新宮高校で防災スクール
新宮市の県立新宮高校(東啓史校長)で24日、県教育委員会主催の「高校生防災スクール」が開かれた。1年生192人が講義や訓練を通じ、地震発生時の電車からの脱出方法や被災時に役立つ知識を学んだ。
和歌山県教育委員会主催の「県高校生防災スクール」の一環。高校生の防災意識を高め、地域防災のリーダーとして災害時に活動できるような生徒の育成を目的に、毎年1年生を対象に実施している。この日は新宮消防本部、自衛隊和歌山地方協力本部新宮地域事務所、JR西日本が協力した。
開校に当たり、新宮駅の坂本純一駅長は「電車の中で地震が起こったとき、『揺れが収まったから大丈夫』ではなく、次に何をしたらいいのかイメージを持ち、行動に移せるようになってほしい」とあいさつした。
JR西日本による講義では、津波避難三原則(想定にとらわれない、最善を尽くす、率先避難者たれ)を確認し、電車内から緊急脱出するための非常用ドアコックの操作法や各ドア付近に設置されているはしごの使い方を解説。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本年度は車両からの脱出訓練は行わなかった。
防災体験では、クラスごとに心肺蘇生法や傷病者の搬送法の講習、土のう積み、ロープワーク、起震車体験などを通じ、さまざまな災害時に役立つ知識を学んだ。
自衛隊員によるライフハック講習を受けた宮上伯都(はくと)君は「災害発生後に数少ない物で明かりを作ったり、食器を何回も使えるようにしたりする方法を教わった。どれも簡単にできることで、とっさのときにも行動できそう」と話していた。
(2021年11月27日付紙面より)
文化セで本年度人権講演 (串本町 )
串本町の本年度人権講演会「LGBTトーク&コンサート」が24日夜に文化センターであり、233人(主催者発表)がシンガー・ソングライターの悠以さんと共に人権意識を高める機会を持った。
町人権委員会(西野政和会長)が人権を考える強調月間(11月11日~12月10日)などに合わせて趣旨の裾野を広げる場として例年計画している同講演会。新型コロナウイルスの影響で前年度は中止したため、今回は2年ぶりの実施となった。
始めるに当たり西野会長は、国連が採択したSDGs(エスディージーズ=持続可能な開発目標)の概要と日本の取り組みの現状や今年の日本のジェンダーギャップ指数が156カ国中120位という状況などをこの機に課題提起。今回の講演から学びを得ることを求めて聴講を促し、講師の悠以さんを迎えた。
悠以さんは「自分らしく生きる」という演題の下で登壇。社会の中にLGBTがいることと大半の人が生まれついた性別で生きていることの2点に目を向けて性の多様性を考えてほしいと希望し、性同一性障害と向き合う自身の自分らしさ実現の歩みや母など周囲の支えを語りつづった。
終盤では歌唱も披露して来場者に自身の存在を印象付け。同委員会の山本ちづき副会長が音楽を交えて考える機会を来場者へ託してくれたことへの感謝を悠以さんに伝え、会を締めくくった。
(2021年11月27日付紙面より)
新宮市で今年最後の清掃活動 (たばこ組合紀南支部 )
和歌山県たばこ商業組合紀南支部(塩崎伸一支部長)は25日、新宮市役所周辺で今年最後となる清掃活動を実施した。会員16人が参加し、新型コロナウイルス感染対策を施しながらごみ拾いに取り組んだ。
同組合女性部(大谷敏子部長)を中心に、たばこのポイ捨て禁止や未成年者の喫煙防止などの呼び掛けを目的に活動しており、清掃は1997年度から開始。今年で24年目を迎え、年間25回ほどのペースで行われている。
到着した会員はそろいのチョッキを身に着け、市役所から駅へとのぼりを掲げながら紙くずや吸い殻などのごみを拾い、汗を流した。
大谷部長は「以前に比べるとたばこのポイ捨てやごみも少なく、地域の皆さんのマナーが良いことを実感しました。しかし、ゼロにすることは非常に難しい。来年も引き続き地道な活動を続けて周知し、地域全体で町をきれいにする意識を深めてもらえれば」と話していた。
次回は来年1月20日(木)に、道の駅なち周辺で清掃活動を予定している。
(2021年11月27日付紙面より)
新宮市民スポ祭硬式テニス
東牟婁スポ少交流大会バレーボール
自治会連合会が要望書提出 (新宮市 )
新宮市自治会連合会の榎本義清会長、西孝・貞宗孝史両副会長は24日、市役所を訪れ、田岡実千年市長と榎本鉄也議長に市立医療センター産婦人科常勤医師の早急な確保などを求める要望書を提出した。要望書を受け取った田岡市長は「一丸となって医師の確保に努めたい」と返答した。
地域の中核病院として、年間約300件の分娩(ぶんべん)を行ってきた市立医療センター産婦人科。常勤医師2人のうち1人が退職することが決定したことに伴い、「後任の医師が確定していない状況下では、安全で安心な医療の提供が担保できない」といった理由から、来年3月1日(火)以降の分娩予約休止を発表している。
要望書はそういった不測の事態に対し、早急な状況打開と必要とする医療の確実かつ持続的、効率的提供を求めるもの。
榎本会長は「地域の産婦人科医療の拠点病院としてなくてはならない医療機関。子どもを産める環境がなくなってしまえば、広範な地域の市民生活に大きな影響を及ぼすだけではなく、人口減に歯止めがかからなくなってしまう。分娩予約休止の事態は単に妊産婦だけの問題ではなく、この地域に住む住民の共通する問題である」と要望書の概要を説明。「常勤医師を早急に確保し、来年3月以降の分娩予約を早急に開始」するよう求めた。
さらに、榎本会長は「分娩予約の休止は市民として到底のむことはできない。医師確保に向けた尽力は重々承知しているが市民の生命に関わること。緊急課題として全庁挙げて取り組んでほしい」と伝えるとともに、協働する意志も見せた。なお、常勤医師は指導員の立場として、10年以上の経験を有することが条件になるという。
要望を受け、田岡市長は「事態を重く受け止めている。近隣町長も動いてくれている。地元選出の国会議員の方々の力もお借りし、あらゆる手を尽くしたい」と話した。
(2021年11月26日付紙面より)
田原川河口域などで海霧 (串本町 )
串本町田原でいよいよ、まちの冬の風物詩ともなっている海霧が見られるようになった。
町の観光カレンダーに登場することも多い海霧は、夜半から未明まで夜空が晴れ渡り風も弱く冷え込みが増す明け方に起こることが多い「神出鬼没」の自然現象。見られる場所はもっぱら河口域で、とりわけ田原川の河口域は国道42号沿いから見て東方向を眺める形となり朝日に照らされて輝き浮かぶ光景の荘厳さで撮影愛好家の定評を集めるところともなっている。
25日は東のかなたに雲がたなびき朝日が出るまで少し時間がかかったが、雲を越えて陽光が届き始めると海霧も灰色から一転して黄金色の輝きを増し明け方独特の群青色の海を覆い隠した。
スペースポート紀伊前の国道温度計が示していた午前7時前の気温は5度。今はシーズンインの時期で立ち上がる勢いはまだ鈍かったが、この日は河口域一帯を覆い尽くすほどに広がりを見せていた。町内ではこの日、田原川のほか古座川の河口域(九龍島=くろしま=前)でも同様に勢いは鈍いものの海霧が広く立ち上がる光景が見られた。
(2021年11月26日付紙面より)
烏止野神社、神内神社で例大祭 (紀宝町 )
紀宝町鵜殿の烏止野(うどの)神社(田中安弘宮司)と神内の神内神社(宮地秀直宮司)で23日、秋季例大祭があった。例年、例大祭に合わせて鵜殿地区は「うどのまつり」、神内地区は「神内まつり」を開催し、祭り一色に染まる。今年は昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で両地区とも中止としたが、例大祭は厳かに営まれた。
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烏止野神社では、五穀の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)と例大祭が営まれた。熊野水軍子供太鼓が演奏奉納した後、神社関係者ら少人数が参列し、田中宮司によって神事が進められた。
浦安の舞は、いずれも鵜殿小学校5年の井上琴音さん、長田結衣さん、芝鼻美唯菜さん、畑彩花さんが奉納。地域の平和や心の安寧を願い、境内に大輪の花を咲かせた。
神社総代会の中道渉会長は「境内には地区住民も集まってくれた。来年は餅ほりも再開したい」と述べ、新型コロナの早期終結と再び神社境内が地区の人たちであふれるにぎわいを祈念した。
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神内神社の例大祭には、下澤深総代会長、川原田規泰区長、浅田和江町議会議員、老人クラブ「福寿会」の瀧之上勝会長らが参列した。
宮地宮司による神事が執り行われ、満19~77歳の12人が厄払いを受けた。神事後、宮地宮司は干支(えと)や還暦の意味を伝え、「昨年、今年は新型コロナウイルスの心配事が多い年だったが、来年こそは明るい年になってほしい。神様は皆さんのことを見て下さっている。コロナや風邪に負けず、元気に過ごしてほしい」と述べた。
(2021年11月26日付紙面より)
那智勝浦町立下里中学校(布引伸幸校長)で22日、県による出張減災教室が開かれた。3年生32人が4グループで「きいちゃんの災害避難ゲーム」に取り組み、津波からの避難や避難所運営について考えた。
「きいちゃんの災害避難ゲーム」は津波による犠牲者ゼロを目指し、災害時の迅速な避難行動や円滑な避難所運営について実践的に学べる防災学習ツールとして、今年3月に発表された。
ゲームの「津波から逃げきろう」編は、南海トラフ地震(M8・7)が発生し、津波が来るまでの30分以内に安全な場所へ逃げなければならない状況を想定。1回目、プレーヤーは事前準備をせず、家の中の必要そうな物をかき集めて町中を逃げるという設定で実施。津波から逃げ切れたのは1グループのみだった。
2回目は、事前に非常用持ち出し袋の準備や、訓練による避難場所の確認を実施している前提でゲームをし、状況を判断しながら全員が生き延びることができた。
この日は「避難所を運営しよう」編も実施。ライフラインが途絶えた小学校で避難所運営を担う立場になり、さまざまな問題が起こる中でどのような判断を下すかを考えた。
宮井聡子さんは「『地震後に家のブレーカーを落としていなくて火災が発生』などのことが次々に起こり、たくさんの状況を想定しておく必要があると感じた」。谷唯央(いお)君は「防災バッグの準備やブロック塀の補修、家具固定、住宅の耐震化などの事前準備をしておくことで、スムーズに逃げられることが分かった」と話していた。
(2021年11月26日付紙面より)
後誠介さんが本を出版 (那智勝浦町 )
「熊野からの目線で熊野を描きたいと思っていた。熊野の魅力発信につながればありがたい」。そう語るのは那智勝浦町在住で和歌山大学客員教授、南紀熊野ジオパーク推進協議会学術専門委員を務める後誠介さんだ。後さんは10日、はる書房から「熊野謎解きめぐり 大地がつくりだした聖地」を出版した。
これまで本紙などで地質に関する記事などを発表してきた後さん。その軌跡を残すことで、熊野の魅力発信につながると考え、今回の出版に至ったという。
書籍化する上で「自身の伝えたいことのみを情報発信する」のではなく、「熊野から離れて暮らす人や訪れたことが無い人にも熊野に触れてもらえる」ことを注意し、昨年末から進めてきた。
本はA5判並製の120㌻カラー(ISBN978―4―89984―198―2)。税込み1430円。3章立てで、「謎解きめぐり」として展開。世界遺産や変化に富んだ海岸線を含め、大地の成り立ち深くつながる熊野の魅力をくまなく伝える内容となっている。
第1章「熊野の霊場」では熊野の霊場や那智大滝(なちのおおたき)の成り立ちなどを解説。第2章「熊野の古道」は新宮市の高野坂や古道で見つかる貝化石などに触れ、第3章「熊野の大地のめぐみ」では、地形を生かした集落や棚田、古式捕鯨を生んだ海岸地形などにスポットを当てた。
地名を省略せずに表記し、子どもが手に取りやすいようにふりがなに対応。ユニバーサルデザインにこだわったほか、Q&A方式を採用。写真や見出し、コラム、イラストでその事柄がイメージできる工夫も行った。
本の構成について提案や助言を行った同町在住の新聞記者・須川達也さんと、キャラクターやマップ、イラストを描いた新宮市在住のアーティスト・平野薫禮(ぐれ)さんに対し、「お二人のおかげで本を完成することができた」と感謝。
後さんは「歴史と文化がつながり、色濃く残る熊野が詰まった一冊となった。ジオパークガイドや観光ガイド、語り部の方々にも読んでいただきたい。それによって、多くの人々に熊野の魅力が広がると思う。そうなれば幸いです」と語った。
本は東京や大阪をはじめ、和歌山県内の各書店で販売しているほか、通販サイトのアマゾンでも購入できる。
(2021年11月18日付紙面より)
西山修司さんが旧チャップマン邸で講話 (新宮市 )
新宮市丹鶴の旧チャップマン邸で14日、「紀の国わかやま文化祭2021」地域文化発信事業「和歌山の文化の今昔~熊野古道と近代建築~」があった。建築史家の西山修司さんが講話。聴講者らは西村伊作(1884~1963年)や近代建築への学びを深めた。
世界遺産に登録されるためには文化財に登録されている必要がある。事業は、地域にある近代建築物を活用し、それぞれの地域の話題をテーマに地元の人などを講師に迎えて実施することで、近代建築物含む文化財の掘り起こしと保全・活用する機会を考えるとともに多様な人々が交流を図り、また世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録箇所の拡大に向けた追加登録への機運を高めることなどを目的に実施。県内各所で講演会やフィールドワークなどが展開されている。
「大辺路沿いに残る近代建築と西村伊作について」を題目に開催された旧チャップマン邸では、主催者を代表して県世界遺産マスターで「熊野古道」を世界遺産に登録するプロジェクト準備会の小野田真弓さんがあいさつした。
西山さんは「世界遺産はもちろん大切だが、広範囲にマイナーなものも大切にして地域の魅力をレベルアップさせることが必要。歴史的な建物は地域づくりに役立てるべき」と思いを語った。
「近代建築は幕末から戦前までの洋風建築」と定義し、近代建築、近代和風建築、近代化遺産の違いなど、近代建築の基礎知識について説明。
田辺市の「赤別荘」、「旧田辺市警察署」(現在はレストランとして使用)、串本町の「樫野埼灯台」、古座川町の「互盟社」、那智勝浦町の「懸泉堂」、伊作が設計した「日本基督教団紀南教会」、「那智勝浦港郵便局(旧大同銀行那智勝浦支店)」、新宮市の「三輪崎青年会館」、「旧西村家住宅」など、大辺路沿いに残る近代建築を紹介し「貴重な建築物を残してくためには地域の人が声を上げていくことが必要」と訴えた。
西山さんは「大正時代にグローバルな視点が広まり、公的な部分は洋風化が進んだが私的な部分は昔のままだった」と解説し、伊作について「『これから世界に生きる日本人の私生活はどうあるべきか』を考え、教育や新しい住まいの在り方を訴えた」などと説明した。
(2021年11月18日付紙面より)
太田小児童ら海の教室で (串本町 )
串本町内で15日に国土交通省など主催の海の教室があり、那智勝浦町立太田小学校(上地巳奈子校長、児童20人)が参加して海の仕事を教わり、串本の海とそれにまつわる灯台や日本とトルコの友好を学ぶなどした。
この教室は、同省勝浦海事事務所と紀南海運協会、近畿海事広報協会が連携し、青少年の海に対する関心を高める目的で毎年実施。本年度は下里小、宇久井小、熊野川小、太田小の4校を対象にして順次開かれた。
うち前3校は那智勝浦町・太地町コース(県漁連勝浦市場~紀の松島めぐり~太地町立くじらの博物館)を巡りつつ、同事務所による海の仕事講座を受講して海への関心を培った。
実施最終となった太田小は串本町コースでの参加を希望し、串本海中公園センターで同事務所の名越正典次長ら職員と合流。職員の大薮晃介さんによる同講座を受講し、知っている船の種類をみんなで思い出した後、海に囲まれた国・日本の暮らしを支える船の仕事(=海運業)に注目し国内流通で約半分、海外流通に至っては99・7%(いずれも重量換算)もの物資が船を使って運ばれていることやそのおかげでみんなの生活が成り立っていることなどを教わった。
以降は海の体験で、午前中は同センターで半潜水型海中観光船や海中展望塔越しに日本最初の海中公園(現・海域公園)の一つに選ばれた串本の海をじかに観察。同センター水族館が飼育している串本の海の主な生き物やバックヤードも見学して、身近にある海で成り立っている豊かな自然への理解を深めた。
昼食休憩を経て、午後は樫野へ移動。田辺海上保安部の協力で船舶の安全な航行を促す樫野埼灯台を内部も含めて見学し、同部からのサプライズ企画で巡視艇むろづきによる運航演示も見学。トルコ記念館でトルコ軍艦エルトゥールル号遭難事件や後に深まる日本とトルコの友好史の一端などにも触れたという。
(2021年11月18日付紙面より)
新宮市立医療センター
新宮市立医療センターは、令和4年3月1日(火)から、同院産婦人科において分娩予約を休止すると発表した。休止期間は新たに体制整備ができるまでの間。
地域の中核病院として、年間約300件の分娩を行ってきた同院産婦人科。分娩予約の休止は常勤医師2人のうち1人が退職することが決定したことに伴うもの。現在、県、病院、市当局、市議会では、全力で医師の確保に努めているが、現段階で後任の医師の確保が困難な状況にあるという。
同院は、引き続き産婦人科医師の確保に努めていくとし、「後任の医師が確定していない状況下では、安全で安心な医療の提供が担保できず、苦渋の決断。地域住民の皆さまには大変ご迷惑、ご心配をお掛けいたしますこと、ご理解賜りますようお願い申し上げます」とコメントを寄せている。
(2021年11月18日付紙面より)
全国少年少女レスリング選手権大会 (新宮ジュニアレスリングクラブ )
ガールズサッカーフェスティバル
男子団体は近畿大会出場権を獲得 (新宮高校弓道部 )
地元住民が今後の展望聞く (那智勝浦町 )
那智勝浦町は12日、串本町に建設中の民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」から発射される小型ロケットの見学場となる那智勝浦町浦神の旧浦神小学校で見学会を開いた。整備を進めている旧小学校に地元住民ら61人が集まり、堀順一郎町長がロケットの詳細について説明した。
同発射場はキヤノン電子や清水建設など4社でつくる「スペースワン株式会社」が運営し、超小型衛星の「宇宙宅配便」事業を行うもの。旧小学校はロケット射点から1・6㌔と近く、串本町の田原海水浴場とともにプレミアム公式見学場となっている。
那智勝浦町によると、旧小学校の収容人数は旧校舎屋上とグラウンドなどを合わせて2500人を予定。屋上は全体で約650平方㍍あり、500人が見学可能としている。
このうち、本年度に整備を行ったのは約270平方㍍。100人の見学者を見込んでいるが、いすやテーブルを設置する可能性もあり減少する可能性もあるという。初号機打ち上げ時の状況を見た上で見学スペースの拡大を検討するとした。
整備内容は消防法に準じ、教室への出入りを止める壁の設置や、屋上の床面の洗浄と一部補修、旧小学校から漁協敷地内へ渡ることのできる避難路新設などを実施した。事業費は202万2900円。
また、発射の瞬間は旧小学校からは見えないため、様子を映し出すモニターを2カ所に設置する。発射の際は敷地内などの駐停車禁止や予約制を取り、バスによる送迎を予定している。
堀町長は「第1弾の整備が終了した。本州でロケットの発射を間近でゆったりと見られる場所はない。観光商品はまだ完成していないが、本町への宿泊客や観光客の増加も視野に入れている。関連産業の誘致にも尽力したい」。
今後については「浦神はポテンシャルがある。ロケットに加え、新たな事業が展開されることを期待している」と話した。
見学に訪れていた同町浦神の塩地征子さんと芝さわみさんは「浦神でロケットが見られるのは楽しみ。地域が活気づいてくれるのはうれしい。本当にありがたいこと」と笑顔で話していた。
(2021年11月14日付紙面より)
「リレースクエア」オープン (新宮高校 )
今年創立120周年を迎えた新宮市の県立新宮高校(東啓史校長、生徒541人)で6日、記念式典に合わせて食堂施設をリフォームした「リレースクエア」のオープニングセレモニーが開かれた。デザインに携わった生徒や同校創立120周年記念事業実行委員会のメンバーがテープカットを行い、今後の活用に期待を込めた。
同校では今年4月、生徒有志による食堂のリニューアルプロジェクト(進藤友華代表)が始動。全校生徒のニーズを取り入れ、生徒主体で築47年の食堂や周辺スペースの空間デザインを行った。
コンセプトは「Relay(リレー)~人から人へ伝統が受け継がれる空間~」。食堂中央には校訓「質実剛健」を象徴するナギの木のシンボルツリーを配し、プロジェクターなどを設置した多目的の空間であることから、名称を「Square(広場)」に。同校の前身である旧制新宮中学校の正門と歌碑を移設した屋外の公園スペースには、「新中テラス」と名前を付けた。
セレモニーでは新中会の夏山晃一会長が「天井やシンボルツリーなどは全て生徒たちがデザインした。大変なこともあったと思うが、高校時代の良い思い出づくりになったのでは」とあいさつ。
小阪輝大生徒会長は「生徒の思いを形にしていただき、ありがとうございました。大切に使わせていただきます」と述べ、プロジェクトリーダーの進藤さんと共に笑顔で感謝を伝えていた。
(2021年11月14日付紙面より)
工場移転へ「この地で続けたい」 (御浜町 )
100年以上前から御浜町下市木で親しまれてきた「市木木綿」。最盛期には45軒ほどの織元があったが、今は熊野市木本町の向井浩高さん(53)ただ一人になっている。最後の職人から技術を継承して16年。借りていた工場を明け渡すことになり、「この市木の土地で続けていきたい」と移転先を探している。
市木木綿は明治時代、旧市木村で農業の副業として発展した。大量生産の現代は、双糸と呼ばれる2本を編んだ糸を使うのが主流だが、市木木綿は1本だけの単糸で織る。引っ張ると簡単に切れるため扱いにくいが、通気性が良く、柔らかな風合いに仕上がる。
布団店3代目の向井さんは、カラフルなしま柄の市木木綿にほれ込み、織元から仕入れて布団や座布団を作っていた。2005年、最後の職人で友人の父親の大畑弘さんが工場を閉めると聞き、継承していくことを決意。長く使われてきた織機が並ぶ工場を借り、大畑さんから技術を学んだ。
さまざまな色を使いながら落ち着いた雰囲気の市木木綿は若い人にも好評で、これまで織られてきたデザインに向井さんの個性も加え、新しい魅力を打ち出す。今は地元の小中学校の授業にも積極的に協力し、市木木綿の価値を地域内外に伝えている。
工場は明け渡すことになったが、機械は移転先でも使わせてもらう予定で、「ここまでやらせてもらって感謝している」。自宅と店舗の近くに移せば効率も良くなるが、伊良子清白(1877~1946年)が詠んだ詩や、地域に残る庚申(こうしん)の伝説など「市木木綿と、それに関わる文化がある。市木で続けるからこそ意味がある」と考える。
まだ移転先は決まっていないが、いくつかの候補は見つかっており、向井さんは「自分の代で終わらせるのでなく、次の世代に残していく場所をつくりたい。この技術をまた継承していきたい」と見据えている。
(2021年11月14日付紙面より)
「和傘の灯り2021」 (新宮YEG )
コロナ禍で閉鎖的になっている気持ちを和らげてもらおうと新宮商工会議所青年部(新宮YEG、向井康博会長)の「和傘の灯(あか)り2021~人と場所、未来へ想(おも)いを繋(つな)ぐ~」が10日、新宮市の旧西村家住宅(西村伊作記念館)や徐福公園、新宮城跡公園入り口の3カ所で始まった。今回は旧西村家住宅で外壁に映像を投影するプロジェクションマッピングも行われ、来場者の目を楽しませていた。午後5時30分から9時(最終日は8時)、14日(日)まで。
市内3カ所で開催することで、各商店街を歩いてもらうきっかけをつくるとともに、市内で秋の夜を楽しんでもらう目的。
市内の文化財に目を向けてもらうことで文化的背景や歴史を広く発信し、歴史・文化への理解を深める狙いもある。過去にも新宮城跡公園で2回開催しており、昨年は旧西村家住宅で実施した。
この日、旧西村家住宅では親子連れなども多く訪れ、「かっこいい。もっと見たい」「きれいやね」と、スマートフォンなどで、和傘やプロジェクションマッピングを撮影する姿も見られた。
向井会長は「新型コロナウイルスも少し落ち着いてきた。皆さまに外に出てほしいという思いから今回、初の試みにも取り組ませていただいた。終息を願うとともに、今後も皆さまと新宮市を元気にしていきたい」と語った。
「和傘の灯り2021 フォトコンテスト」も同時開催しており、和傘の写真を撮影して「#バイローカル新宮」を付けてインスタグラムに投稿すると、バイローカル参加店舗の中から景品が当たる。
(2021年11月12日付紙面より)
中里いきいきサロン (那智勝浦町 )
那智勝浦町の中里会館で8日、中里いきいきサロン(岡本美智子代表)があった。一般社団法人和歌山県歯科衛生士会のメンバーで新宮市在住の歯科衛生士・玉置浩美さんが講師を務め、口の中の機能が低下する口腔(こうくう)機能低下症の詳細や予防のための運動を解説し、14人の会員は楽しみながら学びを深めた。
玉置さんは「口の中が乾きやすくなったか」「食べ物がかみづらい」「食べ物が飲み込みにくくなった」「口の中に食べ物が残ってしまう」「むせやすくなった」などの症状は、口の中の機能が低下したことなどが原因だと述べた。数点該当する場合は口腔機能低下症であるとし、症状が進行すると、食欲や心身機能の低下につながると話した。
防止対策として、歯磨きや舌の表面にある舌苔(ぜったい)の磨き方、入れ歯の手入れと管理方法、就寝前や起床後に行えば効果的なうがいなどについて説明。また、歯磨きのみでは口腔内を完全に清潔にできないとし、歯間をきれいにするデンタルフロスや液体歯磨き(デンタルリンス)などの活用も提案した。
唾液については、消化や粘膜の保護、洗浄、殺菌、緩衝、再石灰化などの作用があるとし、これによって口腔内が守られているとその重要性を解説した。
唇や舌に力を入れる「パ・タ・カ・ラ」の発声練習や、口の開閉、舌を動かす、唾液腺のマッサージなど「歯あわせ体操」にも取り組んだ。
会員らは「その用具はスーパーで購入できるか」「歯磨きは3食3度のほうが良いか」などの質問が上がり、玉置さんは「スーパーや薬局で手に入る物もある。歯磨きはできるなら、3度してもらう習慣を付けたほうがいい」と回答した。
玉置さんは「悪い所がなくても、予防や相談で歯医者を利用してほしい。歯医者との距離を縮めることで生活の改善にもつながると思います」と締めくくった。
岡本代表は「皆さんに多くの学びがあったと思う。今日習った体操などは毎日の生活やサロンごとに実施して、恒例にしていきたい」と語った。
(2021年11月12日付紙面より)
紀の国わかやま文化祭行事 (古座川町 )
古座川町中央公民館で7、8日に紀の国わかやま文化祭2021関係行事「古座川せせらぎ秋のコンサートウイーク」があり、2日間計で80人が来場し音楽を楽しみながら同文化祭の趣旨を実感する機会を得た。
同館リニューアル後の1階ロビー(住民交流を前提とするフリースペース)活用モデル策として定着している企画「古座川せせらぎミニコンサート」をベースにして同文化祭古座川町実行委員会が計画。いつも以上の来場を見越して舞台を大集会室へと変更し、同文化祭の趣旨に沿って7日に常連の「The JANK」、8日に初参加の「みぞやんず」が出演することを事前発表し、入場無料、子どもも大歓迎で来場を呼び掛けた。
初参加のみぞやんずは全盲のボーカリスト・溝本和彦さんがリーダーを務める軽音楽ユニット。新宮市熊野川町にある社会福祉法人美熊野福祉会障害者支援施設「杉の郷」から活動の輪を広げていて、同町初進出ともなった今回は歌謡や演歌、童謡など幅広い世代で親しめる歌唱を中心に披露し、時に手振りや合唱による共演も誘うなどして和やかに音楽を楽しむバリアフリーのひとときを来場者と共有した。
同実行委員会は6~8日に同館1階ロビーで障害者芸術作品展を開き、つばさ福祉会施設「エコ工房四季」と県福祉事業団施設「東牟婁生活総合支援センターふわり」の各利用者作品を紹介。同イベントの実施に当たり代表して教育委員会教育課の洞内宏文課長が国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭を合わせたものが現在県内で開かれている紀の国わかやま文化祭2021(10月30日~11月21日)であるなど、実施の趣旨を来場者に伝えて同文化祭参加の実感を促した。
(2021年11月12日付紙面より)
新宮ユネスコ協会 (新宮市 )
「世界平和記念日」の11日、新宮ユネスコ協会(中谷剛会長)は新宮市薬師町の瑞泉寺(穴沢丈彦(あなざわ・じょうげん)住職)で「平和の鐘」を鳴らし、世界平和を祈願した。
1918(大正7)年11月11日は第1次世界大戦が終結した日。ヨーロッパ各国では祝日に制定されたり、戦没者追悼式典などが営まれたりするなど、重要な日とされている。
7年目の取り組みとなった「平和の鐘」では、8人の会員らが午前11時から順番に鐘を突き、手を合わせた。
穴沢住職は「技術の発展とともに心も広く伸びないと物の使い方を間違えてしまう。本日は平和への祈念を心にともしていただけましたら」とあいさつ。
中谷会長は鐘を鳴らすことには時間や危機を知らせるなどの意味があるとした上で「紛争なども含め、世界は現在、危機的な状況にあると思う。リアリスティックな政治の意味での戦争と平和ではなく、精神や心の中での平和の願いを込めて鐘を鳴らさせていただいた」。
今後については「定期的に実施していくことで、平和を強く願っている人がいることを、多くの人に知っていただければありがたい」と話していた。
なお、今月6、7日には、仲之町商店街のサンタウンホールで同協会の会員による写真展も開催された。
(2021年11月12日付紙面より)