台風21号、農業にも被害 (新宮市 )
台風21号の豪雨は住宅や店舗だけでなく各地の農地にも被害を及ぼしている。新宮市熊野川町能城山本では、熊野川の支流赤木川が増水したため、水田や畑に泥や流木が入り、農業者らは除去作業に追われている。
能城山本では、約35㌃の畑に設置していたイチゴのビニールハウス24棟が水没。作業員たちは24日から流木や草の撤去やイチゴの葉についた泥の洗い流し作業などに追われている。
イチゴを栽培している児玉巌さん(80)=同町能城山本=は「ビニールをまだ張っていなかったから良かったが、2~3割はだめになった。今後はイチゴの病気による被害が怖いです」。流木の撤去作業などはあと3~4日はかかりそうで、毎年12月に実施している収穫は遅れる見込みだ。
周辺の畑にも泥が入り、栽培されていたタカナ、ハクサイ、キャベツ、サツマイモなどがほぼ全滅となっている。
町内各地の川沿いでは獣害防止の電気柵が川の水でなぎ倒されている。同町神丸では赤木川沿いの柵が100㍍以上にわたって倒れ、流木や草が絡まっている。畑を所有する下阪殖保さん(71)=同町能城山本=は「ここら辺の農業者はみんな途方に暮れています。今回の台風で農業を辞めてしまった人もいます」と話していた。
(2017年10月29日付紙面より)
世耕弘成経産相が熊野地方へ (台風21号 )
世耕弘成経済産業相は28日、台風21号で被災した和歌山県内を視察した。被災地の現状や課題を、スピード感を持って把握し、早期の復旧・復興を実現させるのが目的。熊野地方では那智勝浦町と新宮市を訪れた。
那智勝浦町では浸水被害を受けたいざかた通り商店街を訪れ、各商店の被害現状などを見て回った。新宮市では同市下田の精肉店や飲食店、同市磐盾の建設機械などを扱う店などを訪れ、浸水で壊れた機械類などの惨状を見て回り、店主らの声に耳を傾けた。同市下田の下岡精肉店を訪れた世耕経産相は当時の様子を聞き、代表の下岡豊さんに「お見舞い申し上げます。全力で取り組みます」と声を掛けた。下岡さんは「周辺の店舗も大きな被害を受けた。被災の状況をじかに見てもらって良かった」と話した。
(2017年10月29日付紙面より)
なぎ看護学校で宣誓式 (新宮市 )
新宮市蜂伏の県立なぎ看護学校(脇田堅二校長)で27日、看護宣誓式があった。今年4月に入学した1年生39人(女子26人、男子13人)が点火の儀などで看護師への決意を新たにした。
1年生たちに有能な看護師を志す自覚を深めてもらうことを目的に毎年この時期に行っている儀式。厳粛な雰囲気の中、点火の儀などが行われ、キャンドルを手にした宣誓生たちが10グループに分かれ「私たちは積極的にコミュニケーションをとり、患者さんの心に寄り添う看護師になることを誓います」などと宣誓し、ナイチンゲール賛歌を斉唱した。
脇田校長は「今日誓った言葉とこの舞台に立った自分自身を思い出して、できることから始めてみてください。一緒に一歩ずつ前に進んでいくことができればと思います」と式辞。
在校生代表の松井智加さん(3年)が「今日のこの気持ちを忘れず、できることから懸命に取り組み、今日誓った看護師像に近づくことができるよう共に歩んでいきましょう」と祝いの言葉を述べた。
(2017年10月29日付紙面より)
早船競漕の旗番抽選会 (新宮の速玉祭 )
国の重要無形民俗文化財(重文)の指定を受けた熊野速玉大社(上野顯宮司)の例大祭「新宮の速玉祭」の神事の一つ「御船祭・早船競漕(きょうそう)」(16日)の旗番抽選会が11日夜、同大社双鶴殿で行われた。出船する市内9地区の代表者らがくじを引き、早船のスタート位置が決定した。
上野宮司は「一番懸念されているのは、事故やけがのないようにということ。明日までは天気がいいようだが、その後は雨の日が続く。御輿(みこし)の担ぎ手、御船のこぎ手も事故やけがのないようにしないといけない」と注意を呼び掛け、「それぞれの責任を背中に背負い、速玉大社の金看板、地区の名誉も背負って、お祭りに奉仕を。立ち振る舞い、祭りを離れたところでも自分を律してこの祭りに臨んでいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします」とあいさつ。
審判委員が競漕時の注意事項の説明と当日までの日程確認などを行った後、くじを引く順番を決める予備抽選、来年から3年間使用される本番船の船番抽選、最後に旗番抽選が行われ、各地区のスタート位置が決定した。
神迎えの喜びを表す早船競漕は16日(月)午後4時30分ごろ、旧丹鶴小学校下の熊野川河原に設けられた下札場からスタート。熊野川をさかのぼり約1・6㌔上流にある御船島を3周し、同市相筋河原の上札場(かみふだば)を目指す。昨年は阿須賀区が14分18秒のタイムで優勝した。
3年ぶりの出船となる相筋区のとも取り・平瀬公士さんは「狙い通りの旗番を引くことができた。当日は、優勝を目指して頑張りたい」と話した。
会議では、早船が下札場をスタート後、観戦者が車両で上札場方面へと移動する際は、堤防を通らず、川原を整地しているので、そこを徐行で通るようにとの通達がされ、周知の徹底が呼び掛けられた。
(2017年10月13日付紙面より)
24団体が「ふれあいネット」調印 (太地町 )
太地町社会福祉協議会(海野久夫会長)は11日、那智勝浦町市屋の旧・熊野の宿「梛(なぎ)」で小地域ネットワーク活動「ふれあいネット」事業の調印式を行った。
同事業は平成18年に発足。6団体が新たに加わり、24団体で構成される。式には20団体の代表者が出席し、三軒一高町長、海野会長、同町漁業協同組合の脊古輝人代表理事組合長が代表署名した。
同町内の団体や事業所、警察、金融機関などが日頃の活動や業務を通して高齢者を見守り、気付きを同協議会や地域包括支援センターに報告することで、異変や要援護者のニーズにいち早く気付き、対応することを目的としている。
同協議会は今年で法人化30周年を迎える。発足当時は18%だった同町の高齢化率は現在40%を超え、隣組のような従来の町の組織が担っていた高齢者の見守り機能は破綻しつつある。厚生労働省が推奨する認知症高齢者を地域で見守り、支える「地域包括ケアシステム」の構築のためにも、これまで実施要綱のみで行ってきた同事業に関し、改めて協定書を作成し調印式を行うことにした。
同協議会の海野会長は「高齢化で地域のコミュニティーが薄れ、助け合いや見守りが困難になってきた。『何かあったとき、誰かに伝えることができたらなんとかなる』と町民にも周知されれば、暮らしの安心につながる。支援と協力をお願いします」とあいさつ。岡本研事務局長からは、事業の立ち上げ経過説明と事例紹介がされた。
挙げられた事例は、漁協スーパーの店員から寄せられた「1日に何回も同じものを買いに来るようになった」などの連絡から、自宅訪問や家族との連絡を経て介護保険の適用につながった事例や、町営バスの運転手からの「乗客がいつもと違うところで降りた」という連絡から、行方不明を未然に防いだ事例など。また、デイサービスやサロンといった介護予防のための事業の充実も、町と協力しながら行うと説明し、重ねて協力を呼び掛けた。
(2017年10月13日付紙面より)
串本町田原区で本年度敬老会
串本町の田原区(西脇正吾区長)は11日、山村交流センターで敬老会を開き、会食や余興を交えて75歳以上区民の長寿を祝った。
町が各区に75歳以上町民の人口割り予算を付して委託する敬老事業の一環。手法は各区に一任していて、長寿祝い品の配布や敬老会の実施などさまざまな形で予算が活用されている。
本年度は19カ所で敬老会が計画され、田原区はその最終実施となる巡り。例年、敬老の日前後が田原地区秋季第運動会と重なるため、少し時期をずらして開いているという。
対象となる75歳以上の在宅区民は161人で、最高齢者は102歳。敬老会には最年長95歳をはじめとして47人が出席し、西脇区長は「今年も元気なお顔が見れてうれしい。いつまでも穏やかで楽しい日々を過ごされることを祈念する」、来賓として駆け付けた田嶋勝正町長は「少子高齢化と言われている。お年寄りの方が安全で安心に、楽しく暮らしていけるようまちづくりを頑張っている。区長や皆さんと協力しながら力を入れていきたい」とあいさつして出席者の長寿健勝を喜んだ。
今年も田原いきいきサロンのボランティアメンバー手作りの御膳を味わい、後半は余興を楽しんだ。出演は▽矢川尚子さん(日本舞踊)▽土井忠子さん(日本舞踊)▽哲泉流日本吟詠協会▽田原小学校全校児童▽串本マンドリンアンサンブル・マーレ▽海霧コーラス―の皆さん。田原小児童は12人一丸で校歌や歌「紅葉」など合唱、マーレは弦楽器の重奏を披露。海霧コーラスは合唱披露に加え、出席者と一体になって斉唱するなどした。
余興後は福引抽選会も実施。出席できなかった対象者には同日午前中に長寿記念品を役員らが手分けして届けた。
(2017年10月13日付紙面より)
大鳥居をライトアップ (ピンクリボン紀南 )
田辺市本宮町の熊野本宮大社の旧社地大斎原(おおゆのはら)の大鳥居が8日夜、ピンク色に染まった。ピンクリボン運動団体「ピンクリボン紀南」が、乳がん検診を呼び掛ける運動の一つとしてライトアップした。和歌山県臨床検査技術師会が共催。県、田辺市、新宮市、田辺市医師会、新宮市医師会などが後援。
女性の12人に1人が乳がんになるといわれる現代社会。乳がんで死亡する人が増加傾向にあるが、早期発見で治療すると約90%が治るとされている。このため、検診の大切さを呼び掛けようと毎年この時期にイベントを開催している。
ライトアップは夕闇が迫る午後6時から始まり、サーチライトが大鳥居を照らすと、ピンク色に染まり幻想的な光景が浮かび上がった。大鳥居に続く参道には見学者が訪れ、写真撮影するなど関心を寄せていた。
この日は、熊野本宮大社近くの熊野古道を歩くウオーキングや、世界遺産熊野本宮館でシンガーソングライターの松田陽子さんのコンサート、白浜はまゆう病院の粉川庸三医師による講演会も行われ、乳がん検診の大切さを訴えた。
(2017年10月12日付紙面より)
新宮市街地で捕獲
新宮市下田の運送会社倉庫で7日午前9時30分ごろ、イノシシが出没。連絡を受け駆け付けた鳥獣保護員の下忠文さん(69)=同市磐盾=が捕獲した。下さんは「山の近くでは頻繁に出没しているが市街地では珍しい。攻撃してくるケースもあるので、発見したら市役所農林水産課か警察に連絡してほしい」と呼び掛けている。
捕獲されたイノシシは体長約1㍍、重さ約20㌔のオス。発見者が警察に連絡。同課職員と下さんが駆け付けたところ倉庫の隅でうずくまっていた。暴れると危険なため、イノシシはその場で殺処分し、同市熊野川町の市有林に埋めた。
同課によると、今年8月から市内の相筋から五新までの千穂ヶ峰沿いでイノシシなどの出没情報が増えていて、民家の畑で被害が出ている。同課は『イノシシ・サル等が住宅地に出没したときの初動対応マニュアル』を作成していて、警察と連携し対処している。
市内の鳥獣保護員は下さんを含め2人。イノシシだけではなく、シカ、サル、アナグマなどの出没情報が毎日のように入り捕獲している。下さんは「今回のイノシシは、夜にエサを求めて鴻田付近の山から住宅地に入ったところ、人や車に遭い、逃げているうちに市街地に迷い込んだのではないか。イノシシなどを見かけてもエサだけは絶対に与えないでほしい」と話していた。
(2017年10月12日付紙面より)
那智勝浦町消防本部が合同訓練
那智勝浦町の勝浦港内の渡の島周辺海域で8日、同町消防本部(湯川辰也署長)、同町消防団本部(貝岐昌志団長)と第2分団(裏東芳樹分団長)が「消防本部、消防団合同火災水難救助対応訓練」を実施した。署員、団員25人が、船舶火災の消火、水難者の救助対応など、互いの連携強化と技術の向上を図った。
団員らは、消防艇「はくりゅう」に乗り込み渡の島東側から出動した。同西側海域で出火した船舶へ放水消火訓練、観光桟橋から転落した漂流者や船舶から海中へ転落した行方不明者を想定した救助訓練を実施。訓練後には、事後検討会を開いた。
貝岐団長は「勝浦港は、日本有数の漁港や巨大宿泊施設、紀の松島などの観光名所が集まった場所。幸い周辺での事故はないが、災害はいつ来るかわからない。両機関の連携を強化し、安心して過ごせる町に」と話していた。
(2017年10月12日付紙面より)
高瀬会明神小交流運動会 (古座川町 )
古座川町高瀬にある社会福祉法人高瀬会(切士桂理事長)の老人保健施設で6日、第17回高瀬会・明神小学校交流運動会があり、同法人利用者や児童教職員らが一丸になって各種目への挑戦で盛り上がった。
季節感豊かな日々の創出を目指して取り入れている四季折々の恒例諸行事の一つ。明神小(速水直樹校長、児童18人)は地域交流の一環で学校を挙げて、高瀬地区の高齢者有志や同地区担当の民生委員も招待を受けて参加し開会を迎えた。
例年は高瀬若者広場を会場にしているが、今年は当日雨天のため屋内で実施。利用者は約110人が参加し、主催者を代表して切士知憲施設長は「いつもよりコンパクトな分、見やすく応援もしやすくていいのかなと思う。けがだけはしないよう気をつけて楽しい運動会になればと思う」と述べて一同の奮起を促した。
プログラム数は6で、利用者と児童教職員は赤、白、青の混合3ブロックを結成。パン食い競争では利用者と児童教職員がペアで、玉入れはブロック一丸で対戦。輪投げは児童がブロックごとに一丸の応援で盛り上げる中、利用者や地域高齢者、高瀬会職員や教職員が順次挑戦した。
同法人職員も適時飛び入りで種目に挑み、にわかに高まる難度に負けず挑む姿で場を盛り上げたほか、最後は明神小児童が21日(土)の明神地区秋季大運動会に向けて練習しているダンスを先行披露し、利用者らは拍手で頑張りをたたえた。
ブロック対抗戦の結果は赤ブロックの優勝で、利用者と児童の各代表が切士施設長からトロフィーを受け取り、喜びを分かち合った。同法人から児童に文具のプレゼントが贈られ、児童を代表して宮下響君(6年)は「あいにくの雨でリレーなどはできなかったけど、皆さんと一緒に玉入れがやれたことは特に楽しかった。これからも楽しく長生きしてください」とあいさつして運動会を締めくくった。
(2017年10月12日付紙面より)
セレッソスクールコーチの教室も開催