御創建1900年に向け (熊野速玉大社 )
新宮市の熊野速玉大社(上野顯宮司)は24日、同大社のご神木「梛(なぎ)」の大樹から剪定(せんてい)した梛の木を境内に植樹した。梛は2028年に迎える、同大社御創建1900年の節目に当たって広く公開される予定だ。
樹齢約1000年と伝わる同大社の梛の大樹は、熊野権現の象徴として信奉あつく、平和の象徴ともされている。
このたび植樹した梛は、高野町の造園修景工房・山本園の代表取締役で樹木医の山本聰洋さんらが2010年に大樹の初期治療を実施した際に剪定した枝。枝は上富田町の県林業センターで挿し木していたが、約200本のうち残ったのは1本のみだったという。
同大社では、御創建1900年の記念事業の一つとして、大樹の遺伝子を受け継ぐ枝の植樹を計画。参道沿いの「八咫烏(やたがらす)神社」と「鑰宮(かぎのみや) 手力男(たぢからお)神社」の裏の一角を仮植え場所に定め、植樹を実施した。仮植えは木を環境に慣らすためのもので、今後、木の成長などに伴い植栽場所を移すことも視野に入れている。
植樹には、山本さんと同社社員らが協力。約120㌢の木を丁寧に植えて添え木をし、周囲に柵を設けて作業を終えた。山本さんによると梛は成長が遅く、1年で成長するのは10㌢程度だという。
山本さんは「人間も元々は自然の生き物。(梛の大樹について)こうして千年も長い命で生きられるということは、その周辺が人間にとっても安心できる場所であることの象徴だと思う。その木が、安全で平和な場所であることを教えてくれる。ご神木にはそういった日本人の根源的な裏付けがあると思う」と話し、植樹した梛の成長を願った。
濵中孝成禰宜(ねぎ)は「熊野の気候やこの環境にも慣れて成長してくれたら何より。葉も厚みがあって今の状態だと元気に育つと思う」と話し「手で触ると弱ってしまう可能性もあるので触れずに見守ってほしい」と呼びかけている。
(2023年5月26日付紙面より)
作品の貼り付け作業 (紀宝町 )
ほたるを守る会(蔵本一範会長)は24日、紀宝町の鵜殿ふれあい会館で「ほたる灯ろう展」の会場に展示する灯ろう作品の貼り付け作業を行った。
4年ぶりとなる灯ろう展は、紀宝町ふるさと資料館前広場で6月3日(土)午後6時30分始まり、町内の小学生が描いたホタル灯ろう作品193点を展示する。雨天順延。4日(日)も雨天の場合は田代体育館で実施。
ほたる夢太鼓の演奏で開幕し、優秀作品表彰式、ホタル学習、○×クイズの後、灯ろうに明かりをともす。
作業には、守る会の会員や町社会福祉協議会の有志、町職員ら20人が参加。児童が縦50㌢、幅100㌢の和紙にホタルを描いた作品を木製の灯籠枠に貼り付けた。
2時間かけて作業した後、会長賞や町長賞、各学年の学年賞などを決めた。蔵本会長は「全小学校から応募があり、初めて出品してくれた1~3年生も上手に描いてくれた。久しぶりの灯ろう展なので、会員一同楽しみにしている。ぜひ、会場で子どもたちの作品を見てください」と話していた。
(2023年5月26日付紙面より)
「スターブリーズ」が入港 (新宮港 )
外国客船「スターブリーズ」(総トン数1万2969㌧、全長159㍍、ウィンドスタークルーズ)が24日、新宮港に入港し、同日午後に出港した。出港時にはお見送りイベントが行われ、梛(なぎ)の木見送り隊や地域住民、市のツイッターキャラクター「めはりさん」、県PRキャラクター「きいちゃん」らが手を振って見送った。
クルーズ名は「日本をめぐる グラン・ジャパン・クルーズ」で行程は神戸~高松~鞆の浦~唐津~釜山(韓国)~長崎~鹿児島~終日航海~新宮~清水~東京。新宮港に降り立った191人の乗客らは、当地方の観光を満喫した。
見送り時には、里中陽互・市観光協会長が「この地は、1日では回り尽くせないほどのたくさんの見どころがある。地域を挙げて歓迎させていただくので、二度、三度と熊野・新宮へお越しください」と呼びかけた。
クルーズ客船歓送迎イベントでの演奏披露は約7年ぶりとなる、近畿大学附属新宮高校・中学校吹奏楽部が「Let’s Swing」や「リトルマーメイドメドレー」などを披露。同船は、地域住民や見送り隊らの「ありがとう」「またきてね」の声に見送られながら次の寄港地へ出発した。
次回のクルーズ船の入港は6月8日(木)を予定。「飛鳥Ⅱ」が入港する。
(2023年5月26日付紙面より)
嶋幸二14周年コンサート (串本町 )
串本町潮岬在住の演歌歌手・嶋幸二(本名・島田和幸)さんが21日、文化センターでのデビュー14周年記念のチャリティーコンサートを開き300人強の歌仲間や観客が多彩なステージ発表に親しんだ。
収益を地元の社会福祉向上につなげる地域貢献の思いを込めて回を重ねている同コンサート。元アナウンサーの柿白享子さんに司会進行を求め、嶋さんが会長を務める潮岬(みさき)節保存会の踊り子連が友情出演でダンスを披露して開演を飾った。
演歌を愛唱する歌仲間や西川流友千恵会社中の友情出演、歌手・橋度順子さんの特別出演を経て嶋さんのステージへ。花束などの激励を受けながら持ち歌や他曲のカバーで歌声を響かせ、続く若手の演歌歌手・朝花美穂さんのステージへとつないだ。
嶋さんは同コンサート当日の10日前、妻の突然の他界に直面。悩み周囲に相談して励まされた末、歌手として行くべき道を進むことを決意し待つ観客のために同コンサートを敢行した。この決意を促した持ち歌「紀州の漁師」「渚(なぎさ)の思い出」の共同作詞作曲者・永田要之助さんの同伴を得ながら冒頭のあいさつでその胸中を打ち明け、精いっぱいのステージにしたいと思いを掲げて来場に感謝した。
(2023年5月26日付紙面より)
県年金受給者協会グラウンドゴルフ大会
全日本バレー東牟婁予選 ( )
和歌山県空手道選手権大会 (和道流新宮支部 )
大会出場を視野に腕磨く (新宮市 )
「頑張れ」「落ち着いて」「集中、集中」「スピードいらんよ」。新宮市佐野のくろしお児童館の一室で仲間を応援し合う声が響く―。15年以上続くけん玉教室の一場面だ。現在6人の児童が月に2回、切磋琢磨(せっさたくま)し、けん玉の腕を磨いている。
指導するのは、元小学校長で現在は、太地町立子育て支援室・子どもの居場所づくり指導員の村上和弥さんだ。学力向上や人格形成につながると考え、教師時代から30年以上にわたって子どもたちにけん玉を教えてきた。
日本けん玉協会に所属し、二段を取得する村上さんは、けん玉で三つのC「コンセントレーション(集中力)」「コンフィデンス(自信)」「コントロール(調整力)」が養えると話す。
けん玉によって、計算のミスが減少した事例もあるとした。これまでに、全国大会出場者を3人輩出し、うち1人は全国制覇を成し遂げている。
村上さんは「けん玉道といって、武道と同じく、道が付く。三つのCだけでなく、礼儀や作法、相手を思いやる気持ちも育つ」と述べた。
けん玉には級位・段位があり、近畿大会や全国大会も開催されている。試合は規定の種目を、決められた回数内で成功させ、点数を競い合う。
同教室は、年度ごとの登録制で定員は10人。村上さんは、本年度メンバーの市立三輪崎小学校の浦晴之君(4年)と田原拓真君(6年)の2人が近畿大会で活躍できる可能性があると話す。
練習日ごとに行われるけん玉検定において、2人はすでに準初段に合格。4月27日の検定では50点満点中、浦君が32点、田原君が41点をたたき出している。
村上さんは「40点台なら近畿大会の決勝に出られる。けん玉は努力すれば報われる競技。2人の活躍はもちろん、メンバー全員の成長に期待している」と話した。
浦君は「玉が入った時の爽快感が好き。拓真君と一緒に大会に出て、活躍したい」。
田原君は「難しい技に成功した時がうれしい。検定では悔しい思いをしている。大会に出て優勝したいです」と語った。
取材中、メンバーが礼儀正しく、互いを鼓舞・助言し合う姿が度々見られた。記者は、村上さんの言うけん玉の効果が表れていることを実感した。
(2023年5月11日付紙面より)
多くの人でにぎわったGW (太地町立くじらの博物館 )
新型コロナウイルスの5類移行を前に迎えた今年のゴールデンウイーク(GW)。太地町立くじらの博物館(稲森大樹館長)は、県内外から訪れた多くの来場者でにぎわった。連休中(1~7日)の入館者数は1万427人(「こどもの日」の5日に実施した小中学生無料の人数含む)で、2019年の9722人(同)を上回り、コロナ禍前の水準に戻った。
同館によると、「こどもの日」の5日には769人の子どもが来館。19年は567人で、子どもの数も大幅に増加した。連休期間中に最も入場者数が多かったのは5日で2844人が訪れた。無料分の子どもの数を除いた数では、4日の2792人が最高となった。なお、昨年の同期間中の来館者数は9313人(「こどもの日」の小中学生489人含む)で、今年と同様、行動制限のなかった昨年よりさらに盛況だったことがうかがえる。
連休中の感染症対策は、アルコール消毒などの対策は従来通りとした。マスク着用は個人の判断に任せる形を取った。
今回の入館者数増について同館は、日の並びや天候に恵まれたことなどを要因に挙げている。
稲森館長は「多くの皆さまにお越しいただき、ありがたい。コロナの5類移行もあって、今年は期待したい」。
今後については「昨年度は教育旅行や旅行支援などがあった。コロナの緩和も含め、今年は来館者の構成も大きく変わってくる。初めて来られたお客さまに再び来館してもらえるように、また、外国人観光客の方々にも多く来てもらえるような計画や企画に努めていく」と話していた。
今後は、コロナ禍中に実施できなかった学芸員が入館者を案内する「スポットガイド」や多言語の音声ガイド機器の貸し出し、特別イベントの開催も計画しているとした。
そのほか、施設内での滞在時間増や満足度の向上に向けて9日から、飲食関連のキッチンカーの募集をホームページ上で開始した。土日や夏休みなどに館内敷地内で稼働する予定だ。
(2023年5月11日付紙面より)
孫(子)とGG楽しもう (潮岬青少年の家 )
串本町潮岬にある県立潮岬青少年の家の主催事業「こどもの日企画 孫(子ども)とグラウンド・ゴルフ(GG)を楽しもう」が6日にあり、ペア8組16人が競技に親しみながらの家族だんらんを楽しんだ。
高齢者層に人気が高く、世代を問わず誰でも簡単なルールで挑戦を始められるニュースポーツ・GGを架け橋にし、こどもの日の家族だんらんを応援する体験プログラムとして計画。今回は孫や子とペアを組む高齢者層が競技愛好者ぞろいだったため、序盤は自由練習としてペアでGGに慣れてもらい、中盤以降2ペア一組でプレーに挑戦した。
今回も日本GG協会公認のコース二つ(計16ホール)を使用。各ペアは2人が交互に打ち進めるルールで各ホールを回り、表彰はないがその合計打数でどのペアが1~3位になったかを発表してたたえ合った。今回は午後の天候の崩れを警戒し、当初予定していた敷地内での昼食休憩は省略。最後はこどもの日のプレゼントとして孫や子に菓子を配って締めくくった。
この体験プログラムは昨秋に敬老の日企画として計画したが雨天中止となり、家族が帰省する今年の正月に合わせて再度計画して参加を呼びかけ初実施にこぎ着けた。その時に1位となった河田一夫さん・河田舞耶さんペアが今回も、2位と1打差の合計打数46で1位となった。
(2023年5月11日付紙面より)
ウインドカンパニーが演奏会 (那智勝浦町 )
那智勝浦町立勝浦小学校(山下真司校長)で8日、ウインドカンパニー金管合奏団による演奏会が開かれた。同校の全校児童227人と同町立市野々小学校の児童25人が、プロによる生演奏を楽しんだ。
ウインドカンパニーは「ウインドカンパニー管楽オーケストラ(吹奏楽団)」を母体に、主に関西で演奏活動を行っていたプロアーティストたちによって1994年に誕生。小学校から高等学校までさまざまな学校で音楽会を行い、弦楽や打楽器アンサンブル、混声合唱団、ジャズバンド、ポップスバンドなど多様なジャンルの芸術講演活動を続けている。
この日は金管合奏団からトランペット、ホルン、トロンボーン、チューバ奏者の5人が来校し、児童の手拍子に合わせて「さんぽ」を演奏しながら登場。「ぞうの行進」ではホルンでゾウの鳴き声を表現し、「トランペット吹きの休日」では2本のトランペットによる繊細で軽やかな演奏技術を披露するなど、さまざまな演出や工夫で児童を楽しませた。
楽器紹介では映画「崖の上のポニョ」やゲーム「スーパーマリオブラザース」からおなじみの曲を演奏し、楽器の魅力を伝えた。
浪花蒼斗君(3年)は「アンコールのドラえもんの曲はもともと好きだけれど、演奏してもらってもっと好きになった。トランペットがかっこよかった」と話していた。
(2023年5月11日付紙面より)
第27回大石杯テニス大会
リンダ部会長が市長訪問 (新宮市、サンタクルーズ市 )
新宮市の姉妹都市・米カリフォルニア州サンタクルーズ市(サ市)のリンダ・スヌーク市姉妹都市委員会新宮部会長と夫のジムさんが1日、新宮市役所を訪れ、田岡実千年市長を訪問。サ市のフレッド・キーリー市長からの手紙を田岡市長に渡し、両市の今後の交流の深化に期待を寄せた。
両市の交流は新宮市内の合気道熊野塾で修行していたサ市出身のメリー・ハイニーさんら4人の提唱で始まった。1974(昭和49)年に姉妹都市関係を締結。文化交流や訪問団の派遣などを通して友好関係を築いてきたが、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で、訪問団の派遣などを通した直接的な交流は2019年の10月を最後に中止に。
以降はオンラインを利用して「日米姉妹都市間ベルリングプロジェクト」や交流事業を展開。2020年の姉妹都市提携45周年記念交流会もオンラインを通して実施された。
コロナ禍以降、初の来新がかなったリンダ部会長を、田岡市長や市姉妹都市親善協会(岩澤卓会長)のメンバーらが歓迎。
リンダ部会長は「非常に多くの若者が新宮市との相互訪問を通じて、人生を変えるような瞬間を経験してきた。新型コロナウイルス感染症による困難な時期であっても、Zoom(ズーム)を活用してのプレゼンテーションや会議、オンラインイベントによって、両市は強いつながりを維持することができた。私たちの姉妹都市関係は、逆境を乗り越えることができた。両市の深いつながりがこれからもますます強まることを確信し、今後の交流や相互訪問団の活躍を楽しみにしています」などと記されたキーリー市長の手紙を紹介。
対し、田岡市長は「関係各位が架け橋となって始まった姉妹都市交流も、これまで幾度となくお互いに訪問し合っており、お互いの文化や人々に触れ、かけがえのない体験や出会いを通じて交流の輪が広がってきた。両市民の温かく強い結び付きが培われ、長年にわたる交流への歩みへとつながり、国際交流が深まったことを大変うれしく思う」と、キーリー市長に宛てた手紙を読み上げた。両者は手紙とともに記念品を贈り合い、サ市からはサーフィンにゆかりのある同市にちなみ、波が描かれたまな板などが、新宮市からはスヌーク夫妻に対しはんてんが贈られた。
約10年にわたり、ホストファミリーとして新宮市の子どもたちを迎えてきたリンダ部会長。「今後は、大人の訪問団の派遣を通して、まちづくりのノウハウを交換できれば」。初めて日本を訪れたというジムさんは「文化的、芸術的なことを学び合うことができれば、お互い素晴らしい経験になると思う」。
田岡市長は「子どもたちの訪問に加えて、今後は大人たちの交流も実現することができれば」と話していた。
両市は今後、来年からの本格的な交流再開に向けて協議を進めていくという。
(2023年5月3日付紙面より)
古座小、西向小の協力得て (エコ工房四季 )
串本町古座にある社会福祉法人つばさ福祉会(北野好美理事長)の事業所「エコ工房四季」(平原正雄施設長)が1日、古田地内の水田で田植えに取り組んだ。この日は古座小学校(山路教代校長)1、5年生19人と西向小学校(河田恵美校長)1~3年生21人が誘いに応えて協力。一緒になって作業を進めた。
みくまの農業協同組合との農福連携により、旧来の授産から能動的に取り組める農生産へと労働形態の移行を進める同事業所。水稲栽培は古座川町潤野地内の休耕田を借りて3年前から取り組むようになり、得た米の多くをサイパンイモと並ぶ同事業所の主力農産物として販路に乗せている。
本年度は新たに古田地内で1㌶弱の水田を借りることができ、作付面積は大幅拡大。同法人は「地域と一緒に水稲栽培をしたい」という思いを当初から持っているが、新型コロナウイルスの情勢で実現できず基本農福連携の枠内で過去3回の生産をしてきた。4回目の今年はその情勢が大きく変わりゆく中で増産の好機に恵まれ、前述した両校に田植えへの参加を誘うこととした。
古座小は古田地内で一時期稲作体験をして以来の田植えの機会で、1年生は生活科、5年生は社会科の一環で協力。西向小は4、5年生が総合的な学習の時間で稲作体験をしていて、その前に楽しさを知る機会になればと考え1~3年生で協力。北野理事長から歓迎のあいさつを受けた後、児童は学校ごとに素足で水田に入って手植えに取り組み、法人職員や農協職員監督の下で田植え機による機械植えも体験させてもらった。
同事業所の利用者が見守り、時折苗を配り回るなどして手植えを後押し。今後は同事業所も手を入れて田植えを仕上げ、中間管理をして収穫を目指す。時期は8月下旬ごろを見据えているが、折り合いがつけば両校へ稲刈り体験の誘いもしてみたいという。
栽培品種はコシヒカリ。北野理事長は「4回目にしてやっと児童を迎えることができてうれしい。児童には農業の楽しさや作業の大変さから食べ物の大切さを学んでくれたら」と話し、児童の田植えを後押ししていた。
(2023年5月3日付紙面より)
紀の松島がバディフラッシュ導入 (那智勝浦町 )
「行方不明者などの捜索に携わってきた。早く発見してあげたい。最悪の事態があっても、早くご遺体を家族の元に帰してあげたい。そんな思いで商品化に至った」―。
そう話すのは、串本町大島の「DIVE ISLAND」代表の山崎正紀さんだ。山崎さんは前述の思いから、着水と同時にLEDが点滅し、落水者(要救助者)の居場所を知らせる「BUDDY FLASH(バディフラッシュ)」を商品化。4月28日、那智勝浦町の「紀の松島観光船」を運航する紀の松島観光株式会社(加藤康高代表取締役)に初納品した。同社では、運航中の安心安全に寄与するために、バディフラッシュを乗船客と職員分合わせ90個を発注。この日から観光船に備えられた。
山崎さんは、ダイビングショップを営む傍ら、長年、潜水士として行方不明者の捜索や遺体の引き揚げなどの活動にも従事。暗闇に包まれた夜の海において、捜索・救助は困難であることから、苦悩していたという。
そんな時、夜間のスキューバダイビングで使用されていたバディフラッシュと同機能の道具に着目。「他にも用途がある」とひらめき、商品化に至った。
バディフラッシュは「相棒の光」の意味。ライフジャケットなどに装着し、落水時は自動的に点滅を開始。緑色の光を発し、水深60㍍まで使用可能。約300時間も点滅が持続するため、早期の発見・救助につながる可能性も期待される。税込み3300円。
また、同じ海を利用するダイバーと釣り人との間にこれまでは接点がなかった。山崎さんは、情報交換や交流を図るべく、両者間をつなぐ取り組みにも尽力した。
その活動もあり、バディフラッシュの有効性に期待を寄せる釣り愛好家で、人気ユーチューバーとも交流のある那智勝浦町在住の「ゆーしろー」こと、加藤優志朗さんが、山崎さんに知人の加藤代表取締役を紹介。納品に至った。
加藤さんは「釣り人だけでなく、さまざまな場面で有効だと思い、加藤代表取締役に伝えた」。
加藤代表取締役は「家を出て、帰るまでが旅行。使わないことが望ましいが、各地の船の事故もある。そのため、繁忙期のゴールデンウイーク前に納品をお願いした。乗船客の安心・安全に役立てたい」と話した。
山崎さんは「万が一に備えてもらえてうれしい。夜の海で、光があれば救助する側・される側にも可能性が生まれ、勇気が湧く。諦めないようになる。救助の補助具だが、一人でも多くの命を救うために、広めていきたい」と語った。
商品は同社のオンラインストアでも購入できる。問い合わせなどは、「DIVE ISLAND」(電話0735・65・0258)まで。
(2023年5月3日付紙面より)
那智護国神社で例祭 (那智勝浦町 )
那智勝浦町天満の天神社に合祀(ごうし)されている那智護国神社(髙橋正樹宮司)で「昭和の日」の4月29日、「第68回慰霊祭」が営まれた。遺族や消防関係者、各地区の区長らが神前に白菊をささげ、那智地区の英霊292柱と消防殉職者の精霊の冥福を祈った。
式典では国旗を掲揚し、参列者全員で黙とう。髙橋宮司が戦没者一人一人の名を読み上げて祝詞を奏上した。
神社奉賛会の田中輝男会長は「私たちが今平和な日本の社会で豊かな生活ができているのも、あなた方の尊い思いと犠牲によるものであると、決して忘れることはありません。あなた方の思いを引き継ぎ、平和な世の中を構築するよう精進することをお誓いします」と祭文を読み上げた。
堀順一郎町長は「世界情勢が激変する時代にあっても、恒久平和に基づく繁栄を築き上げていくことが、尊いみ霊への報恩の誠と心し、改めてお誓い申し上げます」と追悼の言葉を述べた。
天満交友会は神前で獅子舞を奉納。遺族会の石井康夫会長は地域住民らに「全国には数万の遺族会があるといわれているが、最近では年間1000を超える会が消滅・解散している。てっぺんが三角形になった墓は戦死者の墓。どうか若い方にも、頭の隅に入れておいていただきたい」と思いを語り、東京都の靖国神社に開示されている戦場からの手紙を朗読。4年ぶりの盛大な餅まきで式典を終えた。
(2023年5月3日付紙面より)