熊野那智大社で「桜花祭」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町那智山の熊野那智大社(男成洋三宮司)は14日、自然の恵みに感謝し、五穀豊穣(ほうじょう)を祈る「桜花祭(おうかさい)」を営んだ。桜の花のかんざしを挿した巫女(みこ)が那智の滝前で「浦安の舞」を優雅に奉納した。
平安時代に花山法皇(968~1008年)が那智山で千日間の山ごもりをした際に、「木のもとをすみかとすればおのづから花見る人となりぬべきかな」と桜の美しさを詠んだという故事にちなんだ祭典。
神事は本社拝殿と別宮飛瀧(ひろう)神社斎場でそれぞれ営まれた。宮司以下神職の烏帽子(えぼし)や巫女の髪飾りには桜の小枝が付けられ、長さ約1㍍のヤエザクラの枝を幣帛(へいはく)として奉献した。
本殿や飛瀧神社では多くの参拝者が神事を見守るとともに、撮影する人の姿もあった。
男成宮司は「7月の例大祭もご奉仕できることを祈っている。また、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で悲惨な状況が伝えられている。コロナウイルスの終息と、一日も早く穏やかな日が訪れてほしいです」と語った。
(2022年4月15日付紙面より)
熊野川川舟下り (勝浦海事事務所 )
国土交通省の「小型船舶の安全キャンペーン」期間と、繁忙期となるゴールデンウイークに合わせ、国交省の勝浦海事事務所(中川洋所長)は13日、新宮市の熊野川川舟センターの南檜杖係留所で、川舟の安全点検を実施した。3隻とその船頭に対し、必要な装備や書類、技量などを点検。ガイドラインに沿った運航が可能かを確認した。
同事務所は、連休などの繁忙期を前に、安全確保と事故防止のため、管内の旅客事業者の船舶に対して点検を行っている。ガイドラインは、2011年の天竜川川下り船の事故を受けて、国交省などがまとめた、川下り船の安全対策となる。
熊野川の川舟下りは、熊野川町ふれあい公社(代表理事=下阪殖保・同川舟センター長)が運営。川舟は4隻を登録しており、うち実際に使用する3隻の点検を受けた。
点検には同事務所から、中川所長をはじめ4人が訪れた。所員が川舟に乗り込み、救命胴衣や浮輪、消火のための水くみバケツ、安全管理規定の書類などが備えられているかを確認した。エンジンが停止した場合に備えた、「竿(さお)」を使った操船の技量確認も行った。
講評で中川所長は「いずれの項目もおおむね良好だった。安全運航は最大の使命であり、これに勝るものはない。熊野川の自然を満喫し、喜んで帰ってもらうためにも、安全安心な運航に努めていただければ」と呼びかけ。
同センター職員の大濵考之さん(60)は「何より安全が第一。お客さんに無事に楽しんでもらえるよう、より一層の安全運航に努めたい」と話した。
(2022年4月15日付紙面より)
管内流域各所で稚アユ放流 (七川漁協 )
古座川町の七川漁業協同組合(中田善和組合長)が8日、管内流域各所で稚アユ放流に取り組んだ。
アマゴと双翼の管理対象魚・アユの資源増強を目的とした放流。平年は県内水面漁業協同組合と連携し600㌔規模でしているが、昨年に続いて今年も大手釣り具メーカー「株式会社シマノ」の漁場活性化を目的とした協力が得られ、1・5倍量の900㌔規模で行う形となった。
中田組合長によると、匹数に換算すると10万匹超の規模。この日は組合員ら27人が手分けして古座川本流に550㌔、同支流平井川に250㌔、同支流添野川に100㌔を分散放流したという。
同漁協管内の今年のアユ漁の漁期は6月4日(土)から12月31日(土)までと設定。中田組合長は「七川漁協管内は水がきれいな場所。その分、アユの数が少なくないとよそほど大きくならない面もあるが、まずは環境ともどもアユ漁を楽しんでもらえたら」と来る漁期に向け語った。
同漁協管内でアユ漁をする場合は、同漁協が発行する鑑札が必要。19歳以上は同漁協規定の遊漁料(日券で2000円など)が必要となるが、18歳以下は年齢を証明する書類を提示すれば無料で発行を受けられる。詳しくは管内にある赤いのぼりを立てた同漁協関係のおとり店などに尋ねるとよい。問い合わせは同漁協(電話0735・77・0063)まで。
(2022年4月15日付紙面より)
新宮LCがサクラを寄贈 (新宮市 )
新宮ライオンズクラブ(新宮LC、金嶋正人会長)の会員ら33人は9日、新宮市の黒潮公園で清掃奉仕を展開した。また、新宮LC認証60周年を記念し、同所にオオシマザクラ60本を植樹。新宮市に寄贈した。金嶋会長が田岡実千年市長に目録を贈呈した。
本年度(2021年7月1日~22年6月30日)、認証60周年を迎えた新宮LC。節目を迎えるに当たり記念式典などを盛大に執り行う予定としていたが、いまだ猛威を振るう新型コロナウイルス感染症情勢を受け、実施は困難な状況に。
そんな中、コロナ禍にあっても比較的行いやすい清掃活動とサクラの植樹および寄贈をもって、60周年に対する機運を高めるとともに、地域に対する感謝を示す機会とした。新宮LCは、紀伊半島大水害(11年)の復興を祈念し、翌12年にも同所にヤマザクラの植樹を行っている。
目録を受け取った田岡市長は、さまざまな事業を通したまちづくりへの協力に感謝を示し「近い将来、この場所が市民の皆さんが花見に訪れる場所になれば」と期待を寄せた。
金嶋会長は「新宮LCは60年前、チャーターメンバー2人から始まった。その時自分は5歳。歴史の重みを感じずにはいられない。これまでさまざまな奉仕事業をしてきた。今後も70年、80年と歴史を積み重ね、後世に引き継いでいってほしい」と話していた。
清掃活動には、田岡市長ほか市職員3人も参加。それぞれ火箸とごみ袋を手に、約2時間にわたり敷地内の美化活動に汗を流した。
(2022年4月12日付紙面より)
河内橋北詰で早朝街頭啓発 (古座川町 )
古座川町宇津木、河内橋北詰の交差点一帯で8日に春の全国交通安全運動の早朝街頭啓発があり、通行する運転者に安全運転が呼びかけられた。
同町交通指導員会(松下健生会長)を軸にした行事で、毎年春秋の同運動に合わせて実施している。当日は同会とその事務局を持つ町役場、警察署等再編に伴い新たに新宮警察署から20人が啓発員として参加。代表して同署交通課の嶝口知宏課長が啓発の重点や再編後の同署の姿勢を伝え、初動に弾みをつけた。
この交差点は丁字構造で、啓発員は3組に分かれ通行する運転手全員に声がかけられる形で布陣。同課の課員が安全な停車を図り、他の啓発員が物資を渡し親しく声をかけて適切運転を求めた。
啓発を経て西前啓市町長は、道幅が狭い役場から下流約300㍍までの区間が近々ゾーン30(最高速度30㌔区域)になることを事前報告しつつ、「今後は新宮署の指導を頂きながら交通事故ゼロを目指して頑張る」とし引き続きの交通安全確保への協力を啓発員に要請。松下会長は「お年寄りと子どもを交通事故から守れるよう、それぞれの持ち場において今後とも頑張りたい。古座川町はこれからも信号がなくても大丈夫なよう、横断歩道は歩行者に譲る点を重点的に癖づけることを目指していきたい」とコメントした。
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今期の運動期間は6日から15日(金)までの10日間で、県・交通事故をなくする県民運動推進協議会が掲げる運動の重点は▽子どもをはじめとする歩行者の安全確保▽歩行者保護や飲酒運転根絶等の安全運転意識の向上▽自転車の交通ルール順守の徹底と安全確保▽高齢者の交通事故防止―の4点。
この日はオークワ串本店前でも地域交通安全活動推進委員と同署による横断歩道の歩行者優先の指導を含めた街頭啓発があり、同委員が横断歩道周辺でメッセージボードをかざし視覚的に順守してほしい事項を運転者へアピールするなどした。
(2022年4月12日付紙面より)
田辺市本宮町の熊野本宮大社(九鬼家隆宮司)で10日、新茶祭が営まれた。大社裏の茶園で同大社敬神婦人会役員らが摘み取った特産品「音無茶(おとなしちゃ)」の新芽を神前に供え、自然の恵みに感謝するとともに産業の発展を祈った。
音無茶は、平安時代に熊野を訪れた殿上人が植えたのが始まりといわれている。名前は大社近くを流れる音無川にちなんで付けられた。昭和30~40年代に栽培面積を増やし、現在は町内で40戸ほどが約5㌶で栽培している。黄金色でまろやかな味わいが特徴だ。
昨年は3軒の農家が生葉約500㌔、緑茶加工後約100㌔、委託加工農家9軒が生葉約300㌔、緑茶加工後約60㌔を出荷。なお、令和3年をもって茶工場操業は終了している。
この日は敬神婦人会の5人が、祓戸(はらいど)王子近くの茶園約10㌃で新芽を摘み取った。大社では毎年、収穫した一番茶を皇室に献上しているが、新型コロナウイルス感染症の影響で昨年に引き続き取りやめとなった。
生産農家の倉谷夏美さんは「暖かくて霜の被害もなかった。順調な収穫ができそう」と笑顔。本格的な茶摘みは今月下旬から5月上旬ごろを予定しているという。
神事を終え、九鬼宮司は「日本の平穏の中でお祭りができることに感謝。改めて祭りを通してコロナ収束を願い、そして世界の平和を祈ることは、蘇(よみがえ)りの場所が本来やるべき一つの姿とも思っている」。
13日(水)から始まる例大祭「本宮祭」に対し「滞りなく、また、少しでも笑顔に会える場面を皆さま方と共有することができれば」と関係者らに協力を呼び掛けた。
(2022年4月12日付紙面より)
那智山青岸渡寺で開山祭 (那智勝浦町 )
西国第一番の観音札所である那智勝浦町の那智山青岸渡寺(髙木亮英住職)で10日、開山祭献茶法要会が営まれた。本尊の如意輪観世音菩薩(ぼさつ)を開帳し、同寺の開祖とされる裸形上人(らぎょうしょうにん)をしのび、髙木住職や智英副住職らが読経し茶が供えられた。また、例年設けられる茶席は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から昨年、おととしと同様に中止となった。
開山祭は約1600年前にインドから渡来し、那智の滝で修行したと伝えられる裸形上人の遺徳をたたえるため、1949年に始まった。
献茶式は表千家と裏千家が1年交代で奉仕しており、今年は茶道表千家流音無会(筑紫充代代表)の桝田ゆうさんが献炭と献茶を務めた。
法要後、筑紫代表は「ロシアによるウクライナ侵攻が行われている。早く平和になっていただきたい。そしてコロナが早く終息することを願っています」。
髙木住職は「筑紫さま社中によって、裸形上人の遺徳をしのび、献茶を執り行っていただいた。観音様の思いやりや優しさ、慈しみの心を知って、知らしめていただきたい。現在、ウクライナ情勢やコロナ禍と厳しい世相となっている。世の中の平和と安寧、安穏をご祈念いたしました」と語った。
(2022年4月12日付紙面より)