本年度中に川舟センター完成 (紀伊半島大水害から6年 )
2011年9月の紀伊半島大水害で壊滅的な被害を受けた新宮市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道熊野川」。本年度中に完成予定の熊野川川舟センターが復活すれば、ほぼ元の姿に戻る。
新宮市街地から熊野川町域への玄関口に立地する道の駅は、熊野川の流れを見下ろす駐車場とトイレ、川舟センター事務所、熊野川物産販売所「かあちゃんの店」などがあり、地域交流の場として多くのドライバーや市民に親しまれていたが、水害で全壊した。
水害直後、関係機関は一度浸水した土地への再建を躊躇(ちゅうちょ)していたが、地域住民らの要望を受け、1年6カ月後の13年3月にトイレを復旧。「かあちゃんの店」は約11カ月後にプレハブの仮店舗で復活し、3年5カ月の15年3月に木造の施設で本格再開した。
川舟センターは事務所だけでなく、送迎バス1台、軽トラック1台、ライフジャケット160着などが流失。顧客リストなどの書類も流された。当時、川舟センター長を務めていた品田顕二郎さん(71)は水害から3日後に現場を訪れ、惨状に声が出なかったという。川舟6隻は安全な場所へ移動させていたことから無事だったが、熊野川は流木や落石で形状が変わり、当初再開の見込みは立たなかった。
川舟センターは事務所を現在の熊野川総合開発センター1階に移転し、約7カ月後に運航を再開したものの、乗船場の道の駅までは距離があり、職員が乗客たちを車で送迎している。
川の参詣道として世界遺産に登録されている「熊野川」を巡る川舟下り事業は05年9月にスタート。最も乗客が多かったのは07年度の5670人。水害で9月から翌年3月末まで休航した11年度が2426人と最も少なく、その後2千人台が続いていた。14年度3243人、15年度3932人と徐々に回復し、昨年度は4127人と水害後、初めて4000人を突破した。
品田さんは「新しい川舟センターが完成すれば、事務所と乗船場が近くなり、スタッフも仕事がやりやすくなる。飛び込み客も多くなると思う。さらにお客さんが増えていってくれれば」と話した。
(2017年8月25日付紙面より)
金剛寺の「二河の火祭り」 (那智勝浦町 )
那智勝浦町二河の金剛寺で23日夜、伝統の荒供養「二河の火祭り」が営まれた。同火祭りの保存会(大江政典会長)の会員15人が投げたたいまつが、寺の裏山を赤く染め上げた。
この荒供養は、室町時代の1510(永正7)年から続けられているとされ、二橋青年会が保存会を組織し、地区住民とともに代々守り続けている。
会員らは、本堂前で種火を分け合い、たいまつに火を付けて裏山を目指して疾走。目神八幡の小社を経由して宝篋印塔(ほうきょういんとう)前に着くと、針金でつながった2組のたいまつを勇ましく振り回し、周囲の木々や張り巡らされた架線目がけて投げ上げた。木や架線に引っかかると、観衆から歓声が上がった。
境内には金魚すくいやかき氷などの夜店も並び、地元の家族連れらでにぎわった。
(2017年8月25日付紙面より)
ほふく救出チームが健闘 (串本町消防本部 )
串本町消防本部(北地稔消防長)のほふく救出チームが23日、宮城県で開かれた第46回全国消防救助技術大会で入賞した。2008(平成20)年度の出場に続き2回目となる好成績で、一報を受けた同本部は歓喜に沸きかえっている。
この大会は、消防救助活動に不可欠な体力、精神力、技術力を培うとともに、競い学ぶことを通して他の模範となる隊員を育成し消防に寄せられる期待に力強く応えることを目的にして年1回実施。本年度は全国消防協会と仙台市が主催になり、「結―感謝そして未来へ―」をスローガンとして掲げて陸上、水上合わせて8種目を開設して全国各地の予選を勝ち抜いた隊員約1000人の挑戦を受け入れた。
同本部ほふく救出チームのメンバーは、岡地光介消防士・田代和之消防士・川端凌消防士の3人。県予選で9年ぶりの優勝を果たして同大会に進出した。ほふく救出の部には計52チームが出場し、同チームは8組目で挑戦。所要タイム48秒1、減点なしの成績で入賞した。
本年度は52チーム中40チームが入賞し、入賞チームの所要タイム平均は43秒2。最速は埼玉西部消防局のチームが出した35秒8だった。串本町消防本部チームの3人にとっては初の全国大会で、順位よりもまず着実に入賞を目標にして臨んだそうで、40チーム中34番目の所要タイムとなった。
(2017年8月25日付紙面より)
国交省の山田局長に要望
世界遺産「熊野川」の管理者が和歌山県、三重県、国と混在しているため紀伊半島大水害後の堆積土砂撤去作業や濁水軽減対策が遅れていると新宮市と紀宝町の首長らが23日、山田邦博・国土交通省水管理国土保全局長に熊野川の国直轄区間延長を求める要望書を提出した。
要望活動には新宮市の田岡実千年市長と屋敷満雄議長、紀宝町の西田健町長と榎本健治議長ほか、濱口太史和歌山県議、二階俊博自民党幹事長秘書の二階俊樹氏らが参加。同市熊野川町田長の道の駅「瀞峡街道熊野川」の紀伊半島大水害慰霊碑前で手渡した。
現在の国直轄区間は河口から上流5㌔まで。要望書では北山川と合流する宮井地点(約25㌔)までの延長を求め、国主導による早期取り組みを訴えている。山田局長は「熊野川の問題に皆さまの意識が高いことがよく分かりました」と述べ、関係機関と連携し、対策をより一層進めていくと述べた。
(2017年8月25日付紙面より)
県警と海保が共同訓練 (太地町 )
太地町で9月から始まる小型鯨類追い込み漁を前に和歌山県警察本部と第五管区海上保安本部は18日、太地港で反捕鯨団体による違法行為を想定した合同警備訓練を実施した。警察官約50人、海上保安官約80人が参加し、陸上と海上で訓練した。
町には平成22年以降過激な環境保護団体が多く訪れ、漁の無許可撮影など嫌がらせ行為を続けている。過去にイルカを飼育するいけす網が2度切断され、今年の1月にも地元企業が所有するいけす網が切られる事案が起きている。昨年は約80人の活動家が来町しており、今年はイルカ漁で新たに2種類が捕獲対象に加わったことなどもあり、県警も情勢を注視している。
県警の宮沢忠孝本部長は「この数年で活動家の来町が大幅減少している。9月から始まる漁期に向けて万全の体制で臨めるよう訓練に取り組んでほしい」と一層の連携を求めた。
現地警戒本部長を兼任する田辺海上保安部の川上誠部長は「訓練を通じて連携の一層強化に期待。参加者は違法行為は断じて許さないという毅然(きぜん)とした態度を強く示すことで地域住民の安心安全に大きく寄与できる」と激励した。
訓練は陸上と海上での違法行為を想定して展開した。陸上では、イルカ肉を搬送するトラックの前に活動家が立ちふさがり、県警が活動家の1人を道路交通法違反で逮捕した。海上では小型ゴムボートに乗った活動家3人が漁船に発火物を投げ、海上保安庁のゴムボート2隻がこれを取り囲み、威力業務妨害で逮捕した。
太地町いさな組合の小畑充規組合長(51)は「創意工夫して訓練してくれるのでありがたい。考え方の違いがあるのは分かっており、私たちも仕事である以上覚悟している。捕獲対象が増えたことで商売的にもプラスになると思うので、自分たちも事故やけがのないよう操業したい」と話した。
(2017年8月20日付紙面より)
骨髄バンクを考える集い
白血病など血液の病気を治すのに有効な治療法である骨髄移植への関心を高め、骨髄バンクへの登録を呼び掛ける「骨髄バンクを考える集い」が11日、御浜町阿田和の紀南高校視聴覚教室で開催され、木本高校のJRC(青少年赤十字)部の部員はじめ住民ら約40人が参加した。三重県骨髄バンク推進連絡協議会「勇気の会」主催。
協議会の理事長、南信行医師や移植治療で助かった息子を持つ母親ら会員4人が登壇し、バンクへの登録を呼び掛けた。骨髄移植は患者と提供者(ドナー)の白血球の型が一致することが大前提だが、適合する確率は兄弟姉妹で4人に1人、それ以外だと数百人から数万人に1人の割合といわれている。日本の公的骨髄バンクは平成3年に設立され、今年5月末でドナー登録者数は47万2856人いるが、累計患者登録数は5万1097人、移植例数は2万747人。希望する患者の約6割が移植できていない。
南医師はドナーが見つかっても移植までの準備期間は少なくとも約3カ月はかかるため、スムーズに移植を実現するためにもドナー数を増やすことが必要と話し、高校生には献血の協力も呼び掛けた。白血病の患者はがんに侵された造血幹細胞を放射線などで壊してから移植を受けるため、治療の間は輸血で耐えていかなければならない。
伊勢市の女性は18歳で急性リンパ性白血病を発症した息子の移植の経過を話した。幸いドナーが見つかったが、提供まで進まないケースもあり、同意が得られるまでの間は祈るようにして待ったという。「会ったこともない見ず知らずの人が、入院までして骨髄を提供してくれました。今、息子は普通に近い生活を送っています。前を向いて元気に生きています。骨髄バンクがあったからこそ、ボランティアがいたからこそです」と涙ぐみながら感謝した。
同協議会紀州支部の二村昭医師は熊野保健所を中心に東紀州地方で活動する紀州支部の設立経過を話した。紀州支部は、健康診断で白血病が分かった男性が一生を骨髄バンクの運動にささげたいという思いから25年前に設立。二村医師は亡くなった男性の無念さを涙ながらに語り、骨髄バンクの必要性と課題を話した。バンクの登録は55歳が上限と決められている。二村医師は登録者の約55%が40歳以上の高齢世代で、数年たつと人が減少していくと話し、若い人たちの理解が必要と訴えた。会場の参加者からは、入院時のドナーへの助成制度を自治体が設ける必要があるなどの意見が出た。
紀州支部は21日(月)午後0時30分から同4時までイオン熊野店前で登録会を開く。登録できる人は18歳から54歳以下で男性は45㌔以上、女性は40㌔以上の人。問い合わせは紀州支部(電話090・5107・0640)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
ぱしふぃっくびいなすが出港 (新宮港 )
豪華客船「ぱしふぃっくびいなす」(2万6518㌧、全長183㍍)が18日午後5時30分ごろ、「新宮港梛(なぎ)の木見送り隊」や地元太鼓グループ「紀宝楽」に見送られ、新宮市三輪崎の新宮港から神奈川県の横浜港に向け出港した。
客船は同日午前8時ごろ、新宮港へ入った。前夜に船上から熊野大花火大会を鑑賞した乗客約450人は、当地方で観光などを楽しんだ。岸壁では近隣の観光協会が地元物産を販売するなどした。
丹羽生・市観光協会長は「この熊野という観光フィールドは広く、到底1日では回りきれなかったのではないかと思う。また、ぱしふぃっくびいなすと共に皆さんが来るのをお待ちしたい。その時は『おかえりなさい』とお迎えしたいと思います」とあいさつ。
紀宝楽が演奏で船を見送った。乗客らがカラーテープを投げ、見送りに来た人たちと「また来てよ」「また来るよ」と互いに声を上げながら手を振り合った。
見送り隊は近年入港が増えているクルーズ船の乗客たちを温かく見送ろうと結成された。会員特典として特別船内見学会への参加、一定回数以上の入出港イベントでの参加で記念品贈呈などがある。問い合わせは新宮市企業立地推進課(電話0735・23・3333)まで。
(2017年8月20日付紙面より)
新宮花火大会に5万人
熊野徐福万燈祭(第55回新宮花火大会)が13日夜、新宮市の熊野速玉大社下の熊野川河川敷であった。打ち上げ花火約5000発、仕掛け花火約20基が夜の熊野川を彩り、約5万人(主催者発表)の観客を魅了した。
新宮仏教会による初精霊供養、流し燈籠などの後、田岡実千年市長、丹羽生・市観光協会長、山口泰郎・新宮徐福協会代表理事、関康之・新宮商工会議所会頭、屋敷満雄・市議会議長の5人が導火線に点火し、仕掛け花火スターマインが夜空に一斉に打ち上がった。
熊野川河川敷には約150㍍にわたって夜店が並び、子どもらでにぎわった。
(2017年8月15日付紙面より)
那智勝浦町花火大会
那智勝浦町花火大会(大会長・寺本眞一町長)が12日夜、那智湾で開かれた。この日は盆の連休と重なったこともあり、約4万5000人(主催者発表)の観客が夜空に咲く約5000発の花火を楽しんだ。
町民の手作りを大会の基本理念に、同大会実行委員会(大江清一委員長)が中心となって開催しており、今年で11回目。プログラムは、海の章、追善供養、山の章、フィナーレの4部構成で、締めには音楽に合わせて大玉花火を連発した。
会場周辺には開催前から人だかりができ、浴衣姿の来場者も見られた。色とりどりの花火が打ち上がると、「どん」という音とともに衝撃波が伝わり、歓声が上がった。
初めて那智勝浦の花火大会を見たという京都府京都市から来た伊藤大輔さん(32)、久美さん(30)夫妻とその子どもの蒼輔君(2)、花ちゃん(0)は「曲に合わせて花火が打ち上がっていたのが印象的。最高の花火で、京都から来たかいがありました」と喜んでいた。
(2017年8月15日付紙面より)
古座川商店プロジェクト (古座川町 )
古座川町のあらゆるものを発信する「古座川商店」を立ち上げるプロジェクトがこのほど、クラウドファンディングの開始を機に公に動き出した。まちの情報発信力強化を目指す試みで、年内の同商店開設を目指して発起人3人が挑戦している。
町内にある全ての人や物産や事柄を情報発信し、多くの人々に古座川を伝えてファンを作り、究極的には移住推進を図ることまで視野に入れたプロジェクト。発起人はもりとよ商店を営む出身者・森武志さん(41)、農園を営む出身者・松林秀哲さん(42)、デザイン会社を営むIターン者・岩倉昂史さん(23)の3人で、日頃の商売で培った感覚で顧客と地域の架け橋になる仕掛けを思い描いている。
「古座川商店」は、メディアとショップの2機能を兼ね備えた運営形態。メディアとしては地域の日常や生活の知恵を紹介し、住民が観光客の興味をくんで地域情報を伝えるような温かみのある情報発信の仕組みを、物産販売では既存の物産品にとどまらずテナガエビや高齢者仕込みの漬け物、町民同士で分け合っている旬の味覚やアウトドアレジャー体験など、町内で得られるあらゆるものを商品として並べる仕組みを見据えている。
これら仕組みをまずはネットショップとして実現し、将来的には実店舗も構えて生み出したファンが町域を訪ねる筋道づけを目指している。
発起人代表の森さんが数年前に同プロジェクトの発端となる構想を持つようになり、同級生の松林さんやプランニングに秀でた岩倉さんと意気投合したことで「古座川商店」プロジェクトへと発展。内容周知を兼ねてクラウドファンディング(アドレスhttps://camp-fire.jp/projects/view/37281)による資金調達を試みるに至った。
調達期限は10月24日(火)。町域ならではの各種リターンを設定して不特定多数からの支援を求めていて、究極は空き家1軒のリターン(99万8000円、リフォーム必須)も掲げている。
構想加速の引き金は、インターネット上における同町のアピールの弱さに対する3人の共感。「現状は町外に優しくない」と評価した3人は、商売人視点で相手への優しさと運営を支える収益性を意識してこのプロジェクトを立ち上げた。クラウドファンディングは資金調達というよりも、事前にファンを作りその信頼や期待を力にして一緒に挑戦したいという思いで試みているという。
構想を公に打って出る段階に入り、森さんは「物より人に光を当て、古座川町に住む誰もが前を向いて生活する仕組みにしていきたい。そのことが町の価値を高め、生きがいや移住を増やす町の価値の高まりにつながると思う」と同プロジェクトに込める思いを語った。
(2017年8月15日付紙面より)
1年分約15㌧の納入目指す (串本町地産地消生産者組合 )
串本町地産地消生産者組合(山下敏文組合長、会員21人)の学校給食米収穫が12日から始まった。本年度は1年分約15㌧納入を目指し、会員一丸で収穫に励むという。
同組合は平成21年度から、学校給食における地産地消推進に協力し、町内産コシヒカリの納入に取り組んでいる。前年度は全町規模の学校給食が本格化し、年間需要は約4倍(約4㌧→約15㌧)に急増。さすがに即応は難しく、まずは2~3学期分の約11㌧の納入を目指した。
本年度は新たに4人を組合員として迎え21人体制で学校給食米の生産を始めた。新たに再興した休耕地はないが、組合員増強により耕作面積が3・5㌶増え、同組合全体で約22㌶まで拡大し、この体制で年間需要をまかなうことを目指している状況だ。
この日は組合員の坂本渡さん(64)が同町高富にある町営住宅そばの水田を稲刈り。収穫した米の全量を学校給食米に充てるそうで、「『子どもたちがおいしいと言ってくれている』と学校給食センターも喜んでいる。今年も2学期最初の給食から新米を味わってもらえるよう頑張りたい」と意気込んで、約30㌃分を同日中に収穫した。
今年は全体的に豊作傾向だそうで、同組合は約1カ月がかりで収穫の適期を迎えた水田から順次稲刈りを進める。収穫期を迎えて山下組合長(67)は「組合として目指しているのは、年々増える耕作放棄地を少しでも減らしながら安心安全でおいしい学校給食米を届けること。まずは一昨年までのように、年間の必要量を組合でまかなえるよう努めたい」と話した。
(2017年8月15日付紙面より)
日本水泳連盟主催泳力検定
新宮と向陽が第3回定期戦を開催
帰省ラッシュがピーク (熊野地方 )
盆をふるさとや行楽地で迎えようという家族連れなどのラッシュが「山の日」の11日、ピークを迎えた。熊野地方の幹線道路、国道42号では他府県ナンバーの車が増え始め、列車の乗車率も上がっている。帰省した熊野川町出身の60代女性は「墓参りに戻ってきました。孫を連れてきたので、実家の方に行ってみようと思います」と話していた。
JR新宮駅では、京都・大阪方面や名古屋方面からの特急列車に乗って帰省した人々が大きな荷物を抱えて続々と改札を通り、迎えに来た家族と手を振り合う様子が見られた。
改札付近には「お見送り&お迎えコーナー」が設置され、利用客らを出迎えた。盆や春の大型連休、年末年始などに設けており、家族らがホームをのぞき込むようにして列車から降りてくる家族などを捜す姿があった。
駅として地域を元気づけ、利用者に喜んでもらおうと、季節に合わせたさまざまな取り組みをしている。電車を降りた人を出迎えるのは「おかえりなさい!!」の温かな言葉。夏らしいデザインで、駅社員の石野恵美さんが制作した。
駅では「最も多く利用されるお盆の時期は、関西や関東から大勢のお客さまが新宮の故郷に見えられます。安全で安心して利用できる列車で来られるお客さまに、温かい雰囲気でお迎え、お見送りするためのコーナーを作りました。お客さまに『新宮駅に来てよかった』と感動していただければ、私どももうれしく思います」と話していた。
(2017年8月13日付紙面より)
体育文化会館で強化合宿 (那智勝浦町 )
きのくに和歌山国体での総合優勝を記念して県レスリング協会(森下正紀会長)と県高等学校レスリング専門部は9日、国体レスリング競技の会場にもなった那智勝浦町体育文化会館で強化合宿をスタートさせた。16日(水)まで行われ、最多で約350人が練習に参加する。
合宿は参加者の競技力向上と地域のスポーツ振興を図るのが目的。町体育文化会館は元国体会場であることに加え、マットが6面使用でき、旅館も近いといったメリットがあるため、全国の選手を集める強化合宿の会場として定着してきた。今回で8回目になる。
早稲田、専修、近畿、桃山学院などの大学をはじめ、近畿各府県や遠くは沖縄から高校レスリング部、社会人チーム、地元の小中学生チームが参加。中には各世代の日本チャンピオンもいる。アトランタ五輪銅メダリストで早稲田大レスリング部監督の太田拓弥さんら各参加団体のコーチが指導している。
練習開始前に太田さんは「練習も今年で8年目を迎えて、年々参加人数が増えてレベルも上がってきている。小中高校、全日本レベルの選手が一堂に会するのは日本でもここだけだと思う。レスラーとして模範となるような行動を心掛けて」と呼び掛けた。
1988年のソウル五輪で金メダルを獲得し、現在専修大学のレスリング部監督を務める佐藤満さんは「多くの人が環境を用意してくれたおかげで練習ができる。環境づくりをしてくれた人に感謝して自分をマネジメントし、強い選手、相手の難しい選手を見つけて練習をお願いして。考えて行動できる選手がチャンピオンになる」と選手たちを鼓舞した。
(2017年8月13日付紙面より)
第34回土と水と緑の学校 (新宮市 )
第34回「土と水と緑の学校」(新宮市など主催)の閉校式が12日、同市高田の高田グリーンランドであった。今年は台風の影響で日程を2日短縮し、新宮市の姉妹都市、宮城県名取市の小中学生10人は参加できなかったが、3泊4日の日程を無事終えた。
大自然の中、地球の基本である土、水、緑について学び、その役割、大切さに気付いてもらうことを目的に毎年この時季に開校している。閉校式では参加した児童生徒90人が4班に分かれ、共同生活で学んだ成果を替え歌などで発表。「ホエールウオッチングでは船酔いした人もいたけど楽しかった」「カヌーが楽しかった」「最初は仲間とあまり話せなかったけど、最後には仲良くなれた」などと話した。
参加者たちに修了証を手渡した校長の田岡実千年新宮市長は「自然の美しさ、海の雄大さ、自然の役割を感じてくれたと思います。学校で感じたことをこれからの生活に生かしてください。また来年もお会いできることを楽しみにしています」とあいさつした。
公益社団法人アジア協会アジア友の会の村上公彦事務局長は「台風の影響で2日間短縮しましたが、プログラムを良く組めたと思います。各活動を見て回りましたが、みんな元気によく頑張っているなあと思いました」と講評した。
(2017年8月13日付紙面より)
新宮サマーサッカーフェスティバル
道の駅たいじオープン (太地町森浦 )
太地町森浦で建設が進められていた「道の駅たいじ」が完成し、11日正午にオープンした。古式捕鯨発祥の地である太地町の玄関口として、クジラとともに歩んできた地域の歴史・文化情報を発信し、町の「森浦湾くじらの海計画」と連携した体験型の環境学習にも利用していく。
道の駅たいじは直轄一体型道の駅として、県内31番目の道の駅として登録された。施設面積は5168平方㍍で、駐車場57台(大型車5、小型車50、身障者用2)を整備。トイレは「日本一きれいなトイレ」をコンセプトに落ち着いた色調を採用。ゆとりある共用スペースを設け、女性用には「パウダーコーナー」を設けている。子ども用、多目的トイレもある。電気自動車(EV)充電器や公衆無線LAN、町内循環バスの停留所も備える。コンシェルジュ(案内係)が常駐し、観光案内や地域の歴史文化の情報を発信する。
駅長は太地町漁協参事の貝良文さんが務める。駅内には地域産品を販売する直販エリアがあり、地域から個人団体あわせて70人が農水産物や加工品などを出品する。
クジラや地元で捕れた魚が食べられるレストランがあり、初日はクジラスタミナ丼とマグロ丼がおよそ半額の500円(税込み)で出された。12日から通常メニューが始まり、20日からイルカや地元の魚介類を使った料理も提供する。貝駅長は「直販コーナーでは、ぜひ新鮮なものをお買い求めいただきたい」と呼び掛けている。
式典で三軒一高町長は「町の玄関口に位置するこの施設は、町の食・観光の大きな起爆剤になると確信している」と完成とオープンを喜んだ。
太地町民芸保存会によるくじら太鼓が披露され、二階俊博自由民主党幹事長らが出席してテープカットが行われた。
(2017年8月12日付紙面より)
新宮市観光フォトコンテストの審査会が10日、新宮市福祉センターであった。6人の審査員が県内外の42人から応募があった作品168点を厳正に審査した。最優秀賞などの入賞者は今月下旬に発表する。
新宮市観光カレンダー製作実行委員会が主催の今年6回目の事業。入賞作品は最優秀賞1点、優秀賞4点、入賞10点、特別賞10点程度で、観光カレンダーやパンフレットなどで活用する。カレンダーは10月中の完成を目指している。
今年のコンテストのテーマは「歴史と文化のまち、しんぐう」。神倉神社、熊野川、新宮城跡、新宮花火大会、御燈祭り、熊野川、王子ヶ浜などを撮影した写真が出品された。
審査員を務めたのは実行委員会委員長の森本祐司・市観光協会専務理事、田岡実千年市長、丹羽生・市観光協会長、市展審査員の児嶋毅さんと杉本光朗さん、新宮市商工観光課の勢古口千賀子企画員。テーブルに並んだ応募作品の中で自分が気に入った作品に付箋を付けていった。
審査委員長を務めた児嶋さんは「どれもレベルが高く、甲乙付け難い。選ぶのが大変です」と話していた。
(2017年8月12日付紙面より)
交通課ら特別活動始める (串本警察署 )
串本警察署(津田健治署長)は10日、夏季特別交通事故防止活動を始めた。この日は出発式を経て、道の駅くしもと橋杭岩で街頭啓発を実施。津田署長は「観光に来て事故を起こしては楽しい思い出も台無しになる。取り締まりを強化するのはそうならないよう緊張感を持ってもらうため。皆さまの安全運転で事故を少しでも減らせるよう努めたい」としている。
県警交通事故抑止総合対策「ユニバーサル・セーフティ・パッケージ2017」の一環。行楽繁忙期に懸念される交通事故の増加をドライバーらの意識で抑止する試みで、同署は今回「みなSUMMERの力を合わせて交通事故をなくしましょう!」を独自スローガンとして掲げ、啓発や指導取り締まりの強化といった手法で同活動の推進を図るとしている。
出発式では、東谷潤交通課長ら交通課と地域課の課員15人が津田署長に同活動に従事することを報告。県警配備の大型白バイ「GL1500」を先頭に警察車両を運用し管内の警らにあたった。
啓発には串本町役場や県交通安全協会串本支部の職員も協力。今回は▽子どもと高齢者の交通事故防止▽飲酒運転根絶▽駐車場での事故防止―に重点を置き、街頭犯罪や特殊詐欺被害の防止を呼び掛ける資材も含めて啓発物資を配るなどした。啓発効果を高めるため、大型白バイとともに県警マスコットキャラクター「きしゅう君」も登場し、往来する家族らの注目集めに貢献した。
日頃の重点項目にない駐車場での事故防止は、前向き(前進)駐車ではなくバック駐車を促すことで、後進で車を出す時の事故発生を防ぐのが狙い。同署は当面、前向き駐車する車両に指導票「セーフティー・みちびきカード」を配り、バック駐車を心掛けるよう求めるとしている。
東谷交通課長によると、同署管内では8月に交通事故件数が少ない月の倍になる傾向にあるそう。行楽繁忙に伴う交通量の増加に加え、夏バテや長時間移動に伴う疲れなど事故を誘発する要因が多い月でもあり「だからこそ一件でも事故を減らしたいという思いを持って同活動に臨む」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
県電気工事工業組合新宮支部
「電気使用安全月間」(毎年8月)中の9日、和歌山県電気工事工業組合新宮支部(勝山康文支部長、52社)は新宮市五新の自動車会館でLEDランプを作る「LED親子工作教室」を開き、小学生24人と保護者らが参加した。
同支部では長年にわたり、学校、保育園、幼稚園などの施設の電気設備の点検や電気器具の清掃を進めてきた。今年は、協議を重ねた結果、電気に関して興味を持ってもらうことなどを目的に、関係各所の協力を得て、工作教室を開催することになった。
勝山支部長のあいさつの後、講師のパナソニック社(エコソリューションズ社)のキャリア教育コーディネーターの布谷秀嗣さんが、LEDは日本語にすると「発光ダイオード」といい、信号機、自動車のライト、スポーツ施設の大型ビジョンなどで使用されていることや白熱電球との比較などを説明した。
工作は、土台作り、LED選び、本体作り、飾り付け、和紙張りと五つの行程に分けて行われた。工程ごとに丁寧な説明を受け、親子で協力しながら作業し、完成後はできた作品を持って記念撮影した。
祖母と参加した三輪崎小学校6年の阪本英士君(11)は「夏休みの工作にと参加しました。作業も簡単で、楽しかったです」と話した。
(2017年8月12日付紙面より)
京都橘大がプロジェクト
那智勝浦町と「大学ふるさと」協定を結ぶ京都橘(たちばな)大学(京都市山科区)の学生36人と教員5人が2日、「熊野再発見プロジェクト2017」で来町した。2泊3日の日程で地域の観光資源を研究する。
このプロジェクトは2014年10月に町と大学で行われた観光・まちづくりに関するミーティングを契機に、15年6月に発足した。大学の地域連携事業の一環として観光資源を研究し、地域の再生に協力するのが目的。都市文化資源論の受講生を中心に関心ある学生が参加しており、学生と地域住民が交流しながら新しい地域の姿を見つける狙いもある。
今年で3回目になるが、来年度は橘大地域連携センター長で再発見プロジェクトを指揮する木下達文教授が別のプロジェクトに取り組むため、休止となり、再来年度に再開する予定。
初日は、学生らが那智山青岸渡寺と熊野那智大社を見学。ホテル浦島では歓迎会が催され、町から関係者18人が出席して学生たちを迎えた。
町観光産業課の在仲靖二課長は「明日からの体験でぜひ頑張って町の魅力を再発見していただけたら」とあいさつ。町観光協会の花井啓州会長が乾杯の音頭を取った。各テーブルで町関係者と学生が歓談を交わした。
3回目の参加になる現代ビジネス学部都市環境デザイン学科の松尾和斗さん(3年)は「1回の期間が短いので回数を重ねて町の全貌を見たい。今回はお土産のパッケージデザインを研究し、新しい商品開発も提言できたら。太地町にも目を向け、那智勝浦町と地域の関わりも見たい」と話した。
3日は学生が班ごとにテーマを決めてフィールドワークに取り組み、関係各所への聞き込みや観光地を調査する。4日は体育文化会館でフィールドワーク報告会を開き、調査に基づいた報告や提案をする。
(2017年8月4日付紙面より)
新宮高校でオープンスクール (新宮市 )
新宮市神倉の県立新宮高校(畑伸憲校長)のオープンスクールが3日、同校であった。新宮・東牟婁地方を中心に17校から279人が参加し、体験講座を受講。進学への意識を高めた。
同校の学習内容や学校生活を体験し、理解を深め、中学校での進路指導に役立ててもらおうと中学3年生を対象に毎年実施している。畑校長は「オープンスクールで雰囲気を感じてもらえれば。進路選択は自分で情報を集めることが大切。有効に活用して」とあいさつ。
進学、就職などの進路に向けた指導も充実しており、安心して入学してきてほしいと呼び掛け「最大のうりは豊かな環境。県内でも敷地面積は1、2を争う。学習や部活の環境も整っており、個人活動にも十分な余裕がある」と紹介した。
高校1年生が校訓「質実剛健」の意味や授業、行事、クラブ活動など高校生活を説明。自身の所属する部活や学校生活で良いと思うことを挙げた。その後、中学生らは8教科12科目の体験講座の中から自分が事前に申し込んでいた内容を受講し、高校の授業の雰囲気などにじかに触れていた。
(2017年8月4日付紙面より)
新翔高校で教育体験学習 (新宮市 )
中学生対象の新宮市佐野の県立新翔高校(永石和校長)の生徒教育体験学習が2日、同校であった。新宮東牟婁地方と三重県内の11中学校から167人と保護者13人、引率教員18人が参加。講座やクラブ体験で進路への考えを深めた。
総合学科への理解と進路に関する目的意識の高揚、学習意欲の育成を図る目的で毎年実施している。全体会で國見一郎教頭は同校が今年創立100周年を迎えることや総合学科の特徴などを交えてあいさつ。
生徒会による学校説明では丸亀弘稀会長、安井貫乃副会長が特色ある系列や科目、クラブ活動、学校行事をスライドで紹介した。その後、中学生らは13講座の中から事前に申し込んでいた内容を受け、高校の学習を体験した。
建設実習には同校建設技術部の生徒らが協力した。担当教諭から授業の特徴や川原家、資機材の説明などを聞き、測量や建設車両の運転の実習に挑戦した。
森口斗輝君(15)は「パワーショベルが運転できると聞いて参加しました。体が車両と一体化しているようで思うように運転できました。川原家のことが学べました」。
十河りく君(14)は「面白そうだと思い参加しました。初めて乗り、どう動かすかがよく分かりました。震動が来て面白かった。工業科ではどのようなことをしているかが学べました」と話していた。
(2017年8月4日付紙面より)
トレス市の副市長ら一行 (串本町 )
串本町の友好都市、オーストラリア・トレス市のイェン・ロバン副市長ら一行が2日、両市町友好の深化を目指して来町した。7日(月)午前まで滞在する計画で、到着後すぐに田嶋勝正町長を表敬訪問し、記念品を交換するなどして親交を深め合った。
同市はオーストラリア北東部に位置する、明治期以降約7000人の日本人が白蝶貝採取事業などに従事するため渡航した海域「トレス海峡」の7島とヨーク岬の2地域を統括する行政区。渡航者の約8割は和歌山県出身者で、ダイバーとして従事し現地で命を落とした約700人のうち、162人が同町の出身者だったとされている。
両市町の友好都市関係は、串本町出身者をはじめとする日本人渡航者がもたらした技術で市域発展の礎を築いた先人の絆を起点にして新たな友好を築きたいというトレス市からの申し出により、平成23年12月7日の友好都市宣言合意文書調印によって成立。現在6年目の半ばを迎えている。
来町したのはロバン副市長と妻のアリス・ロバン夫人、ガブリエル・バニ市議会議員と同市企業・地域振興部のアンドリュー・ブラウン部長、日本人渡航者子孫の芝崎ロンダさんの5人。ボンダ・マローン新市長就任の報告と現地視察が目的だという。
田嶋勝正町長の歓迎を受けたロバン副市長は同島の日本人墓地や盆フェスタ、人口規模や産業の現況を話題にして懇談を重ねる中で、市域で日本人ダイバーの歴史を今以上に伝えるためにこの6日間で友好をより深めたいという思いも打ち明けた。田嶋町長は時季折々の交流とともに普段付き合いを重ねることが友好を長く続ける手段になると応え、両市町経由で互いの物産を販売し合うことを提案するなどした。ブラウン部長は同墓地保存について日本国政府や日本財団に資金援助を求めていることを報告し、田嶋町長は同町も後者と縁があり、協力を申し入れるとした。
懇談後は同町から記念楯、同市から成人や友好の象徴としての意味合いを持つ装飾品「ダーリィ」を贈り合い、今回の来町交流の証とした。
一行は翌3日、同町潮岬にある潮風の休憩所を訪ねて関係資料を視察し、隣接する顕彰碑に献花。木曜島遺族会(坂井敏生会長)との懇談に臨んだ。以降は町内近隣の現地視察が主な行程で、串本まつり串本節踊りや花火大会、巡視船体験航海への参加や両市町間の会食交流も含まれている。
(2017年8月4日付紙面より)