日、3年ぶりの「新宮秋まつり」が開かれた。荒天の影響で1日延期しての開催だったが、熊野地方各地から大勢の踊り子たちが参加し、フラダンスやよさこい、ヒップホップなど多彩な踊りでまちを活気づけた。
市、新宮商工会議所、市観光協会で組織する新宮秋まつり開催運営委員会(実行委員長=関康之・新宮商工会議所会頭)が主催。熊野速玉大社例大祭を盛り上げる「商工祭」が前身となって始まった祭りで、コロナ禍を経て3年ぶりに再スタートを切った。
昼の部では新宮駅前広場会場に各団体が出演し、道行く人々を楽しませた。夜の部の創作踊りは中央通りの3会場で行われ、沿道に多くの観客が集まった。ダンスコンテストでは、「Team雅龍」が3度目の最優秀賞、「F.S.P.A」が優秀賞、「AniAni Hula Studio」がフラダンスの部優秀賞に輝いた。Team雅龍の北道江利さんは「この3年間、新型コロナの影響で人数が減り、イベント出演がキャンセルになって涙を流したことも。楽しく笑顔いっぱいに踊ることができた」と喜びを語った。
お祭り新宮節では、地元の15団体と飛び入り参加の人々が、熊野曼荼羅(まんだら)太鼓の祭り囃子(ばやし)に合わせ輪になって踊った。
関実行委員長は「開始時点では沿道のお客さんが少なく、やはり新型コロナの影響があるのかと心配したが、夜の部では大勢の方に来ていただいた。年に1度の新宮秋まつり、また来年も開催したい」と話していた。
(2022年10月12日付紙面より)
潮﨑本之宮神社で例大祭 (串本町 )
串本町串本にある潮﨑本之宮神社が9日、例大祭の本祭日を迎えた。今年は南氏子会(松本誠会長)が発起して奉納を試行。例年には届かないが3年ぶりの獅子舞奉納が参列者や拝観者の見物を集めた。
この神社は現在、大字串本と同サンゴ台が氏子区域となり、その代表者で総代会(吉村健三総代長)を結成して護持している。例大祭は10月第2日曜日を本祭日として執行していて、平年は東西南北の各氏子会がそれぞれに受け継ぐ獅子舞の道行きをして区域内に祭りの活気を添えるが、おととし以降は新型コロナウイルスの情勢により自粛が続いている。
うち南氏子会は長引く自粛に伴う地域の祭り離れを懸念し、総代会に獅子舞奉納の試行を申し出。考えつく限りの感染予防策を講じて先月下旬から南青年会館を宿にして稽古を積み、奉納を目指してきた。
当日午前10時に本殿大前の儀があり、吉村総代長ら総代会一同と田嶋勝正町長ら来賓が参列。山本貞夫宮司が神事を進め、祝詞の奏上を経て玉串と二礼二拍手一礼の所作をささげ祭神への信仰を注いだ。
奏上を合図に境内鈴門前に座を得た南氏子会も奉納を始め、幣の舞、神宮舞、神明讃、扇の舞、剣の舞、乱獅子、花掛かり、寝獅子など受け継ぐ演目をできる限り舞わし、過去にてんぐ役を担った中井美結さん(15)も家族ぐるみで稽古を積んで協力。半ばから雨脚が強まる状況だったが、てんぐ舞まで納めきった。
松本会長(39)は「天候が悪い中でも皆さんに集まっていただけたのがうれしく、やはりみんな祭りが好きなんだなと感じた。来年は4会集まって奉納できたらと思うし、自分らも精いっぱい頑張っていきたい」とコメント。吉村総代長は「コロナで多くが尻込みをする中、対策をして練習し奉納をしてくれた南氏子会には心から感謝している。稽古で太鼓や笛が響くのを聞いてビールを差し入れてくれた方もいて、やはり祭りはこうでなければと思った」と話し、新型コロナがインフルエンザのような状況になり来年こそいつも通りの祭りが再開できることを今後に期待した。
(2022年10月12日付紙面より)
ふるさと自慢写真コンクール (南紀くろしお商工会 )
南紀くろしお商工会(森川起安会長)の商業振興部会(須川晴夫部会長)が那智勝浦町と太地町の小・中学生から募集していた「ふるさと自慢写真コンクール」の表彰式が8日、那智勝浦町のJR紀伊勝浦駅であった。
コンクールは地域の子どもたちにふるさとの良さを写真によって再認識してもらおうと始まった。今年で18回目。76作品が集まった。特選には亀田清太郎君(勝浦小4)の「さぁ、学校だ!仕事もがんばれ!」、山田真央君(色川小5)の「仙人場への道程」、村井芹さん(市野々小5年)の「よいよいよいやっさ」が選ばれた。
表彰式では、森川会長とJR新宮駅の大市貴明副駅長が、出席した3人に、賞状と記念品を手渡した。
森川会長は保護者や場所の提供を受けているJR西日本に対し感謝を述べ、「知られていない普段目にしている場所でも新しい視点で撮影することで、その場所へ行きたくなる。そんな写真が多くあった。地域の人が地域の良いところを知ってくれることが地域の力にもつながる。ありがとうございました」。
商業振興部会の須川部会長が「素晴らしいふるさと自慢を紹介いただいた。コンクールへの期待も高まっている。商工会としても、地域のある物探しのため、一生懸命努力いたします」など祝いの言葉を贈った。
表彰式後、亀田君は「前にも賞を取ったけどうれしい。夕日が入るように撮影した。次も特選取れるように頑張ります」。
山田君は「日が差しているところを入れたりして工夫した。特選が取れたのでとてもうれしかった。次も参加したい」。
村井さんは「写真は好き。2回目の受賞だけどうれしい。お父さんのカメラを使った。勝浦八幡神社のお祭りの櫂伝馬(かいでんま)にお兄ちゃんが乗っていて、格好良かったので撮影しました」と語った。
特選には賞状と記念品に加え、JR新宮駅、和歌山県漁連勝浦市場、一般社団法人那智勝浦観光機構(NACKT)、南紀勝浦温泉旅館組合、株式会社那智黒総本舗から副賞が贈られた。
入賞作品17点はJR紀伊勝浦駅舎2階に展示中。那智勝浦ロータリークラブのカレンダーにも掲載される予定。
(2022年10月12日付紙面より)
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で9日早朝、例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」早船競漕(きょうそう)で使用する早船9隻が、各地区のこぎ手や関係者らの手によって蔵から出された。
例大祭は同大社の主神、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)の御神霊が神馬(しんめ)で阿須賀神社へ渡御(とぎょ)し、熊野川河原の乙基(おとも)の御旅所(おたびしょ)へ渡る「神馬渡御式」と、熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)の御神霊が神輿(みこし)でまちを練り、神幸船(しんこうせん)で御船島を廻(まわ)る「神輿渡御式(御船祭)」からなる祭りで、2月の御燈祭(おとうまつ)りと合わせ、「新宮の速玉祭・御燈祭り」として2016年3月に国の重要無形民俗文化財(重文)に指定されている。
新型コロナウイルス感染症の影響でおととし、昨年と2年連続で早船競漕は中止となっていたが、昨年11月からコロナ禍を利用して紀宝町にある船大工・谷上嘉一さんの工房で早船の修理を実施。主に櫂(かい)が当たる縁(へり)部分の修繕を行っていた。併せて早船倉庫扉部分の修理・修繕作業も実施され、15年前に舟と倉庫を一新して以来、大規模な修理・修繕は初となっていた。なお、修理・修繕に当たっては㈱R.LinkCorporationの椋野玲史・代表取締役会長が奉賛した。
早船競漕は16日(日)の午後4時30分ごろ、熊野川河原で御神霊が神輿から神幸船に遷御された後、旧丹鶴小学校下の河原に設けられた下札場(しもふだば)からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。
11日午後7時からは、上野宮司や審判委員、阿須賀、王子、春日、神倉、丹鶴、千穂、堤防、相筋、明神の出船9地区のとも取りやこぎ手らが出席し、当日のスタート位置を決める旗番抽選会が実施される。
19年の競漕では、上りは堤防区が優勝し、2位は王子区、3位に阿須賀区が入った。下りは、1位に王子区、2位は御幸区、3位は丹鶴区だった。
(2022年10月12日付紙面より)