未来を見据えた農業改革とは (新宮市 )
今後、地元の経済を支えるのは“ネギ”かもしれない―。そんな、にわかには信じがたいことがもしも現実になったら?
新宮市木ノ川の道阪耕一さんは、自身が所有する畑で青ネギの栽培を始めた。昨年11月に約15㌃の畑にネギの苗を定植。5月に初収穫を予定している。
「(道阪さんの)ネギの収穫が成功すれば、新宮にとってのイノベーション(新機軸)になるのでは」。“ネギ”に新宮の未来の活路を見いだし、道阪さんと共にネギ畑を見守る井上訓さんはそう話す。そう、全ては「ネギ=イノベーション」のモデルを示すための取り組みなのだ。奈良県五條市の通称「ネギ博士」からの助言を受けつつ、2人は今日もネギ畑と将来の新宮市に思いをはせる。
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新宮市の農業産出額は2億2000万円で、全国順位1557位、県内では30市町村中27位となっている(2016年度産対象)。
強みとなっているのは市の耕種農業の農業産出額全体の50%を占める「米」だが、「米」に焦点を当てるも県内順位は20位にとどまり、また高齢化や後継者不足などの問題から耕作放棄地や休耕田も増え続けている現状にある。
「ネギは休耕田を利用して育てることができる。手間も掛からない上に年間通して寒暖差が小さいこの土地はネギの生産に向いている」。道阪さんと井上さんは声をそろえる。
さらに2人は、ネギ栽培を推進する最大の理由を打ち明ける。「販路が確保できている。われわれはネギを生産するだけ」。
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サクセム株式会社(中里輝茂代表取締役社長、本社=大阪府熊取町)は、紀の川市に工場を置く菓子製造会社だ。
世界の食糧飢餓に苦しむ子どもたちに無償で配布し救援・救済することを目的として備蓄保存パン「ライフブレッド」を開発。先日、新宮市に1000本を寄贈した。
実は洋菓子の製造を始めたのは2014(平成26)年から。08(平成20)年に大阪府堺市で青果販売業として創業したのが始まりだ。
現在、中国産が販売数のほとんどを占めるカットネギ。同社は国産カットネギ市場を構築しようと、16(平成28)年に自社農場で青ネギの栽培を開始。和歌山県全域で地元農家、JAなどの協力のもと、青ネギの委託栽培とカット用青ネギの出荷を始めた。
同社と縁のあった井上さんは、道阪さんと共に国内におけるカットネギの需要に着目。木ノ川や佐野、蜂伏周辺の土壌や気候は「ネギの栽培にうってつけ」と、ネギ博士のお墨付きだ。
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少子高齢化、耕作放棄地や休耕田の増加などの「弱み」を「強み」に―。道阪さんと井上さんはネギを通した「持続可能な農業」の形を模索する。いつの日か生産したネギをカットするプラント工場の建設も視野に入れている。道阪さんは初めてネギを作りたい人や休耕田などを借りたい人に対して相談にも乗っていくという。
「ネギの生産地となれば雇用も生まれる。若い人が農業を職業としてやっていける道筋をつくりたい。ネギを通して地元に誇りを持つ子どもたちが増えてくれる未来を創ることができたら」。若いながらも青々と畑を彩るネギを見つめながら、道阪さんと井上さんは笑顔で語った。
(2021年2月21日付紙面より)
津村雅稔さんが講演 (太地町 )
新宮・東牟婁圏域自立支援協議会は19日、太地町の多目的センターで「LGBTQと人権について考えよう『多様な性を知ろう~和歌山で自分らしく生きる~』」を開催した。NPO法人「チーム紀伊水道」副理事長の津村雅稔さんが講師を務め、自身の体験を踏まえながらセクシュアルマイノリティーや当事者の考え方、取り巻く環境などを講演。会場で17人、ウェブで60人が参加した。
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和歌山県を中心に活動する性的少数者(セクシュアルマイノリティー)と、セクシュアルマイノリティーを理解したいメンバーで構成。セクシュアルマイノリティーへの理解を深めるために和歌山市や橋本市、田辺市を主に、県内各地域で「自分らしさを出せる場」を提供すべく交流会を開催している。
そのほか、人権啓発イベントへのブース出展や講演会、学校や行政、企業、団体への講師派遣、会員制交流サイト(SNS)やホームページの運営、性に関する相談をメールで受け付けている。
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幼い頃に男性が好きであることに気付いた津村さん。周囲との違いに戸惑い、相談相手もおらず、事実を打ち明けられない日々を過ごしていた。
その後、自身以外のセクシュアルマイノリティーの人々と出会い、自分らしく生きることを決意。友人や家族にカミングアウトし、先進地との差に翻弄(ほんろう)されながらも本当の自分を受け止める作業を続け、「自分自身が学び続けること」が自身の人生だと思えるようになったという。
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講演会で津村さんは、性(セクシュアリティー)は男性と女性の二つだけではないと指摘し、性の在り方は人の数だけ多様であると述べ、「生物学的性」(身体の性)「性自認」(自認している性の在り方)「社会的性」(服装や言葉遣い、生活スタイルなど表現する性)「性的指向」(恋愛感情や性的な欲求を持つ相手)の四つを構成要素として上げた。
レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別越境者)の頭文字を取った「LGBT」に触れ、この四つがセクシュアルマイノリティーの全てではないと主張。四つ以外の「Q」というセクシュアリティーが存在するとし、セクシュアリティーが揺れ動いている「クエスチョニング」と、あらゆるセクシュアルマイノリティーを包括的に指す「クィア」があると解説した。
津村さんはセクシュアルマイノリティーの国内統計調査では3~8%であると報告。「あなたの町にもいることを知ってほしい。『いない、知らん、なにもしない』と言う人もいるが、言わせないとする社会があるのは事実」と課題を挙げた。
続いて▽トランスジェンダーの多様性▽性同一性障害者や関する法律▽当事者を傷つける言葉や差別用語▽本人の意志で明らかにするカミングアウト▽無断で第三者に暴露するアウティング▽それぞれのセクシュアリティーを表し、誰もが共通して使える「SOGIE」(ソジ)について▽同性婚▽証明書を発行することで、社会的サービスを受けられる同性パートナーシップ宣誓証明制度―などの詳細を話した。
津村さんは「見た目などで性を決めつけず、いろんな情報を知ってほしい。話しを聴いて、自分らしさを大切にしてほしい。嫌なことにはノーを言い、ノーと言われたら諦めることも大切です」。
今後については「積み重ねていくことが大事。たくさんの選択肢を持っていただきたい」と締めくくった。
(2021年2月21日付紙面より)
ジュニア駅伝に向け壮行会 (那智勝浦町 )
21日(日)に和歌山市内で開催される「第20回和歌山県市町村対抗ジュニア駅伝競走大会」を前に19日、那智勝浦町選手団が同町役場で壮行会を開いた。
大会は、各出場チームの選手10人が午前11時に紀三井寺公園陸上競技場をスタート。仲間との絆をたすきでつなぎ、県庁前をゴールとする10区間21・1㌔のコースで競い合う。
壮行会では、団長を務める堀順一郎町長が練習を重ねてきた選手たちに「30人の選手の皆さんはそれぞれの学年、学校、何より那智勝浦町の代表。自信と誇りを持ってください。昨年は過去最高の順位でした。今年はその記録を塗り替えるような走りをしてもらいたい。健康や体調管理などに尽力いただいた監督やコーチ、各学校の先生、保護者の方々に感謝の気持ちを持って最後までたすきをつないで頑張ってください」と激励した。
寺本尚史監督は「コロナの影響で例年参加している駅伝やマラソン大会、合同練習の中止など、困難な状況の中、しっかりと頑張ってくれました。皆さんにお願いした『あいさつ』『自分で考えてベストを尽くす』『休憩』も積み重ねてくれた。みんなの心と働きが一つになったとき、素晴らしい力を発揮することができます。試合当日は普段の走りをしましょう」とあいさつ。
元マラソン日本記録保持者で、カネボウ化粧品陸上競技部監督を務める高岡寿成さんからメッセージが届いたことを紹介し「一人で走っていると、つらさに我慢ができなくなるが、みんなと一緒に工夫して練習したことを思い出し走り切ってほしいです。諦めずに頑張ってください」と読み上げ士気を高めた。
選手団代表の速水健君(那智中3年)は「選手一同はチームワークを大切にし、一本のたすきを全員でつないで精いっぱい走ることを誓います」と決意を表明していた。
大会の模様は動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」でライブ放送され、テレビ和歌山でも午後7時54分から録画放映される。
(2021年2月21日付紙面より)
「カフェいっぷく亭」で (紀宝町 )
毎月1回、日頃の思いを話し合い、交流を深める「カフェいっぷく亭」が17日、紀宝町の鵜殿地域交流センターであった。今回は町みらい健康課の保健師2人が訪問し、新型コロナウイルスの感染防止対策や日常生活で気を付けたいポイントなどを紹介した。
参加者、スタッフ計13人を前に「新型コロナウイルス感染症を防ごう」をテーマに話を進めた。ウイルスは粘膜などの細胞に付着して増えるが、健康な皮膚に入り込むことができず表面に付着するだけのため、手洗いで流すことができると説明した。
感染防止対策として▽手洗い▽マスク着用▽せきエチケット▽人混みを避ける▽定期的に換気する―を挙げた。日常生活では生活リズムを保ち、近所付き合いやサロンなど今まで通り交流を続けることや、散歩、運動を勧めた。
手洗いは①流水でよく手をぬらし石けんを付けて手のひらをよくこする②手の甲を伸ばすようにこする③指先、爪の間を念入りにこする④指の間を洗う⑤親指と手のひらをねじり洗いする⑥手首も忘れず洗う―と手順を紹介。参加者は「手洗いの歌」の歌詞に合わせて正しい手の洗い方を実践した。
(2021年2月21日付紙面より)
県産農産物利用拡大に向け (太地町 )
学校給食へ地場産食材を供給する取り組みが太地町(太地町学校給食推進協議会)でスタートした。17日には町立太地小・中学校で、新宮市産の小松菜などが給食の献立に登場。児童・生徒らは地元産の野菜や魚に舌鼓を打った。
和歌山県では、学校給食献立の早期作成や入札方式導入の働き掛けにより「必ず作ります・売ります・買いますシステム」を確立することで県産野菜などの利用拡大を推進。市町村協議会で学校給食関係者が「購入希望リスト」、生産者が「供給可能リスト」を作成し需要と供給のマッチングを図る。
取り組みは2019(令和元)年に広川町でスタートし、すさみ町、新宮市に続いて県内4地域目。新宮広域圏公設地方卸売市場を核として実施する新宮・東牟婁地域では2地域目となる。
取り組みを進めるに当たり、太地町では1月に町教育委員会、太地小・中学校、新宮周辺地場産青果物対策協議会、県東牟婁振興局農業水産振興課で構成する「太地町学校給食推進協議会」を立ち上げた。太地小・中学校では今後、年に3回ほど地元農水産物を使用した給食が提供される見通しだ。
この日、給食に登場したのは新宮市産小松菜を使った三色ごまあえをはじめ、那智勝浦町太田産の米で炊いたご飯、県産サバのカレー焼き、けんちん煮、牛乳。
太地小学校(宮本礼子校長)では、教諭から「今日の給食には和歌山県の食材がたくさん使われています」と説明を受けた児童たちが、大きな口を開けて地元の味を堪能。長尾彩羽さん(2年)は「野菜も魚もおいしい」と笑顔で話した。
公設市場の出前授業で学びを深めるほか、実際に小松菜や大根を植えて収穫するなどして、普段から野菜に触れる機会を設けている同小学校。取り組みを通して野菜に抵抗がなくなった児童も多いという。
宮本校長は「今日の給食は、いつも以上に食が進んでいるように思います」と話し、児童の給食を見守っていた。
(2021年2月19日付紙面より)
三輪崎小3年生が学習
新宮市立三輪崎小学校(嶋田雅昭校長、児童371人)で16日、熊野学研究委員会や市文化財保護審議会の委員を務める中瀬古友夫さんによる講話があり、3年生60人が昔の市内の風景や人々の暮らしを学んだ。
3年生の社会科では通年で地域学習に取り組んでいるが、教科書の例として紹介されている都市が他府県のため、児童が自身の住む市についてより具体的にイメージできるようにと講話を依頼した。
中瀬古さんは、市の昔と現在の写真を並べ、そこに写った人々の生活を解説。佐野駅近くの踏切を蒸気機関車が走る様子や、三輪崎にある久嶋(孔島)近くに停泊した客船から小舟で運ばれた乗客たちが背負われながら浜に上がる様子を語った。
三輪崎小学校について、「オーストラリアに出稼ぎに行った潜水夫らの寄付によって、和歌山県で初の鉄筋コンクリート校舎として1927(昭和2)年に建設された」と話し、校舎の完成記念として開かれた運動会の写真も見せた。
児童は「全然違う」「山の形は一緒だから同じ場所なのかな」と話しながら写真を見比べ、普段何気なく見ている場所に秘められた歴史に興味を引かれた様子だった。
(2021年2月19日付紙面より)
熊野那智大社で「祈年祭」 ( )
那智勝浦町の熊野那智大社(男成洋三宮司)で17日、「祈年祭」が営まれた。同大社責任役員の塩﨑巍朗(たかお)さんや献穀講員らが参列し、実りへの感謝と五穀豊穣(ほうじょう)を祈った。
「としごいのまつり」ともいい、古くから定められた国家祭祀(さいし)が起源。旧暦2月4日に行われていたが1873(明治6)年の改暦後は17日となった。
11月の新嘗祭(にいなめさい)と対になる祭りで、日本列島各地で神々に食べ物やささげ物を奉り、豊かな実りに感謝し人々の幸せを祈る祭祀・儀礼が行われている。
同大社では、男成宮司が神饌(しんせん)が供えられた拝殿で祝詞を奏上。新型コロナウイルスの早期終息も祈願した。巫女(みこ)が神楽「浦安の舞」を奉納し、参列者らが玉串をささげ、春の訪れや農作物の豊かな実りに感謝した。
神事を終え、男成宮司は「那智勝浦町では幸いにも新型コロナは拡大していないが、地域経済は厳しい状況にある」と現状に触れ、同日から医療従事者を対象に始まったワクチン接種に対して「大きな期待をしている」と述べあいさつとした。
その後、別宮「飛瀧(ひろう)神社」でも同様に神事が斎行された。
(2021年2月19日付紙面より)
海ノ民話のまちプロジェクト実行委員会が18日、稲村(とうそん)亭の民話を原作としたアニメーション作品「お屋敷になったクジラ」の完成を串本町へ報告した。
同実行委員会は、次代を担う子どもへ海を語り継ぐ日本財団「海と日本プロジェクト」の一環で2018(平成30)年度に発足。以降毎年「海ノ民話のまち」を認定していて、本年度は同町など7自治体を選定し、同町には昨年7月実施の認定証贈呈時に民話アニメの制作と関係フィールドワークへの協力を求めていた。
「お屋敷になったクジラ」は町内にある古民家・稲村亭に伝わる民話の一つ「恩返しの家」を原作とした上映時間5分強の短編作品。同実行委の沼田心之介認定委員長が取締役を務める制作会社「株式会社トマソン」が同町・海ノ民話のまち実行委員会事務局の吉川公一さん(テレビ和歌山東京支社長)の仲介を得ながら制作を進めた。
収束しない新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮し、東京を拠点とする同プロジェクト実行委員会と同町をウェブ会議システム「ZOOM(ズーム)」でつないで完成報告の場を整えた。東京からは同実行委員会の沼田委員長と柴田英知さんや吉川支社長、同町からは田嶋勝正町長や稲村亭を預かる株式会社一樹の蔭の博多敏希代表取締役、制作を支援した南紀串本観光協会の宇井晋介事務局長が出席。作品を鑑賞して、串本儀平が作品に登場するクジラと巨木をモチーフにした和菓子の取り扱いを目指し、同協会が作品視聴QRコード付きPRシールを作成配布するなど、今後の利活用を話し合った。
フィールドワーク(上映会込み)は26日(金)に串本西小学校4~6年生を対象に実施する予定。報告を受けた田嶋町長は「本を読む機会が少ない中、5分間にまとめたアニメを見るのはいいことだと思う。串本は捕鯨で栄えたまちで、地震や飢饉(ききん)もうたわれたこの民話から歴史を知り、次の世代へ受け継いでくれれば」と展望を期待した。
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■「お屋敷になったクジラ」視聴方法
作品「お屋敷になったクジラ」は先行して同協会の公式動画チャンネル「くしもと珍魚ちゃんねる」で同日午後1時から公開を開始。同チャンネルは同協会公式ホームページにあるリンクや前述したコードを使って開くこともできる。
同プロジェクト実行委員会と同町の架け橋となっている株式会社テレビ和歌山は、一連の様子も含めて番組を制作し作品と合わせて3月中の放送を目指すほか、最寄りの道の駅へも上映の相談をする予定という。
(2021年2月19日付紙面より)
佐野会館にサーマルカメラなど設置 (新宮市佐野区 )
「区民が安心して住めることが一番大事」―。新宮市の佐野区(前田道春区長)では、新型コロナウイルス感染症対策として12日、佐野会館に自立スタンド型測定センサー「サーマルカメラ」とドア取り付け型測定センサー「サーモゲート」を設置。利用者や区民が安心して会館を使用することができるための取り組みが進められている。
今年に入り、新宮保健所管内で新たに感染者が確認された新型コロナウイルス。コロナの影響で昨年は半分以下となったものの、年間で2万人以上の使用実績があるほど利用者が多い同会館。同区はそういった会館の現状やコロナの情勢を鑑み、地域住民の不安を払拭(ふっしょく)するために設置を決定した。
この日は会館入り口にサーマルカメラ1器、会議室や多目的室、大広間などの入り口にサーモゲート4器を取り付けた。サーマルカメラは新宮市庁舎などに設置されているものと同タイプで、37・5度以上を検知した場合、アラーム音で通知される。また、マスクを着用しないと検温することができない仕様となっている。
利用者は会館や会議室入り口で人手を介さずに発熱の有無を素早く検査することができるほか、各部屋ごとに一度に多くの利用がある場合にも迅速に対応でき、また会館入り口での測定検温忘れの人にも対応することが可能となる。設置後には早速サーマルカメラで検温する会館利用者の姿があり「便利でいい」「すぐに検温できる」などと感想を口にしていた。会館では他にも、自動アルコール噴霧器を設置し、会館使用に当たって検温・消毒や許可書の提出を義務付けるなどの対策を講じているという。
新型コロナが国内にまん延し、全国的に緊急事態宣言が発出された昨年の4~5月。同区では「区として、区民のために何ができるか」を協議し、当時入手が困難だったマスクや消毒液の確保に奔走。区民の不安を少しでも和らげようと、区加入の約1200世帯と賛助区民に配布した。
前田区長は「寄付金や熊本地震被災地への義援金など、区民はいろいろなことに協力してくれている。日頃の協力に対して少しでも還元することができれば」と思いを語り「区民や佐野会館を利用する人に『同会館はコロナ対策を十分にしている』と安心して利用していただければ」と話していた。
(2021年2月14日付紙面より)
新宮市議会総務建設委員会
新宮市議会の総務建設委員会(福田讓委員長、7人)が12日、市役所であった。各担当部からの所管事務報告が行われたほか、市が行うプレミアム付共通商品券や国の第3次補正予算案などについて議論が交わされた。
報告では熊野川行政局から空気清浄機購入に関する入札の内容が、消防本部からは令和2年1月から12月までの管内の災害出動状況や昨年12月にあけぼの地区で発生した火災の詳細が、水道事業所からは令和2年度の入札、企画調整課からは熊野川町のデマンドタクシーについて報告があった。
商工観光課は12月に国際交流員の任用を開始したことや、和歌山大学と高田中学校がオンライン交流会を実施したこと、プレミアム付共通商品券の経過について説明した。
委員は、使用期限が迫る1月末時点でプレミアム付共通商品券の販売率が約60%であることに触れ、どの業種で使用され、期間の延長ができるのかを質問した。
当局は「新型コロナウイルス感染症の交付金のため、今年度内での完了となっている。現在は考えていない」とし、市商工会議所からの速報値では飲食店が20%、日用品や食料品で20%であると答弁した。
委員は、商品券の発行は店舗側が喜んでいると評価するとともに、紛失した際の再発行についても提案した。
また、国の第3次補正予算案の交付金額の約2億6600万円にも触れ「安全対策などの支援策もしっかりやっていただきたい」と言及した。
そのほか、委員は▽舗装に関する入札について、公正な競争入札が必要▽串本町で発射予定のロケットをクルーズ船で楽しむ商品開発▽感染症対策室の利用状況▽選挙投票率の低迷対策として移動期日前投票―などについて問うた。
(2021年2月14日付紙面より)
1年生が「地域を学ぶ」発表会 (矢渕中 )
紀宝町立矢渕中学校(竹原巧校長)の1年生74人は9日、同校体育館で「地域を学ぶ」の発表会に挑んだ。7グループが昨年12月から町内の名所や歴史などを調べた成果を披露した。
これまで、1年生は町学校支援本部「元気キッズ」の協力を得て「地域に学ぶ」の授業で、地区住民から生け花、手話、陶芸、書道、茶道、地域の踊りなどを学んできた。
本年度は新型コロナウイルスの影響で中止となり、自ら学習する「地域を学ぶ」に切り替えた。1年生はフィールドワークで町内の神社や海岸、観光施設などを訪れ、魅力を発見した。
この日は、学習のまとめの場で、バスツアーや神社、特産品、ジオサイト、町の変遷、古文書を調べた各グループが発表した。バスツアーを企画したグループは、朝日が見える井田海岸を出発し、ウミガメ公園、鵜殿城跡、神内神社、田代公園、京城跡(みやこのじょうせき)、大里親水公園、三反帆(さんだんぼ)、飛雪の滝といった町内の名所を巡るコースを提案した。
烏止野(うどの)神社、貴祢谷(きねがだに)神社、中村神社を調べたグループは「烏止野神社を調べて思ったことは、いろいろな祭りがあって面白かった。最初は漢字すら知らなかったけど、調べてみるとちゃんとした由来があって地元のことについて知ることができた」と伝えた。
(2021年2月14日付紙面より)