「銀河」受入協議会を設立 ( )
JR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」(以下「銀河」)が、今年7月から秋にかけて京都―新宮間を運行する。「銀河」の乗客を受け入れる体制を整えるため、和歌山県と1市5町1村で構成される受入協議会が設立。25日、市役所別館で設立総会および第1回総会を開催した。事業計画や収支予算などが承認された。
「銀河」の受け入れにおいて、構成団体の情報の共有を図り、乗客に対する満足度の高いおもてなしを通じて、当地域への継続的な運行を確保し、将来にわたって地域振興・経済の活性化などに寄与することを目的に設立。新宮市、すさみ町、那智勝浦町、太地町、古座川町、北山村、串本町、県で構成されJR西日本和歌山支社がオブザーバーを務める。
目的達成のために▽「銀河」受け入れのための情報収集および情報共有▽「銀河」を活用した誘客対策▽その他、協議会の目的を達成するために必要な事項―の事業を行う。
2021年度においては停車駅でのおもてなしや列車内イベント実施など「銀河」の乗客を受け入れる体制を整え、関係団体と協力し、当地域のPRを積極的に行い、誘客・周遊を促進していく。また、地域住民の機運醸成やJR西日本に働き掛けを行い、「銀河」の継続的な運行を要望していく。
「銀河」紀南パスポートやスタンプラリーなどの「地域内周遊事業」、イベント出展などの「情報発信事業」、ノベルティ作成などの「おもてなし事業」、駅や車内で物産販売を行うなどの「地域活性化事業」を展開していく予定。
役員には、会長に田岡実千年・新宮市長、副会長に田嶋勝正・串本町長、監事に堀順一郎・那智勝浦町長、井口好晴・東牟婁振興局長が選出された。
協議会設立に当たり、田岡市長は「列車の運行はコロナ禍で落ち込む地元事業者にも良い影響を与えるものと大いに期待している」。田嶋町長は「銀河で訪れた人に再訪いただくためにどうすればいいか、そこに力を傾注していかなければ」とそれぞれあいさつ。
JR西日本和歌山支社の冨本直樹支社長は「銀河をきっかけに紀南地方の素晴らしさを実感し、何度もこの地域にお越しいただけるようなきっかけづくりに貢献していきたい」と力を込めた。
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■WEST EXPRESS 銀河
観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJRが運行する長距離列車。車両は117系6両1編成。定員は90人程度で全車指定席。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置。
シンプルながら高い快適性と落ち着いた車内空間を提供するとともに、車窓から沿線の風景を楽しめるような座席配置となっている。
(2021年3月27日付紙面より)
温泉むすめと駅メモがコラボ (那智勝浦町 )
株式会社モバイルファクトリー=東京都=が配信するアプリの位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!」「駅メモ! Our Rails」が9日より、株式会社エンバウンド=東京都=が展開する人気コンテンツ「温泉むすめ」とコラボレーションを開始した。その中で南紀勝浦温泉の「南紀勝浦 樹紀(きき)ちゃん」が和歌山県で唯一の参加となった。
同ゲームはスマートフォンのGPSを使い全国各地の鉄道駅を訪問し、鉄道をモチーフにしたキャラクター(通称でんこ)を集めながら、他のプレイヤーと競い合うもの。「おでかけ記録」や「称号集め」なども簡単操作で楽しめるという。
温泉むすめは全国の温泉地をキャラクター化し、知的財産(キャラクターIP)を通して、日本各地の温泉地や地方都市の魅力を国内外に発信することが目的。観光庁の後援も受けている。
今回、「でんこ」として登場する温泉むすめは各温泉地において観光大使や温泉大使を務めるキャラクターで、樹紀ちゃん含めて6人。
樹紀ちゃんのでんこを入手するには那智勝浦町の南紀勝浦温泉旅館組合(清水貞吾組合長)やJR紀伊勝浦駅、JR那智駅、勝浦漁港にぎわい市場でアプリを使用してチェックインなどをする必要がある。
また、キャンペーンの実施に併せてコラボグッズであるアクリルキーホルダーが各温泉街で販売中。南紀勝浦温泉旅館組合では同ゲームの人気キャラクター「岩切よしの」ちゃんと樹紀ちゃんがコラボしたキーホルダーが販売されている。
同組合の中平理咲さんによると、樹紀ちゃんのでんこ入手とキーホルダーを購入するために連日5~10人、土日で50人ほどの旅行客が訪れているという。
中平さんは「今回のコラボ企画は『温泉むすめ』と『駅メモ!』両方のファンの方に当地方を訪れていただく良い機会となった。那智勝浦町にお越しになられたお客さまに『南紀勝浦温泉にまた来たい』と思っていただけるよう、温泉むすめとのコラボ事業に一層力を入れてまいります」。
新型コロナウイルス感染症対策については「コロナ禍でのご旅行に不安があるかとは思いますが、少しでも安心して旅館組合にお越しいただけるよう、こまめな消毒・換気・マスク着用での接客を徹底しております。観光客だけでなく地元の皆さまにもお気軽に南紀勝浦温泉旅館組合へお越しいただけると嬉しいです」と語った。
(2021年3月27日付紙面より)
登録有形文化財(建造物)答申
国の文化審議会がこのほど、登録有形文化財(建造物)の新規登録について文部科学大臣に答申した。対象とする物件には古座川町西向にある旧谷畑家(たにはたけ)住宅(こざがわ)主屋(おもや)も含まれ、本登録が待たれる状況となった。
登録有形文化財(建造物)は、近代を中心とする多様かつ大量の文化財を保護する目的で1996年に制度導入。登録後も規制に強く縛られることなく多彩に活用しやすい緩やかな保護を特色とし、原則として建設後50年を経過し一定の評価を得た建造物を登録の対象としている。
旧谷畑家住宅は串本町西向78―1(岩渕区内)にある、材木商だった谷畑家が1954年に建築した入母屋造、瓦葺(ぶ)きの木造2階建て家屋。小庇(こひさし)が付き出桁(だしげた)造りで吹寄垂木(ふきよせたるき)を配する屋根など凝った造作に加え、2階の座敷が古座川の眺望に秀でる配置になっているなど立地を生かした設計も宿す近代和風建築の好例と評価され、登録基準「国土の歴史的景観に寄与しているもの」の枠で新規登録の答申が成されるに至った。
現在は県福祉事業団が取得し障害者の就労施設として活用。飲食店「うどんとうなぎの古座川」兼ギャラリーこざがわを、スタッフ5人と障害者4人のチームで営んでいる。営業時間は午前11時~午後2時で、火曜定休。普段使いの延長で建造物内外に親しめる状況は、本登録後も続けるという。
この施設を管轄する同事業団東牟婁圏域統括責任者で障害者支援施設「古座あさかぜ園」の佐武寛子園長は、「登録により今以上に多くの皆さんにこの施設を知っていただき、建物と事業共々なじんでいただけたら何より。今後も大切に活用させていただきます」と気持ち改まるところを語った。
串本町内では先んじて樫野埼灯台旧官舎と旧神田家別邸〈稲村亭〉が登録されていて、旧谷畑家住宅が本登録されれば町内で3件目、旧古座町域では初の登録となる。
(2021年3月27日付紙面より)
新入学児らにランドセルカバー贈呈 (交通安全協会新宮支部 )
和歌山県交通安全協会新宮支部の田中肇支部長らは25日、新宮市役所を訪れ、市教育委員会の速水盛康教育長に新入学児童212人(小学校5校202人、支援学校1校10人)分の交通安全ランドセルカバーを、子育て推進課の辻本美恵課長に市内12の保育所や保育園(所)などの新入園児175人分の巾着袋を贈った。
毎年、春の全国交通安全運動期間を前に実施している事業で、新生活を迎える児童・園児や保護者、ドライバーの交通安全意識の高揚を図ることを目的としている。
田中支部長は「保護者の人も交通安全について教えていただくきっかけになれば。また、目立つ黄色いカバーを見かけたら、ドライバーの方にもより一層優しい運転をしてもらえたら」。
目録を受けた速水教育長は「ランドセルカバーを付けることによって、1年生ながら交通安全について考えて安全登校をしてもらえるのでは。自分の力だけでなく、地域に見守られながら新しいスタートを切っていただけると思います」と感謝を示した。
ランドセルカバーは県内共通、巾着袋は同支部独自の取り組みという。24日には本宮教育事務所と北山村を訪れ、25日には太地町、那智勝浦町の児童・園児に対しても贈呈を行った。
(2021年3月27日付紙面より)
和歌山県エンジョイなぎなた大会
三和大会、1年ぶりに開催 (グラウンドゴルフ )
宇久井中2年が漁業学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長)の2年生12人が17日早朝、宇久井漁港で漁業体験に取り組んだ。宇久井漁業協同組合(向井誠士組合長)協力の下、生徒たちは第三十宇久井丸と第三十六宇久井丸に乗船し、地域を支える漁業を肌で感じた。
同校で20年以上続く海洋教育の一環。地元漁師らを講師に迎え、海で繰り広げられている漁業の手法や歴史、魚の種類などを学ぶ他、将来的な漁業後継者育成も目的の一つとなっている。
生徒たちは漁船で沖合約3㌔の定置網(通称・大敷)へ向かい、丸々と太ったブリやタイ、タチウオ、スルメイカなどが次々と引き揚げられていく光景に感嘆。この日はブリやサバ約19㌧の水揚げがあり、大漁に活気づく漁港での仕分け作業も見学した。
父親が漁師をしているという齋藤真結子さんは「お父さんは毎朝4時半ごろ仕事に出掛け、魚のにおいをさせて帰ってくる。漁船では10人ほどで大量の魚を網ですくっており、魚の種類も説明してくれた。さまざまな種類の魚が取れる網と、主にブリを取る網があると聞き、どんな仕組みになっているのか疑問が湧いてきた」と話していた。
(2021年3月19日付紙面より)
木本、紀南高校で合格発表
県立木本、紀南高校で18日、入学試験の合格発表があった。10日に行われた後期選抜と、すでに内定が通知されている前期選抜の合格者が発表された。合格を決めた受験生たちは4月から始まる高校生活に胸を躍らせていた。
木本高校では、後期選抜のみ実施した普通科(定員120人)に132人が受験して120人が合格した。総合学科(定員40人)は前期選抜合格者22人を除く後期選抜募集人数18人に14人が受験し、普通科受験者を含む18人が合格した。
紀南高校普通科(定員80人)は前期選抜で27人が合格。募集人数53人の後期選抜に39人が受験し、37人が合格した。
新型コロナ対策として、県教育委員会による専用サイトでも発表された中、両校では午前9時30分に合格者の受験番号が掲示された。マスク姿で訪れた受験生は、自分の受験番号を見つけると「あった、あった」と喜んだ。
紀南高校に合格した男子生徒は「部活はまだ決めてないけど、将来の仕事に向けて高校生活を頑張りたい」と笑顔を見せていた。
(2021年3月19日付紙面より)
文化セで学習成果発表会 (串本古座高校 )
県立串本古座高校(左近晴久校長)が18日、串本町文化センターで本年度学習成果発表会を開いた。生徒が互いに発表を鑑賞して学業や活動の成果を分かち合い、併せて家族や外部講師らにも公開して取り組みをアピールする機会とした。
生徒自ら同校の特色ある学校設定科目やクラブ活動の発表に臨むことで学びに対する理解を強く深めさらに生徒全体で分かち合い、さらにその様子を公開することで校内外に取り組みや頑張り、成長を伝える行事として計画。同校創立時と2年前にも実施した経緯があり、3回目となる今回は同校魅力化プロジェクトによる特色の多様化に伴い、過去最大規模での実施となった。
吹奏楽部の演奏をオープニングとして開会し、生徒会の問山裕海会長(2年)があいさつ。左近校長は「生徒皆さんの準備や練習の努力が実る同発表会。遺憾なき成果の発揮を祈りたい」と述べて激励した。
プログラムは▽全体発表▽パネルディスカッション▽分科会―の3部構成。全体発表では学校設定科目「海洋環境」「マリンスポーツ」「串本デュアル(長期インターンシップ)」について経験した生徒自らが取り組みの様子と学んだ事柄を発表した。
パネルディスカッションでは和歌山大学の西川一弘准教授をコーディネーターに迎え、串本町役場や古座川町役場に勤務する先輩や教員に職務内容やその延長でできること、同発表会の印象などを聴取。併せて「周囲の協力を得られる人になってほしい」「三現主義で一緒に頑張ろう」「発表会を形にした自分たちに自信を持ってほしい」といった年長からのメッセージも生徒に注がれた。
分科会では全体発表3科目と他の学校設定科目、クラブ活動の発表や展示があり、生徒や招待者らは自身の科目選択や関心に応じて鑑賞。そのような流れで取り組みの成果を分かち合い、最後に西川准教授による全体講評を受けて終了した。
(2021年3月19日付紙面より)
センター内職員など対象に (新宮市立医療センター )
新宮市立医療センターで17日、医療従事者に対する新型コロナウイルスワクチンの先行接種が始まった。同センターでは19日(金)まで、接種を希望する院内職員、委託業者職員に順次接種を行っていく。
国が医療従事者を対象に、先月から先行接種を開始した新型コロナワクチン。和歌山県では今月6日、3900回分のファイザー製ワクチンが県内11病院に到着し、8日に接種が始まった。
同センターには12日に195バイアル(1箱、975人分)が到着。うち83バイアルが那智勝浦町立温泉病院、くしもと町立病院に配分され、両病院とも15日から医療従事者などを対象に接種が始まっている。
同センターの接種対象者は520人で、うち接種希望者は院内職員(333人)、委託業者職員(133人)合わせて対象者の89・6%となる466人。17日には中井三量(みつかず)病院長(66)をはじめ、約150人がワクチン接種をした。次回のワクチン到着時期は未定だが、届き次第2回目の接種を実施していくという。
センター内で最初に接種した中井病院長は「針を刺した瞬間はチクリとしたが筋肉内の痛みはほとんどなかった」。
今後、その他の医療従事者、高齢者、基礎疾患を有する人などに対し待望のワクチン接種が進んでいくはずと展望を語り「ワクチンは、3密を避ける、移動の自粛などに加え新型コロナに対応できる策と考えている。副反応の可能性も少なく、通常のワクチンと同じように接種いただけると思っている」と話した。
2月17日から国内で先行接種が始まったワクチン。これまで約35万人の医療従事者が接種を受けたが、全人口の0・3%にとどまっている。政府は6月末までに約1億回分(約5000万人分)を調達するとの見通しを示している。
(2021年3月19日付紙面より)
「よむよむ」がん早期検診啓発 (那智勝浦町 )
「自分のために少し時間をつくってみてください。そして検診を受けてください。自分は大丈夫と、私みたいにならないでください」―。那智勝浦町絵本の会「よむよむ」では現在、「『負けないで! 乳ガンと闘うおかあちゃん』~今、伝えたくて~」を題目に、がんの早期検診を呼び掛ける取り組みを展開中。那智勝浦町立図書館において、会員の丸亀聡美さん(51)の闘病体験を基にしたリーフレットをがん関係書籍のリストと共に、手作りのエコバッグに入れて配布している。
同会は本年度、読み聞かせの他に▽SDGs(エスディージーズ=持続可能な開発目標)を絵本からとらえて紹介▽地域の産業を伝える―などの事業を展開。おはなし会と併せたエコバッグ工作などを通してSDGsの考えを広く周知するための活動も行った。
このたびの企画は、コロナ禍において「できるかぎり」可能な形で「今、何ができるか」を模索し、同図書館と話し合いを重ねて計画。「令和2年度花王ハートポケット倶楽部地域助成事業」の支援を得ている。
丸亀さんは現在、夫、長女、次男との4人で同町市野々に在住している。初めて乳がん検診を受けたのが40歳の時。多忙な日々を送る中で生来の病院嫌いも手伝って、それ以降検診を受けることはなかった。
胸にしこりを感じたのが48歳の頃。長女の後押しもあり、病院でマンモグラフィー検査を受けた。結果、ステージ3の乳がんが発覚。摘出手術、抗がん剤治療を経て現在は検診のために2カ月に1度病院を訪れ、ホルモン治療を行っているという。
「頭が真っ白になって泣きたくないのに涙があふれた」。がんが判明した時の心境をそう振り返りながらも「がん=死というイメージ。家族も泣いていた。でも奮い立たせました。『私は絶対に死なない』と」。
抗がん剤治療では、受けた人しか分からない苦しみを味わった。「髪の毛が抜けたことはあまり気にならなかった。手間が掛からず、似合っていましたから」と笑顔を見せる。
2カ月に1度、新宮市立医療センターで開催されている、がん患者と経験者、がん患者の家族を対象にした集い「ひまわりの会」に参加し、思いや心境を共有できたことも貴重な体験だと話す。同会を立ち上げたのは丸亀さんの同級生。長い闘病の末亡くなったという。現在は丸亀さんが遺志を引き継ぎ、代表を務めている。
小学生に対する読み聞かせの他、2018年12月にはミニサロンを開催。丸亀さんは「初めて読んだ時衝撃を受けた。思いがよみがえり、涙が出た」という絵本「はなちゃんのみそ汁」(作者:安武信吾・千恵・はな)の読み聞かせを行った。「がんが見つかったのは長女のおかげ。読み聞かせや啓発を通して、子どもたちから『お母さん、検診に行こうね』と言ってあげてほしい。早めの検診が命を助け、家族を守ることにつながる。誰にも同じ思いはしてほしくない。リーフレットを通して何かを感じていただけたら」。19歳の長女は現在、医療従事者を目指し看護学校で学びを深めているという。
リーフレットやエコバッグは「会員みんなのあふれる思いが多くの人に届けば」との気持ちを込め、会員らが30セットを手作りした。同図書館で配布されるほか、5セットが町福祉課健康対策係に託されている。「はなちゃんのみそ汁」を含めた、がん関係書籍の展示は今月31日(水)まで。「サンキュー(ありがとう)」の思いを託し、39冊を展示している。
(2021年3月18日付紙面より)
県立串本古座高校の吹奏楽部(仁木愛里部長、部員5人)が14日、第一体育館で第10回定期演奏会を実施した。コロナ禍の情勢を踏まえて今回は一般公開を控え、生徒や教職員、保護者など同部が感染症予防対策を講じて許容した40人が見守る中で活動の集大成を披露した。
前年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休校で実施できなかった定演。本年度も実施の有無で悩んだが、対策をしてでも活動したいという思いに至り実施を決めた。
部員は12月下旬の県アンサンブルコンテスト紀南地区大会を経て、1月から定演に向けた練習に集中。引退した3年生部員も時間が許す範囲で練習をし、賛助出演のOBOGらは月1、2回の交流と自主練習で同部と息を合わせたという。
第10回のテーマは「高山流水~Good Bye COVID―19~」で、3部構成でアンコール曲を含め18曲を披露。各部とも冒頭を合同演奏とし、以降第1部は本年度一緒に活動した1~3年生7人と漁崎祐顧問の計8人で流行歌5曲、第2部は現役部員5人で県アンサンブルコンテストでの発表曲・打楽器五重奏「Lost Crystal」を含む4曲を奏でた。第3部は全7曲とも合同演奏で、体を揺さぶりながらの演奏やソロ演奏などの演出を織り交ぜて場を盛り上げた。
本年度は夏の大会や紀南吹奏楽の集いなどが中止となり、唯一大規模に取り組めたのは紀の国わかやま総合文化祭2021プレ大会の7校合同演奏のみ。この日の定演は17人の賛助出演により、漁崎顧問を指揮者とする24人組で演奏する機会を得た。
仁木部長(2年)は「練習の方が上手にできたなと思ったところもあったけど、この人数で互いに補い合って自分の中では最高の演奏ができたと思う。これから部員が増えるのか減るのか分からないけれど、新しいメンバーになっても力を合わせて頑張っていきたい」とコメント。「1年前はコロナで定期演奏会を断念せざるを得なかったけど、今年は皆さんのおかげで開催できて良かったです」と周囲の支えに感謝した。
(2021年3月18日付紙面より)
宇久井中1年が校外学習 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立宇久井中学校(坊信次校長、生徒62人)の1年生27人は16日、校外学習で同町市野々にある和歌山県土砂災害啓発センター(坂口隆紀所長)を訪れ、土砂災害から命を守る取り組みについて学んだ。
土砂災害について知り、防災意識の向上や非常時の行動について考えてもらうことが目的。昨年12月に同校で行われた防災学習プログラムで同センターが講話したことがきっかけとなり、さらに詳しく学習してもらおうと実施した。
同センターの筒井和男さんは、県内で行われているソフト・ハード両面の土砂災害対策について解説。地滑りを防止するために地下水を排出する横ボーリング工や地面にくいを打ち込むアンカー工などの方法が取られていると話した。模型を使った実験では、流木や巨石を含む大量の土砂を2段構えの砂防堰堤が受け止める様子を見せた。
高さ14・5㍍、長さ125㍍の鳴子谷川1号堰堤の見学もあり、紀伊半島大水害発生当時の那智川周辺の写真を見ながら土石流の恐ろしさを体感した。
亀井星空(きらら)さんは「みなさんが教えてくださったことを参考に、災害から避難できるように事前に情報を集め、行動することが大切だと分かった」と述べ、センター職員に感謝を伝えた。
(2021年3月18日付紙面より)
高齢者見守り隊が啓発活動 (紀宝町 )
紀宝町の高齢者地域見守り隊(小田原徳子代表)は、同町鵜殿の主婦の店で15日、紀宝警察署と合同の啓発活動を実施。参加者15人が来店者に新型コロナウイルスワクチンに便乗した詐欺の手口や対策などを掲載したチラシやウエットティッシュを配布した。
特殊詐欺から高齢者を守ろうと毎月1回、啓発活動を展開。奇数月は紀宝警察署と合同で取り組んでいる。同署によると、昨年は三重県内で122件(前年度比30件増)の特殊詐欺が発生し、被害総額が4億2820万円(同2億8590万円増)で架空請求が68%を占めている。今年2月末現在では17件発生し、被害総額が2540万円(同2110万円減)。還付金、架空請求、キャッシュカードの各種詐欺の傾向が見られるという。
見守り隊が配布したチラシは「新型コロナワクチンが接種できる。後日全額返金されるので10万円を振り込むように」との不審な電話がかかってきた、といった事例を記し「接種を受ける際の費用は全額公費です」などと紹介した。
小田原代表は「最近は全国でさまざまな特殊詐欺が発生しているので注意していただきたい。一人で悩まずに周りの方々に相談してほしい」と語った。
新型コロナワクチン詐欺に関する相談は、独立行政法人国民生活センターの消費者ホットライン(電話0120・797・188)で受け付けている。
(2021年3月18日付紙面より)
第35回勝浦バドミントン大会
グラウンドゴルフ「春季大会」 (ニュータウン友愛クラブ )
来週から、医療従事者に接種開始 (新宮市 )
都道府県が実施する、新型コロナウイルスワクチンの医療従事者への接種が全国で始まっている。新宮・東牟婁地方では12日午前、195バイアル(1箱、975人分)が新宮市立医療センターに到着。ワクチンは今後、那智勝浦町立温泉病院、くしもと町立病院に配分される。
ファイザー製ワクチンは、先月12日に輸入第1便として、最大38万6100回(19万3050人)分が到着。21日の第2便では最大45万2790回(22万6395人)分、今月1日の第3便で最大52万6500回(26万3250人)分が国内に届いた。
和歌山県では今月6日、3900回分が県内11病院に到着し、8日に接種が始まった。市立医療センターでは17日(水)から19日(金)にかけて、医師・看護師・技術スタッフなど同センター職員に接種を行っていく予定だ。
12日、河野太郎行政改革担当相は会見で、6月までに計約1億回分(約5千万人分)のワクチンを調達できるとの見通しを表明した。欧州連合(EU)の承認が得られれば、5月に毎週9188箱、最大約1千万回分が日本に到着し、全ての高齢者約3600万人分を6月末までに市区町村に届けるなどの方針を示した。
今後のスケジュールによると、15日(月)に360箱が日本に到着。医療従事者分のワクチンについて、5月10日の週に対象者全てが2回接種できる量の配送が完了するという。
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4月中旬から高齢者への接種が始まる新型コロナワクチン。和歌山県では、16日(火)に相談窓口を開設し、ワクチンの効果や副反応に係る相談などに対応していく。相談は電話(073・441・2593)もしくはFAX(073・431・1800)で応じる。受付時間は土・日・祝日含む午前9時~午後6時。接種券、接種場所、接種時期などについては各市町村に問い合わせる。
(2021年3月14日付紙面より)
ICOCAもエリア拡大 (JR西日本 )
春のダイヤ改正に伴い13日、JRきのくに線・紀伊田辺―新宮駅間に新型車両227系が導入された=写真。同車両には車載型IC改札機が搭載。これにより、県内全域でICOCA(イコカ)が使用できるようになった。
同車両は、アーバンネットワーク共通のインテリアデザインを採用。客室には間接光を組み合わせたLED照明を用いるなど落ち着いた車内空間となっている。2019年春のダイヤ改正により近畿圏に初投入。和歌山線・桜井線、きのくに線の一部に導入された。和歌山県と奈良県では、文化・歴史・自然の奥深さを表現した緑色が配されている。
同日午前6時53分、第1便が新宮駅を出発。駅のホームには新型車両を写真に収めようとスマートフォンや一眼レフを手にした鉄道ファンの姿が見られた。
ICOCAが新たに使えるようになるのは同区間で21駅。ICOCA、ICOCA定期券が利用できる。また、ICOCA以外の全国相互利用対象ICカード乗車券も使うことができる。
(2021年3月14日付紙面より)
フラット7紀宝バイパス店で2人展 (紀宝町 )
アフリカを代表する現代アートでタンザニア発祥の「ティンガティンガ」。現地でその芸術を学んだ2人のアーティストによる作品展が14日まで、紀宝町神内の紀宝バイパス沿いにある「フラット7紀宝バイパス店」で開かれている。入場無料で、時間は午前10時30分から午後5時まで。14日午後1時30分からはピアノに作品を描くという。
出品したアーティストは、SHOGEN(上田祥玄)さん(34)と御浜町立阿田和小学校6年のHARUKA(細川悠花)さん(12)。赤、青、黄、緑、白、黒の6色の外壁用油性ペンキを用いて描いた35点を展示した。
ティンガティンガは、1960年代末に生まれた絵画スタイル。サバンナの動物や豊かな自然、人々の暮らしを6色のペンキを使って、色鮮やかに描き出す。
SHOGENさんは京都の雑貨店で出会ったティンガティンガに魅了され、その日のうちにタンザニア行きのチケットを購入。2014年7月から約1年間、現地で生活しながら修行を積んだ。現地で、タンザニア政府にパトカーを寄贈したHARUKAさんの父と知り合い、帰国した翌年、小学1年のHARUKAさんと出会った。
「ティンガティンガは人の背中を押してくれるアート。コロナ禍だからこそ見てほしい。タンザニアの人たちと同じ生活をしたHARUKAさんにも会いに来てほしい」。
HARUKAさんもティンガティンガに心を引かれ、小学4年の夏休みに2週間ほどタンザニアで学んだ。帰国後、初めて描いた「草原の中の夢」や、未来を意味するスワヒリ語の「baadaye」と題してヒマワリを描いた作品など27点を出品。「ヒマワリは太陽に向いて咲くので、前を向くイメージで描いた。ティンガティンガは自分が思ったときに好きな動物などを描けるので好き」と話していた。
(2021年3月14日付紙面より)
熊野三山で慰霊や復興祈願 (東日本大震災から10年 )
未曽有の大災害を忘れない―。2011(平成23)年3月11日午後2時46分ごろ、宮城県牡鹿半島の東南東沖で発生した「東日本大震災」から10年の節目となる11日、被災者を追悼し被災地の復興を祈る式典が全国各所で営まれた。熊野速玉大社、熊野那智大社、熊野本宮大社の三山でも慰霊祭や復興祈願祭を斎行。犠牲者の鎮魂とさらなる復興進展を祈念し玉串がささげられた。
日本国内最大規模、アメリカ地質調査所(USGS)によれば、1900年以降、世界でも4番目の規模となった同大震災。マグニチュードは9・0で、宮城県北部の栗原市で最大震度7が観測されたほか、宮城県、福島県、茨城県、栃木県などで震度6強を観測した。
岩手、宮城、福島県など太平洋沿岸部を未曽有の大津波が襲い、地震に伴う福島第一原子力発電所事故の影響もあり多くの人が避難所生活を余儀なくされた。死者は1万9000人(災害関連死含む)を超え、現在も2500人以上が行方不明となっている。首都圏では交通機関が不便となり大量の帰宅困難者が発生した。
熊野速玉大社では、神職らによる「東日本大震災復興慰霊祭」がしめやかに営まれた。上野宮司の祝詞奏上に続いて、巫女(みこ)が「浦安の舞」を奉納。神前に玉串を供え、10年の節目に思いをはせた。
神事を終え、上野宮司は震災発生当時、羽田空港にいた自身の体験を振り返り「インフラの整備は進んでいるが、大切な人を失ったという心は、何年たっても復興されることはない。これからも心の復興に重きを置いて祈りを込めていきたい」。
それから半年後、紀伊半島大水害によって自分たちが被災するとは想像もしていなかったと回顧し「自然は時として大きな試練を与える。しかし、戦争や犯罪など人の手による罪や悲しみははらい清めていかなければ」と、時折声を詰まらせながらそう語った。
(2021年3月12日付紙面より)
鉄道ファンの畑上耕三さん (串本町 )
串本町西向在住の、70年来の鉄道ファン・畑上耕三さん(78)がこのほどJRきのくに線普通列車に感謝する横断幕を掲げ、日々通過を見送っている。
ターコイズブルーの色彩が印象的なこの列車は105系車両で編成され現在は紀伊田辺駅~新宮駅間で運行されているが、13日(土)のダイヤ改正に伴う227系車両の導入により現役引退となる。
畑上さんは少年期からの鉄道に興味を持ち、成人を機に鉄道友の会へ入会した現役鉄道ファン。最盛期には一眼レフ複数など撮影資機材を担いで北海道から九州まで、鉄道の勇姿を追い掛けていたという。会員歴58年、ファン歴70年。地元のきのくに線を支える車両ももれなく関心の対象で、105系には片面三つの扉が付いた製造車両と山手線や環状線を支えた片面四つの扉が付いた103系からの改装車両の2系統があるなど豊かな知識を背景にして語る。
前述した駅間への導入は1998(平成10)年で、空調やトイレ、車体色の変更など時代相応の改修を重ねながら運行を続けてきた。その車両がまもなく引退と知り、期日が1週間後に迫った辺りで居ても立ってもいられなくなって急ぎ幅4㍍の布を購入。感謝の言葉を記して車窓から目につく場所に掲示し、同列車の通過時間ごとにその横に立ち感謝しているという。
好天の10日はコンパクトカメラで勇姿を撮影しながら通過を見送り。畑上さんは「紀伊田辺~新宮間を走るようになって23年。特急はよく注目されるが、普通列車も地元の足として十分活躍してくれている。それを思うと居ても立ってもいられなくなり、短い期間だが感謝しようという気持ちになった。105系にはただただ『ありがとう』という感謝しかない」とこみ上げる思いを語った。
(2021年3月12日付紙面より)
高池小6年生がガイド実践 (古座川町 )
古座川町立高池小学校(大畑眞校長)の6年生11人が10日、同町池野山にあるクマノザクラのタイプ標本木前で子どもガイドを実践し訪れた人々にクマノザクラの詳細などを紹介した。
同町観光協会(須川陽介会長)のクマノザクラ振興事業を活用したふるさと学習の一環。11人は昨年12月に樹木医の矢倉寛之さんからガイドに役立つ知識を一通り教わり、3学期に解説文を考えガイドの練習に励んできた。今月1日の現地リハーサルでは視察に訪れた下宏副知事ら県の幹部職員が客役の協力をし、本番さながらの度胸付けも得て実践に臨む流れとなった。
10日はほぼ快晴の好天に恵まれ、タイプ標本木は散り始めに差し掛かっていたがまだまだ花の盛り。11人は同協会が準備した「クマノザクラ子供ガイド」のユニホームを着て4組に分かれ、同協会の帯企画「古座川桜フェア2021」内での事前告知により町内外から続々と訪れる見物客に声を掛け、ガイドを希望した人に5分程度の解説をしてクマノザクラやそのタイプ標本木の特色、一期一会の好機を生かしてアピールしたい同町の魅力などを伝えた。
実施時間帯は午後2時~3時の1時間で、4組合計で28回のガイドを実践。緊張して早口にならないよう、表情にも気を付けながら挑戦したという山本真琴さんは「できたできなかったで言えばできた方。明日も緊張せず真剣に伝えたいことを伝えて、古座川の魅力を来てくれる皆さんに教えたい」と初日を終えての感想を語った。
この日は3~6年生で育てているクマノザクラの実生苗をおととしの6年生が卒業制作した看板の横に並べて披露した。11人は翌11日も同じ時間帯で同標本木前に常駐して実践に臨んだ。
子どもガイドは前年度の6年生も挑戦したが、実践直前でコロナ禍に伴う臨時休校が始まり実現できず。大畑校長は本年度の11人はそのリベンジを合い言葉にして頑張ったと実践に至るまでの様子を語り、その達成感を11人と分かちあいながら初日の実践を締めくくった。
(2021年3月12日付紙面より)
ウミガメ公園で一般公開 (紀宝町 )
メキシコ湾などに生息するクロウミガメが御浜町阿田和の沖合で見つかり、保護した紀宝町井田の道の駅「紀宝町ウミガメ公園」飼育プールで10日、一般公開が始まった。クロウミガメが日本近海で発見されるのは珍しいという。
2月24日に阿田和沖2㌔の定置網にかかっていたところを、漁師の山本善之さん(47)が見つけ、連絡を受けたウミガメ公園の飼育員・伊藤柊也さんがその日に保護した。
クロウミガメは、アオウミガメと同じ種に分類されるが、体色が灰から黒で甲羅の一部などに特徴がある。熊野灘で発見されたのは初めてで、国内では五つの水族館で飼育されている。
保護されたクロウミガメは甲羅の長さが53㌢、幅46㌢で体重は約15㌔。10~20歳と推定され、性別は不明だという。
発見した山本さんは「定置網で作業をしていた際、魚に交じって泳いでいた。変わったカメなので伊藤さんに連絡した。アオウミガメ、アカウミガメを見掛けるが珍しいと聞いてびっくりした。20年漁をしていて初めて見た」と振り返った。
伊藤さんは「ウミガメは絶滅危惧種に指定されていて、クロウミガメも数が少ない。日本での発見例や飼育が少ないため、日本ウミガメ協議会と連携して経過を観察し、貴重なデータを取っていきたい」と話していた。
(2021年3月12日付紙面より)