新宮市の小渕さん、冊子第2弾発行
新宮市在住で、元新宮城復元対策委員会委員の小渕伸二さん(72)がこのほど、冊子「国指定史跡 新宮城(丹鶴城 沖見城) 続日本100名城」の第2弾を制作し、発行した。
新宮城は1633(寛永10)年、紀州藩付家老水野氏により完成。建造物は1873(明治6)年の廃城令を受け、75(明治8)年までに取り壊されている。
市は1980(昭和55)年に新宮城跡を公有地化し都市公園として整備を開始。2003(平成15)年には城郭跡が国史跡指定を受け、17(平成29)年には「続日本100名城」に選出された。
冊子は、A5版30㌻。熊野新宮や新宮城の歴史、造り、復元模型写真、「水野新宮城」「浅野新宮城」の想像天守(イラスト)、水ノ手跡の炭納屋倉庫群と港跡、同じく国指定史跡を受ける水野家墓所など、城にまつわるあれこれを紹介。写真の追加など、前作以上にイメージしやすいものとなった。
さらには新宮城跡の最大の魅力ともいえる「算木積み」「亀甲積み」「屏風(びょうぶ)折れ」の石垣についても写真を用いて分かりやすく解説しており、城跡散策や校外学習などに最適な冊子となっている。
価格は500円(税込み)。市観光協会や荒尾成文堂で販売されている。
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制作協力者は次の皆さん。敬称略。
水島大二(日本城郭史学会委員)
栢木 隆(日本古城友の会)
倉本隆之(郷土史研究家)
隅地 洋(同)
和田利信(熊野市教育委員会)
(2021年11月28日付紙面より)
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2年ぶり「タンカクフライデナイト」 (新宮市 )
新宮市の丹鶴商店街の一部を歩行者天国にした「タンカクフライデナイト」が26日夜、2年ぶりに開催され、約1000人(主催者発表)が露店グルメやステージパフォーマンスを楽しんだ。
丹鶴商店街振興組合(岩澤祐文理事長)主催で、市の「頑張る商業者団体等活動支援補助金」の補助を受けた事業。会場入り口でマスク着用を呼び掛け、各テーブルに消毒液を設置するなどの新型コロナウイルス感染症対策を取った。
今年のテーマは「アツアツ大作戦!」。寒い時季の開催ということで、おでんやぜんざい、ビーフシチューなど、地元商店が提供する温かいグルメに行列ができた。
ステージイベントのスタートとMCは、シンガー・ソングライターの藪下将人さんと藍田真一さんのユニット「ヤブシン」が担当。Team雅龍やDance Crew HAL、SPAなど10団体が出演し、華やかなダンスや音楽で会場を盛り上げた。
岩澤理事長は「『新宮を動かしていきたい』というみんなの思いを受けて開催した。新型コロナウイルスの流行で、家で過ごすのが普通になってしまっているが、少しずつ外に出ることを当たり前にしていきたい。熊野地方全体ににぎわいを広げていけたら」と話していた。
(2021年11月28日付紙面より)
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分娩休止の発表受け要望へ (紀宝町 )
新宮市立医療センター産婦人科の分娩(ぶんべん)予約休止の発表を受け、紀宝町では子育て家庭が立ち上がり、西田健町長への要望を行うための準備を進めている。結成した「紀宝町ママ友パパ友の会」の会員は26日現在で405人に上る。代表を務める同町井田の山下朋美さんは「子どもたちが里帰り出産できない地域にはしたくない。充実した子育て環境があるからこそ、安心して出産できるようにしてほしい」と訴える。
紀宝町は新宮市に隣接する地域的事情もあり、これまで多くの妊婦が同センターで出産してきた。発表を受けて、町子育て支援センターを利用する母親たちが「自分たちの声を届けたい、何かできることをしたい」と決意。署名も案にあったが「声を届けるのが先」とスピードを優先し、無料通信アプリ「LINE(ライン)」などを使い、活動に賛同してくれる会員を集めた。数人の団体より、数百人の団体の方が、影響力を与えると考えた。
同町と御浜町、熊野市の一部事務組合でつくる紀南病院組合立紀南病院(御浜町阿田和)は2015年9月から分娩を休止していることから、紀南病院の分娩再開と、同センターに関しては新宮市への働き掛け、遠方の病院に通うことになる妊婦への町独自の支援を求める。今も会員の声を集めていて、要望項目は今後増える可能性もあるという。
紀宝町神内の紀宝はぐくみの森では26日、山下さんら会員が集まり、要望案の打ち合わせをした。第4子の出産時に赤ちゃんが同センターへ緊急搬送されたという会員の女性は「命に関わる事態だった。お母さん側が急変した場合、医療センターがなかったらと考えると怖い」と不安を口にした。山下さんは「たくさんの人に協力していただき、感謝している。町に声を届け、自分たちもできることに協力していきたい」と話している。要望書は12月3日(金)に提出する予定。
(2021年11月28日付紙面より)
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熊野速玉大社「御燈祭り」
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)、神倉奉賛会、神倉青年団は26日、御燈祭(おとうまつ)り検討委員会を開き、前回に引き続き「御燈祭り」(来年2月6日)の上(あ)がり子の参加を中止し、前回同様、最少人数の神職と介釈(かいしゃく)のみで神事を斎行すると決定した。
熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受ける「御燈祭り」は、新年における「火の更新」を意味する勇壮な祭り。毎年、全国から大勢が祭りに参加し、御神火を移した松明(たいまつ)を手に一斉に神倉神社を駆け下りる。
このたびの決定は、新型コロナウイルス感染症第6波の襲来を案じ、上がり子の健康を最重要視するもの。約2000人の上がり子が山門内に集結する同祭りは長時間の3密状態を避けることは難しく、クラスター(感染者集団)が発生する危険が高くなると予想されることから、やむなしの判断に至った。
中止の決定に当たり、上野宮司は「全国的にさまざまな感染対策を講じながら少しずつ通常に戻す動きがあるが、同祭りでは山門内の上がり子たちの安全を担保できないことなどから苦渋の決断に至った。再来年こそは従来通り斎行することができれば」と話していた。
なお、祭り当日は正午から神倉山への入山を制限。翌7日の御燈祭り奉祝祭、餅まきも中止する。
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■御燈祭り当日の日程
※当日(2月6日)夕刻以降、神倉神社付近への車の参入は避けること
▽午前10時=かがり御供奉製
▽午後5時10分=介釈、神倉神社で修祓(しゅうばつ)の後、熊野速玉大社に向かう
▽午後5時50分=神職、介釈一行同大社を出発して神倉神社に向かう
▽午後6時20分=神倉神社到着
▽午後7時10分=御神火をおこし、神事開始
▽午後7時30分ごろ=大松明を先頭に下山開始
▽午後7時40分ごろ=中ノ地蔵に到着、拝礼
▽午後7時50分=神倉神社社務所に到着。拝礼後、阿須賀神社へ出発
▽午後8時20分=阿須賀神社に御神火を奉安し奉幣を奉る
▽午後8時50分=熊野速玉大社に御神火を奉安し奉幣を奉る
(2021年11月28日付紙面より)
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生涯現役スキルアップセミナー (新宮市 )
新宮市生涯現役促進地域連携協議会は17日、市役所別館で令和3年度第5回生涯現役スキルアップセミナー「たいまつづくり体験」を開催した。市内在住の垣下正義さんが講師を務め、参加者11人が「御燈祭(おとうまつ)り」に欠かせない「たいまつ」作りに挑戦した。
セミナーは市内在住55歳以上の中高年齢者が対象。和歌山労働局の受託事業として、就業や雇用を希望する企業や事業所の双方のマッチングを行い、中高年齢者の雇用促進と生きがいづくりの場への参加などの支援を実施している。
「御燈祭り」は、熊野速玉大社例大祭「新宮の速玉祭(はやたまさい)」と合わせて国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受けており、新年における「火の更新」を意味する勇壮な祭り。
例年、当日の2月6日には全国から大勢が「上(あ)がり子」として参加し、御神火を移したたいまつを手に一斉に神倉神社を駆け下りるが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から上がり子の参加が取りやめとなった。
たいまつはヒノキの板を五角すいに組み合わせ、針金や竹ひもなどで固定。柱状部分の空洞に「バタ」と呼ばれる木切れを入れ、ヒノキを薄く削った「ハナ」を付ける。
垣下さんは新宮生まれの新宮育ち。同市相筋で垣下建築を営む。毎年、本業の傍らたいまつを制作しており、今年は約100本を作った。
参加者は垣下さんの指導の下、手縄の作成から作業を開始。5枚の板を組み合わせ、たいまつの形にすると結束バンドで仮固定して針金などを使って組んでいった。「バタ」を入れ、最後に80枚の「ハナ」を付けて完成させた。
初めて参加した青山幸生さん(60)は「過去に自分で作った経験はありましたが、全く違うものでした。ひもの縛り方が難しく、出来栄えは70点。来年、御燈祭りで登れるようであれば、このたいまつを持っていきたいと思います」と笑顔で話していた。
(2021年11月19日付紙面より)
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保護者には動画で配信 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長、生徒236人)は17日、町生涯学習センターまなびの郷で文化祭を開催。各学年の舞台発表、合唱コンクールなどを繰り広げ、動画投稿サイトのユーチューブ配信を通じて保護者に学習成果を届けた。
本年度は新型コロナウイルス感染防止の観点から文化祭を動画配信のみとし、20日(土)の授業参観で部活動や各教科の展示会を開く。
オープニングは生徒会役員7人が演劇を披露し、文化祭のテーマ「矢渕の文化祭高(ぶんかさいこう)~一人ひとりの個性で創るアルバム~」を紹介。森本琉其会長(2年)が「思い出に残る文化祭にしましょう」と呼び掛けた。
竹原校長のあいさつに続き、吹奏楽部の5人が「4つの古い舞曲」「ストレンジユーモア」を演奏。美しい音色が場内を包んだ。得能朱里部長(2年)は「3年生7人が引退して初めての演奏だったので緊張したけど、楽しかった。少ない人数ですが、これからも聞いてくれる人に『楽しい』と思ってもらえる演奏をしたい」と話していた。
玉置ましろさん(1年)が「竜之介先生走る!を読んで」、池内結加さん(2年)が「インターネットの正しい使い方」、小栗須釉椛さん(3年)が「願い」と題した作品を発表した。
1年生は約600枚の紙で作ったモザイクアートを飾り、2年生は職業インタビューの成果を発表、3年生は舞台劇「つなぐ~未来への第一歩~」を披露した。各クラスによる合唱コンクールもあり、これまで練習してきた歌声を響かせた。
(2021年11月19日付紙面より)
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くしもとこども園で教室 (紀の国ふるさとづくり協議会 )
串本町立くしもとこども園(中山紀子園長)で15日に4、5歳児66人を対象にした「キノピー教室」があり、園児は保育教諭や紀の国ふるさとづくりマスコットキャラクター・キノピーと一緒に森林の働きや大切さを教わるなどした。
この教室は、紀の国ふるさとづくり協議会(会長=北岡功・北山村産業建設課課長)が森林の恵みと支える山村への理解と関心を深める目的で展開している普及啓発活動の一環。東牟婁振興局管内では本年度、太地こども園(10日に実施済み)、くしもとこども園、三尾川(みとがわ)保育所と高池保育所(16日に実施済み)の4施設を巡回する形で順次開かれた。
くしもとこども園の園児はキノピー(=着ぐるみ)の登場を喜びつつ、昔ながらの木の型枠に入った大判紙芝居「みんなで森へ行こう」の読み聞かせを鑑賞。キノピーからの問い掛けに元気いっぱい答えながら、紙芝居が伝える▽スポンジのような落ち葉の土が水を蓄えきれいにして少しずつ流してくれること▽土が崩れないよう木がしっかりと根を張って支えていること▽園児と同じように森も深呼吸をして空気を作ってくれていること▽身の回りで木がたくさん役立っていること▽おいしい食べ物がたくさんありそれを必要とするたくさんの動物が森を育み広げていくこと―などの内容に親しんだ。
その後はキノピーと握手をしたりクラスごとに記念撮影をしたりして交流。キノピーは仲良くしてくれた園児全員分の塗り絵の台紙などをプレゼントして同教室を締めくくった。
町産業課と連携して同園へ参加の機会を届けた同局農林水産振興部林務課の玉置公晴副主査は「今日学んだ森の大切さや役割を家族にも話して広めてほしい。そのためにまずはこの教室を楽しんでもらえたら何より」と参加した園児の今後に期待した。
(2021年11月19日付紙面より)
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宇久井中2年が職場体験 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)の2年生29人は15、16の両日、地域の11事業所で職場体験学習を行い、働く楽しさを学んだ。
進路学習の一環で、働くことの意義や社会でのマナーなどを学んでもらうことが目的。
本年度は町消防本部、町立図書館、町立宇久井保育所、宇久井漁協、三六屋、ベイサイクル、那智勝浦自動車教習所、南紀ひまわり作業所、環境省宇久井ビジターセンター、休暇村南紀勝浦、ローソン勝浦町宇久井店が学習に協力した。
町消防本部では、消火ホースを使った消火訓練などがあり、16日には県に1隻しかない消防艇「はくりゅう」に乗船。横山蘭さんは「町にこんな船があるとは知りませんでした。3階くらいの高さからロープで降りるのが楽しかった」。湊舷貴君は「ロープワークでもやい結びや巻き結びを作るのが面白かった」と語った。
宇久井保育所で働いた芝田葵衣(きい)さんは「保育所の頃に職場体験に来たお兄さんお姉さんたちと遊んで楽しかったので、この職場を選んだ。やることは多いですが、楽しいです」と話した。
宇久井ビジターセンターでは山下めいさんがクラフト体験などの手伝いをした。センターの玄関口には山下さんがマツボックリやムクロジなどの自然素材で制作した4本のリースを飾り、思い出を残していた。
(2021年11月19日付紙面より)
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来年の大絵馬が完成 (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)で15日、来年のえと「壬寅(みずのえとら)」の大絵馬が完成した。12月から大社拝殿に掲げられる。
大絵馬はヒノキ製で、縦1・5㍍、横2・1㍍。上野宮司が7月ごろから構想を練り、手直しなどを加えて今日に至った。
アクリル絵の具などを使用し、瑞光を背景に梛(なぎ)の御幣をくわえ、鋭い眼光で前を見据える雄虎を表現。疫病や不浄を表したという岩を、たくましい前脚で力強く踏み付ける。上野宮司は「新型コロナウイルス感染症の影響で不自由な生活を余儀なくされる中、期待を持って新しい年を迎えたい」と絵馬に込めた思いを話す。
「地球のために全ての祈りを」の文字を書き入れて絵馬を完成させ、「祈りは人間だけのものではない。地球の命、より良い自然環境、伝統、美しいもの。全ての祈りを母なる地球に捧げたい」。
また、温暖化対策が進まない世界の現状について主張を重ねる環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんに触れ「地球は今、ターニングポイントに来ていると思う。来年は地球のために祈ることの大切さに気付く年になれば。一人一人が世のため、人のため、地球のために尽くすことができれば、より良い年になると思います」と話した。
毎年、JR新宮駅に掲げている小絵馬(縦70㌢、横110㌢)は、12月半ばごろに届けられる予定。
(2021年11月16日付紙面より)
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2年ぶりの収穫祭盛況 (北山村 )
北山村のおくとろ公園観光センターで14日、2年ぶりに「じゃばらの里の収穫祭」が開かれた。快晴の下、村内外から多数の来場者が訪れ、買い物や地元グルメを楽しんだ。
特産品「じゃばら」の収穫を祝って開くイベントで、今年は紀の国わかやま文化祭2021の地域文化発信事業として開催。じゃばらの収穫体験や今年の収量当てクイズ、じゃばらや筏(いかだ)下りのパネル展、小中学生の作品展などがあった。
じゃばら園での収穫体験にはイベント開始時から大勢が参加し、北山振興㈱の職員から収穫に適したサイズや効能、活用法についても学んだ。じゃばら加工品の販売の他、おくとろ温泉による魚市も盛況だった。
この日は「北山3村フェスタ2021」も同時開催。北山村青年会による射的やスーパーボールすくい、林業に携わるシンガーソングライター・カモンユキオさんによる「きこりライブ」、学校給食から生まれた「じゃばら唐揚げ」の販売もにぎわいを見せていた。
同文化祭北山村実行委員長の中島良範教育長は「天気にも恵まれ、村内外のたくさんの方々に北山村の美しさや歴史を感じていただけて最高です。じゃばらの収穫期こそ、村の一番いい時期。新型コロナ後に向け、小さなスタートを切れたのでは」と話していた。
(2021年11月16日付紙面より)
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来年のえと「寅」の色紙 (熊野那智大社 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)で来年のえと「壬寅(みずのえとら)」の色紙作りがピークを迎えた。男成宮司が直筆で1枚ずつ、色紙に「瑞兆」の文字を書き添えている。今月中に1500枚を完成させる予定。
色紙には勇ましい色鮮やかな虎と初日を配した那智の滝が描かれている。同社によると、虎に関することわざの「虎口を脱する」にちなみ、来年こそは未曽有のコロナ禍から脱し、めでたい初日の光のごとく明るい兆しが現れ、人々にとって心安らぐ幸せな一年になるようにと願いが込められているという。
14日は同大社斎館で、男成宮司が色紙に文字を書き入れ、巫女(みこ)が社印を押して仕上げた。
男成宮司は「ワクチン接種などが進み、感染者も減って参拝者も多くなってきた。明るい兆しが見えつつある。来年こそは、危険なコロナ禍から抜け出せるように色紙を描いた。皆さまの幸せを願っています」と語った。
社頭での授与は15日から行い、発送は11月下旬からを予定。1枚2000円。送料は2枚以下600円、3枚以上は1200円。申し込みは、はがき(〒649―5301那智勝浦町那智山1、熊野那智大社)、FAX(0735・55・0643)、または同大社ホームページで受け付けている。
(2021年11月16日付紙面より)
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CGS部と初連携しつつ実施 (田辺海上保安部 )
串本町樫野にある樫野埼灯台で14日に一般公開があり、普段は無人灯台として閉ざされている内部を見学する機会などが提供された。
153周年灯台記念日(今月1日)行事の一環。この記念日は日本で最初に点灯した観音埼灯台の起工日に基づいて定められていて、樫野埼灯台は観音埼灯台と並んで改税条約(江戸条約)により建設されることになった8灯台の1基としてグレゴリオ暦(=西暦)1870年7月8日(旧暦明治3年6月10日)、8灯台中4番目に点灯した経緯がある。
管轄する海上保安庁田辺海上保安部(上野春一郎部長)は8灯台の一基、潮岬灯台が常時内部見学可能であるのに対し、平時は閉ざしている樫野埼灯台も広く知ってもらうため、この公開を灯台記念日と絡めて定例化している。最近は同町が関西文化の日に合わせて同灯台旧官舎やトルコ記念館、日米修交記念館を無料開放していて、時期はずれるが相乗効果を目指して期日を合わせるよう考慮して実施している。
今回は初の試みで、県立串本古座高校CGS部と連携。灯台内部で同灯台の沿革紹介パネルや灯台絵画コンテスト2021受賞作品展示と併せて同部の活動紹介パネルを展示し、日本機械学会の機会遺産に登録されている昭和8年導入の心臓部・光学系機械装置(昭和7年度製造)については同部交通課課員や同部生徒が解説をし、水銀槽に浮かせて灯部を回転させる(昔は分銅〈現存〉、今はモーターが動力)という今では希少な仕組みを伝えるなどした。
午前11時には灯台南方の洋上で串本海上保安署所属巡視艇「PC―102 30㍍型〈船名・むろづき〉」と関西空港海上保安航空基地所属中型飛行機「サーブ340B型」の運航展示もあり、居合わせた見物客は手を振って両者の共演に親しんだ。同庁のマスコットキャラクター・うみまるも登場して記念撮影に応え、都合により子ども用が確保できなかったが制服試着の機会も提供。同部は敷地内で調理班がレシピを開発した万能だれ「あがらのたれ」の紹介と販売にも取り組んだ。
来場者にパンフレットやPRグッズを配って見学に感謝した上野部長は「造られた当時は船乗りのものだっただろうが、150年余りを経て地域の資源としても親しまれるようになっている。今回は初めて串本古座高校CGS部さんと連携したが、これからも地域と共に盛り上げることを続けていこうと思う」と話し、同部交通課課員と共に灯台と人を近しくすることに努めていた。
(2021年11月16日付紙面より)
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「和傘の灯り2021」 (新宮YEG )
コロナ禍で閉鎖的になっている気持ちを和らげてもらおうと新宮商工会議所青年部(新宮YEG、向井康博会長)の「和傘の灯(あか)り2021~人と場所、未来へ想(おも)いを繋(つな)ぐ~」が10日、新宮市の旧西村家住宅(西村伊作記念館)や徐福公園、新宮城跡公園入り口の3カ所で始まった。今回は旧西村家住宅で外壁に映像を投影するプロジェクションマッピングも行われ、来場者の目を楽しませていた。午後5時30分から9時(最終日は8時)、14日(日)まで。
市内3カ所で開催することで、各商店街を歩いてもらうきっかけをつくるとともに、市内で秋の夜を楽しんでもらう目的。
市内の文化財に目を向けてもらうことで文化的背景や歴史を広く発信し、歴史・文化への理解を深める狙いもある。過去にも新宮城跡公園で2回開催しており、昨年は旧西村家住宅で実施した。
この日、旧西村家住宅では親子連れなども多く訪れ、「かっこいい。もっと見たい」「きれいやね」と、スマートフォンなどで、和傘やプロジェクションマッピングを撮影する姿も見られた。
向井会長は「新型コロナウイルスも少し落ち着いてきた。皆さまに外に出てほしいという思いから今回、初の試みにも取り組ませていただいた。終息を願うとともに、今後も皆さまと新宮市を元気にしていきたい」と語った。
「和傘の灯り2021 フォトコンテスト」も同時開催しており、和傘の写真を撮影して「#バイローカル新宮」を付けてインスタグラムに投稿すると、バイローカル参加店舗の中から景品が当たる。
(2021年11月12日付紙面より)
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中里いきいきサロン (那智勝浦町 )
那智勝浦町の中里会館で8日、中里いきいきサロン(岡本美智子代表)があった。一般社団法人和歌山県歯科衛生士会のメンバーで新宮市在住の歯科衛生士・玉置浩美さんが講師を務め、口の中の機能が低下する口腔(こうくう)機能低下症の詳細や予防のための運動を解説し、14人の会員は楽しみながら学びを深めた。
玉置さんは「口の中が乾きやすくなったか」「食べ物がかみづらい」「食べ物が飲み込みにくくなった」「口の中に食べ物が残ってしまう」「むせやすくなった」などの症状は、口の中の機能が低下したことなどが原因だと述べた。数点該当する場合は口腔機能低下症であるとし、症状が進行すると、食欲や心身機能の低下につながると話した。
防止対策として、歯磨きや舌の表面にある舌苔(ぜったい)の磨き方、入れ歯の手入れと管理方法、就寝前や起床後に行えば効果的なうがいなどについて説明。また、歯磨きのみでは口腔内を完全に清潔にできないとし、歯間をきれいにするデンタルフロスや液体歯磨き(デンタルリンス)などの活用も提案した。
唾液については、消化や粘膜の保護、洗浄、殺菌、緩衝、再石灰化などの作用があるとし、これによって口腔内が守られているとその重要性を解説した。
唇や舌に力を入れる「パ・タ・カ・ラ」の発声練習や、口の開閉、舌を動かす、唾液腺のマッサージなど「歯あわせ体操」にも取り組んだ。
会員らは「その用具はスーパーで購入できるか」「歯磨きは3食3度のほうが良いか」などの質問が上がり、玉置さんは「スーパーや薬局で手に入る物もある。歯磨きはできるなら、3度してもらう習慣を付けたほうがいい」と回答した。
玉置さんは「悪い所がなくても、予防や相談で歯医者を利用してほしい。歯医者との距離を縮めることで生活の改善にもつながると思います」と締めくくった。
岡本代表は「皆さんに多くの学びがあったと思う。今日習った体操などは毎日の生活やサロンごとに実施して、恒例にしていきたい」と語った。
(2021年11月12日付紙面より)
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紀の国わかやま文化祭行事 (古座川町 )
古座川町中央公民館で7、8日に紀の国わかやま文化祭2021関係行事「古座川せせらぎ秋のコンサートウイーク」があり、2日間計で80人が来場し音楽を楽しみながら同文化祭の趣旨を実感する機会を得た。
同館リニューアル後の1階ロビー(住民交流を前提とするフリースペース)活用モデル策として定着している企画「古座川せせらぎミニコンサート」をベースにして同文化祭古座川町実行委員会が計画。いつも以上の来場を見越して舞台を大集会室へと変更し、同文化祭の趣旨に沿って7日に常連の「The JANK」、8日に初参加の「みぞやんず」が出演することを事前発表し、入場無料、子どもも大歓迎で来場を呼び掛けた。
初参加のみぞやんずは全盲のボーカリスト・溝本和彦さんがリーダーを務める軽音楽ユニット。新宮市熊野川町にある社会福祉法人美熊野福祉会障害者支援施設「杉の郷」から活動の輪を広げていて、同町初進出ともなった今回は歌謡や演歌、童謡など幅広い世代で親しめる歌唱を中心に披露し、時に手振りや合唱による共演も誘うなどして和やかに音楽を楽しむバリアフリーのひとときを来場者と共有した。
同実行委員会は6~8日に同館1階ロビーで障害者芸術作品展を開き、つばさ福祉会施設「エコ工房四季」と県福祉事業団施設「東牟婁生活総合支援センターふわり」の各利用者作品を紹介。同イベントの実施に当たり代表して教育委員会教育課の洞内宏文課長が国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を合わせたものが現在県内で開かれている紀の国わかやま文化祭2021(10月30日~11月21日)であるなど、実施の趣旨を来場者に伝えて同文化祭参加の実感を促した。
(2021年11月12日付紙面より)
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新宮ユネスコ協会 (新宮市 )
「世界平和記念日」の11日、新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は新宮市薬師町の瑞泉寺(穴沢丈彦(あなざわ・じょうげん)住職)で「平和の鐘」を鳴らし、世界平和を祈願した。
1918(大正7)年11月11日は第1次世界大戦が終結した日。ヨーロッパ各国では祝日に制定されたり、戦没者追悼式典などが営まれたりするなど、重要な日とされている。
7年目の取り組みとなった「平和の鐘」では、8人の会員らが午前11時から順番に鐘を突き、手を合わせた。
穴沢住職は「技術の発展とともに心も広く伸びないと物の使い方を間違えてしまう。本日は平和への祈念を心にともしていただけましたら」とあいさつ。
中谷会長は鐘を鳴らすことには時間や危機を知らせるなどの意味があるとした上で「紛争なども含め、世界は現在、危機的な状況にあると思う。リアリスティックな政治の意味での戦争と平和ではなく、精神や心の中での平和の願いを込めて鐘を鳴らさせていただいた」。
今後については「定期的に実施していくことで、平和を強く願っている人がいることを、多くの人に知っていただければありがたい」と話していた。
なお、今月6、7日には、仲之町商店街のサンタウンホールで同協会の会員による写真展も開催された。
(2021年11月12日付紙面より)
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八咫烏シンポジウム (那智勝浦町 )
第36回国民文化祭、第21回全国障害者芸術・文化祭那智勝浦町実行委員会は3日、那智勝浦町体育文化会館で「八咫烏(やたがらす)シンポジウム」を開催した。八咫烏に関する講演などが行われたほか、同町出身で、日本サッカー協会創立100周年を機会に日本サッカーの礎に貢献した中村覚之助氏の名誉町民顕彰セレモニーも実施され、121人の来場者が祝福した。
「紀の国わかやま文化祭2021」地域文化発信事業の一つであるシンポジウムは、熊野信仰のシンボルである八咫烏を広く周知し、八咫烏を通して熊野の魅力を発信することが目的。
開会に先立ち、堀順一郎町長があいさつ。はじめに日本ヤタガラス協会会長で国際熊野学会代表委員の山本殖生さんが「熊野の八咫烏伝承の魅力」と題し講演した。
三足の意味や古代中国や高句麗の神話、神武天皇の系譜などに触れ、「平安には八咫烏の名前が出ている。日本書紀や古事記によると、大きな鳥や偉大な鳥と読み取れる」と述べた。
山本さんは「豊かな自然・山・川・滝・海」「文化的景観として、自然と人間」「聖地の要件」「日本第一大霊験所」が八咫烏の生息環境と位置付けし、他界観や再生観、死生観、宗教観、世界観など、熊野の象徴が八咫烏であると締めくくった。
熊野三山参詣曼荼羅(まんだら)絵解き「協演」では、熊野本宮語り部の会の谷口佳子さん、新宮市観光ガイドの会の西浦康代さん、熊野那智ガイドの会の生熊みどりさんがそれぞれの絵解きを行った。
筑波大学附属高校教諭で日本ヤタガラス協会副会長の中塚義実さんが「日本サッカーの始まりと中村覚之助―JFA100周年にあたって―」を講演。「サッカーの始まりと日本への伝来」「中村覚之助の功績と日本サッカーのあゆみ」「JFAのシンボルマークをめぐって」について解説した。
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中村氏は1878年に旧那智村浜ノ宮で生まれ、1900年に東京高等師範学校(現筑波大学)に入学。「アッソシエーション・フットボール」を翻訳し、日本初のサッカー指導書を編さんした。さらには日本初となるサッカーチームを創設し、国際試合も実施。28歳の若さで逝去した。
それらの功績をたたえようと、今年9月の町議会で同町二人目の名誉町民に推挙され、全会一致で同意された。
名誉町民顕彰セレモニーでは、中村氏の兄・亀一氏の孫に当たる中村統太郎さんも出席。中村さんは「名誉町民に選んでいただき、この上ない喜び。親族として誇りに思う」と喜びを語った。
(2021年11月6日付紙面より)
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子供・若者育成支援強調月間 (新宮・東牟婁 )
「子供・若者育成支援強調月間」(内閣府が主唱)に伴う「知事メッセージ」の伝達式が4日から29日(月)にかけて新宮市、東牟婁郡の各地域で行われる。初日の4日には、東牟婁地方青少年育成県民運動推進委員連絡協議会の畑林守さん、木村康史さん、横山政博さんらが新宮市役所を訪れ、青少年健全育成に協力を求める仁坂吉伸和歌山県知事のメッセージを読み上げ、田岡実千年市長に手渡した。
青少年を正しく、心豊かに育成する機運を盛り上げようと毎年実施している。メッセージでは「新型コロナウイルス感染症対策に伴うさまざまな制約により、閉鎖感や孤立感を感じている子ども・若者がいる。また、いじめや不登校、児童虐待や引きこもりのほか、SNS(会員制交流サイト)におけるトラブルやインターネットの長時間利用など、子ども・若者に関するさまざまな問題を解決するためには、家庭・学校はもちろん地域全体で取り組まなければならない」などと協力を呼び掛けている。
伝達を受けた田岡市長は同協議会の子どもたちの健全育成を目指す取り組みに感謝を示し「SNSやインターネットの普及など、便利になりすぎているが故に今までとは違った問題も起きていると感じている。引き続き子どもたちの成長のためにご協力いただければ」と求めた。
横山さんから、県ではSNSをはじめとするインターネット上のトラブルから子どもたちを守るためにネットパトロールを行い、各市町村教育委員会と学校が情報を共有しているなどと紹介。
田岡市長はインターネット上におけるいじめや誹謗中傷などの発生を危惧し「地域が一緒になって子育てしていくことが一番大事」。委員らと課題や現状などを話し会いながら今後の連携強化を図った。
(2021年11月6日付紙面より)
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マリア保が創立50周年 (新宮市 )
新宮市野田の保育所型認定こども園「マリア保育園」(三浦恒久園長)で3日、創立50周年式典が開かれた。式典実行委員会や保護者会、同窓会、職員ら約40人が出席し、記念となる節目を祝った。
同園は、神に愛されている他者と自分を知り、人を愛する人間に育つことを目的に、新宮聖公会に併設する形で1971年11月に開設。地域の保育事業の一端を担い、これまで1723人の子どもたちが巣立った。97年の25周年時には、当時の園児や職員らがさまざまな品物をタイムカプセルに入れて埋設し、将来の夢を託した。
式典では、坂口涼・保護者会長、阿万卓也・実行委員長、杉浦資史・同窓会長があいさつ。コロナ禍で無事に催しが開催できたのは三浦園長はじめ職員、保護者の他、多くの人たちのおかげと感謝し、坂口会長、阿万実行委員長はそれぞれ「この伝統を引き継ぎ、次の世代に継承していきたいと思いますので今後ともご支援、ご協力をよろしくお願いします」などと述べた。
続いて97年当時の園児だった清原孝太さん、元職員の西和美さん、現職員の松原美恵教諭が、同園でのそれぞれの体験や思い出を語り、笑顔で振り返った。
中盤には、運ばれたタイムカプセルが25周年当時に役員を務めていた森光治さん、久保正彦さん、清原直樹さんによって開けられると、中から将来の自分に向けての手紙や記念ポスター、園児たちの絵などが取り出され、出席者から大きな拍手が送られた。
午前には、同園教会で感謝礼拝が行われ、聖歌や説教などで神様に感謝の祈りをささげた。
阿万実行委員長から記念品を受け取った三浦園長は「97年当時に園長を務めていた大川誠さんは人とのつながりを大事にしていた。100周年に向かって、子どもたちに寄り添っていけるよう『マリア大家族』の思いを胸に、これからも頑張っていければ」と話していた。
(2021年11月6日付紙面より)
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串本で創業セミナー実施 (広域商工会東牟婁協議会 )
串本町商工会館で1日夜、研修会「2021ビジネスを始める人のための創業セミナー」があり事前申し込みの6人と同町商工会事務局の職員(経営指導員など)5人が受講して成功する起業の筋道を考えるなどした。
この研修会は、北山村・古座川町・串本町・南紀くろしおの4商工会で結成する広域商工会東牟婁協議会(森川起安会長)主催。本年度伴走型小規模事業者支援推進事業の一環で、今回は商工会の経営指導員による事後フォローの利用を前提にして管内5市町村が認定する特定創業支援事業の要件となる4分野(経営・財務・人材育成・販路開拓に該当する研修の修了)を網羅する3時間講習を計画し、受講無料、先着順で参加を呼び掛けた。
対象は経営の基本を学びたい人、独立開業を目指す人、創業後5年未満の人、副業を検討している人。講師は株式会社紀の州コンサルティング・三和社会保険労務士事務所代表の濱田智司さんが務めた。
この日は全国労働保険事務組合連合会和歌山支部も同席。まず日本政策金融公庫田辺支店が同公庫の概要と創業計画書の記入内容、各種融資制度を紹介し、以降は濱田さんが自他の経験を例示しつつ起業する場合にしてはならないことやするべきことを一通り説明して起業の志を着実に成功へとつなげる考え方や進め方を11人に託した。
(2021年11月6日付紙面より)
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東牟婁地方中学校秋季陸上競技大会
サッカー・バレーボール
「世界津波の日」前に合同訓練 (新宮市 )
「世界津波の日」(11月5日)を目前に控えた3日、新宮市佐野の新宮港緑地で、令和3年度新宮市総合防災訓練を実施した。16機関から約200人が参加。さまざまな訓練を通し、大規模災害に対する連携強化を図った。
「世界津波の日」は2015年12月に国連総会で制定。安政元(1854)年11月5日に、安政南海地震による津波が現在の和歌山県広川町を襲った際、濱口梧陵が稲むらに火を付け、津波から逃げ遅れた村人を高台へ導いて多くの人の命を救った逸話「稲むらの火」にちなんでいる。
訓練に参加したのは▽近畿地方整備局紀南河川国道事務所▽田辺海上保安部串本海上保安署▽関西空港海上保安航空基地▽陸上自衛隊第37普通科連隊▽近畿管区警察局和歌山県情報通信部機動警察通信隊▽和歌山県警察本部広域警察緊急援助隊▽新宮警察署▽和歌山地方気象台▽東牟婁振興局▽県防災航空隊▽株式会社POS▽NPO和歌山災害救助犬協会▽新宮市▽市消防本部▽市立医療センター▽市水道事業所。
訓練は、和歌山県南方沖で震源の深さ約10㌔、マグニチュード8・6と推定される地震が発生し、市では震度6強を観測。県には地震による大津波警報が発表されたほか、県内全域で家屋の倒壊や火災が発生し、橋や道路の損壊、土砂災害、交通・通信・電力・ガス・水道などの施設機能がまひ。救援活動が妨げられ、多数の死傷者が発生したとの想定の下実施された。
沿岸部では津波による港湾施設が損壊、家屋・船舶が流失し、行方不明者が多数出ているとの情報を受け、田岡実千年市長が災害対策本部を設置。出動要請を受けた各機関が情報伝達や海上被害調査、漂流者救助、炊き出し、給水、医療救護活動、救出救助、消火などの訓練を行った。
夜間の災害発生を見据えた照明車と排水ポンプ車との合同訓練や、災害派遣医療チーム(DMAT)と警察、消防などが連携して治療の優先順位を決める「トリアージ」、検視活動、中高層建物屋上に取り残された要救助者をヘリで引き上げる高所救助活動などもあり、緊迫した空気の中、実践さながらの訓練が展開。なお、訓練は当初、市民参加型を想定していたが、コロナ禍の状況を踏まえこれを断念。当日の様子は動画投稿サイトでライブ配信された。
訓練を終え、竹田和之・総務部防災及び危機管理担当兼防災対策課長は「各機関とも他の機関と連携を密に、スムーズに訓練を行えていた」などと講評。「人命を第一に考え、日頃から連携を密にし迅速に活動ができるよう、今後も訓練に励んでほしい」と呼び掛けた。
田岡市長は「コロナ禍においても自然災害は待ったなし。どのような状況下においても対応できるよう、さらなる防災意識の向上を図るとともに、有事に耐えうる備えを常にしておかなければならない」と締めくくった。
(2021年11月5日付紙面より)
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「文化の日」の3日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」敷地内の佐藤春夫筆塚前で、令和3年度佐藤春夫「筆供養」が営まれた。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から規模を縮小して実施。関係者ら約30人が参列し、使い古した筆を供養するとともに春夫の遺徳をしのんだ。
公益財団法人佐藤春夫記念会(舩上光次代表理事)と新宮市教育委員会(速水盛康教育長)が主催。2015年まで旧市民会館前の「筆塚」で営んでいたが、文化複合施設建設工事で一時撤去したことから会場を変更して開催。筆塚前で実施するのは6年ぶりとなる。
「筆塚」は1966年、新宮ライオンズクラブが市民会館前に建立。揮毫(きごう)は春夫の親友だった堀口大學が行い、佐藤千代夫人と堀口夫妻らが除幕した。塚の中には春夫愛用の毛筆と万年筆が納められている。
式典では、1951年、春夫が59歳の時に作詞し、文化の日に制定された新宮市歌が流れる中、舩上代表理事が進行役を務めた。
田岡実千年市長は「佐藤先生の筆塚、西村伊作先生の正門、村井正成先生の壁画は、文化の殿堂としての風格を丹鶴ホールに与えてくれている。今後も筆供養の式典を通じ文化の向上を願い、その発展に努めていきたい」とあいさつ。
市立佐藤春夫記念館の辻本雄一館長は「久しぶりに筆塚の前で供養できてうれしい。来年は春夫生誕130年、そして中上健次が亡くなって30年を迎える。小さいまちから近代文学を代表する2人の人物が出たということは近代文学に興味のある人々の関心を引くところで、このまちの歴史と風土が育んだものでは」。また、中国の近代文学者・魯迅を日本で最初に紹介したのは春夫であったことなどについて話した。
茶道裏千家淡交会南紀青年部の谷口宗尚さんの献茶に続き、参列者らが春夫の写真の前に筆を供え遺徳をしのんだ。
式典の後には、辻本館長による「佐藤春夫パネル展」(3日で終了)の展示解説もあった。
(2021年11月5日付紙面より)
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串本町立串本中学校(濱﨑和司校長)の1年生39人を対象にしたロケット教室が2日にあり、生徒はモデルロケット「アルファⅢ」の製作と打ち上げに取り組んで実感を得るなどした。
この教室は、県宇宙教育研究会(会長=笹井晋吾・県立桐蔭高校長)指導の下で実施。同研究会はこれまで社会教育の範囲で重ねてきた実績を学校教育へ取り入れるべく本年度、串本中と串本西中の協力を得て試行することとしている。
その第1号事例となったのがこの日の教室。同研究会の事務局長で生徒が発射ボタンを押す指導ができる藤木郁久教諭(桐蔭高)と会員の太田昇教諭(串本中)が対で講師を務め、5時間目に製作、6時間目に打ち上げを当てはめる形で指導した。
生徒は同校体育館で講師と合流し、ロケット(スペースシャトル)の打ち上げ映像を交えてこれから挑戦する事柄のイメージを得つつ、2人一組でモデルロケット1基を組み上げた。
その後、望楼の芝へ移動して計19基を専用の発射台から打ち上げ。一部点火不良があったが、仕切り直して全ての打ち上げが成功した。
生徒の一人、和田久朋那さんは「1から10まで自分たちで作ったモデルロケットの打ち上げが成功してすごく感動した。もうすぐ小型ロケットの打ち上げが始まるけど、絶対見に行きたいという気持ちになった」とコメント。他の生徒も仲間の打ち上げをカウントダウンで後押しし、上空でパラシュートが開くと歓声を上げ落下するモデルロケットを追い掛けるなど打ち上げに強く興味を示していた。
太田教諭は当初4人一組でモデルロケットを作る予定だったが同研究会の支援で2人一組にできたことを生徒に伝え、「一人でもロケットを勉強してみようかなと意義を感じてもらえたら(同研究会は)うれしい」と期待を寄せて同教室を締めくくった。
串本西中では2年生12人を対象にし、9日(火)に実施予定。同研究会は12月4日(土)に県立潮岬青少年の家で小学生対象のロケット教室を開く予定で、藤木教諭は近々学校経由で知らせるので親子で参加してほしいと話していた。
(2021年11月5日付紙面より)
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例年よりやや少ない100㌧見込む (北山村 )
日本唯一の飛び地の村、北山村で4日から、特産品「じゃばら」の収穫が始まった。女性たちが色づいたものを枝切りばさみで丁寧に切り取り籠へと入れていった。今年の収穫量は例年に比べてやや少ない約100㌧の見込みで、作業は12月中旬まで続く予定となっている。
じゃばらは温暖多雨な気候で寒暖差が大きい同村の自然条件が生み出したかんきつ系の果実。紀州みかんやユズの自然雑種とされており、江戸時代から村に分布したと伝えられている。名前は「邪(じゃ)を払う」からきているという説がある。サイズはテニスボールほどで、疲労回復に良いとされるビタミンAとC、風邪予防に効果があるカロテンを含むなど栄養価に優れ、皮には抗アレルギー作用があるフラボノイド成分が多く含まれている。
じゃばらは株式会社じゃばらいず北山と村じゃばら生産協同組合に加盟している農家33戸の計8㌶ほどの畑で約5000本を栽培。生しぼりやジュース、ポン酢、ジャム、シャーベットなどさまざまな商品に使用されている。
北山振興株式会社じゃばら農園管理責任者の宇城公揮さん(45)は「小ぶりなサイズもありますが、適度な雨にも恵まれて例年と変わらない大きさに成長させることができた。実もきれいで、品質の良いものが育ちました」と話していた。
予約はインターネットや電話で受け付けている。問い合わせは、じゃばらいず北山(電話0120・928・933)まで。
(2021年11月5日付紙面より)
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第15回新翔高校体育祭 (新宮市 )
雲一つ無い爽やかな秋晴れが広がった2日、新宮市の県立新翔高校(藤田勝範校長、生徒312人)で第15回体育祭(硲一静実行委員長)が開催された。今年のテーマは「とびだせ!新翔の森」。生徒たちは各種目で学年を超えて声援を送り合い、生き生きと青春の一ページを楽しんだ。
新型コロナウイルス感染拡大による夏休みの延長や分散登校の影響を受け、例年よりも1カ月遅れての開催となった。
開会式に当たり、硲実行委員長は「練習時間は限られていたが、今までの成果を発揮し、ルールを守れば、とてもいい体育祭になると思う。全力で楽しんでいきましょう」とあいさつ。藤田校長は「久しぶりの全校行事。新型コロナ対策、水分補給、けがに気を付け、頑張って」と激励した。
聖火入場に続き、青、赤、黄、緑の4ブロックを代表して大野百虹(もこ)さん、大石翔稀君、中本嵐君、坂本拓斗君が「僕たち私たち選手一同は、体育祭という日のため、一生懸命努力し、頑張ってきました。諦めず、助け合い、体育祭を開催してくれたことに感謝し、最後までやり遂げることを誓います」と宣誓した。
競技はクラス対抗リレー予選でスタートし、教師陣も加わって白熱したレースを繰り広げた。大縄跳びや応援コンクール、楽しすぎるリレー、フォークダンスなどもあり、学校全体で盛り上がりを見せていた。
(2021年11月3日付紙面より)
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羽黒と熊野の共通点とは (東大人文・熊野フォーラム )
東京大学大学院人文社会系研究科は10月30日、オンラインで東大人文・熊野フォーラムin羽黒「羽黒と熊野 聖地比較のこころみ」を開催した。同大学大学院人文社会系研究科長の秋山聰さんや金沢美術工芸大学・東京家政学院大学客員教授の松﨑照明さん、国際熊野学会代表委員の山本殖生さん、東北大学名誉教授の佐藤弘夫さんがそれぞれ講演。さまざまな視点を通して、羽黒と熊野の比較を試みた。
新宮市教育委員会、出羽三山神社共催。新宮市は今年3月、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部と連携協定を締結。東京大学と共に人文学を応用しての地域振興や交流促進、地域連携活動などを図っており、同フォーラムはその一環として開催。フォーラムの様子は山形県鶴岡市羽黒町のいでは文化記念館から配信された。
秋山さんは、自身と熊野地方との出会いや関わりなどを説明。秋山さんおよび同科がこれまで熊野地方で展開してきたフォーラムやシンポジウムなどを振り返り、同フォーラムの趣旨について「熊野に限定せず、いろいろな地域でやってみようという試み」と話した。
松﨑さんは「熊野・大峰と羽黒の建築」と題して講話。能・狂言に登場する山伏から出羽と熊野・大峰の関わりを話し、羽黒山境内と大峰山寺境内の類似性について言及。「共通性が高く、大峰山で修験していた人たちの影響があったのでは」と述べた。
出羽三山神社の特殊神事「松例祭」における「国分神事」は「東三十三カ国を羽黒権現の土地に、西二十四カ国を熊野権現領に、九州九カ国は英彦山権現領」とする内容であると紹介。吹越籠堂(羽黒山中)と新宮礼殿の類似点や、神仏混淆(こんこう)の時代には虚空蔵山、熊野長峰を含めた三山を熊野三所権現とした修験道場であった金峯山と羽黒山の関係についても話した。
山本さんは「聖地熊野三山の成立と伝播―出羽三山との比較を視野に―」を演題に講話した。熊野の祭神と三山の成立について話し「牟須美(結)・速玉神は新宮で勢力を誇った豪族夫婦の祖霊神では」と述べ、熊野速玉大社の「家津御子大神坐像」は「熊野速玉大神坐像」「夫須美大神坐像」に比べて制作時期も新しく、「一遍聖絵」(1299年)では牟須美(結)・速玉神が回廊に囲まれて特別扱いされているとし「本宮が新宮の豪族の影響を受け、夫婦神を祭らざるを得なかったのでは」と持論を語った。
出羽三山と熊野三山の類似点について「どちらも他界信仰の聖地であり温泉信仰の霊場であり、出羽三山は火山性、熊野三山は熊野カルデラに基づく自然崇拝の聖地」。
羽黒山を開山した能除上人を八尺の霊烏が導いたといった故事と熊野の八咫烏(やたがらす)についても言及。「聖地成立の要因の究明や霊場形成の展開の解明、信仰伝播の実相探求は課題。これからも山岳霊場の調査を通して交流を推進していければ」と締めくくった。
佐藤さんは「熊野信仰と羽黒山―聖地誕生のメカニズム―」と題し、「中世では、この世にいるのは不幸な死者であると考えられ、別世界のイメージは膨脹した。人々を浄土に導く垂迹(すいじゃく=他界の仏の化現)や、垂迹の所在地としての霊場などを求めた」と解説。垂迹のいる場所(霊場)は山などの景勝地に造られたなどと話した。
講演後には、出羽三山神社の阿部良一権宮司、東京大学大学院人文社会系研究科教授の唐沢かおりさんも加わり、総合討議が行われた。
(2021年11月3日付紙面より)
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「丹鶴ホール」で手話狂言 (新宮市・北山村手話狂言実行委 )
新宮市・北山村手話狂言実行委員会(森常夫会長)は10月31日、新宮市下本町の市文化複合施設「丹鶴ホール」で「聞こえる人も聞こえない人も一緒に楽しめる手話狂言」を開催した。来場者らは狂言やワークショップを通し、手話や演劇について理解を深めた。
30日に開幕した「紀の国わかやま文化祭2021」障害者交流事業の一つ。日本の伝統芸能である狂言を手話と音声双方で表現し、聞こえる人も聞こえない人も共に楽しむことができる演劇を通じ、手話や演劇について理解を深め普及を図ることを目的としている。
開催に当たり、森会長は「障害者差別解消法が施行されたが、当地域の手話通訳者は不足していることは緊急の課題となっている。手話言語条例も圏域市町村で次々と制定されている。地域の中で手話が広がりを見せている今、手話狂言は時期を得たと思い計画した。障害のある人もない人も共に楽しんでほしい」とあいさつ。
田岡実千年新宮市長は「障害への理解を深めるとともに、障害あるなしに関わらず地域の方の文化活動が一層広がり、活躍の場が増えることを期待している」。山口賢二北山村長は「北山村においても9月本議会で手話言語条例を制定した。今日はこの貴重な機会にぜひお楽しみいただきたい」とそれぞれあいさつした。
演目は日本ろう者劇団による「附子(ぶす)」。和泉流狂言師三宅右近師が指導した。同劇団は1980年に「東京ろう演劇サークル」として発足。社会福祉法人トット基金理事長の黒柳徹子さんと出会い、同基金の付帯劇団となり劇団名を改称。手話狂言や創作劇など独自のレパートリーを持って全国各地で公演している。
「附子」は、主人が太郎冠者と次郎冠者に、おけに入った附子(毒薬の名)に気を付けるよう言い聞かして外出するが、怖い物見たさに附子に近づいた2人はおけの中身が砂糖であることに気付き、食べてしまったことに対する主人への言い訳を考えるといった内容。
太郎冠者と次郎冠者のしぐさや対話、息の合った演技に、客席からは拍手と笑いが巻き起こった。
演目後には狂言方和泉流の三宅近成さんと、和歌山県出身で太郎冠者を演じた數見陽子(かずみ・あきこ)さんによるワークショップもあった。
三宅さんは、会話としての手話と手話狂言で用いる手話との違いなどについて解説し「254ある狂言のうち70番が手話狂言として制作されている。両手に物を持つものや謡(うた)が主なものもあることから、手話狂言に作られていない演目もあるがどうにかしてレパートリーを増やしている」と説明。
来場者らは三宅さんと數見さんから狂言の「カマエ」や手話狂言による「名乗り」などを学び、伝統文化と手話に親しむ機会とした。
(2021年11月3日付紙面より)
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メランカオリさんが展示 (紀の国トレイナート )
JRきのくに線の各所を舞台にJR西日本や地域の有志、アーティストが共に立ち上げたアートプロジェクト「紀の国トレイナート」が10月31日から11月21日(日)まで開催されている。これまで本紙エリア内の作品と作成したアーティストを紹介してきた。今回はJR那智駅の駅舎内に力作「紀伊半島を巡る掃除道具とコンフェッティ・タロット」を展示しているメランカオリさんを取材した。
学生時代から、熊野地方に興味があり度々、足を運んでいたというメランカオリさん。東京芸術大学大学院先端芸術表現専攻修了後、古文講師や地球儀加工員を務める傍ら、「土星プロレス」と称した独自の占いによる作品を展開している。
2017年に初めてトレイナートに参加。ラストランを迎える今回は、学生当時から制作し続けている掃除道具に焦点を絞る。作品は熊野古道で拾った枝と竹ぼうき、那智の浜に打ち捨てられた端切れと雑巾などの素材を用いて作成。
床掃除で使用する水切り用具の先端部分を加工した那智黒石で演出し、クジラのヒゲを使ったブラシなどさまざまな道具が集まり、一つの作品を形成している。
メランカオリさんは「人や物の交流が長年続くトレイナートはすごい。節目の年に参加できて良かった。作品は最初から掃除道具の形にすると決めていた。地域にあった物や土産物などが掃除道具に生まれ変わった様や、近寄って直視した際に類似性の発見、胸を打つ瞬間を感じ取っていただけたらうれしいです」と語った。
なお、臨時アート列車「紀の国トレイナート号」走行日は11月6日(土)。御坊―新宮間を巡る。期間中は各地で関連イベントや沿線のまちへのローカルダイブも行われる。問い合わせは同実行委員会事務局(電話080・5786・2652、0739・22・5064)まで。
(2021年11月3日付紙面より)
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