10人の新議員誕生 (太地町議選 )
任期満了(8月17日)に伴う太地町議会議員一般選挙が18日に投開票され、新議員10人が誕生した。定数10に対していずれも無所属の現職9、新人2の計11人が立候補を届け出て、5日間の激しい選挙戦を繰り広げた。新人の筋師光博さん(63)が296票を獲得し、トップ当選を果たした。現職1人が涙をのんだ。投票率は79・11%で前回の2017年より1・86㌽減に。前々回の13年と比較すると4・18㌽減となり、投票率減が更新された結果となった。
町議選は13日に告示され、町の課題解決のために各候補者が防災対策や子どもの教育、少子高齢化施策、福祉、観光振興、行財政改革などを争点に選挙戦を展開してきた。
選挙カーを走らせて投票を呼び掛ける候補や、徒歩で町中を回る候補者などの姿が見られた。前回の選挙戦と比較し、多くの候補者が自身の考えや意見を主張しているという町民の声も多数聞かれた。
トップ当選となった筋師さんは「応援してくれた家族や支援者の皆さまのおかげ。これからが始まりなので将来に向かって前進していきたい。元気のある町『太地町』をさらに活気づけていきたい。この町には多くの引き出しがある。町民の声を重視してみんなで考え、行政に反映していきたい」と抱負を述べた。
自身が約40年間所属する町消防団において過去に団長を務め、町議会議員としても活躍した故・山下雅久さんについて、「多くの実績を持つ山下さんは憧れの先輩。当選について『よく頑張った』とお褒めいただけていると思う。本当に山下さんには感謝しています」と語った。
今後は子育て世帯の支援策や女性が活躍できる環境づくりの整備にも力を入れていくという。
(2021年7月20日付紙面より)
新宮市公民館王子分館(野尻和則分館長)は18日、市立王子ヶ浜小学校の体育館で「人権学習会及びグラウンドゴルフ大会」を開催した。地域住民ら約50人が参加。人権について学びを深めるとともにグラウンドゴルフで交流を深めた。
「今日は楽しく笑顔でプレーしましょう!」をテーマに開かれたイベント。天候不順のためグラウンドゴルフは人権学習同様、屋内での実施に。会場入り口においてマスク着用の協力や検温、手指消毒など、新型コロナウイルス対策が講じられた。
開催に当たり、野尻分館長は「今日は一日ゆっくり楽しんで」。同校の谷口幸生校長は「楽しいひとときをご一緒させてください」などとそれぞれあいさつ。市社会福祉協議会の樋川守さんが「困ったことがあったら何でもすぐに相談して」などと呼び掛けた。
人権学習では啓発DVD「私たち一人ひとりができること~当事者意識をもって考えるコロナ差別~」を視聴。参加者らはDVDを通してコロナ差別の特徴や差別や偏見がなぜ生まれるのか、どのように向き合っていくべきかを学んだ。
視聴後には元県職員の村上圭さんによる講話があった。村上さんは欧米で起こった新型コロナまん延に伴うアジア人差別をはじめ、人種差別や差別制度などについて言及した。
グラウンドゴルフ大会では、参加者が6人ずつ8班に分かれて団体戦や個人戦を展開。マスク越しに笑顔をのぞかせ和気あいあいとプレー。住民同士のつながりを深める機会とした。
(2021年7月20日付紙面より)
「WEST EXPRESS 銀河」出発式 (JR西日本 )
当地方の各駅で18日、観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJR西日本が運行する長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」のお見送りおよび出発式があった。同列車は同日正午にJR新宮駅を出発。乗客を乗せ京都駅に向けて出発した。
「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードにした鉄道の旅の実現を目指して16日から運行を開始した同列車。12月22日(水)までの約半年間、新宮から京都間を運行する。第1便は抽選で乗車の権利を獲得した50人の乗客を乗せ熊野地方入りを果たした。
新宮駅での出発式では、白手袋を装着した田岡実千年市長、山口賢二・北山村長、酒井清崇・東牟婁振興局長、坂本純一・新宮駅長が出発時刻に合わせて「いってらっしゃい」。旗やカメラを手にした関係者や家族連れ、鉄道ファンらに見送られながら新宮駅を後にした。
田岡市長は「多くの観光客に熊野・新宮を楽しんでいただけたと思っている。リピーターとして再度、来訪いただけることを願っています」。
山口村長は「筏(いかだ)下り体験を希望する観光客は多いが交通の便が悪い。村まで観光客を運べるように足を確保していきたい。また、銀河の運行を機会に、当村の魅力をPRしていければ」とそれぞれ思いを語った。
那智勝浦町では、法被を身にまとった堀順一郎町長をはじめとした関係者らが、旗や幕を手に乗客を見送った。JR紀伊勝浦駅ロビーには地元物産が販売され、写真撮影や土産物を買い求める乗客の姿があった。
堀町長は「熊野地域には世界遺産がある。銀河によって、広域での観光やお出迎えができるきっかけとなった。宿泊施設の多い那智勝浦町においてはこの輪が広がり、町に来るお客さまの増加につながれば。今日は心を込めてお見送りしたい」と話していた。
同列車の次回の運行日は19日。午後9時15分に京都を出発し、翌20日に当地方入りする。
(2021年7月20日付紙面より)
串本町潮岬地内で17、18日の2日間、缶サット甲子園の和歌山地方大会があった。地元の串本古座高校を含む県内外7チームが参加。それぞれにミッションを掲げ自作したモデルロケットで模擬人工衛星(通称・缶サット)を打ち上げ、達成度合いを競い合い審査に臨んだ。
缶サット甲子園は高校生チームを対象に年1回実施。全国6カ所で開かれる地方大会はその出場権が得られる予選会に当たり、和歌山地方大会は実行委員会形式で2010年からコスモパーク加太=和歌山市=を会場にして回を重ねてきた。
缶サットの放出―降下―着地の過程を通して技術力や創造力を競い合い、科学や工学への興味や関心を高め挑戦する姿勢を培うことが目的。同町内での実施は今回が初で、事前の環境調査で実施可能との判断を得て実現するに至った。
会場は県立潮岬青少年の家〈プレゼン・審査など〉と望楼の芝~南紀熊野ジオパークセンター〈打ち上げ競技〉の2カ所。当日は同家で開会し、藤木郁久実行委員長は3年周期で同町を会場にしたい考えや打ち上げ競技会場の環境を伝え、チームそれぞれに楽しむことを期待して挑戦を歓迎した。
初日は同家で事前プレゼン審査と機体審査があり、7チームはそれぞれに缶サットで挑戦するミッションの概要と自作した実物を審査員3人にアピール。2日目は望楼の芝~南紀熊野ジオパークセンターで打ち上げ競技に臨み、開催地の田嶋勝正町長、県宇宙教育研究会の木皮享顧問、和歌山大学クロスカル教育機構教養・協働教育ユニットの中島敦司代表から激励を受け、同実行委員会や同大会OBの試射に続いて各チームが順次自作した缶サットの試射に臨んだ。
以降は同家に戻り、事後プレゼンで自チームの結果に対する自己評価や改良プランなどを発表するなどして審査結果の発表と表彰を待った。
今回は桐蔭高校が優勝、向陽高校が準優勝、海南高校が3位と県内勢が入賞を占めた。桐蔭高校チームのミッションは食糧生産可能な環境を探るため打ち上げから着地までの過程における気象データを取得するという内容。リーダーの𠮷松和輝君(2年)は「ここ1週間はこれまでにないぐらい働いた。優勝できてうれしいし、働いたことが報われたという思い。(缶サットは)一応動いたけれどまだまだだなといったところで、次は動かなかった二酸化炭素センサーを動くようにし、さらに土の調査も取り入れて挑みたい」とコメントした。
同甲子園本選の概要は18日現在未定で、コロナ禍の情勢を見て体系が決まる見込みという。通常は全国6地方大会の上位10チームが出場する仕組みになっていて、同実行委員会は出場枠数が決まり次第、上位から順に出場権を付すとしている。
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同町内での実施をきっかけにして挑戦へと動き出した串本古座高校は、辻大貴(はるき)君、長野悠斗(ゆうと)君、清野健太郎君の1年生3人で有志結成。先月初旬に参加を決め、学校の試験期間を経て中旬から活動を始めたという。
いずれもクラブ活動との両立で終盤では次の試験期間にも直面する中で費やす時間をひねりだし、辻君はプログラム、長野君は制作、清野君はプレゼンとそれぞれに得意を生かす分業で限りある時間の効率化を図り実績がある桐蔭高校科学部などの助言も得ながら初の挑戦へとこぎ着けた。
掲げたミッションは①ロケットの打ち上げ②パラシュートの展開③加速度センサーの値を理解する―の3項目。具体的なミッションを掲げる他チームとは対照的に、その前段階として今後の参考となるデータを得るという異色のミッションを掲げてプレゼンや打ち上げ競技に臨んだ。
打ち上げ競技はモデルロケットの強度不足で発射中に中折れし落下。同実行委員会より予備ロケットによる再競技が認められ、2射目は放出―降下―着地の過程を無事達成した。この達成を得ることに集中しすぎて、2射目は搭載した加速度センサーの配線ミスでデータ収集ができず。複数のミスも結果とし、打ち上げから得たデータやミスの課題と対策を事後プレゼンで発表し、挑戦を締めくくった。
今回は1カ月の短期集中だが、次は約1年間の準備期間を得ている3人。「今回のロケットは桐蔭の皆さんのおかげで飛んだようなもので、周りの人との関係や仲間との協力が大事だなと思った。来年も挑戦できるなら、今回取れたデータを基にして自分たちにできそうなこと、例えば機体の傾きを制御するなどさらに難しめのミッションに挑戦できれば」とコメント。他チームの挑戦に間近に触れ、ローバー系のミッションにも強い興味を示しつつ挑戦の継続に意気込んだ。
(2021年7月20日付紙面より)
コンクールに向け練習に熱 (新翔高校吹奏楽部 )
新宮市の県立新翔高校吹奏楽部(西浦久博顧問、木下綾子部長)の部員らは現在、8月9日(月・振休)に和歌山市の県民文化会館で開催される「第57回和歌山県吹奏楽コンクール」高校A部門の出場に向けて日々練習を重ねている。2007年に校名が変更になって以降、同部が大編成のA部門に挑戦するのは今年が初となる。
同部は2015年に吹奏楽同好会として発足。18年に「吹奏楽部」に昇格した。しかし、少子化に伴う生徒数減少が全国的な問題となる中、同部においても部員数は1桁~十数人で推移。コンクールではこれまで30人以下の小編成B部門への出場に終始していた。
「3年生部員で積極的に誰にでも話し掛けていく子がいた。一人が入部してくれたらその友達も一緒に、といった感じで部員が増えていきました」と木下部長。新入部員勧誘に向けた地道な努力は実り、1年生22人が新たな仲間となった。結果、2年生4人、3年生14人合わせて計40人の大所帯に。
西浦顧問は「正直驚いている。まさかA部門に出られる日が来るとは思っていなかった。音の厚みも違う」。
しかし、新入生22人中20人がこれまで管楽器に触れたこともない、いわば「初心者」。西浦顧問は「音合わせでは間違った音がたくさん聞こえてきます」と苦笑い。「でも間違った音でも聞こえるということは吹いているという証拠。たくましく、頼もしくも感じますね」と期待を寄せる。
中学校から継続して楽器に携わる生徒も多く、強豪校がそろう高校A部門に対し、部員の約半数が初心者といった状況で初の大舞台に挑む同部。「コロナの影響で昨年は練習も活動もままならなかった。そんな状況から一転してA部門への出場。高校生活最後の年に挑戦できることはうれしい」と木下部長。
「A部門では課題曲と自由曲の2曲を演奏する必要がある。体力、気力的に少し不安。でも一番大切なことは楽しむことだと思います」。
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部員数獲得の影には、前述したように上級生部員たちの地道な努力が根底にある。西浦顧問は「週6日の練習日を5日に減らし、短い時間で集中してやるようになったことも部員が増えた理由の一つでは」と分析。
音合わせでは新入部員に対して上級生が指や音の間違いを指摘するなど、和気あいあいとした雰囲気が漂う。西浦顧問は「伸び伸びしすぎるくらい伸び伸びしている」と笑うが、いざ楽器を構えると全員の顔が引き締まる。
夏のコンクールに先立ち、同部は7月17日(土)午後5時(4時30分開場)から、同校中庭で定期演奏会を開催。新入部員にとっては初の舞台だ。西浦顧問は「こんなクラブもあるんだと思って見に来てくれたら」。
フルートを担当するブイトレ・アルビン・ハンス・カワヤン君(1年)は「かっこいいと思ってフルートを選んだ。早い所が難しい。でもみんなの音がハーモニーになる瞬間が楽しい」と笑顔を見せ、誇らしげに楽器を掲げた。
(2021年7月11日付紙面より)
各地区サロンで説明会 (紀宝町 )
紀宝町環境衛生課は、3日に鵜殿の牡丹(ぼたん)サロン、5日に神内の子安サロンでごみの分別を説明した。町では燃料ごみをRDF施設で固形燃料化していたが、施設の稼働終了に伴い、4月から燃料ごみを可燃ごみに変更。町内各地域で説明会を開いており「変更点などはごみ収集カレンダーで確認を」と呼び掛けている。
牡丹サロンには20人が参加。環境衛生課の職員が、小さなプラスチック類、ドレッシングなどの容器やキャップ類、歯ブラシ、CD、DVD、ケース、保冷剤、貝殻などが可燃ごみで捨てられるようになったことを説明。
RDF施設終了に伴い、ごみのさらなる減量化を目指すため、プラスチック製容器包装の分別収集を開始した。「プラ」マークが目印で、はさみで切れる程度の硬さのものが対象。「汚れたものはリサイクルできないので可燃ごみで出してください」と求めた。
資源ごみは▽段ボール、菓子箱などの厚紙▽新聞、折り込みチラシ▽雑誌類、包装紙▽白色紙パック▽ペットボトル▽布類▽白色トレー・発泡スチロール▽プラスチック製容器包装―など種類ごとにまとめて出してほしいとした。
約30人が参加した子安サロンでは「可燃ごみにプラスチック類を入れてもいいの?」「配水管を汚してまでプラスチック類を洗わないといけないの?」などの質問があり、職員は「汚れが落ちないプラスチック類は可燃ごみに出してもらっても結構です」と伝えた。
プラスチック類の収集日を増やしてほしいとの要望があり、町では現在、収集日を検討しており、プラスチック製容器包装の分別収集を開始した4月以降、3カ月で可燃ごみが30㌧減少したという。
(2021年7月11日付紙面より)
金刀比羅神社で例大祭 (太地町 )
太地町の金刀比羅(ことひら)神社=通称こんぴらさん=(髙橋正樹宮司)で10日、夏の例大祭が営まれた。昨年に引き続いて今年も新型コロナウイルスの感染拡大予防のため、例年多くの大人や子どもでにぎわう餅まきなどは中止。神事ではまちの繁栄を祈願した。
同神社は1798(寛政10)年、太地角右衛門頼徳が讃岐国(香川県)の金刀比羅神社から勧請(かんじょう)した。昭和30年代は熊野地方で唯一の金刀比羅神社として広域から大勢の人々が参拝に訪れたという。境内には出店も並び、奉納相撲も行われるほどにぎわったとされるが、近年は祭典のみとなっていた。
これまでは町内の各種団体などで立ち上げた過疎地域神社活性化推進委員会で景品付きの餅まきなどを行い祭りを盛り上げるなどの取り組みも行ってきた。
式典には太地町漁業協同組合の脊古輝人組合長、塩崎伸一責任役員代表ら16人が参列。髙橋宮司が祝詞を奏上し、参列者は玉串をささげた。
神事を終え、塩崎責任役員代表は「皆さまのご協力で無事斎行できた。祭りを絶やすことのないように若い方にも祭りに参加いただけたら」。
髙橋宮司は「まちの繁栄や地域の安寧を祈願しました。併せてコロナの終息もお祈りした」と語った。
(2021年7月11日付紙面より)
三輪崎区で七夕祭り (新宮市 )
新宮市の三輪崎区(屋敷満雄区長)は七夕当日の7日、三輪崎海岸で「七夕祭り」を開いた。夕方には願い事を書いた短冊をつるした笹(ささ)飾りを手にした子どもや家族連れが集まり、七夕ムードを満喫した。
七夕は五節句の一つで、日本においては奈良時代に中国から伝わった七夕行事が、元から日本にあった「棚機津女(たなばたつめ)」の伝説と合わさって誕生した。短冊などを笹に飾る風習は江戸時代に始まったもので日本以外では見られない。
同区は、毎年三輪崎海岸で、近隣の子どもたちが持ち寄った笹を集め「七夕流し」を行う七夕祭りを開催していたが、昨年は新型コロナウイルス感染拡大の状況を鑑み中止に。三輪崎会館に子どもたちの笹を集め、一日限定で同館に飾り、伝統行事を楽しむ機会としていた。
「今年も中止では子どもたちがかわいそうで心苦しい」。同区では今年、2年連続の伝統行事中止を阻止すべく協議を重ね、会場入り口に消毒液を設置し、人の動線をスムーズにするなど工夫を凝らして祭りの開催にこぎ着けた。前日から準備を開始し、会場の草刈りやごみ拾いを実施。会場を設営し、最後に「コロナに負けるな」の看板を取り付けた。
祭り当日の午前中には、保育所型認定こども園「三輪崎保育園」の年長組21人が来場。全園児が願いを託した笹飾り5本を区役員らに預けた。笹は会場に飾り、役員は園児らにお土産としてお菓子を手渡した。
園児たちは「きょうりゅうはかせになりたいな」「やきゅうがじょうずになりたいな」「おともだちとたくさんあそびたいな」などの願いが込められた短冊を前に「たなばたさま」を口ずさみ、区役員らに「ありがとうございました」とあいさつし会場を後にした。
屋敷区長は「高齢者のワクチン接種も進んでおり、屋外ということもあり開催に至った。雨も降らず、子どもたちにも喜んでもらえて良かった」と笑顔。「コロナが終息し、子どもたちの願いもかなうといいですね」と七夕の願いを口にした。
(2021年7月9日付紙面より)
地域支え合いフォーラム (新宮市 )
新宮市役所別館で7日、地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう!わがらのまち~しんぐうで暮らし続けるために今できること~」が開かれた。74人が来場し、日頃の支え合い・助け合い活動の重要性を再確認するとともに、災害への備えにもなる地域住民のつながりのつくり方についても考える機会とした。
新宮市と市社会福祉協議会主催で、「住み慣れた地域で生き生きと暮らしたい」という人々の願いをかなえるため、地域に必要とされている支え合い活動について理解を深めてもらうことが目的。
開会に当たり、田岡実千年市長は「市の人口約2万7000人のうち、65歳以上の人口は1万1000人ほどで、高齢化率は全国平均を上回る。市では医療や介護、介護予防、生活支援、住まいなどを一体となって提供する『地域包括ケアシステム』の構築を目指しており、それには地域住民同士の支え合いの力が不可欠。今後も一緒に町づくりを進めていきたい」とあいさつした。
基調講演では和歌山県社会福祉協議会・県災害ボランティアセンターの南出考さんが講話。2011年の紀伊半島大水害や東日本大震災の被災地支援に携わった経験を基に「少子高齢化や単身世帯の増加、ライフスタイルの多様化、つながりの希薄化といった地域の課題が解決されないまま災害を迎えると、問題がさらに深刻化する。平常時から一人一人の違いを認め合い、理解し合い、触れ合う機会を増やして、災害があってもなくても助け合える関係をつくっておく。それが災害時の円滑な活動の土台になる」と語った。
地域の取り組み発表では、広角地区の田中みちよさんと中野末子さんが「みんなが笑える広角~思いついたらやってみよう!~」と題し、新宮警察署横の広場を借りたグラウンドゴルフが市や社協など関係機関の連携で実現したことを発表。三輪崎地区の石原千里さんは「みんなでつくる私たちの居場所」と題し、グラウンドゴルフや布マスク作り、男性住民の集いの場などについて共有した。パネルディスカッションでは、コロナ禍中の活動の難しさや住民同士の「初めまして」の関係をなくしていくことの重要性について話し合っていた。
(2021年7月9日付紙面より)
古座中、中核人材迎えて (古座川町 )
古座川町立古座中学校(井口英夫校長、生徒86人)が6日、近畿大学農学部の熊井英水名誉教授を迎えてクロマグロ完全養殖の研究史やその姿勢に触れる機会を持った。
第2学年の地域学習「海の学習」から派生した全校学習の機会。同学年は社会情勢により取り組み難い状況となっている従来の活動に代わる関心の糸口として串本町発祥のクロマグロ完全養殖に注目し、中核人材の熊井名誉教授に講師登壇を依頼した。快諾が得られ、同校は名誉教授による貴重な学びは2年生だけでなく全員で共有すべきだと考え、全校学習の場を設けることにしたという。
熊井名誉教授は「まぐろを育てる~世界初完全養殖クロマグロのはなし~」と題して登壇した。マグロの種類や生息海域を紹介し、1970年に始まった研究の初期は海から得た稚魚・ヨコワを養殖環境で育てるため餌やいけすの研究が主だったことを説明。安定して養殖できるようになった先で思い描いたのが養殖環境での産卵で、研究を重ねて79年に成功。卵から稚魚を得れば集めるのが難しいヨコワに頼らず十分な数を確保できると夢を思い描き、83~93年に全く産卵がない苦境に直面しても諦めずその研究を続けた。
産卵がない原因の究明をしつつ卵を人工ふ化させて稚魚まで育てる過程で起こる共食いや衝突死の原因と対策の研究も進め、95年に稚魚の生産に成功。「この稚魚が産卵をすれば、養殖環境でクロマグロを一生涯育てられることになる」とさらに夢を追い、2002年に人工ふ化させたクロマグロが産卵し世界初の完全養殖を達成した。
約5年後にはその卵(第2世代)から生まれたクロマグロが産卵し第3世代が誕生。現在は卵から育てた養殖用稚魚やクロマグロを出荷できる状況となっている。
熊井名誉教授は卵から得た稚魚の可能性を養殖と放流の2系統で紹介。▽継続(根気と忍耐)▽正確な観察眼▽愛情―を自身の水産増殖研究の3訓として掲げて話をまとめた。生徒を代表して杉本奏さん(3年)は諦めない姿勢が感動的だったと感想を述べて講演に感謝し、全校学習を締めくくった。
2年生は引き続き、熊井名誉教授と共に「海の学習」に取り組み、天然資源減少に対する水産庁の対応や養殖のメリットとデメリットなどを質問して完全養殖への理解を深めた。
(2021年7月9日付紙面より)
11日から夏の交安県民運動 (南郡交対協 )
11日(日)から「夏の交通安全県民運動」が始まる。20日(火)までで、重点目標は「高齢者と子どもの交通事故防止」「横断歩道における歩行者優先」「シートベルトとチャイルドシートの正しい着用」「飲酒運転の根絶」。
期間中、南牟婁郡交通安全対策協議会(会長・大畑覚御浜町長)は、紀宝地区交通安全協会、紀宝警察署と共に各種啓発活動を展開する。
運動に先駆け、同協議会は2日、御浜町役場で委員会を開き、運動期間中の取り組みを確認した。
協議会は紀宝、御浜両町と熊野市紀和町の行政、議会、教育、交通安全団体の代表などで構成し、紀宝警察署長が顧問を努めている。
大畑町長は「今月下旬には夏休みに入り、車や人の流れが多くなると予想され、事故の増加が懸念される。皆さまのご意見とご尽力を」とあいさつした。
昨年度は年4回の交通安全運動期間をはじめ、年間を通じて啓発運動や街頭指導を展開。今年2月には作製した「交通事故分析冊子」を配布した。本年度も児童・生徒や高齢者対象の交通安全教室などさまざまな運動を展開して、無事故無違反への意識高揚を図る。
紀宝署の濱口裕史署長によると、6月末の県内死亡事故は25件(昨年比16減)、死者数25人(同17減)といずれも減少したものの、人口10万人当たりの死亡事故は1・4人で全国ワースト16位の厳しい状況にある。一方、管内の人身事故は10件(同1増)で、負傷者数13人(同2減)。死亡事故は発生していない。
横断歩道を渡る際、成人もちょっと手を上げて運転車に知らせる「ハンドサイン」キャンペーンもDVD動画で紹介し、出席した委員が安全安心な交通環境構築を再確認した。
(2021年7月9日付紙面より)
「WEST EXPRESS 銀河」が試運転 (JR西日本 )
16日(金)から本格的に運行を開始するJR西日本の長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の試運転が4日に行われ、JR新宮駅には午前9時37分に到着。新宮駅、新宮市、市観光協会の職員など関係者約30人が横断幕などを持って出迎えた。
「銀河」は、観光を中心とした西日本エリアの活性化のためにJRが運行する長距離列車。当地方では新宮、紀伊勝浦、太地、古座、串本の各駅に停車する。
車両は117系6両1編成。定員は90人程度で全車指定席。「多様性」「カジュアル」「くつろぎ」をキーワードに、鉄道の旅の実現を目指し、1両ごとに異なる座席タイプを配置している。車窓からは沿線の風景を楽しめるような座席配置となっている。
試運転では、京阪神の報道関係者などが乗車。3日午後9時15分に京都を出発した。到着を歓迎し、市職員らは「ようこそ 新宮市・北山村へ」と書かれた横断幕で迎え、新宮駅構内では日本酒「太平洋」の試飲コーナーや新宮市、北山村の産品販売コーナーが設けられた。
「銀河」受入協議会長の田岡実千年市長は「予約状況も好調とのことでうれしく思っている。多くの人に熊野地方の魅力を感じていただき再訪いただけるように、各駅でおもてなしを実施するなど、各自治体ともに頑張っていきたい」と話していた。
(2021年7月6日付紙面より)
市長が余剰ワクチン接種 (新宮市 )
新宮市の田岡実千年市長は4日、市役所別館で実施された新型コロナウイルスワクチン集団接種会場で1回目の接種を受けた。
本年度中に65歳に達する高齢者に対する最後の集団接種(1回目)となったこの日、会場では510人が接種を受けた。接種を希望する高齢者と、一部前倒しとなったこの日の接種を希望する高齢者施設等従事者合わせて508人が1回目の接種を済ませた。
市長のワクチン接種は余剰分ワクチンを活用したもので、当日キャンセル分を含む余剰ワクチンは、市職員が高齢順で接種した。
これまで、感染リスクを回避するため、延期や中止の措置を講じてきた、市長の感染拡大地域への公務出張。現在、他の自治体においては首長の接種状況などを踏まえ徐々に公務出張が再開されているという。
そういった状況を鑑み、市においても今後の公務出張および危機管理の責任者として対応していくために市長のワクチン接種を決定した。田岡市長は今月中旬以降、要望活動などで大阪や東京への3回の公務出張を予定しているという。なお、2回目の接種は3週間後の25日(日)を予定している。
接種を受けた田岡市長は「(注射は)全く痛くなかった。普段からいろいろな方々とお会いする機会も多い中、危機管理責任者として一安心といったところ」と感想。
「7月中に接種を希望する高齢者の方々の接種が無事に完了することに安堵している。これから始まっていく第3、4順位の方々に対してもスムーズに接種いただけるように務めていきたい」と話していた。
市では8月7日(土)に、第3順位となる基礎疾患を有する人と施設等従事者の集団接種を予定しており、今月7日(水)に接種クーポン券を発送する。12~64歳の一般向け接種に関しては14日(水)にクーポン券を送付。ワクチン供給状況などを勘案し、接種態勢を整えていくとのこと。
(2021年7月6日付紙面より)
新庁舎で竣工式や内覧会 (串本町 )
串本町が4日、役場新庁舎の竣工(しゅんこう)式を営み招待者や職員ら約100人で念願の完成を祝った。その後は一般対象の内覧会もあり、約250人(同町発表)が各課配置など内容を確かめた。
この庁舎は2005年の自治体合併時に各課集約を前提にして建設が位置付けられ、11年の東日本大震災を経て高台への建設議論が本格化。最終的にくしもと町立病院奥にある造成地に建設用地を得ておととし9月に着工し、今年5月に完成した。総事業費は約32億円で、合併特例債約4億円、緊急防災・減事業債約24億円などを当てている。
開庁日は今月26日(月)。現在は段階的に分散する各課機能の移転を進めるさなかにあり、備品等搬入直前の段階で竣工式を開き庁舎内を公開することとした。
式典には田嶋勝正町長ら職員や町議会の鈴木幸夫議長ら議員、町内主要団体代表者や地元選出の二階俊博衆議院議員、世耕弘成参議院議員、鶴保庸介参議院議員、仁坂吉伸知事や佐藤武治県議会議員、谷洋一県議会議員、近隣市町村長らが出席。田嶋町長は各課集約や災害対応の特色に触れつつ「町民に親しまれ、『ロケットの町串本』の玄関口として、大規模災害発生時には多くの人命を助ける司令塔になると確信する」と自負を掲げ、その実現に鋭意努力するとして支援を呼び掛けた。
株式会社綜企画設計と谷地建設株式会社への感謝状贈呈や祝辞・祝電の披露を経て、田嶋町長は来賓代表諸氏と共にテープカットに臨んで町政発展半世紀超の計を支える新庁舎の完成を喜び、その第一歩に大きな弾みをつけた。以降、招待者は新庁舎を内覧。昼休憩を挟んで午後2時~4時30分に一般対象内覧会を実施した。
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現本庁舎本館は1958年に旧串本町が建築。町政発展とともに手狭となり新館が増築され、旧古座町と合併して誕生した現串本町においては両館を本庁舎、旧古座町役場を古座分庁舎として活用してきた。社会福祉の多様化により地域保健福祉センター内に保健センターと地域包括支援センターを設置し、社会教育・体育運営のため文化センター内に教育委員会教育課社会教育グループを配置するなど現在の各課配置は複数の施設に分散した状態だが、新庁舎開庁後は企画課ロケット推進室を除き位置付けに基づいて集約される。
同時に文化センターと役場古座分庁舎に各種証明書等発行など利用頻度が高い行政サービスを提供する窓口を設置。現本庁舎は後の津波緊急避難対応県営住宅建設のため解体、役場古座分庁舎はロケット振興拠点としてリノベーションされる。
経路となる町道サンゴ台7号線とすさみ串本道路串本インターチェンジ(仮称)アクセス道路の一部は竣工式に合わせて供用開始となった。コミュニティバスは開庁に合わせて運行形態を変更し、役場新庁舎までの交通を確保。賃貸により入居する紀陽銀行串本支店は8月2日(月)に現店舗から移転し営業を始める。
集約により現状でいずれも低地にある各課は海抜約50㍍の高台かつ耐震設計の新庁舎に集約される。鈴木議長は「災害のリスクがなくなる進展は慶賀に堪えない」と評し、新庁舎の鋭意活用を職員の今後に期待した。
(2021年7月6日付紙面より)
活躍願いOB会が激励金 (新宮高硬式野球部 )
県立新宮高校硬式野球部OB会の井上信也会長は3日、同校を訪れ「第103回全国高校野球選手権和歌山大会」に出場する現役部員たちの活躍を願い、加藤迅(じん)主将に激励金を手渡した。
OB会の3人が訪問し、部員たちを前に井上会長が「3年生にとっては最後、1年生は初めての夏の大会を迎える。この硬式野球部で培ったことを紀三井寺球場で精いっぱい発揮してほしい。緊張や失敗もあるかもしれませんが、気持ちを切り替えて、監督の下『野球を楽しむ』という思いを忘れず全力でプレーしてください」とエールを送った。
髙須崇監督は「多くの方々に支えてもらい、チームとしても勇気を頂き大変感謝しています。困ったときには相談にも乗っていただいている。はつらつとしたプレーを見せて、少しでも恩返しがしたい」と話した。
加藤主将は「いつも現役部員たちを気に掛けてくれてありがたい」と感謝し、「大勢の人が喜んでくれるような結果でお礼ができるように頑張ります」と決意を伝えた。
和歌山大会は39校が参加し、9日(金)に開幕。26日(月)の決勝戦までの15日間で熱戦が繰り広げられる。同校は大会5日目の13日(火)午前9時からの第1試合で和歌山東と対戦する。
(2021年7月6日付紙面より)
東牟婁地方中学校総体陸上競技