飛鳥神社で寅とクジラ描く (太地町 )
過疎地域神社活性化推進委員会、太地町赤十字奉仕団(和田千明委員長)、太地町地域連絡協議会(法花真左美会長)は28日、同町の飛鳥神社(髙橋正樹宮司)で2回目となる大絵馬づくりを行った。同町在住で日本画家の土長けいさんと共に町内の4歳から12歳までの子どもたち17人が自由な発想で来年の干支(えと)である「寅(とら)」と共に「クジラ」と「イルカ」を力強く描いた。完成した2枚の大絵馬は正月に同神社と金刀比羅(ことひら)神社に掲げられる。
髙橋宮司によると、大絵馬づくりは「地域活性化」「子どもたちの思い出づくり」「郷土愛の育くみ」が目的。大絵馬は縦120㌢、横150㌢のヒノキ製。同町の坂下工務店が作成した。
この日は3密回避のために、子どもたちと同奉仕団は前半と後半の2部に分けて実施。奉仕団に所属する正看護師2人も待機した。常に換気を行い、体温測定やマスクの着用、作業に必要な水くみなどは奉仕団らが行うなどして、新型コロナウイルス感染症対策を徹底した。
日展や新日春展の会友である土長さんが大絵馬に下絵を施した。子どもたちはアクリル絵の具と筆、スポンジなどを持って定位置に。細かい作業に取り組む子や大胆に色を塗る児童など、各自が自由に描いて絵馬を完成させた。
昨年も参加した森田瑛斗(あきと)君(太地小4)は「楽しかった。自分が描いた部分は恥ずかしいけどいろんな人に見てほしいです」。
山本紡さん(太地小6)は「人数も少なかったので自由に絵が描けた。良い絵馬が完成したと思う。飾られるのが楽しみ」と笑顔で話した。
土長さんは「自由な発想で描いてくれたので良いものができた。大絵馬づくりが、いろんなことにチャレンジするきっかけになってもらえれば」とコメント。
法花会長は「良い絵馬ができた。過疎化が進む中でも、絵馬で神社が明るくなってくれればうれしい」。
和田委員長は「ほかの神社にはない絵馬。昨年は絵馬のおかげで両神社とも参拝客が増えた。子どもたちにとって、夏休み最後の良い思い出になってくれたら」と語った。
髙橋宮司は「昨年の経験を踏まえ、事前に構図の打ち合わせも行った。コロナを吹き飛ばすような元気いっぱいの大絵馬が完成して良かった」と述べた。
年末に大絵馬の除幕式を予定しており、古い絵馬は今後、飛鳥神社社務所の軒下裏と、金刀比羅神社の拝殿内に設置していくという。
(2021年8月31日付紙面より)
紀伊半島一周道路実現に一歩前進 (熊野尾鷲道路(Ⅱ期) )
自動車専用道路「熊野尾鷲道路」が29日、建設中だった尾鷲市坂場西町の尾鷲北インターチェンジ(IC)から同市南浦の尾鷲南ICを結ぶ5・4㌔がつながり、全線が開通した。
尾鷲市と熊野市を結ぶ熊野尾鷲道路の18・6㌔は2013年に開通し、尾鷲市と紀北町紀伊長島区を結ぶ紀勢自動車道21・2㌔も14年に開通している。尾鷲北ICから同南浦IC間は熊野尾鷲道路(Ⅱ期)として12年に新規着手し、未整備区間の解消に努めてきた。午後3時、両入り口に置かれたバリケードが業者によって取り除かれると双方向への車両通過が一斉に始まり、伊勢市や名古屋市から熊野市間が自動車専用道路で結ばれた。
新開通区間にはトンネル4本が掘られ、片側1車線。日曜とあって普段より多くの車が、信号や交差点のない快適な走行を楽しんだ。全体事業費は、当初予算を80億円上回る340億円だった。
整備効果としては道路ネットワークが強化され、尾鷲市内の津波浸水想定区域を避けるなど防災や観光アクセスの向上など地域活性化、救急医療活動への支援向上などが期待される。なお、尾鷲北と南両ICの通行方法はこれまで通り。尾鷲北は松阪市方面からの出口と尾鷲市から松阪市方面への入り口、尾鷲南は熊野市方面からの出口と尾鷲市から熊野市方面への入り口に限定される。
鈴木英敬三重県知事は「紀伊半島大水害から10年目の節目となる年に開通を迎えたのは、非常に感慨深い。近畿自動車道紀勢線の残る区間の工事が円滑に進み、紀伊半島一周道路が一日も早く実現しますように」と祝意を寄せ、それぞれの地域の発展を期待した。
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※近畿自動車道紀勢線=延長約335㌔の自動車専用道路。大阪府松原市を起点とし、紀伊半島沿岸を通って三重県多気町で近畿自動車道伊勢線とつながる。
(2021年8月31日付紙面より)
第7回東牟婁等氾濫減災協議会
第7回東牟婁地域等における大規模氾濫減災協議会が27日午後にウェブ会議の形であり、構成員間で取り組みの現況を情報共有したほか、対象とする2級河川で唯一の洪水予報河川となっている古座川の流域治水プロジェクト(案)の内容を確かめ承認するなどした。
この協議会は、2017年水防法改正の趣旨に基づいて設立。水防災意識社会の再構築を趣旨とし、対象河川(古座川・すさみ川・太田川・那智川・佐野川など)に関係する自治体と気象庁和歌山地方気象台など国の諸機関が「流域治水」の発想で減災を推進するための情報共有や協議をする場として機能している。
新型コロナウイルス感染症の情勢を考慮して今回も前回同様に同会議の形で実施した。当日は各構成機関の代表者や担当職員が出席し、酒井清崇・東牟婁振興局長が取り巻く環境を踏まえて同協議会の趣旨を振り返りつつあいさつ。議事は①規約改正②取り組み方針の見直し③地域内の減災に係る取り組み状況④流域治水による減災に関係する取り組み事例⑤古座川流域治水プロジェクト(案)―で、併せて特定都市河川浸水被害対策法や災害対策基本法など関係法令の改正や気象庁の情報提供方法の変化についての説明もあった。
②では18年度に掲げた同方針の期限が本年度となっているため、見直しをかけた新方針を次年度に掲げる準備を進めることを確認。③では関係各自治体の現方針に掲げる項目の達成状況を振り返った。
④は各構成機関による取り組みの報告で、本紙関係の新宮市はウェブ版ハザードマップの公開とQRコードを用いた活用推進の考え、那智勝浦町は多面的機能支払交付金などによる農地農業水利施設の質向上、太地町は防災機能を複合したJR太地駅舎の概要、古座川町は町独自の近年の砂利採取実績、串本町は避難情報の伝達や対応のタイムラインが庁内にもたらした効果を話題とした。
県は▽2級河川古座川河川整備計画に基づく河道掘削などの現況▽小規模河川の氾濫推定図作成の手引きの公表▽避難情報の判断・伝達マニュアルのモデル基準作成▽ダム事前放流の現況―など、紀伊山系砂防事務所は那智川流域における砂防えん堤など整備の現況(8支川で15基完成)と今後の計画や11年紀伊半島大水害から10年の節目を見据えたパネル広報の考え、近畿中国森林管理局は雨水貯留機能向上の考えなどを報告した。
⑤は前回の同協議会で確かめた素案をさらに固めた確定案で▽氾濫自体を抑える▽氾濫時の被害対象を減じる▽被害の軽減と早期復旧・復興―の3系統で対策を体系化した内容。対策の具体的手法と要する工期の目安などと併せて内容を確かめ、確定することを承認した。
同気象台の石井嘉司台長が構成機関相互の連携を期待し、県河川・下水道局の太田和良局長が閉会のあいさつを述べて締めくくった。同プロジェクト案は古座川以外に太田川、那智川、佐野川も素案を確認済みで、次回実施時に案を示し承認を求める見込み。
(2021年8月31日付紙面より)
宮坂厚希主将(太地町出身)が優勝に貢献 (全国高校野球選手権 )
兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で29日、「第103回全国高校野球選手権大会」の決勝戦が行われ、智弁和歌山と智弁学園(奈良)が対戦。9―2で智弁和歌山が勝利し、優勝を飾った。太地町出身で智弁和歌山の主将・宮坂厚希君(3年)が1番・中堅で出場し、2安打1打点と活躍。同校の21年ぶり3度目の優勝に大きく貢献した。
宮坂君は保育園児から野球を始め、地元の少年野球チームの太地シータス、同町を拠点に活動する中学生硬式野球チーム・和歌山南紀ボーイズ(漁野尚登代表)出身で、走、攻、守と三拍子そろった外野手。昨年秋から智弁和歌山の主将としてチームをまとめ、同大会では1番打者として打率5割の成績を残した。中でも近江(滋賀)との準決勝では5打数4安打と活躍し、チームの勝利に貢献した。
決勝戦は第84回大会(2002年)の3回戦以来となる智弁学園との兄弟校対決となった。試合は、先攻の智弁和歌山が一回表に1番宮坂君が中二塁打、2番大仲勝海君が右安打で出塁すると、4番徳丸天晴君の犠飛、6番渡部海君と7番高嶋奨哉君の連続適時打などで4点を先制した。
二回裏には智弁学園に2点を返されるが六回表、1死一、三塁から宮坂君が適時打を放ち1点、七回1点、八回2点、九回にも1点を追加。最後は智弁学園打線を三者凡退に抑え、9―2で勝利し全国制覇を果たした。
優勝インタビューで中谷仁監督は「選手たちが甲子園を目指せない苦しい昨年を経て、真摯(しんし)に努力してきた結果。智弁学園さんと決勝で競うこと自体が幸せな時間でした。強力打線のため、打ち勝たなければ優勝はないと覚悟を決めていた。勝利への執念が日本一につながったと思います」と振り返った。
宮坂君は「優勝を目指してやってきたので素直にうれしいです。相手チームもおり『礼に始まり礼に終わる』という意味で、マウンドで歓喜するのはやめました。終わってからみんなで喜びを分かち合うことにしました。苦しいことも多かったですが、チーム全員で乗り越えようという気持ちで頑張ってきました。最高のチームでした」と喜びを語った。
宮坂君が中学生時代に指導した南紀ボーイズの太田尋文監督は「優勝は非常に安心しました。学校や関係者の皆さんのおかげで野球人として立派に成長させていただいたと感じています。中学生当時から何事にも自分から進んで納得するまで取り組み、態度で示していくタイプだった。大変なこともあったと思いますが、中谷監督の下、懸命にプレーしつかみ取った結果でうれしいです」と話していた。
(2021年8月31日付紙面より)
各地区で盆行事営む (那智勝浦町 )
那智勝浦町の勝浦初精霊送り実行委員会(大嶽勝司委員長)は16日、同町築地の勝浦漁港で勝浦地区の初精霊送りを営んだ。参列した遺族らは手を合わせ、初精霊船を見送った。この日は天満地区など、町内各地でも初盆行事が営まれた。
勝浦地区では1955(昭和30)年に当時の青年会が、海を汚さない配慮から合同での行事を始めたという。現在は同実行委員会が中心となり、勝浦6区の区長や運営委員が協力。海翁禅寺、正念寺、法泉寺の住職が出仕し、地域挙げての盆行事となっている。
昨年に引き続き、アルコール消毒やマスクの着用に加え、各世帯最少人数での参列、一般焼香は行わないなど新型コロナウイルス感染症対策を呼び掛けた。
今年の初精霊は44柱だった。住職らの読経が始まり、各世帯の代表者が焼香を行った。灯籠を乗せて進む初精霊船に遺族が静かに手を合わせ見守った。
実行委員会の高齢化などに伴い、今年から追悼花火は業者に依頼。10分間の打ち上げ花火が町の夜空や海を照らした。
大嶽委員長は「雨も降らず、天気がもってくれて良かった。無事に終えることができて安心しました」と語った。
(2021年8月18日付紙面より)
パラリンピックの採火式 (熊野市・南郡 )
24日(火)に開幕する東京2020パラリンピックの聖火の種火を採る三重県採火フェスティバル「採火式」が14日に紀宝町、15日に御浜町と熊野市で行われた。三重県内の各市町で採火された炎は15日に「三重県の火」として集火し、東京に向けて送り出された。
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紀宝町の採火式「きほうの火~絆・思いやりの灯(ともしび)~」は、町福祉センターで開催。就労継続支援B型事業アプローチの利用者6人と町社会福祉協議会の木下起査央会長、役場職員が参加した。
火打石で火種をおこし、利用者6人のキャンドルにともした火をたき火台に移した。その火を木下会長がランタンに点火し、「すべての人の絆が深まれば」との思いを込めた「きほうの火」が誕生した。
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御浜町は役場庁舎内でパラリンピックの「聖火」と三重とこわか国体・三重とこわか大会の「炬火(きょか)」を灯す採火式を行った。
町身体障害者福祉会の蛇端恵会長、町社会福祉協議会の川本集一会長らが出席。大畑覚町長が、町パラリンピック聖火「みはま未来への火」のサブタイトル「挑戦への感動は、ぼくらの夢への一歩」を考えた村井孝徳君(阿田和中3年)に最優秀賞の賞状と記念品を送った。優秀賞、町長賞も表彰した。
庁舎玄関前でミカンのバイオ燃料で点火した火を聖火と炬火にともし、庁舎内までリレーした。大畑町長は「パラリンピック、国体に出場する選手には最高の力を発揮してもらいたい。スポーツを通じて絆が結ばれることを期待する」と話していた。
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熊野市では有馬町の「道の駅熊野・花の窟(いわや)」(お綱茶屋)で採火式があった。あいにくの雨とあって、敷地内にテントを張って会場を設営。市身体障がい者(児)連合会の森岡寛佳会長や市内10福祉サービス事業所の職員ら14人が出席した。
一般観光客を含め約30人が見守る中、事業所の職員2人が火打ち石を使って麻の糸くずに着火。ランタンに移して記念写真撮影後、神々の故郷から思いを込めた「熊野の火」は、森岡会長らによって県総合文化センター(津市)へ運ばれた。
(2021年8月18日付紙面より)
兄弟そろって予選突破 (日本クラシック音楽コンクール )
新宮市在住の下古谷奏明(かなめ)君(近畿大学附属新宮中3)と律武(りつむ)君(同高2)兄弟が、14日に和歌山県民文化会館小ホールで開催された「第31回日本クラシック音楽コンクール」において、2人そろって予選突破の快挙を果たした。2人は10月に大阪府で開催される本選に出場する。
同コンクールは、日本クラシック音楽協会が1991年から主催している、クラシック音楽のソロ、アンサンブルのコンサート。予選会、本選会は47都道府県のホールで開催しており、任意の自由曲で参加することができる。予選では部門は学生、一般関係なく審査され、その中で高得点を得た出場者だけが本選に進むことができる。
律武君は中学3年の時、得意のユーフォニアムで同コンクールに初めて出場して以来、3年連続の予選突破。奏明君は今年初めての挑戦で、兄・律武君のピアノ伴奏に合わせて奥深いチューバの音色を響かせた。
2人とも父・智久さんの影響で那智勝浦吹奏楽団に所属。今月10日に和歌山市で開催された第57回和歌山県吹奏楽コンクール高校小編成部門で金賞を受賞し県代表に選ばれた近大附属新宮中高吹奏楽部にも在籍しており、クラブ活動と両立して練習を重ねてきた。
新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から関係者のみの無観客で開催されたクラシック音楽コンクールには、中学2年から一般の13人が出場。奏明君は「正確な音程感、重厚な音色、素晴らしい」「丁寧な良い演奏」、律武君は「美しい音色」「フレージング、ダイナミクスのコントロール、いずれも高い技術を持っている」などと講評を受け、それぞれ高得点を得た。
結果を受け、奏明君は「楽しく演奏できた。いつでも練習できたのは父と兄のおかげ」。律武君は「無事に突破できてほっとしている。審査講評で頂いた課題を見直し、本選につなげていきたい」と力を込める。
コンクールの前日に誕生日を迎えたという智久さんは「いいプレゼントになりました。本選でもいい演奏をしてほしい」と期待を込めた。
(2021年8月18日付紙面より)
成人式実施の考えを公表 (串本町 )
串本町が16日、来春の民法改正後も20歳を対象にして成人式を実施する考えを公表した。
成年年齢を現行の20歳から18歳へと引き下げる民法の改正は2022年4月に施行される。これにより在り方が変わる慣習の一つが成人式で、改正が決まって以降、各市町村単位で現行の形をどうするかで議論が進む状況にある。
串本町は現行で1月3日を期日とし、その年度に20歳を迎える世代(同級生が2カ年に分かれないよう4月2日から翌年4月1日までの枠組みで対象を選んでいる)を招いて開く形を取っている。民法改正後も20歳を対象に実施する主な理由として▽18歳の大半が高校生であり進学や就職など人生選択の極めて多忙な時期にあたる▽飲酒や喫煙などの年齢制限は引き下げとならず引き続き20歳が重要な節目となる▽18歳に改めると初年度に限り18~20歳が招待の対象となるがそのための会場の確保や運営が困難―を挙げている。
4カ月半後に実施予定の「令和4年成人式」は改正前となるため、現行の形とする。同町教育委員会教育課によると対象は01年4月2日から02年4月1日に生まれた男女で、住民基本台帳に基づき139人(男74、女65)へ案内を送付する予定。他に送付の枠から外れたが同町にゆかりがある対象者の出席希望も受け付けるという。
「令和3年成人式」は新型コロナウイルス感染症の影響で延期するも式典挙行のタイミングを見いだせず、最終的に記念品の送付や貸衣装などのキャンセル料補助などの対応を取った。「令和4年成人式」は現状、実施する前提で準備を進めているが挙行は期日直前の同感染症の情勢を見ての判断となりそうな状況だ。
令和5年の成人式は改正後となるため、公表した考えに基づき期日を変えず実施する見込み。法律上の成年年齢が変わるため、式名を20歳の節目にふさわしい名称に改める予定としている。
(2021年8月18日付紙面より)
新米の季節が到来 (那智勝浦町 )
「手間は掛かって大変だけど、それだけおいしくなると思う」―。そう語るのは那智勝浦町市屋の東佐平さん(76)と弟の秋二さん(72)だ。兄弟はそれぞれの田んぼにおいて、地域ではあまり見掛けなくなった木組みの台「下がり」に稲を掛けて干す伝統の作業で新米の収穫を行っている。
田んぼは両親から息子たちが受け継いだもの。佐平さんと秋二さんは耕作放棄地にならないように毎年、手入れし米を育てている。
秋二さんによると、以前は市屋地区だけでも多くの世帯が米を作っていたという。しかし、少子高齢化や2011年に発生した紀伊半島大水害で被災したことが原因でほとんどが米作りをやめてしまったと話す。
近年では農機具の発達により、作業の効率化が図られている。広大な田んぼなどで使用されるコンバインなどがその例に挙がるが、二人の田んぼでは刈り取った稲を束ねる機能を持つバインダーを使用。手作業に近い昔ながらの手法で長年作業をしている。
秋二さんは「自分たちは米を出荷していないし、コンバインは高価なもの。家族で食べる分や親戚や知人に贈るだけの量しか作っていない」と話した。
5日は秋二さんの田んぼの稲刈り作業を佐平さんや親戚の丸山高尚さんが手伝った。品種はコシヒカリで、数日干した後に脱穀して精米される。
佐平さんは「下がりに掛けると養分が実(米)に入り、おいしくなるといわれている。手作業なので、早朝や夕方しかできずに大変だが、値打ちはあると思う」と笑顔で語っていた。
(2021年8月11日付紙面より)
地質の日行事で親子4組 (南紀熊野ジオパーク )
串本町潮岬にある南紀熊野ジオパークセンターで7日、第14回地質の日記念イベント「ジオ・うみ・絶景 こども探検隊~潮岬を調べよう~」があり親子4組が近くの浜で貝探しやその観察に取り組むなどした。
地質の日は2007年に制定された比較的新しい記念日で、日本初の広域地質図「日本蝦夷(えぞ)地質要略之図」が作成されたことにちなんで5月10日を期日としている。以降、地球の生命史や環境(自然災害を含む)を考える上で重要な地質への関心を広めるさまざまな取り組みが行われている。
紀伊半島南部の地質をテーマとする同センターも地質の日の趣旨に呼応して例年、同パーク推進協議会と連携して記念行事を計画。本年度も5月実施を目指して参加者を募集したが新型コロナウイルス感染症の情勢により延期し、約3カ月遅れで再度参加を呼び掛け今回は感染症予防対策を徹底して実施した。
後援する同パークガイドの会の仲江孝丸さんと、同センターの本郷宙軌研究員、福村成哉研究員が講師を担当。前半は潮岬灯台近くの貝砂がある浜へ赴き、気に入った貝殻や微小貝が多く含まれていそうな貝砂を採集した。
仲江さんは貝採集のこつとして、貝砂がある浜を掘ると小さいけれど割れずきれいな貝が出てくることを紹介。その貝は5~15㍉ほどで、少しずつ掘り進め見落とさないようじっと探して集めた。
後半は気に入った貝殻でストラップ作り。感染症予防対策として1人1台で割り当てた顕微鏡を使って貝砂の中から微小貝を見つけて集め、その貝でプレパラートを作ってストラップと対のお土産にした。
祖母に薦められて参加した山本奏さん(小学2年)は「きれいな貝も見つけられて楽しかった。次は『ぐるぐる』のきれいな貝を見つけてみたい」と興味が湧いた様子。本郷研究員は「ジオパークは大地とヒトの関わりを考えがちだが、実はヒトだけでなくいろいろな動植物が大地と関わりを持っている。今日は海岸の貝などを観察したが、そのような営みもあることに気付いて海へと思いをはせる、そのきっかけにしてもらえれば」と参加した子どもの今後を期待した。
(2021年8月11日付紙面より)
コロナウイルス感染症緊急対策 (新宮市 )
新宮市の新型コロナウイルス感染症緊急対策としての飲食店などに対する「休業協力のお願い」の事前登録が9日から始まった。初日には、休業を決めた市内の飲食店など175件(うち、メール申請25件)が登録を済ませた。
新宮保健所管内における感染拡大状況を鑑み、人流抑制やクラスター防止など、新型コロナウイルス感染拡大防止として市が打ち出した緊急対策で、飲食店や喫茶店、居酒屋、カラオケボックスやバーなどを対象に、12日(木)から16日(月)までの5日間の休業協力を呼び掛け(休業の実施は事業者判断)、協力店舗に10万円の協力金を支給するもの。
対象は、市内の食品衛生法に基づく飲食店または喫茶店の営業許可を得て営業している店舗。感染防止対策に取り組んでいることや休業協力お願い期間中に市が配布する「休業のお知らせ」チラシ=写真=を店舗の外側などに掲示していることが条件。11日(水)までに事前登録を済ませる必要がある(午前9時~午後5時)。
なお、市は休業の実態確認のため見回り調査を実施。休業していないことが確認された場合には協力金の給付対象外となる場合もあるという。
事前登録の申請は、事前登録書(市ホームページよりダウンロード可)に必要事項を記入し、市役所別館の受付窓口に持参するか、市企画調整課(kikaku@city.shingu.lg.jp)にメールで提出すること。
(2021年8月11日付紙面より)
前倒しで早期完了へ総力 (新宮市 )
新宮市役所別館で7、8日、64歳以下の新型コロナワクチン集団接種が始まった。防護服に身を包んだ市職員らが誘導する中、基礎疾患のある人や高齢者施設等従事者、学校・児童福祉施設等関係職員を優先に開始。8日には64~61歳の約400人が接種を受けた。
当初、市では64歳以下の一般接種に関して、11月の完了をめどに集団接種のみの高年齢順で進めていく計画とし、接種希望調査などを実施してきた。
しかし、新宮保健所管内では7月25日から今月8日にかけ67人の感染を確認。県内62例目のクラスター(感染者集団)発生や、20~50代を中心に感染が拡大している状況を鑑み、集団接種の日程を追加したほか、一部年齢層の約900人を新宮市医師会の協力の下、市内7医療機関での個別接種とし接種の前倒しを図る計画へと切り替えた。
追加した14日(土)、15日(日)の集団接種と、個別接種対象者には今月6日に案内状を送付済み。21日(土)、22日(日)の集団接種対象者には10日に案内状を送付。対象年齢は55~48歳となる。
なお個別接種については47~42歳を対象に16日から進めていく予定で、16日の週で800人弱が接種を受ける予定。今後のワクチンの供給量によるが、個別接種の対象者を増やしていくことも視野に入れているという。
市におけるワクチン接種率(2回目)は、8月2日現在で35・82%。ワクチン供給状況や接種希望者数の増減により変更となる場合があるが、希望する19歳以上の市民への接種を10月中に完了させる予定としている。
(2021年8月11日付紙面より)